JP3891715B2 - 花粉含有食用油脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、花粉含有食用油脂組成物に関し、詳しくは、ベーカリー製品等に混合しても製パン性や味覚面を阻害することなく、花粉を均一に実質上ダマとならずに分散混合させることができる材としての花粉含有食用油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
花粉は、近年その栄養価等から注目され、様々な応用が試みられている。花粉は吸湿性が大きく、何かに混合しようとしてもダマになってしまう。これは、粉体に分散してから混合した場合も同様であって、粉体中で花粉だけがダマになってしまう。このように花粉を含有する食品は花粉が不均一に分布する傾向が強い。
【0003】
例えば、特開昭57−181633号公報及び特開昭61−141833号公報には、製パンの醗酵時に花粉を存在させる旨の記述があるが、単に存在させるのみで均一混合されていないと、生地を焼成する際、焦げの発生につながり、得られたパンは食用に堪えない。
【0004】
花粉が分散している食品がないわけではなく、特開昭63−157944号公報には、花粉分散蜂蜜が開示されているが、これは原料として油脂を含んでおらず、また、吸水性の大変強い花粉を水相に均一に分散させることは大変困難でそのためには特殊な工程を要する。しかも、これは応用面で融通が利くものでは決してなく、限りがある。例えば、蜂蜜に分散したものは、水分を含むため菓子に応用する場合に、ソフトな菓子にしか使用できない上、甘味は鋭くなりすぎ、また、主成分である果糖・ブドウ糖の糖濃度が高すぎるため、味覚の面で一般的な食品には不向きであり、しかも、ベーカリー製品に用いると、果糖のメイラード反応により焦げ・苦味の発生が促進されてしまう。さらに、そのペーストは曳糸性が強く、取扱いにくい上、経時的に糖の結晶化、固形成分の沈澱が起こり不均一化が不可避である。
そこで、様々な食品に応用・添加して花粉を分散できるような材料の開発が待たれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、花粉の苦味等を感ずることなく花粉を摂取でき、ベーカリー製品等に混合しても製パン性や味覚面を阻害することなく、花粉を均一に実質上ダマとならずに分散混合させることができる材としての花粉含有食用油脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、花粉を食用油脂または食用油脂組成物に分散させてなる花粉含有食用油脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態について詳細に説明する。
先ず本発明の花粉含有食用油脂組成物について詳述する。
本発明の組成物に用いられる花粉としては、例えば、ミカン、オレンジ、レモン等のミカン科、リンゴ、ナシ、モモ等のバラ科、アカシア、菜種、ダイズ、イネ、コムギ、トウモロコシ、ソバ、レンゲ等、その花種に特に制限されず、如何なる花種の花粉でも使用可能である。
また、単独の花種だけでなく、2種以上の花種の花粉を混合したミックス花粉を使用することも可能である。この場合、各種花粉の混合の比率は特に制限されない。
なお、後述のように、最終的にアレルギーの経口減感作用のための食品を得る際は、アレルゲンである花粉を用いることが好ましい。そのようなアレルゲンである花粉としては、例えば、スギ、トウモロコシ、ソバ、ドクゼリ、ドクダミ、ヒノキ、マツ、シラカバ、カモガヤ、ヨモギ等の花粉が挙げられる。また、この場合、本発明の組成物としては、アレルゲンである花粉以外の任意のアレルゲンを実質的に含有しないものが好ましい。ここにいうアレルゲンである花粉以外の任意のアレルゲンとしては、例えば、卵、動物乳、ダイズ、イネ、コムギ及びソバからなる群より選択される1種または2種以上に由来する成分が挙げられる。
【0008】
上記花粉は、開花した花から人為的に、又は、蜜蜂等により採取したものや、未開花の花の雄蘂から得られたものであることができる。また、採取した花粉は、そのままのものであることもできるし、超音波、凍結乾燥等の物理的手段、酵素等の化学的手段により、花粉の外とう殻を破壊したものであることができる。更に、篩等に通して花粉の径を調整したものであることもできる。
本発明の組成物には、花粉だけでなく、雄蘂、雌蘂、ガク、花びら等花全体を含むこともできるが、ダマになり易く、必ずしも好ましいものではない。
【0009】
本発明において、花粉を分散させる食用油脂または食用油脂組成物は、食用に供することができれば特に制限されない。例えば、米油、菜種油、大豆油、綿実油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、魚油、牛脂、豚脂、カカオ脂、あるいはそれらを必要に応じ加工した硬化油、微水添油、異性化水添油、エステル交換油、分別油またはこれらの2種以上の加工を行なった油、並びにこれらの油脂の2種以上を混合した油脂等の何れも使用可能である。更に、これらの食用油脂の乳化物(W/O乳化物、あるいはO/W乳化物、更には、O/W/O乳化物、W/O/Wの2重乳化物、またはそれ以上の高次乳化構造のエマルジョンを含む)や懸濁物等、油脂を分散媒または分散質とする分散系であることができる(以下、本明細書中では該分散系も油脂と記述することがある)。乳化物の場合、既に乳化している食用油脂に花粉を分散させることも、乳化時に花粉を分散させることもできる。なお、液状油でも固体脂であっても支障なく実施できるのはもちろんである。
【0010】
本発明の花粉含有食用油脂組成物は、食用油脂または食用油脂組成物に花粉を混合させて得ることができる。
混合させる手段は特に限定されず、ミキサー等の混合器を用いることができる。また、エマルジョンのように、油相と水相とからなる場合は、まず、油相に花粉を完全に分散させた後、加工を行なうことにより、得られる花粉含有食用油脂組成物中で花粉がダマになりにくく、均質の花粉含有食用油脂組成物が得られる。また、油中水型エマルジョンまたはこれを可塑化したもの等の場合は、前述のように食用油脂に花粉を添加してから乳化させることができる他、乳化時に花粉を添加することも、乳化後に花粉を添加することも、可塑化の後に添加することもできる。また、固体脂の場合は、必要に応じ適切な方法により軟化あるいは液状化させて花粉を混合することができる。また、完全を期して、雄蘂、雌蘂、ガク、花弁等の異物や花粉保存中の水分混入によるダマ等を除くため、濾過工程としてストレーナを通すことが望ましい。
更に、高度に均一な状態で花粉を分散させるためには、花粉を含む粉体100重量部に対して10〜50重量部の食用油脂を添加し混合させた後、ロール掛けあるいはロール掛けに加えてコンチングを行なうことが望ましい。この際、他の原料の添加や追油等により、得ようとする花粉含有食用油脂組成物中の花粉含有量を調整することもできる。
【0011】
花粉の含有量は、本発明の組成物中、好ましくは0.1〜80重量%、更に好ましくは0.1〜20重量%である。花粉の含有量が0.1重量%未満であると、その効果が得られないおそれがあり、80重量%を超えると、その他の成分の種類に係わらず最終製品にダマが残るおそれがある。また、花粉の含有量は、本発明の組成物中の食用油脂に対して、好ましくは5倍量以下、更に好ましくは1.4倍量以下である。花粉が食用油脂に対して5倍量を超えると、粉末状乃至ソボロ状となり、均一に花粉が分散した食用油脂組成物とはならず、最終製品とした時にダマが残ってしまう傾向が強い。
【0012】
なお、本発明の花粉含有食用油脂組成物には、該組成物中で花粉がダマになりにくくするために、乳化剤、ゲル化剤、増粘剤、安定剤等を添加することも可能である。これらは食用であれば特に限定されず、上記乳化剤としては、例えば、レシチン、脂肪酸モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、シュガーエステル等が挙げられ、上記増粘剤としては、例えば、グアーガム、キサンタンガム、ペクチン、ローカストビーンガム、プルラン、カラギーナン、アルギン酸、寒天、タマリンドシードガム、サイリウム、アラビアガム、ジェランガム、カードラン、ゼラチン、グルコマンナン、各種α化デンプン等が挙げられ、これらの2種以上の併用も可能である。
これらの添加剤の添加量は特に限定されず、一般的な量であることができ、本発明の組成物中、例えば、0.01〜15重量%である。
【0013】
次に、本発明の食品について詳述する。
本発明の食品は、上述した本発明の花粉含有食用油脂組成物を含有してなるものであり、該花粉含有食用油脂組成物をもって、従来の油脂の一部または全部を置換したものである。その態様としては、マーガリン、ショートニング等の油脂食品はもちろん、ベーカリー製品、製菓類の他、油脂をふくむあらゆる食品が挙げられる。
【0014】
また、本発明の食品は、例えば、サラダオイル、揚油・ホイップクリーム等の液状、流動ショートニング等の流動状、あるいは起泡性乳化脂やドレッシング、ファットスプレッド、カスタードクリーム、 ディップクリーム等のペースト状・エマルジョン、また、ショートニング・マーガリン、キャンディー、チョコレート、カレールー等の固体状のいずれであっても、これらの一部または全部を本発明の花粉含有食用油脂組成物で置換して、従来と同様の使用態様で用いられるものである。
【0015】
次に、本発明のベーカリー製品について詳述する。
本発明のベーカリー製品は、上述した本発明の花粉含有食用油脂組成物を含有してなるものであり、該花粉含有食用油脂組成物をもって、従来の油脂の一部または全部を置換して生地を調製し、該生地を焼成したものである。その態様としては、例えば、パン、パイ、カステラ、スポンジケーキ、バターケーキ、シュー菓子、ワッフル、醗酵菓子等が挙げられる。
【0016】
上記生地を調製する方法は特に限定されず、従来公知の方法で用いられている油脂の一部又は全部を、本発明の花粉含有食用油脂組成物で置換することにより行なうことができる。
例えば、本発明のベーカリー製品がパンである場合、パン生地の調製においては、小麦粉、水、イースト、砂糖、食塩等の一般的製パン原料と、本発明の花粉含有食用油脂組成物とを公知の操作と同一の操作に付することにより、パン生地を得ることができる。そして、混捏後、必要に応じて、本発明の花粉含有食用油脂組成物をロールインし、一般的方法に従い、醗酵、成形、焙炉等を行い焼成することができる。
同様に、例えば、本発明のベーカリー製品が折パイであれば、ロールイン油脂または練込油脂、練パイであれば、チップ状またはストロー状等の小片油脂、スポンジケーキであれば、起泡性乳化脂又はケーキ用液状油の一部または全部を、本発明の花粉含有食用油脂組成物で置換して使用することができる。
【0017】
このように、本発明のベーカリー製品が焼成工程を伴うものである場合、従来技術のように、生地作成後に花粉を添加したり、粉体等に混合後生地作成を行うと、生地中でダマになりやすく、ダマになった場合は、花粉が高温で焼成する際にその含有糖分が焦げることにより、生で食するのに比べ、数倍の苦みを発生する。一方、本発明の花粉含有食用油脂組成物の利用によって、花粉が均一に分散した、ダマの極めて少ない生地が得られ、焼成した最終製品は、苦味を感じないばかりか、意外なことに、コク味が大幅に増したベーカリー製品となる。
【0018】
次に、本発明の製菓類について詳述する。
本発明の製菓類は、上述した本発明の花粉含有食用油脂組成物を含有してなるものであり、該花粉含有食用油脂組成物をもって、従来の油脂の一部または全部を置換して生地を調製し、該生地を加工したものである。その態様としては、例えば、生地をフライしたスナック、ドーナッツ類、蒸した蒸ケーキ、まんじゅう等の蒸菓子類が挙げられる。また、別の態様として、上述した本発明の花粉含有食用油脂組成物と、砂糖、香料等とを混合し、必要に応じて固化成形したキャンディー、ガム、チョコレート、打菓子等の他、ラクトアイス等の氷菓も挙げられる。
【0019】
本発明の製菓類として、風味のみでなく、食味、特に甘味を大切にする製菓類を得たい場合には、ダマがないことが更に重要であって、極僅かな花粉ダマでも、その苦みを直ちに感じてしまい、商品価値がなくなってしまう。本発明の花粉含有食用油脂組成物では、すでに花粉が均一になった形で存在しているため、製菓類に後添加・混合する場合でも、最終製品である本発明の製菓類は、含有する花粉が均一に分散し、花粉ダマがなく、また、苦みの感じることのない良好な風味のものとなる。
【0020】
以上のようにして得られた、本発明のベーカリー製品及び製菓類等は、手軽で風味も良いため、アレルギーの、特に花粉等のアレルギーの経口減感作用の食品として、極めて良好である。
ただし、アレルギーの、特に花粉アレルギーの経口減感作用の食品として用いる場合は、対象となる患者のアレルゲンを、アレルゲンである花粉以外に実質的に含有しないことが極めて望ましい。
【0021】
次に、本発明のアレルギーの経口減感作用食品について詳述する。
本発明のアレルギーの経口減感作用食品は、アレルゲンである花粉以外の任意のアレルゲンを実質的に含有しない本発明の花粉含有食用油脂組成物を含有してなるものである。
一般的に、アレルゲンとして代表的なものは、例えば、卵、動物乳、ダイズ、イネ、コムギ、ソバ等が挙げられるが、本発明のアレルギーの経口減感作用食品は、これらの群から選択される1種または2種以上に由来する成分、具体的には、卵黄レシチン、乳脂、ダイズ油、ダイズレシチン、米油等を含まないように作られている花粉含有食用油脂組成物を含有してなるものが望ましい。
【0022】
本発明のアレルギーの経口減感作用食品は、花粉を含有しているためコク味があり、また、花粉症の予防、対症療法としての花粉食にも適している。尚、従来の、アレルゲンを省いて作られた食品は、概して風味に乏しく、ベーカリー製品にいたっては、風味に加え、焼色も食欲を喚起するに乏しい色調である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、「部」は特記しない限り全て「重量部」を意味する。
【0024】
実施例1(本発明の花粉含有食用油脂組成物及び本発明の食品の実施例)
パーム油30部、パーム硬化油50部、ナタネ油20部及びレシチン0.2部からなる油相を70℃に溶解し、該油相100部に対し、ミックス花粉(アカシア、レンゲ)5. 0部を添加し、ホモミキサーにより高速回転で2分間攪拌混合して、本発明の花粉含有食用油脂組成物を得た。目視によれば、花粉は十分に食用油脂に分散されていた。その後、急冷可塑化を行った後、25℃で一晩調温後、5℃まで冷却した。このようにして、本発明の食品(花粉含有ショートニング)を得た。
【0025】
実施例2(本発明の花粉含有食用油脂組成物及び本発明の食品の実施例)
パーム油:パーム硬化油:菜種油:レシチンを、30:50:20:0.2の割合(重量比)で含有する食用油脂100部を70℃で融解し、これにミックス花粉(アカシア、レンゲ)4部を添加し、ホモミキサーにて高速2分攪拌混合して、本発明の花粉含有食用油脂組成物を得た。目視によれば、花粉は十分に食用油脂に分散されていた。更に、ホモミキサーで攪拌しながら、70℃に加温した水16部を徐々に添加・混合した後、急冷可塑化を行い、25℃で一晩調温後、5℃まで冷却した。このようにして、本発明の食品(花粉含有マーガリン)を得た。
【0026】
実施例3(本発明の花粉含有食用油脂組成物及び本発明の食品の実施例)
大豆サラダ油75部に、ミックス花粉(アカシア、レンゲ)5部を添加し、ホモミキサーで高速5分攪拌して、本発明の花粉含有食用油脂組成物を得た。目視によれば、花粉は十分に食用油脂に分散されていた。別に、卵黄10部、食塩1.5部、酢11部、上白糖2.5部、マスタードパウダー0.05部、オニオンパウダー0.05部を、ミキサーにより高速で5分間攪拌・混合し、水相とした。該水相を、更にホモミキサーで高速攪拌しながら、これに上記の花粉含有食用油脂組成物を70℃に加温したものを、徐々に添加・混合し、乳化させ、24時間5℃に冷却し、本発明の食品(花粉含有ドレッシング)を得た。
【0027】
実施例4(本発明の食品の実施例)
小麦粉(薄力粉)44部、及び実施例1で得られた花粉含有ショートニング34部をキツネ色になるまで炒め、さらに市販のカレー粉8部を加え、本発明の食品(花粉含有カレー・ルウ)を得た。
【0028】
実施例5(本発明のベーカリー製品の実施例)
実施例1で得られた花粉含有食用油脂組成物50部と上白糖50部とをホバートミキサーにて高速6分クリーミングし、これに全卵(正味)15部、食塩1部及び重炭安0.5部を合わせたものを添加し、中速で30秒間混合した。更に、篩にかけた小麦粉100部を添加混合し、低速で30秒間混合して、生地を得た。この生地を直径6cmの筒につめ、生地を厚み1cmづつ押し出したところでカットし、200℃、13分間焼成して、本発明のベーカリー製品(花粉含有クッキー)を得た。
【0029】
実施例6(本発明の花粉含有食用油脂組成物及び本発明のベーカリー製品の実施例)
実施例1において、ミックス花粉をスギ花粉に変更した他は、実施例1と同様の操作を行ない、本発明の花粉含有食用油脂組成物を得た。該油脂組成物50部とビート上白糖40部とをホバートミキサーにて高速6分クリーミングし、これにレーズンペースト20部を添加し、中速で30秒間混合した。更に、篩にかけた粟粉を添加混合し、低速で30秒間混合して、生地を得た。この生地を直径6cmの筒につめ、生地を厚み1cmづつ押し出したところでカットし、160℃、15分間焼成して、アレルギーの経口減感作用食品たる本発明のベーカリー製品(花粉含有クッキー)を得た。
【0030】
実施例7(本発明の花粉含有食用油脂組成物及び本発明の製菓類の実施例)
カカオマス12部、粉糖45部、全粉乳20部、カカオバター23部、及びミックス花粉(アカシア、レンゲ)2部の配合のうち、カカオバター10部を残し、他の原料をホバートミキサーに投入し、ビーターを用いて中速で3分間混合し、更に、ロール掛け、コンチングして、本発明の花粉含有食用油脂組成物を得た。目視によれば、花粉は十分に食用油脂に分散されていた。残るカカオバターを投入・混合してチョコレートの原液を得、これをテンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、花粉含有チョコレート製品を得た。このようにして、本発明の製菓類(花粉含有チョコレート)を得た。
【0031】
比較例1(食用油脂組成物及び食品の比較例)
花粉を添加しない以外は実施例1と同様の操作を行なった。即ち、パーム油30部、パーム硬化油50部、ナタネ油20部、及びレシチン0.2部からなる油相を70℃に溶解し、ホモミキサーにより高速回転で2分間攪拌混合し、花粉を含有しない食用油脂組成物を得た。その後、急冷可塑化を行った後、25℃で一晩調温後、5℃まで冷却して、ショートニングを得た。
実施例1で得られた花粉含有ショートニングは、比較例1で得られたショートニングに比して、若干の黄色味を帯び、良好の風味を有しており、苦味は感じなかった。
【0032】
比較例2(食用油脂組成物及び製菓類の比較例)
花粉を添加しない以外は実施例7と同様の操作を行なった。即ち、カカオマス12部、粉糖45部、全粉乳20部、カカオバター23部を混合し、ロール掛け、コンチングし、花粉を含有しない食用油脂組成物を得た。テンパリング処理後、型に流し込み、冷却し、チョコレート製品を得た。
実施例7で得られた花粉含有チョコレートは、比較例2で得られたチョコレート製品に比して、良好な苦みとコクのある風味を有していた。
【0033】
比較例3(食品の比較例)
花粉含有ショートニングを、比較例1で得られたショートニングに置き換えた他は、実施例4と同様の操作を行ない、カレー・ルウを得た
実施例4で得られた花粉含有カレー・ルウは、比較例3で得られたカレー・ルウに比して、コク味のある、深い味がし、苦味は感じなかった。
【0034】
比較例4(ベーカリー製品の比較例)
花粉含有食用油脂組成物を、比較例1で得られたショートニングに置き換えた他は、実施例5と同様の操作を行ない、クッキーを得た
実施例5で得られた花粉含有クッキーは、比較例4で得られたクッキーに比して、黄色味が強く、コクのある風味を有し、苦味は感じなかった。
【0035】
比較例5(ベーカリー製品の比較例)
比較例1のショートニング55部及び上白糖50部をホバートミキサーにて高速で6分間クリーミングし、これに全卵(正味)15部、食塩1部、重炭安0.5部を合わせたものを添加し、中速で30秒間混合した。小麦粉(薄力粉)100部とミックス花粉(アカシア、レンゲ)2.5部とを混合し、篩にかけた混合物を添加、混合し、低速で30秒間混合し、生地を得た。この生地を直径6cmの筒に詰め、生地を厚み1cmづつ押し出したところでカットし、200℃、13分間焼成して、ベーカリー製品(クッキー)を得た。
得られたクッキーは、花粉が焦げた茶色の斑点が多数存在して外観に劣り、食すると斑点の部分が強烈な苦味を示し、著しく品質の劣るものであった。
【0036】
比較例6(ベーカリー製品の比較例)
比較例1のショートニング55部及び上白糖50部をホバートミキサーにて高速で6分間クリーミングし、これにミックス花粉(アカシア、レンゲ)5重量%を含む花粉を分散させた蜂蜜55部、全卵(正味)15部、食塩1部、重炭安0.5部を合わせたものを添加し、中速で30秒間混合した。これに、小麦粉(薄力粉)100部とミックス花粉(アカシア、レンゲ)2.5部とを混合し、篩にかけた混合物を添加、混合し、低速で30秒間混合し、生地を得た。この生地を直径6cmの筒につめ、生地を厚み1cmづつ押し出したところでカットし、200℃、13分間焼成して、ベーカリー製品(クッキー)を得た。
生地には過剰な流動性があったため、得られたクッキーは、極端に平坦である上に、焼色が濃く、食すると斑点の部分が強烈な苦味を示し、著しく品質の劣るものであった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の花粉含有食用油脂組成物は、花粉の苦味等を感ずることなく花粉を摂取でき、ベーカリー製品等に混合しても製パン性や味覚面を阻害することなく、花粉を均一に実質上ダマとならずに分散混合させることができるものである。
Claims (8)
- 花粉を食用油脂または食用油脂組成物に分散させてなる花粉含有食用油脂組成物。
- 上記花粉が、ミカン、オレンジ、レモン、リンゴ、ナシ、モモ、アカシア、菜種、ダイズ、イネ、コムギ、トウモロコシ、ソバ及びレンゲからなる群より選択される1種又は2種以上の花種の花粉である請求項1記載の花粉含有食用油脂組成物。
- アレルゲンである花粉以外の任意のアレルゲンを実質的に含有しない請求項1又は2記載の花粉含有食用油脂組成物。
- 上記アレルゲンが、卵、動物乳、ダイズ、イネ、コムギ及びソバからなる群より選択される1種または2種以上に由来する成分である請求項3記載の花粉含有食用油脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の花粉含有食用油脂組成物を含有してなる食品。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の花粉含有食用油脂組成物を含有してなるベーカリー製品。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の花粉含有食用油脂組成物を含有してなる製菓類。
- 請求項3又は4に記載の花粉含有食用油脂組成物を含有してなるアレルギーの経口減感作用食品。
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