JP2021511328A - 脱毛の予防または軽減のための、有効成分としてダンニオンを含む組成物 - Google Patents

脱毛の予防または軽減のための、有効成分としてダンニオンを含む組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、化学療法誘発性の脱毛の予防または軽減のための、有効な成分として、ダンニオン(dunnione)化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体を含む医薬組成物、に関する。本発明のダンニオン化合物を抗癌剤投与により誘発された脱毛の動物モデルに投与した結果、脱毛ならびに毛包および内毛根鞘の除去が抑制されることが観察された。したがって、ダンニオン化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体は、抗癌療法により引き起こされた脱毛の予防または軽減のための医薬組成物において、有効に使用することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、有効成分として、ダンニオン(dunnione)化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体を含む、脱毛の予防または改善用の医薬組成物に関する。
癌はヒトの健康と生命を脅かす病気の一つであり、その発生率は増加している。癌の治療法としては、手術、放射線療法、生物療法、化学療法などが挙げられる。これらの中で、化学療法で使用される抗癌剤は、これらの薬物が癌細胞の代謝経路に介入してDNAと直接相互作用し、それにより、DNAの複製、転写および翻訳のプロセスを妨害したり、あるいは、核酸前駆体の合成に干渉して細胞分裂を阻害する、といった方法で、癌細胞に対して細胞毒性を示す。
しかしながら、癌患者における化学療法は、骨髄機能不全によって引き起こされる貧血および血球減少症、吐き気、嘔吐、下痢などを含む胃腸障害、および脱毛、などの多くの副作用を有する。化学療法誘発性脱毛症(CIA)は、癌患者の約65%〜70%が経験しており、患者にとって最も心理的に衝撃的な副作用の1つであることが知られている。さらに、CIAは、外見の変化をもたらし、患者に心理的なショックを引き起こす。また、CIAは、患者に、不安定感、悲しみ、嫌悪感、怒り、抑うつなどを引き起こし、その結果、自信や性的魅力が失われる。
特に、脱毛は、患者に癌の疾患を認識させ続け、消極的な気分の動揺を受けさせ続ける。さらに、脱毛は、心理的萎縮とともに対人関係の困難を引き起こし、身体的および精神的な痛みをもたらすだけでなく、最終的に生活の質に悪影響を及ぼす。このような脱毛は、特に女性に深刻である。報告によると、女性のがん患者の47%が脱毛を化学療法の最も深刻な副作用と考えており、患者の約8%が、脱毛の恐れがあることから、化学療法を拒否している(McGarvey EL et al., Cancer Pract., 2001; 9: 283-289)。さらに、CIAのネガティブな心理作用が患者の免疫機能を抑制し、癌の進行の原因となる可能性があることが、研究で示されている(Spiegel D et al., Biol Psychiatry, 2003; 54: 269-282)。
CIAの発生率および程度は、抗癌剤の種類、半減期、用量、投与経路、投与頻度、および投与計画によってさまざまである。しかしながら、化学療法で使用される抗癌剤の多くは、CIAを引き起こすことが知られている。特に、CIAを引き起こすことが多い抗癌剤として、アドリアマイシン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ダウノルビシン、エピルビシン、エトポシド、イホスファミド、イリノテカン、パクリタキセル、トポテカン、ビンデシン、およびビノレルビンが挙げられる。また、CIAを引き起こすことがあることが知られている抗癌剤として、アムサクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、シタラビン、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、ロムスチン、メルファラン、チオテパ、ビンブラスチンなどが挙げられる(Trueb RM., Skin Therapy Lett., 2010; 15(7): 5-7)。
具体的には、パクリタキセルなどの微小管阻害剤が患者の80%以上で、アドリアマイシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤が患者の60%〜100%で、シクロホスファミドなどのアルキル化剤が患者の60%以上で、5−フルオロウラシルなどの代謝拮抗剤が患者の10%〜50%で、CIAを引き起こすことが報告され、また、2つ以上の抗癌剤を組み合わせて投与した場合、単一の薬剤を投与した場合よりも、CIAが頻繁かつ重度に発生することが報告されている(Batchelor D., Eur J Cancer Care, 2001; 10: 147-163)。化学療法誘発性脱毛症(CIA)は、個々の患者だけでなく社会全体に影響を与える可能性のある主要な副作用であるが、現在までのところ効果的な治療法はない。
一方、ダンニオン(dunnione)は、ナフトキノン系化合物であり、2つの構造:α−ダンニオン(alpha−dunnione)(2,3−ジヒドロ−2,3,3−トリメチル−ナフト[1,2−b]フラン−4,9−ジオン)、およびダンニオン(dunnione)(2,3−ジヒドロ−2,3,3−トリメチル−ナフト[1,2−b]フラン−4,5−ジオン)、に分けられる。また、ダンニオンは、南米原産のストレプトカーパス・ダニー(Streptocarpus dunnii)の葉から、またはいくつかの種類のカルセオラリア(Calceolaria)から、得られる。ダンニオンの薬理作用に関しては、これまでに、次のことが報告されている。ダンニオンは、酵素NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)の活性を高め、細胞内NADなどの増加をもたらし、その結果、そのようなNADを補酵素として使用するサーチュイン1などのデアセチラーゼなどを活性化させ、これにより、抗癌剤によって引き起こされる小腸粘膜損傷、アルコールによって引き起こされる急性膵炎、膵管内の胆石、などの予防および治療に、ダンニオンが有効である(Pandit et al., Biochem Biophys Res Commun, 2015; 467: 697-703; Shen et al., Sci Rep, 2017; 7: 3006)。さらに、米国特許第9,066,922B2は、ダンニオンが、肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム、神経変性疾患、およびミトコンドリア機能障害関連疾患の、予防および治療に使用できることを開示している。
化学療法誘発性の脱毛症の改善に有効な物質の発見に鋭意努力した結果、本発明者らは、酵素NQO1の基質として知られるダンニオン(dunnione)が、抗癌剤の単独投与または併用投与によって引き起こされる脱毛症を改善することを発見し、本発明を完成させた。
上記の目的を達成するために、本発明の一態様では、有効成分として、式1で表される化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体、を含む、脱毛の予防または改善用の医薬組成物、が提供される。
Figure 2021511328
本発明の別の態様では、有効成分として、式1で表される化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体、を含む、発毛促進用組成物、が提供される。
Figure 2021511328
本発明のさらに別の態様では、脱毛を予防または改善するための、本発明の医薬組成物の使用、が提供される。
本発明のさらに別の態様では、脱毛の予防または治療用の医薬を製造するための、本発明の医薬組成物の使用、が提供される。
本発明のさらに別の態様では、本発明の医薬組成物を適用するステップを含む、脱毛を予防または改善する方法、が提供される。
本発明では、シクロホスファミド単独投与によって引き起こされる脱毛症の動物モデル、または、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドの併用投与によって引き起こされる脱毛症の動物モデルに、ナフトキノン系化合物であるダンニオンを投与した。その結果、そのような動物モデルにおいて、脱毛が抑制され、毛包や内毛根鞘の脱落が抑制されることが確認された。したがって、ダンニオン化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体は、化学療法誘発性の脱毛症の予防または改善用の医薬組成物において、有効に使用することができる。
図1は、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、ダンニオンの脱毛抑制効果を確認するための実験計画を示す。 図2aは、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後8日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dunnione(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図2bは、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後12日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dunnione(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図3aは、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後14日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dunnione(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図3bは、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後16日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dunnione(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図3cは、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後18日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dunnione(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図4は、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後18日目におけるマウス皮膚表面の光学顕微鏡観察によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群)、G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dun(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dun(ダンニオン単独処置群)、である。 図5aは、NQO1ノックアウトマウスにおいて、除毛後12日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群)、G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dun(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dun(ダンニオン単独処置群)、である。 図5bは、NQO1ノックアウトマウスにおいて、除毛後14日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群)、G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dun(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dun(ダンニオン単独処置群)、である。 図6aは、NQO1ノックアウトマウスにおいて、除毛後16日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群)、G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dun(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dun(ダンニオン単独処置群)、である。 図6bは、NQO1ノックアウトマウスにおいて、除毛後18日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群)、G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dun(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dun(ダンニオン単独処置群)、である。 図7は、NQO1ノックアウトマウスにおいて、除毛後18日目におけるマウス皮膚表面の光学顕微鏡観察によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群)、G2:CYP(シクロホスファミド処置群);G3:CYP+Dun(シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群);G4:Dun(ダンニオン単独処置群)、である。 図8aは、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、ダンニオン処置の有無における皮膚組織でのNAD濃度を示す図である(*p<0.05:正常群とシクロホスファミド群との比較、#p<0.05:シクロホスファミド群とシクロホスファミド+ダンニオン併用処置群との比較)。 図8bは、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、ダンニオン処置の有無における皮膚組織でのNADH濃度を示す図である(*p<0.05:正常群とシクロホスファミド群との比較)。 図8cは、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、ダンニオン処置の有無における皮膚組織でのNAD/NADH比を示す図である(*p<0.05:正常群とシクロホスファミド群との比較、#p<0.05:シクロホスファミド群とシクロホスファミド+ダンニオン併用処置群との比較)。 図8dは、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、ダンニオン処置の有無における皮膚組織でのSirt1活性を示す図である(*p<0.05:正常群とシクロホスファミド群との比較、#p<0.05:シクロホスファミド群とシクロホスファミド+ダンニオン併用処置群との比較)。 図9は、シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルの皮膚組織において、Sirt1タンパク質発現ならびにp65タンパク質およびp53タンパク質のアセチル化に対するダンニオンの効果を示す図である 図10は、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、ダンニオンの脱毛抑制効果を確認するための実験計画を示す。 図11aは、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後12日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:6×TAC(ドセタキセル(11.58mg/kg)、アドリアマイシン(9.24mg/kg)、およびシクロホスファミド(76.8mg/kg));G3:6×TAC+Dunnione(6×TACとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図11bは、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後14日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:6×TAC(ドセタキセル(11.58mg/kg)、アドリアマイシン(9.24mg/kg)、およびシクロホスファミド(76.8mg/kg));G3:6×TAC+Dunnione(6×TACとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図12aは、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後16日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:6×TAC(ドセタキセル(11.58mg/kg)、アドリアマイシン(9.24mg/kg)、およびシクロホスファミド(76.8mg/kg));G3:6×TAC+Dunnione(6×TACとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図12bは、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後18日目におけるそれぞれの実験群についての皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:6×TAC(ドセタキセル(11.58mg/kg)、アドリアマイシン(9.24mg/kg)、およびシクロホスファミド(76.8mg/kg));G3:6×TAC+Dunnione(6×TACとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図13は、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、除毛後18日目におけるマウス皮膚表面の光学顕微鏡観察によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:6×TAC(ドセタキセル(11.58mg/kg)、アドリアマイシン(9.24mg/kg)、およびシクロホスファミド(76.8mg/kg));G3:6×TAC+Dunnione(6×TACとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図14は、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有するNQO1ノックアウト動物モデルにおいて、ダンニオンの脱毛抑制効果を確認するための実験計画を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:6×TAC(ドセタキセル(11.58mg/kg)、アドリアマイシン(9.24mg/kg)、およびシクロホスファミド(76.8mg/kg));G3:6×TAC+Dunnione(6×TACとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン(20mg/kg)単独処置群)、である。 図15は、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有するNQO1ノックアウト動物モデルにおいて、除毛後8日、12日、14日、16日、および18日目におけるマウス皮膚表面の写真撮影によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:6×TAC(ドセタキセル(11.58mg/kg)、アドリアマイシン(9.24mg/kg)、およびシクロホスファミド(76.8mg/kg));G3:6×TAC+Dunnione(6×TACとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。 図16は、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有するNQO1ノックアウト動物モデルにおいて、除毛後18日目におけるマウス皮膚表面の光学顕微鏡観察によって得た結果を示し、G1:対照(PBS処置群);G2:6×TAC(ドセタキセル(11.58mg/kg)、アドリアマイシン(9.24mg/kg)、およびシクロホスファミド(76.8mg/kg));G3:6×TAC+Dunnione(6×TACとダンニオンの併用処置群);G4:Dunnione(ダンニオン単独処置群)、である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一態様では、有効成分として、式1で表される化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体、を含む、脱毛の予防または改善用の医薬組成物、が提供される。
Figure 2021511328
本明細書において、「薬学的に許容される塩」との用語は、それが投与される生体に深刻な刺激を引き起こすことなく、化合物の生物学的活性および特性を失わさない化合物の製剤を意味する。薬学的な塩としては、薬学的に許容されるアニオンを含む非毒性の酸付加塩を形成する酸によって形成される酸付加塩が挙げられ、例えば、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、など)、有機カルボン酸(例えば、酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸など)、およびスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸など)、が挙げられる。例えば、薬学的に許容されるカルボン酸塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどによって形成される金属塩またはアルカリ土類金属塩、リジン、アルギニン、およびグアニジンなどのアミノ酸の塩、および、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエタノールアミン、コリン、およびトリエチルアミンなどの有機塩、が挙げられる。本発明による式1で表される化合物は、常法によりその塩に変換してもよい。
本明細書において、「プロドラッグ」との用語は、インビボで親薬物に変換される薬剤を意味する。プロドラッグは親薬物よりも投与が容易であるため、しばしば使用される。例えば、プロドラッグは、経口投与により生物学的に利用可能であってよく、一方、親薬物は、そうではなくてもよい。プロドラッグはまた、親薬物よりも医薬組成物における溶解性が向上していてもよい。例えば、プロドラッグは、水溶性が移動に不利な細胞膜の通過移動を促進するためにエステル(プロドラッグ)として投与されるが、その後、水溶性が有利な細胞内では、代謝により加水分解して活性物質であるカルボン酸になる、化合物であってよい。プロドラッグのさらなる例として、ペプチドが代謝されて活性部分が現れる、酸基に結合した短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)が挙げられる。
本明細書において、「溶媒和物」との用語は、非共有分子間力によって結合した化学量論量または非化学量論量の溶媒をさらに含む、本発明の化合物またはその塩を意味する。そのための好ましい溶媒は、揮発性、非毒性、および/またはヒトへの投与に許容可能な溶媒である。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物を意味する。
本明細書において、「異性体」との用語は、同じ化学式または分子式を有するが光学的または立体的に異なる、本発明の化合物またはその塩を意味する。
以下、特に断りのない限り、「式1で表される化合物」との用語は、化合物自体、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、およびそれらの異性体をすべて含む概念として用いられる。
医薬組成物は、治療上有効な量で投与することができる。本明細書において、「治療上有効な量」との用語は、治療される障害の1つまたは複数の症状をある程度改善または軽減するのに有効な、あるいは、予防される疾患の症状または臨床マーカーの発現を遅らせるのに有効な、投与化合物(有効成分)の量を意味する。したがって、治療上有効な量は、(i)疾患の進行度を反転させる、(ii)疾患のさらなる進行をある程度停止させる、および/または(iii)疾患に関連する1つまたは複数の症状をある程度改善する(好ましくは取り除く)、といった効果を有する量を意味する。治療上有効な量は、治療する疾患に対する既知のインビボおよびインビトロのモデル系において化合物を用いて実験を行うことにより、実験的に決定することができる。
本発明のダンニオン化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体を有効成分として含む医薬組成物は、経口投与製剤として製造して、経口投与してもよい。経口投与製剤としては、例えば、錠剤、ピル、ハード/ソフトカプセル、液体、懸濁液、乳化物、シロップ、顆粒、エリキシルなどが挙げられ、これらの製剤は、有効成分に加えて、希釈剤(例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、および/またはグリシン)、および滑沢剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸およびそのマグネシウム塩またはカルシウム塩、および/またはポリエチレングリコール)、を含む。錠剤は、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンなどの結合剤を含んでもよく、必要に応じて、デンプン、アガロース、およびアルギン酸またはそのナトリウム塩などの崩壊剤、または沸騰混合物、および/または、吸収剤、着色剤、香料、および甘味料、を含んでもよい。
本発明のダンニオン化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体を有効成分として含む医薬組成物は、非経口で投与してもよく、非経口投与は、皮下注射、静脈注射、筋肉注射、または胸腔内注射、によって行ってもよい。ここで、非経口投与用製剤に製剤化する場合、本発明のダンニオン化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体を有効成分として含む医薬組成物は、水中で安定剤または緩衝剤と混合されて、溶液または懸濁液に形成されてもよく、これは、さらに、単位用量のアンプルまたはバイアルに形成されてもよい。組成物は、滅菌であってよく、および/または、保存剤、安定剤、水和剤、または乳化剤、浸透圧を調整するための塩および/または緩衝剤などのアジュバント、ならびにその他の治療上有用な物質をさらに含んでもよい。組成物は、混合、造粒、コーティングなどの常法により製剤化することができる。
さらに、本発明の組成物のヒトへの投与量は、患者の年齢、体重、性別、剤形、健康状態、および疾患の重症度に応じて変動し得る。投与量は、体重60kgの成人患者を基準として、通常、0.001mg/日〜2,000mg/日、好ましくは0.01mg/日〜1,000mg/日であり、その投与量が、医師または薬剤師の裁量により、一定の時間をおいて1日1回から数回、投与されてもよい。本発明による医薬組成物は、ダンニオン化合物を約0.01重量%〜100重量%の量で含むものであるが、その量は剤形に応じて変動し得る。
脱毛は、遺伝的原因、ホルモン、自己免疫疾患、ストレス、栄養不足、薬物使用、出産、発熱、手術などによって引き起こされる可能性がある。具体的には、脱毛は、薬物使用により引き起こされる脱毛であってよく、好ましくは、化学療法誘発性の脱毛症であってよい。
化学療法は、単一の抗癌剤の投与、または2つ以上の抗癌剤の併用投与によって実施され得る。併用投与の場合、2つ以上の抗癌剤は、時間をおいて投与されてもよい。
抗癌剤としては、従来の抗癌剤、または、それぞれの癌のタイプに特異的な分子標的(ここで、癌の増殖および転移が、癌の増殖および発生に関与する特定の分子の活性によって引き起こされる)を介して癌細胞のみを攻撃する標的抗癌剤、が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
従来の抗癌剤は、アドリアマイシン(adriamycin)、アムサクリン(amsacrine)、ブレオマイシン(bleomycin)、ブスルファン(busulphan)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、シタラビン(cytarabine)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドセタキセル(docetaxel)、エピルビシン(epirubicin)、エトポシド(etoposide)、5−フルオロウラシル(5-fluorouracil)、ゲムシタビン(gemcitabine)、イホスファミド(ifosfamide)、イリノテカン(irinotecan)、ロムスチン(lomustine)、メルファラン(melphalan)、パクリタキセル(paclitaxel)、チオテパ(thiotepa)、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンデシン(vindesine)、およびビノレルビン(vinorelbine)、からなる群から選択される少なくとも1つであってよく、好ましくは、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドからなる群から選択される少なくとも1つであってよい。
該化合物は、酵素NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)に依存していてもよい。
該化合物は、毛包および内毛根鞘の脱落を抑制することができる。
本発明の特定の実施形態において、本発明者らは、C57BL/6マウスへのシクロホスファミドの単独腹腔内注射による化学療法誘発性脱毛症を有する動物モデルを確立した。動物モデルは、シクロホスファミド投与の3日前から開始して、毎日、ダンニオンを経口投与した。その結果、シクロホスファミド単独処置群と比較して、シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群では、脱毛が抑制され(図2a〜3c)、皮膚組織の毛包および内毛根鞘の脱落が抑制され、毛の本数が増加した(図4)。
さらに、ダンニオンの脱毛抑制効果が、酵素NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)によって媒介されるかどうかを確認するために、本発明者らは、NQO1ノックアウトマウスへのシクロホスファミドの単独腹腔内注射による化学療法誘発性脱毛症を有するNQO1ノックアウト動物モデルを確立した。動物モデルは、シクロホスファミド投与の3日前から開始して、毎日、ダンニオンを経口投与した。その結果、C57BL/6マウスで見られた結果とは異なり、シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群は、シクロホスファミド単独処置群と同様のレベルまで脱毛が進行することが、視覚的検査において確認され(図5a〜6b)、また、シクロホスファミドとダンニオンの併用投与群では、皮膚組織の毛包および内毛根鞘の脱落が進行することが確認された(図7)。
さらに、ダンニオンがNAD濃度の増加および酵素Sirt1の活性の増強をもたらすかどうかを確認するために、本発明者らは、シクロホスファミド誘発性の脱毛症を有するマウスモデルにおいて、除毛後18日目に得られた皮膚組織におけるNADおよびNADHの濃度とNAD/NADH比を分析した。その結果、ダンニオンが、シクロホスファミドによって低下された、Sirt1タンパク質の発現レベル、NAD濃度、およびNAD/NADH比を、増加させる現象が観察され(図8a〜8c)、また、シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群では、NADを基質として使用するSirt1タンパク質の活性が、正常群と同様のレベルで維持されることが確認された(図8d)。さらに、シクロホスファミドが、Sirt1タンパク質の発現を低下させ、標的タンパク質であるNF−κBp65およびp53のアセチル化を増加させるにもかかわらず、皮膚組織において、ダンニオンによる併用処置は、Sirt1発現を正常化させ、p65およびp53のアセチル化反応を抑制する現象が観察された(図9)。
さらに、本発明者らは、C57BL/6マウスにおいて、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミド(以下、TACと記載)の併用投与による化学療法誘発性の脱毛症を有する動物モデルを確立した。動物モデルは、TAC投与の3日前から開始して、毎日、ダンニオンを経口投与した。その結果、TAC単独処置群と比較して、TACとダンニオンの併用処置群では、脱毛が抑制され(図11a〜12b)、皮膚組織の毛包および内毛根鞘の脱落が抑制され、毛の本数が増加した(図13)。
ダンニオンの脱毛抑制効果が、酵素NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)によって媒介されるかどうかを確認するために、本発明者らは、NQO1ノックアウトマウスへの併用抗癌剤TACの腹腔内注射による化学療法誘発性脱毛症を有するNQO1ノックアウト動物モデルを確立した(図14)。動物モデルは、TAC投与の3日前から開始して、毎日、ダンニオンを経口投与した。その結果、C57BL/6マウスで見られた結果とは異なり、TACとダンニオンの併用処置群は、TAC単独処置群と同様のレベルまで脱毛が進行することが、視覚的検査において確認され(図15)、また、TACとダンニオンの併用処置群では、皮膚組織の毛包および内毛根鞘の脱落が、進行することが確認された(図16)。
これらの結果から、本発明のダンニオン化合物は、シクロホスファミド単独投与により引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、または、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドの併用投与により引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、NQO1依存的に、脱毛を抑制し、毛包および内毛根鞘の脱落を抑制することが確認された。したがって、本発明のダンニオン化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体は、化学療法誘発性の脱毛症の予防または改善用の医薬組成物における有効成分として、効果的に使用することができる。
本発明の別の態様では、有効成分として、式1で表される化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体、を含む、発毛促進用組成物、が提供される。
Figure 2021511328
本発明のさらに別の態様では、脱毛を予防または改善するための、本発明の医薬組成物の使用、が提供される。
本発明のさらに別の態様では、脱毛の予防または治療用の医薬を製造するための、本発明の医薬組成物の使用、が提供される。
本発明のさらに別の態様では、本発明の医薬組成物を適用するステップを含む、脱毛を予防または改善する方法、が提供される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を説明するためのものにすぎず、本発明の範囲は以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1.新たな成長期の毛包が誘導される動物モデルの作製
実験で用いたマウスはすべて、一定の温度(22℃〜26℃)および一定の湿度(55%〜60%)が維持される無菌の動物施設で飼育した。マウスは、十分な水と通常の固形飼料(SAMTAKO Bio Korea Co.、Ltd.、韓国)を与えて1週間、環境に慣れさせた後、実験に使用した。すべての実験は、実験動物のケアと倫理に関する委員会のガイドラインに従って、圓光(Wokwang)大学の施設内動物管理使用委員会の承認の下、実施した。
9週齢のC57BL/6マウスは、まず、動物用バリカンで背部の皮膚の毛を除去した後、脱毛剤(ニクリーンクリーム(Niclean cream)、イトン製薬株式会社(Ildong Pharmaceutical Co., Ltd.)製)を背部の皮膚に塗布し、完全に除毛した。残留した脱毛剤を流水で洗浄すると、新たな成長期の毛包が誘導され、その毛包は、自然に誘導される成長期の毛包と区別された。
実施例2.シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、ダンニオンの脱毛抑制効果を確認するための実験群
化学療法誘発性脱毛症(CIA)を有する動物モデルにおいて、ダンニオンの脱毛抑制効果を確認するために、動物を4つの実験群に分け、実験に使用した。抗癌剤として、シクロホスファミド(以下、CYPと記載)を用いた。
実施例1においてマウスの毛を除去した日を0日とし、動物を、次の群:正常群(対照4匹)、この群では9日目にPBSのみを腹腔内注射する;シクロホスファミド群(CYP、6匹)、この群では9日目にシクロホスファミド(150mg/kg)を腹腔内注射する;併用処置群(CYP+Dunnione、6匹)、この群ではシクロホスファミド処置の3日前から開始して、毎日、ダンニオンを経口投与する;および、ダンニオン単独処置群(Dunnione、4匹)、この群ではダンニオン(20mg/kg)のみを投与する、に分けた(図1)。
実験例1.シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおける、ダンニオンによる処置後の皮膚の目視観察
実施例1においてマウスの毛を除去した日を0日とし、実施例2に記載された各実験群の動物の皮膚において観察された発毛に関連する視覚的特徴を、8日、12日、14日、16日、および18日目に、デジタルカメラを用いて撮影した。
実施例2のすべての実験群において、除毛後8日目までは毛はほとんど成長しなかった(図2a)。除毛後12日目に、すべての実験群において、同様のパターンで毛が成長し始めた(図2b)。
除毛後14日目に、ダンニオンとシクロホスファミドの併用処置群(CYP+Dunnione)は、シクロホスファミド単独処置群(CYP)よりも多く毛が成長し始め、除毛後18日目に、シクロホスファミド単独処置群を除くすべての実験群で、毛は全体的に成長し、皮膚は毛でいっぱいになり、黒く見えた(図3a〜3c)。
実験例2.シクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおける、ダンニオン処置後の皮膚の組織学的変化の観察
実施例1においてマウスの毛を除去した日を0日とし、実施例2に記載された各実験群のマウスを18日目に屠殺した。次いで、マウスの背部の皮膚を、脊椎骨のラインに平行または垂直に切開し、取り除いた。取り除いた皮膚をブアン液で12時間固定し、脱水処理し、パラフィン包埋した。次に、得られた処理物を5μmの切片にした。作製した切片をヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色し、各実験群の皮膚の組織学的変化を観察した。
その結果、シクロホスファミド単独処置群(CYP)では、全体として、毛包の発達が不十分であり、または内毛根鞘の発達が不十分であることが観察され、一方、シクロホスファミドとダンニオンの併用処置群(CYP+Dun)では、全体として、毛包および内毛根鞘がよく発達しており、シクロホスファミド単独処置群と比較して、成長する毛の数が増加したことが観察された(図4)。
実施例3.ダンニオンの脱毛抑制効果と酵素NQO1との関係
化学療法誘発性脱毛症(CIA)を有する動物モデルにおいて、ダンニオンの脱毛抑制効果が酵素NQO1に依存しているかどうかを確認するために、C57BL/6マウスの代わりにNAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)ノックアウトマウスを用いて、実施例1および2に記載したのと同様の実験を繰り返して行った。
実施例1にしたがって、NQO1ノックアウトマウスの毛を除去した日を0日とし、動物を、次の実験群:正常群(対照、4匹)、この群では9日目にPBSのみを腹腔内注射する;シクロホスファミド群(CYP、6匹)、この群では9日目にシクロホスファミド(150mg/kg)を腹腔内注射する;併用処置群(CYP+Dunnione、6匹)、この群ではシクロホスファミド処置の3日前から開始して、毎日、ダンニオンを経口投与する;および、ダンニオン単独処置群(Dunnione、4匹)、この群ではダンニオン(20mg/kg)のみを投与する、に分けて、実験に使用した(図1)。
実験例3.NQO1ノックアウトマウスにおけるダンニオン処置後の皮膚の目視観察
実施例1にしたがって、NQO1ノックアウトマウスの毛を除去した日を0日とし、実施例3に記載された各実験群の動物の皮膚において観察された発毛に関連する視覚的特徴を、12日、14日、16日、および18日目に、デジタルカメラを用いて撮影した。
実施例3におけるPBSのみを注射した正常群(Ctrl)およびダンニオン単独処置群(Dun)では、除毛後12日目から毛が成長し始め(図5a)、18日目に全体的に毛が成長し、皮膚は毛でいっぱいになり、黒く見えており(図6b)、これは、C57BL/6マウスで見られた結果と同様であった。一方、シクロホスファミド単独処置群(CYP)、およびダンニオンとシクロホスファミドの併用処置群(CYP+Dun)では、除毛後18日目までほとんど毛は成長しなかった(図5a〜6b)。
実験例4.NQO1ノックアウトマウスにおけるダンニオン処置後の皮膚の組織学的変化の観察
実施例1にしたがって、NQO1ノックアウトマウスの毛を除去した日を0日とし、実施例3に記載された各実験群のマウスを18日目に屠殺した。次いで、マウスの背部の皮膚を、脊椎骨のラインに平行または垂直に切開し、取り除いた。取り除いた皮膚をブアン液で12時間固定し、脱水処理し、パラフィン包埋した。次に、得られた処理物を5μmの切片にした。作製した切片をヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色し、各実験群の皮膚の組織学的変化を観察した。
組織学的観察により、PBSのみを注射した正常群(Ctrl)と、ダンニオン単独処置群(Dun)では、C57BL/6マウスで見られた結果と同様に、毛包および内毛根鞘が全体としてよく発達しているが、一方、シクロホスファミド単独処置群(CYP)と、ダンニオンとシクロホスファミドの併用処置群(CYP+Dun)では、全体として、毛包の発達が不十分であるか、内毛根鞘の発達が不十分であることが示された(図7)。
実験例5.正常マウスにおけるダンニオン処置後のNAD濃度の増加とSirt1酵素活性の増強の確認
実施例2のシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有するマウスモデルにおいて、NADおよびNADHの濃度、NAD/NADH比、ならびにSirt1タンパク質活性の分析を、除毛後18日目に得た皮膚組織に対して行った。
具体的には、実施例2の方法で作製した動物モデルから得た皮膚組織のNADおよびNADHの濃度を定量するために、BioAssay Systemsの分析キット(E2ND−100)で取扱説明書に従って皮膚組織を試験し、その後、NAD/NADH比を分析した。まず、動物モデルから10mgの皮膚組織を採取した。次いで、NADまたはNADHの抽出溶液100μlを皮膚組織に加え、ホモジナイズした。次に、ホモジナイズした皮膚組織を60℃で5分間加熱処理した。同量の抽出液を加えて中和した後、14,000rpmで5分間遠心分離することにより、上清を得た。その後、この上清に展開試薬を加えた。NADおよびNADHの濃度は、波長565nmで測定した吸光度から求められ、NAD/NADH比が分析された。
その結果、ダンニオンは、シクロホスファミドにより減少したSirt1タンパク質の発現レベル、NAD濃度、およびNAD/NADH比を増加させる現象が観察された(図8a〜8c)。
さらに、実施例2の方法で作製した動物モデルから得た皮膚組織をホモジナイズした。ホモジナイズした皮膚組織を、エンゾ(Enzo)ライフサイエンスインターナショナル社の蛍光Sirt1検出キット(BML−AK555−0001)で取扱説明書に従って試験し、Sirt1活性を解析した。ホモジナイズした40μgの皮膚組織を、反応液(Fluor de Lys−Sirt1、NAD、緩衝液(25mMのTris−HCl(pH8.0)、137mMのNaCl、2.7mMのLCl、1mMのMgCl、および1mg/mLのBSA))と混合し、37℃の温度で1時間反応を進行させた。その後、展開液を添加した状態でさらに5分間反応させた。最終的なSirt1活性を確認するために、CytoFluorシリーズ4000蛍光光度計(PerSeptive Biosystems、Inc.、米国)を使用し、励起波長を360nmに、発光を460nmに設定して、反応液を測定した。
その結果、NADを基質として使用するSirt1タンパク質の活性がシクロホスファミドにより低下することが確認された。一方、シクロホスファミドとダンニオンの併用投与群では、Sirt1タンパク質の活性が正常群と同等のレベルに維持されていることが確認された(図8d)。
実験例6.ダンニオン処置後のSirt1の標的タンパク質のアセチル化反応の確認
実施例2のシクロホスファミド誘発性脱毛症のマウスモデルにおいて、Sirt1タンパク質の発現レベルとその標的タンパク質であるNF−κBp65およびp53のアセチル化反応を、除毛後18日目に得た皮膚組織で確認した。
具体的には、実施例2の方法で作製した動物モデルから得た10mgの皮膚組織を、溶解溶液(RIPA溶解緩衝液)の添加によりホモジナイズした。次いで、14,000rpmで10分間遠心分離を行った。上清中のタンパク質濃度は、ウシ血清アルブミン(BSA)標準溶液で定量した。皮膚組織タンパク質は、試験溶液あたり40μgの量で使用した。まず、ホモジナイズした皮膚組織をサンプル溶液(Bio−Rad、161−0747)と混合し、95℃の温度で5分間不活化した。その後、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)法によりタンパク質を分離し、ニトロセルロースメンブレンに転写した。一次抗体として、抗Sirt1抗体(Abcam)、抗アセチルNF−κBp65抗体、抗アセチルp53抗体(Cell Signaling Technologies)、および抗βアクチン抗体(Santa Cruz Biotechnology)による処理を行い、反応を進行させた。その後、Bethyl Laboratories社の二次抗体、および展開試薬(ECL溶液、AbFrontierのWest Save Goldキット、LF−QC0103)を使用して、Sirt1タンパク質の発現レベルとその標的タンパク質であるNF−κBp65およびp53のアセチル化反応を確認した。
その結果、皮膚組織ではシクロホスファミドがSirt1タンパク質の発現を低下させ、標的タンパク質であるNF−κBp65およびp53のアセチル化を増加させたが、ダンニオンとの併用処置により、Sirt1発現が正常化し、p65およびp53のアセチル化反応が抑制される現象が観察された(図9)。
実施例4.ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、ダンニオンの脱毛抑制効果を確認するための実験群
併用型の化学療法誘発性脱毛症(CIA)を有する動物モデルにおいて、ダンニオンの脱毛抑制効果を確認するために、動物を4つの実験群に分け、実験に使用した。ドセタキセル(DTX)、アドリアマイシン(ADR)、およびシクロホスファミド(CYP)を抗癌剤として使用し、3種類の抗癌剤の併用投与をTACとして記した。さらに、実際に臨床的にがん患者に適用されている各抗癌剤の単独濃度(1×濃度として記す)について、National Comprehensive Cancer Network(NCCN)から情報を得た。以下に説明するように、抗癌剤で処置する実験群では、マウスを、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドについて6×の濃度(それぞれ11.58mg/kg、9.24mg/kg、76.8mg/kg)で処置した。抗癌剤による処置を行うときは、抗癌剤を1時間あけて腹腔内注射し、それぞれの抗癌剤が十分に吸収されるようにした。
実施例1においてマウスの毛を除去した日を0日とし、動物を、次の群:正常群(対照、4匹)、この群では9日目にPBSのみを腹腔内注射する;TAC群(6×TAC、6匹)、この群では9日目に6×TACを腹腔内注射する;併用処置群(6×TAC+Dunnione、5匹)、この群では6×TAC処置の3日前から開始して、毎日、ダンニオンを経口投与する;および、ダンニオン単独処置群(Dunnione、4匹)、この群ではダンニオンのみを投与する、に分けた(図10)。
実験例7. 6×TACにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおける、ダンニオン処置後の皮膚の目視観察
実施例1においてマウスの毛を除去した日を0日とし、実施例4に記載された各実験群の動物の皮膚において観察された発毛に関連する視覚的特徴を、12日、14日、16日、および18日目に、デジタルカメラを用いて撮影した。
実施例4のすべての実験群において、除毛後12日目に同様のパターンで、毛が成長し始めた(図11a)。
除毛後14日目に、ダンニオンと6×TACの併用処置群(6×TAC+Dunnione)は、6×TAC単独処置群よりも多く毛が成長し始めた(図11b)。さらに、除毛後18日目に、6×TAC単独処置群を除くすべての実験群で、毛は全体的に成長し、皮膚は毛でいっぱいになり、黒く見えた(図12aおよび12b)。
実験例8. 6×TACにより引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおける、ダンニオン処置後の皮膚の組織学的変化の観察
実施例1においてマウスの毛を除去した日を0日とし、実施例4に記載された各実験群のマウスを18日目に屠殺した。次いで、マウスの背部の皮膚を、脊椎骨のラインに平行または垂直に切開し、取り除いた。取り除いた皮膚をブアン液で12時間固定し、脱水処理し、パラフィン包埋した。次に、得られた処理物を5μmの切片にした。作製した切片をヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色し、各実験群の皮膚の組織学的変化を観察した。
その結果、6×TAC単独処置群(6×TAC)では、全体として、毛包の発達が不十分であり、または内毛根鞘の発達が不十分であることが観察された。一方、6×TACとダンニオンの併用処置群(6×TAC+Dunnione)では、全体として、毛包および内毛根鞘がよく発達しており、6×TAC単独処置群と比較して、成長する毛の数が増加したことが確認された(図13)。
実施例5.ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドの併用処置により引き起こされた脱毛症を有する動物モデルにおいて、ダンニオンの脱毛抑制効果と酵素NQO1との関係を確認するための実験群
併用型の化学療法誘発性脱毛症を有する動物モデルにおいて、ダンニオンの脱毛抑制効果が酵素NQO1に依存しているかどうかを確認するために、C57BL/6マウスの代わりにNQO1ノックアウトマウスを用いて、実施例1および2で記載したのと同様の実験を繰り返して行った。
実施例1にしたがって、NQO1ノックアウトマウスの毛を除去した日を0日とし、動物を、次の実験群:正常群(対照、3匹)、この群では9日目にPBSのみを腹腔内注射する;投与群(6×TAC、3匹)、この群では9日目にドセタキセル(11.58mg/kg)、アドリアマイシン(9.24mg/kg)、およびシクロホスファミド(76.8mg/kg)を腹腔内注射する;併用処置群(6×TAC+Dunnione、3匹)、この群では抗癌剤併用処置の3日前から開始して、毎日、ダンニオンを経口投与する;および、ダンニオン単独処置群(Dunnione、3匹)、この群ではダンニオン(20mg/kg)のみを投与する、に分けて、実験に使用した(図14)。
実験例9.NQO1ノックアウトマウスにおけるダンニオン処置後の皮膚の目視観察
実施例1にしたがって、NQO1ノックアウトマウスの毛を除去した日を0日とし、実施例5に記載された各実験群の動物の皮膚において観察された発毛に関連する視覚的特徴を、8日、12日、14日、16日、および18日目に、デジタルカメラを用いて撮影した。
実施例5におけるPBSのみを注射した正常群(Control)およびダンニオン単独処置群(Dunnione)では、除毛後12日目から毛が成長し始め、18日目に全体的に毛が成長し、皮膚は毛でいっぱいになり、黒く見えており、これは、C57BL/6マウスで見られた結果と同様であった。一方、ドセタキセル、アドリアマイシン、シクロホスファミドの併用処置群(6×TAC)、および6×TACとダンニオンの併用処置群(6×TAC+Dunnione)では、除毛後18日目までほとんど毛は成長しない現象が観察された(図15)。
実験例10.NQO1ノックアウトマウスにおけるダンニオン処置後の皮膚の組織学的変化の観察
実施例1にしたがって、NQO1ノックアウトマウスの毛を除去した日を0日とし、実施例5に記載された各実験群のマウスを18日目に屠殺した。次いで、マウスの背部の皮膚を、脊椎骨のラインに平行または垂直に切開し、取り除いた。取り除いた皮膚をブアン液で12時間固定し、脱水処理し、パラフィン包埋した。次に、得られた処理物を5μmの切片にした。作製した切片をヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色し、各実験群の皮膚の組織学的変化を観察した。
その結果、PBSのみを注射した正常群(Control)と、ダンニオン単独処置群(Dunnione)では、C57BL/6マウスで見られた結果と同様に、毛包および内毛根鞘が全体としてよく発達しているが、一方、ドセタキセル、アドリアマイシン、およびシクロホスファミドの処置群(6×TAC)と、ダンニオンと抗癌剤の併用処置群(6×TAC+Dunnione)では、全体として、毛包の発達が不十分であるか、内毛根鞘の発達が不十分であることが観察された(図16)。
上記の結果に基づき、ダンニオンは、NQO1に依存して、毛包の急速な成長と再成長時間の短縮をもたらすため、ダンニオンは化学療法誘発性の脱毛症に対して優れた効果があることが確認された。

Claims (9)

  1. 有効成分として、式1で表される化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体、を含む、脱毛の予防または改善用の医薬組成物。
    Figure 2021511328
  2. 脱毛が、抗癌剤による治療によって引き起こされる、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記抗癌剤が、アドリアマイシン、アムサクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、エピルビシン、エトポシド、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メルファラン、パクリタキセル、チオテパ、トポテカン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン、からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 前記化合物が、酵素NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)に依存している、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記化合物が、毛包および内毛根鞘の脱落を抑制する、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 有効成分として、式1で表される化合物、その薬学的に許容される塩、それらのプロドラッグ、それらの溶媒和物、またはそれらの異性体、を含む、発毛促進用組成物。
    Figure 2021511328
  7. 脱毛を予防または改善するための、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
  8. 脱毛の予防または治療用の医薬を製造するための、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
  9. 請求項1に記載の医薬組成物を適用するステップを含む、脱毛を予防または改善する方法。
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