JP2024002354A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

Figure 2024002354000001
【課題】ウェット性能の低下を抑えながら、転がり抵抗の低減を達成できる、タイヤ2の提供。
【解決手段】タイヤ2のトレッド4はキャップゴム、中間ゴム及びベースゴムを含む。キャップゴムの30℃での損失正接が最も高く、ベースゴムの30℃での損失正接が最も低い。トレッド4は、センター部44と一対のサイド部46とを備える。センター部44は、外側センター部48と、中間センター部50と、内側センター部52とを備える。サイド部46は、外側サイド部54と、内側サイド部56とを備える。外側センター部48はキャップゴムからなり、中間センター部50と外側サイド部54とは中間ゴムからなり、内側センター部52と内側サイド部56とはベースゴムからなる。トレッド面Tは、外側センター部48の外面と外側サイド部54の外面とを含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、タイヤに関する。
低発熱性のゴムをトレッドに使用すると、低い転がり抵抗を有するタイヤが得られる。低発熱性のゴムは、グリップ力の点で、発熱性のゴムに比べて劣る。そのため、低発熱性のゴムをトレッドに使用すると、例えば、濡れた路面でのグリップ性能(以下、ウェット性能とも称される。)が低下する。転がり抵抗とウェット性能とをバランスよく整えるのは難しい。転がり抵抗の低減と、ウェット性能の向上とを目指し、様々な検討が行われている(例えば、下記の特許文献1)。
通常トレッドには、トレッド面をなすキャップ層にグリップ性能を考慮した発熱性のゴムが用いられ、キャップ層の径方向内側に位置するベース層に転がり抵抗を考慮した低発熱性のゴム(以下、ベースゴム)が用いられる。
特開2018-2008号公報
転がり抵抗のさらなる低減と、ウェット性能のさらなる向上のために、トレッドのキャップ層を、ベースゴムよりも高発熱性であり、異なる発熱性を有する2つのゴム(キャップゴム及び中間ゴム)で構成することが検討されている。中間ゴムは、キャップゴムよりも発熱しにくく、ベースゴムよりも発熱しやすいゴムである。
濡れた路面での走行が考慮され、トレッドには溝が刻まれる。使用によりトレッドは摩耗し、溝容積は減少する。タイヤの排水性は低下し、路面とトレッド面との間に存在する水の量が増える。この水の量が一定量を超えると、ゴムの発熱性の違いがウェット性能に反映されにくい状況が生じる。
この点を考慮して創造されたトレッドが、図5に示されたトレッドAである。このトレッドAは、径方向外側から順に外側層B、中間層C及び内側層Dを含む。外側層Bがキャップゴムで構成され、中間層Cが中間ゴムで構成され、内側層Dがベースゴムで構成される。
このトレッドAでは、ゴムの発熱性の違いがウェット性能に反映されにくい部分が、キャップゴムよりも発熱しにくい中間ゴムで構成される。このトレッドAによれば、ウェット性能の低下を抑えながら、転がり抵抗の低減を図れる見込みがある。
ところで、軸方向におけるトレッドの、ウェット性能への貢献度に関しては、中央部分の貢献度が外側部分の貢献度よりも高い。この点を考慮すると、トレッドAのように、外側層B全体を高発熱性のキャップゴムで構成する意義はそれほど高くない。転がり抵抗の低減の観点においてこのトレッドAの外側層Bには改善の余地がある。
軸方向におけるトレッドの、ウェット性能への貢献度を考慮して創造されたトレッドが、図6に示されたトレッドEである。このトレッドEでは、図5の内側層D以外の部分、すなわち前述のキャップ層に対応する部分が、軸方向に3分割され、中央に位置するセンター部Fがキャップゴムで構成され、このセンター部Fの外側に位置するそれぞれのサイド部Gが中間ゴムで構成される。
このトレッドEでは、ウェット性能への貢献度の低いサイド部Gが中間ゴムで構成される。そのため、このトレッドEにおいても、転がり抵抗の低減を図れる見込みがある。しかしセンター部Fに注目すると、ゴムの発熱性の違いがウェット性能に反映されにくい部分にキャップゴムが位置する。転がり抵抗の低減の観点においてこのトレッドEのセンター部Fにも改善の余地がある。
図5に示されたトレッドAも、図6に示されたトレッドEも、その構成を見直すことで、高発熱性のキャップゴムのボリュームを減らし、ウェット性能の低下を小さく抑えながら、転がり抵抗のさらなる低減を達成できる見込みがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、ウェット性能の低下を抑えながら、転がり抵抗の低減を達成できる、タイヤの提供にある。
本発明に係るタイヤはトレッドを備え、前記トレッドがトレッド面において路面と接地するタイヤである。前記トレッドは、30℃での損失正接が異なる、キャップゴム、中間ゴム及びベースゴムを含む。前記キャップゴムの30℃での損失正接は前記中間ゴムの30℃での損失正接よりも高く、前記中間ゴムの30℃での損失正接は前記ベースゴムの30℃での損失正接よりも高い。前記トレッドは、センター部と、前記センター部の軸方向外側に位置する一対のサイド部とを備える。前記センター部は、外側センター部と、前記外側センター部の径方向内側に位置する中間センター部と、前記中間センター部の径方向内側に位置する内側センター部とを備える。それぞれの前記サイド部は、外側サイド部と、前記外側サイド部の径方向内側に位置する内側サイド部とを備える。前記外側センター部は前記キャップゴムからなり、前記中間センター部と前記外側サイド部とは前記中間ゴムからなり、前記内側センター部と前記内側サイド部とは前記ベースゴムからなる。前記トレッド面は、前記外側センター部の外面と前記外側サイド部の外面とを含む。
本発明によれば、ウェット性能の低下を抑えながら、転がり抵抗の低減を達成できる、タイヤが得られる。
本発明の一実施形態に係るタイヤの一部を示す断面図である。 ショルダー部分の輪郭線を示す断面図である。 トレッドの構成を示す断面図である。 センター部におけるトレッドの構成を示す断面図である。 従来のトレッドの構成例を示す断面図である。 従来のトレッドの他の構成例を示す断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
本発明のタイヤはリムに組まれる。タイヤの内部には空気が充填され、タイヤの内圧が調整される。本開示において、リムに組まれたタイヤは、タイヤ-リム組立体である。タイヤ-リム組立体は、リムと、このリムに組まれたタイヤとを備える。
本発明において、タイヤを正規リムに組み、タイヤの内圧を正規内圧に調整し、このタイヤに荷重をかけていない状態は、正規状態と称される。
タイヤを正規リムに組み、タイヤの内圧を正規内圧の92%の圧力に調整し、このタイヤに荷重をかけていない状態は、標準状態と称される。
本発明においては、特に言及がない限り、タイヤ各部の寸法及び角度は、正規状態で測定される。
正規リムにタイヤを組んだ状態で測定できない、タイヤの子午線断面における各部の寸法及び角度は、回転軸を含む平面に沿ってタイヤを切断することにより得られる、タイヤの断面(以下、基準切断面)において、測定される。この測定では、左右のビード間の距離は、正規リムに組んだタイヤにおけるビード間の距離に一致するようにセットされる。
正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
正規荷重とは、タイヤが依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最大負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
本発明において、「偏平比の呼び」は、JIS D4202「自動車用タイヤ-呼び方及び諸元」に規定された「タイヤの呼び」に含まれる「偏平比の呼び」である。
本発明において、タイヤのトレッド部とは、路面と接地する、タイヤの部位である。ビード部とは、リムに嵌め合わされる、タイヤの部位である。サイドウォール部とは、トレッド部とビード部との間を架け渡す、タイヤの部位である。タイヤは、部位として、トレッド部、一対のビード部及び一対のサイドウォール部を備える。トレッド部の中央部分はクラウン部分とも称される。トレッド部の端の部分はショルダー部分とも称される。トレッド部とサイドウォール部との境界部分はバットレスとも称される。
本発明において、架橋ゴムとは、ゴム組成物を加圧及び加熱して得られるゴム組成物の成形体である。ゴム組成物は、バンバリーミキサー等の混錬機において、基材ゴム及び薬品を混合することにより得られる未架橋状態のゴムである。架橋ゴムは加硫ゴムとも称され、ゴム組成物は未加硫ゴムとも称される。
基材ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)及びブチルゴム(IIR)が例示される。薬品としては、カーボンブラックやシリカのような補強剤、アロマチックオイル等のような可塑剤、酸化亜鉛等のような充填剤、ステアリン酸のような滑剤、老化防止剤、加工助剤、硫黄及び加硫促進剤が例示される。基材ゴム及び薬品の選定、選定した薬品の含有量等は、ゴム組成物が適用される、トレッド、サイドウォール等の各要素の仕様に応じて、適宜決められる。
本発明において、タイヤを構成する要素のうち、架橋ゴムからなる要素の損失正接(tanδ)は、JIS K6394の規定に準拠して測定される。測定条件は下記の通りである。
初期歪み=10%
動歪み=±1%
周波数=10Hz
モード=伸長モード
温度=30℃
この測定では、試験片(長さ20mm×幅4mm×厚さ1mm)はタイヤからサンプリングされる。試験片の長さ方向は、タイヤの周方向と一致させる。タイヤから試験片をサンプリングできない場合には、測定対象の要素の形成に用いられるゴム組成物を170℃の温度で12分間加圧及び加熱して得られる、シート状の架橋ゴム(以下、ゴムシートとも称される。)から試験片がサンプリングされる。
本発明において損失正接は、30℃での損失正接で表される。
[本発明の実施形態の概要]
[構成1]
本発明の一態様に係るタイヤは、トレッドを備え、前記トレッドがトレッド面において路面と接地するタイヤであって、前記トレッドが、30℃での損失正接が異なる、キャップゴム、中間ゴム及びベースゴムを含み、前記キャップゴムの30℃での損失正接が前記中間ゴムの30℃での損失正接よりも高く、前記中間ゴムの30℃での損失正接が前記ベースゴムの30℃での損失正接よりも高く、前記トレッドが、センター部と、前記センター部の軸方向外側に位置する一対のサイド部とを備え、前記センター部が、外側センター部と、前記外側センター部の径方向内側に位置する中間センター部と、前記中間センター部の径方向内側に位置する内側センター部とを備え、それぞれの前記サイド部が、外側サイド部と、前記外側サイド部の径方向内側に位置する内側サイド部とを備え、前記外側センター部が前記キャップゴムからなり、前記中間センター部と前記外側サイド部とが前記中間ゴムからなり、前記内側センター部と前記内側サイド部とが前記ベースゴムからなり、前記トレッド面が、前記外側センター部の外面と前記外側サイド部の外面とを含む。
このようにタイヤを整えることにより、ゴムの発熱性の違いがウェット性能に反映されにくい部分が、キャップゴムに比べてウェット性能への貢献度が低い中間ゴムで構成される。そのため、このタイヤのトレッドは、外側センター部の径方向内側に位置する中間センター部を中間ゴムで構成しても、図6に示されたトレッドEとほぼ同程度のウェット性能を発揮できる。中間センター部はキャップゴムよりも発熱しにくい中間ゴムからなるので、このタイヤのトレッドではトレッドEに比べてキャップゴムのボリュームが効果的に低減される。このタイヤでは、トレッドEを有する従来タイヤの転がり抵抗よりもさらに低い転がり抵抗が得られる。
さらにこのタイヤでは、外側サイド部が中間ゴムで構成される。トレッドの軸方向外側部分はキャップゴムで構成する意義がそれほど高くないので、このトレッドの軸方向外側部分、すなわち外側サイド部を中間ゴムで構成しても、この外側サイド部をキャップゴムで構成した従来タイヤのトレッド、具体的には、図5に示されたトレッドAとほぼ同程度のウェット性能を、このタイヤのトレッドは発揮できる。外側サイド部は中間ゴムからなるので、このタイヤのトレッドではトレッドAに比べてキャップゴムのボリュームが効果的に低減される。このタイヤでは、トレッドAを有する従来タイヤの転がり抵抗よりもさらに低い転がり抵抗が得られる。
このタイヤは、ウェット性能の低下を抑えながら、転がり抵抗の低減を達成できる。
[構成2]
好ましくは、前述の[構成1]に記載のタイヤにおいては、前記タイヤの偏平比の呼びが60%以上である場合、前記外側センター部の外面の幅の、前記トレッドの幅に対する比率が20%以上40%以下であり、前記偏平比の呼びが45%以上60%未満である場合、前記外側センター部の外面の幅の、前記トレッドの幅に対する比率が30%以上60%以下であり、前記偏平比の呼びが45%未満である場合、前記外側センター部の外面の幅の、前記トレッドの幅に対する比率が60%以上80%以下である。
このようにタイヤを整えることにより、ウェット性能と転がり抵抗とがバランスよく整えられる。このタイヤは、ウェット性能の低下を抑えながら、転がり抵抗の低減を達成できる。
[構成3]
好ましくは、前述の[構成1]又は[構成2]に記載のタイヤにおいて、前記外側センター部の厚さの、前記外側センター部及び前記中間センター部の合計厚さに対する比率が、50%以上70%以下である。
このようにタイヤを整えることにより、ウェット性能と転がり抵抗とがバランスよく整えられる。このタイヤは、ウェット性能の低下を抑えながら、転がり抵抗の低減を達成できる。
[構成4]
好ましくは、前述の[構成1]から[構成3]のいずれかに記載のタイヤにおいて、前記中間ゴムの30℃での損失正接の、前記キャップゴムの30℃での損失正接に対する比率が50%以上70%以下である。
このようにタイヤを整えることにより、乾燥した路面でのグリップ性能(以下、ドライ性能)を適切に維持しながら、ウェット性能と転がり抵抗とがバランスよく整えられる。このタイヤは、ウェット性能の低下だけでなくドライ性能の低下も抑えながら、転がり抵抗の低減を達成できる。
[本発明の実施形態の詳細]
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ2の一部を示す。このタイヤ2は、乗用車用空気入りタイヤである。
図1は、タイヤ2の回転軸を含む平面に沿った、このタイヤ2の断面(以下、子午線断面)の一部を示す。図1において、左右方向はタイヤ2の軸方向であり、上下方向はタイヤ2の径方向である。図1の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の周方向である。一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表す。
図1においてタイヤ2はリムR(正規リム)に組まれている。タイヤ2の内部には空気が充填され、タイヤ2の内圧が調整される。
図1において符号PCで示される位置は、タイヤ2の外面2G(具体的には、後述するトレッド面)と赤道面との交点である。交点PCはタイヤ2の赤道である。赤道面上に溝が位置する場合、溝がないと仮定して得られる仮想外面に基づいて赤道PCは特定される。赤道PCはタイヤ2の径方向外端である。
図1において符号PWで示される位置はタイヤ2の軸方向外端(以下、外端PW)である。模様や文字等の装飾が外面にある場合、外端PWは、装飾がないと仮定して得られる仮想外面に基づいて特定される。
図1において符号WAで示される長さは第一外端PWから第二外端PWまでの軸方向距離である。軸方向距離WAはタイヤ2の最大幅である。外端PWはタイヤ2が最大幅WAを示す位置(最大幅位置)である。正規状態において得られる最大幅WAがタイヤ2の断面幅(JATMA等参照)である。
図1において符号PTで示される位置はタイヤ2のトゥである。トゥPTは、タイヤ2の外面2Gと内面2Nとの境界である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のクリンチ8、一対のビード10、カーカス12、ベルト14、バンド16、一対のチェーファー18及びインナーライナー20を備える。
トレッド4は架橋ゴムからなる。トレッド4はカーカス12の径方向外側に位置する。トレッド4は、トレッド面Tにおいて路面と接地する。
トレッド面Tはタイヤ2の外面2Gの一部である。トレッド面Tにはサイド面Sが連なる。タイヤ2の外面2Gは、トレッド面Tと、一対のサイド面Sとを備える。
図1において符号PHで示される位置は、トレッド面T上の位置である。位置PHは、タイヤ2の、路面との接地面の、軸方向外端に対応する。
位置PHを特定するための接地面は、例えば、接地面形状測定装置(図示されず)を用いて得られる。この接地面は、この装置において、標準状態のタイヤ2のキャンバー角を0°とした状態で、正規荷重の70%の荷重を縦荷重としてこのタイヤ2に負荷して、平面にこのタイヤ2を接触させて得られる。図示されないが、このタイヤ2では、このようにして得られる接地面が基準接地面であり、この基準接地面の軸方向外端に対応する、トレッド面T上の位置が、前述の位置PHである。この位置PHが基準接地端PHである。図1において符号WHで示される長さは、第一の基準接地端PHから第二の基準接地端PHまでの軸方向距離である。軸方向距離WHがこのタイヤ2の基準接地幅であり、標準状態のタイヤ2において計測される。
トレッド4には溝22が刻まれる。これにより、トレッドパターンが構成される。
トレッドパターンを構成する溝22は、周方向に連続して延びる周方向溝24を含む。このタイヤ2では、少なくとも3本の周方向溝24がトレッド4に刻まれる。これにより、少なくとも4本の陸部26がこのトレッド4に構成される。図1に示されたタイヤ2では、4本の周方向溝24がトレッド4に刻まれ、5本の陸部26が構成される。
周方向溝24は、従来タイヤの周方向溝の溝幅及び溝深さと同程度の溝幅及び溝深さを有する。
それぞれのサイドウォール6はトレッド4の径方向内側に位置する。サイドウォール6はカーカス12の軸方向外側に位置する。サイドウォール6は、耐カット性を考慮した架橋ゴムからなる。
サイドウォール6とトレッド4との間にはウィング30が位置する。ウィング30はトレッド4とサイドウォール6とを接合する。ウィング30は、接着性が考慮された架橋ゴムからなる。
それぞれのクリンチ8は、径方向においてサイドウォール6の内側に位置する。クリンチ8はリムRと接触する。クリンチ8は耐摩耗性を考慮した架橋ゴムからなる。
それぞれのビード10は、軸方向においてクリンチ8の内側に位置する。ビード10は、コア32と、エイペックス34とを備える。図示されないが、コア32はスチール製のワイヤを含む。
エイペックス34は、径方向においてコア32の外側に位置する。エイペックス34は外向きに先細りである。エイペックス34は高い剛性を有する架橋ゴムからなる。
カーカス12は、トレッド4、一対のサイドウォール6及び一対のクリンチ8の内側に位置する。カーカス12は、一対のビード10の間、つまり、第一のビード10と第二のビード10との間を架け渡す。カーカス12は少なくとも1枚のカーカスプライ36を含む。
このタイヤ2のカーカス12は2枚のカーカスプライ36で構成される。図示されないが、それぞれカーカスプライ36は並列された多数のカーカスコードを含む。これらカーカスコードは赤道面と交差する。このタイヤ2のカーカス12はラジアル構造を有する。カーカスコードは有機繊維からなるコードである。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が例示される。
2枚のカーカスプライ36のうち、トレッド4の内側において径方向内側に位置するカーカスプライ36が第一カーカスプライ38である。トレッド4の内側において第一カーカスプライ38の径方向外側に位置するカーカスプライ36が第二カーカスプライ40である。
第一カーカスプライ38は、第一プライ本体38aと、一対の第一折り返し部38bとを含む。第一プライ本体38aは、一対のビード10の間を架け渡す。それぞれの第一折り返し部38bは、第一プライ本体38aに連なりそれぞれのビード10で軸方向内側から外側に向かって折り返される。
第二カーカスプライ40は、第二プライ本体40aと、一対の第二折り返し部40bとを含む。第二プライ本体40aは、一対のビード10の間を架け渡す。それぞれの第二折り返し部40bは、第二プライ本体40aに連なりそれぞれのビード10で軸方向内側から外側に向かって折り返される。
このタイヤ2では、第一折り返し部38bの端は最大幅位置PWの径方向外側に位置する。第二折り返し部40bの端は最大幅位置PWの径方向内側に位置する。第二折り返し部40bの端は径方向においてエイペックス34の外端とコア32との間に位置する。
第二折り返し部40bは第一折り返し部38bの軸方向内側に位置する。第二折り返し部40bの端はエイペックス34と第一折り返し部38bとの間に挟まれる。
ベルト14はトレッド4の径方向内側に位置する。ベルト14はカーカス12の径方向外側に位置する。ベルト14はカーカス12に積層される。
図1において、符号WRで示される長さはベルト14の軸方向幅である。軸方向幅WRはベルト14の第一端から第二端までの軸方向距離である。このタイヤ2では、ベルト14の軸方向幅WRは、最大幅WAの65%以上85%以下である。前述の赤道面は、ベルト14の軸方向幅WRの中心においてベルト14と交差する。
ベルト14は、径方向に積層された少なくとも2つの層42で構成される。このタイヤ2のベルト14は、径方向に積層された2つの層42からなる。2つの層42のうち、内側に位置する層42が内側層42aであり、外側に位置する層42が外側層42bである。図1に示されるように、内側層42aは外側層42bよりも幅広い。外側層42bの端から内側層42aの端までの長さは3mm以上10mm以下である。
図示されないが、内側層42a及び外側層42bはそれぞれ、並列した多数のベルトコードを含む。それぞれのベルトコードは赤道面に対して傾斜する。ベルトコードの材質はスチールである。
バンド16は、径方向においてトレッド4とベルト14との間に位置する。バンド16はベルト14に積層される。このバンド16にトレッド4が積層される。
図示されないが、バンド16は、らせん状に巻かれたバンドコードを含む。バンドコードは実質的に周方向に延びる。詳細には、バンドコードが周方向に対してなす角度は、5°以下である。バンド16はジョイントレス構造を有する。このタイヤ2では、有機繊維からなるコードがバンドコードとして用いられる。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が例示される。
このタイヤ2のバンド16はフルバンドからなる。前述の赤道面は、バンド16の軸方向幅の中心においてバンド16と交差する。バンド16はベルト14よりも幅広い。ベルト14の端からバンド16の端までの長さは3mm以上7mm以下である。このバンド16が、軸方向において離間して配置され、フルバンドの端及びベルト14の端を覆う、一対のエッジバンドを含んでもよい。このバンド16が、一対のエッジバンドのみで構成されてもよい。
それぞれのチェーファー18は、ビード10の径方向内側に位置する。チェーファー18はリムRと接触する。このタイヤ2のチェーファー18は布とこの布に含浸したゴムとからなる。
インナーライナー20はカーカス12の内側に位置する。インナーライナー20は、タイヤ2の内面を構成する。インナーライナー20は、気体透過係数が低い架橋ゴムからなる。インナーライナー20は、タイヤ2の内圧を保持する。
図2は、タイヤ2の子午線断面における、外面2Gの輪郭線の一部を示す。本発明において、外面2Gの輪郭線は、溝、模様や文字等の装飾がないと仮定して得られる仮想外面により表される。
詳述しないが、外面2Gの輪郭線は、例えば変位センサーを用いて、標準状態のタイヤ2の外面形状を計測することで得られる。
子午線断面においてトレッド面Tの輪郭線は、軸方向に並ぶ複数の円弧を含む。複数の円弧のうち、軸方向において最も外側に位置する円弧がショルダー円弧である。図2において符号RSで示される部分が、このショルダー円弧で表される部分である。
ショルダー円弧は、トレッド面Tの輪郭線に含まれる複数の円弧の中で、最も小さな半径を有する。トレッド面Tの輪郭線は一対のショルダー円弧を含む。それぞれのショルダー円弧にサイド面Sの輪郭線が連なる。
トレッド面Tの輪郭線のうち、ショルダー円弧以外の部分はメイン輪郭線と称される。詳述しないが、メイン輪郭線は軸方向に並ぶ複数の円弧で構成される。
図2において、符号HUはショルダー円弧の外端である。この外端HUはショルダー円弧とサイド面Sの輪郭線との境界である。符号SHはショルダー円弧の内端である。この内端SHはショルダー円弧とメイン輪郭線との境界である。
図2において直線LSHは、境界SHでショルダー円弧に接する接線である。直線LHUは、境界HUでショルダー円弧に接する接線である。符号PTは、接線LSHと接線LHUとの交点である。本発明においては、この交点PTがトレッド4の基準端である。
図1において、両矢印WTで示される長さはトレッド4の幅(以下、トレッド幅)である。このトレッド幅WTは、第一のトレッド基準端PTから第二のトレッド基準端PTまでの軸方向距離である。トレッド幅WTは標準状態のタイヤ2において計測される。
このタイヤ2では、トレッド幅WTの、最大幅WAに対する比率(WT/WA)は70%以上90%以下である。基準接地面の接地幅WHの、トレッド幅WTに対する比率(WH/WT)は、70%以上90%以下である。
図3は、このタイヤ2のトレッド4の断面図である。図3には、トレッド4の構成が模式的に示される。図3において、左右方向はタイヤ2に軸方向であり、上下方向はタイヤ2の径方向である。紙面の上側が径方向外側であり、その下側が径方向内側である。紙面に対して垂直な方向が、タイヤ2の周方向である。
このタイヤ2のトレッド4は、30℃での損失正接LTが異なる、3種類の架橋ゴム、すなわちキャップゴム、中間ゴム及びベースゴムを含む。このトレッド4は、キャップゴム、中間ゴム及びベースゴムで構成される。詳述しないが、キャップゴム、中間ゴム及びベースゴムの損失正接は、それぞれの架橋ゴムのためのゴム組成物の組成を調整することでコントロールされる。
このタイヤ2では、キャップゴムの30℃での損失正接LTcは中間ゴムの30℃での損失正接LTmよりも高い。中間ゴムの30℃での損失正接LTmは、ベースゴムの30℃での損失正接LTbよりも高い。トレッド4を構成する3種類の架橋ゴムのうち、キャップゴムが最も発熱しやすい。ベースゴムが最も発熱しにくい。中間ゴムはキャップゴムよりも発熱しにくく、ベースゴムよりも発熱しやすい。
このタイヤ2のトレッド4は、センター部44と、一対のサイド部46とを備える。
センター部44は、軸方向において中央に位置する。センター部44は、径方向に並ぶ3つの層で構成される。径方向において外側に位置する層が、外側センター部48である。外側センター部48の径方向内側に位置する層が中間センター部50である。中間センター部50の径方向内側に位置する層が内側センター部52である。センター部44は、外側センター部48、中間センター部50及び内側センター部52を備える。
それぞれのサイド部46は、軸方向においてセンター部44の軸方向外側に位置する。サイド部46は、径方向に並ぶ2つの層で構成される。径方向において外側に位置する層が外側サイド部54である。外側サイド部54の径方向内側に位置する層が内側サイド部56である。サイド部46は外側サイド部54及び内側サイド部56を備える。
このタイヤ2の外側センター部48はキャップゴムからなる。トレッド4のうち、外側センター部で構成される部分はキャップ層58とも称される。
中間センター部50と外側サイド部54とは中間ゴムからなる。トレッド4のうち、中間センター部50及び一対の外側サイド部54で構成される部分は、中間層60とも称される。
内側センター部52及び内側サイド部56はベースゴムからなる。トレッド4のうち、内側センター部52及び一対の内側サイド部56で構成される部分は、ベース層62とも称される。
このトレッド4は、キャップ層58、中間層60及びベース層62を備える。
図1に示されるように、ベース層62はベルト14及びバンド16を覆う。中間層60はベース層62を覆う。ベース層62全体が中間層60で覆われる。キャップ層58はその外面を露出させた状態で中間層60に埋め込まれる。
このタイヤ2では、ベース層62はバンド16の軸方向幅と同等の軸方向幅を有する。ベース層62の軸方向幅は中間層60の軸方向幅よりも狭く、キャップ層58の軸方向幅よりも広い。
このタイヤ2では、トレッド面Tにキャップ層58の外面と中間層60の外面とが含まれる。言い換えれば、トレッド面Tは、外側センター部48の外面と、外側サイド部54の外面とを含む。図3において符号PSで示される位置は、外側センター部48の外面の端であり、トレッド面Tにおける外側センター部48と外側サイド部54との境界である。図1に示されるように、この境界PSは、基準接地端PHの軸方向内側に位置する。
センター部44において外側センター部48と中間センター部50との境界MCは、周方向溝24の溝口24tと溝底24bとの間に位置する。図1において符号PUで示される位置は境界MCの端である。中間センター部50と内側センター部52との境界BMは、周方向溝24の部分では、溝底24bの径方向内側に位置するが、陸部26の部分では、溝底24bの径方向外側に位置する。
濡れた路面での走行が考慮され、このタイヤ2のトレッド4のように、トレッドには溝が刻まれる。使用によりトレッドは摩耗し、溝容積は減少する。タイヤの排水性は低下し、路面とトレッド面との間に存在する水の量が増える。この水の量が一定量を超えると、ゴムの発熱性の違いがウェット性能に反映されにくい状況が生じる。摩耗により、周方向溝の溝深さが、新品タイヤにおける溝深さの75%以上85%以下の範囲にあると、ゴムの発熱性の違いがウェット性能に反映されにくい状況が、生じる傾向にある。
このタイヤ2では、センター部44は、径方向外側から順に、外側センター部48、中間センター部50及び内側センター部52を含む。
前述したように、中間センター部50は、外側センター部48を構成するキャップゴムよりも発熱しにくい、中間ゴムからなる。中間ゴムのウェット性能への貢献度は、キャップゴムのウェット性能への貢献度よりも低い。
ところが、径方向において中間センター部50は、外側センター部48と内側センター部52との間に位置する。このタイヤ2では、ゴムの発熱性の違いがウェット性能に反映されにくい部分が、中間ゴムで構成される。そのため、このタイヤ2のトレッド4は、外側センター部48の径方向内側に位置する中間センター部50を中間ゴムで構成しても、この中間センター部50をキャップゴムで構成した従来タイヤのトレッド、具体的には、図6に示されたトレッドEとほぼ同程度のウェット性能を発揮できる。中間センター部50は中間ゴムからなるので、このタイヤ2のトレッド4ではトレッドEに比べてキャップゴムのボリュームが効果的に低減される。このタイヤ2では、トレッドEを有する従来タイヤの転がり抵抗よりもさらに低い転がり抵抗が得られる。
軸方向におけるトレッドの、ウェット性能への貢献度に関しては、中央部分の貢献度が外側部分の貢献度よりも高い。トレッドの軸方向外側部分をキャップゴムで構成する意義は、その中央部分をキャップゴムで構成する意義ほど高くない。
このタイヤ2では、外側センター部48の両側に外側サイド部54が位置する。外側サイド部54は、キャップゴムに比べてウェット性能への貢献度が低い中間ゴムで構成される。トレッド4の軸方向外側部分はキャップゴムで構成する意義がそれほど高くないので、このトレッド4の軸方向外側部分、すなわち外側サイド部54を中間ゴムで構成しても、この外側サイド部54をキャップゴムで構成した従来タイヤのトレッド、具体的には、図5に示されたトレッドAとほぼ同程度のウェット性能を、このタイヤ2のトレッド4は発揮できる。外側サイド部54は中間ゴムからなるので、このタイヤ2のトレッド4ではトレッドAに比べてキャップゴムのボリュームが効果的に低減される。このタイヤ2では、トレッドAを有する従来タイヤの転がり抵抗よりもさらに低い転がり抵抗が得られる。
このタイヤ2では、トレッドAを有する従来タイヤよりウェット性能が低下することを小さく抑えながら、転がり抵抗が効果的に低減される。このタイヤ2では、トレッドEを有する従来タイヤよりウェット性能が低下することを小さく抑えながら、転がり抵抗が効果的に低減される。このタイヤ2は、ウェット性能の低下を抑えながら、転がり抵抗の低減を達成できる。
図3において符号WSで示される長さは、外側センター部48の外面の幅である。幅WSは、第一の境界PSから第二の境界PSまでの軸方向距離である。幅WSは、標準状態のタイヤ2において計測される。
このタイヤ2では、外側センター部48の外面の幅WSの、トレッド幅WTに対する比率(WS/WT)は20%以上80%以下の範囲で設定される。
転がり抵抗の低減の観点においては、比率(WS/WT)は小さいほど好ましい。しかし、求められる転がり抵抗のレベルは、偏平比の呼びによって異なる。これに対してウェット性能の向上の観点においては、比率(WS/WT)は小さいほど好ましい。しかし、比率(WS/WT)が同じであっても、偏平比の呼びが異なれば、ウェット性能への外側センター部48の影響度は異なる。そのため、このタイヤ2では、ウェット性能と転がり抵抗とがバランスよく整えられる観点から、偏平比の呼びを考慮して比率(WS/WT)が細かく設定される。具体的には以下の通りである。
(1)偏平比の呼びが60%以上である場合
この場合、外側センター部48の外面の幅WSの、トレッド幅WTに対する比率(WS/WT)は20%以上40%以下であるのが好ましい。
比率(WS/WT)が20%以上に設定されることにより、外側センター部48が良好なウェット性能の発揮に貢献できる。この観点から、比率(WS/WT)は25%以上であるのがより好ましい。
比率(WS/WT)が40%以下に設定されることにより、外側センター部48による転がり抵抗への影響が抑えられる。このタイヤ2では、低い転がり抵抗が得られる。この観点から、比率(WS/WT)は35%以下であるのがより好ましい。
(2)偏平比の呼びが45%以上60%未満である場合
この場合、外側センター部48の外面の幅WSの、トレッド幅WTに対する比率(WS/WT)は30%以上60%以下であるのが好ましい。
比率(WS/WT)が30%以上に設定されることにより、外側センター部48が良好なウェット性能の発揮に貢献できる。この観点から、比率(WS/WT)は40%以上であるのがより好ましい。
比率(WS/WT)が60%以下に設定されることにより、外側センター部48による転がり抵抗への影響が抑えられる。このタイヤ2では、低い転がり抵抗が得られる。この観点から、比率(WS/WT)は50%以下であるのがより好ましい。
(3)偏平比の呼びが45%未満である場合
この場合、外側センター部48の外面の幅WSの、トレッド幅WTに対する比率(WS/WT)は60%以上80%以下であるのが好ましい。
比率(WS/WT)が60%以上に設定されることにより、外側センター部48が良好なウェット性能の発揮に貢献できる。この観点から、比率(WS/WT)は65%以上であるのがより好ましい。
比率(WS/WT)が80%以下に設定されることにより、外側センター部48による転がり抵抗への影響が抑えられる。このタイヤ2では、低い転がり抵抗が得られる。この観点から、比率(WS/WT)は75%以下であるのがより好ましい。
図4は、このタイヤ2の赤道面の部分を示す。図4は、トレッド4のセンター部44を示す。
図4において符号TCで示される長さは外側センター部48の厚さである。符号TMで示される長さは、中間センター部50の厚さである。厚さTC及び厚さTMは赤道面に沿って計測される。符号TAで示される長さは、外側センター部48及び中間センター部50の合計厚さであり、合計厚さTAは厚さTCと厚さTMとの和に等しい。
このタイヤ2では、外側センター部48の厚さTCの、外側センター部48及び中間センター部50の合計厚さTAに対する比率(TC/TA)は50%以上70%以下であるのが好ましい。
比率(TC/TA)が50%以上に設定されることにより、外側センター部48及び中間センター部50の境界MCがゴムの発熱性の違いがウェット性能に反映されにくい部分に概ね配置されるので、摩耗により露出した中間センター部50によるウェット性能への影響が効果的に抑えられる。このタイヤ2では、良好なウェット性能が効果的に維持される。この観点から、比率(TC/TA)は55%以上であるのがより好ましい。
比率(TC/TA)が70%以下に設定されることにより、外側センター部48による転がり抵抗への影響が抑えられる。このタイヤ2では、低い転がり抵抗が得られる。この観点から、比率(TC/TA)は65%以下であるのがより好ましい。
前述したように、キャップゴムの30℃での損失正接LTcは中間ゴムの30℃での損失正接LTmよりも高い。具体的には、中間ゴムの30℃での損失正接LTmの、キャップゴムの30℃での損失正接LTcに対する比率(LTm/LTc)は50%以上70%以下であるのが好ましい。
比率(LTm/LTc)が50%以上に設定されることにより、中間ゴムからなる中間センター部50及び外側サイド部54、すなわち中間層60がタイヤ2のグリップ性能の発揮に貢献できる。中間ゴムからなる中間センター部50が摩耗により露出した場合の、グリップ性能の変化が最小限に抑えられる。この観点から、比率(LTm/LTc)は55%以上であるのがより好ましい。
比率(LTm/LTc)が70%以下に設定されることにより、中間ゴムによる転がり抵抗への影響が抑えられる。このタイヤ2では、低い転がり抵抗が得られる。この観点から、比率(LTm/LTc)は65%以上であるのがより好ましい。
このタイヤ2では、キャップゴムの30℃での損失正接LTcは、好ましくは0.15以上である。キャップゴムがウェット性能の向上に貢献できるからである。この観点から、損失正接LTcは0.16以上がより好ましく、0.17以上がさらに好ましい。キャップゴムは路面に接地する。ウェットゴムの向上の観点では、損失正接LTcは高いほど好ましい。しかし高い損失正接LTcは、発熱を招く。熱を帯びたキャップゴムからなる外側センター部48が中間ゴムからなる中間センター部50の温度を想定以上に高めることが懸念される。トレッド4全体の温度状態を安定に保ち、低い転がり抵抗が維持できる観点から、キャップゴムの30℃での損失正接LTcは0.30以下が好ましく、0.28以下がより好ましく、0.27以下がさらに好ましい。
中間ゴムの30℃での損失正接Ltmは、好ましくは0.15以下である。中間ゴムが転がり抵抗の低減に効果的に寄与するからである。この観点から、損失正接Ltmは0.14以下がより好ましく、0.13以下がさらに好ましい。中間ゴムの30℃での損失正接Ltmは、好ましくは0.11以上である。中間ゴムが必要な剛性を確保でき、ウェット性能の向上に効果的に貢献できるからである。この観点から、損失正接LTmは0.12以上がより好ましい。
ベースゴムの30℃での損失正接LTbは、好ましくは0.11以下である。ベースゴムが転がり抵抗の低減に効果的に寄与するからである。この観点から、損失正接LTbは0.10以下がより好ましく、0.09以下がさらに好ましい。このタイヤ2では、ベースゴムの損失正接LTbは小さいほど好ましいので、好ましい下限は設定されない。
このタイヤ2では、その子午線断面において、外側センター部48は台形様の断面形状を有する。外側センター部48と中間センター部50との境界MCは外側センター部48の内面でもある。境界MCの端PU、すなわち、外側センター部48の内面の端PUは、外側センター部48の外面の端PSの軸方向外側に位置する。外側センター部48は、その軸方向幅が外面から内面に向かって徐々に広がるように構成される。
摩耗により溝容積が減少するが、外側センター部48の露出面積が徐々に広がることにより、良好なウェット性能が維持される。この観点から、外側センター部48は台形様の断面形状を有するのが好ましい。
図3において符号WUで示される長さは、外面センター部48の内面の幅である。幅WUは、第一の端PUから第二の端PUまでの軸方向距離である。
このタイヤ2では、内面の幅WUの外面の幅WSに対する比(WU/WS)は1.1以上1.9以下であるのが好ましい。
比(WU/WS)が1.1以上に設定されることにより、外側センター部48が良好なウェット性能の維持に効果的に貢献できる。この観点から、比比(WU/WS)は1.2以上であるのがより好ましく、1.3以上であるのがさらに好ましい。
比(WU/WS)が1.9以下に設定されることにより、外側センター部48による転がり抵抗への影響が抑えられる。このタイヤ2では、低い転がり抵抗が得られる。この観点から、比(WU/WS)は1.8以下であるのがより好ましく、1.7以下であるのがさらに好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、ウェット性能の低下を抑えながら、転がり抵抗の低減を達成できる、タイヤが得られる。
本発明は、様々な偏平比のタイヤに適用できるが、高偏平なタイヤにおいて顕著な効果を奏する。ウェット性能の低下を効果的に抑えながら、転がり抵抗の低減を効果的に達成できる観点から、より高偏平なタイヤが好ましい。具体的には、本発明が適用されるタイヤとしては、偏平比の呼びが45%以上60%未満であるタイヤが好ましく、偏平比の呼びが60%以上であるタイヤがより好ましい。
以下、実施例などにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
[実験1:比率(WS/WT)の影響]
[実施例1]
図3の構成を有するトレッドを備えた乗用車用の空気入りタイヤ(タイヤサイズ=235/60R18)を準備した。
比率(TC/TA)、比率(WS/WT)及び比率(LTm/LTc)は下記の表1に示される通りに設定された。
[比較例1]
トレッドを図5の構成を有するトレッドに置き換えた他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。比率(TC/TA)、比率(WS/WT)及び比率(LTm/LTc)は下記の表1に示される通りである。
[比較例2]
トレッドを図6の構成を有するトレッドに置き換えた他は実施例1と同様にして、比較例2のタイヤを得た。比率(TC/TA)、比率(WS/WT)及び比率(LTm/LTc)は下記の表1に示される通りである。
[実施例2-5]
幅WSを変えて比率(WS/WT)を下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2-5のタイヤを得た。
[実施例6]
図3の構成を有するトレッドを備えた乗用車用の空気入りタイヤ(タイヤサイズ=235/50R20)を準備した。
比率(TC/TA)、比率(WS/WT)及び比率(LTm/LTc)は下記の表2に示される通りに設定された。
[比較例3]
トレッドを図5の構成を有するトレッドに置き換えた他は実施例6と同様にして、比較例3のタイヤを得た。比率(TC/TA)、比率(WS/WT)及び比率(LTm/LTc)は下記の表2に示される通りである。
[比較例4]
トレッドを図6の構成を有するトレッドに置き換えた他は実施例6と同様にして、比較例4のタイヤを得た。比率(TC/TA)、比率(WS/WT)及び比率(LTm/LTc)は下記の表2に示される通りである。
[実施例7-11]
幅WSを変えて比率(WS/WT)を下記の表2に示される通りとした他は実施例6と同様にして、実施例7-11のタイヤを得た。
[実施例12]
図3の構成を有するトレッドを備えた乗用車用の空気入りタイヤ(タイヤサイズ=255/40R21)を準備した。
比率(TC/TA)、比率(WS/WT)及び比率(LTm/LTc)は下記の表3に示される通りに設定された。
[比較例5]
トレッドを図5の構成を有するトレッドに置き換えた他は実施例12と同様にして、比較例5のタイヤを得た。比率(TC/TA)、比率(WS/WT)及び比率(LTm/LTc)は下記の表3に示される通りである。
[比較例6]
トレッドを図6の構成を有するトレッドに置き換えた他は実施例12と同様にして、比較例6のタイヤを得た。比率(TC/TA)、比率(WS/WT)及び比率(LTm/LTc)は下記の表3に示される通りである。
[実施例13-16]
幅WSを変えて比率(WS/WT)を下記の表3に示される通りとした他は実施例6と同様にして、実施例13-16のタイヤを得た。
[転がり抵抗係数(RRC)]
転がり抵抗試験機を用い、試作タイヤが下記の条件でドラム上を速度80km/hで走行するときの転がり抵抗係数(RRC)を測定した。その結果が下記の表1-3に比較例1、3及び5を100.0とした指数で示されている。数値が小さいほど、タイヤの転がり抵抗は低い。100.0未満であることが目標に設定された。
<タイヤサイズ=235/60R18>
リム:7.0×18J
内圧:210kPa
縦荷重:6.86kN
<タイヤサイズ=235/50R20>
リム:7.5×20J
内圧:210kPa
縦荷重:6.28kN
<タイヤサイズ=255/40R21>
リム:9.0×21J
内圧:250kPa
縦荷重:6.67kN
[新品タイヤのウェット性能(WET)]
新品の試作タイヤを正規リムに組み、空気を充填してタイヤの内圧を230kPaに調整した。タイヤを試験車両(排気量2000ccの国産前輪駆動車)に装着した。ウェット路面(水膜厚=1.4mm)のテストコースで試験車両を定常旋回走行させ、限界速度を計測した。その結果が、下記の表1-3の「WET」の欄に、比較例1、3及び5を100.0とした指数で示されている。数値が大きいほど、限界速度は高く、タイヤはウェット性能に優れる。97.0以上であることが目標に設定された。
本発明では、ウェット性能が許容できるレベルにあれば、転がり抵抗が低いほど好ましい。そこで、ウェット性能と転がり抵抗とがバランスよく整えられていることを評価するために、ウェット性能の指数値の転がり抵抗の指数値に対する比を算出した。その結果が、表1-3の「両立度」の欄に、比較例1を100.0とした指数で示されている。数値が大きいほど、ウェット性能の低下の抑制と、転がり抵抗の低減とが両立できている。つまり、ウェット性能と転がり抵抗とがバランスよく整えられている。
表1-3に示されているように、実施例では、ウェット性能の低下を抑えながら転がり抵抗の低減が達成されていることが確認されている。
[実験2:比率(TC/TA)の影響]
[実施例17-21]
厚さTCを変えて比率(TC/TA)を下記の表4に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例17-21のタイヤを得た。
[転がり抵抗係数(RRC)]
転がり抵抗試験機を用い、試作タイヤが下記の条件でドラム上を速度80km/hで走行するときの転がり抵抗係数(RRC)を測定した。その結果が下記の表4に比較例1を100.0とした指数で示されている。数値が小さいほど、タイヤの転がり抵抗は低い。100.0未満であることが目標に設定された。
リム:7.0×18J
内圧:210kPa
縦荷重:6.86kN
[新品タイヤのウェット性能(WET-NEW)]
新品の試作タイヤを正規リムに組み、空気を充填してタイヤの内圧を230kPaに調整した。タイヤを試験車両(排気量2000ccの国産前輪駆動車)に装着した。ウェット路面(水膜厚=1.4mm)のテストコースで試験車両を定常旋回走行させ、限界速度を計測した。その結果が、下記の表4の「WET(NEW)」の欄に、比較例1を100.0とした指数で示されている。数値が大きいほど、限界速度は高く、タイヤはウェット性能に優れる。97.0以上であることが目標に設定された。
ウェット性能の指数値の転がり抵抗の指数値に対する比を算出した。その結果が、表4の「両立度」の欄に、比較例1を100.0とした指数で示されている。数値が大きいほど、ウェット性能の低下の抑制と、転がり抵抗の低減とが両立できている。つまり、ウェット性能と転がり抵抗とがバランスよく整えられている。
[摩耗タイヤのウェット性能(WET-OLD(1))]
新品の試作タイヤを正規リムに組み、空気を充填してタイヤの内圧を230kPaに調整した。タイヤを試験車両(排気量2000ccの国産前輪駆動車)に装着した。ドライアスファルト路面のテストコースで試験車両を走行させてタイヤのトレッドを摩耗させた。周方向溝の溝深さが新品タイヤの溝深さの30%に到達するまで、トレッドを摩耗させた。その後、ウェット路面(水膜厚=1.4mm)のテストコースで試験車両を定常旋回走行させ、限界速度を計測した。その結果が、下記の表4の「WET(30%)」の欄に、新品の比較例1を100.0とした指数で示されている。数値が大きいほど、限界速度は高く、タイヤはウェット性能に優れる。
[摩耗タイヤのウェット性能(WET-OLD(2))]
新品の試作タイヤを正規リムに組み、空気を充填してタイヤの内圧を230kPaに調整した。タイヤを試験車両(排気量2000ccの国産前輪駆動車)に装着した。ドライアスファルト路面のテストコースで試験車両を走行させてタイヤのトレッドを摩耗させた。周方向溝の溝深さが新品タイヤの溝深さの70%に到達するまで、トレッドを摩耗させた。その後、ウェット路面(水膜厚=1.4mm)のテストコースで試験車両を定常旋回走行させ、限界速度を計測した。その結果が、下記の表4の「WET(70%)」の欄に、新品の比較例1を100.0とした指数で示されている。数値が大きいほど、限界速度は高く、タイヤはウェット性能に優れる。
表4に示されているように、実施例では、ウェット性能の低下を抑えながら転がり抵抗の低減が達成されていることが確認されている。
[実験3:比率(LTm/LTc)の影響]
[実施例22-25]
中間ゴムの損失正接LTmを変えて比率(LTm/LTc)を下記の表5に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例22-25のタイヤを得た。
[転がり抵抗係数(RRC)]
転がり抵抗試験機を用い、試作タイヤが下記の条件でドラム上を速度80km/hで走行するときの転がり抵抗係数(RRC)を測定した。その結果が下記の表5に比較例1を100.0とした指数で示されている。数値が小さいほど、タイヤの転がり抵抗は低い。100.0未満であることが目標に設定された。
リム:7.0×18J
内圧:210kPa
縦荷重:6.86kN
[新品タイヤのグリップ性能(DRY-NEW)]
新品の試作タイヤを正規リムに組み、空気を充填してタイヤの内圧を230kPaに調整した。タイヤを試験車両(排気量2000ccの国産前輪駆動車)に装着した。ドライ路面のテストコースで試験車両を定常旋回走行させ、限界速度を計測した。その結果が、下記の表5の「DRY(NEW)」の欄に、比較例1を100.0とした指数で示されている。数値が大きいほど、限界速度は高く、タイヤはグリップ性能に優れる。97.0以上であることが目標に設定された。
グリップ性能の指数値の転がり抵抗の指数値に対する比を算出した。その結果が、表5の「両立度」の欄に、比較例1を100.0とした指数で示されている。数値が大きいほど、グリップ性能の低下の抑制と、転がり抵抗の低減とが両立できている。つまり、グリップ性能と転がり抵抗とがバランスよく整えられている。
[摩耗タイヤのグリップ性能(DRY-OLD]
新品の試作タイヤを正規リムに組み、空気を充填してタイヤの内圧を230kPaに調整した。タイヤを試験車両(排気量2000ccの国産前輪駆動車)に装着した。ドライアスファルト路面のテストコースで試験車両を走行させてタイヤのトレッドを摩耗させた。周方向溝の溝深さが新品タイヤの溝深さの70%に到達するまで、トレッドを摩耗させた。その後、ドライ路面のテストコースで試験車両を定常旋回走行させ、限界速度を計測した。その結果が、下記の表5の「DRY(70%)」の欄に、新品の比較例1を100とした指数で示されている。数値が大きいほど、限界速度は高く、タイヤはグリップ性能に優れる。
表5に示されているように、実施例では、ウェット性能の低下を抑えながら転がり抵抗の低減が達成されていることが確認されている。
実験1-2において、実施例では、ウェット性能の低下を抑えながら転がり抵抗の低減が達成されていることが確認されている。実験3においては、実施例では、グリップ性能の低下も抑えられることが確認されている。つまり、実施例のタイヤでは、ウェット性能の低下だけでなくドライ性能の低下も抑えながら、転がり抵抗の低減が達成できる。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された、ウェット性能の低下を抑えながら転がり抵抗の低減を図るための技術は種々のタイヤにも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
44・・・センター部
46・・・サイド部
48・・・外側センター部
50・・・中間センター部
52・・・内側センター部
54・・・外側サイド部
56・・・内側サイド部
58・・・キャップ層
60・・・中間層
62・・・ベース層
前述したように、キャップゴムの30℃での損失正接LTcは中間ゴムの30℃での損失正接LTmよりも高い。具体的には、中間ゴムの30℃での損失正接LTmの、キャップゴムの30℃での損失正接LTcに対する比率(LTm/LTc)は50%以上70%以下であるのが好ましい。
比率(LTm/LTc)が50%以上に設定されることにより、中間ゴムからなる中間センター部50及び外側サイド部54、すなわち中間層60がタイヤ2のグリップ性能の発揮に貢献できる。中間ゴムからなる中間センター部50が摩耗により露出した場合の、グリップ性能の変化が最小限に抑えられる。この観点から、比率(LTm/LTc)は55%以上であるのがより好ましい。
比率(LTm/LTc)が70%以下に設定されることにより、中間ゴムによる転がり抵抗への影響が抑えられる。このタイヤ2では、低い転がり抵抗が得られる。この観点から、比率(LTm/LTc)は65%以下であるのがより好ましい。
このタイヤ2では、キャップゴムの30℃での損失正接LTcは、好ましくは0.15以上である。キャップゴムがウェット性能の向上に貢献できるからである。この観点から、損失正接LTcは0.16以上がより好ましく、0.17以上がさらに好ましい。キャップゴムは路面に接地する。ウェット性能の向上の観点では、損失正接LTcは高いほど好ましい。しかし高い損失正接LTcは、発熱を招く。熱を帯びたキャップゴムからなる外側センター部48が中間ゴムからなる中間センター部50の温度を想定以上に高めることが懸念される。トレッド4全体の温度状態を安定に保ち、低い転がり抵抗が維持できる観点から、キャップゴムの30℃での損失正接LTcは0.30以下が好ましく、0.28以下がより好ましく、0.27以下がさらに好ましい。
中間ゴムの30℃での損失正接LTmは、好ましくは0.15以下である。中間ゴムが転がり抵抗の低減に効果的に寄与するからである。この観点から、損失正接LTmは0.14以下がより好ましく、0.13以下がさらに好ましい。中間ゴムの30℃での損失正接LTmは、好ましくは0.11以上である。中間ゴムが必要な剛性を確保でき、ウェット性能の向上に効果的に貢献できるからである。この観点から、損失正接LTmは0.12以上がより好ましい。
図3において符号WUで示される長さは、外側センター部48の内面の幅である。幅WUは、第一の端PUから第二の端PUまでの軸方向距離である。
このタイヤ2では、内面の幅WUの外面の幅WSに対する比(WU/WS)は1.1以上1.9以下であるのが好ましい。
比(WU/WS)が1.1以上に設定されることにより、外側センター部48が良好なウェット性能の維持に効果的に貢献できる。この観点から、比(WU/WS)は1.2以上であるのがより好ましく、1.3以上であるのがさらに好ましい。
比(WU/WS)が1.9以下に設定されることにより、外側センター部48による転がり抵抗への影響が抑えられる。このタイヤ2では、低い転がり抵抗が得られる。この観点から、比(WU/WS)は1.8以下であるのがより好ましく、1.7以下であるのがさらに好ましい。
[摩耗タイヤのグリップ性能(DRY-OLD]
新品の試作タイヤを正規リムに組み、空気を充填してタイヤの内圧を230kPaに調整した。タイヤを試験車両(排気量2000ccの国産前輪駆動車)に装着した。ドライアスファルト路面のテストコースで試験車両を走行させてタイヤのトレッドを摩耗させた。周方向溝の溝深さが新品タイヤの溝深さの70%に到達するまで、トレッドを摩耗させた。その後、ドライ路面のテストコースで試験車両を定常旋回走行させ、限界速度を計測した。その結果が、下記の表5の「DRY(70%)」の欄に、新品の比較例1を100.0とした指数で示されている。数値が大きいほど、限界速度は高く、タイヤはグリップ性能に優れる。

Claims (4)

  1. トレッドを備え、前記トレッドがトレッド面において路面と接地するタイヤであって、
    前記トレッドが、30℃での損失正接が異なる、キャップゴム、中間ゴム及びベースゴムを含み、
    前記キャップゴムの30℃での損失正接が前記中間ゴムの30℃での損失正接よりも高く、前記中間ゴムの30℃での損失正接が前記ベースゴムの30℃での損失正接よりも高く、
    前記トレッドが、センター部と、前記センター部の軸方向外側に位置する一対のサイド部とを備え、
    前記センター部が、外側センター部と、前記外側センター部の径方向内側に位置する中間センター部と、前記中間センター部の径方向内側に位置する内側センター部とを備え、
    それぞれの前記サイド部が、外側サイド部と、前記外側サイド部の径方向内側に位置する内側サイド部とを備え、
    前記外側センター部が前記キャップゴムからなり、
    前記中間センター部と前記外側サイド部とが前記中間ゴムからなり、
    前記内側センター部と前記内側サイド部とが前記ベースゴムからなり、
    前記トレッド面が、前記外側センター部の外面と前記外側サイド部の外面とを含む、
    タイヤ。
  2. 前記タイヤの偏平比の呼びが60%以上である場合、前記外側センター部の外面の幅の、前記トレッドの幅に対する比率が20%以上40%以下であり、
    前記偏平比の呼びが45%以上60%未満である場合、前記外側センター部の外面の幅の、前記トレッドの幅に対する比率が30%以上60%以下であり、
    前記偏平比の呼びが45%未満である場合、前記外側センター部の外面の幅の、前記トレッドの幅に対する比率が60%以上80%以下である、
    請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記外側センター部の厚さの、前記外側センター部及び前記中間センター部の合計厚さに対する比率が、50%以上70%以下である、
    請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記中間ゴムの30℃での損失正接の、前記キャップゴムの30℃での損失正接に対する比率が50%以上70%以下である、
    請求項3に記載のタイヤ。
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