JP2021184707A - シュー皮の製造方法 - Google Patents

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Yasuko Hirai
昌樹 桐生
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【課題】水分を含むフィリングを充填しても歯切れの良い食感を維持することが可能であり、かつ適度なボリュームを有するシュー皮を安定して製造するための製造方法を提供する。【解決手段】シュー皮の製造方法は、油脂及び水分原料を含む油水含有原料を混合し、前記油水含有原料が沸騰するまで加熱する加熱工程と、前記油水含有原料及び澱粉質原料を混合して糊状の混合物を得る混合工程と、前記混合物に卵を添加する卵添加工程と、前記混合工程又は、前記卵添加工程において、前記混合物又は前記卵が添加された前記混合物に高融点油脂を添加する高融点油脂添加工程と、前記高融点油脂を添加した混合物を成形し、焼成する焼成工程と、を含む。前記高融点油脂添加工程における前記混合物又は前記卵が添加された前記混合物の温度が、前記高融点油脂の融点よりも低い温度であることを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、シュークリーム等の菓子に用いられるシュー皮の製造方法に関する。
シュー皮の食感及びボリュームは、シュー皮の品質等を決める重要な要素である。すなわち、シュー皮としては、ボリュームがあり、内部空隙の容積が大きく、形状が良好で、歯切れ等の食感が良好なものが望まれている。このため、従来より、シュー皮の食感、ボリューム等の改良が行われている。
例えば、特許文献1には、シュー皮の厚さが薄く、空隙の容積が十分に大きいシュー皮として、炭素数6〜12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを含む食用油脂を含有するものが開示されている。
また特許文献2には、容積が大きく、食感が良好なシューパフとして、フィチン酸、フィチン酸塩、フマル酸、及びフマル酸塩からなる群から選ばれた少なくとも1種の有機酸と、カゼイン及びカゼインの塩からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むカゼイン原料とを含有することを特徴とするシューパフ用水系組成物が開示されている。
一方、ベーカリー製品の分野では、油脂の硬さを調製することでベーカリー製品の食感を改良することが行われてきた。
例えば、特許文献3にはメロンパン等の上掛け生地に関して、伸展性が良好で、焼成直後の食感が良好であり、さらにその食感を経日的に維持することができるベーカリー用上掛け生地として、融点が40℃以上であることを特徴とする粉末油脂を練り込んだベーカリー用上掛け生地が開示されている。
特開2016−077247号公報 特開2019−187415号公報 特開2011−055786号公報
しかしながら、従来のシュー皮は、内部に収容されるカスタードクリーム等のフィリングの水分を吸収し、製造後の時間経過とともに徐々に軟らかくなり、「歯切れ」が悪く感じられるという問題がある。特許文献1や2においては、時間経過により柔らかくなり歯切れが悪くなる課題を解決するものではなかった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、カスタードクリーム等の水分を含むフィリングを充填しても歯切れの良い食感を維持することが可能であり、かつ適度なボリュームを有するシュー皮の製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、こうした課題に対して、融点の高い油脂を添加することで解決できるものと考え、通常シュー皮の製造に用いる油脂とともに高融点油脂を含有させることを試みた。しかし、その場合、(1)シュー皮のボリュームが十分ではなくなること、(2)シュー皮のボリュームを大きくするために卵の添加量を増やすと、シュー皮の穴あきが増えるなど形状に影響し、安定した製造ができないことがわかった。
本発明のシュー皮の製造方法は、油脂及び水分原料を含む油水含有原料を混合し、前記油水含有原料が沸騰するまで加熱する加熱工程と、前記油水含有原料及び澱粉質原料を混合して糊状の混合物を得る混合工程と、前記混合物に卵を添加する卵添加工程と、前記混合工程又は、前記卵添加工程において、前記混合物又は前記卵が添加された前記混合物に高融点油脂を添加する高融点油脂添加工程と、前記高融点油脂を添加した混合物を成形し、焼成する焼成工程と、を含み、前記高融点油脂添加工程における前記混合物又は前記卵が添加された前記混合物の温度が、前記高融点油脂の融点よりも低い温度であることを特徴とする。
本発明のシュー皮の製造方法によれば、油脂及び水分原料を含む油水含有原料に澱粉質原料、卵を混合した混合物(シュー生地)中に高融点油脂を分散させて含有させることが可能となる。これにより、混合物(シュー生地)の粘度上昇を抑制し、ハンドリングを良好にすることができ、かつ焼成工程におけるシュー生地の膨張性が損なわれることを防止することができる。その結果、ボリュームがあり、歯切れ等の食感のよいシュー皮を得ることができる。
シュー生地に含有された高融点油脂は、焼成工程の際に融解して、焼成後再び固化し、焼成されたシュー皮にかたさを与える。これによって、焼成工程後のシュー皮の内部空間にクリーム等のフィリングが充填され、フィリングからシュー皮にある程度水分移行しても、シュー皮のかたさを保つことができ、歯切れの悪さを感じにくくすることができる。また、高融点油脂は、焼成工程の際に融解するものの、融点が高いために融解範囲は限られたものであると考えられる。このため、融解した高融点油脂の存在する領域と、高融点油脂の存在しない領域の間に硬さの差が生じ、応力が加わった際にシュー皮の破断のきっかけとなる破断点となり得る。このような作用により、本発明のシュー皮の製造方法によって製造されたシュー皮は、いっそう歯切れがよいと感じさせるものと考えられる。
本発明のシュー皮の製造方法において、前記高融点油脂の融点は、35℃〜80℃であることが好ましい。これによれば、シュー皮の歯切れ改善効果を高めることができる。
本発明のシュー皮の製造方法において、前記高融点油脂の粒径は1000μm以下であることが好ましい。
本発明のシュー皮の製造方法において、前記高融点油脂を添加した前記混合物は、前記高融点油脂を前記澱粉質原料100質量部に対して1〜20質量部含むことが好ましい。
本発明のシュー皮の製造方法によれば、ボリュームがあり、かつ歯切れ等の食感のよいシュー皮を得ることができる。また、焼成工程後のシュー皮の内部空間にクリーム等のフィリングが充填され、製造後時間が経過しても、シュー皮の歯切れの良い食感を維持することができる。
本発明において、シュー皮とは、例えば、シュークリーム、エクレア、スワン、パリブレスト、リングシュー等の洋菓子の外皮を構成するシュー皮を意味する。シュー皮は、穀物粉等の澱粉質原料と、油脂と、卵類とを主原料として調製されたシュー生地を、所定形状に成形し、焼成することによって製造される。以下、本発明のシュー皮の製造方法について詳細に説明する。
本発明のシュー皮の製造方法においては、油脂及び水分原料を含む油水含有原料を混合し、澱粉質原料の糊化(α化)に必要な温度以上になるまで、例えば、油水含有原料が沸騰するまで加熱する加熱工程が行われる。
油脂としては、例えば、豚脂、牛脂、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、ココアバター等やこれらの混合油、これらの硬化油(水素添加油)、分別油、及びエステル交換油等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。油脂は、バター、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、ラードなどの可塑性油脂であってもよい。
油水含有原料に用いられる水分原料としては、シュー皮を得るために必要な水分を提供するものであればよく特に制限はない。蒸留水、精製水、水道水、イオン交換水又は浄水が例示でき、さらに、水を含有する食品原料、たとえば、牛乳、豆乳、濃縮乳、クリーム、果汁等も挙げられる。また水分原料はこれら例示されるもの単一で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。
なお、この他に、乳化剤を油水含有原料に含有させてもよい。乳化剤としては、例えば蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよび酢酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド等各種有機酸モノグリセリドが例示される。乳化剤は上記の油脂や水分原料、に含まれていてもよい。
加熱はこれらの油水含有原料の沸点まで行うとよい。例えば、1.00気圧のときの水の沸点は99.97℃である。また、1.00気圧のときの牛乳の沸点は100.55℃である。よって、これらの油水含有原料の種類及び混合比に応じて、加熱温度を適宜調整するとよい。
次いで、溶液及び澱粉質原料を混合して糊状の混合物を得る混合工程が行われる。
澱粉質原料としては、強力粉、中力粉、薄力粉、小麦全粒粉、焙焼小麦粉、玄米粉、ライ麦粉、大麦粉、とうもろこし粉、米粉等の穀物粉や、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、甘蔗澱粉、くず澱粉等の澱粉及びこれらのα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理を施した加工澱粉が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、澱粉質原料の他にも、食塩、粉乳、糖類、蛋白素材、呈味剤、香料、pH調整剤、色素など通常用いられる原材料を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。
糖類としては、例えば、上白糖、蔗糖、粉糖、グラニュー糖、双目糖、蜂蜜、ぶどう糖、果糖、黒糖、麦芽糖、乳糖、シクロデキストリン、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、マンニトール、異性化液糖、各種オリゴ糖、トレハロース、ラフィノース、ラクチュロース等が挙げられる。
蛋白素材としては、例えば、濃縮大豆蛋白、脱脂大豆粉、豆乳粉末、分離大豆蛋白、カゼインなど挙げられる。
混合工程は、例えば、ワイヤーホイッパー、縦型ミキサー等の公知のものを用いて行うことができる。澱粉質原料が沸騰するまで加熱された溶液と混合されることによって、澱粉質原料が糊化、すなわち、α化される。
混合工程の後に混合物に卵を添加する卵添加工程が行われる。
卵は、例えば、全卵、卵白、卵黄、加糖全卵、加糖卵白、加糖卵黄、酵素処理全卵、酵素処理卵白、酵素処理卵黄などが例示でき、これらから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。また卵の形態としては液卵、殺菌液卵、冷凍卵、乾燥卵などが例示できる。冷凍卵は解凍、乾燥卵は水に溶解するなどの処理を行った後に使用できる。
上記混合工程又は、上記卵添加工程において得られた混合物又は卵が添加された混合物に、高融点油脂を添加する高融点油脂添加工程が行われる。
高融点油脂の原料油脂としては、例えば、動物油脂、植物油脂、これらの硬化油、極度硬化油、分別油脂、エステル交換油脂等が挙げられる。またこれらの油脂を単独で使用しても2種以上の油脂を使用してもよい。動物油脂としては豚脂、牛脂、乳脂等が挙げられる。植物油脂としては大豆油、菜種油、ハイエルシン菜種油、パーム油、パーム核油、綿実油、ヒマワリ油、コーン油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油などが挙げられる。中でも、これらの硬化油、極度硬化油、分別硬部油の使用が好ましく、特に極度硬化油の使用が好ましい。なお極度硬化油は、これらの油脂に公知の方法で不飽和脂肪酸がなくなるまで完全に水素添加をすることによって製造できる。極度硬化油のヨウ素価は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
高融点油脂の形態としては、混合工程又は卵添加工程において得られた糊状の混合物に添加できる形態であればよい。このような形態としては、例えば、後に記す粒径の範囲の粉末状が挙げられる。また、後に記す粒径の範囲の固形の高融点油脂を糊状、液体状、可塑性固形状の食品成分に混合した形態であり得る。
具体的には可塑性油脂や流動性油脂中に高融点油脂を分散させた状態でもよく、O/W型乳化物、更に、O/W/O型等の二重乳化物の形態でもよい。
可塑性油脂や流動性油脂に高融点油脂を分散させた状態の場合には、高融点油脂は、分散媒である可塑性油脂や流動性油脂に分散質として分散している必要があり、高融点油脂が分散媒である油脂に融解している状態は本発明の範囲には当たらない。また、高融点油脂が乳化形態をとる場合には、連続相である水相に高融点油脂の油相が乳化している状態であり、例えばO/W/O型乳化物の形態をとる場合には、内油相が高融点油脂である。
本発明で用いる高融点油脂の融点は、35℃〜80℃であるとよく、好ましくは40℃〜80℃であるとよく、より好ましくは50℃〜80℃であるとよい。
高融点油脂添加工程は、混合物又は卵が添加された混合物の温度が、高融点油脂の融点よりも低い温度で行われる。高融点油脂の添加工程における、混合物又は卵が添加された混合物の温度は、高融点油脂の融点よりも、1℃以上低いことが好ましく、3℃以上低いことがより好ましく、5℃以上低いことがさらに好ましい。当該混合物の温度が高融点油脂の融点よりも高い場合、高融点油脂が混合物である生地に融解し、高融点油脂と生地が混ざり合い、その結果、生地の粘度が上昇し、焼成工程における生地の十分な膨張を妨げる要因や、ハンドリングの悪化の要因となる。
これに対して、当該混合物の温度が融点よりも低い場合、高融点油脂が混合物である生地に高融点油脂を固体のまま混合させることが可能となり、生地の粘度の上昇を抑えることが可能となる。これにより、焼成工程における生地の膨張を維持し、また、ハンドリングの悪化を抑制することが可能となる。
高融点油脂添加工程は、混合物に卵が添加された後に行うことにより、卵が添加された混合物の温度を高融点油脂の融点よりも低い温度に調整することが容易となる。
高融点油脂の粒径は、レーザー回折散乱法で測定された、平均粒径が1000μm以下であることが好ましく、〜500μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。また、高融点油脂の平均粒径は0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、積算質量基準の粒度分布において積算値50%に対応する粒子径を意味する。また、この場合、高融点油脂の粒径とは、高融点油脂が粉末状である場合には粉末の粒径、高融点油脂が可塑性油脂や流動性油脂に分散されている場合には分散質としての高融点油脂の粒径、高融点油脂が乳化形態において水相に分散されている状態である場合には、連続相である水相に分散された分散質としての高融点油脂相の粒径を表す。
高融点油脂の添加量は、澱粉質原料100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましく、3〜17質量部が最も好ましい。高融点油脂の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して1質量部未満では、得られるシュー皮の歯切れ改善効果が乏しくなり、澱粉質原料100質量部に対して20質量部を超えると、焼成したときにボリュームが出にくくなり、食感が硬くなって歯切れが悪くなる傾向がある。
次に、全ての原料が混合された混合物であるシュー生地を成形し、焼成する焼成工程が行われる。
焼成工程は、例えば、天板等に混合物である生地を搾って、例えばオーブンなどの焼成装置に入れて焼成することにより行われる。焼成温度は、特に限定されないが、170〜240℃が好ましく、180〜230℃がより好ましい。焼成時間は、10〜45分が好ましく、20〜40分がより好ましい。
焼成工程において、混合物である生地中の高融点油脂が融点に達すると、融解した高融点油脂が生地と混ざりあい、また、生地中の水分が蒸発することによって生地が膨張する。その結果、生地の膨張を妨げることなく、生地全体に高融点油脂を行き渡らせることが可能となる。
以上のように、本発明のシュー皮の製造方法によれば、油脂、水分原料を含む油水原料に澱粉質原料、卵を混合した混合物(シュー生地)中に高融点油脂を分散させて含有させることが可能となる。それによって、混合物(シュー生地)の粘度上昇を抑制し、焼成工程における生地の膨張性が損なわれることがなく、ハンドリングも良好になる。その結果、ボリュームがあり、歯切れのよいシュー皮を得ることができると共に、製造後、時間が経過しても、歯切れを維持することができる。
こうして得られたシュー皮の内部空間に、例えば、チョコレート、ホイップチョコレート、含水チョコレート、バタークリーム、カスタードクリーム、フラワーペースト、ジャム、餡、ホイップクリーム等のフィリング材を充填することによって、シュークリーム等の洋菓子を製造することができる。
このように、本発明のシュー皮は、例えば、シュークリーム、エクレア、スワン、パリブレスト、リングシュー等の洋菓子の外皮として利用することができる。
[試験例1]
(シュー皮の作成)
表1に示す原料配合で、比較例1乃至5及び実施例1乃至6のシュー皮を作成した。尚、表1の数値は、小麦粉100質量部に対する各原料の質量部である。
Figure 2021184707
Figure 2021184707
油脂は、「製品名:シューファンデR」、月島食品工業株式会社製)を用いた。
澱粉質原料としての小麦粉は、(「製品名:ハート」、日本製粉株式会社製)を用いた。
卵は、(「製品名:エクセルエッグHV」、キューピータマゴ株式会社製)を用いた。
実施例1〜4及び比較例2,3の高融点油脂としては、粉末状の菜種硬化油であるスプレーファットNR―100(製品名、理研ビタミン株式会社製)を用いた。また、スプレーファットNR-100のレーザー回折散乱法により測定した平均粒径は、84μmである。
スプレーファットNR-100の融点は68℃であり(基準油脂分析試験法2.2.4.2−1996(日本油化学会)にて測定)、また、ヨウ素価は0.1である(基準油脂分析試験法3.3.3−2013(日本油化学会)にて測定)。
実施例5及び比較例4の高融点油脂としては、表2に示す配合の、ハイエルシン菜種極度硬化油を含有するO/W型乳化物Aを用いた。当該ハイエルシン菜種極度硬化油のレーザー回折散乱法により測定された平均粒径は2μmである。
当該ハイエルシン菜種極度硬化油の融点は61℃である(基準油脂分析試験法2.2.4.2−1996(日本油化学会)にて測定)。また、ヨウ素価は、0.1である(基準油脂分析試験法3.3.3−2013(日本油化学会)にて測定)。O/W型乳化物Aを20質量部用いることで、表1に記載の高融点油脂を添加した。
実施例6及び比較例5の高融点油脂としては、表2に示す配合の、パーム核極度硬化油を含有するO/W型乳化物Bを用いた。当該パーム核極度硬化油のレーザー回折散乱法により測定された平均粒径は2μmである。
当該パーム核極度硬化油の融点は38℃である(基準油脂分析試験法2.2.4.2−1996(日本油化学会)にて測定)。また、ヨウ素価は0.6である(基準油脂分析試験法3.3.3−2013(日本油化学会)にて測定)。
O/W型乳化物Bを20質量部用いることで、表1に記載の高融点油脂を添加した。
O/W型乳化物A及びBは次のように作成した。70℃に加熱した極度硬化油に油溶性乳化剤を溶解して油相を得た。また、70℃に加熱した水に水溶性乳化剤を溶解して水相を得た。水相に油相をホモミキサーにて混合して予備乳化したものを、ホモゲナイザーにてホモ圧50kg/cmで均質化し、5℃で12時間以上冷却し、保存した。
以下の態様で実施例1乃至6及び比較例1のシュー皮を作製した。
(加熱工程)
小麦粉に対して140質量部の水及び上記の油脂、食塩を混合して混合溶液とし、この混合溶液が沸騰するまで加熱した。
(混合工程)
加熱工程で得られた上記混合溶液に、上記小麦粉を添加し縦型ミキサー(「製品名 HPi−20M: 関東混合機工業株式会社製)を用いて、3速(中高速)で2〜3分間混合して糊状の混合物を得た。
(卵添加工程)
混合工程で得られた混合物に対して、ミキサー(「製品名:HPi−20M 」、関東混合機工業株式会社製)を用いて撹拌しながら(3速で4-5 分間)、上記卵を数回に分けて添加、混合した。
その後、予め上記卵の一部に炭酸水素アンモニウムを溶解させた混合物を投入し、さらにその後に調製用の卵を投入し生地の硬さを調整した。
(高融点油脂添加工程)
高融点油脂は、上記卵添加工程において卵の一部に溶解させておいた炭酸水素アンモニウムを投入すると同時に添加し混合した。高融点油脂添加前の混合物の温度は30〜35℃であった。混合の条件は上記の通りであるので省略する。尚、比較例1のシュー皮は、高融点油脂を含まないため本工程を省略して作製した。
(焼成工程)
上記の工程により得られた混合物である生地を天板上に25g/個絞り出し、上火190℃、下火210℃で13分焼成し、その後上火200℃、下火180℃で15分焼成した。
(比較例2乃至5のシュー皮の作製)
比較例2乃至5のシュー皮の作製は、上記の実施例1乃至6及び比較例1のシュー皮の作製工程に準ずるが、高融点油脂添加工程が加熱工程における加熱前に行う点で異なる。その余の工程は、実施例1乃至6及び比較例1のシュー皮の製造工程と同一であるので、説明を省略する。
(ボリュームの測定)
比較例1乃至5及び実施例1乃至6のシュー皮を、焼成後、常温で1日保管した後、体積測定装置(製品名:「Volscan Profiler 600」、Stable Micro System社製)を使用してのボリューム(体積)を測定した。この測定は、各実施例、比較例における5個のシュー皮について行い、その平均値を算出した。その平均値を表2に示す。
シュー皮の内部の空洞にカスタードクリーム(月島ソフトカスタードR、月島食品工業製)を、空洞内部に隙間なく充満するように充填した。クリームを充填後、10℃で1日保管したシュー皮について、以下の押圧荷重の測定及び官能評価を行った。
(押圧荷重の測定)
テクスチャーアナライザー(Stable Micro System社製)を使用して、比較例1乃至3及び実施例1乃至4のシュー皮を押圧した際の荷重を測定した。具体的には、シュー皮の上面から底面に向かって直径が15mmの円柱型治具でシュー皮を定速(2mm/s)で10mm押圧した際の最大荷重を測定した。この測定は、各実施例、比較例における8個のシュー皮について行い、その平均値を算出した。その平均値を表2に示す。
(官能評価)
10名のパネラーにより、比較例1乃至5及び実施例1乃至6のシュー皮を食して、シュー皮の食感(歯切れ)の官能評価を行った。それぞれの食感の基準は、以下の基準で行った。各々パネラーによる評価のポイントの平均値を表2に示す。
(歯切れの評価基準)
2 比較例1よりもとても良い
1 比較例1よりも良い
0 比較例1と同じ
−1 比較例1よりも悪い
Figure 2021184707
(押圧荷重について)
表3に示すように、実施例1乃至6のシュー皮は、比較例1よりも押圧荷重が高いことが分かった。また、比較例2乃至5のシュー皮は、比較例1よりも押圧荷重が高いことが分かった。すなわち、高融点油脂を添加したシュー皮(実施例1乃至6及び比較例2乃至5)は、極度硬化油が添加されていないシュー皮(比較例1)よりもかたい傾向にあった。
(官能評価について)
表2に示すように、実施例1乃至6のシュー皮は、比較例1よりも歯切れが改善されていることが分かった。また、比較例2乃至3のシュー皮は、比較例1よりも歯切れが改善されていたが、同様に高融点油脂を10質量部添加した実施例2と比較例3を比較すると、比較例3よりも実施例2の歯切れの評価が高かった。また、実施例4は、実施例1、2及び3よりも歯切れの評価が低かった。
さらに、比較例4、5のシュー皮は、比較例1よりも歯切れが改善されていたが、同様に液体状のO/W型乳化物形態で高融点油脂を10質量部添加した実施例5と比較例4を比較すると、比較例4よりも実施例5の歯切れの評価が高かった。また同じように実施例6と比較例5を比較すると、比較例5よりも実施例6の歯切れの評価が高かった。
押圧荷重の結果と併せて官能評価を考察すると、高融点油脂を添加しない比較例1はやわらかいために歯切れの評価が低く、高融点油脂を添加したシュー皮は柔らかさが改善されることで歯切れの評価が高いものと考えられた。
一方、実施例4は、実施例1乃至3及び比較例2、3よりも押圧荷重が高いが、かたすぎることでむしろ歯切れの評価がやや低下したものと推察される。
(ボリュームについて)
表2に示すように、実施例1乃至6のシュー皮は、比較例1とボリュームが同程度であることが分かった。また、比較例2乃至5のシュー皮は、比較例1よりもボリュームが低いことが分かった。特に、比較例3のシュー皮は、実施例1乃至6のシュー皮よりも明らかに形状が歪んでおり、また実施例1乃至6のシュー皮よりも目視可能な窪みや孔が散見された。

Claims (4)

  1. 油脂及び水分原料を含む油水含有原料を混合し、前記油水含有原料が沸騰するまで加熱する加熱工程と、
    前記油水含有原料及び澱粉質原料を混合して糊状の混合物を得る混合工程と、
    前記混合物に卵を添加する卵添加工程と、
    前記混合工程又は、前記卵添加工程において、前記混合物又は前記卵が添加された前記混合物に高融点油脂を添加する高融点油脂添加工程と、
    前記高融点油脂を添加した混合物を成形し、焼成する焼成工程と、を含み、
    前記高融点油脂添加工程における前記混合物又は前記卵が添加された前記混合物の温度が、前記高融点油脂の融点よりも低い温度であることを特徴とするシュー皮の製造方法。
  2. 前記高融点油脂の融点が35℃〜80℃である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のシュー皮の製造方法。
  3. 前記高融点油脂の粒径が、1000μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシュー皮の製造方法。
  4. 前記高融点油脂を添加した前記混合物は、前記高融点油脂を前記澱粉質原料100質量部に対して1〜20質量部含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシュー皮の製造方法。
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