JP2022011410A - 時計用文字板、時計 - Google Patents
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Abstract
Description
***時計の概要***
図1は、本実施形態に係る時計の平面図である。
本実施形態の時計10は、3針式のアナログ式の腕時計であり、カレンダー機能を備えている。
胴30は、ケースであり、ステンレスや、チタンなどの硬質金属から構成されている。なお、胴30における文字板11の背面には、指針を駆動するためのムーブメント(図示せず)が収納されている。
ロゴ8は、時計10のブランドや、ロゴである。マーク7は、一例として、オリオン座の星の並びを模式化した星空マークとしている。なお、オリオン座に限定するものではなく、他の星座や、季節の星空、誕生日や記念日の星空であっても良いし、星空以外のマークや、記号などであっても良い。例えば、紋章、建造物、風景、人物、物品、地理学上の特徴物などを模したものであってもよい。日付窓15は、日付を表示するための窓枠である。目盛52は、時目盛りである。
文字板11は、後述の製造方法で作られているため、下地の質感が豊かで、ロゴ8や、マーク7も装飾性が高い文字板となっている。なお、詳細は後述する。
図2は、文字板の製造方法の流れを示すフローチャート図である。図3は、基材の平面図である。図4は、マークの拡大図。図5、図6は、文字板の製造過程を示す図である。
ここでは、文字板11の製造方法について、図2を主体に、適宜図1~図6を交えて説明する。
図5の過程図41に示す、無垢な基材3の表面に対して、第1凸部61及び第2凸部62となる部分の周辺領域にレーザー照射を行うことにより、過程図42に示すような第1凸部61、第2凸部62が形成される。
平面視においては、第1凸部61と第2凸部62との大きさが異なっており、第1凸部61の方が一回り大きくなっている。換言すると、断面視において、第1凸部61と第2凸部62との幅が異なっている。第1凸部61、第2凸部62共に、平面形状は円形である。なお、第1凸部61は、図4のマーク7における第1突起部としての突起部71になる部位である。同様に、第2凸部62は、第2突起部としての突起部72になる部位である。
突起部71、突起部72と同様に、マーク7の他の突起部や、ロゴ8、日付窓15、目盛52にも、同様の加工が施される。その後、基材3から円形の文字板11が切り出されて、図1に示す文字板11となる。
前述の通り、文字板11の下地には、夜空をイメージした紺色の被覆層64が形成されている。そこに、オリオン座を模した金色のマーク7が浮き出るように配置された星空を象った文字板11が完成する。
マーク7において、突起部75を第3突起部としたときに、平面視において、突起部75は、突起部71及び突起部72と大きさが異なっている。詳しくは、突起部75、突起部72、突起部71の順にサイズが大きくなっている。なお、突起部75の高さは、突起部71及び突起部72と同じである。また、突起部71と突起部72との距離は、突起部72と突起部75との距離と異なっている。詳しくは、突起部71と突起部72との距離よりも、突起部72と突起部75との距離の方が短い。このように、不規則なパターンを意図的に作ることにより、強弱のある表現ができる。
他方、突起部73、突起部74、突起部75は、3つとも略同じサイズで、略等間隔に配置されている。このように、規則的なパターンとすることにより、均質な模様を作ることができる。このように、本実施形態の加工方法によれば、規則的なパターン、及び不規則的なパターンを意図的に形成できるため、意図したデザイン、意匠を形成することができる。
図7は、目盛の拡大写真である。
図7は、図1の文字板11において4時方向に位置する目盛52であり、上記した本願の製造方法で形成した目盛52の拡大写真である。
他方、従来、目盛や、ロゴの形成方法としては、印刷や、植え略字が知られていた。例えば、タンポ印刷で目盛を形成した場合、図7の目盛52のような、立体感、及び金属感を出すことは困難である。また、別部品となる棒状の略字で目盛りを形成する場合、質感は、図7の目盛52と同等とできるが、部品が増えてしまうことに加えて、植え付け工数も必要であった。さらに、植え付け時の接着剤のはみ出しなど、歩留りや品質面でも改善の余地があった。また、略字を足で固定する場合、足の太さにより略字の太さが制限されてしまい、細長い略字を形成することは難しかった。
上記の製造方法で製造された時計用の文字板11は、基材3と、基材3上に、レーザー加工によって形成された突起部71と、突起部71の周囲に設けられた被覆層64と、を備え、突起部71における上面の少なくとも一部が、被覆層64から露出している。
これによれば、レーザー加工によって突起部の位置、数、大きさ、形、高さを、定量的にコントロールすることが可能となる。よって、意図した凹凸模様を作ることができる。さらに、被覆層64と突起部との材質、色相、彩度、明度の差を利用して意図した表現をすることができる。
従って、装飾性、デザイン性の高い時計用の文字板11を提供することができる。
これに対して、レーザー加工は、デザインに応じたプログラム制御によって、レーザーの照射強度や時間を調整することで、所望の深さの凹凸模様を形成することができる。また、プログラムを変更するだけで、デザイン変更を容易に行うことができる。さらに、必要な主要設備は、レーザー照射装置だけで良く、切削加工に比べて加工時間が短いというメリットもある。また、目盛やロゴ、略字などを文字板と共に形成することができるので、部品点数を削減することができ、生産性を向上させることができる。さらに、レーザー加工で基材に凹凸を形成するため、レーザー光の分解能以上の寸法でパターンを形成することができ、従来の略字などでは実現が困難な繊細な表現をすることができる。
これによれば、第1メッキ層63により、基材3の色調を隠すことができるため、上層の被覆層64により、文字板11の明度、彩度を調節することができる。また、基材3と被覆層64との間に、第1メッキ層63が介在することにより、3者の密着性を向上させることができる。さらに、密着性の向上に伴い、耐湿性、耐熱性、及び耐光性などの耐環境性が向上する。
これによれば、第2メッキ層65を立体的に強調させることができるため、視覚的な強弱を表現することができ、デザイン性が向上する。
これによれば、高さが揃った複数の突起部により、均質な模様を作ることができる。例えば、統一感のある目盛や、マークなどを形成することができる。
これによれば、大きさが揃った複数の突起部により、規則的なパターンを作ることができる。例えば、統一感のある目盛や、マークなどを形成することができる。
これによれば、大きさ異なる複数の突起部により、多様な模様を作ることができる。換言すれば、意匠表現に強弱をつけることができる。
従って、装飾性、デザイン性の高い文字板11を備えた時計10を提供することができる。
***突起部の異なる態様-1***
図8は、本実施形態に係る突起部の異なる態様の断面図であり、図6の過程図46に対応している。上記実施形態では、突起部の高さは同じであるものとして説明したが、突起部の高さが異なっていても良い。
ここで、図8の過程図47における被覆層68は、透光性の材料を用いている。そして、第2突起部としての線分81は、突起部72のベースとなる第2凸部62よりも高さが低い凸部69をベースとしている。換言すれば、ステップS2のレーザー加工時に、凸部69は第2凸部62よりも低く形成される。詳しくは、凸部69の高さは、第2凸部62の約半分の高さである。ステップS3、S4において、凸部69の上には、第1メッキ層63及び被覆層68が形成される。ステップS5の研磨工程では、高さが低いため研磨されずに、第1メッキ層63及び被覆層68が残った状態となる。つまり、線分81は、被覆層68に覆われた状態となる。なお、図4の他の線分82~86も同様である。これらの点以外は、過程図46の構成と同じである。なお、ここでいう透光性とは、被覆層の下にある基材3の底部58や、被覆層に埋設された第2凸部62、あるいは突起部72が視認可能な状態をいう。
なお、基材3の色調を活かしたい場合には、第1メッキ層63を形成しなくても良い。この場合、ステップS2のレーザー加工で、凸部69、第2凸部62を形成した後、ステップS4の塗装工程に進み、被覆層68を形成すれば良い。
また、線分81に限定するものではなく、突起部や、ロゴ8、日付窓15、目盛52においても、デザインに応じて高さを変えても良い。また、先述の下地模様は、凸部に限らず、基材3の底部58を掘り込んで溝を形成しても良い。溝とした場合は、突起部との高低差が大きくなるため、より立体的のある多彩な模様を形成することができる。
被覆層68は、透光性を有している。
これによれば、透光性の被覆層68を介して、下地となる基材3、または第1メッキ層63の色調を加味して意匠表現することができる。
***突起部の異なる態様-2***
図9は、本実施形態に係る突起部の異なる態様の断面図であり、図6の過程図46に対応している。上記実施形態では、突起部71、突起部72の頂部には、共に第2メッキ層65が設けられるとして説明したが、異なるメッキ層が設けられることであっても良い。
第3メッキ層55は、ステップS6の第2メッキ工程を2回行うことで形成する。詳しくは、まず、第2凸部62に選択的にマスキングをした状態で、金メッキを施して突起部71を形成する。次に、第2凸部62のマスキングを除去し、突起部71に選択的にマスキングをした状態でクロムメッキを施して突起部72bを形成する。または、突起部71、突起部72b共に、金メッキを施した後、レーザー加工により、突起部72bの金メッキを除去し、突起部71に選択的にマスキングをした状態で、クロムメッキを施して突起部72bを形成する方法であっても良い。
第2突起部としての突起部72bの上面には、第1メッキ層63及び第2メッキ層65と異なる、第3メッキ層55が設けられる。
これによれば、突起部71と突起部72bとで、異なる色相とできるため、よりデザイン性を高めることができる。
Claims (15)
- 基材と、
前記基材上に、レーザー加工によって形成された突起部と、
前記突起部の周囲に設けられた被覆層と、を備え、
前記突起部における上面の少なくとも一部が、前記被覆層から露出している、
時計用文字板。 - 前記突起部は、前記基材の底部から突出しており、
前記底部には、第1メッキ層が設けられている、
請求項1に記載の時計用文字板。 - 前記突起部の上面には、前記第1メッキ層とは異なる第2メッキ層が設けられる、
請求項2に記載の時計用文字板。 - 前記第2メッキ層は、前記被覆層より突出している、
請求項3に記載の時計用文字板。 - 前記被覆層は、透光性を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の時計用文字板。 - 前記突起部を第1突起部とし、
前記第1突起部とは異なる第2突起部を有し、
前記第1突起部と、前記第2突起部との高さが同じである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の時計用文字板。 - 前記突起部を第1突起部とし、
前記第1突起部とは異なる第2突起部を有し、
前記第1突起部と、前記第2突起部との高さが異なる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の時計用文字板。 - 前記第2突起部は、前記第1突起部よりも高さが低く、前記被覆層に覆われている、
請求項7に記載の時計用文字板。 - 前記第2突起部の上面には、前記第1メッキ層及び前記第2メッキ層と異なる、第3メッキ層が設けられる、
請求項6に記載の時計用文字板。 - 平面視において、前記第1突起部と前記第2突起部との大きさが同じである、
請求項6~9のいずれか1項に記載の時計用文字板。 - 平面視において、前記第1突起部と前記第2突起部との大きさが異なる、
請求項6~9のいずれか1項に記載の時計用文字板。 - さらに、第3突起部を有し、
前記第3突起部は、前記第1突起部及び前記第2突起部と大きさが異なる、
請求項11に記載の時計用文字板。 - 前記第1突起部と前記第2突起部との距離は、前記第2突起部と前記第3突起部との距離と異なる、
請求項12に記載の時計用文字板。 - 前記第3突起部は、前記第1突起部及び前記第2突起部とは高さが異なる、
請求項12または13に記載の時計用文字板。 - 請求項1~14のいずれか一項に記載の時計用文字板を備える、
時計。
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