JP2023079167A - タイヤ - Google Patents

タイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2023079167A
JP2023079167A JP2022153888A JP2022153888A JP2023079167A JP 2023079167 A JP2023079167 A JP 2023079167A JP 2022153888 A JP2022153888 A JP 2022153888A JP 2022153888 A JP2022153888 A JP 2022153888A JP 2023079167 A JP2023079167 A JP 2023079167A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
mass
tread
less
tire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022153888A
Other languages
English (en)
Inventor
貴浩 河地
Takahiro Kawachi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to EP22203731.9A priority Critical patent/EP4186712A1/en
Priority to US17/973,624 priority patent/US20230173842A1/en
Publication of JP2023079167A publication Critical patent/JP2023079167A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/80Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
    • Y02T10/86Optimisation of rolling resistance, e.g. weight reduction 

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】ウェットグリップ性能および耐チッピング性能のバランスに優れたタイヤを提供すること。【解決手段】トレッドを備えたタイヤであって、トレッドが、両端のいずれもが周方向溝に開口していない横溝を有し、トレッド面を構成するゴム層に、所定のゴム成分、所定の充填剤およびシランカップリング剤を配合し、かつ該ゴム層の脆化温度およびトレッドの全体の厚みに対する両端のいずれもが周方向溝に開口していない横溝の溝底の最深部の溝深さの比を所定の範囲とする。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
北米市場では、4WD車はメジャーな車輛である。北米のユーザーは4WDに乗っていれば豪雪時にも走行できると考える傾向があり、同じタイヤで、豪雪地も、不整地も、雪解けの湿潤路面も高速走行する。そのため、主に北米市場向けのSUVタイヤには、ウェットグリップ性能以外にも、耐チッピング性能も求められている。
例えば特許文献1には、トレッド部に複数本の周方向主溝と横溝とを有し、耐チッピング性能が改善された重荷重用空気入りタイヤが開示されている。
また、特許文献2には、改質天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとを含み、耐チップカット性に優れるゴム組成物により構成されたタイヤトレッドが開示されている。
特許第5957474号公報 特開2018-188567号公報
両端のいずれもが周方向溝に開口しておらず、かつ溝深さが深い横溝を有するタイヤは、不整地路面を走行すると、横溝に石などが挟まって抜けにくくなり、そこを起点に発熱し、トレッドゴムのチップカットやブロック欠けが生じやすくなる。したがって、前記のようなトレッドパターンを有する場合、トレッド部には、通常よりも耐チッピング性能に優れたゴム組成物を使用することが必要となる。
また、天然ゴムと、天然ゴムよりも剛性の高いスチレンブタジエンゴムを混合することで、異なる硬さの相がミクロに混在することになり、衝撃や亀裂が伝わりにくくなり、常温下でチップカットやブロック欠けが生じにくくなる。しかし、2成分を併用し、tanδが大きくなると、脆化温度が上がり、低温下でトレッドゴムのチップカットやブロック欠けが生じやすくなる。
本発明は、ウェットグリップ性能および低温下での耐チッピング性能のバランスに優れたタイヤを提供することを目的とする。
鋭意検討の結果、両端のいずれもが周方向溝に開口していない横溝を有するトレッドを備えたタイヤにおいて、トレッド面を構成するゴム層に、所定のゴム成分、所定の充填剤およびシランカップリング剤を配合し、かつ該ゴム層の脆化温度およびトレッドの全体の厚みに対する前記両端のいずれもが前記周方向溝に開口していない横溝の溝底の最深部の溝深さの比を所定の範囲とすることで、上記課題を解決できることが見出された。
すなわち、本発明は、トレッドを備えたタイヤであって、前記トレッドが、複数の周方向溝によって仕切られた陸部を有し、前記陸部の少なくとも1つが、両端のいずれもが前記周方向溝に開口していない横溝を有し、前記トレッドが、少なくとも1つのゴム層を有し、前記少なくとも1つのゴム層のうち、トレッド面を構成するゴム層が、ゴム成分、充填剤、およびシランカップリング剤を含有するゴム組成物により構成され、前記トレッド面を構成するゴム層のゴム成分が、イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含み、前記充填剤が平均一次粒子径18nm以下のシリカを含み、前記ゴム組成物の脆化温度をA(℃)、前記トレッドの全体の厚みに対する前記両端のいずれもが前記周方向溝に開口していない横溝の溝底の最深部の溝深さの比をBとしたとき、Aが-40以下であり、Bが0.80以上であり、A/Bが-75~-50であるタイヤ、に関する。
本発明によれば、ウェットグリップ性能および低温下での耐チッピング性能のバランスに優れたタイヤが提供される。
トレッドを平面に押し付けたときのタイヤの模式図である。
理論に拘束されることは意図しないが、本発明において、ウェットグリップ性能および耐チッピング性能をバランスよく改善させ得るメカニズムとしては、以下が考えられる。
(1)両端のいずれもが周方向溝に開口しておらず、かつ溝深さが深い横溝を設けることで、湿潤路面での排水性能が上がり、(2)トレッドに、イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムの2つのゴム成分を用いることで、tanδが大きくなり、発熱等によるエネルギーが散逸することで、ウェットグリップ性能および耐チッピング性能が向上し、(3)平均一次粒子径が所定の値以下の充填剤を配合することで、ゴム組成物の剛性を調節し、横溝が深い場合にもチッピングが生じにくくなり、(4)シランカップリング剤を配合することでシリカ(充填剤)の分散性を向上させるとともに、(5)トレッドを構成するゴム層の脆化温度およびトレッドの全体の厚みに対する前記両端のいずれもが前記周方向溝に開口していない横溝の溝底の最深部の溝深さの比を所定の範囲とすることで、ウェットグリップ性能および耐チッピング性能のバランスに優れるという特徴を有する。そして、上記(1)~(5)が協働して、ウェットグリップ性能および広い温度領域での耐チッピング性能をバランスよく高度に両立するという特筆すべき効果が達成されると考えられる。
本発明のタイヤは、樹脂成分を含有することが好ましい。
樹脂成分を含有することで、ウェットグリップ性能をさらに向上させることができる。
前記充填剤中の前記シリカの含有量は30~95質量%であることが好ましい。
前記シリカの含有量が上記範囲であることで、充填剤の分散が均一となり(分散性が向上し)、本発明の効果をより向上させることができる。
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対し、シランカップリング剤を2.8質量部以上含有することが好ましい。
シランカップリング剤の含有量の下限値を上記とすることで、シリカ(充填剤)の分散性が向上し、本発明の効果をより向上させることができる。
前記ゴム成分が、イソプレン系ゴムを7~40質量%、スチレンブタジエンゴムを25~60質量%、およびブタジエンゴムを10~40質量%含有することが好ましい。
3つのゴム成分を上記の範囲とすることで、ゴム組成物の脆化温度が下がり、低温下での耐チッピング性能を向上することができる。
前記ゴム組成物のJIS K 6251:2017に基づく-30℃雰囲気下での破断伸びが340%以上であることが好ましい。
-30℃雰囲気下での破断伸びの下限値を上記とすることで、低温下での耐チッピング性能がより向上する。
前記ゴム組成物の0℃におけるtanδが0.35以上であることが好ましい。
前記ゴム組成物の0℃におけるtanδの下限値が上記であることで、ウェットグリップ性能がより向上する。
<定義>
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば“標準リム”、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”である。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合は、そのタイヤにリム組可能であり、リム/タイヤの間でエア漏れを発生させない最小径のリムのうち、最も幅の狭いものを指すものとする。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、TRAであれば“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”である。規格に定められていないタイヤの場合、正規内圧は250kPaとする。
「正規状態」とは、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合は、そのタイヤが前記の最小リムにリム組みされかつ250kPaが充填され、しかも、無負荷の状態をいうものとする。
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において定められた荷重を意味する。JATMAであれば“最大負荷能力”、TRAであれば“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に掲載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。
<測定方法>
「脆化温度」は、加硫ゴム組成物を用いて、JIS K 6261-2:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-低温特性の求め方-第2部:低温衝撃脆化試験」に準拠して測定した「50%衝撃脆化温度」の値である。
「0℃におけるtanδ」は、温度0℃、周波数10Hz、初期歪み10%、および、動歪み2.5%、伸長モードの条件下で測定する損失正接である。損失正接測定用サンプルは、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmの加硫ゴム組成物である。タイヤから切り出して作製する場合には、タイヤのトレッド部から切り出す。
「-30℃雰囲気下での破断伸び(EB)」は、JIS K 6251:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準じて、7号ダンベル型試験片を用いて、温度-30℃、引張速度200mm/分の条件下で引張試験を実施し、測定した破断伸び(EB)の値である。
「スチレン含量」は、1H-NMR測定により算出される値であり、例えば、SBR等のスチレンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「ビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、SBR、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。例えば、SBR、BR、樹脂成分、液状ゴム等に適用される。
「シリカの平均一次粒子径」は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
「シリカのN2SA」は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される。
「カーボンブラックのN2SA」は、JIS K 6217-2「ゴム用カーボンブラック基本特性-第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」に準じて測定される。
「樹脂成分の軟化点」は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
≪タイヤ≫
本発明の一実施形態であるトレッドを備えたタイヤについて、以下、必要に応じて図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の記載および図面は本発明を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。なお、本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
本発明において、トレッドは少なくとも1つのゴム層を有する。本発明のトレッドは、単一のゴム層からなるトレッドであってもよく、トレッド面を構成するゴム層(キャップゴム層)と、ベルト層のタイヤ半径方向外側に隣接するゴム層(ベースゴム層)とを備えてもよい。また、本発明の目的が達成される限り、キャップゴム層とベースゴム層との間に、さらに1または2以上のゴム層を有していてもよい。本発明において、トレッドはキャップゴム層と、ベースゴム層とを有することが好ましい。
本発明において、キャップゴム層の厚みは特に限定されないが、2.5mm以上が好ましく、3.0mm以上がより好ましく、3.5mm以上がさらに好ましい。また、キャップゴム層の厚みは、6.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましく、4.0mm以下がさらに好ましく、3.0mm以下が特に好ましい。
本発明において、ベースゴム層の厚みは特に限定されないが、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、1.5mm以上がさらに好ましい。また、ベースゴム層の厚みは、6.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましく、4.0mm以下がさらに好ましく、3.0mm以下が特に好ましい。
本発明において、トレッドの全体の厚みとは、トレッドがキャップゴム層とベースゴム層から構成される場合には、キャップゴム層の厚みおよびベースゴム層の厚みの和である。また、本発明において、トレッドの全体の厚みは、6.5mm以上が好ましく、7.0mm以上がより好ましく、8.0mm以上がさらに好ましく、8.5mm以上が最も好ましい。また、キャップゴム層とベースゴム層との間に、さらに1または2以上のゴム層を有する場合には、全てのゴム層の厚みの和である。トレッドの全体の厚みは、10.5mm以下が好ましく、10.0mm以下がより好ましく、9.5mm以下がさらに好ましく、9.0mm以下が特に好ましい。なお、本明細書において、トレッドの全体の厚みは、タイヤを、タイヤ回転軸を含む面で切断した断面において、タイヤ赤道面上におけるトレッド最表面からバンドの最外部までの直線距離を指す。タイヤ赤道面上に周方向溝を有する場合においては、当該溝は埋められたものとしてトレッドの全体の厚さが測定される。
図1は、トレッドを平面に押し付けたときの接地面の模式図である。本発明に係るタイヤを構成するトレッド面1には、トレッドパターンが形成されている。
図1において、トレッドは、複数の周方向溝4を有している。周方向溝4は、周方向Cに沿って直線状に延びているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、周方向に沿って波状や正弦波状やジクザク状に延びていてもよい。図1において、周方向溝4は3つ設けられているが、本発明において、周方向溝の数は特に限定されず、例えば2~5つであってもよい。
周方向溝の溝深さは、ウェットグリップ性能の観点から、4.0mm以上が好ましく、4.5mm以上がより好ましく、5.0mm以上がさらに好ましく、5.5mm以上が特に好ましい。また、耐チッピング性能の観点からは、9.0mm以下が好ましく、8.0mm以下がより好ましく、7.0mm以下がさらに好ましい。
トレッドの全体の厚みに対する周方向溝の溝深さの比は、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.65以上がさらに好ましい。また、トレッドの全体の厚みに対する周方向溝4の溝深さの比は、0.9以下が好ましく、0.85以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において、周方向溝の溝深さは、トレッド面から複数の周方向溝のうち最も深い周方向溝の溝底に下した法線の長さをいう。
図1において、トレッドは、トレッドの幅方向Wで、周方向溝4によって仕切られた、ショルダー陸部3およびショルダー陸部3の間に位置するセンター陸部2を有している。
ショルダー陸部は、幅方向Wの両端に設けられた陸部であり、センター陸部は、トレッドの幅方向で中央部に設けられた陸部である。
陸部の少なくとも1つは、両端のいずれもが周方向溝に開口しておらず、かつ、その溝底の最深部の溝深さがトレッド部の全体の厚みの80%以上である1以上の横溝を有している。図1において、両端のいずれもが周方向溝に開口していない横溝5、6は、ショルダー陸部3に設けられているが、このような態様に限定されない。
また、これ以外に、片端が周方向溝に開口している横溝、両端が周方向溝に開口している横溝および/またはサイプが設けられていてもよい。図1において、ショルダー陸部3には、片端が周方向溝4に開口している複数のサイプ8が設けられており、センター陸部2には、片端が周方向溝4に開口している複数の横溝7および両端が周方向溝4に開口している複数センターサイプ9が設けられているが、このような態様に限定されない。なお、本明細書において、周方向溝、横溝を含め「溝」は、幅が2.0mm超の凹みをいう。一方、本明細書において、「サイプ」は、幅が2.0mm以下、好ましくは0.5~2.0mmの細い切り込みをいう。
本発明において、両端のいずれもが周方向溝に開口していない横溝の溝底の最深部の溝深さHは、ウェットグリップ性能の観点から、3.6mm以上が好ましく、4.0mm以上がより好ましく、4.5mm以上がさらに好ましく、4.9mm以上が特に好ましい。また、耐チッピング性能の観点からは、8.1mm以下が好ましく、7.5mm以下がより好ましく、7.3mm以下がさらに好ましい。
トレッドの全体の厚みに対する両端のいずれもが周方向溝に開口していない横溝の溝底の最深部の溝深さHの比Bは、0.80以上であり、0.82以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。トレッドの全体の厚みに対する前記横溝の最深部の溝深さの比Bの上限値は特に制限されないが、本発明の効果の観点から、0.98以下が好ましく、0.95以下がより好ましく、0.92以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において、横溝の溝深さは、トレッド面から複数の横溝のうち最も深い横溝の溝底に下した法線の長さをいう。
<ゴム組成物の物性>
トレッド面を構成するゴム層(キャップゴム層)を構成するゴム組成物の脆化温度A(℃)は、-40℃以下であり、-42℃以下が好ましく、-45℃以下がより好ましく、-50℃以下がさらに好ましい。脆化温度を前記の範囲とすることにより、低温下でも脆性破壊しにくくなり、低温下での耐チッピング性能が向上する。また、キャップゴム層を構成するゴム組成物の脆化温度は、本発明の効果の観点から、-70℃以上が好ましく、-65℃以上がより好ましく、-60℃以上がさらに好ましい。ベースゴム層を構成するゴム組成物の脆化温度は、特に制限されない。
キャップゴム層を構成するゴム組成物の脆化温度をA(℃)、トレッドの全体の厚みに対する両端のいずれもが周方向溝に開口していない横溝の溝底の最深部の溝深さHの比をBとしたとき、A/Bは-75~-50である。A/Bは-73以上が好ましく、-70以上がより好ましい。また、A/Bは-51以下が好ましく、-56以下がより好ましく、-58以下がさらに好ましく、-60以下が特に好ましい。トレッドを構成するゴム層の脆化温度およびトレッドの全体の厚みに対する前記横溝の溝底の最深部の溝深さの比を前記範囲とすることで、ウェットグリップ性能および耐チッピング性能のバランスを向上させることができる。
キャップゴム層を構成するゴム組成物の-30℃雰囲気下での破断伸びは、耐チッピング性能の観点から、340%以上が好ましく、350%以上がより好ましく、370%以上がさらに好ましく、390%以上が特に好ましい。また、キャップゴム層を構成するゴム組成物の-30℃雰囲気下での破断伸びは、特に制限されないが、通常、550%以下である。なお、ベースゴム層を構成するゴム組成物の-30℃雰囲気下での破断伸びは、特に制限されない。
キャップゴム層を構成するゴム組成物の0℃におけるtanδは、ウェットグリップ性能の観点から、0.32以上が好ましく、0.35以上がより好ましく、0.38以上がさらに好ましく、0.40以上が特に好ましい。また、キャップゴム層を構成するゴム組成物の0℃におけるtanδは、本発明の効果の観点から、0.80以下が好ましく、0.75以下がより好ましく、0.70以下が特に好ましい。なお、ベースゴム層を構成するゴム組成物の0℃におけるtanδは、特に制限されない。
[ゴム組成物]
以下、本発明に係るトレッドを構成するゴム組成物について説明する。
<ゴム成分>
本発明に係るトレッド面を構成するゴム層(キャップゴム層)は、ゴム成分としてイソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴム(SBR)を含有する。好ましくは、イソプレン系ゴム、SBRおよびブタジエンゴム(BR)の3成分を併用する。より好ましくは、イソプレン系ゴム、SBRおよびBRの3成分のみからなるゴム成分である。また、イソプレン系ゴムおよびSBRのみからなるゴム成分とすることもできる。なお、ベースゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分は、イソプレン系ゴムを含むことが好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRを含むことがより好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRのみからなるゴム成分としてもよい。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム等を、変性NRとしてはエポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等を、変性IRとしてはエポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等を挙げることができる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
キャップゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム(好ましくはNR)の含有量は、耐チッピング性能の観点から、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、9質量%以上が特に好ましく、10質量%以上が最も好ましい。一方、キャップゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。なお、ベースゴム層を構成するゴム組成物がイソプレン系ゴムを含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、特に制限されないが、例えば、10質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上とすることができる。
(SBR)
SBRとしては特に限定されず、溶液重合SBR(S-SBR)、乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加SBR)等も使用することができる。なかでも変性E-SBR、変性S-SBRが好ましい。
変性SBRとしては、通常この分野で使用される官能基が導入された変性SBRが挙げられる。上記官能基としては、例えば、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、カルボキシル基、水酸基等の官能基が挙げられる。また、変性SBRとしては、水素添加されたもの、エポキシ化されたもの、スズ変性されたもの等を挙げることができる。
SBRとしては油展SBRを用いることもできるし、非油展SBRを用いることもできる。油展SBRを用いる場合、SBRの油展量、すなわち、SBRに含まれる油展オイルの含有量は、SBRのゴム固形分100質量部に対して、10~50質量部であることが好ましい。
前記で列挙されたSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記で列挙されたSBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、ZSエラストマー(株)等より市販されているものを使用することができる。
SBRのスチレン含量は、トレッド部での減衰性の確保およびウェットグリップ性能の観点から、15質量%以上が好ましく、18質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、グリップ性能の温度依存性および耐摩耗性能の観点からは、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、前記測定方法により算出される。
SBRのビニル含量は、充填剤との反応性の担保、ゴム強度や耐摩耗性能の観点から10モル%以上が好ましく、13モル%以上がより好ましく、16モル%以上がさらに好ましい。また、SBRのビニル含量は、温度依存性の増大防止、ウェットグリップ性能、破断伸び、および耐摩耗性能の観点から、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、前記測定方法によって測定される。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から15万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、25万以上がさらに好ましい。また、Mwは、架橋均一性等の観点から、250万以下が好ましく、200万以下がより好ましい。なお、Mwは前記測定方法により求めることができる。
キャップゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、トレッド部での減衰性の確保の観点から、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、35質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましい。また、トレッド部の発熱抑制の観点からは、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、65質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下が特に好ましい。なお、ベースゴム層を構成するゴム組成物がSBRを含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、特に制限されない。
(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス含量が50質量%未満のBR(ローシスBR)、シス含量が90質量%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。変性BRとしては、上記SBRで説明したのと同様の官能基等で変性されたBRが挙げられる。これらのBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)、宇部興産(株)、JSR(株)等より市販されているものを使用することができる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。シス含量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは96質量%以上、さらに好ましくは97質量%以上、特に好ましくは98質量%以上である。なお、本明細書において、シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)は、前記測定方法により算出される値である。
希土類系BRとしては、希土類元素系触媒を用いて合成され、ビニル含量が、好ましくは1.8モル%以下、より好ましくは1.0モル%以下、さらに好ましくは0.8%モル以下であり、シス含量が、好ましくは95質量%以上、より好ましくは96質量%以上、さらに好ましくは97質量%以上、特に好ましくは98質量%以上である。希土類系BRとしては、例えば、ランクセス(株)等より市販されているものを使用することができる。
SPB含有BRは、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶が、単にBR中に結晶を分散させたものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものが挙げられる。このようなSPB含有BRとしては、宇部興産(株)製のものなどを用いることができる。
変性BRとしては、末端および/または主鎖がケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性された変性ブタジエンゴム(変性BR)が好適に用いられる。
その他の変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)等が挙げられる。また、変性BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。
前記で列挙されたBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から、30万以上が好ましく、35万以上がより好ましく、40万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性等の観点からは、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。なお、Mwは、前記測定方法により求めることができる。
キャップゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量%中のBRの含有量は、耐チッピング性能の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。また、ウェットグリップ性能の観点からは、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、35質量%以下が特に好ましい。なお、ベースゴム層を構成するゴム組成物がBRを含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、特に制限されない。
(その他のゴム成分)
本発明に係るゴム成分として、前記のイソプレン系ゴム、SBRおよびBR以外のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)等のジエン系ゴム;水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等の非ジエン系ゴムが挙げられる。これらその他のゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<充填剤>
本発明に係るトレッド面を構成するゴム層(キャップゴム層)は、充填剤を含有する。充填剤としては、シリカおよびカーボンブラックが好適に用いられ、シリカを含むことが好ましい。ベースゴム層を構成するゴム組成物は、充填剤を含まなくても良いが、充填剤を含むことが好ましい。ベースゴム層を構成するゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックを含むことが好ましく、カーボンブラックのみからなる充填剤としてもよい。
本発明の効果を達成するためには、充填剤やゴムの均一性が重要となる。充填剤の分散が不均一になると、応力の集中によってゴムが発熱しやすくなり、ゴムのチップカット、ブロック欠けが発生しやすくなる。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。シリカとしては、例えば、エボニックデグサ社、ソルベイ社、東ソー・シリカ(株)、(株)トクヤマ等によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの平均一次粒子径は、20nm以下が好ましく、18nm以下がより好ましく、16nm以下がさらに好ましく、15nm以下が特に好ましい。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、5nm以上がさらに好ましい。シリカの平均一次粒子径が前記の範囲であることによって、シリカの分散性をより改善でき、補強性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性能をさらに改善できる。なお、シリカの平均一次粒子径は、前記測定方法により測定される。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、補強性およびトレッド部での減衰性の確保の観点から、140m2/g以上が好ましく、150m2/g以上がより好ましく、160m2/g以上がさらに好ましく、170m2/g以上が特に好ましい。また、発熱性および加工性の観点からは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、前記測定方法で測定される値である。
キャップゴム層を構成するゴム組成物中における、充填剤中のシリカの含有量は、シリカの分散性の観点から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましく、55質量%以上が最も好ましい。また、キャップゴム層を構成するゴム組成物中における、充填剤中のシリカの含有量は、本発明の効果の観点から、95質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、75質量%以下が特に好ましく、65質量%以下が最も好ましい。なお、ベースゴム層を構成するゴム組成物中における、充填剤中のシリカの含有量は、特に制限されない。
キャップゴム層を構成するゴム組成物中における、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、補強性の観点から、25質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、35質量部以上がさらに好ましく、40質量部以上が特に好ましい。また、ゴムの比重を低減させ軽量化を図る観点、またトレッド部の発熱抑制による耐チッピング性能向上の観点からは、120質量部以下が好ましく、105質量部以下がより好ましく、95質量部以下がさらに好ましく、90質量部以下が特に好ましい。なお、ベースゴム層を構成するゴム組成物中における、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、特に制限されない。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、具体的にはN110、N115、N120、N125、N134、N135、N219、N220、N231、N234、N293、N299、N326、N330、N339、N343、N347、N351、N356、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N660、N683、N754、N762、N765、N772、N774、N787、N907、N908、N990、N991等を好適に用いることができ、これ以外にも自社合成品等も好適に用いることができる。これらのカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、耐候性や補強性の観点から、50m2/g以上が好ましく、70m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上がさらに好ましい。また、分散性、低燃費性能、破壊特性および耐久性の観点からは、250m2/g以下が好ましく、220m2/g以下がより好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、前記測定方法により測定される値である。
キャップゴム層を構成するゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、耐候性や補強性の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、トレッド部の発熱抑制による耐チッピング性能向上の観点からは、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましく、10質量部以下が特に好ましい。なお、ベースゴム層を構成するゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、20~100質量部が好ましく、25~80質量部がより好ましく、30~60質量部がさらに好ましい。
本発明に係る充填剤は、シリカおよびカーボンブラック以外の充填剤を含んでいてもよい。シリカおよびカーボンブラック以外の充填剤としては、タイヤ工業で一般的に使用される充填剤をいずれも使用することができ、例えば、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、クレー、炭酸カルシウム、マイカ等が挙げられる。
キャップゴム層を構成するゴム組成物中における、ゴム成分100質量部に対する充填剤の合計含有量は、補強性の観点から40質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましく、65質量部以上が特に好ましく、68質量部以上が最も好ましい。また、ゴムの比重を低減させ軽量化を図る観点、またトレッド部の発熱抑制による耐チッピング性能向上の観点からは、130質量部以下が好ましく、115質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましく、95質量部以下が特に好ましい。ベースゴム層を構成するゴム組成物中における、ゴム成分100質量部に対する充填剤の合計含有量は、20~100質量部が好ましく、25~80質量部がより好ましく、30~60質量部がさらに好ましい。
<シランカップリング剤>
本発明に係るトレッド面を構成するゴム層(キャップゴム層)は、充填剤とともにシランカップリング剤が併用される。シランカップリング剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、下記のメルカプト系シランカップリング剤;ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤;等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤が好ましく、加工性の観点から、スルフィド系シランカップリング剤がより好ましい。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ベースゴム層を構成するゴム組成物は、シランカップリング剤を含まなくてもよい。
ゴム成分100質量部に対するシランカップリング剤の含有量は、シリカの分散性を高め、低燃費性能を向上させる観点から、2.0質量部以上が好ましく、2.4質量部以上がより好ましく、2.8質量部以上がさらに好ましく、3.0質量部以上が特に好ましい。また、耐チッピング性能の低下を防止する観点からは、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
(その他の配合剤)
本発明に係るトレッドを構成するゴム組成物は、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、樹脂成分、オイル、老化防止剤、ワックス、酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄等の架橋剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
(樹脂成分)
本発明において、キャップゴム層を構成するゴム組成物は、樹脂成分を含有することが好ましい。樹脂成分としては、特に限定されないが、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。なかでも、芳香族系石油樹脂が好ましい。これらの樹脂成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本明細書において「C5系石油樹脂」とは、C5留分を重合することにより得られる樹脂をいう。C5留分としては、例えば、シクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等の炭素数4~5個相当の石油留分が挙げられる。C5系石油樹脂しては、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)が好適に用いられる。
本明細書において「芳香族系石油樹脂」とは、C9留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C9留分としては、例えば、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデン、メチルインデン等の炭素数8~10個相当の石油留分が挙げられる。芳香族系石油樹脂の具体例としては、例えば、
クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、および芳香族ビニル系樹脂が好適に用いられる。芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、発熱性に優れているという理由から、α-メチルスチレンもしくはスチレンの単独重合体またはα-メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、クレイトン社、イーストマンケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
本明細書において「C5C9系石油樹脂」とは、前記C5留分と前記C9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分およびC9留分としては、前記の石油留分が挙げられる。C5C9系石油樹脂としては、例えば、東ソー(株)、LUHUA社等より市販されているものを使用することができる。
テルペン系樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン等のテルペン化合物から選ばれる少なくとも1種からなるポリテルペン樹脂;前記テルペン化合物と芳香族化合物とを原料とする芳香族変性テルペン樹脂;テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料とするテルペンフェノール樹脂;並びにこれらのテルペン系樹脂に水素添加処理を行ったもの(水素添加されたテルペン系樹脂)が挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂の原料となる芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノール等が挙げられる。
ロジン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば天然樹脂ロジン、それを水素添加、不均化、二量化、エステル化等で変性したロジン変性樹脂等が挙げられる。
フェノール系樹脂としては、特に限定されないが、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールアセチレン樹脂、オイル変性フェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
キャップゴム層を構成するゴム組成物が樹脂成分を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、4質量部以上が特に好ましい。また、転がり抵抗低減および耐摩耗性能の観点からは、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましく、10質量部以下が特に好ましい。なお、ベースゴム層を構成するゴム組成物の樹脂成分の含有量は特に制限されない。
樹脂成分の軟化点は、グリップ性能の観点から、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。また、加工性、ゴム成分と充填剤との分散性向上という観点からは、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。なお、樹脂成分の軟化点は、前記測定方法により測定される。
(オイル)
オイルとしては、例えば、アロマチックオイル、プロセスオイル、パラフィンオイル等の鉱物油等が挙げられる。なかでも、環境への負荷低減という理由からプロセスオイルを使用することが好ましい。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、6質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、80質量部以下が好ましく、75質量部以下がより好ましく、70質量部以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩などの老化防止剤が挙げられ、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N-4-メチル-2-ペンチル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジアリール-p-フェニレンジアミン、ヒンダードジアリール-p-フェニレンジアミン、フェニルヘキシル-p-フェニレンジアミン、フェニルオクチル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤、および2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤が好ましい。これらの老化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
(架橋剤)
架橋剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましく、2.5質量部以下が特に好ましい。なお、架橋剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の架橋剤として、公知の有機架橋剤を用いることもできる。有機架橋剤としては、ポリスルフィド結合以外の架橋鎖を形成できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等が挙げられ、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンが好ましい。これらの有機架橋剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレクシス社等より市販されているものを使用することができる。
加硫促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系もしくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤が挙げられ、なかでも、所望の効果がより好適に得られる点から、スルフェンアミド系加硫促進剤およびチウラム系加硫促進剤が好ましく、これら2種を併用することがより好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、CBS(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、TBBS(N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられる。チアゾール系加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)等が挙げられる。グアニジン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン(DPG)、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、所望の効果がより好適に得られる点から、CBSおよびTBzTDの組み合わせが特に好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。また、加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8質量部以下が好ましく、7質量部以下がより好ましく、6質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
本発明に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる例えば、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される公知の混練機で、前記各成分のうち、加硫剤(架橋剤)および加硫促進剤以外の成分を混練りした後、これに、加硫剤および加硫促進剤を加えてさらに混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、乗用車用タイヤ、大型SUV用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ、モーターサイクル用タイヤ等に好適に用いることができる。なお、乗用車用タイヤとは、四輪で走行する自動車に装着されることを前提としたタイヤであり、その最大負荷能力が1000kg以下のものを指す。また、本発明のタイヤは、全シーズン用タイヤ、夏用タイヤ、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤに使用可能である。
上記トレッド用ゴム組成物から構成されるトレッドを備えたタイヤは、上記トレッド用ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、ゴム成分に対して上記各成分を必要に応じて配合した未加硫のゴム組成物を、トレッドの形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例にのみ限定されるものではない。
以下、実施例および比較例において用いる各種薬品をまとめて示す。
NR:TSR20
SBR1:JSR(株)製のJSR1502(E-SBR、スチレン含量:23.5質量%、ビニル含量:18モル%、Mw:25万、非油展品)
SBR2:後述の製造例1で製造した変性溶液重合SBR(スチレン含量:38質量%、ビニル含量:39モル%、Mw:80万、SBR100重量部にオイル成分25重量部を添加した油展品)
BR1:日本ゼオン(株)製のNipol BR1220(コバルト系触媒の存在下でブタジエンを重合させて得られたBR、シス含量:96質量%、Tg:-105℃、Mw:46万)
BR2:ランクセス(株)製のCB24(Nd系触媒を用いて合成したBR、ビニル含量:0.7モル%、シス含量:96質量%、Mw:50万)
カーボンブラック1:キャボットジャパン(株)製のVULCAN10H(N134、N2SA:144m2/g)
カーボンブラック2:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN351H(N2SA:69m2/g)
シリカ1:エボニックデグサ社製のウルトラシル9100GR(N2SA:230m2/g、平均一次粒子径:15nm)
シリカ2:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g、平均一次粒子径:18nm)
シリカ3:ソルベイ社製のZeosil1115MP(N2SA:115m2/g、平均一次粒子径:25nm)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:H&R社製のVivaTec400(TDAEオイル)
樹脂成分:クレイトン社製のSYLVATRAX4401(α-メチルスチレン樹脂、Mw:700、軟化点:85℃)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N-,N’-ジフェニルグアニジン)
製造例1:SBR2の合成
底部に入口、頭部に出口を有し、攪拌機およびジャケットを付けたオートクレーブを反応器(内容積10L)として2基直列に連結し、窒素雰囲気下で、ブタジエン、スチレン、シクロヘキサンを各々所定の比率で混合した。この混合溶液を、活性アルミナを充填した脱水カラムを経由し、不純物を除去するためにn-ブチルリチウムをスタティックミキサー中で混合した後、1基目の反応器底部より連続的に供給し、さらに極性物質として2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを、重合開始剤としてn-ブチルリチウムを所定の速度でそれぞれ1基目の反応器底部より連続的に供給し、反応器内温を95℃に保持した。反応器頭部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目の反応器へ供給した。2基目の反応器の温度を95℃に保ち、変性剤としてテトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(単量体)とオリゴマー成分との混合物を、所定の速度でシクロヘキサン1000倍希釈液として連続的に加え、変性反応を行なった。この重合体溶液を反応器から連続的に抜き出し、スタティックミキサーで連続的に2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、重合体溶液100質量部に対し伸展油(ENEOS(株)製のNC-140)を25質量部加えた後、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥し、SBR2を得た。
(実施例および比較例)
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度150~160℃になるまで1~10分間混練りし、混練物を得た。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を用いて、所定の形状の口金を備えた押し出し機でトレッドのキャップゴム層(厚さ:7.0mm)およびベースゴム層(厚さ:1.8mm)の形状に合わせて押し出し成形し(トレッドの全体の厚みは8.8mm)、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて、未加硫タイヤを作製し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、表1に記載の各試験用タイヤ(サイズ:205/65R15、リム:15×6JJ、内圧:230kPa)を得た。なお、周方向溝の溝深さ(最深部)は4.6mmとした。
<脆化温度>
各試験用タイヤのトレッドのキャップゴム層から加硫ゴムを採取し、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmに切り出し、JIS K6261-2:2017「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム-低温特性の求め方-第2部:低温衝撃脆化試験」に準拠し、50%衝撃脆化温度を測定した。
<0℃tanδ>
各試験用タイヤのトレッドのキャップゴム層から加硫ゴムを採取し、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmに切り出し、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、温度0℃、周波数10Hz、初期歪み10%、および、動歪み2.5%、伸長モードの条件下で、損失正接(tanδ)を測定した。0℃tanδの値が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
<-30℃破断伸びEB>
各試験用タイヤのトレッドのキャップゴム層から加硫ゴムを採取し、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmに切り出し、JIS K 6251:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準じて、各試験用加硫ゴムシートからなる7号ダンベル型試験片を用いて、温度-30℃の条件下で引張試験を実施し、破断伸び(EB)を測定した。-30℃破断伸びEBが大きいほど、低温下での耐チッピング性能に優れることを示す。性能目標値は340%以上とする。
<ウェットグリップ性能指数>
下記計算式により、各タイヤのウェットグリップ性能指数を、実施例1のウェットグリップ性能指数を100として示した。指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(各配合の0℃tanδ)/(実施例1の0℃tanδ)×100
Figure 2023079167000001
Figure 2023079167000002
表2の結果より、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物では、低温下での耐チッピング性能およびウェットグリップ性能のバランスに優れることがわかる。
<実施形態>
本発明の実施形態の例を以下に示す。
〔1〕トレッドを備えたタイヤであって、
前記トレッドが、複数の周方向溝によって仕切られた陸部を有し、
前記陸部の少なくとも1つが、両端のいずれもが前記周方向溝に開口していない横溝を有し、
前記トレッドが、少なくとも1つのゴム層を有し、
前記少なくとも1つのゴム層のうち、トレッド面を構成するゴム層が、ゴム成分、充填剤、およびシランカップリング剤を含有するゴム組成物により構成され、
前記トレッド面を構成するゴム層のゴム成分が、イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含み、
前記充填剤が平均一次粒子径18nm以下のシリカを含み、
前記ゴム組成物の脆化温度をA(℃)、前記トレッドの全体の厚みに対する前記両端のいずれもが前記周方向溝に開口していない横溝の溝底の最深部の溝深さの比をBとしたとき、Aが-40以下(好ましくは-42以下、より好ましくは-45以下)であり、Bが0.80以上(好ましくは0.82以上、より好ましくは0.85以上)であり、A/Bが-75~-50(好ましくは-73~-56、より好ましくは-70~-58)であるタイヤ。
〔2〕前記ゴム組成物が、樹脂成分を含有する、上記〔1〕記載のタイヤ。
〔3〕前記充填剤中の前記シリカの含有量が30~95質量%(好ましくは40~85質量%、より好ましくは45~75質量%)である、上記〔1〕または〔2〕記載のタイヤ。
〔4〕前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対し、シランカップリング剤を2.8質量部以上(好ましくは3.0質量部以上)含有する、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔5〕前記ゴム成分が、イソプレン系ゴムを7~40質量%(好ましくは10~25質量%)、スチレンブタジエンゴムを25~60質量%、およびブタジエンゴムを10~40質量%(好ましくは15~35質量%)含有する、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔6〕前記ゴム組成物のJIS K 6251:2017に基づく-30℃雰囲気下での破断伸びが340%以上(好ましくは350%以上、より好ましくは370%以上)である、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔7〕前記ゴム組成物の0℃におけるtanδが0.35以上(好ましくは0.38以上、より好ましくは0.40以上)である上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のタイヤ。
1 トレッド面
2 センター陸部
3 ショルダー陸部
4 周方向溝
5 横溝
6 横溝
7 横溝
8 ショルダーサイプ
9 センターサイプ
C タイヤ周方向
CL タイヤ赤道面
W タイヤ幅方向
Te トレッド端

Claims (7)

  1. トレッドを備えたタイヤであって、
    前記トレッドが、複数の周方向溝によって仕切られた陸部を有し、
    前記陸部の少なくとも1つが、両端のいずれもが前記周方向溝に開口していない横溝を有し、
    前記トレッドが、少なくとも1つのゴム層を有し、
    前記少なくとも1つのゴム層のうち、トレッド面を構成するゴム層が、ゴム成分、充填剤、およびシランカップリング剤を含有するゴム組成物により構成され、
    前記トレッド面を構成するゴム層のゴム成分が、イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含み、
    前記充填剤が平均一次粒子径18nm以下のシリカを含み、
    前記ゴム組成物の脆化温度をA(℃)、前記トレッドの全体の厚みに対する前記両端のいずれもが前記周方向溝に開口していない横溝の溝底の最深部の溝深さの比をBとしたとき、Aが-40以下であり、Bが0.80以上であり、A/Bが-75~-50であるタイヤ。
  2. 前記ゴム組成物が、樹脂成分を含有する請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記充填剤中の前記シリカの含有量が30~95質量%である、請求項1または2記載のタイヤ。
  4. 前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対し、シランカップリング剤を2.8質量部以上含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記ゴム成分が、イソプレン系ゴムを7~40質量%、スチレンブタジエンゴムを25~60質量%、およびブタジエンゴムを10~40質量%含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記ゴム組成物のJIS K 6251:2017に基づく-30℃雰囲気下での破断伸びが340%以上である請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  7. 前記ゴム組成物の0℃におけるtanδが0.35以上である請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ。
JP2022153888A 2021-11-26 2022-09-27 タイヤ Pending JP2023079167A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP22203731.9A EP4186712A1 (en) 2021-11-26 2022-10-26 Tire
US17/973,624 US20230173842A1 (en) 2021-11-26 2022-10-26 Tire

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021192319 2021-11-26
JP2021192319 2021-11-26

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023079167A true JP2023079167A (ja) 2023-06-07

Family

ID=86646433

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022153888A Pending JP2023079167A (ja) 2021-11-26 2022-09-27 タイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023079167A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6863504B1 (ja) タイヤ
JP6863503B1 (ja) タイヤ
EP3925793A1 (en) Tire
EP3795378B1 (en) Heavy duty tire
WO2021075469A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP2021188008A (ja) タイヤ用ゴム組成物
EP4046820A1 (en) Rubber composition for tires, and tire
CN115027182A (zh) 轮胎
JP2021187265A (ja) 自動二輪車用タイヤ
EP4186712A1 (en) Tire
JP2021175767A (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP2023079167A (ja) タイヤ
JP2021172711A (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP7484212B2 (ja) タイヤ
EP4108720A1 (en) Tire
EP4186711A1 (en) Pneumatic tire
EP4151430A1 (en) Tire
EP4309917A1 (en) Tire
US20230286325A1 (en) Tire
EP4265436A1 (en) Motorcycle tire
EP4119361A1 (en) Tire for automated two-wheeled vehicle
JP2022185818A (ja) トレッド用ゴム組成物
JP2024055370A (ja) タイヤ
JP2023160726A (ja) 二輪自動車用タイヤ
JP2024020149A (ja) タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ