JP2021174806A - 基板処理装置及び基板処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】重合基板を形成する第1の基板と第2の基板の間に対して挿入部材を適切に挿入する。【解決手段】第1の基板と第2の基板が接合された重合基板を処理する装置であって、少なくとも前記第1の基板の周縁部を前記第2の基板から剥離する除去部材を有し、前記除去部材は、前記第1の基板と前記第2の基板の間に挿入することで、前記重合基板に切込みを形成する起点形成部材と、前記起点形成部材により形成された前記切込みに挿入する挿入部材と、を有する。【選択図】図3
Description
本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
特許文献1には、基板を処理する基板処理システムであって、基板における除去対象の周縁部と中央部との境界に沿って基板に内部に改質層を形成する改質層形成装置と、前記改質層を基点に前記周縁部を除去する周縁除去装置と、を有することが開示されている。
本開示にかかる技術は、重合基板を形成する第1の基板と第2の基板の間に対して挿入部材を適切に挿入する。
本開示の一態様は、第1の基板と第2の基板が接合された重合基板を処理する装置であって、少なくとも前記第1の基板の周縁部を前記第2の基板から剥離する除去部材を有し、前記除去部材は、前記第1の基板と前記第2の基板の間に挿入することで、前記重合基板に切込みを形成する起点形成部材と、前記起点形成部材により形成された前記切込みに挿入する挿入部材と、を有する。
本開示によれば、重合基板を形成する第1の基板と第2の基板の間に対して挿入部材を適切に挿入することができる。
近年、半導体デバイスの製造工程においては、表面に複数の電子回路等のデバイスが形成された半導体基板(以下、「ウェハ」という。)同士が接合された重合ウェハにおいて、当該重合ウェハを形成する第1のウェハを薄化することや、当該第1のウェハに形成されたデバイスを、当該重合ウェハを形成する第2のウェハに転写することが行われている。
上述した特許文献1に記載のウェハ処理システムは、薄化処理により第1のウェハ(被処理ウェハ)にナイフエッジ形状が形成されるのを抑制する方法の一例として、薄化処理前の第1のウェハの周縁部を除去、いわゆるエッジトリムを行うためのシステムである。具体的には、第1のウェハと支持ウェハが接合された重合ウェハにおいて、第1のウェハの内部に周縁部の除去の基点となる改質層を形成し、その後、当該改質層を基点として第1のウェハから周縁部を剥離する。
本発明者らは、第1のウェハのエッジトリムにおいて、重合ウェハを形成する第1のウェハと第2のウェハの界面に挿入部材(例えばくさびローラやブレード)を挿入することで、第2のウェハから第1のウェハの周縁部を剥離する方法を検討した。このように第1のウェハと第2のウェハの界面に挿入部材を挿入することにより、第1のウェハの周縁部が第2のウェハに対して押し上げられた状態となり、適切に当該周縁部を除去することができる。
ここで、挿入部材を用いて第1のウェハのエッジトリムを行う場合、当該エッジトリムにかかるタクトを向上させるためには、重合ウェハを連続回転させながらプロセスを行う必要がある。しかしながら、このように重合ウェハを回転させた状態で挿入部材の挿入を行う場合、挿入にかかる衝撃が大きくなり、当該挿入部材の損傷又は寿命低下の原因となるおそれがある。挿入部材に対する衝撃は、例えば当該挿入部材の先端を鋭角にすることで小さくできるが、かかる場合、挿入部材が小さい衝撃で欠損しやすくなり、やはり寿命の低下を招くおそれがある。一方、挿入部材の先端を鈍角にした場合、挿入部材の欠損は抑制されるものの、周縁部を第2のウェハから押し上げるために必要となる押し付け荷重が大きくなり、エッジトリム品質の低下のリスク、重合ウェハの破損のリスクが大きくなるおそれがある。したがって、従来のエッジトリム方法には改善の余地がある。
本開示にかかる技術は、重合基板を形成する第1の基板と第2の基板の間に対して挿入部材を適切に挿入する。以下、本実施形態にかかる基板処理システムとしてのウェハ処理システム、及び基板処理方法としてのウェハ処理方法ついて、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本実施形態にかかる後述のウェハ処理システム1では、図1に示すように第1の基板としての第1のウェハW1と第2の基板としての第2のウェハW2とが接合された重合基板としての重合ウェハTに対して処理を行う。そしてウェハ処理システム1では、第1のウェハW1の周縁部Weを除去する。以下、第1のウェハW1において、第2のウェハW2と接合される側の面を表面W1aといい、表面W1aと反対側の面を裏面W1bという。同様に、第2のウェハW2において、第1のウェハW1と接合される側の面を表面W2aといい、表面W2aと反対側の面を裏面W2bという。また、第1のウェハW1において、エッジトリムによる除去対象の周縁部Weよりも径方向内側の領域を中央部Wcという。
第1のウェハW1は例えばシリコン基板等の半導体ウェハであって、表面W1aに複数のデバイスを含むデバイス層D1が形成されている。また、デバイス層D1にはさらに、第2のウェハW2との接合用の膜である表面膜F1が形成され、当該表面膜F1を介して第2のウェハW2と接合されている。表面膜F1としては、例えば酸化膜(SiO2膜、TEOS膜)、SiC膜、SiCN膜又は接着剤等が挙げられる。なお、第1のウェハW1の周縁部Weは面取り加工がされており、周縁部Weの断面はその先端に向かって厚みが小さくなっている。また、周縁部Weは後述のエッジトリムにおいて除去される部分であり、例えば第1のウェハW1の外端部から径方向に0.5mm〜3mmの範囲である。なお、第1のウェハW1とデバイス層D1との界面には、周縁部Weの除去に際して重合ウェハTの内部に照射されるレーザ光を吸収できるレーザ吸収層(図示せず)がさらに形成されていてもよい。また、デバイス層D1に形成された表面膜F1をレーザ吸収層として用いてもよい。
第2のウェハW2も例えば第1のウェハW1と同様の構成を有しており、表面W2aにはデバイス層D2及び表面膜F2が形成され、周縁部は面取り加工がされている。なお、第2のウェハW2はデバイス層D2が形成されたデバイスウェハである必要はなく、例えば第1のウェハW1を支持する支持ウェハであってもよい。かかる場合、第2のウェハW2は第1のウェハW1のデバイス層D1を保護する保護材として機能する。
図2に示すようにウェハ処理システム1は、搬入出ブロックG1、搬送ブロックG2、及び処理ブロックG3を一体に接続した構成を有している。搬入出ブロックG1、搬送ブロックG2及び処理ブロックG3は、X軸負方向側からこの順に並べて配置されている。
搬入出ブロックG1は、例えば外部との間で複数の重合ウェハTを収容可能なカセットCが搬入出される。搬入出ブロックG1には、カセット載置台10が設けられている。図示の例では、カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセットCをY軸方向に一列に載置自在になっている。なお、カセット載置台10に載置されるカセットCの個数は本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。
搬送ブロックG2には、カセット載置台10のX軸正方向側において、当該カセット載置台10に隣接してウェハ搬送装置20が設けられている。ウェハ搬送装置20は、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在に構成されている。またウェハ搬送装置20は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム22、22を有している。各搬送アーム22は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム22の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そしてウェハ搬送装置20は、カセット載置台10のカセットC及び後述するトランジション装置30に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
搬送ブロックG2には、ウェハ搬送装置20のX軸正方向側において、当該ウェハ搬送装置20に隣接して、重合ウェハTを受け渡すためのトランジション装置30が設けられている。
処理ブロックG3は、ウェハ搬送装置40、周縁除去装置50、洗浄装置60、裏面検査装置70、内部改質装置80、及び界面改質装置90を有している。
ウェハ搬送装置40は、X軸方向に延伸する搬送路41上を移動自在に構成されている。またウェハ搬送装置40は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム42、42を有している。各搬送アーム42は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム42の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そしてウェハ搬送装置40は、トランジション装置30、周縁除去装置50、洗浄装置60、裏面検査装置70、内部改質装置80及び界面改質装置90に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
周縁除去装置50は、第1のウェハW1の周縁部Weの除去、すなわちエッジトリムを行う。なお、周縁除去装置50の詳細な構成は後述する。洗浄装置60は、重合ウェハTを洗浄する。裏面検査装置70は例えば洗浄装置60と積層して設けられ、エッジトリム後の重合ウェハTの裏面を検査する。レーザ照射部としての内部改質装置80は、第1のウェハW1の内部にレーザ光(内部用レーザ光、例えばYAGレーザ)を照射し、周縁部Weの剥離の基点となる周縁改質層M1、及び周縁部Weの小片化の基点となる分割改質層M2を形成する。レーザ照射部としての界面改質装置90は、周縁部Weの剥離の基点となる第1のウェハW1と第2のウェハW2の界面にレーザ光(界面用レーザ光、例えばCO2レーザ)を照射し、後述の未接合領域Aeを形成する。
以上のウェハ処理システム1には、制御部としての制御装置100が設けられている。制御装置100は例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1における重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。またプログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置等の駆動系の動作を制御して、ウェハ処理システム1における後述のウェハ処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置100にインストールされたものであってもよい。
本実施形態にかかるウェハ処理システム1は以上のように構成されている。次に、上述した周縁除去装置50について説明する。
図3に示すように周縁除去装置50は、重合ウェハTを上面で保持するチャック51を有している。チャック51は、第1のウェハW1が上側、第2のウェハW2が下側に配置された状態で、第2のウェハW2の裏面W2bを保持する。またチャック51は回転機構52によって鉛直軸周りに回転可能に構成され、チャック51上に保持された重合ウェハTに対する後述の起点形成部材251、及び挿入部材53の相対的な周方向位置を調節可能に構成されている。
チャック51の側方には、第1のウェハW1と第2のウェハW2の界面に挿入されることで、当該界面に周縁部Weの剥離の起点となる切込み部Tcを形成する、起点形成部材251が設けられている。起点形成部材251の構成は任意であるが、例えば矩形板状の刃部251aを先端に有するように構成される。
またチャック51の側方には、第1のウェハW1と第2のウェハW2の界面、より具体的には起点形成部材251により形成された切込み部Tcに挿入されることで第1のウェハW1の周縁部Weを剥離する、挿入部材53が設けられている。挿入部材53は、図3に示すように側面視において先端がとがった形状(例えばくさびローラやブレード等)を有し、図示しない回転機構により鉛直軸周りに回転自在に構成されている。挿入部材53の先端部は、起点形成部材251の刃部251aよりも重合ウェハT側に位置している。
なお、本実施形態においては、起点形成部材251と挿入部材53とが、本開示の技術に係る「除去部材」を構成する。
また起点形成部材251及び挿入部材53は、水平移動機構54によりチャック51に保持された重合ウェハTに対して進退方向に移動可能に構成されるとともに、図4(a)に示すように、昇降機構55によりチャック51に保持された重合ウェハTとの相対的な高さ位置が調節可能に構成されている。なお、起点形成部材251と挿入部材53は水平方向及び高さ方向に対して一体に移動するように構成されてもよいし、それぞれ独立して移動するように構成されてもよい。
そして周縁除去装置50においては、先ず、水平移動機構54により起点形成部材251を水平方向に移動させ、第1のウェハW1の表面W1aと第2のウェハW2の表面W2aとの間を目標位置として起点形成部材251を挿入する。これにより、周縁部Weの剥離の起点となる切込み部Tcを形成する。さらに、水平移動機構54により挿入部材53を目標位置、すなわち形成された切込み部Tcに挿入する。そしてこれにより、周縁部Weが第2のウェハW2から押し上げられた状態となり、その後、挿入部材53が界面に挿入された状態でチャック51を回転させることにより、周縁部Weが第1のウェハW1(重合ウェハT)から剥離して除去される(以下、周縁部Weが第2のウェハW2から剥離する実際の高さ位置を、「剥離界面」という場合がある)。
またチャック51の側方には、当該チャック51を取り囲むようにカップ体56が設けられている。カップ体56の下部には、周縁部Weの回収機構(図示せず)が接続され、挿入部材53の挿入により第1のウェハW1から除去された第1のウェハW1の周縁部Weを受け止め、当該回収機構へと排出する。
チャック51の上方には、チャック51に保持された重合ウェハT、起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置を検知する高さ検知機構57が設けられている。高さ検知機構57としては、例えば非接触式のレーザ変位計を用いることができる。そして高さ検知機構57は、例えば第1のウェハW1の裏面W1b側から周縁部Weに対してレーザ光を照射することで、チャック51に保持された重合ウェハTの高さ位置を検知する。検知された重合ウェハTの高さ位置は、制御装置100に出力される。そして周縁除去装置50においては、検知された重合ウェハTの高さ位置と、予め取得された起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置に基づいて、重合ウェハTに対する起点形成部材251及び挿入部材53の相対的な高さ位置を調節する。換言すれば、検知された重合ウェハTの高さ位置を基準として昇降機構55により起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置を調節し、当該起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置を、予め定められた周縁部Weの剥離界面の高さ位置と一致させる。なお、起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置は、例えば起点形成部材251及び挿入部材53を水平移動機構54により高さ検知機構57の下方に移動させることで検知することができる。また例えば、高さ検知機構57を図示しない移動機構により移動させ、起点形成部材251又は挿入部材53の上方に移動させることにより検知してもよい。
なお、この高さ検知機構57による起点形成部材251、又は挿入部材53の高さ位置の検知においては、上述のように起点形成部材251と挿入部材53の先端がずれて配置されているため、すなわち挿入部材53の先端が重合ウェハT側に位置しているため、これら起点形成部材251及び挿入部材53の高さ検知を適切に行うことができる。
また高さ検知機構57は、エッジトリム後の重合ウェハTに対してレーザ光を照射することで、第1のウェハW1から周縁部Weが適切に除去されたか否かを検知することができる。具体的には、エッジトリム後の第1のウェハW1の周縁部Weに対応する位置において高さ位置を検知し、検知された高さ位置をエッジトリム前の第1のウェハW1の周縁部Weの高さ位置と比較することで、エッジトリム後における周縁部Weの有無を検知できる。すなわち高さ検知機構57は、後述するように「剥離検査機構」として動作することができる。
なお、エッジトリム後における周縁部Weの有無は、高さ検知機構57に代えて、エッジトリム後における周縁部Weの有無を検査するための剥離検査機構(図示せず)を用いることにより検査してもよい。剥離検査機構は、例えば高さ検知機構57と同様に重合ウェハTの高さ位置を検知することにより周縁部Weの有無を検査してもよいし、例えば撮像部(例えばCCDカメラ等)を用いるによことりエッジトリム後の第1のウェハW1を撮像して検査してもよい。
本実施形態の一例にかかる周縁除去装置50は以上のように構成されるが、周縁除去装置50の構成はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態においては回転機構52によりチャック51を回転させることで、チャック51と起点形成部材251及び挿入部材53の相対的な周方向位置を調節したが、回転機構52に代えて、又は加えて、起点形成部材251及び挿入部材53を重合ウェハTの周方向に沿って移動可能に構成してもよい。
例えば、周縁除去装置50には起点形成部材251及び挿入部材53の刃先の状態、具体的には、起点形成部材251及び挿入部材53の欠損の有無、欠損の位置等を検査するための部材検査機構(図示せず)が更に設けられていてもよい。部材検査機構としては、例えばCCDカメラやCMOSカメラ等を用いることができる。
例えば、上記実施形態においては図4(a)に示したように昇降機構55により起点形成部材251及び挿入部材53を昇降させることで、目標位置に対する起点形成部材251及び挿入部材53の相対的な高さ位置を調節したが起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置の調整方法はこれに限定されない。例えば、図4(b)に示すように昇降機構によりチャック51を昇降可能に構成してもよいし、例えば、図4(c)に示すように水平移動機構54を昇降可能に構成し、当該水平移動機構54と一体に起点形成部材251及び挿入部材53を昇降可能に構成してもよい。
例えば、上記実施形態においては高さ検知機構57により裏面W1b側から周縁部Weに対してレーザ光を照射することで重合ウェハTの高さ位置を検知したが、第1のウェハW1の中央部Wcにおける周縁部Weの近傍に対してレーザ光を照射して重合ウェハTの高さ位置を検知してもよい。また例えば、高さ検知機構57により第2のウェハW2の裏面W2b側からレーザ光を照射してもよい。すなわち第2のウェハW2の裏面W2bを基準として昇降機構55により起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置を調節してもよい。
例えば、上記実施形態においては高さ検知機構57として非接触式のレーザ変位計を用いたが、上述の剥離検査機構と同様に、高さ検知機構57として撮像部(例えばCCDカメラやCMOSカメラ等)を用いてもよい。すなわち、チャック51に保持された重合ウェハTを撮像し、撮像された画像に基づいて起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置を調整してもよい。
次に、以上のように構成されたウェハ処理システム1、及び周縁除去装置50を用いて行われるウェハ処理について説明する。なお本実施形態では、ウェハ処理システム1の外部に設けられた接合装置(図示せず)において第1のウェハW1と第2のウェハW2が接合され、予め重合ウェハTが形成されている。
先ず、複数の重合ウェハTを収納したカセットCが、搬入出ブロックG1のカセット載置台10に載置された後、ウェハ搬送装置20によりカセットC内の重合ウェハTが取り出される。カセットCから取り出された重合ウェハTは、トランジション装置30を介してウェハ搬送装置40に受け渡された後、界面改質装置90に搬送される。界面改質装置90では、図5(a)に示すように、重合ウェハT(第1のウェハW1)を回転させながら第1のウェハW1とデバイス層D1の界面(より具体的には当該界面に形成された上述のレーザ吸収層)にレーザ光(例えば8.9μm〜11μmの波長を有するCO2レーザ)を照射し、未接合領域Aeを形成する(図6のステップS1)。
未接合領域Aeにおいては第1のウェハW1とデバイス層D1の界面が改質、又は剥離され、第1のウェハW1と第2のウェハW2の接合強度が低下、又は無くされる。これにより第1のウェハW1とデバイス層D1の界面には、環状の未接合領域Aeと、当該未接合領域Aeの径方向内側において、第1のウェハW1と第2のウェハW2が接合された接合領域Acが形成される。後述するエッジトリムにおいては、除去対象である第1のウェハW1の周縁部Weが除去されるが、このように未接合領域Aeが存在することで、周縁部Weを適切に除去することができる。
未接合領域Aeが形成された重合ウェハTは、次に、ウェハ搬送装置40により内部改質装置80へと搬送される。内部改質装置80では、図5(b)及び図7に示すように、第1のウェハW1の内部に周縁改質層M1及び分割改質層M2を形成する(図6のステップS2)。周縁改質層M1は、後述のエッジトリムにおいて周縁部Weを除去する際の基点となるものである。分割改質層M2は、除去される周縁部Weの小片化の基点となるものである。なお以降の説明に用いる図面においては、図示が複雑になることを回避するため、分割改質層M2の図示を省略する場合がある。
ここで周縁改質層M1の形成位置は、ステップS1で形成された未接合領域Aeの内端よりも若干径方向内側に決定される。周縁改質層M1は、接合領域Acと未接合領域Aeの境界(以下、単に「境界」という。)と重なる位置に形成されることが理想であるが、例えば加工誤差等により径方向にずれて形成される場合がある。そして、これにより周縁改質層M1が境界から径方向外側に離れた位置、すなわち未接合領域Aeに形成されると、エッジトリム後に第2のウェハW2に対して第1のウェハW1が浮いた状態になる場合がある。この点、周縁改質層M1を境界よりも径方向内側に形成するように制御することにより、周縁改質層M1の形成位置がずれたとしても、境界と重なる位置、又は境界よりも径方向外側であっても当該境界と近接した位置に周縁改質層M1を形成することができ、境界から径方向外側に離れた位置に周縁改質層M1が形成されるのを抑制できる。
なお周縁改質層M1からは、図5(b)に示したように、第1のウェハW1の内部において厚み方向にクラックC1が伸展する。同様に、分割改質層M2からはクラックC2(図示せず)が第1のウェハW1の内部において厚み方向に伸展する。
第1のウェハW1の内部に周縁改質層M1及び分割改質層M2が形成された重合ウェハTは、次に、ウェハ搬送装置40により周縁除去装置50へと搬送される。周縁除去装置50では、図5(c)に示すように第1のウェハW1の周縁部Weの除去、すなわちエッジトリムが行われる(図6のステップS3)。この時、周縁部Weは周縁改質層M1及びクラックC1を基点として第1のウェハW1の中央部Wcから剥離されるとともに、未接合領域Aeを基点としてデバイス層D1(第2のウェハW2)から剥離される。またこの時、除去される周縁部Weは分割改質層M2及びクラックC2を基点として小片化される。
周縁除去装置50において行われるエッジトリムについて具体的に説明する。
第1のウェハW1の周縁部Weのエッジトリムにあたっては、周縁除去装置50への重合ウェハTの搬入に先立って、周縁除去装置50の内部における起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置が取得される(図8のステップS3−0)。具体的には、水平移動機構54により起点形成部材251及び挿入部材53を高さ検知機構57の下方に移動させ、起点形成部材251及び挿入部材53にレーザ光を照射することで、起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置が検知される。なお、かかる起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置は、周縁除去装置50での重合ウェハTの処理毎に高さ検知機構57により検知して取得してもよいし、予め制御装置100に記憶された起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置を参照することにより取得してもよい。
周縁除去装置50に搬入された重合ウェハTは、先ず、重合ウェハTの水平方向の向きが調整(ノッチアライメント)される(図8のステップS3−1)。ノッチアライメントにあたっては、チャック51に保持された重合ウェハTを回転機構52により回転させながら、第1のウェハW1の周縁部Weに形成されたノッチ部(図示せず)の位置を検出し、当該ノッチ部の位置を調節する。
続いて、重合ウェハTの界面に挿入される起点形成部材251の高さ位置が調整(高さアライメント)される(図8のステップS3−2)。高さアライメントにあたっては、図9(a)に示すように高さ検知機構57を用いてチャック51に保持された重合ウェハTの上面(第1のウェハW1の裏面W1b)の高さ位置を検知する。そして、検知された重合ウェハT上面の高さ位置、及びステップS3−0で取得された起点形成部材251の高さ位置に基づいて昇降機構55により起点形成部材251の高さ位置を調節する。この時、当該起点形成部材251の高さ位置は、起点形成部材251を挿入する目標位置である第1のウェハW1と第2のウェハW2の間の予め定められた位置に決定される。
ここで、上述したように重合ウェハTに反りが生じている場合や、重合ウェハやデバイス層の面内厚みのバラつきが生じている場合、起点形成部材251及び挿入部材53を挿入する目標位置が、重合ウェハTの周方向で安定していないおそれがある。そして、このように目標位置が安定しない場合、起点形成部材251を所望の界面高さに挿入できないおそれや、後述のように挿入部材53を挿入しながら重合ウェハTを回転させた際に、挿入部材53の挿入高さ位置に対して目標位置にずれが生じ、適切に周縁部Weを剥離できないおそれがある。
そこで本実施形態にかかる高さアライメントにおいては、回転機構52によりチャック51に保持された重合ウェハTを回転させながら周縁部Weに対してレーザ光を照射することで、重合ウェハTの全周における高さ位置を検知する。そして、剥離界面に対する起点形成部材251及び挿入部材53の挿入に際しては、検知された重合ウェハTの高さ位置、及び、重合ウェハTに対する起点形成部材251及び挿入部材53の相対的な周方向位置に基づいて、起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置を調節する。
起点形成部材251の高さアライメントが行われると、次に、水平移動機構54を用いて起点形成部材251の刃部251aを目標位置に挿入し、図9(b)に示すように挿入部材53の挿入の目標位置となる切込み部Tcを形成する(図8のステップS3−3)。具体的には、ステップS3−2で決定された挿入高さ位置、すなわち第1のウェハW1と第2のウェハW2との間の予め定められた位置に起点形成部材251を挿入し、切込み部Tcを形成する。なお、図9(b)に示したように、挿入部材53は起点形成部材251の挿入時において、重合ウェハTと干渉しない位置に退避可能に構成されてもよい。
なお、重合ウェハTの周方向における切込み部Tcの形成数は任意に決定することができ、周方向において1箇所のみに形成されてもよいし、複数個所に形成してもよい。かかる場合、図7に示したようにステップS2において形成された一の分割改質層M2と、周方向に隣接する他の分割改質層M2の間の領域(以下、「分割領域R」という場合がある。)のそれぞれにおいて少なくとも1つ以上の切込み部Tcを形成することが好ましい。また例えば、重合ウェハTの全周に切込み部Tcを形成してもよい。ただし、剥離界面に起点形成部材251が挿入された状態で重合ウェハTを回転させた場合、上述のように刃部251aに衝撃が加わり欠損が生じるおそれがある。このため、重合ウェハTの全周に切込み部Tcを形成する場合、起点形成部材251の挿入と退避を繰り返し行うことが好ましい。この時、起点形成部材251の挿入高さは、重合ウェハTに対する起点形成部材251の相対的な周方向位置に応じて調節される。
なお、重合ウェハTの周方向に対する起点形成部材251の挿入位置は、前述の分割領域R内に、すなわち、分割改質層M2の形成位置を避けて決定されることが好ましい。またこの時、起点形成部材251の挿入位置(切込み部Tcの形成位置)は、重合ウェハTの回転に伴う分割領域Rの上流側(前述の一の分割改質層M2の近傍)であることがより好ましい。
なお、切込み部Tcの形成に際しては、剥離界面に対する刃部251aの挿入時において、昇降機構55により起点形成部材251を重合ウェハTの厚み方向に揺動させるように移動させてもよい。これにより剥離界面には周縁部Weの剥離方向に力が作用し、形成される切込み部Tcが拡大する。そしてこのように切込み部Tcを拡大することで、後述する切込み部Tcへの挿入部材53の挿入をより適切に行うことができる。
剥離界面に切込み部Tcが形成されると、次に、切込み部Tcに挿入される挿入部材53の高さアライメントが行われる(図8のステップS3−4)。高さアライメントにあたっては、ステップS3−0で取得された挿入部材53の高さ位置、及びステップS3−2で検知された重合ウェハT上面の高さ位置に基づいて、昇降機構55により挿入部材53の高さ位置を調節する。この時、挿入部材53の高さ位置は、挿入部材53を挿入する目標位置である第1のウェハW1と第2のウェハW2の間の予め定められた位置、好ましくはステップS3−3において形成された切込み部Tcの形成高さに決定される。
なお、本実施形態においてはこのように起点形成部材251、及び挿入部材53の重合ウェハTに対する挿入時においてそれぞれ高さアライメントを行ったが、例えば起点形成部材251と挿入部材53の間隔が固定されている場合には、挿入部材53の高さアライメント(ステップS3−4)を省略してもよい。
挿入部材53の高さアライメントが行われると、次に、図9(c)に示すように水平移動機構54を用いて挿入部材53を目標位置に挿入する(図8のステップS3−5)。具体的には、ステップS3−4で決定された挿入高さ位置、すなわち第1のウェハW1と第2のウェハW2との間の予め定められた位置であって、好ましくは切込み部Tcの形成高さに、挿入部材53を挿入する。第1のウェハW1と第2のウェハW2との間に挿入部材53が挿入されると、図9(c)に示したように、第1のウェハW1の周縁部Weが第2のウェハW2から剥離する方向に応力Nが作用し、その後、図9(d)に示すように周縁改質層M1及びクラックC1を基点に周縁部Weが剥離する。この時、挿入部材53は例えばくさび形状を有しているため、挿入部材53の先端部が第1のウェハW1と第2のウェハW2との間に挿入されれば、当該挿入部材53により周縁部Weに対して適切に応力Nを作用させることができる。またこの時、第1のウェハW1とデバイス層D1の界面には未接合領域Aeが形成され、これにより第1のウェハW1と第2のウェハW2の接合強度が低下、もしくは無くされている。このため、挿入部材53の挿入により応力Nが作用すると、周縁部Weは、この接合強度が低下された未接合領域Aeが基点となって第2のウェハW2から剥離される。なお、図9(c)に示したように、起点形成部材251は挿入部材53の切込み部Tcへの挿入時において、重合ウェハTと干渉しない位置に退避可能に構成されてもよい。
このように、図9(c)に示したように第1のウェハW1と第2のウェハW2との間に挿入部材53を挿入して周縁部Weに対して応力Nを作用させることができれば、未接合領域Aeを基点として周縁部Weを第2のウェハW2から剥離することができる。換言すれば、周縁部Weの除去にあたっては、挿入部材53の重合ウェハTに対する挿入高さが、必ずしも剥離界面となる未接合領域Aeの形成高さと一致していなくとも、周縁部Weを適切に第2のウェハW2から除去することができる。そして、このように挿入部材53の挿入高さと周縁部Weの剥離界面の高さ位置が異なる場合、挿入部材53が重合ウェハWに衝突することが抑制され、安全に周縁部Weの除去を行うことができる。挿入部材53の重合ウェハTに対する挿入高さは、第1のウェハW1と第2のウェハW2との接合面である表面膜F1と表面膜F2の界面が、より好ましい。第1のウェハW1と第2のウェハW2との接合面である表面膜F1と表面膜F2の界面には図9(c)で示すように、非接合面である空間が僅かに形成される場合、その空間に挿入部材53が挿入されやすいためである。そのため、効率的に剥離界面に対して応力Nを作用させることが出来る。
ここで、上述のように切込み部Tcは重合ウェハTの回転に伴う分割領域Rの上流側(前述の一の分割改質層M2の近傍)に形成されているため、挿入部材53は図10(a)に示すように分割領域Rの上流側に挿入される。このように分割領域Rの上流側に挿入部材53を挿入することにより、一の分割改質層M2は周縁部Weの剥離による引張力を受けて破断する。
挿入部材53を重合ウェハTに挿入すると、次に、回転機構52によりチャック51に保持された重合ウェハTを回転させ、これにより周縁部Weの剥離を周方向(重合ウェハTの回転方向)に伸展させる(図8のステップS3−6)。この時、挿入部材53は重合ウェハTの回転に追従して鉛直軸周りに供回りする。その後、図10(b)に示すように挿入部材53が分割領域Rの他端側(前述の他の分割改質層M2の近傍)に達すると、他の分割改質層M2は周縁部Weの剥離による引張力を受けて破断し、これにより周縁部Weが小片化される。そして、このように分割領域Rの全長において周縁部Weが剥離し、小片化されると、図9(e)及び図10(c)に示すように、当該分割領域Rにおける周縁部Weが第1のウェハW1(重合ウェハT)から除去される(図8のステップS3−7)。なお、除去された周縁部Weは自重によりカップ体56の内部へと落下し、その後、図示しない回収機構へと回収される。
一の分割領域Rにおける周縁部Weが除去されると、続けて、隣接する次の分割領域Rにおける周縁部Weの除去が行われる。この時、一の分割領域Rにおける周縁部Weの除去後にそのまま重合ウェハTの回転を継続した場合、挿入部材53が次の分割領域Rにおける周縁部Weの一端部に衝突することで重合ウェハTの回転方向とは逆向きの反力が加わり、周縁部Weを適切に除去できないおそれがある。
そこで、次の分割領域Rにおける周縁部Weの除去に際しては、当該周縁部Weの剥離を開始する前に水平移動機構54により挿入部材53を退避させ、分割改質層M2を避けた分割領域Rの上流側(切込み部Tcの形成位置)において、挿入部材53の挿入を再度行うことが好ましい。これにより、周縁部Weの小片化及び除去をより適切に行うことができる。
なお、上述のように目標位置である第1のウェハW1と第2のウェハW2の間の高さ位置が重合ウェハTの周方向で安定していない場合、当該重合ウェハTの回転に伴って起点形成部材251の挿入高さ位置と目標位置にずれが生じ、適切に切込み部Tcを形成できないおそれがある。またこのように切込み部Tcを適切に形成できない場合、挿入部材53の挿入高さ位置と目標位置にずれが生じ、適切に周縁部Weを除去できないおそれがある。この点、本実施形態においてはステップS3−2、及びステップS3−4において検知された重合ウェハTの全周における高さ位置に基づいて、重合ウェハTの周位置に応じて起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置を調節する。換言すれば、検知された重合ウェハTの全周における高さ位置に基づいて、重合ウェハTの全周における起点形成部材251及び挿入部材53の挿入高さを算出し、算出された挿入高さに追従して昇降機構55により起点形成部材251及び挿入部材53の高さを調整する。これにより、重合ウェハTの全周において周縁部Weを適切に剥離することができる。
重合ウェハTの全周で周縁部Weの除去処理が行われると、続いて、周縁部Weの除去状態を確認するためのプロセス確認検査が行われる(図6のステップS4)。具体的には、高さ検知機構57を用いてエッジトリム後の周縁部Weに対応する位置において高さ位置を検知し、検知された高さ位置情報をエッジトリム前の周縁部Weの高さ位置情報と比較することで、周縁部Weが適切に除去されたか否かを確認できる。なお、このプロセス確認検査は、上述したように高さ検知機構57としての撮像部を用いて、エッジトリム後の周縁部Weに対応する位置を撮像することにより行ってもよい。
なお、プロセス確認検査と並行して、上述の部材検査機構(図示せず)を用いて起点形成部材251及び挿入部材53の欠損の有無、欠損の位置等を検査してもよい。また、当該部材検査機構を用いて上述のプロセス確認検査を行うようにしてもよい。
プロセス確認検査においてエッジトリムが適切に行われていないと判断されると、エッジトリムが適切に行われていない箇所、すなわち周縁部Weが残存する重合ウェハTの周方向位置と、当該残存する周縁部Weの大きさ等が検知される。そして、周縁部Weが残存する重合ウェハTの周位置まで挿入部材53を相対的に移動させた後、再度、挿入部材53の挿入による残存した周縁部Weの除去(図6のステップS3)、及び当該再度の除去処理後におけるプロセス確認検査(図6のステップS4)を行う。
なお、プロセス確認検査後の再度の周縁部Weの除去処理においては、重合ウェハTに対する起点形成部材251及び挿入部材53の挿入高さを、ステップS4のプロセス確認検査時に検知された高さ位置に基づいて決定してもよいし、ステップS3−2の高さアライメント時に検知された高さ位置に基づいて決定してもよい。
プロセス確認検査においてエッジトリムが適切に行われたと判断された重合ウェハTは、次に、ウェハ搬送装置40により洗浄装置60へと搬送される。洗浄装置60では、周縁部Weが除去された後の重合ウェハTが洗浄される(図6のステップS5)。
続いて重合ウェハTは、ウェハ搬送装置40により裏面検査装置70へと搬送される。裏面検査装置70では、周縁部Weが除去された後の重合ウェハTの裏面、すなわち第2のウェハW2の裏面W2bに対するパーティクルの付着が検査される(図6のステップS6)。なお、裏面検査装置70では、第2のウェハW2の裏面W2bと共に、第1のウェハW1の裏面W1bの検査がさらに行われてもよい。。
その後、全てのウェハ処理が施された重合ウェハTは、トランジション装置30を介してウェハ搬送装置20によりカセット載置台10のカセットCに搬送される。こうして、ウェハ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
以上の実施形態によれば、挿入部材53の挿入に先立って、起点形成部材251により剥離の起点となる切込み部Tcを形成し、当該切込み部Tcに対して挿入部材53を挿入するため、当該挿入部材53の挿入を容易に行うことができる。具体的には、重合ウェハTに対する挿入部材53の押し付け荷重を低減することができ、これによりエッジトリム品質の低下のリスク、及び重合ウェハの破損のリスクを低減することができる。
また、このように挿入部材53の押し付け荷重が低減されることから、当該挿入部材53の剛性、強度等を落とすことが可能になり、これにより挿入部材53を小型化、軽量化することができる。更に、このように挿入部材53の押し付け荷重が低減されることから当該挿入部材53の寿命低下を抑制することができ、これによりウェハ処理システムの維持にかかるコストを低下することができる。
また、このように挿入部材53の押し付け荷重が低減されることで、重合ウェハTに対するレーザ照射にかかるプロセスマージンを増やすことができる。具体的には、重合ウェハTに対するレーザ光の照射条件を緩和することができるとともに、レーザ光の照射にかかる調整工数を削減することができる。
また、以上の実施形態によれば、起点形成部材251及び挿入部材53を挿入する目標位置が安定していない場合であっても、起点形成部材251及び挿入部材53が昇降機構55により昇降自在に構成されているため、挿入高さ位置を適切に調整することができる。また、重合ウェハTの全周において、起点形成部材251及び挿入部材53を挿入する目標位置である第1のウェハW1と第2のウェハW2の間の高さ位置を検知するため、この目標位置の変化に追従して適切に起点形成部材251及び挿入部材53を昇降させることができる。すなわち、本実施形態によれば周縁部Weを適切に第1のウェハW1から除去することができる。
なお、以上の実施形態においては高さアライメントにおいて重合ウェハTの全周において高さ位置の検知等を行った後、挿入部材53を挿入し、重合ウェハTの回転に際して挿入部材53の高さ位置を調節して周縁部Weの除去を行った。しかしながら、周縁部Weのエッジトリムにおける重合ウェハTの高さ位置の検知、及び挿入部材53の挿入高さの計算(以下、併せて「高さ位置の検知等」という。)のタイミングはこれに限られるものではない。例えば、重合ウェハTの回転方向における挿入部材53の挿入位置よりも上流側において高さ検知機構57により重合ウェハTの高さ位置の検知等を行い、検知された高さ位置情報に基づいて、高さ検知機構57の下流側において挿入部材53の挿入、及び高さ位置の調節を行ってもよい。換言すれば、重合ウェハTの高さ位置の検知等と、挿入部材53の挿入及び高さ位置の調節を同時に行ってもよい。また同様に、重合ウェハTの高さ位置の検知等と、起点形成部材251の挿入及び高さ位置の調節を同時に行ってもよい。
また、以上の実施形態においては高さアライメントにおいて重合ウェハTの全周の高さ位置の検知等を行った後、検知された高さ位置情報に基づいて起点形成部材251の高さ位置を調整して切込み部Tcを形成したが、この高さアライメント及び切込み部Tcの形成は分割領域毎に行われてもよい。すなわち、例えばエッジトリムにおいては、一の分割領域における起点形成部材251の高さ位置の検知等と、一の分割領域における切込み部Tcの形成と、が重合ウェハTの全周において繰り返し行われてもよい。またこの時、一の分割領域における切込み部Tcの形成が行われている際に、次の分割領域における重合ウェハTの高さ位置の検知等を並行して行うようにしてもよい。また同様に、挿入部材53の高さ位置の検知等と、周縁部Weの除去と、が分割領域毎に行われてもよい。
また更に、以上の実施形態においては重合ウェハTの高さ位置の検知等を行った後、例えば重合ウェハTの回転方向における高さ検知機構57の下流側において、又は例えば当該高さ位置の検知等の後のステップにおいて、重合ウェハTに挿入される起点形成部材251又は挿入部材53の高さ位置を調整したが、高さ位置の検知等と高さ位置の調整は同時並行で行われてもよい。すなわち、高さ位置の検知等で取得された高さ位置情報に対してリアルタイムに起点形成部材251、又は挿入部材53の高さ位置を追従させてもよい。
なお、このように起点形成部材251、又は挿入部材53の高さ位置をリアルタイムに追従させて周縁部Weの除去を行う場合、重合ウェハTの高さ位置の調整方法はレーザ変位計により検知された高さ位置に基づく方法には限られず、ガイド部材を物理的接触させてもよい。
具体的には、図11に示すように第2の実施形態にかかる周縁除去装置150は、高さ検知機構57に代えてガイド部材151を有する。ガイド部材151は、重合ウェハTの上面、すなわち第1のウェハW1の裏面W1bに接触して走行する接触部材152(例えばローラ等)と、当該接触部材152と起点形成部材251及び挿入部材53を一体に接続するアーム部材153と、を備えている。そして本実施形態において起点形成部材251及び挿入部材53は、接触部材152の昇降に伴って、アーム部材153を介して一体に昇降する。また起点形成部材251及び挿入部材53は、水平移動機構54により接触部材152及びアーム部材153とは独立して水平方向に移動自在に構成されている。また起点形成部材251及び挿入部材53は、アーム部材153に対して、固定できるように構成される。
周縁除去装置150におけるエッジトリムにおいては、接触部材152をチャック51に保持された重合ウェハTの上面、すなわち第1のウェハW1の裏面W1bに接触させる。かかる状態でチャック51に保持された重合ウェハTを回転させると、接触部材152は、重合ウェハTの上面の高さ位置の変化に追従して昇降する。ここで、起点形成部材251及び挿入部材53はアーム部材153により接触部材152と一体に接続されているため、接触部材152の高さ位置の変化、すなわち重合ウェハTの上面の高さ位置の変化に追従して昇降する。
このため、接触部材152を重合ウェハTの上面に接触させた状態で起点形成部材251、又は挿入部材53を重合ウェハTに対して挿入すし、起点形成部材251又は挿入部材53をアーム部材153に対して固定することで、周縁部Weの剥離界面の高さ位置が安定していない場合であっても、起点形成部材251、又は挿入部材53の重合ウェハTに対する挿入高さ位置を適切に追従させることができる。
なお、以上の実施形態におけるエッジトリムでは、重合ウェハTの高さ位置に基づいて算出される目標位置に対して挿入部材53の高さ位置を追従させたが、重合ウェハTに挿入された挿入部材53の高さ位置は固定されてもよい。すなわち、例えば高さアライメントにおいて算出される目標位置が、全周において安定している場合、又は、安定していないとしてもそのバラつきが許容される閾値内に収まる場合、挿入部材53の高さ位置を固定した場合であっても適切に周縁部Weを除去することができる。なお、閾値に対する目標位置のバラつきは、例えば検知された全周における高さ位置情報の平均値、中央値、最大値や最小値等に基づいて算出することができる。そして、このようにエッジトリムにおいて挿入部材53の高さ位置を固定することで、エッジトリム時における制御が容易になる。
またこの時、重合ウェハTに対する挿入部材53の挿入高さ位置は、周縁部Weの分割領域毎に決定されてもよい。さらに、周縁部Weの分割領域毎に、挿入部材53の高さ位置を固定するか、挿入部材53を目標位置に対して追従させるか、を判断してもよい。
なお周縁除去装置には、少なくとも第1のウェハW1のエッジトリム時において、重合ウェハTに発生した反りを矯正するための押圧部材(図示せず)が更に設けられていてもよい。上記実施形態においては重合ウェハTの全周における高さ位置を検知することで、重合ウェハTの反りや面内厚みに起因する目標位置のバラつきを算出し、これに基づいて起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置を調整した。しかしながら、このようにエッジトリム時に押圧部材により重合ウェハTの反りを解消することで、目標位置のバラつき、すなわち起点形成部材251及び挿入部材53の高さ位置の調整量を小さくすることができる。すなわち、より適切に第1のウェハW1から周縁部Weを除去することができる。
なお、以上の実施形態においては、第1のウェハW1と第2のウェハW2が接合された重合ウェハTにおいて、第1のウェハW1の周縁部Weを除去する場合を例に説明を行ったが、本開示内容に係る技術は、第1のウェハW1を表面W1a側と裏面W1b側とに分離して薄化する場合においても適用できる。具体的には、図12に示すように、第1のウェハW1の内部に第1のウェハW1の周縁部Weの剥離の起点となる周縁改質層M1と、分離の起点となる内部面改質層M3と、が形成されている場合であって、重合ウェハTから周縁部Weと裏面W1b側の分離ウェハを一体に除去する場合に適用できる。かかる場合、図12に示すように、第1のウェハW1と第2のウェハW2の間の任意の位置を目標位置として切込み部Tcを形成することで、更に適切に第1のウェハW1の分離を行うことができる。
また例えば、本開示内容に係る技術は、第1のウェハW1の全体を第2のウェハW2から除去し、第1のウェハW1に形成されたデバイス層D1を第2のウェハW2に対して転写する場合、すなわち重合ウェハTのレーザリフトオフ処理においても適用できる。かかる場合、図13に示すように、第1のウェハW1と第2のウェハW2の間の任意の位置を目標位置として切込み部Tcを形成することで、更に適切に第1のウェハW1のデバイス層D1の転写を行うことができる。
なお、以上の実施形態においてはウェハ処理システム1の界面改質装置90において、未接合領域Aeを形成したが、未接合領域Aeの形成タイミングはこれに限定されるものではない。例えば、重合ウェハTの形成後、ウェハ処理システム1への搬入前の重合ウェハTに対して未接合領域Aeを形成してもよい。また例えば、ウェハ処理システム1の外部において、第2のウェハW2の接合前の第1のウェハW1に対して未接合領域Aeを形成してもよい。
また、未接合領域Aeの形成位置も第1のウェハW1とデバイス層D1との界面には限られず、例えば表面膜F1に形成してもよいし、第1のウェハW1と第2のウェハW2の接合界面に形成してもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
1 ウェハ処理システム
50 周縁除去装置
53 挿入部材
80 内部改質装置
90 界面改質装置
251 起点形成部材
T 重合ウェハ
Tc 切込み部
We 周縁部
W1 第1のウェハ
W2 第2のウェハ
50 周縁除去装置
53 挿入部材
80 内部改質装置
90 界面改質装置
251 起点形成部材
T 重合ウェハ
Tc 切込み部
We 周縁部
W1 第1のウェハ
W2 第2のウェハ
Claims (17)
- 第1の基板と第2の基板が接合された重合基板を処理する装置であって、
少なくとも前記第1の基板の周縁部を前記第2の基板から剥離する除去部材を有し、
前記除去部材は、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に挿入することで、前記重合基板に切込みを形成する起点形成部材と、
前記起点形成部材により形成された前記切込みに挿入する挿入部材と、を有する基板処理装置。 - 前記重合基板に対する前記除去部材の目標の挿入位置に対する当該除去部材の相対的な高さ位置を調節する昇降機構を有する、請求項1に記載の基板処理装置。
- 前記昇降機構は、前記起点形成部材及び前記挿入部材を一体に昇降させる、請求項2に記載の基板処理装置。
- 前記昇降機構は、前記起点形成部材及び前記挿入部材を、それぞれ独立して昇降させる、請求項2に記載の基板処理装置。
- 前記除去部材を前記重合基板に対して進退方向に移動させる水平移動機構を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記水平移動機構は、前記起点形成部材及び前記挿入部材を一体に水平方向に対して移動させる、請求項5に記載の基板処理装置。
- 前記水平移動機構は、前記起点形成部材及び前記挿入部材を、それぞれ独立して水平方向に対して移動させる、請求項5に記載の基板処理装置。
- 前記重合基板に対する前記除去部材の相対的な周方向位置を調節する回転機構を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記起点形成部材は、前記重合基板の周方向位置の調節後、静止した状態の前記重合基板に対して挿入されることで前記切込みを形成し、
前記挿入部材は、前記重合基板に挿入された状態のまま、前記重合基板の周方向位置の調節を行い、前記周縁部の除去を行う、請求項8に記載の基板処理装置。 - 前記起点形成部材は、前記重合基板の周方向に対して複数の前記切込みを形成する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
- 前記第1の基板の周縁部の内部には、前記周縁部を周方向に対して複数の分割領域に分割する分割改質層が形成されており、
前記起点形成部材は、複数の前記分割領域のそれぞれにおいて前記切込みを形成する、請求項10に記載の基板処理装置。 - 第1の基板と第2の基板が接合された重合基板を処理する方法であって、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に起点形成部材を挿入して切込みを形成することと、
前記切込みに挿入部材を挿入し、少なくとも前記第1の基板の周縁部を前記第2の基板から剥離することと、を含む基板処理方法。 - 前記重合基板に対する前記起点形成部材の目標の挿入位置に対する当該起点形成部材の相対的な高さ位置を調節することを含む、請求項12に記載の基板処理方法。
- 前記重合基板に対すると前記起点形成部材の相対的な周方向位置を調節することを含み、
前記起点形成部材は、前記重合基板に対する前記起点形成部材の周方向位置に応じて前記目標の挿入位置に対する相対的な高さ位置が調節される、請求項13に記載の基板処理方法。 - 前記起点形成部材は、前記重合基板の周方向位置の調節後、静止した状態の前記重合基板に対して挿入されることで前記切込みを形成し、
前記挿入部材は、前記重合基板に挿入された状態のまま、前記重合基板の周方向位置の調節及び前記重合基板に対する相対的な高さ位置の調節を行う、請求項14に記載の基板処理方法。 - 前記重合基板の周方向に対して複数の前記切込みを形成する、請求項12〜15のいずれか一項に記載の基板処理方法。
- 前記第1の基板の周縁部の内部には、前記周縁部を周方向に対して複数の分割領域に分割する分割改質層が形成されており、
複数の前記分割領域のそれぞれにおいて前記切込みを形成する、請求項16に記載の基板処理方法。
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JP2020074941A Pending JP2021174806A (ja) | 2020-04-20 | 2020-04-20 | 基板処理装置及び基板処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021174806A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023157566A1 (ja) * | 2022-02-18 | 2023-08-24 | 東京エレクトロン株式会社 | 処理方法及び処理システム |
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2020
- 2020-04-20 JP JP2020074941A patent/JP2021174806A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023157566A1 (ja) * | 2022-02-18 | 2023-08-24 | 東京エレクトロン株式会社 | 処理方法及び処理システム |
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