JP2021172213A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】操縦安定性および耐ピンチカット性能がバランスよく改善されたタイヤを提供する。【解決手段】トレッドを備えたタイヤであって、前記タイヤの最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量WT(kg)の比(WT/WL)が0.0150以下であり、前記トレッドは、ゴム成分を含有するゴム組成物からなる3層以上のゴム層を有し、そのうち少なくとも1つのゴム層を構成するゴム組成物の30℃におけるtanδが0.15以上であり、30℃における複素弾性率(E*30)が5.0MPa以上であるタイヤ。【選択図】図1

Description

本発明は、操縦安定性および耐ピンチカット性能がバランスよく改善されたタイヤに関する。
タイヤが路面上の突起物を乗り越えるときや、このタイヤがポットホールに落ち込んだときに、タイヤのビードの部分が大きく変形することがある。通常、ビードの周りには、カーカスプライが位置しているが、ビードの部分の変形によりカーカスプライに引張応力が負荷され、その結果カースプライに含まれるコードが切断されることが起こりうる。このコードの切断を伴う損傷は、ピンチカットと称される。
特許文献1には、耐ピンチカット性能を向上させることを目的としたタイヤが記載されている。
特開2019−202578号公報
特許文献1では、タイヤ重量が大きい方が荷重耐久性および耐ピンチカット性能が高い例が示されている。しかしながら、今後は、タイヤ重量を小さくしつつ、耐ピンチカット性能を高めることが求められると考えられる。
本発明は、操縦安定性および耐ピンチカット性能がバランスよく改善されたタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、タイヤの最大負荷能力に対するタイヤ重量、およびトレッドを構成するゴム組成物のtanδおよび複素弾性率を所定の範囲とすることにより、操縦安定性および耐ピンチカット性能がバランスよく改善されたタイヤが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
〔1〕トレッドを備えたタイヤであって、前記タイヤの最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量WT(kg)の比(WT/WL)が0.0150以下であり、前記トレッドは、ゴム成分を含有するゴム組成物からなる3層以上のゴム層を有し、そのうち少なくとも1つのゴム層を構成するゴム組成物の30℃におけるtanδが0.15以上であり、30℃における複素弾性率(E*30)が5.0MPa以上であるタイヤ、
〔2〕前記ゴム組成物の0℃におけるtanδが0.35以上である、〔1〕記載のタイヤ、
〔3〕前記タイヤ重量WT(kg)に対する前記ゴム組成物の30℃におけるtanδの比(30℃におけるtanδ/WT)が0.010超である、〔1〕または〔2〕記載のタイヤ、
〔4〕前記ゴム組成物の比重が1.270以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔5〕前記ゴム成分100質量部に対する補強用充填剤の含有量が110質量部以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔6〕前記ゴム成分が、ガラス転移温度が−14℃以下のブタジエンゴムを20質量%以上含有する、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔7〕前記ゴム組成物の30℃におけるtanδが0.28以下である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔8〕前記トレッドが、複数の周方向溝によって仕切られた陸部を有し、前記陸部の延長線と前記周方向溝の溝底の最深部の延長線との距離をHとしたとき、距前記陸部の最表面から半径方向内側への距離Hの領域の少なくとも一部に、前記ゴム組成物により構成されたゴム層が配置された、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔9〕前記陸部の最表面から半径方向内側への距離Hの領域にゴム層が2層以上存在し、2層以上のゴム層のうちの少なくとも1つのゴム層が前記ゴム組成物により構成されている、〔8〕記載のタイヤ、に関する。
タイヤの最大負荷能力に対するタイヤ重量、およびトレッドを構成するゴム組成物のtanδおよび複素弾性率を所定の範囲とした本発明のタイヤは、操縦安定性および耐ピンチカット性能がバランスよく改善される。
タイヤのトレッドの一部が模式的に示された拡大断面図である。 タイヤの断面における、タイヤ断面幅Wt、タイヤ断面高さHt、およびタイヤ外径Dtを示す図である。
本開示の一実施形態であるタイヤは、トレッドを備えたタイヤであって、前記タイヤの最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量WT(kg)の比(WT/WL)が0.0150以下であり、前記トレッドは、ゴム成分を含有するゴム組成物からなる3層以上のゴム層を有し、そのうち少なくとも1つのゴム層を構成するゴム組成物の30℃におけるtanδが0.15以上であり、30℃における複素弾性率(E*30)が5.0MPa以上である。
前記ゴム組成物の30℃におけるtanδおよび30℃における複素弾性率(E*30)が上記の要件を満たすことで、得られたタイヤは、操縦安定性および耐ピンチカット性能がバランスよく改善される。その理由については、理論に拘束されることは意図しないが、以下のように考えられる。
最大負荷能力に対して軽いタイヤは、路面凹凸による衝撃を緩和しにくい傾向がある。本開示のタイヤによれば、異なる物性を有する3層以上のゴム層およびその界面にて段階的に衝撃を減衰させることが可能であり、かつ、30℃におけるtanδが所定の値より大きいゴム層によってエネルギーを吸収し、カーカスプライに負荷される引張応力を緩和することで、耐ピンチカット性能が改善されると考えられる。したがって、ゴム層の30℃における複素弾性率(E*30)を大きくしてもピンチカットは生じにくくなるので、その複素弾性率(E*30)を所定の値より大きくすることにより、操縦安定性も確保することができると考えられる。
なお、本明細書において最大負荷能力WL(kg)は、タイヤに250kPaの空気を充填したときのタイヤ断面幅をWt(mm)、タイヤ断面高さをHt(mm)、タイヤ外径をDt(mm)としたとき、下記式(1)および(2)により算出される値であり、JATMA規格で定められるロードインデックス(LI)に基づく最大負荷能力よりも50kg〜100kgほど小さい値となる。
V={(Dt/2)^2−(Dt/2−Ht)^2}×π×Wt ・・・(1)
L=0.000011×V+100 ・・・(2)
前記タイヤ重量WT(kg)に対する前記ゴム組成物の30℃におけるtanδの比(30℃におけるtanδ/WT)は、0.010超が好ましく、0.015超がより好ましく、0.020超がさらに好ましく、0.022超がさらに好ましく、0.024超がさらに好ましく、0.026超が特に好ましい。タイヤ重量が軽くなるにつれて、路面凹凸による衝撃は緩和されにくくなる傾向がある。タイヤ重量WT(kg)に対する前記ゴム組成物の30℃におけるtanδの比(30℃におけるtanδ/WT)を前記の範囲とすることにより、タイヤ重量に応じて前記ゴム組成物の30℃におけるtanδを高めることとなる。その結果、本開示のゴム層によりエネルギーを吸収しやすくし、カーカスプライに負荷される引張応力を緩和することで、耐ピンチカット性能が改善されると考えられる。
前記の少なくとも1層のゴム層を構成するゴム組成物は、ゴム成分を含有し、上記物性を満たすゴム組成物であれば特に限定はされないが、ブタジエンゴムを20質量%以上含有するゴム成分100質量部に対し、補強用充填剤の含有量が110質量部以下であるゴム組成物が好ましい。
本開示に係るタイヤは、最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量WT(kg)の比(WT/WL)は0.0150以下であり、0.0140以下が好ましく、0.0130以下がより好ましく、0.0127以下がさらに好ましく、0.0125以下が特に好ましい。
最大負荷能力WL(kg)は、本開示の効果をより良好に発揮する観点から、300以上が好ましく、400以上がより好ましく、450以上がさらに好ましく、500以上が特に好ましい。また、最大負荷能力WL(kg)は、本開示の効果をより良好に発揮する観点から、例えば、1300以下、1200以下、1100以下、1000以下、900以下、800以下、700以下、650以下とすることができる。
本開示のトレッドは、3層以上のゴム層を有している。該ゴム層の構成は、特に制限されないが、例えば、外面がトレッド面を構成する第一層、第一層の半径方向内側に隣接している第二層、第二層の半径方向内側に隣接している第三層を有する。第一層は、典型的にはキャップトレッド(最表層)に相当する。第二層、第三層は、典型的にはベーストレッドまたはアンダートレッドに相当する。また、本発明の目的が達成される限り、第三層とベルトの外側層との間に、さらに1または2以上のゴム層を有していてもよい。
本開示のゴム組成物を第一層として配置した場合は、複数の周方向溝によって仕切られた陸部を前記ゴム層(第一層)が形成することとなり、路面への追従性が良好となり乗り心地性能を向上させるとともに、路面との摩擦による発熱を低減することで耐ピンチカット性能を向上させることができると考えられる。また、本開示のゴム組成物を第一層の半径方向内側に配置した場合(例えば、第二層が本開示のゴム組成物によって構成されている場合)は、路面からのゴム層の遠い位置に柔らかいゴム層(本開示のゴム組成物によって構成された第二層)が存在することになり、前記陸部のせん断による変形が生じた際に、前記ゴム層に変形を集中させ、発熱性の低いゴム層で効率的に変形させることができるため、耐ピンチカット性能を向上させることができると考えられる。
図1は、タイヤのトレッドの一部が模式的に示された拡大断面図である。図1において、上下方向がタイヤ半径方向であり、左右方向がタイヤ幅方向であり、紙面に垂直な方向がタイヤ周方向である。
本開示のトレッドは、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝1を有している。周方向溝1は、周方向に沿って直線状に延びていてもよく、周方向に沿ってジグザグ状に延びていてもよい。
本開示のトレッドは、タイヤ幅方向で、周方向溝1によって仕切られた陸部2を有している。
周方向溝1の溝深さHは、陸部2の延長線4と周方向溝1の溝底の最深部の延長線5との距離によって求められる。なお、溝深さHは、例えば、周方向溝1が複数ある場合、陸部2の延長線4と、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1(図1においては左側の周方向溝1)の溝底の最深部の延長線5との距離とすることができる。本開示のタイヤは、陸部2の最表面(トレッド面3)からタイヤ半径方向内側への距離Hの領域の少なくとも一部に、上述した所定のゴム組成物により構成されたゴム層を配置することが好ましい。また、本開示のタイヤは、陸部2の最表面からタイヤ半径方向内側への距離Hの領域に、ゴム層が2層以上存在し、2層以上のゴム層のうちの少なくとも1つのゴム層が所定のゴム組成物により構成されていることが好ましい。ゴム層が2層以上によって構成されている場合、2層以上のゴム層のうち、少なくとも1つが上述した所定のゴム組成物によって構成されていればよい。
本開示では、トレッドは、図1に示されるように、外面がトレッド面3を構成する第一層6と、第一層6の半径方向内側に隣接する第二層7とを備えている。図1の左側に示された一方の周方向溝1は、周方向溝1の溝底の最深部が、第二層7の外面に対してタイヤ半径方向内側に位置するように形成されている。具体的には、第二層7は外面に対してタイヤ半径方向内側に凹んだ凹部を有し、第一層6の一部が第二層7の当該凹部内に所定の厚さで形成されている。周方向溝1は第二層7の外面を越えて第二層7の凹部の内側へ入り込むように形成されている。なお、周方向溝1は、図1の右側に示される周方向溝1のように、第二層7の外面に到達しない溝深さで形成されていてもよい。
図1において、両矢印t1は第一層6の厚み、両矢印t2は第二層7の厚み、両矢印t3は第三層8の厚みである。図1には、陸部2のタイヤ幅方向の中点が、記号Pとして示されている。記号Nで示される直線は、点Pを通り、この点Pにおける接平面に垂直な直線(法線)である。本明細書では、厚みt1、t2およびt3は、図1の断面において、溝が存在しない位置におけるトレッド面上の点Pから引いた法線Nに沿って測定される。
本開示において、第一層6の厚みt1は特に限定されないが、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上がさらに好ましい。また、第一層7の厚みt1は、10.0mm以下が好ましく、9.0mm以下がより好ましく、8.0mm以下がさらに好ましい。
本開示において、第二層7の厚みt2は特に限定されないが、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上がさらに好ましい。また、第二層7の厚みt2は、10.0mm以下が好ましく、9.0mm以下がより好ましく、8.0mm以下がさらに好ましい。
本開示において、第三層8の厚みt3は特に限定されないが、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上がさらに好ましい。また、第三層8の厚みt3は、10.0mm以下が好ましく、9.0mm以下がより好ましく、8.0mm以下がさらに好ましい。
前記の少なくとも1層のゴム層を構成するゴム組成物は、初期歪5%、動歪1%、周波数10Hzの条件下で、30℃におけるtanδが0.15以上であり、0.15超が好ましく、0.16以上がより好ましく、0.17以上がさらに好ましい。また、30℃におけるtanδは、0.28以下が好ましく、0.27以下がより好ましく、0.26以下がさらに好ましい。
前記の少なくとも1層のゴム層を構成するゴム組成物は、初期歪5%、動歪1%、周波数10Hzの条件下で、30℃における複素弾性率(E*30)が5.0MPa以上であり、5.5MPa以上が好ましく、6.0MPa以上がより好ましく、6.4MPa以上がさらに好ましく、6.8MPa以上が特に好ましい。
前記の少なくとも1層のゴム層を構成するゴム組成物は、初期歪10%、動歪2.5%、周波数10Hzの条件下の条件下で、0℃におけるtanδが0.35以上であることが好ましく、0.40以上がより好ましく、0.45以上がさらに好ましく、0.50以上が特に好ましい。ゴム層(好ましくは第一層6)を構成するゴム組成物の0℃におけるtanδを上記の範囲とすることにより、ウェットグリップ性能が良好となる傾向がある。
前記の少なくとも1層のゴム層を構成するゴム組成物の比重は、操縦安定性の観点から、1.270以下が好ましく、1.260以下がより好ましく、1.250以下がさらに好ましい。
本開示の一実施形態であるトレッドを含むタイヤの作製手順について、以下に詳細に説明する。但し、以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。なお、本明細書において、「〜」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
<ゴム成分>
本開示に係るゴム組成物は、ゴム成分としてイソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。第一層6および第二層7を構成するゴム成分は、SBRを含むことが好ましく、SBRおよびBRを含むことがより好ましい。また、第一層6および第二層7を構成するゴム成分は、イソプレン系ゴム、SBR、およびBRを含むゴム成分としてもよく、SBRおよびBRのみからなるゴム成分としてもよく、イソプレン系ゴム、SBR、およびBRのみからなるゴム成分としてもよい。第三層8を構成するゴム成分は、イソプレン系ゴムを含むことが好ましい。また、第三層8を構成するゴム成分は、イソプレン系ゴムおよびBRを含むゴム成分としてもよく、イソプレン系ゴムおよびBRのみからなるゴム成分としてもよい。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム等を、変性NRとしてはエポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等を、変性IRとしてはエポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等を挙げることができる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イソプレン系を含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、加工性および耐ピンチカット性能の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。一方、イソプレン系のゴム成分中の含有量の上限は特に制限されないが、トレッド部での減衰性の確保の観点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
(SBR)
SBRとしては特に限定されず、溶液重合SBR(S−SBR)、乳化重合SBR(E−SBR)、これらの変性SBR(変性S−SBR、変性E−SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加SBR)等も使用することができる。なかでもS−SBRが好ましく、変性S−SBRがより好ましい。
変性SBRとしては、通常この分野で使用される官能基が導入された変性SBRが挙げられる。上記官能基としては、例えば、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシシリル基)、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、カルボキシル基、水酸基等の官能基が挙げられる。また、変性SBRとしては、水素添加されたもの、エポキシ化されたもの、スズ変性されたもの等を挙げることができる。
SBRとしては油展SBRを用いることもできるし、非油展SBRを用いることもできる。油展SBRを用いる場合、SBRの油展量、すなわち、SBRに含まれる油展オイルの含有量は、SBRのゴム固形分100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましい。
前記で列挙されたSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記で列挙されたSBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、ZSエラストマー(株)等により製造・販売されているSBRを使用することができる。
SBRのスチレン含量は、トレッド部での減衰性の確保およびウェットグリップ性能の観点から、15質量%以上が好ましく、20質量%以上より好ましい。また、グリップ性能の温度依存性および耐摩耗性能の観点からは、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。なお、本明細書において、SBRのスチレン含有量は、1H−NMR測定により算出される。
SBRのビニル結合量は、シリカとの反応性の担保、ゴム強度や耐摩耗性能の観点から10モル%以上が好ましく、13モル%以上がより好ましく、16モル%以上がさらに好ましい。また、SBRのビニル結合量は、温度依存性の増大防止、ウェットグリップ性能、破断伸び、および耐摩耗性能の観点から、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのビニル結合量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から15万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、25万以上がさらに好ましい。また、Mwは、架橋均一性等の観点から、250万以下が好ましく、200万以下がより好ましい。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製のGPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。
SBRを含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、トレッド部での減衰性の確保およびウェットグリップ性能の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上が特に好ましい。また、トレッド部の発熱抑制による耐ピンチカット性能向上の観点からは、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
(BR)
BRとしては特に限定されず、例えば、シス1,4結合含有率(シス含量)が90%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。変性BRとしては、上記SBRで説明したのと同様の官能基等で変性されたBRが挙げられる。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)製のもの、宇部興産(株)製のもの、JSR(株)製のもの等が挙げられる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。シス含量は、好ましくは、95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上である。シス含量は98%以上でも好ましい。なお、本明細書において、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析により算出される値である。
希土類系BRとしては、希土類元素系触媒を用いて合成され、ビニル結合量(1,2結合ブタジエン単位量)が好ましくは1.8モル%以下、より好ましくは1.0モル%以下、さらに好ましくは0.8%モル以下であり、シス含量(シス−1,4結合含有率)が好ましくは95モル%以上、より好ましくは96%モル以上、さらに好ましくは97%以上である。希土類系BRとしては、例えば、ランクセス(株)製のものなどを用いることができる。
SPB含有BRは、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶が、単にBR中に結晶を分散させたものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものが挙げられる。このようなSPB含有BRとしては、宇部興産(株)製のものなどを用いることができる。
変性BRとしては、末端および/または主鎖がケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性された変性ブタジエンゴム(変性BR)が好適に用いられる。
その他の変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3−ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ−炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)等が挙げられる。また、変性BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。
前記で列挙されたBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRのガラス転移温度(Tg)は、低温脆性防止の観点から、−14℃以下が好ましく、−17℃以下がより好ましく、−20℃以下がさらに好ましい。一方、該Tgの下限値は特に制限されないが、耐摩耗性の観点から、−150℃以上が好ましく、−120℃以上がより好ましく、−110℃以上がさらに好ましい。なお、BRのガラス転移温度は、JIS K 7121に従い、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量測定(DSC)を行って測定される値である。
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から、30万以上が好ましく、35万以上がより好ましく、40万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性等の観点からは、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製のGPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。
BRを含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、耐摩耗性能および耐ピンチカット性能の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。また、ウェットグリップ性能の観点からは、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、35質量%以下が特に好ましい。
(その他のゴム成分)
本開示に係るゴム成分として、前記のイソプレン系ゴム、SBRおよびBR以外のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等が挙げられる。これらその他のゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<補強用充填剤>
本開示に係るゴム組成物は、補強用充填剤として、カーボンブラックおよびシリカを含有することが好ましい。また、補強用充填剤は、カーボンブラックおよびシリカのみからなる補強用充填剤としてもよい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、具体的にはN110、N115、N120、N125、N134、N135、N219、N220、N231、N234、N293、N299、N326、N330、N339、N343、N347、N351、N356、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N660、N683、N754、N762、N765、N772、N774、N787、N907、N908、N990、N991等を好適に用いることができ、これ以外にも自社合成品等も好適に用いることができる。これらのカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、耐候性や補強性の観点から、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上がさらに好ましい。また、分散性、低燃費性能、破壊特性および耐ピンチカット性能の観点からは、250m2/g以下が好ましく、220m2/g以下がより好ましい。なお、本明細書におけるカーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2「ゴム用カーボンブラック基本特性−第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」のA法に準じて測定される値である。
カーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、耐候性や補強性の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、トレッド部の発熱抑制による耐ピンチカット性能向上の観点からは、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、補強性およびトレッド部での減衰性の確保の観点から、140m2/g以上が好ましく、150m2/g以上がより好ましく、160m2/g以上がさらに好ましく、170m2/g以上が特に好ましい。また、発熱性および加工性の観点からは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるシリカのN2SAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの平均一次粒子径は、20nm以下が好ましく、18nm以下がより好ましい。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、5nm以上がさらに好ましい。シリカの平均一次粒子径が前期の範囲であることによって、シリカの分散性をより改善でき、補強性、破壊特性、耐摩耗性をさらに改善できる。なお、シリカの平均一次粒子径は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
シリカのゴム成分100質量部に対する含有量は、トレッド部での減衰性の確保およびウェットグリップ性能の観点から、50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、70質量部以上がさらに好ましく、80質量部以上が特に好ましい。また、ゴムの比重を低減させ軽量化を図る観点、およびトレッド部の発熱抑制による耐ピンチカット性能向上の観点からは、120質量部以下が好ましく、110質量部以下がより好ましく、105質量部以下がさらに好ましく、100質量部以下が特に好ましい。
(その他の補強用充填剤)
シリカおよびカーボンブラック以外の補強用充填剤としては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルク等、従来からタイヤ工業において一般的に用いられているものを配合することができる。
第一層6および第二層7を構成するゴム組成物の、シリカおよびカーボンブラックの合計100質量%中のシリカの含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。また、該シリカの含有率は、99質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましく、95質量%以下がさらに好ましい。第三層8を構成するゴム組成物の、シリカおよびカーボンブラックの合計100質量%中のカーボンブラックの含有率は、50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
補強用充填剤のゴム成分100質量部に対する合計含有量は、ゴムの比重を低減させ軽量化を図る観点から、130質量部以下が好ましく、120質量部以下がより好ましく、110質量部以下がさらに好ましく、105質量部以下が特に好ましい。また、補強性およびトレッド部での減衰性の確保の観点から、55質量部以上が好ましく、65質量部以上がより好ましく、75質量部以上がさらに好ましく、85質量部以上が特に好ましい。
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、下記のメルカプト系シランカップリング剤;ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤;等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤を含有することが好ましい。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
メルカプト系シランカップリング剤は、下記式(1)で表される化合物、および/または下記式(2)で表される結合単位Aと下記式(3)で表される結合単位Bとを含む化合物であることが好ましい。
Figure 2021172213
(式中、R101、R102、およびR103は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、または−O−(R111−O)z−R112(z個のR111は、それぞれ独立して、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表し;R112は、炭素数1〜30のアルキル、炭素数2〜30のアルケニル、炭素数6〜30のアリール、または炭素数7〜30のアラルキルを表し;zは、1〜30の整数を表す。)で表される基を表し;R104は、炭素数1〜6のアルキレンを表す。)
Figure 2021172213
Figure 2021172213
(式中、xは0以上の整数を表し;yは1以上の整数を表し;R201は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシルもしくはカルボキシルで置換されていてもよい炭素数1〜30のアルキル、炭素数2〜30のアルケニル、または炭素数2〜30のアルキニルを表し;R202は、炭素数1〜30のアルキレン、炭素数2〜30のアルケニレン、または炭素数2〜30のアルキニレンを表し;ここにおいて、R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
式(1)で表される化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランや、下記式(4)で表される化合物(エボニックデグサ社製のSi363)等が挙げられ、下記式(4)で表される化合物を好適に使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2021172213
式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物としては、例えば、モメンティブ社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60、NXT−Z100等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤を含有する場合のシリカ100質量部に対する含有量は、シリカの分散性を高める観点から、1.0質量部以上が好ましく、3.0質量部以上がより好ましく、5.0質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の低下を防止する観点からは、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
<樹脂成分>
本開示に係るゴム組成物は、樹脂成分を含有することが好ましい。樹脂成分としては、特に限定されないが、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
石油樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、C5C9系石油樹脂が挙げられる。これらの石油樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本明細書において「C5系石油樹脂」とは、C5留分を重合することにより得られる樹脂をいう。C5留分としては、例えば、シクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等の炭素数4〜5個相当の石油留分が挙げられる。C5系石油樹脂しては、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)が好適に用いられる。
本明細書において「芳香族系石油樹脂」とは、C9留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C9留分としては、例えば、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデン、メチルインデン等の炭素数8〜10個相当の石油留分が挙げられる。芳香族系石油樹脂の具体例としては、例えば、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、および芳香族ビニル系樹脂が好適に用いられる。芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、発熱性に優れているという理由から、α−メチルスチレンもしくはスチレンの単独重合体、またはα−メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、クレイトン社、イーストマンケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
本明細書において「C5C9系石油樹脂」とは、前記C5留分と前記C9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分およびC9留分としては、前記の石油留分が挙げられる。C5C9系石油樹脂としては、例えば、東ソー(株)、LUHUA社等より市販されているものを使用することができる。
テルペン系樹脂としては、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン等のテルペン化合物から選ばれる少なくとも1種からなるポリテルペン樹脂;前記テルペン化合物と芳香族化合物とを原料とする芳香族変性テルペン樹脂;テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料とするテルペンフェノール樹脂;並びにこれらのテルペン系樹脂に水素添加処理を行ったもの(水素添加されたテルペン系樹脂)が挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂の原料となる芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノール等が挙げられる。
ロジン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば天然樹脂ロジン、それを水素添加、不均化、二量化、エステル化等で変性したロジン変性樹脂等が挙げられる。
フェノール系樹脂としては、特に限定されないが、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールアセチレン樹脂、オイル変性フェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
樹脂成分の軟化点は、ウェットグリップ性能の観点から、60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましい。また、加工性、ゴム成分とフィラーとの分散性向上という観点からは、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度として定義され得る。
樹脂成分としては、乗り心地性能、耐ピンチカット性能およびウェットグリップ性能がバランスよく得られる観点から、芳香族系石油樹脂が好ましく、芳香族ビニル系樹脂がより好ましい。
樹脂成分を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、乗り心地性能およびウェットグリップ性能の観点から、1.0質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、2.0質量部以上がさらに好ましい。また、耐ピンチカット性能の観点からは、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
<その他の配合剤>
本開示に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、オイル、ワックス、加工助剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、動物油脂等が挙げられる。前記プロセスオイルとしてはパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルが挙げられる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、オイル芳香族系プロセスオイルを再抽出したTreated Distillate Aromatic Extract(TDAE)、アスファルトとナフテン油の混合油であるアロマ代替オイル、軽度抽出溶媒和物(mild extraction solvates)(MES)、および重ナフテン系オイル等が挙げられる。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および耐ピンチカット性能の観点からは、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化防止の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
加工助剤としては、未加硫時におけるゴムの低粘度化や離型性の確保を目的とした脂肪酸金属塩や、ゴム成分のミクロな層分離を抑制する観点から広く相溶化剤として市販されているもの等を使用することができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性および破壊強度の観点からは、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩などの老化防止剤が挙げられる。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレキシス社等より市販されているものを使用することができる。
加硫促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸塩系、アルデヒド−アミン系もしくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤が挙げられ、なかでも、所望の効果がより好適に得られる点から、スルフェンアミド系加硫促進剤およびグアニジン系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等が挙げられる。チアゾール系加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。グアニジン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン(DPG)、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等が挙げられる。これらの加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1.0質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、2.0質量部以上がさらに好ましい。また、加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8.0質量部以下が好ましく、7.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらに好ましく、5.0質量部以下が特に好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
本開示に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。
混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150〜170℃で3〜10分間混練りし、ファイナル練り工程では、70〜110℃で1〜5分間混練りする方法が挙げられる。
[タイヤ]
本開示に係るタイヤは、上記ゴム組成物により構成されるトレッドを備えるものであり、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、高性能タイヤ等が挙げられ、乗用車用タイヤが好ましい。なお、本明細書における高性能タイヤとは、グリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
上記ゴム組成物から構成されるトレッドを備えたタイヤは、通常の方法により製造することができる。すなわち、ゴム成分に対して上記各成分を必要に応じて配合した未加硫のゴム組成物を、トレッドを構成する少なくとも1層のゴム層の形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150〜200℃で10〜30分間加硫する方法が挙げられる。
以下、本開示を実施例に基づいて説明するが、本開示はこれら実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
NR:TSR20
SBR:変性溶液重合SBR(スチレン含量:40質量%、ビニル結合量:25モル%、Mw:110万、非油展品)
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR(登録商標)150B(シス含量:97%、Tg:−108℃、Mw:44万)
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製のダイヤブラックN220(N2SA:115m2/g)
シリカ:エボニックデグサ社製のULTRASIL(登録商標)VN3(N2SA:175m2/g、平均一次粒子径:17nm)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:H&R社製のVivaTec400(TDAEオイル)
樹脂成分:クレイトン社製のSylvares SA85(α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体、軟化点:85℃)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
硫黄:細井化学工業(株)製のHK−200−5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS))
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン(DPG))
(実施例および比較例)
表1〜表3に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度150〜160℃になるまで1〜10分間混練りし、混練物を得た。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫することで、試験用加硫ゴム組成物を作製した。
また、得られた未加硫ゴム組成物を用いて、所定の形状の口金を備えた押し出し機でトレッドの第一層(厚さ:4.5mm)、第二層(厚さ:5.0mm)、および第三層(厚さ:2.0mm)の形状に合わせて押し出し成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、表4〜表7に記載の各試験用タイヤを作製した。
なお、表4〜表7の「溝深さH(mm)」は、陸部と周方向溝の溝底の最深部の延長線との距離を表す。
得られた試験用加硫ゴム組成物および試験用タイヤについて下記の評価を行った。評価結果を表1〜表7に示す。なお、各最大負荷能力WL(kg)は、各タイヤに250kPaの空気を充填したときのタイヤ断面幅Wt(mm)、タイヤ断面高さをHt(mm)、およびタイヤ外径をDt(mm)から、前記式(1)および(2)により算出された値である。
<tanδおよび複素弾性率E*測定>
加硫後の各ゴム試験片を、各試験用タイヤのトレッド部の各ゴム層から、タイヤ周方向が長辺となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ2mmで切り出して作製した。各ゴム試験片について、GABO社製のイプレクサーシリーズを用いて、温度0℃、初期歪10%、動歪2.5%、周波数10Hz、および30℃、初期歪5%、動歪1%、周波数10Hzの条件下でtanδを測定した。また、各ゴム試験片について、温度30℃、初期歪5%、動歪1%、周波数10Hzの条件下で複素弾性率(E*)を測定した。結果を表1〜表3に示す。なお、サンプルの厚み方向はタイヤ半径方向とした。
<操縦安定性>
各試験用タイヤに250kPaの空気を充填し、排気量が2000ccである自動車の全輪に装着し、ドライアスファルト面のテストコースにて実車走行を行った。テストドライバーによる120km/hでの走行時の、直進、車線変更、加減速時の各々のフィーリングに基づき、ハンドリング特性を評価した。評価は1点〜10点の整数値で行い、評点が高いほどハンドリング特性に優れる評価基準のもと、テストドライバー10名の合計点を算出した。基準比較例(表4では比較例1、表5では比較例6、表6では比較例10、表7では比較例14)の合計点を基準値(100)に換算し、各試験用タイヤの評価結果を合計点に比例するように指数化して表示した。
<耐ピンチカット性能>
各試験用タイヤに250kPaの空気を充填し、排気量が2000ccである自動車に装着した。装着後、車両に荷物を積み込み、正規荷重に相当する縦荷重をタイヤに負荷した。テストコースの路面上に高さ200mmの突起を設け、この車両を走行させて前輪でこの突起を乗り越えさせた。このタイヤを目視で観察して、ピンチカットによる損傷の発生の有無を確認した。車両の速度は40km/hから開始し、速度を0.5km/hずつ段階的に上昇させて、タイヤに損傷が生じた速度を測定した。基準比較例(表4では比較例1、表5では比較例6、表6では比較例10、表7では比較例14)を100として指数表示した。指数が大きいほど、ピンチカットが発生し難いことを示す。
Figure 2021172213
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表1〜表7の結果より、タイヤの最大負荷能力に対するタイヤ重量、およびトレッドを構成するゴム組成物のtanδおよび複素弾性率を所定の範囲とした本開示のタイヤは、操縦安定性および耐ピンチカット性能がバランスよく改善されていることがわかる。
1・・・周方向溝
2・・・陸部
3・・・トレッド面
4・・・陸部の延長線
5・・・周方向溝の溝底の最深部の延長線
6・・・第一層
7・・・第二層
8・・・第三層
9・・・第二層の外面の延長線
Wt・・・タイヤ断面幅
Ht・・・タイヤ断面高さ
Dt・・・タイヤ外径

Claims (9)

  1. トレッドを備えたタイヤであって、
    前記タイヤの最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量WT(kg)の比(WT/WL)が0.0150以下であり、
    前記トレッドは、ゴム成分を含有するゴム組成物からなる3層以上のゴム層を有し、
    そのうち少なくとも1つのゴム層を構成するゴム組成物の30℃におけるtanδが0.15以上であり、30℃における複素弾性率(E*30)が5.0MPa以上であるタイヤ。
  2. 前記ゴム組成物の0℃におけるtanδが0.35以上である、請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記タイヤ重量WT(kg)に対する前記ゴム組成物の30℃におけるtanδの比(30℃におけるtanδ/WT)が0.010超である、請求項1または2記載のタイヤ。
  4. 前記ゴム組成物の比重が1.270以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記ゴム成分100質量部に対する補強用充填剤の含有量が110質量部以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記ゴム成分が、ガラス転移温度が−14℃以下のブタジエンゴムを20質量%以上含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  7. 前記ゴム組成物の30℃におけるtanδが0.28以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタイヤ。
  8. 前記トレッドが、複数の周方向溝によって仕切られた陸部を有し、
    前記陸部の延長線と前記周方向溝の溝底の最深部の延長線との距離をHとしたとき、
    距前記陸部の最表面から半径方向内側への距離Hの領域の少なくとも一部に、前記ゴム組成物により構成されたゴム層が配置された、請求項1〜7のいずれか一項に記載のタイヤ。
  9. 前記陸部の最表面から半径方向内側への距離Hの領域にゴム層が2層以上存在し、2層以上のゴム層のうちの少なくとも1つのゴム層が前記ゴム組成物により構成されている、請求項8記載のタイヤ。
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