JP2017014500A - 水性ポリウレタン樹脂分散体、それを含有する塗装組成物及びコーティング剤組成物 - Google Patents

水性ポリウレタン樹脂分散体、それを含有する塗装組成物及びコーティング剤組成物 Download PDF

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高橋  毅
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博之 中野
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Abstract

【課題】引張特性に優れ、耐溶剤性が良好な塗膜を与える水性ポリウレタン樹脂分散体を提供する。【解決手段】ポリウレタンプレポリマーと、ラジカル重合性化合物とを、質量比で、ポリウレタンプレポリマー:ラジカル重合性化合物が95:5〜82:18となるように水系媒体中に分散させて得られる水性ポリウレタン樹脂分散体。【選択図】図1

Description

本発明は、水性ポリウレタン樹脂分散体、それを含有する塗装組成物及びコーティング剤組成物に関するものである。
水性ポリウレタン樹脂分散体は、塗料やコーティング剤の原料、例えば、航空機・自動車等の内外装用、住宅の外壁面および床材などの塗料、コーティング剤の原料として広く利用されている。そのため、水性ポリウレタン樹脂分散体には、その使用される用途・目的等に応じて、種々の特性(例えば、硬度、強度、耐久性等)を備えた塗膜を与えることが要求される。
例えば、特許文献1には、(メタ)アクリレート化合物を、ウレタンプレポリマーで水に乳化し、乳化状態でウレタンプレポリマーを鎖伸長させて得られるエネルギー線硬化型の樹脂水性分散体が開示されている。この樹脂水性分散体は、(メタ)アクリレート化合物およびウレタンプレポリマーを重量比で20:80〜80:20で含有している。
特許文献1では、ウレタンプレポリマーを(メタ)アクリレート化合物の乳化剤として使用しており、さらに特定の重量比で配合されていることで、塗膜の高光沢性、耐摩耗性等の性能が向上するとされている。
特許第5312888号
近年、種々の特性を満足する水性ポリウレタン樹脂組成物から得られる塗膜の開発が求められている。特許文献1でも、水性ポリウレタン樹脂組成物から得られる塗膜の種々の性能について改善がなされている。しかしながら、特許文献1に記載の樹脂水性分散体では、優れた引張特性及び良好な耐溶剤性(特に、優れた耐アルコール性)の両性能を併せて十分に満足する塗膜が得られない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、引張特性に優れ、耐溶剤性が良好な塗膜を与える水性ポリウレタン樹脂分散体を提供することを主な目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリウレタンプレポリマーに、ラジカル重合性化合物を特定の量併用することで、引張特性(特に最大伸度)に優れ、さらに耐溶剤性(特に耐アルコール性)が良好な塗膜を与える水性ポリウレタン樹脂分散体を得ることができるという知見を得た。
より具体的には、本発明者等は、ラジカル重合性化合物の含有率が特定の範囲となる場合に、引張試験時の最大伸度と耐溶剤性とが併せて向上するという新たな知見を得て、本願発明に至った。
すなわち、本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、ポリウレタンプレポリマーと、ラジカル重合性化合物とを、質量比で、ポリウレタンプレポリマー:ラジカル重合性化合物が95:5〜82:18となるように水系媒体中に分散させて得られる水性ポリウレタン樹脂分散体であることを特徴とする。
本発明によれば、引張特性に優れ、耐溶剤性が良好な塗膜を与える水性ポリウレタン樹脂分散体が得られる。
実施例1−1〜1−4、比較例1−1〜1−4におけるラジカル重合性化合物の含有率と最大伸度との関係を表すグラフである。 実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−4におけるラジカル重合性化合物の含有率と最大伸度との関係を表すグラフである。 実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−4におけるラジカル重合性化合物の含有率と最大伸度との関係を表すグラフである。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、ポリウレタンプレポリマーと、ラジカル重合性化合物とを、質量比で、ポリウレタンプレポリマー:ラジカル重合性化合物が95:5〜82:18となるように水系媒体中に分散させて得られる水性ポリウレタン樹脂分散体であることを特徴とする。
1.ポリウレタンプレポリマー
本発明におけるポリウレタンプレポリマーは、1又は複数種のラジカル重合性化合物と共に、水系媒体中に分散されて水性ポリウレタン樹脂分散体を構成している。
本発明において、ポリウレタンプレポリマーは、ポリウレタンプレポリマーの溶液として用いられてもよい。換言すれば、ポリウレタンプレポリマー溶液を水系媒体に分散させてもよい。
ポリウレタンプレポリマーは、少なくとも、ポリオール化合物(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)と、酸性基含有ポリオール(c)とを反応させて得られる。
(1)ポリオール化合物(a)
本発明におけるポリオール化合物(a)は、1分子中に2つ以上の水酸基を有するものであれば特に限定されるものではない。ポリオール化合物(a)としては、例えば、高分子量ポリオール又は低分子量ポリオールを用いることができる。
(i)高分子量ポリオール
高分子量ポリオールとしては、例えば、数平均分子量が400〜8,000であるものを好適に使用することができる。数平均分子量が上記範囲内のものである場合、ポリオール、誘導されたポリウレタンプレポリマーや誘導された水性ポリウレタン樹脂分散体において、適切な粘度、良好な取り扱い性や分散性が容易に得られる。さらに、水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗膜のソフトセグメントとしての優れた性能の確保が容易である。このため、得られたポリウレタン樹脂を含む水性樹脂分散体を用いて塗膜を形成した場合に、塗膜に割れが発生することを抑制し易いという利点を有する。また、ポリオール化合物(a)とポリイソシアネート化合物(b)との反応性が充分に良好なものとなることから、ポリウレタン樹脂の製造を効率的に行うこともできる。
上記高分子量ポリオールの数平均分子量は、400〜4,000であることがより好ましい。
なお、本明細書において、数平均分子量は、JIS K 1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量をいう。具体的には、水酸基価を測定し、末端基定量法により、(56.1×1,000×価数)/水酸基価 [mgKOH/g]で算出する。上記式中において、価数は1分子中の水酸基の数である。
高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。本発明においては、高分子量ポリオールを1種類のみ使用していても良く、複数種類の高分子量ポリオールを併用していても良い。
ポリカーボネートポリオールは、1種類以上のポリオールモノマーと、炭酸エステルやホスゲンとを反応させることにより得られる。製造が容易な点、及び末端塩素化物の副生成がない点から、1種類以上のポリオールモノマーと、炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートポリオールが好ましい。
本発明において、ポリカーボネートポリオールは、その分子中に、1分子中の平均のカーボネート結合の数と同じ又はそれ以下の数のエーテル結合やエステル結合を含有していてもよい。
ここで、ポリオールモノマーは、炭酸エステル等と反応できるものであれば特に限定されない。ポリオールモノマーとしては、例えば、脂肪族ポリオールモノマー、脂環構造を有するポリオールモノマー(脂環族ポリオールモノマー)、芳香族ポリオールモノマー、ポリエステルポリオールモノマー、ポリエーテルポリオールモノマーが挙げられる。
上記脂肪族ポリオールモノマーは、炭酸エステル等と反応できるものであれば特に限定されない。脂肪族ポリオールモノマーとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の直鎖状脂肪族ジオール;2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール等の分岐鎖状脂肪族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール等が挙げられる。
上記脂環族ポリオールモノマーは、炭酸エステル等と反応できるものであれば特に限定されない。脂環族ポリオールモノマーとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,7−ノルボルナンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン等の主鎖に脂環式構造を有するジオールが挙げられる。
上記芳香族ポリオールモノマーは、炭酸エステル等と反応できるものであれば特に限定されない。芳香族ポリオールモノマーとしては、例えば、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,2−ベンゼンジメタノール、4,4’−ナフタレンジメタノール、3,4’−ナフタレンジメタノールが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールモノマーは、炭酸エステル等と反応できるものであれば特に限定されない。ポリエステルポリオールモノマーとしては、例えば、6−ヒドロキシカプロン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のヒドロキシカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオール、アジピン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のジカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオールが挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールモノマーは、炭酸エステル等と反応できるものであれば特に限定されない。ポリエーテルポリオールモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールが挙げられる。
また上記炭酸エステルは、上述したポリオールモノマーと反応できるものであれば特に限定されない。上記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の脂肪族炭酸エステル、ジフェニルカーボネート等の芳香族炭酸エステル、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステルが挙げられる。その他に、炭酸エステルとして、ポリカーボネートポリオールを生成することができるホスゲン等も使用できる。中でも、ポリカーボネートポリオールの製造のしやすさから、脂肪族炭酸エステルが好ましく、ジメチルカーボネートが特に好ましい。
ポリオールモノマー及び炭酸エステルからポリカーボネートポリオールを製造する方法としては、例えば、反応器中に炭酸エステルと、この炭酸エステルのモル数に対して過剰のモル数のポリオールモノマーとを加え、温度160〜200℃、圧力50mmHg程度で5〜6時間反応させた後、更に低い圧力下において200〜220℃で数時間反応させる方法等が挙げられる。上記反応においては副生するアルコールを系外に抜き出しながら反応させることが好ましい。その際、炭酸エステルが副生するアルコールと共沸することにより系外へ抜け出る場合には、過剰量の炭酸エステルを加えてもよい。また、上記反応において、チタニウムテトラブトキシド等の触媒を使用してもよい。
また本発明における高分子量ポリオールとしては、水性ポリウレタン樹脂分散体の製造の容易さから、高分子量ポリオールを用いることが好ましい。高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール等を挙げることができる。ポリウレタン樹脂を含む水性樹脂分散体、及び該水性樹脂分散体から得られる塗膜の耐光性、耐候性、耐熱性、耐加水分解性、耐油性の点から、ポリカーボネートジオールが好ましい。
さらにポリカーボネートジオールの中でも、ジオール成分が脂肪族ジオール及び脂環族ジオールの少なくとも一方であるものを好適に使用できる。
ジオール成分が脂環構造を有さない脂肪族ジオールは、取扱いが容易な点、水系媒体への分散性が良好な点から、好適に使用できる。また水性ポリウレタン樹脂分散体を用いて得られる塗膜の乾燥性に優れる点や引張特性が良好である(例えば最大伸度が大きい)点から、好適に使用できる。
またジオール成分が脂環構造を有する脂環族ジオールである場合、水性ポリウレタン樹脂分散体を用いて得られる塗膜において、耐溶剤性(特に耐エタノール性)良好になる点から好適に使用できる。また当該塗膜の弾性率が向上しやすく、塗膜の硬度、耐摩耗性が向上しやすい点から好適に使用できる。
このようなポリカーボネートジオールとしては、具体的には、1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,5−ペンタンジオールの混合物と炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,4−ブタンジオールの混合物と炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールと炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物と炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートジオール等が挙げられる。
またポリエステルジオールとしては、具体的には、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリへキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、1,6−へキサンジオールとダイマー酸の重縮合物等が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシド、エチレンオキシドとブチレンオキシドとのランダム共重合体やブロック共重合体等が挙げられる。さらに、エーテル結合とエステル結合とを有するポリエーテルポリエステルポリオール等を用いてもよい。
(ii)低分子量ポリオール
低分子量ポリオールとしては、例えば、数平均分子量が60以上400未満のものを使用することができる。また低分子量ポリオールとしては、水性ポリウレタン樹脂分散体の製造の容易さから、低分子量ジオールを用いることができる。
低分子量ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の炭素数2〜9の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、2,7−ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジオキサン等の炭素数6〜12の環式構造を有するジオールを挙げることができる。また、上記低分子量ポリオールとして、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の低分子量多価アルコールを用いることもできる。
(2)ポリイソシアネート化合物(b)
ポリイソシアネート化合物(b)は、2以上のイソシアナト基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、芳香族ポリイソシアネート化合物、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族ポリイソシアネート化合物、及び脂環式ポリイソシアネート化合物等を好適に使用できる。また、1種類のポリイソシアネート化合物(b)を用いても良く、複数種類のポリイソシアネート化合物(b)を併用しても良い。
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネート化合物は、脂環構造を有する化合物であれば特に限定されない。脂環式ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、1,3−イソシアネトメチルシクロヘキサン(水素添加XDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(b)は、目的とするポリウレタンプレポリマーの機能等に応じて適宜選択することができる。ポリイソシアネート化合物(b)としては、脂環式ポリイソシアネート化合物を好適に使用することができ、また脂環式ジイソシアネート化合物をより好適に使用することができる。具体的には4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)や、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が特に好ましい。
ポリイソシアネート化合物(b)として、脂環式ポリイソシアネート化合物、好ましくは脂環式ジイソシアネート化合物を使用すると、より黄変しにくい塗膜を得ることができ、また得られた塗膜の硬度がより高くなる傾向があるからである。
中でもポリイソシアネート化合物(b)が4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)の少なくとも一方である場合、反応性が制御しやすく、得られる塗膜の硬度がより高くなる傾向がある。
(3)酸性基含有ポリオール化合物(c)
酸性基含有ポリオール(c)は、1分子中に2個以上の水酸基(フェノール性水酸基は除く)と、1個以上の酸性基とを含有するものである。ここで、酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。
このような酸性基含有ポリオール(c)としては、1分子中に2個の水酸基と1個のカルボキシ基とを含有するものが好ましい。酸性基含有ポリオール(c)は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
酸性基含有ポリオール(c)としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸、N,N−ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビスヒドロキシエチルアラニン、3,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸、3,6−ジヒドロキシ−2−トルエンスルホン酸等が使用できる。中でも入手の容易さの観点から、2個のメチロール基を含む炭素数4〜12のジメチルロールアルカン酸を好適に使用できる。さらに、ジメチロールアルカン酸の中でも、2,2−ジメチロールプロピオン酸を特に好適に使用できる。
上述したポリオール化合物(a)と、酸性基含有ポリオール(c)との合計の水酸基当量数は、120〜1,000であることが好ましい。水酸基当量数が、この範囲内である場合、水性ポリウレタン樹脂分散体の製造が容易となり、また硬度の点で優れる塗膜が得られやすいからである。また得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の貯蔵安定性と塗布して得られる塗膜の硬度の観点から、上記水酸基当量数は、好ましくは150〜800、より好ましくは200〜700、特に好ましくは300〜600である。
ここで、上記水酸基当量数は、以下の式(1)及び(2)で算出することができる。
各ポリオールの水酸基当量数=各ポリオールの分子量/各ポリオールの水酸基の数(フェノール性水酸基は除く)・・・(1)
ポリオールの合計の水酸基当量数=M/ポリオールの合計モル数・・・(2)
本発明におけるポリウレタンプレポリマーの場合、式(2)において、Mは、[〔ポリオール化合物(a)の水酸基当量数×ポリオール化合物(a)のモル数〕+〔酸性基含有ポリオール(c)の水酸基当量数×酸性基含有ポリオール(c)のモル数〕]を示す。
(4)ポリウレタンプレポリマーまたはその溶液
本発明のポリウレタンプレポリマーは、少なくとも、上述したポリオール化合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)、及び、酸性基含有ポリオール化合物(c)を反応させて得られるものである。ポリウレタンプレポリマーを得る場合において、ポリオール化合物(a)、酸性基含有ポリオール化合物(c)の全水酸基のモル数に対する、ポリイソシアネート化合物(b)のイソシアナト基のモル数の比は、1.05〜2.5が好ましい。好ましくは1.1〜2.0、特に好ましくは1.3〜1.8である。当該比がこの範囲であれば、誘導されるプレポリマーと鎖延長剤との優れた反応性及び誘導される水性ポリウレタン分散体から優れた塗膜性能(硬度、強度、耐久性等)を得ることができる。
ポリオール化合物(a)と、酸性基含有ポリオール化合物(c)と、ポリイソシアネート化合物(b)とを反応させて、ポリウレタンプレポリマーを得る際、ポリオール化合物(a)及び酸性基含有ポリオール化合物(c)を順不同でポリイソシアネート化合物(b)と反応させることができる。
ポリウレタンプレポリマーを得る反応の際には、触媒を用いることができる。このような触媒としては、例えば、スズ(錫)系触媒(トリメチルスズラウリレート、ジブチルスズジラウリレート等)や鉛系触媒(オクチル酸鉛等)等の金属と有機又は無機酸との塩、有機金属誘導体、アミン系触媒(トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等)、ジアザビシクロウンデセン系触媒等が挙げられる。中でも、反応性の観点から、ジブチル錫ジラウリレートが好ましい。
ポリオール化合物(a)等のポリオール成分とポリイソシアネート化合物(b)とを反応させる際の反応温度としては、例えば、40℃〜150℃が好ましい。反応温度を40℃以上とすることで、原料が十分に溶解し又は原料が十分な流動性を得て、得られたポリウレタンプレポリマーの粘度を低くして充分な撹拌を行うことができる。反応温度を150℃以下とすることで、副反応が起こる等の不具合を起こさずに、反応を進行させることができる。反応温度として更に好ましくは60℃〜120℃である。
ポリオール化合物(a)及び酸性基含有ポリオール化合物(c)と、ポリイソシアネート化合物(b)との反応は、溶媒存在下で行っても良く、溶媒非存在下で行っても良い。
溶媒非存在下で反応を行う場合には、ポリオール化合物(a)と、酸性基含有ポリオール化合物(c)と、ポリイソシアネート化合物(b)との混合物が液状であることが好ましい。
溶媒存在下で反応を行う場合には、例えば有機溶媒を加えること等が挙げられる。このような有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、酢酸エチルが挙げられる。中でも、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルが、ポリウレタンプレポリマーを水に分散し、鎖延長反応を行った後に加熱減圧により除去できるので好ましい。
また、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンは、得られた水性ポリウレタン樹脂分散体から塗膜を作製する際に造膜助剤として働くため好ましい。
有機溶媒の添加量は、ポリオール化合物(a)と、酸性基含有ポリオール化合物(c)と、ポリイソシアネート化合物(b)との全量に対して質量基準で、好ましくは0.1倍〜2.0倍であり、より好ましくは0.15倍〜0.8倍である。
本発明において、ポリウレタンプレポリマーの酸価(AV)は、5〜50mgKOH/gが好ましく、より好ましくは、8〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは10〜30mgKOH/gである。
ポリウレタンプレポリマーの酸価をこのような範囲にすることで、水系媒体への分散性が良くなる傾向がある。
なお、本発明において、「ポリウレタンプレポリマーの酸価」とは、ポリウレタンプレポリマーを製造するにあたって用いられる溶媒及びポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させるための中和剤を除いたいわゆる固形分中の酸価である。
具体的には、ポリウレタンプレポリマーの酸価は、下記式(3)によって導き出すことができる。
〔ポリウレタンプレポリマーの酸価〕=〔(酸性基含有ポリオール化合物(c)のミリモル数)×(酸性基含有ポリオール化合物(c)1分中の酸性基の数)〕×56.11/〔ポリオール化合物(a)、酸性基含有ポリオール化合物(c)及びポリイソシアネート化合物(b)の合計の質量〕・・・(3)
本発明においては、ポリウレタンプレポリマーまたはその溶液を使用することができる。当該溶液は、少なくとも上述のポリウレタンプレポリマーを含むものであれば特に制限されない。
ポリウレタンプレポリマーの溶液に使用される溶媒は、ポリウレタンプレポリマーを溶解できるものであれば特に制限されない。ポリウレタンプレポリマーの溶液に使用される溶媒としては、例えば、ポリウレタンプレポリマーを得る際に使用する溶媒、すなわち、ポリオール化合物(a)及び酸性基含有ポリオール化合物(c)と、ポリイソシアネート化合物(b)との反応に使用する溶媒と同様のものであってもよく、当該溶媒をその他の溶媒に置換していても良い。
2.ラジカル重合性化合物
本発明におけるラジカル重合性化合物は、光ラジカル発生剤の共存下や、熱ラジカル発生剤の共存下で重合可能なものであれば特に限定されるものではない。本発明においては、25℃においてイソシアナト基との反応性を有していない化合物をラジカル重合性化合物として好適に用いることができ、中でも(メタ)アクリレート化合物を特に好適に用いることができる。
このような(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、モノマー類の(メタ)アクリレート化合物や、ポリマー類の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を示す。
上記モノマー類の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、モノ(メタ)アクリレートや、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレートを使用することができる。
中でも、ポリ(メタ)アクリレートをモノマー類の(メタ)アクリレート化合物として好適に使用することができる。分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有することによって、モノ(メタ)アクリレートを使用する場合よりも高分子量化しやすいからである。
モノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子の1,6−ヘキサンジオールジグリシジルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DA−212」)、2分子のエポキシ(メタ)アクリル酸と1分子のネオペンチルグリコールジグリシジルとの反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のビスフェノールAジグリシジルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DA−250」)、2分子の(メタ)アクリル酸とビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジグリシジル体との反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のフタル酸ジグリシジルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DA−721」)、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のポリエチレングリコールジグリシジルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DM−811」、「DM−832」、「DM−851」)、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のポリプロピレングリコールジグリシジルとの反応生成物等の(メタ)アクリル酸とポリオールジグリシジルとの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の付加物等が挙げられる。
トリ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(6モル)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(BASF社製Laromer(登録商標) LR8863)、アルキレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(BASF社製Laromer(登録商標) PO33F)等が挙げられる。
テトラ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(4モル)変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(ダイセル・サイテック社、Ebecryl 40)等のアルキレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ペンタ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ヘキサ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
またポリマー類の(メタ)アクリレート化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物、ポリアルキレン(メタ)アクリレート系化合物等が挙げられる。
これらのラジカル重合性化合物の中でも、得られる塗膜の耐薬品性、耐マジック汚染性、水系樹脂分散体組成物の貯蔵安定性の点から、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、および、これらの混合物が好ましい。これらのラジカル重合性化合物の1種類のみを用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
ラジカル重合性化合物は、上述したポリウレタンプレポリマーと、ラジカル重合性化合物とを、質量比で、ポリウレタンプレポリマー:ラジカル重合性化合物が95:5〜82:18となるように水系媒体中に分散しているものである。すなわち、上述したポリウレタンプレポリマーとラジカル重合性化合物との総質量に対して、5〜18質量%となるように水系媒体中に分散しているものである。ラジカル重合性化合物の含有率は、5質量%以上であれば特に制限されるものではなく、例えば、7質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。ラジカル重合性化合物の含有率が5質量%以上である場合、耐溶剤性、特に耐アルコール性が良好となるからである。
またラジカル重合性化合物の含有率は、18質量%以下であれば特に制限されるものではなく、17質量%以下であることが好ましく、1・BR>T質量%以下であることがより好ましい。上記含有率が18質量%以下である場合、引張試験における最大伸度が大きくなるからである。
3.水性ポリウレタン樹脂分散体
本発明における水性ポリウレタン樹脂分散体は、ポリウレタンプレポリマー又はその溶液と、1又は複数種のラジカル重合性化合物と、場合により、鎖延長剤とを、水系媒体中に分散させて得られるものである。ポリウレタンプレポリマー及びラジカル重合性化合物に加え、鎖延長剤を水系媒体中に分散させた場合、水性ポリウレタン樹脂分散体には、ポリウレタンプレポリマーと鎖延長剤との反応物が含まれる。
(1)水系媒体
水系媒体は、水、水と親水性有機溶媒との混合媒体等が挙げられる。水としては、例えば、上水、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられるが、入手の容易さや塩の影響でポリウレタン樹脂粒子が不安定になることを考慮して、イオン交換水が好ましい。
親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級1価アルコール;エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;N−メチルモルホリン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)、β−アルコキシプロピオン酸アミド等の非プロトン性の親水性有機溶媒等が挙げられる。水系媒体中の親水性有機溶媒の量は、0〜20重量%が好ましく、0〜10重量%であることがより好ましい。
(2)鎖延長剤
ポリウレタンプレポリマーは、少なくとも、上述したポリオール化合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)、及び、酸性基含有ポリオール化合物(c)を反応させて得られるものであり、さらに、鎖延長剤を反応させて得られるものであってもよい。
ここで、鎖延長剤は、イソシアナト基と反応性を有する化合物であれば特に制限されない。鎖延長剤としては、具体的には、エチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−ヘキサメチレンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミン、ピペラジン、アジポイルヒドラジド、ヒドラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール化合物、 ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、水等が挙げられ、中でも好ましくは1級ジアミン化合物が挙げられる。これらの1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
鎖延長剤の添加量は、ポリウレタンプレポリマー中の鎖延長起点となるイソシアナト基の当量以下であることが好ましく、より好ましくはイソシアナト基の0.7〜0.99当量である。イソシアナト基の当量以下の量で鎖延長剤を添加することで、鎖延長されたポリウレタンポリマーの分子量を低下させず、水性ポリウレタン樹脂分散体を塗布して得られる塗膜の強度を高くすることができる傾向がある。
鎖延長剤は、ポリウレタンプレポリマーの水への分散後に添加されていてもよく、分散中に添加されていてもよい。鎖延長は水によっても行うことができる。この場合は分散媒としての水が鎖延長剤を兼ねることになる。
(3)添加剤
水性ポリウレタン樹脂分散体は、さらに必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤は、特に制限されず、目的とする水性ポリウレタン樹脂分散体に応じて適宜選択することができる。具体的には、添加剤として、例えば、アミノアルコール、モノアルコール及びモノアミンを使用することができる。
例えば、ポリウレタンプレポリマーが水に分散された状態で、ポリウレタンプレポリマーとアミノアルコールとを反応させることにより、分子末端に水酸基を含むポリウレタンプレポリマーが得られる。アミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン等が挙げられ、水分散性の観点でエタノールアミンが好ましい。アミノアルコールの添加量は、水性ポリウレタン樹脂分散体の固形分を基準として2重量%未満であることが好ましく、1重量%未満であることがより好ましい。
また例えば、ポリウレタンプレポリマーが水に分散された状態で、ポリウレタンプレポリマーとモノアルコール又はモノアミンとを反応させることにより、分子末端が非反応性であるポリウレタンプレポリマーが得られる。これにより、架橋度を調整でき、塗膜の弾性率を制御することが可能になる。モノアルコールとしては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール等が挙げられ、製造の容易性の観点でn−ブタノールが好ましい。モノアミンとしては、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等が挙げられる。モノアルコール及びモノアミンの添加量は、水性ポリウレタン樹脂の固形分を基準として2重量%未満であることが好ましく、1重量%未満であることがより好ましい。
反応性を向上する観点から、モノアルコールはポリウレタンプレポリマーの製造の際に使用することが好ましい。モノアミンはポリウレタンプレポリマーを水系媒体に分散させた後に使用することが好ましく、鎖延長剤を添加する前に使用することが好ましい。ポリウレタンプレポリマーの製造の際にモノアルコールを添加する場合は、反応率を向上させる点から60℃以上に加温した状態で反応させることが好ましい。モノアミンを添加する場合は、副反応を抑制する点から60℃以下の状態で反応させることが好ましい。
水性ポリウレタン樹脂分散体には、必要に応じて、さらに増粘剤、光増感剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤等の添加剤が添加されていてもよい。添加剤は、1種類を単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。またこれらの添加剤は、一般に用いられる範囲の量で使用することができる。
(4)水性ポリウレタン樹脂分散体
水性ポリウレタン樹脂分散体においては、水性ポリウレタン樹脂分散体中のウレタン結合の含有割合とウレア結合の含有割合との合計が、固形分基準で3〜25重量%であることが好ましく、4〜22重量%であることがより好ましく、4.5〜20.5重量%であることがよりさらに好ましく、5〜20重量%であることが特になお好ましい。
ここで、ウレタン結合の含有割合とは水性ポリウレタン樹脂分散体の固形分中におけるウレタン結合単位(−NHCOO−)の含有割合を意味し、ウレア結合の含有割合とは水性ポリウレタン樹脂分散体の固形分中におけるウレア結合単位(−NHCONH−)の含有割合を意味する。
ウレタン結合の含有割合とウレア結合の含有割合の合計が3質量%未満であると、塗膜を充分に形成できず、乾燥後にも塗膜表面がべたつく等の問題が生じる場合がある。また、ウレタン結合の含有割合とウレア結合の含有割合の合計が25質量%を超えると、水性ポリウレタン樹脂分散体を基材に塗布した場合に、塗料や塗膜の水系媒体への再分散性が劣るために除去が難しくなり、塗り直しを施すことができなくなる場合がある。
水性ポリウレタン樹脂分散体中のウレタン結合の含有割合は、ウレア結合の含有割合との合計が、固形分基準で3〜25質量%であれば特に制限されない。水性ポリウレタン樹脂分散体中のウレタン結合の含有割合は、固形分基準で3〜20質量%であることが好ましく、4〜17質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。
ここで、水性ポリウレタン樹脂分散体中のウレタン結合の含有割合及びウレア結合の含有割合は、水性ポリウレタン樹脂分散体を調製する際の各成分の仕込み量から算出することができる。また、塗膜の赤外線吸収スペクトルからも算出することができる。
水性ポリウレタン樹脂分散体中のポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、例えば25,000〜10,000,000程度である。より好ましくは、50,000〜5,000,000であり、更に好ましくは、100,000〜1,000,000である。重量平均分子量を25,000以上とすることで、水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜を乾燥することにより、良好なフィルムを得ることができる傾向がある。重量平均分子量を1,000,000以下とすることで、水性ポリウレタン樹脂分散体の乾燥性をより高くすることができる傾向がある。
なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したものであり、予め作成した標準ポリスチレンの検量線から求めた換算値である。
水性ポリウレタン樹脂分散体中の脂環構造の含有割合は、特に制限されないが、固形分基準で、例えば4〜80質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましく、6〜50質量%であることがさらに好ましく、7〜40質量%であることが特に好ましい。当該範囲とすることで、水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の引張特性(例えば引張強度や破断エネルギー)が向上しやすくなるからである。
なお、固形分基準の脂環構造の含有割合とは、例えば脂環構造がシクロヘキサン環である場合は、水性ポリウレタン樹脂分散体の固形分中に、シクロヘキサンから2つの水素原子を除いた部分(シクロヘキサン残基)がどのくらい存在するかを示すものである。
水性ポリウレタン樹脂分散体においては、水性ポリウレタン樹脂分散体中のカーボネート結合の含有割合が、固形分基準で、固形分基準で、例えば2〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、15〜40質量%であることがさらに好ましい。
ここで、カーボネート結合の含有割合とは、水性ポリウレタン樹脂分散体の固形分中におけるカーボネート結合単位(−OCOO−)の含有割合を意味する。当該含有割合は、水性ポリウレタン樹脂分散体を調製する際の各成分の仕込み量から算出することができる。
カーボネート結合の含有割合が小さすぎる場合、得られる塗膜の耐衝撃性が低くなる可能性がある。またカーボネート結合の含有割合が大きすぎる場合、良好な塗膜が形成しにくい傾向がある。
(5)水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法
次に、水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法について説明する。水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法は、
ポリオール化合物(a)及び酸性基含有ポリオール化合物(c)を、ポリイソシアネート化合物(b)と反応させてポリウレタンプレポリマーを得る工程(α)、
ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和する工程(β)、
ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させる工程(γ)、
ラジカル重合性化合物を水系媒体中に分散させる工程(δ)及び、
場合により、ポリウレタンプレポリマーと、ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基と反応性を有する鎖延長剤とを反応させる工程(ε)を含む。
ポリウレタンプレポリマーを得る工程(α)は、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、大気雰囲気下で行ってもよい。また上記工程(α)は、例えば0〜120℃で行うことができ、0〜100℃で行うことが好ましい。
ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和する工程(β)は、例えば得られたポリウレタンプレポリマーに中和剤を加えて酸性基を中和する工程である。
中和剤としては、特に限定されるものではない。好ましく用いられる中和剤としては、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ塩類、アンモニアが挙げられる。
中でも、好ましくは有機アミン類を用いることができ、より好ましくは3級アミンを用いることができる。さらに、分散安定性が向上する点で、トリエチルアミンがより好ましく、増粘性がより向上する点で、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等のアルコールアミン類が好ましい。
ここで、ポリウレタンプレポリマーの酸性基とは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等をいう。
工程(β)における上記中和剤は、ポリウレタンプレポリマーの酸性基に対し、モル数で0.8〜1.5にとなるように使用されるのが好ましい。中和剤の使用量がこの量より少ない場合、ポリウレタンプレポリマーの水への分散性が低下したり、水性ポリウレタン樹脂分散体の貯蔵安定性が低下したりする場合がある。また一方、中和剤の使用量がこの量より多い場合、水性ポリウレタン樹脂分散体の臭気が強くなる場合がある。
ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させる工程(γ)において、水系媒体中にポリウレタンプレポリマーを分散させる方法は、特に制限されない。水系媒体中にポリウレタンプレポリマーを分散させる方法としては、例えば、ホモミキサーやホモジナイザー等によって攪拌されている水系媒体中に、ポリウレタンプレポリマーを添加する方法、ホモミキサーやホモジナイザー等によって攪拌されているポリウレタンプレポリマーに水系媒体を添加する方法等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物は、ポリウレタンプレポリマーに混合した後に水系媒体中に分散させてもよいし、ポリウレタンプレポリマーと同時に別途水系媒体中に分散させてもよいし、予めラジカル重合性化合物を水系媒体中に添加しておき、その後ポリウレタンプレポリマーを添加して水系媒体中に分散させてもよい。
またポリウレタンプレポリマーと、ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基と反応性を有する鎖延長剤とを反応させる工程(ε)を含む場合、工程(ε)は冷却下でゆっくりと行ってもよく、また場合によっては60℃以下の加熱条件下で反応を促進して行ってもよい。冷却下における反応時間は、例えば0.5〜24時間とすることができ、60℃以下の加熱条件下における反応時間は、例えば0.1〜6時間とすることができる。
工程(ε)は、ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基と鎖延長剤が反応するのであれば、その方法及び操作順序等については限定されるものではなく、例えば、工程(α)、工程(β)、工程(γ)及び工程(δ)を任意の順番で行った後、工程(ε)を行う方法、工程(α)、工程(β)を任意の順番で行った後、工程(ε)を行い、さらに工程(γ)及び(δ)を任意の順番で行う方法、並びに、工程(α)を行った後、工程(ε)を行い、さらに工程(β)、工程(γ)及び工程(δ)を任意の順番で行う方法等が挙げられる。
<硬化性組成物>
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、重合開始剤を添加して硬化性組成物とすることができる。重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤等を使用できる。これらの1種類のみを使用してもよく、複数種を併用してもよい。
光重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、紫外線照射によって、容易に開裂して2個のラジカルができる光開裂型の開始剤、水素引き抜き型の開始剤を使用することができる。これらを併用してもよい。これらの光重合開始剤の例としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインジメチルケタール、チオキサントン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6,−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタノン等が挙げられる。これらの1種のみを用いてもよいし、複数種を併用することもできる。好ましくは、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが用いられる。
光重合開始剤を添加する場合、ポリウレタンプレポリマー、ラジカル重合性化合物、及び場合により鎖延長剤を水系媒体中に分散させた後に添加することが好ましい。光重合開始剤の添加量を、水性ポリウレタン樹脂分散体の全固形分に対して0.5〜5質量%とすることが好ましい。
熱重合開始剤としては、有機過酸化物等の公知のものを使用することができる。これらの熱重合開始剤の例としては、例えば、アゾ系化合物;ジアシルパーオキサイド系化合物;パーオキシエステル系化合物;ハイドロパーオキサイド系化合物;ジアルキルパーオキサイド系化合物;ケトンパーオキサイド系化合物;パーオキシケタール系化合物;アルキルパーオキシエステル系化合物;パーオキシカーボネート系化合物などが挙げられる。これらの化合物としては、例えば、アゾニトリル化合物[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など]、アゾアミド化合物{2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}など}、アゾアミジン化合物{2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩など}、アゾアルカン化合物[2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)など]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)等のアゾ系化合物;ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイドなど)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイドなど)等のジアシルパーオキサイド系化合物;パーオキシエステル系化合物;ハイドロパーオキサイド系化合物;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド系化合物;ケトンパーオキサイド系化合物;パーオキシケタール系化合物;過酢酸t−ブチル、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーオキシエステル系化合物;パーオキシカーボネート系化合物などが挙げられる。これらの1種のみを用いてもよいし、複数種を併用することもできる。
熱重合開始剤を添加する場合、ポリウレタンプレポリマー、ラジカル重合性化合物、及び場合により鎖延長剤を水系媒体中に分散させた後に添加することが好ましい。熱重合開始剤の添加量を、水性ポリウレタン樹脂分散体の全固形分に対して0.05〜5質量%とすることが好ましい。
<塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物>
本発明は、上記水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物にも関する。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物には、上記水性ポリウレタン樹脂分散体以外にも、他の樹脂を添加することもできる。他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。他の樹脂は、1種以上の親水性基を有することが好ましい。親水性基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基等が挙げられる。
他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、通常、酸成分とアルコ−ル成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。酸成分としては、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を使用することができる。
ポリエステル樹脂の水酸基価は、10〜300mgKOH/g程度であることが好ましく、50〜250mgKOH/g程度であることがより好ましく、80〜180mgKOH/g程度であることが更に好ましい。上記ポリエステル樹脂の酸価は、1〜200mgKOH/g程度であることが好ましく、15〜100mgKOH/g程度であることがより好ましく、25〜60mgKOH/g程度であることが更に好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、500〜500,000であることが好ましく、1,000〜300,000であることがより好ましく、1,500〜200,000であることが更に好ましい。
アクリル樹脂としては、水酸基含有アクリル樹脂が好ましい。水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとを、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の既知の方法によって共重合させることにより製造できる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物である。水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;これらのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
水酸基含有アクリル樹脂は、アニオン性官能基を有することが好ましい。アニオン性官能基を有する水酸基含有アクリル樹脂は、例えば、重合性不飽和モノマーの1種として、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性官能基を有する重合性不飽和モノマーを用いることにより製造できる。
水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、組成物の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度であることが好ましく、2〜100mgKOH/g程度であることがより好ましく、3〜60mgKOH/g程度であることが更に好ましい。
また、水酸基含有アクリル樹脂がカルボキシル基等の酸基を有する場合、該水酸基含有アクリル樹脂の酸価は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度であることが好ましく、2〜150mgKOH/g程度であることがより好ましく、5〜100mgKOH/g程度であることが更に好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は、1,000〜200,000であることが好ましく、2,000〜100,000であることがより好ましく、更に好ましくは3,000〜50,000の範囲内である。
ポリエーテル樹脂としては、エーテル結合を有する重合体又は共重合体が挙げられ、例えばポリオキシエチレン系ポリエーテル、ポリオキシプロピレン系ポリエーテル、ポリオキシブチレン系ポリエーテル、ビスフェノールA又はビスフェノールF等の芳香族ポリヒドロキシ化合物から誘導されるポリエーテル等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノール化合物から製造された重合体が挙げられ、例えばビスフェノールA・ポリカーボネート等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等の各種ポリオール成分とポリイソシアネートとの反応によって得られるウレタン結合を有する樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンの反応によって得られる樹脂等が挙げられる。ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFが挙げられる。
アルキド樹脂としては、フタル酸、テレフタル酸、コハク酸等の多塩基酸と多価アルコールに、更に油脂・油脂脂肪酸(大豆油、アマニ油、ヤシ油、ステアリン酸等)、天然樹脂(ロジン、コハク等)等の変性剤を反応させて得られたアルキド樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、オレフィン系モノマーを適宜他のモノマーと通常の重合法に従って重合又は共重合することにより得られるポリオレフィン樹脂を、乳化剤を用いて水分散するか、あるいはオレフィン系モノマーを適宜他のモノマーと共に乳化重合することにより得られる樹脂が挙げられる。また、場合により、上記のポリオレフィン樹脂が塩素化されたいわゆる塩素化ポリオレフィン変性樹脂を用いてもよい。
オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィン;ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、スチレン類等の共役ジエン又は非共役ジエンが挙げられる。これらのモノマーを、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
オレフィン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸が挙げられる。これらのモノマーを、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物は、硬化剤を含むことができ、これにより、塗料組成物又はコーティング剤組成物を用いて得られる塗膜又は複層塗膜、コーティング膜や印刷物の耐水性等を向上させることができる。
硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロック化ポリイソシアネート、メラミン樹脂、カルボジイミド等を用いることできる。硬化剤を、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
アミノ樹脂としては、例えば、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分もしくは完全メチロール化アミノ樹脂が挙げられる。上記アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が挙げられる。アルデヒド成分としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアナト基を有する化合物が挙げられ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
ブロック化ポリイソシアネートとしては、前述のポリイソシアネートのイソシアナト基にブロック剤を付加することによって得られるものが挙げられ、ブロック化剤としては、フェノール、クレゾール等のフェノール系、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール系、マロン酸ジメチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系、アセトアニリド、酢酸アミド等の酸アミド系、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム等のラクタム系、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等の酸イミド系、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム系、ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミン等のアミン系等のブロック化剤が挙げられる。
メラミン樹脂としては、例えば、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン等のメチロールメラミン;これらのメチロールメラミンのアルキルエーテル化物又は縮合物;メチロールメラミンのアルキルエーテル化物の縮合物が挙げられる。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物には、着色顔料や体質顔料、光輝性顔料を添加することができる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。これらを、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。特に、着色顔料として、酸化チタン及びカーボンブラックの少なくとも一方を使用することが好ましい。
体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトが挙げられる。これらを、単独で,用いてもよいし、複数種を併用してもよい。特に、体質顔料として、硫酸バリウム及びタルクの少なくとも一方を使用することが好ましく、硫酸バリウムを使用することがより好ましい。
光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を使用することができる。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物には、必要に応じて、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の添加剤を含有させることができる。これらを、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物の製造方法は、特に制限されないが、公知の製造方法を用いることができる。一般的には、塗料組成物及びコーティング剤組成物は、上記水性ポリウレタン樹脂分散体と上述した各種添加剤を混合し、更に水系媒体を添加し、適用方法に応じた粘度に調整することにより製造される。
塗料組成物の被塗装材質、コーティング剤組成物の被コーティング材質又はインク組成物の被適用材質としては、金属、プラスチック、無機物、木材等が挙げられる。
塗料組成物の塗装方法又はコーティング剤組成物のコーティング方法としては、例えば、ベル塗装、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、浸漬塗装が挙げられる。インク組成物の適用方法としては、例えば、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法が挙げられる。
硬化後の塗膜の厚さは、特に制限されないが、1〜100μmであることが好ましい。より好ましくは、3〜50μmである。
<ポリウレタン樹脂フィルム>
本発明は、更に、上記水性ポリウレタン樹脂分散体から得られるポリウレタン樹脂フィルムにも関する。
水性ポリウレタン樹脂分散体を用いて、ポリウレタン樹脂フィルムを得ることもできる。水性ポリウレタン樹脂分散体を離形性基材に供給し、加熱等の手段により乾燥、硬化させ、続いてポリウレタン樹脂の硬化物を離形性基材から剥離させることで、ポリウレタン樹脂フィルムが得られる。
上記加熱方法としては、自己の反応熱による加熱方法と、上記反応熱と型の積極加熱とを併用する加熱方法等が挙げられる。型の積極加熱は、型ごと熱風オーブンや電気炉、赤外線誘導加熱炉に入れて加熱する方法が挙げられる。
上記加熱温度は、40〜200℃であることが好ましく、より好ましくは60〜160℃である。このような温度で加熱することにより、より効率的に乾燥を行うことができる。上記加熱時間は、0.01〜20時間であることが好ましく、より好ましくは1〜10時間である。このような加熱時間とすることにより、より硬度の高いポリウレタン樹脂フィルムを得ることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、各物性の測定は、以下の通り行った。
(引張試験)
ガラス板上に光硬化後の塗膜の厚さが50μm〜80μmとなるように、光重合開始剤を含む水性樹脂分散体をバーコーターで塗布し、室温24時間更に60℃で24時間養生した後、積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射して光硬化させた。得られた塗膜をガラス板から剥がし、3号ダンベル形で打ち抜いて試験片を作成した。得られた試験片をJIS K 6251に準じ、23℃で引張試験機(オリエンティック社製RTC−1250A)を用いて100mm/minの速度で測定した。
(耐溶剤性スポット試験)
得られた塗膜に、99.5%エタノール(和光純薬工業株式会社)、80%エタノール(99.5%エタノール(和光純薬工業株式会社)を精製水で希釈調製したもの)、をそれぞれ染みこませた脱脂綿を置き、覆いをした状態で24時間静置した。
その後、脱脂綿を取り除き、脱脂綿を置いた場所の塗膜外観を目視により評価した。
評価基準は、以下の通りである。
○:塗膜の膨潤や白化は観察されなかった。
×:塗膜の膨潤や白化が観察された。
(耐溶剤性ラビング試験)
得られた塗膜の表面に、99.5%エタノールを浸み込ませたフェルトで、塗膜上を往復10回ラビングした。ラビング前とラビング後の塗膜の状態を、目視により判定した。評価基準は下記の通りである。
○:塗膜に傷や劣化等のダメージは認められなかった。
×:塗膜に傷や劣化等の顕著なダメージが認められた。
[合成例1]
攪拌機および加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL(登録商標)UM90(3/1)(宇部興産製;数平均分子量916;水酸基価122mgKOH/g;ポリオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール:1,6−ヘキサンジオール=3:1のモル比のポリオール混合物と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、179g)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(31.8g)と、イソホロンジイソシアネート(169g)とを、N−エチルピロリドン(163g)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.3g)存在下、窒素雰囲気下で、80−90℃で3.5時間加熱してポリウレタンプレポリマー溶液を得た。なお、ウレタン化反応終了時のNCO基含量は、5.04重量%であった。
[合成例2]
攪拌機および加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL(登録商標)UM90(1/3(宇部興産製;数平均分子量894;水酸基価125mgKOH/g;ポリオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール:1,6−ヘキサンジオール=1:3のモル比のポリオール混合物と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、250g)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(48.8g)と、水素添加MDI(285g)とを、N−エチルピロリドン(233g)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.4g)存在下、窒素雰囲気下で、80−90℃で3.5時間加熱してポリウレタンプレポリマー溶液を得た。なお、ウレタン化反応終了時のNCO基含量は、4.14重量%であった。
[合成例3]
攪拌機および加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL(登録商標)UH200(宇部興産製;数平均分子量2007;水酸基価55.9mgKOH/g;1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、450g)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(48.3g)と、イソホロンジイソシアネート(181g)とを、N−エチルピロリドン(249g)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.5g)存在下、窒素雰囲気下で、80−90℃で3.5時間加熱してポリウレタンプレポリマー溶液を得た。なお、ウレタン化反応終了時のNCO基含量は、2.11重量%であった。
[実施例1−1〜1−4、比較例1−1〜1−4]
合成例1で得られたポリウレタンプレポリマー溶液を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン(24.0g)を添加・混合した。ポリウレタンプレポリマー溶液(517g)と、ラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)とトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)の混合物(重量比1:1))とを混合し、強攪拌下のもと水(1438g)の中に加えた。ついで、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液(89.5g)を加えて、水性ポリウレタン樹脂分散体1を得た。
なお、水性ポリウレタン樹脂分散体1におけるポリウレタンプレポリマー及びラジカル重合性化合物との総質量に対する、ラジカル重合性化合物の含有率は、表1に示すとおりである。図1に、実施例1−1〜1−4、比較例1−1〜1−4におけるラジカル重合性化合物の含有率と最大伸度との関係を表すグラフを示す。
[実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−4]
合成例2で得られたポリウレタンプレポリマー溶液を80℃まで冷却した後、当該ポリウレタンプレポリマー溶液(612グラム)とラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)とトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)の混合物(重量比1:1))を混合し、強攪拌下、2−(ジメチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール(31.9グラム)と水(1260グラム)をあらかじめ混合して得られた水溶液中に加えた。
ついで、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液(93.6グラム)を加えて、水性ポリウレタン樹脂分散体2を得た。
なお、水性ポリウレタン樹脂分散体2におけるポリウレタンプレポリマー及びラジカル重合性化合物との総質量に対する、ラジカル重合性化合物の含有率は、表2に示すとおりである。図2に、実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−4におけるラジカル重合性化合物の含有率と最大伸度との関係を表すグラフを示す。
[実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−4]
合成例3で得られたポリウレタンプレポリマー溶液を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン(36.3g)を添加・混合した。
ポリウレタンプレポリマー溶液(773g)とラジカル重合性化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)とトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)の混合物(重量比1:1))とを混合し、強攪拌下のもと水(1578g)の中に加えた。ついで、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液(55.7g)を加えて、水性ポリウレタン樹脂分散体3を得た。
なお、水性ポリウレタン樹脂分散体3におけるポリウレタンプレポリマー及びラジカル重合性化合物との総質量に対する、ラジカル重合性化合物の含有率は、表3に示すとおりである。図3に、実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−4におけるラジカル重合性化合物の含有率と最大伸度との関係を表すグラフを示す。

Claims (6)

  1. ポリウレタンプレポリマーと、ラジカル重合性化合物とを、質量比で、ポリウレタンプレポリマー:ラジカル重合性化合物が95:5〜82:18となるように水系媒体中に分散させて得られる水性ポリウレタン樹脂分散体。
  2. ポリウレタンプレポリマーが、ポリオール化合物(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)と、酸性基含有ポリオール化合物(c)とを反応させて得られるものである、請求項1に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  3. ポリウレタンプレポリマー及びラジカル重合性化合物に加え、鎖延長剤を水系媒体中に分散させて得られる、請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  4. ポリウレタンプレポリマーと鎖延長剤との反応物を含む、請求項3に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗装組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含有するコーティング剤組成物。
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