JP2024007163A - タイヤ - Google Patents

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勇輝 河西
Yuki Kasai
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】高速走行時の乗り心地性能が向上したタイヤを提供すること。【解決手段】トレッド部がトレッド面を構成するキャップゴム層と前記キャップゴム層の内側に配置されたベースゴム層とを有するタイヤであって、前記キャップゴム層のゴム組成物がガラス転移温度が-50℃未満である低Tgゴムを含み、前記低Tgゴムがイソプレン系ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも一つであり、前記ベースゴム層のゴム組成物が樹脂を含むタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
タイヤに求められる性能の1つとして、走行中の乗り心地性能が挙げられる。特許文献1には、所定のバンド層を備えることで乗り心地性能等が向上したタイヤが開示されている。
特開2021-160669号公報
しかし、高速道路が整備され、車両性能も向上した昨今においては、高速で長距離を移動することは珍しくなく、特に高速走行時の乗り心地性能には改善の余地があると考えられる。
本発明は、高速走行時の乗り心地性能の向上を図ることを目的とする。
本発明は、以下のタイヤに関する。
トレッド部が、トレッド面を構成するキャップゴム層と、前記キャップゴム層の内側に配置されたベースゴム層とを有するタイヤであって、
前記キャップゴム層のゴム組成物が、ガラス転移温度が-50℃未満である低Tgゴムを含み、
前記低Tgゴムが、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも一つであり、
前記ベースゴム層のゴム組成物が、樹脂を含むタイヤ。
本発明によれば、高速走行時の乗り心地性能の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るタイヤについて、断面図の一部を模式的に表したものである。 本発明の一実施形態に係るタイヤについて、断面図の一部を模式的に表したものである。 本発明の一実施形態に係るタイヤについて、断面図の一部を模式的に表したものである。 本発明の一実施形態に係るタイヤにおいて、トレッド接地面を模式的に表した図である。同図中の囲われた領域がトレッド接地面である。
本発明の一実施形態であるタイヤは、トレッド部がトレッド面を構成するキャップゴム層と、前記キャップゴム層の内側に配置されたベースゴム層とを有するタイヤであって、前記キャップゴム層のゴム組成物がガラス転移温度が-50℃未満である低Tgゴムを含み、前記低Tgゴムがイソプレン系ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも一つであり、前記ベースゴム層のゴム組成物が樹脂を含むタイヤである。
理論に拘束されることは意図しないが、本発明のタイヤにおいて高速走行時の乗り心地性能が向上するメカニズムは、以下のように考えられる。
すなわち、本発明のタイヤは、(1)キャップゴム層が、運動性の高いガラス転移温度-50℃未満の低Tgゴムを含むため、高速走行時の高周波数の振動および衝撃を吸収できること、(2)さらに内部へ伝播する振動はキャップゴム層に含まれる低Tgゴムのポリマー鎖とベースゴム層に含まれる樹脂との相互作用によって、キャップゴム層とベースゴム層の界面で熱として吸収されること、(3)さらに、ベースゴム層内では樹脂のドメインが形成され、このドメインと周囲の分子鎖との間の摩擦により、振動が熱として吸収されることが考えられる。そして、(1)~(3)が協働することで、高周波数の衝撃および振動が吸収されやすくなり、かつ、ゴム内部でも振動が熱として吸収されやすくなるため、高速走行時の乗り心地性能の向上を図ることができると考えられる。
前記ベースゴム層のゴム組成物におけるゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量は、好ましくは16質量部未満、より好ましくは12質量部未満である。
樹脂は前述の通り、ベースゴム層内でドメインを形成し、振動を吸収しやすくすると考えられるが、過剰になると、樹脂相を経由して振動がタイヤ内に伝わりやすくなり、高速走行時の乗り心地性能の向上効果が小さくなると考えられる。
前記低Tgゴムはガラス転移温度が-50℃未満のスチレンブタジエンゴムを含むことが好ましい。
低Tgゴムとしてスチレンブタジエンゴムを含むことにより、ベースゴム層との界面で樹脂のドメインと相互作用し、振動を吸収しやすくすることができること、また、キャップゴム層内にスチレン部によるドメインが形成され、このスチレン部のドメインと周囲の分子鎖との間の摩擦によっても振動を吸収しやすくなり、高速走行時の乗り心地性能を向上させやすくすることができると考えられる。
前記キャップゴム層のゴム組成物は樹脂を含み、前記樹脂のゴム成分100質量部に対する含有量(質量部)をRCとし、前記ベースゴム層のゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量(質量部)をRBとするとき、前記RBとRCとは以下の式(1)を満たすことが好ましい。
B/RC<1.00 (1)
キャップゴム層は路面と接するため、路面からの振動を受ける際に変形すると考えられ、変形することで樹脂のドメインと周囲のゴム分子鎖との間で振動を吸収しやいと考えられる。そのため、キャップゴム層では樹脂量を増やし、衝撃を吸収しやすくすることが良いと考えられる。一方で、内側のベースゴム層はキャップゴム層から伝わった振動を吸収する役割を果たすため、過剰な樹脂を含有すると、前述の通り、樹脂のドメインにより衝撃を伝えやすくなり、高速走行時の乗り心地向上効果が低減すると考えられる。以上のことから、キャップゴム層での振動吸収効果を大きくするため、キャップゴム層の樹脂量をベースゴム層の樹脂量よりも多くすることが好ましい。
前記キャップゴム層は、トレッド面を構成する表層と、前記表層の内側に配置された内層とから構成されることが好ましい。
キャップゴム層内にゴム層の界面が存在することで、この界面での摩擦や界面を通過する際の振動の減衰効果を得ることができ、高速走行時の乗り心地性能を、さらに向上させやすくすることができると考えられる。
キャップゴム層を構成する前記内層は前記低Tgゴムを含むことが好ましい。
キャップゴム層が二層の場合であっても、内層に含まれる低Tgゴムのポリマー鎖とベースゴムに含まれる樹脂との相互作用によって、キャップ/ベース界面で振動を熱として吸収することが可能となると考えられる。
前記キャップゴム層の厚みをHCとし、前記キャップゴム層全体におけるゴム成分100質量%に対する低Tgゴムの含有量(質量%)をPCとするとき、PCとHCとは以下の式(2)を満たすことが好ましい。
C/HC>13.0 (2)
キャップゴム層の厚みが増えるほど、路面からの振動および衝撃をキャップゴム層内部で吸収する必要があると考えられる。そのため、キャップゴムの厚みに対して、十分な量の低Tgゴムの含有量を含ませることで、高速走行時の乗り心地性能を向上させやすくすることができると考えられる。
前記低Tgゴムはガラス転移温度が-50℃未満のスチレンブタジエンゴムを含み、前記スチレンブタジエンゴムの、キャップゴム層のゴム組成物におけるゴム成分100質量%に対する含有量(質量%)をSCとし、前記キャップゴム層の厚みをHCとするとき、SCとHCとは以下の式(3)を満たすことが好ましい。
C/HC>2.5 (3)
キャップゴム層の厚みが増えるほど、路面からの振動および衝撃をキャップゴム層内部で吸収する必要があると考えられる。スチレンブタジエンゴムはゴム成分内で微細なスチレン部由来のドメインを形成し、そのドメイン周辺で振動を吸収しやすくすることができると考えられる。そのため、キャップゴムの厚みに対して、十分な量のスチレンブタジエンゴムを含ませることで、高速走行時の乗り心地性能を向上させやすくすることができると考えられる。
前記ベースゴム層のゴム組成物はイソプレン系ゴムを含有し、前記イソプレン系ゴムのゴム成分100質量%に対する含有量は50質量%超であることが好ましい。
前記ベースゴム層のゴム組成物はブタジエンゴムを含有することが好ましい。
一対のビードコアと前記ビードコアに隣接したビードフィラーとを備え、タイヤ断面高さ(mm)をH1とし、前記ビードフィラーの、リム径の測定点を基準とした高さ(mm)をH2とするとき、H2/H1は0.10以上0.45以下であることが好ましい。
タイヤがトレッド部で受けた振動がタイヤから車両に伝わる際、ビードフィラー部でも振動が伝播される。ビードフィラー部は他の部材に比べて、硬い部材であるため、振動を伝えやすいと考えられる。そのため、この大きさが大きい(高さが高い)ほど、ビードフィラー部で振動を伝えやすくなり、高速走行時の乗り心地性能の向上効果が低下するため、タイヤ断面高さの半分よりも小さい所定の高さとすることが好ましい。
正規状態で正規荷重で接地した際の、前記トレッド面のトレッド接地面を、タイヤ赤道を中心として、タイヤ幅方向の最大接地幅の53%に相当する幅を持つセンター領域と、前記センター領域よりもタイヤ幅方向外側となるショルダー領域とに区分したとき、前記センター領域の溝面積GCと前記ショルダー領域の溝面積GSとは以下の式(4)を満たすことが好ましい。
1.01≦GC/GS≦1.50 (4)
センター領域での溝面積を十分に確保し、剛性を低くして路面からの入力を緩和することで、トレッド部が変形しやすくなり、乗り心地性能が向上すると考えられるからである。
前記キャップゴム層がトレッド面を構成する表層と前記表層の内側に配置された内層とから構成される場合において、前記表層のゴム硬度は、前記内層のゴム硬度よりも小さいことが好ましい。
表層のゴム硬度を低くすることで、路面からの入力を緩和し、乗り心地性能が向上すると考えられるからである。
<定義>
「タイヤの各部の寸法等」は、特に断りがない限り、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において特定される値とする。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMA(日本自動車タイヤ協会)であれば「JATMA YEAR BOOK」に記載されている適用サイズにおける標準リム、ETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)であれば「STANDARDS MANUAL」に記載されている「Measuring Rim」、TRA(The Tire and Rim Association, Inc.)であれば「YEAR BOOK」に記載されている「Design Rim」を指し、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば「最高空気圧」、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の「最大値」、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」を指し、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最大負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、およびETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。正規荷重も、正規リム、正規内圧と同様にJATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。
「トレッド面を構成するゴム層の厚み」は、タイヤ回転軸を通る断面において、タイヤ赤道面上におけるトレッド表面に対する法線に沿って測定される当該ゴム層の厚みである。タイヤ赤道面上に周方向溝を有する場合においては、当該溝のタイヤ幅方向両側に存在する陸部のうち、陸部のタイヤ幅方向中央部がタイヤ赤道面に近い陸部のタイヤ幅方向中央部上のトレッド表面に対する法線に沿って測定される当該ゴム層の厚みである。また、タイヤ赤道面上に通電部材などのトレッド部と異なるゴム部材が存在する場合においては、当該ゴム部材のタイヤ幅方向両側に存在するタイヤ最表面端部を繋ぐ直線および各ゴム層界面の端部を繋ぐ直線を認識し、これら直線間の距離を対応するゴム層の厚みとする。当該厚みは、タイヤ回転軸を通る平面で切断したタイヤを、正規リム幅に保持させた状態で測定される。トレッド部を構成するゴム層の厚みとは、トレッドゴム全体の厚み、キャップゴム層の厚み、キャップゴム層を構成する表層の厚み、キャップゴム層を構成する内層の厚み、ベースゴム層の厚みをいずれも含むものである。
「キャップゴム層」とは、トレッド部を形成するゴム層のうち、タイヤの使用時に路面に接するゴム層である。具体的には、周方向溝を備える場合には、前記周方向溝のタイヤ最表面端部を繋ぎ合わせた直線と、前記周方向溝のタイヤ径方向最底部との距離で求められる溝深さのうち、溝深さが最大のものの溝深さをL(mm)とし、前述のゴム層厚みをタイヤ表面側からHi(iは正の整数であり、i=1は最表面のゴム層)として表した際に、以下の関係を満たすn番目までのゴム層である。
Figure 2024007163000001
一方で、周方向溝を備えない場合には、トレッド部の全ゴム層の厚みの合計値をLとして、上記式の関係性を満たすn番目までのゴム層である。
「キャップゴム層の樹脂含量RC」とは、キャップゴム層におけるゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量(質量部)をいう。キャップゴム層が複数のゴム層からなる場合は、各ゴム層におけるゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量(質量部)を、各ゴム層の厚さ(mm)をもとに荷重平均した値とする。各ゴム層の厚みは上記のとおりである。
「ベースゴム層の樹脂含量RB」とは、ベースゴム層におけるゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量(質量部)をいう。
「低Tgゴムの含有量(質量%)PC」とは、キャップゴム層におけるゴム成分100質量%に対する低Tgゴムの含有量(質量%)である。キャップゴム層が複数のゴム層からなる場合は、各ゴム層におけるゴム成分100質量%に対する低Tgゴムの含有量(質量%)を、各ゴム層の厚さ(mm)をもとに荷重平均した値とする。各ゴム層の厚みは上記のとおりである。
「スチレンブタジエンゴムの含有量(質量%)SC」とは、キャップゴム層におけるゴム成分100質量%に対するスチレンブタジエンゴム(SBR)の含有量(質量%)である。キャップゴム層が複数のゴム層からなる場合は、各ゴム層におけるゴム成分100質量%に対するSBRの含有量(質量%)を、各ゴム層の厚さ(mm)をもとに荷重平均した値とする。各ゴム層の厚みは上記のとおりである。
「タイヤ断面高さH1」とは、タイヤ外径とリム径との差の1/2の長さであり、タイヤを正規リムにリム組みし、かつ、正規内圧が充填された無負荷の正規状態において測定される。
「ビードフィラーの高さH2」とは、リム径の測定点を基準とした、ビードフィラーの高さ(mm)である。なお、ビードフィラーがカーカスの巻き返し部分で覆われていない部分を有する場合には、H2は、カーカスに挟まれているビードフィラー層のリム径の測定点を基準とした高さ(mm)である。
「センター領域の溝面積GC」とは、正規状態で正規荷重で接地した際のトレッド接地面を、タイヤ赤道を中心として、タイヤ幅方向の最大接地幅の53%に相当する幅を持つセンター領域と、前記センター領域よりもタイヤ幅方向外側となるショルダー領域とに区分したときの、前記センター領域おける溝面積であり、タイヤトレッド表面に墨を塗り、キャンバー角0°で、厚紙に押しつけることで得られる。
「ショルダー領域の溝面積GS」とは、正規状態で正規荷重で接地した際のトレッド接地面を、タイヤ赤道を中心として、タイヤ幅方向の最大接地幅の53%に相当する幅を持つセンター領域と、前記センター領域よりもタイヤ幅方向外側となるショルダー領域とに区分したときの、前記ショルダーおける溝面積であり、タイヤトレッド表面に墨を塗り、キャンバー角0°で、厚紙に押しつけることで得られる。
<測定方法>
「スチレン含量」は、1H-NMR測定により算出される。
「ビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される。
「シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される。
「ガラス転移温度(Tg)」は、JIS K 7121に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製の示差走査熱量計(Q200)を用いて、昇温速度10℃/分で昇温しながら測定することにより、計測される。本発明では、スチレンブタジエンゴムを含む各ゴム成分のTgが計測される。
「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。
「カーボンブラックのN2SA」は、JIS K 6217-2:2017に準じて測定される。
「シリカのN2SA」は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される。
「平均一次粒子径」は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察された一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。カーボンブラックや、シリカ等に適用される。
「軟化点」は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度として定義され得る。
「可塑剤の含有量」は、可塑剤によって伸展されたゴム成分中の可塑剤量も含む。同様に、「オイルの含有量」は、油展ゴムに含まれるオイル量も含む。
「ゴム硬度」は、接地面を形成するトレッドからタイヤ半径方向が厚さ方向となるように硬度測定用サンプルを切り出し、当該サンプルに、JIS K 6253に準拠して23℃でタイプAデュロメータを接地面側から押し付けて測定される値である。
[タイヤ]
本発明の一実施形態であるタイヤ(以下、「本タイヤ」ともいう。)について、以下、説明する。但し、以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。
本タイヤは、トレッド面を構成するキャップゴム層と、前記キャップゴム層の内側に配置されたベースゴム層とを有する。図1は、本タイヤの断面図の一部を模式的に表したものである。図1のタイヤ1は、キャップゴム層21とベースゴム層22とからなるトレッド部2を有している。キャップゴム層21の厚みおよびベースゴム層22の厚みは、タイヤ赤道面EPの位置での厚みであり、それぞれ、HCおよびHBで示されている。
<キャップゴム層>
キャップゴム層は、ガラス転移温度が-50℃未満である低Tgゴムを含むゴム組成物から構成されている。低Tgゴムのガラス転移温度は、-55℃未満が好ましく、-60℃未満がより好ましく、-64℃以下がさらに好ましい。
低Tgゴムは、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも一つである。このうち、低Tgゴムとしては、イソプレン系ゴムとブタジエンゴムである場合、ブタジエンゴムとスチレンブタジエンゴムである場合、イソプレン系ゴムとブタジエンゴムとスチレンブタジエンゴムである場合などが挙げられる。低Tgゴムは、スチレンブタジエンゴムを含むものであることが好ましい。
キャップゴム層を構成するゴム組成物は、上記低Tgゴム以外にも、下記ゴム組成物の欄で説明するゴム成分や配合剤を含むことができる。
前記キャップゴム層は、トレッド面を構成する表層と、前記表層の内側に配置された内層とから構成されるものであることができる。この場合において、内層がTgゴムを含むことが好ましい。内層が低Tgゴムを含み、ベースゴム層と隣接することで、内層とベースゴム層との界面において、内層に含まれる低Tgゴムのポリマー鎖とベースゴム層に含まれる樹脂との相互作用によって、路面から入力した振動が、キャップ/ベース界面で熱として吸収されると考えられるからである。
キャップゴム層の厚みは特に制限されず、タイヤ用途に合わせて、通常適用される厚みを採用することができる。乗用車の場合であれば、例えば、5.0mm超であることが好ましく、より好ましくは6.0mm超、さらに好ましくは7.0mm超である。一方、該厚みは、15.0mm未満であることが好ましく、より好ましくは13.0mm未満、さらに好ましくは10.0mm未満である。さらに、キャップゴムが表層と内層とに分かれる場合には、表層は、例えば、3.5mm超であることが好ましく、より好ましくは4.0mm超、さらに好ましくは4.5mm以上であり、一方、該厚みは、7.0mm未満であることが好ましく、より好ましくは6.0mm未満、さらに好ましくは5.0mm未満である。また、内層は、例えば、2.0mm超であることが好ましく、より好ましくは2.5mm超、さらに好ましくは3.0mm以上であり、一方、該厚みは、5.0mm未満であることが好ましく、より好ましくは4.0mm未満、さらに好ましくは3.5mm未満である。
<ベースゴム層>
ベースゴム層を構成するゴム組成物は、樹脂を含む。ベースゴム層を構成するゴム組成物における樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、16質量部未満であることが好ましく、より好ましくは12質量部未満、さらに好ましくは10質量部未満、さらに好ましくは9質量部以下、さらに好ましくは5質量部未満、さらに好ましくは3質量部以下である。
ベースゴム層を構成するゴム組成物は、イソプレン系ゴムを含有することが好ましい。イソプレン系ゴムの含有量は、ゴム成分100質量%中、50質量%超であることが好ましく、より好ましくは60質量%超、さらに好ましくは70質量%超、さらに好ましくは75質量%以上である。当該イソプレン系ゴムのガラス転移温度は-50℃未満であることが好ましく、より好ましくは-55℃未満、さらに好ましくは-60℃以下である。
ベースゴム層を構成するゴム組成物は、ブタジエンゴムを含有することが好ましい。また、ベースゴム層を構成するゴム組成物は、上記ゴム成分以外にも、下記ゴム組成物の欄で説明するゴム成分や配合剤を含むことができる。
ベースゴム層の厚みは特に制限されず、タイヤ用途に合わせて、通常適用される厚みを採用することができる。乗用車の場合であれば、例えば、1.0mm超であることが好ましく、より好ましくは1.5mm超、さらに好ましくは2.0mm以上である。一方、該厚みは、5.0mm未満であることが好ましく、より好ましくは4.0mm未満、さらに好ましくは3.0mm未満である。
(他の層)
本タイヤは、本発明の効果に影響を与えない範囲で、前記キャップゴム層のタイヤ半径方向外側や、前記ベースゴム層のタイヤ半径方向内側に、トレッド部を構成する他の層を有していてもよい。
<式(1)>
キャップゴム層のゴム組成物は樹脂を含み、前記樹脂のゴム成分100質量部に対する含有量(質量部)をRCとし、ベースゴム層のゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量(質量部)をRBとするとき、RBとRCとは以下の式(1)を満たすことが好ましい。
B/RC<1.00 (1)
式(1)において、右辺の値は、0.90が好ましく、より好ましくは0.80、さらに好ましくは0.70、さらに好ましくは0.60、さらに好ましくは0.50、さらに好ましくは0.40、さらに好ましくは0.30、さらに好ましくは0.20である。同値の下限は特に限定されないが、通常、0.10以上である。
<式(2)>
キャップゴム層の厚みをHCとし、前記キャップゴム層全体におけるゴム成分100質量%に対する低Tgゴムの含有量(質量%)をPCとするとき、PCとHCとは以下の式(2)を満たすことが好ましい。
C/HC>13.0 (2)
式(2)において、右辺の値は、13.1が好ましく、より好ましくは13.2である。同値の上限は特に限定されないが、通常、20.0以下である。
<式(3)>
前記低Tgゴムが、ガラス転移温度が-50℃未満のスチレンブタジエンゴムを含み、前記スチレンブタジエンゴムの、キャップゴム層のゴム組成物におけるゴム成分100質量%に対する含有量(質量%)をSCとし、前記キャップゴム層の厚みをHCとするとき、SCとHCとが以下の式(3)を満たすことが好ましい。
C/HC>2.5 (3)
式(3)において、右辺の値は、3.0が好ましく、より好ましくは4.0、さらに好ましくは5.0、さらに好ましくは6.0、さらに好ましくは7.0、さらに好ましくは8.0、さらに好ましくは9.0、さらに好ましくは10.0である。同値の下限は特に限定されないが、通常、15.0以下である。
<H2/H1>
一対のビードコアと、前記ビードコアに隣接したビードフィラーとを備え、タイヤ断面高さ(mm)をH1とし、前記ビードフィラーの、リム径の測定点を基準とした高さ(mm)をH2とするとき、H2/H1は0.10以上0.45以下であることが好ましい。
図2は、本タイヤの断面図の一部を模式的に表したものである。図2のタイヤ1は、ビードコア3と、該ビードコア3に隣接したビードフィラー4とを備えている。タイヤ断面高さ(mm)はH1で示され、ビードフィラー4の、リム径の測定点を基準とした高さ(mm)はH2で示されている。図2において、ビードフィラー4はカーカス5の巻き返し部分で完全に覆われているが、ビードフィラーはカーカスの巻き返し部分で完全に覆われていなくてもよい。ビードフィラーがカーカスの巻き返し部分で完全に覆われていない場合、ビードフィラーの高さは、カーカスに挟まれたビードフィラー層のリム径の測定基準点から、当該ビードフィラー層のタイヤ径方向の先端までの高さとする。
カーカスの巻き返し部分のタイヤ半径方向外側には、ビード補助層を設けてもよい。図3は、本タイヤの断面図の一部を模式的に表したものである。図3のタイヤ1は、カーカス5の巻き返し部分のタイヤ半径方向外側に、ビード補助層6を有している。ビード補助層があることで、ビード部が補強される。
H2/H1の値は、0.11以上がより好ましく、さらに好ましくは0.12以上、さらに好ましくは0.13以上である。一方、同値は、0.40以下がより好ましくは、さらに好ましくは0.35以下、さらに好ましくは0.30以下である。
<溝面積>
正規状態で正規荷重を負荷して接地させた際の、トレッド面のトレッド接地面を、タイヤ赤道を中心として、タイヤ幅方向の最大接地幅の53%に相当する幅を持つセンター領域と、前記センター領域よりもタイヤ幅方向外側となるショルダー領域とに区分したとき、前記センター領域の溝面積GCと前記ショルダー領域の溝面積GSとは以下の式(4)を満たすことが好ましい。
1.01≦GC/GS≦1.50 (4)
図4は、正規状態で正規荷重を負荷して接地させた際の、トレッド面のトレッド接地面を模式的に表した図である。同図中の囲われた領域がトレッド接地面である。図4において、センター領域CRはタイヤ赤道を中心として、タイヤ幅方向の最大接地幅の53%に相当する幅を持つ領域であり、ショルダー領域SRは、前記トレッド接地面において、センター領域よりもタイヤ幅方向外側となる領域である。ここで、最大接地幅とは、トレッド接地端Teに接する2本の直線間の距離である。
式(4)において、GC/GSの値は、1.40以下が好ましく、より好ましくは1.30以下、さらに好ましくは1.20以下、さらに好ましくは1.10以下である。一方、該値は、1.02以上が好ましく、より好ましくは1.03以上、さらに好ましくは1.04以上である。
<ゴム硬度>
前記キャップゴム層は、トレッド面を構成する表層と、前記表層の内側に配置された内層とから構成される場合において、前記表層のゴム硬度が、前記内層のゴム硬度よりも小さいことが好ましい。表層のゴム硬度を低くすることで、路面からの入力を緩和し、乗り心地性能が向上すると考えられるからである。
前記表層のゴム硬度は、60超が好ましく、63超がより好ましく、65以上がさらに好ましい。一方、該ゴム硬度は、70未満が好ましく、68未満がより好ましく、66以下がさらに好ましい。
前記内層のゴム硬度は、61超が好ましく、64超がより好ましく、66超がさらに好ましい。一方、該ゴム硬度は、72未満が好ましく、70未満がより好ましく、68未満がさらに好ましい。
キャップゴム層およびベースゴム層のゴム硬度は、タイヤ工業における常法により、調節することができ、具体的には、これらゴム層を構成するゴム組成物に配合される薬品(例えば、ゴム成分、充填剤、可塑剤、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤等)の種類や量を変化させることにより調節することができる。例えば、オイルの含有量を多くすることにより、ゴム硬度を低くすることができ、反対に少なくすることにより、ゴム硬度を高くすることができる。したがって、当業者は、適宜、ゴム硬度を調節することができる。
[ゴム組成物]
本タイヤのキャップゴム層を構成するゴム組成物とベースゴム層を構成するゴム組成物(以下、まとめて、「本ゴム組成物」ともいう。)について、説明する。特に断りのない限り、以下の説明は、キャップゴム層を構成するゴム組成物にも、ベースゴム層を構成するゴム組成物にも適用できるものである。
<ゴム成分>
ゴム成分としては、ジエン系ゴムが好適に用いられる。ジエン系ゴムとしては、例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。また、予め可塑剤により伸展された、伸展ゴムであってもよい。これらのゴム成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
キャップゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、100質量%未満が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%未満がさらに好ましい。また、該含有量は、5質量部超が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%超がさらに好ましい。
ベースゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量は、本発明の効果の観点から、90質量%未満が好ましく、80質量%未満がより好ましく、75
質量%以下がさらに好ましい。また、該含有量は50質量%超が好ましく、60質量%超がより好ましく、70質量%超がさらに好ましい。
(SBR)
SBRとしては特に限定はなく、未変性の溶液重合SBR(S-SBR)や、乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。なかでもS-SBRおよび変性SBRが好ましい。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加SBR)等も使用することができる。これらのSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRとして伸展SBRを用いることもできるし、非伸展SBRを用いることもできる。伸展SBRを用いる場合、SBRの伸展量、すなわち、SBRに含まれる伸展可塑剤の含有量は、SBRのゴム固形分100質量部に対して、10~50質量部であることが好ましい。
本発明で使用できるS-SBRとしては、JSR(株)、住友化学(株)、宇部興産(株)、旭化成(株)、ZSエラストマー(株)等より市販されているものを使用することができる。
SBRのスチレン含量は、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能の観点から、5質量%超が好ましく、8質量%超がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、グリップ性能の温度依存性および耐ブロー性能の観点からは、60質量%未満が好ましく、40質量%未満がより好ましく、30質量%未満がさらに好ましい。なお、SBRのスチレン含量は、前記測定方法により測定される。
SBRのビニル含量は、シリカとの反応性の担保、ウェットグリップ性能、ゴム強度、および耐摩耗性能の観点から、10モル%超が好ましく、20モル%超がより好ましく、30モル%超がさらに好ましい。また、SBRのビニル含量は、温度依存性の増大防止、破断伸び、および耐摩耗性能の観点から、80モル%未満が好ましく、70モル%未満がより好ましく、66モル%以下がさらに好ましい。なお、SBRのビニル含量は、前記測定方法により測定される。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、ウェットグリップ性能の観点から、20万超が好ましく、25万超がより好ましく、30万超がさらに好ましい。また、SBRのMwは、架橋均一性の観点から、200万未満が好ましく、180万未満がより好ましく、150万未満がさらに好ましい。なお、SBRのMwは、前記測定方法により測定される。
キャップゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分中のSBRの含有量は、本発明の効果の観点から、100質量%未満が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%未満がさらに好ましい。また、該含有量は0質量%でも差し支えないが、あるいは、40質量%超が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%超がさらに好ましい。
ベースゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分中のSBRの含有量は、0質量%であることが好ましく、あるいは、SBRを含有する場合には、キャップゴム層についての含有量の説明を適用することができる。
(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス含量が50モル%未満のBR(ローシスBR)、シス含量が90モル%超のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。変性BRとしては、上記SBRで説明したのと同様の官能基等で変性されたBRが挙げられる。これらのBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)、宇部興産(株)、JSR(株)等より市販されているものを使用することができる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。シス含量は、好ましくは95モル%超、より好ましくは96モル%超、さらに好ましくは97モル%以上である。
希土類系BRとしては、希土類元素系触媒を用いて合成され、ビニル含量が、好ましくは1.8モル%未満、より好ましくは1.0モル%未満、さらに好ましくは0.8モル%未満であり、シス含量が、好ましくは95モル%超、より好ましくは96モル%超、さらに好ましくは97モル%以上である。希土類系BRとしては、例えば、ランクセス(株)等より市販されているものを使用することができる。なお、BRのビニル含量およびシス含量は、前記測定方法により測定される。
SPB含有BRは、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶が、単にBR中に結晶を分散させたものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものが挙げられる。このようなSPB含有BRとしては、宇部興産(株)等より市販されているものを使用することができる。
変性BRとしては、末端および/または主鎖がケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性された変性ブタジエンゴム(変性BR)が好適に用いられる。
その他の変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)等が挙げられる。また、変性BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。
前記で列挙されたBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から、30万超が好ましく、35万超がより好ましく、40万超がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点からは、200万未満が好ましく、100万未満がより好ましい。なお、BRのMwは、前記測定方法により測定される。
キャップゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分中のBRの含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、60質量%未満が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%未満がさらに好ましく、30質量%未満が特に好ましい。また、該含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%超がより好ましく、15質量%超がさらに好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。
ベースゴム層を構成するゴム組成物のゴム成分中のBRの含有量は、本発明の効果の観点から、50質量%未満が好ましく、40質量%未満がより好ましく、30質量%未満がさらに好ましい。また、該含有量は、5質量%超が好ましく、10質量%超がより好ましく、20質量%超がさらに好ましい。
(その他のゴム成分)
ゴム成分は、本発明の効果に影響を与えない範囲で、ジエン系ゴム以外の他のゴム成分を含有してもよい。ジエン系ゴム以外の他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等が挙げられる。これら他のゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<フィラー>
フィラーとしては、カーボンブラックやシリカが挙げられる。また、フィラーは、カーボンブラックとシリカ以外のフィラーを含むものであってもよい。そのようなフィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、タルク、クレー等、従来タイヤ工業において一般的に用いられているものが挙げられる。フィラーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フィラーは、カーボンブラックおよびシリカの少なくとも一つを含むことが好ましく、カーボンブラックとシリカとを含むものであってもよく、カーボンブラックとシリカのみからなるものであってもよい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、具体的にはN110、N115、N120、N125、N134、N135、N219、N220、N231、N234、N293、N299、N326、N330、N339、N343、N347、N351、N356、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N660、N683、N754、N762、N765、N772、N774、N787、N907、N908、N990、N991等を好適に用いることができ、これ以外にも自社合成品等も好適に用いることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、補強性の観点から、10m2/g超が好ましく、20m2/g超がより好ましく、35m2/g超がさらに好ましく、50m2/g超が特に好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、200m2/g未満が好ましく、150m2/g未満がより好ましく、130m2/g未満がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、前記測定方法により測定される。
カーボンブラックの平均一次粒子径は、30nm未満が好ましく、26nm未満がより好ましく、23nm未満がさらに好ましく、22nm以下がさらに好ましい。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、1nm超が好ましく、3nm超がより好ましく、5nm超がさらに好ましい。なお、平均一次粒子径は、前記方法により求めることができる。
キャップゴム層を構成するゴム組成物のカーボンブラックの含有量は、耐候性や補強性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、1質量部超が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、20質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、低燃費性能の観点からは、70質量部未満が好ましく、65質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましい。
ベースゴム層を構成するゴム組成物のカーボンブラックの含有量は、補強性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、5質量部超が好ましく、10質量部超がより好ましく、20質量部超がさらに好ましく、25質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、低燃費性能の観点からは、60質量部未満が好ましく、50質量部未満がより好ましく、45質量部以下がさらに好ましい。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。シリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、低燃費性能および耐摩耗性能の観点から、140m2/g超が好ましく、150m2/g超がより好ましく、160m2/g超がさらに好ましく、175m2/g以上が特に好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、350m2/g未満が好ましく、300m2/g未満がより好ましく、250m2/g未満がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、前記測定方法により測定される。
シリカの平均一次粒子径は、25nm未満が好ましく、22nm未満がより好ましく、20nm未満がさらに好ましい。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、1nm超が好ましく、3nm超がより好ましく、5nm超がさらに好ましい。なお、平均一次粒子径は、前記方法により求めることができる。
キャップゴム層を構成するゴム組成物のシリカの含有量は、低燃費性能、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能の観点から、10質量部超が好ましく、20質量部以上が好ましく、30質量部超がさらに好ましい。また、該含有量は、シリカのゴムへの分散性の悪化により、低燃費性能および耐摩耗性能が低下することを抑制する観点からは、150質量部未満が好ましく、120質量部未満が好ましく、100質量部未満がさらに好ましい。
ベースゴム層を構成するゴム組成物のシリカの含有量は、低燃費性能、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能の観点から、5質量部超が好ましく、10質量部以上が好ましく、15質量部超がさらに好ましい。また、該含有量は、シリカのゴムへの分散性の悪化により、低燃費性能および耐摩耗性能が低下することを抑制する観点からは、100質量部未満が好ましく、60質量部未満が好ましく、30質量部未満がさらに好ましい。
(フィラー含有量)
キャップゴム層を構成するゴム組成物のフィラーの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、40質量部超が好ましく、50質量部以上が好ましく、60質量部超がさらに好ましい。また、該含有量は、200質量部未満が好ましく、150質量部未満が好ましく、100質量部未満がさらに好ましい。
ベースゴム層を構成するゴム組成物のフィラーの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、20質量部超が好ましく、30質量部超が好ましく、35質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、150質量部未満が好ましく、100質量部未満が好ましく、50質量部未満がさらに好ましい。
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤;等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、モメンティブ社等より市販されているものを使用することができる。シランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、シリカの分散性を高める観点から、1.0質量部超が好ましく、3.0質量部超がより好ましく、5.0質量部超がさらに好ましい。また、コストおよび加工性の観点からは、30質量部未満が好ましく、20質量部未満がより好ましく、15質量部未満がさらに好ましい。
<樹脂>
樹脂としては、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(石油樹脂)
石油樹脂としては、C5系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
≪C5系石油樹脂≫
C5系石油樹脂とは、C5留分を重合することにより得られる樹脂をいう。C5留分としては、例えば、シクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等の炭素数4~5個相当の石油留分が挙げられる。C5系石油樹脂しては、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)が好適に用いられる。
≪芳香族系石油樹脂≫
芳香族系石油樹脂とは、C9留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C9留分としては、例えば、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデン、メチルインデン等の炭素数8~10個相当の石油留分が挙げられる。芳香族系石油樹脂の具体例としては、例えば、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、および芳香族ビニル系樹脂が好適に用いられる。芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、発熱性に優れているという理由から、α-メチルスチレンもしくはスチレンの単独重合体またはα-メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、クレイトン社、イーストマンケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
≪C5C9系石油樹脂≫
C5C9系石油樹脂とは、前記C5留分と前記C9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分およびC9留分としては、前記の石油留分が挙げられる。C5C9系石油樹脂としては、例えば、東ソー(株)、LUHUA社等より市販されているものを使用することができる。
(テルペン系樹脂)
テルペン系樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン等のテルペン化合物から選ばれる少なくとも1種からなるポリテルペン樹脂;前記テルペン化合物と芳香族化合物とを原料とする芳香族変性テルペン樹脂;テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料とするテルペンフェノール樹脂;並びにこれらのテルペン系樹脂に水素添加処理を行ったもの(水素添加されたテルペン系樹脂)が挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂の原料となる芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノール等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ロジン系樹脂)
ロジン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば天然樹脂ロジン、それを水素添加、不均化、二量化、エステル化等で変性したロジン変性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(フェノール系樹脂)
フェノール系樹脂としては、特に限定されないが、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールアセチレン樹脂、オイル変性フェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(含有量)
キャップゴム層を構成するゴム組成物には樹脂を含まなくてもよいが、樹脂を含む場合の樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部超が好ましく、より好ましくは10質量部超、さらに好ましくは20質量部以上である。一方、該樹脂の含有量は、50質量部未満が好ましく、より好ましくは40質量部未満、さらに好ましくは35質量部以下である。
ベースゴム層を構成するゴム組成物における樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは16質量部未満、より好ましくは12質量部未満、さらに好ましくは10質量部未満、さらに好ましくは9質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下、さらに好ましくは5質量部未満である。一方、該樹脂の含有量は、0.5質量部超が好ましく、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部超、さらに好ましくは3質量部以上である。
なお、上記式(1)での説明のとおり、ベースゴム層を構成するゴム組成物におけるゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量は、キャップゴム層を構成するゴム組成物におけるゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量よりも少ないことが好ましい。
<可塑剤>
本発明に係るゴム組成物は、上記樹脂以外の可塑剤を含有することができる。可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、常温(25℃)で液体(液状)の可塑剤および常温(25℃)で固体の可塑剤の両方を含む概念である。上記樹脂以外の可塑剤としては、具体的には、例えば、オイル、液状ポリマー、エステル系可塑剤等が挙げれる。樹脂以外の可塑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(オイル)
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、動物油脂等が挙げられる。前記プロセスオイルとしてはパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルを使用することもできる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族系抽出物(TDAE)、重ナフテン系オイル等が挙げられる。また、ライフサイクルアセスメントの観点から、ゴム混合機やエンジンに用いられた後の廃油や、飲食店で使用された廃食用油を精製したものを用いてもよい。オイルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(液状ポリマー)
液状ポリマーは、常温(25℃)で液体状態のポリマーであれば特に限定されないが、例えば、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状スチレンイソプレンゴム(液状SIR)、液状ファルネセンゴム等が挙げられる。液状ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(エステル系可塑剤)
エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジブチル(DBA)、アジピン酸ジイソブチル(DIBA)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アゼライン酸ジ2-エチルヘキシル(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、フタル酸ジブチル(DBP)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、リン酸トリブチル(TBP)、リン酸トリオクチル(TOP)、リン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリメチル(TMP)、チミジントリリン酸(TTP)、リン酸トリクレシル(TCP)、リン酸トリキシレニル(TXP)等が挙げられる。エステル系可塑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(含有量)
樹脂以外の可塑剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量(複数を併用する場合は全ての合計量)は、1質量部超が好ましく、3質量部超がより好ましく、5質量部超がさらに好ましい。また、該可塑剤の含有量は、50質量部未満が好ましく、30質量部未満がより好ましく、10質量部未満がさらに好ましい。
<その他の配合剤>
本発明に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、ワックス、加工助剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部超が好ましく、0.7質量部超がより好ましく0.9質量部超がさらに好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化防止の観点からは、10質量部未満が好ましく、5質量部未満がより好ましく、3質量部未満がより好ましい。
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加工助剤としては、例えば、Schill+Seilacher社、パフォーマンスアディティブス社等より市販されているものを使用することができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部超が好ましく、0.7質量部超がより好ましく0.9質量部超がさらに好ましい。また、耐摩耗性および破壊強度の観点からは、10質量部未満が好ましく、8質量部未満がより好ましく、6質量部未満がさらに好ましい。
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤が挙げられ、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤、および2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤が、好ましい。これらの老化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部超が好ましく、1質量部超がより好ましく、1.5質量部超がさらに好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部未満が好ましく、7質量部未満がより好ましく、5質量部未満がさらに好ましい。
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部超が好ましく、1質量部超がより好ましく、1.5質量部超がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部未満が好ましく、7質量部未満がより好ましく、5質量部未満がさらに好ましい。
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部超が好ましく、1質量部超がより好ましく、1.5質量部超がさらに好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部未満が好ましく、7質量部未満がより好ましく、5質量部未満がさらに好ましい。
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部超が好ましく、0.3質量部超がより好ましく、0.5質量部超がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、5.0質量部未満が好ましく、4.0質量部未満がより好ましく、3.0質量部未満がさらに好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレクシス社等より市販されているものを使用することができる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系もしくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、およびチアゾール系加硫促進剤からなる群から選ばれる1以上の加硫促進剤が好ましく、スルフェンアミド系加硫促進剤とグアニジン系加硫促進剤との組合せがより好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)が好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量(複数の加硫促進剤を併用する場合は全ての合計量)は、0.5質量部超が好ましく、1質量部超がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8質量部未満が好ましく、7質量部未満がより好ましく、6質量部未満がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
[製法]
本発明に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。
混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。
混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、ファイナル練り工程では、70~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
本発明のタイヤは、前記のゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、ゴム成分に対して上記各成分を必要に応じて配合した未加硫のゴム組成物を、所定の形状の口金を備えた押し出し機でトレッド部のトレッド面を構成するゴム層の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
[用途]
本発明のタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バスに用いられる重荷重用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤに好適に用いることができ、このうち、乗用車用タイヤや、重荷重用タイヤに用いることが好ましい。また、本発明のタイヤは、全シーズン用タイヤ、夏用タイヤ、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤに使用可能である。なお、乗用車用タイヤとは、四輪で走行する自動車に装着されることを前提としたタイヤであり、その最大負荷能力が1000kg以下のものを指す。また、重荷重用タイヤとは、その最大負荷能力が1400kg以上のものを指す。
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本発明の範囲は実施例に限られない。
以下に示す各種薬品を用いて表1~表4に従って得られるゴム組成物からなるトレッドを有するタイヤを検討して、下記の分析・評価方法に基づいて算出した結果を、表5以下の各表に示す。
IR系ゴム:天然ゴム、RSS#3(Tg:-60℃)
SBR1:スチレンブタジエンゴム、SL553(スズカップリングS-SBR、ビニル含量:42モル%、スチレン含量:10質量%、Tg:-64℃、JSR(株)から入手可能)
SBR2:スチレンブタジエンゴム、Nipol NS616(S-SBR、スチレン含量:21質量%、ビニル含量:66モル%、Tg:-23℃、ZSエラストマー(株)から入手可能)
BR:ブタジエンゴム、ウベポールBR150B(ハイシスBR、シス含量:97モル%、トランス含量:2%、ビニル含量:1モル%、Tg:-114℃、宇部興産(株)から入手可能)
カーボンブラック1:三菱化学(株)製のダイアブラックI(N220)(N2SA:114m2/g、平均一次粒子径:22nm)
カーボンブラック2:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN351H(N2SA:69m2/g、平均一次粒子径:29nm)
シリカ:エボニックデグサ社製のULTRASIL(登録商標)VN3(N2SA:175m2/g、平均一次粒子径:18nm)
シランカップリング剤:Si266(スルフィド系、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、エボニックデグサ社から入手可能)
オイル:出光興産(株)製のPS-32(パラフィン系プロセスオイル、Mw:400)樹脂:芳香族ビニル系樹脂、クレイトン社製のSylvatraxx4401(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、軟化点:85℃、Mw:520)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:ノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、大内新興化学工業(株)から入手可能)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン(DPG))
加硫促進剤3:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ-G(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
表1~表4に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度150~160℃になるまで1~10分間混練りし、混練物を得る。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。
得られた未加硫ゴム組成物を用いて、トレッド部のキャップゴム層(当該キャップゴム層は、必要に応じ、表層と内層とからなる。厚さは各表に記載のとおり。)およびベースゴム層(厚さ:2.0mm)の形状に合わせて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃で12分間、プレス加硫して、表5-1~表13-2に記載の各試験用タイヤ(サイズ195/65R15)を得る。
<ゴム硬度>
各試験用タイヤの接地面を形成するトレッドから、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように硬度測定用サンプルを切り出し、当該サンプルに、JIS K 6253に準拠して、23℃でタイプAデュロメータを接地面側から押し付けて、ゴム硬度を測定する。
<高速走行時の乗り心地性能>
試験用タイヤを、内圧230kPaで、前輪駆動の中型乗用車の全輪に装着し、ドライ路面のテストコースを100km/hの速度で走行し、その時の直進時の振動に基づく乗り心地性能を、20人のドライバーで各人5段階の官能評価により評価した。結果は、基準例を100とする評点で表示し、数値が大きいほど乗り心地性能に優れることを示す。
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<実施形態>
以下に、好ましい実施形態を示す。
[1]トレッド部が、トレッド面を構成するキャップゴム層と、前記キャップゴム層の内側に配置されたベースゴム層とを有するタイヤであって、
前記キャップゴム層のゴム組成物が、ガラス転移温度が-50℃未満、好ましくは-55℃未満、より好ましくは-60℃未満、さらに好ましくは-64℃以下である低Tgゴムを含み、
前記低Tgゴムが、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも一つであり、
前記ベースゴム層のゴム組成物が、樹脂を含むタイヤ。
[2]前記ベースゴム層のゴム組成物のゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量が16質量部未満である、上記[1]記載のタイヤ。
[3]前記ベースゴム層のゴム組成物のゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量が12質量部未満、好ましくは10質量部未満、より好ましくは9質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下、さらに好ましくは5質量部未満である、上記[1]記載のタイヤ。
[4]前記低Tgゴムが、ガラス転移温度が-50℃未満、好ましくは-55℃未満、より好ましくは-60℃未満、さらに好ましくは-64℃以下のスチレンブタジエンゴムを含む、上記[1]~上記[3]のいずれか1項に記載のタイヤ。
[5]前記キャップゴム層のゴム組成物が樹脂を含み、前記樹脂のゴム成分100質量部に対する含有量(質量部)をRCとし、
前記ベースゴム層のゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量(質量部)をRBとするとき、前記RBとRCとが以下の式(1)を満たす、ここで、式(1)の右辺の値は好ましくは0.80、より好ましくは0.70、さらに好ましくは0.60、さらに好ましくは0.50、さらに好ましくは0.40、さらに好ましくは0.30、さらに好ましくは0.20である、上記[1]~上記[4]のいずれか1項に記載のタイヤ。
B/RC<1.00 (1)
[6]前記キャップゴム層が、トレッド面を構成する表層と、前記表層の内側に配置された内層とから構成される、上記[1]~上記[5]のいずれか1項に記載のタイヤ。
[7]キャップゴム層を構成する前記内層が前記低Tgゴムを含む、上記[6]記載のタイヤ。
[8]前記キャップゴム層の厚みをHCとし、前記キャップゴム層全体におけるゴム成分100質量%に対する低Tgゴムの含有量(質量%)をPCとするとき、PCとHCとが以下の式(2)を満たす、ここで、式(2)の右辺の値は好ましくは13.1、より好ましくは13.2である、上記[1]~上記[7]のいずれか1項に記載のタイヤ。
C/HC>13.0 (2)
[9]前記低Tgゴムが、ガラス転移温度が-50℃未満、好ましくは-55℃未満、より好ましくは-60℃未満、さらに好ましくは-64℃以下のスチレンブタジエンゴムを含み、前記スチレンブタジエンゴムの、キャップゴム層のゴム組成物におけるゴム成分100質量%に対する含有量(質量%)をSCとし、
前記キャップゴム層の厚みをHCとするとき、SCとHCとが以下の式(3)を満たす、ここで、式(3)の右辺の値は好ましくは3.0、より好ましくは4.0、さらに好ましくは5.0、さらに好ましくは6.0、さらに好ましくは7.0、さらに好ましくは8.0、さらに好ましくは9.0、さらに好ましくは10.0である、上記[1]~上記[8]のいずれか1項に記載のタイヤ。
C/HC>2.5 (3)
[10]前記ベースゴム層のゴム組成物がイソプレン系ゴムを含有し、前記イソプレン系ゴムのゴム成分100質量%に対する含有量が50質量%超、好ましくは60質量%超、より好ましくは70質量%超、さらに好ましくは75質量%以上である、上記[1]~上記[9]のいずれか1項に記載のタイヤ。
[11]前記イソプレン系ゴムのガラス転移温度が-50℃未満、好ましくは-55℃未満、より好ましくは-60℃未満、さらに好ましくは-64℃以下である、上記[10]記載のタイヤ。
[12]前記ベースゴム層のゴム組成物がブタジエンゴムを含有する、上記[10]または上記[11]記載のタイヤ。
[13]一対のビードコアと、前記ビードコアに隣接したビードフィラーとを備え、
タイヤ断面高さ(mm)をH1とし、前記ビードフィラーの、リム径の測定点を基準とした高さ(mm)をH2とするとき、H2/H1が0.10以上0.45以下、好ましくは0.11以上0.40以下、より好ましくは0.12以上0.35以下、さらに好ましくは0.13以上0.30以下である、上記[1]~上記[12]のいずれか1項に記載のタイヤ。
[14]正規状態で正規荷重で接地した際の、前記トレッド面のトレッド接地面を、タイヤ赤道を中心として、タイヤ幅方向の最大接地幅の53%に相当する幅を持つセンター領域と、前記センター領域よりもタイヤ幅方向外側となるショルダー領域とに区分したとき、前記センター領域の溝面積GCと前記ショルダー領域の溝面積GSとが以下の式(4)を満たす、ここで、式(4)のGC/GSの値は好ましくは1.02以上1.40以下、より好ましくは1.03以上1.30以下、さらに好ましくは1.04以上1.20以下、さらに好ましくは1.04以上1.10以下である、上記[1]~上記[13]のいずれか1項に記載のタイヤ。
1.01≦GC/GS≦1.50 (4)
[15]前記キャップゴム層が、トレッド面を構成する表層と、前記表層の内側に配置された内層とから構成される場合において、前記表層のゴム硬度が、前記内層のゴム硬度よりも小さい、上記[1]~上記[14]のいずれか1項に記載のタイヤ。
1 タイヤ
2 トレッド部
21 キャップゴム層
22 ベースゴム層
3 ビードコア
4 ビードフィラー
5 カーカス
6 ビード補助層
C キャップゴム層の厚み
B ベースゴム層の厚み
H1 タイヤ断面高さ
H2 ビードフィラーの高さ
R リム
CR センター領域
SR ショルダー領域
Te トレッド接地端
EP タイヤ赤道面

Claims (15)

  1. トレッド部が、トレッド面を構成するキャップゴム層と、前記キャップゴム層の内側に配置されたベースゴム層とを有するタイヤであって、
    前記キャップゴム層のゴム組成物が、ガラス転移温度が-50℃未満である低Tgゴムを含み、
    前記低Tgゴムが、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも一つであり、
    前記ベースゴム層のゴム組成物が、樹脂を含むタイヤ。
  2. 前記ベースゴム層のゴム組成物のゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量が16質量部未満である、請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記ベースゴム層のゴム組成物のゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量が12質量部未満である、請求項1記載のタイヤ。
  4. 前記低Tgゴムが、ガラス転移温度が-50℃未満のスチレンブタジエンゴムを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記キャップゴム層のゴム組成物が樹脂を含み、前記樹脂のゴム成分100質量部に対する含有量(質量部)をRCとし、
    前記ベースゴム層のゴム成分100質量部に対する樹脂の含有量(質量部)をRBとするとき、前記RBとRCとが以下の式(1)を満たす、請求項1~4のいずれか1項に記載のタイヤ。
    B/RC<1.00 (1)
  6. 前記キャップゴム層が、トレッド面を構成する表層と、前記表層の内側に配置された内層とから構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のタイヤ。
  7. キャップゴム層を構成する前記内層が前記低Tgゴムを含む、請求項6記載のタイヤ。
  8. 前記キャップゴム層の厚みをHCとし、前記キャップゴム層全体におけるゴム成分100質量%に対する低Tgゴムの含有量(質量%)をPCとするとき、PCとHCとが以下の式(2)を満たす、請求項1~7のいずれか1項に記載のタイヤ。
    C/HC>13.0 (2)
  9. 前記低Tgゴムが、ガラス転移温度が-50℃未満のスチレンブタジエンゴムを含み、前記スチレンブタジエンゴムの、キャップゴム層のゴム組成物におけるゴム成分100質量%に対する含有量(質量%)をSCとし、
    前記キャップゴム層の厚みをHCとするとき、SCとHCとが以下の式(3)を満たす、請求項1~8のいずれか1項に記載のタイヤ。
    C/HC>2.5 (3)
  10. 前記ベースゴム層のゴム組成物がイソプレン系ゴムを含有し、前記イソプレン系ゴムのゴム成分100質量%に対する含有量が50質量%超である、請求項1~9のいずれか1項に記載のタイヤ。
  11. 前記イソプレン系ゴムのガラス転移温度が-50℃未満である、請求項10記載のタイヤ。
  12. 前記ベースゴム層のゴム組成物がブタジエンゴムを含有する、請求項10または11記載のタイヤ。
  13. 一対のビードコアと、前記ビードコアに隣接したビードフィラーとを備え、
    タイヤ断面高さ(mm)をH1とし、前記ビードフィラーの、リム径の測定点を基準とした高さ(mm)をH2とするとき、H2/H1が0.10以上0.45以下である、請求項1~12のいずれか1項に記載のタイヤ。
  14. 正規状態で正規荷重で接地した際の、前記トレッド面のトレッド接地面を、タイヤ赤道を中心として、タイヤ幅方向の最大接地幅の53%に相当する幅を持つセンター領域と、前記センター領域よりもタイヤ幅方向外側となるショルダー領域とに区分したとき、前記センター領域の溝面積GCと前記ショルダー領域の溝面積GSとが以下の式(4)を満たす、請求項1~13のいずれか1項に記載のタイヤ。
    1.01≦GC/GS≦1.50 (4)
  15. 前記キャップゴム層が、トレッド面を構成する表層と、前記表層の内側に配置された内層とから構成される場合において、前記表層のゴム硬度が、前記内層のゴム硬度よりも小さい、請求項1~14のいずれか1項に記載のタイヤ。
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