JP2022076708A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低燃費性と操縦安定性との総合性能を改善したタイヤを提供する。【解決手段】トレッド第一層11の接地面はタイヤの周方向に連続して延びる2つ以上の周方向溝13、14、15とタイヤ幅方向の両端に位置する一対のショルダー陸部16、17およびセンター陸部18、19と、幅方向溝とまたは幅方向溝およびサイプとを有し、陸部全体の面積をSr、センター陸部の合計面積をSceとしたとき、SrおよびSceが下記式(1)を満たし、トレッド内層12を構成するゴム組成物の30℃における損失正接を30℃tanδBT、サイドウォール部2のサイドウォールを構成するゴム組成物の30℃における損失正接を30℃tanδSWとしたとき、30℃tanδBTと30℃tanδSWが下記式(2)を満たす。式(1)0.35≦Sce/Sr≦0.80、式(2)30℃tanδBT/30℃tanδSW<1【選択図】図1

Description

本発明はタイヤに関する。
近年、環境規制が厳しくなる中、低燃費性に優れたタイヤへの要求が高まっている。とりわけ、燃費性能への寄与の大きいトレッドは、ベーストレッドとキャップトレッドの2層構造とした上で、内部部材となるベーストレッドの燃費性能を高める(つまり、発熱を低減する)ことが試みられている。例えば、ベーストレッドを構成するゴム組成物に、カーボンブラックとシリカを併用して、低発熱性および補強性を両立させる方法が提案されている(特許文献1)。
特開2003-12866号公報
しかし、この方法ではゴムの硬度が低下してタイヤトレッドの剛性が小さくなるため、操縦安定性が低下するという問題がある。
本発明は、低燃費性と操縦安定性との総合性能を改善したタイヤを提供することを目的とする。
上記課題の下鋭意検討した結果、2層以上からなるトレッド部を有するタイヤにおいて、トレッド第一層の陸部全体の面積に対するセンター陸部の割合を所定の範囲内とし、かつ、トレッド内層を構成するゴム組成物のtanδの値をサイドウォールを構成するゴム組成物のそれより小さくした上で、当該トレッド内層の端部をサイドウォール部まで延ばすことにより、低燃費性と操縦安定性との総合性能を改善したタイヤが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]2層以上からなるトレッド部およびサイドウォール部を備えるタイヤであって、
前記2層以上からなるトレッド部が、タイヤ半径方向最も外側のトレッド第一層と、タイヤ半径方向内側のトレッド内層とを少なくとも備え、
前記トレッド内層の端部がサイドウォール部まで延び、前記トレッド内層がサイドウォール部においてサイドウォールよりもタイヤ幅方向内側に配置され、
前記トレッド第一層の接地面は、タイヤの周方向に連続して延びる2つ以上の周方向溝と、前記周方向溝で仕切られた陸部であって、タイヤ幅方向の両端に位置する2つの周方向溝によって仕切られた一対のショルダー陸部および前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部と、幅方向溝とまたは幅方向溝およびサイプとを有し、
前記陸部全体の面積をSr、前記センター陸部の合計面積をSceとしたとき、SrおよびSceが、下記式(1)
式(1) 0.35≦Sce/Sr≦0.80
を満たし、
前記トレッド内層を構成するゴム組成物の30℃における損失正接を30℃tanδBT、前記サイドウォール部のサイドウォールを構成するゴム組成物の30℃における損失正接を30℃tanδSWとしたとき、30℃tanδBTと30℃tanδSWが、下記式(2)
式(2) 30℃tanδBT/30℃tanδSW<1
を満たす、タイヤ、
[2]前記式(2)の右辺の値が0.9である、上記[1]記載のタイヤ、
[3]前記式(2)の右辺の値が0.8である、上記[1]記載のタイヤ、
[4]前記30℃tanδBTと、前記Srと、前記Sceとが、下記式(3)
式(3) 30℃tanδBT×(Sce/Sr)≦0.15
を満たす、上記[1]~[3]のいずれかに記載のタイヤ、
[5]前記式(3)の右辺の値が0.05である、上記[4]記載のタイヤ、
[6]前記センター陸部のうちの、独立した1つのセンター陸部の陸部幅が、タイヤ幅方向外側で隣接する少なくとも一つの周方向溝の溝深さの2倍以上である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のタイヤ、
[7]前記センター陸部がサイプを有し、前記サイプが、前記センター陸部の前記幅方向での両縁部を結ぶように延びており、前記センター陸部のサイプの前記幅方向の両端を結ぶ直線と、前記周方向溝とがなす角θが65~80度の範囲である、上記[1]~[6]のいずれかに記載のタイヤ、
[8]前記タイヤの周方向の長さをLa、前記幅方向溝の前記幅方向のエッジ成分の長さの合計Lb1および前記サイプの前記幅方向のエッジ成分の長さの合計Lb2の総和をLbとしたとき、LaおよびLbが、下記式(4)
式(4) 3≦Lb/La≦7
を満たす、上記[7]記載のタイヤ、
[9]前記トレッド第一層のトレッド踏面内において、前記トレッド踏面の接地面積をSt、前記周方向溝の合計面積Sg1並びに前記幅方向溝および前記サイプの合計面積Sg2の総和をSgとしたとき、StおよびSgが、下記式(5)
式(5) 0.20≦Sg/St≦0.40
を満たす、上記[1]~[8]のいずれかに記載のタイヤ、
[10]前記タイヤが乗用車用空気入りタイヤである、上記[1]~[9]のいずれかに記載のタイヤ、
に関する。
本発明によれば、低燃費性と操縦安定性との総合性能を改善した空気入りタイヤを提供することができる。
本開示のタイヤの一例を示すタイヤ子午線断面図である。 本開示のタイヤの一例を示すタイヤ子午線断面図である。 比較例のタイヤの一例を示すタイヤ子午線断面図である。 本開示のタイヤのトレッドパターンを示す部分展開図である。
本開示のタイヤは、2層以上からなるトレッド部およびサイドウォール部を備えるタイヤであって、前記2層以上からなるトレッド部がタイヤ半径方向最も外側のトレッド第一層と、タイヤ半径方向内側のトレッド内層とを少なくとも備え、前記トレッド内層の端部がサイドウォール部まで延び、前記トレッド内層がサイドウォール部においてサイドウォールよりもタイヤ幅方向内側に配置され、前記トレッド第一層の接地面はタイヤの周方向に連続して延びる2つ以上の周方向溝と、前記周方向溝で仕切られた陸部であってタイヤ幅方向の両端に位置する2つの周方向溝によって仕切られた一対のショルダー陸部および前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部と、幅方向溝とまたは幅方向溝およびサイプとを有し、前記陸部全体の面積をSr、前記センター陸部の合計面積をSceとしたとき、SrおよびSceが前記式(1)を満たし、前記トレッド内層を構成するゴム組成物の30℃における損失正接を30℃tanδBT、前記サイドウォール部のサイドウォールを構成するゴム組成物の30℃における損失正接を30℃tanδSWとしたとき、30℃tanδBTと30℃tanδSWが前記式(2)を満たすタイヤである。
理論に拘束されることは意図しないが、本開示のタイヤにおいて、低燃費性と操縦安定性との総合性能が改善するメカニズムとしては、以下が考えられる。すなわち、本開示のタイヤでは、操縦安定性は、トレッドの陸部全体の面積(Sr)に対するセンター陸部の面積(Sce)の割合を所定の範囲内とし陸部剛性を最適化することにより達成され、一方、低燃費性は、トレッド内層を構成するゴム組成物の30℃tanδBTをサイドウォールを構成するゴム組成物の30℃tanδSWよりも小さくし、かつ、当該トレッド内層の端部をサイドウォール部まで延ばして転がり抵抗の小さいトレッド内層の割合を多くすることにより達成されるが、これら二つの手段による操縦安定性の向上と低燃費性の向上は相互に相性がよく、その結果、操縦安定性と低燃費性との総合性能を向上せしめているものと考えられる。
前記式(2)の右辺の値は0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.7以下であることがさらに好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。低燃費性がより向上すると考えられる。
前記30℃tanδBTと、前記Srと、前記Sceとは、前記式(3)を満たすことが好ましく、前記式(3)の右辺の値は0.05であることがより好ましい。操縦安定性と低燃費性との総合性能が向上すると考えられる。
前記センター陸部のうちの、独立した1つのセンター陸部の陸部幅は、タイヤ幅方向外側で隣接する少なくとも一つの周方向溝の溝深さの2倍以上であることが好ましい。陸部剛性を大きくできるため、より優れた操縦安定性を得ることができると考えられる。
前記センター陸部はサイプを有し、前記サイプは前記センター陸部の前記幅方向での両縁部を結ぶように延びており、前記センター陸部のサイプの前記幅方向の両端を結ぶ直線と、前記周方向溝とがなす角θは65~80度の範囲であることが好ましい。蹴り出し時に、接地面幅内の水膜を掻き出すことができるため、湿潤路面走行時におけるウェットグリップ性能を良好に向上させることができると考えられる。
前記タイヤの周方向の長さをLa、前記幅方向溝の前記幅方向のエッジ成分の長さの合計Lb1および前記サイプの前記幅方向のエッジ成分の長さの合計Lb2の総和をLbとしたとき、LaおよびLbは前記式(4)を満たすことが好ましい。幅方向溝およびサイプの、幅方向のエッジ成分の長さを最適化することで、乾燥路面および湿潤路面でのタイヤの操縦安定性を十分に向上させることができると考えられる。
前記トレッド第一層のトレッド踏面内において、前記トレッド踏面の接地面積をSt、前記周方向溝の合計面積Sg1並びに前記幅方向溝および前記サイプの合計面積Sg2の総和をSgとしたとき、StおよびSgは、前記式(5)を満たすことが好ましい。転がり抵抗を維持しつつ排水性能を確保し、湿潤路面におけるブレーキ性能を維持できると考えられる。
前記タイヤは乗用車用空気入りタイヤであることが好ましい。本開示の効果を十分に生かすことができると考えられる。
[タイヤ]
以下、適宜図面を参照し、本開示のタイヤを説明する。なお、本開示のタイヤは、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本開示のタイヤの一例についてのタイヤ子午線断面図である。本タイヤは、トレッド部1、サイドウォール部2、クリンチ3およびカーカス4を備え、トレッド部1はタイヤ半径方向最も外側のトレッド第一層11と、タイヤ半径方向内側のトレッド内層12とを備えている。トレッド内層12の端部(12E)は、タイヤ断面高さ(HT)の20/40の高さの位置(H1)のサイドウォール部まで延び、かつ、サイドウォールよりもタイヤ幅方向内側に配置されている。クリンチ3の上端(3E)はタイヤ断面高さ(HT)の10/40の位置(H2)に留まっている。ここで、HT、H1およびH2は、タイヤを、タイヤ子午線を含む面で二分して得られる一方を、正規リムにリム組みして計測される値である。
図2は、図1と同様、本開示のタイヤの一例についてのタイヤ子午線断面図であるが、図1とは、トレッド内層12の端部(12E)がタイヤ断面高さ(HT)の14/40の高さの位置(H1)のサイドウォール部まで延びていること、および、クリンチ3の上端(3E)がタイヤ断面高さ(HT)の24/40の位置(H2)まで伸びている点で異なっている。なお、トレッド内層とクリンチとは、サイドウォール部において、間にカーカス4を介して配置されている。
図3は、本開示のタイヤに対する比較例のタイヤについてのタイヤ子午線断面図であり、トレッド内層12の端部(12E)は、タイヤ断面高さ(HT)の36/40の高さの位置(H1)にあり、サイドウォール部に達してはいない。クリンチ3の上端(3E)はタイヤ断面高さ(HT)の10/40の位置(H2)に留まっている。
図4は、本開示のタイヤのトレッドパターンの一例を示す部分展開図である。トレッド部1には、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンが形成されている。トレッド部1のトレッドパターンは、タイヤ赤道Cに関して、非対称形状で形成されている。
トレッド部1は、外側トレッド端Toおよび内側トレッド端Tiを有している。外側トレッド端Toは、車両装着時に車両の外側(図1、図4では右側)に位置する。内側トレッド端Tiは、車両装着時に車両の内側(図1、図4では左側)に位置する。
各トレッド端To、Tiは、正規状態のタイヤに正規荷重が負荷されキャンバー角0度で平面に接地したときの、最もタイヤ幅方向W(図1、図4における左右方向。以下、単に幅方向Wと呼ぶ)外側の接地位置である。正規状態とは、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法(タイヤ断面幅Wt等)は、前記正規状態で測定された値である。正規状態において、外側トレッド端Toと内側トレッド端Tiとの間の幅方向Wの距離は、トレッド幅TWと定義される。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、JATMAであれば“標準リム”、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”である。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”である。
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば“最大負荷能力”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。
本開示のタイヤは、2層以上からなるトレッド部およびサイドウォール部を備えるタイヤであって、前記2層以上からなるトレッド部が、タイヤ半径方向最も外側のトレッド第一層と、タイヤ半径方向内側のトレッド内層とを少なくとも備えている。図1および図2のタイヤは、トレッド部1、サイドウォール部2、クリンチ3およびカーカス4を備え、トレッド部1はタイヤ半径方向最も外側のトレッド第一層11と、タイヤ半径方向内側のトレッド内層12とを備えている。トレッド部1は、トレッド第一層11とトレッド内層12の他に、さらに1層ないし複数層を備えていてもよい。その場合において、トレッド内層12は、トレッド第一層11よりもタイヤ半径方向内側に配置される限り、何層目に配置されてもよいが、ある実施形態においてはタイヤ半径方向最も内側の最内層として配置されることが好ましい。
本開示のタイヤは、前記トレッド内層の端部がサイドウォール部まで延び、前記トレッド内層がサイドウォール部においてサイドウォールよりもタイヤ幅方向内側に配置されている。かかる構成をとることは、低燃費性の観点から好ましい。ここで、「トレッド内層の端部がサイドウォール部まで延びる」とは、図1および図2に示されるとおり、タイヤ断面高さにおけるトレッド内層の端部の高さが、サイドウォール上端の高さより低い位置にあることをいう。前記トレッド内層の端部の高さは、低燃費性の観点から、好ましくはタイヤ断面高さ(HT)の33/40以下であり、より好ましくは32/40以下であり、さらに好ましくは28/40以下であり、さらに好ましくは24/40以下であり、さらに好ましくは20/40以下である。
本開示のタイヤは、前記トレッド第一層の接地面が、タイヤの周方向に連続して延びる2つ以上の周方向溝と、前記周方向溝で仕切られた陸部であって、タイヤ幅方向の両端に位置する2つの周方向溝によって仕切られた一対のショルダー陸部および前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部と、幅方向溝とまたは幅方向溝およびサイプとを有している。
図4では、周方向溝13、14、15が3本設けられている。しかし、周方向溝の数は特に限定されず、例えば2本~5本であってもよい。また、周方向溝13、14、15は、本開示では、タイヤ周方向に沿って直線状に延びているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、タイヤ周方向に沿って波状、正弦波状、ジグザグ状等に延びていてもよい。
周方向溝13、14、15のそれぞれの溝幅は、慣例に従って任意に定めることができる。トレッド部1のパターン剛性を維持しながら十分な排水性能を提供するために、周方向溝13、14、15のそれぞれの溝幅は、例えばトレッド幅TWの2.5%~5%程度が好ましい。周方向溝13、14、15のそれぞれの溝深さは、特に限定されないが、5.0~12.0mmが好ましく、6.0~11.0mmがより好ましく、7.0~10.0mmがさらに好ましい。
本開示において「ショルダー陸部」は、タイヤ赤道Cから幅方向Wの最外側に位置する周方向溝と各トレッド端To、Tiとの間に形成された一対の陸部を指す。図4では、車両装着時に最外側に位置する周方向溝14と外側トレッド端Toとの間に形成された外側ショルダー陸部16、および、車両装着時に最内側に位置する周方向溝13と内側トレッド端Tiとの間に形成された内側ショルダー陸部17がそれぞれ設けられている。
図4において、ショルダー陸部16、17には、ショルダー陸部16、17を横切る方向に延びる複数のショルダー幅方向溝21、22とが設けられている。複数のショルダー幅方向溝21、22は、一対のショルダー陸部16、17のそれぞれに設けられている。なお、本明細書において、外側ショルダー陸部16に設けられたショルダー幅方向溝を外側ショルダー幅方向溝21と呼ぶ。また、内側ショルダー陸部17に設けられたショルダー幅方向溝を内側ショルダー幅方向溝22と呼ぶ。
本開示において「センター陸部」は、前記の一対のショルダー陸部に挟まれる全ての陸部を指す。図4では、タイヤ赤道Cに沿って設けられた周方向溝15と車両装着時に最外側に位置する周方向溝14との間に形成された外側センター陸部18、および、タイヤ赤道Cに沿って設けられた周方向溝15と車両装着時に最内側に位置する周方向溝13との間に形成された内側センター陸部19がそれぞれ設けられているが、センター陸部の数は特に限定されず、例えば1つ~5つであってもよい。
図4では、センター陸部18、19には、センター陸部18、19を横切る方向に延びる複数のセンター幅方向溝25、26と、複数のセンターサイプ27、28とが設けられている。複数のセンター幅方向溝25、26および、複数のセンターサイプ27、28は、センター陸部18、19のそれぞれに設けられている。なお、本明細書において、外側センター陸部18に設けられたセンター幅方向溝、センターサイプをそれぞれ、外側センター幅方向溝25、外側センターサイプ27と呼ぶ。また、内側センター陸部19に設けられたセンター幅方向溝、センターサイプをそれぞれ、内側センター幅方向溝26、内側センターサイプ28と呼ぶ。
幅方向溝21、22、25、26のそれぞれの溝幅は、例えばトレッド幅TWの2.5%~5%程度が好ましい。幅方向溝21、22、25、26のそれぞれの溝深さは、特に限定されないが、5.0~12.0mmが好ましく、6.0~11.0mmがより好ましく、7.0~10.0mmがさらに好ましい。なお、本明細書において、「サイプ」は、幅が2.0mm以下、好ましくは0.5~1.5mmの細い切り込みをいう。
ショルダー陸部16、17には、タイヤ周方向にのびるショルダー細溝を設けてもよい(図示せず)。かかるショルダー細溝を設けることにより、タイヤ周方向のエッジ成分を増加させ、旋回性能を向上させる。また、ショルダー陸部16、17のタイヤ周方向の剛性が大きく確保されるため、乾燥路での走行性能が向上する。なお、ショルダー細溝は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる態様に限定されるものではなく、例えば、タイヤ周方向に沿って波状や正弦波状やジグザグ状に延びていてもよい。ショルダー細溝の溝幅は、例えば、トレッド幅TWの1.0%~2.0%が好ましい。ショルダー細溝の溝深さは、例えば、周方向溝13、14、15の最深部の溝深さの0.40~0.60倍が好ましい。
本開示のタイヤは、陸部全体の面積をSr、前記センター陸部の合計面積をSceとしたとき、SrおよびSceが、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
式(1) 0.35≦Sce/Sr≦0.80
式(1)の値(Sce/Sr)は、0.38以上が好ましく、0.40以上がより好ましく、0.42以上がさらに好ましく、0.44以上がさらに好ましく、0.45以上がさらに好ましい。また、式(1)の値(Sce/Sr)は、0.75以下が好ましく、0.70以下がより好ましい。タイヤ陸部全体の面積に対するセンター陸部の合計面積の比を上記範囲とすることにより、センター陸部の体積を大きくすることができ、陸部剛性を大きくできるため、より優れた操縦安定性を得ることができる。
なお、本明細書において、陸部全体の面積Sr、センター陸部の合計面積Sceは、正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときのトレッド踏面の接地形状から計算される。SrおよびSceのいずれも、溝やサイプの部分は含まない。また、本明細書において、接地形状は、タイヤを正規リムに装着させ、正規内圧を保持させた後、例えば、トレッド部1にインクを塗布し、正規荷重を負荷して厚紙等に垂直に押し付け、(キャンバー角は0°)、トレッド部1に塗布されたインクを転写することにより得られる。
本開示のタイヤは、前記トレッド内層を構成するゴム組成物の30℃における損失正接を30℃tanδBT、前記サイドウォール部のサイドウォールを構成するゴム組成物の30℃における損失正接を30℃tanδSWとしたとき、30℃tanδBTと30℃tanδSWが、下記式(2)を満たすことを特徴とする。
式(2) 30℃tanδBT/30℃tanδSW<1
かかる構成は低燃費性の観点から好ましい。式(2)の値(30℃tanδBT/30℃tanδSW)は、0.95以下が好ましく、0.90以下がより好ましく、0.85以下がさらに好ましく、0.80以下がさらに好ましい。前記30℃tanδBTは、0.07以上が好ましく、0.08以上がより好ましく、0.09以上がさらに好ましく、また、0.15以下が好ましく、0.14以下がより好ましく、0.13以下がさらに好ましい。前記30℃tanδSWは、0.10以上が好ましく、0.11以上がより好ましく、0.12以上がさらに好ましく、また、0.18以下が好ましく、0.17以下がより好ましく、0.16以下がさらに好ましい。
ここで、30℃tanδは、加硫ゴム試験片について、粘弾性スペクトロメーターVESを用いて、温度30℃、周波数10Hz、初期歪み10%、および、動歪み2%の条件下で測定される損失正接である。
<式(3)>
本開示のタイヤは、前記30℃tanδBTと、前記Srと、前記Sceとが、下記式(3)を満たすものであることが好ましい。
式(3) 30℃tanδBT×(Sce/Sr)≦0.15
かかる構成は、操縦安定性と低燃費性との総合性能を向上せしめる観点から好ましい。式(3)の値(30℃tanδBT×(Sce/Sr))は、0.10以下が好ましく、0.08以下がより好ましく、0.06以下がさらに好ましく、0.05以下がさらに好ましい。
<センター陸部の陸部幅と隣接する周方向溝の溝深さ>
本開示のタイヤは、陸部剛性を大きくし優れた操縦安定性を得る観点から、独立した1つのセンター陸部の陸部幅は、タイヤ幅方向外側で隣接する少なくとも一つの周方向溝の溝深さの2倍以上であることが好ましく、2.5倍以上がより好ましく、3倍以上がさらに好ましい。前記陸部幅は、特に限定されないが、10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましく、20mm以上がさらに好ましく、また、60mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、40mm以下がさらに好ましい。前記溝深さは、特に限定されないが、5.0mm以上が好ましく、6.0mm以上がより好ましく、7.0mm以上がさらに好ましく、また、12.0mm以下が好ましく、11.0mm以下がより好ましく、10.0mm以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、前記陸部幅および前記溝深さは、いずれも、正規状態において計測される。
<センター陸部のサイプと周方向溝がなす角θ>
本開示のタイヤでは、前記センター陸部がサイプを有し、前記サイプが、前記センター陸部の前記幅方向での両縁部を結ぶように延びており、前記センター陸部のサイプの前記幅方向の両端を結ぶ直線と、前記周方向主溝とがなす角θが65~80度の範囲であることが好ましい。例えば、図4では、センター陸部18、19がサイプ27、28を有し、これらサイプ27、28がセンター陸部18、19の幅方向Wでの両縁部を結ぶように延びている。ここで、サイプ27の幅方向Wの両端を結ぶ直線と周方向溝14とがなす角またはサイプ28の幅方向Wの両端を結ぶ直線と周方向溝13とがなす角(いずれも、θ)は、65~80度の範囲であることが好ましい。この場合、センター陸部18、19において水膜を掻き出すことができ、ウェット路面での制動性能を向上させることができる。なお、本明細書において、前記角θは、正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときの接地形状から計算される。
<式(4)>
本開示のタイヤは、タイヤの周方向の長さをLa、幅方向溝の幅方向のエッジ成分の長さの合計Lb1およびサイプの幅方向のエッジ成分の長さの合計Lb2の総和をLbとしたとき、LaおよびLbが、下記式(4)を満たすことが好ましい。
式(4) 3≦Lb/La≦7
式(4)の値(Lb/La)は、操縦安定性の観点から、3.5以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、4.5以上がさらに好ましい。また、式(4)の値(Lb/La)は、6.5以下が好ましく、6.0以下がより好ましく、5.5以下がさらに好ましい。
図4では、タイヤの周方向の長さをLaに対し、幅方向溝21、22、25、26の幅方向Wのエッジ成分の長さの合計がLb1に相当し、サイプ27、28の幅方向Wのエッジ成分の長さの合計がLb2に相当し、これらLb1とLb2との総和がLbに相当する。幅方向溝21、22、25、26およびサイプ27、28のエッジ成分の長さと、タイヤの周方向の長さLaとの関係を上記範囲とすることによって、トレッド部1の変形を所定範囲とし、トレッド部1の陸部16、17、18、19の面積を所定以上に確保することができ、操縦安定性を向上させることができる。
なお、幅方向溝21、22、25、26およびサイプ27、28の「幅方向Wのエッジ成分の長さ」とは、幅方向溝21、22、25、26およびサイプ27、28の幅方向Wの投影長さ(幅方向成分および周方向成分のうち、幅方向成分)をいう。
また、タイヤの周方向の長さLaと、幅方向溝21、22、25、26の幅方向Wのエッジ成分の長さの合計Lb1との比Lb1/Laは、2.0~6.5が好ましく、2、2~6.3が好ましく、2.5~6.0がより好ましい。幅方向溝21、22、25、26の幅方向Wのエッジ成分の長さの合計Lb1とタイヤの周方向の長さLaとの関係を上記範囲とすることによって、さらに操縦安定性を高めることができる。
また、ショルダー陸部16、17における幅方向溝21、22の幅方向Wのエッジ成分の長さの合計Lbshと、センター陸部18、19における幅方向溝25、26の幅方向Wのエッジ成分の長さの合計Lbce1およびセンター陸部18、19におけるサイプ27、28の幅方向Wのエッジ成分の長さの合計Lbce2の総和Lbceとの比Lbsh/Lbceが、Lbsh/Lbce<1を満たすことが好ましい。この場合、ショルダー陸部16、17におけるエッジ成分が小さくなり、ショルダー陸部16、17の剛性が高まる。これにより、ショルダー陸部16、17の摩耗が抑制され、操縦安定性能を向上させることができる。
なお、本明細書において、前記La、前記Lb、前記Lb1および前記Lb2は、いずれも、正規状態において計測される。
<式(5)>
本開示のタイヤは、トレッド踏面内において、前記トレッド踏面の接地面積をSt、前記周方向溝の合計面積Sg1並びに前記幅方向溝および前記サイプの合計面積Sg2の総和をSgとしたとき、StおよびSgは、下記式(5)を満たすことが好ましい。
式(5) 0.20≦Sg/St≦0.40
式(5)の値(Sg/St)は、0.23以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.27以上がさらに好ましい。また、式(5)の値(Sg/St)は、0.37以下が好ましく、0.35以下がより好ましく、0.33以下がさらに好ましい。
Sg1/Stは、0.13以上が好ましく、0.14以上がより好ましく、0.15以上がさらに好ましい。また、Sg1/Stは、0.20以下が好ましく、0.19以下がより好ましく、0.18以下がさらに好ましい。
Sg2/Stは、0.10以上が好ましく、0.11以上がより好ましく、0.12以上がさらに好ましい。また、Sg1/Stは、0.17以下が好ましく、0.16以下がより好ましく、0.15以下がさらに好ましい。
式(5)の値(Sg/St)を上記範囲とすることにより、トレッドの陸部剛性を大きくすることができる。式(5)の値(Sg/St)が上記範囲未満の場合には、陸部の割合が多くなりすぎるため、排水性やグリップ性が低下する傾向がある。一方、式(5)の値(Sg/St)が上記範囲を超える場合には、充分なトレッドの陸部剛性を得ることができないために、操縦安定性が低下する傾向がある。
なお、本明細書において「トレッド踏面の接地面積(St)」とは、正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときのトレッド踏面の接地形状から計算される。Stは溝やサイプの部分も含む総面積である。また、周方向溝の合計面積Sg1、並びに幅方向溝およびサイプの合計面積Sg2も、正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときのトレッド踏面の接地形状から計算される。Sgは、Sg1とSg2とを足し合わせたものである。
<トレッド内層とクリンチの配置>
本開示のタイヤは、前記トレッド内層の端部の、タイヤ断面高さ(HT)における高さが、クリンチの上端の高さよりも高いか、または、クリンチの上端の高さより低い場合には前記トレッド内層が、クリンチとの間にカーカスを介して、クリンチよりもタイヤ幅方向内側に配置されることが好ましい。トレッド内層とクリンチとではゴム硬度の差が大きいが、このような構成とすることで、トレッド内層とクリンチとが接することがなくなるので、耐久性の悪化を防止することができる。例えば、図1では、トレッド内層12の端部(12E)の高さが、クリンチの上端(3E)の高さよりも高くなっており、図2では、トレッド内層12の端部(12E)の高さがクリンチ3の上端(3E)の高さよりも低くなっているが、トレッド内層12とクリンチ3とは、サイドウォール部において、間にカーカス4を介して配置されているため、接していない。
[ゴム組成物]
本開示のタイヤを構成するゴム組成物は、タイヤ工業における常法により製造することができる。特に、本開示のタイヤを構成するゴム組成物のうち、トレッド内層を構成するゴム組成物の30℃tanδの値は、サイドウォールを構成するゴム組成物の30℃tanδの値よりも小さいが、そのような調節は、タイヤ工業における常法により実施することができる。
具体的には、30℃tanδの値は、ゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、フィラー、軟化剤、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤)の種類や量によって調整することができ、例えば、不飽和結合の少ないゴム成分を使用したり、ゴム成分と相溶性の高い軟化剤を使用したり、変性ゴムを使用したり、充填材としてシリカを使用したり、可塑剤としてのオイルを減らしたり、硫黄を増やしたり、加硫促進剤を増やしたり、シランカップリング剤を増やしたりすると、30℃tanδは小さくなる傾向がある。したがって、当業者は、目標とする30℃tanδの値に応じて、適宜、調節することが可能である。
以下、本開示のタイヤを構成するゴム組成物、とりわけ、トレッド第一層、ドレッド内層またはサイドウォールを構成するゴム組成物に使用することができる薬品について、説明する。
<ゴム成分>
本開示に係るゴム組成物は、ゴム成分としてイソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、SBRを含むことがより好ましく、SBRおよびBRを含むことがさらに好ましく、SBRおよびBRのみからなるゴム成分としてもよい。
(SBR)
SBRとしては特に限定はなく、溶液重合SBR(S-SBR)、乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。なかでもS-SBRおよび変性SBRが好ましい。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加SBR)等も使用することができる。これらSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示で使用できるS-SBRとしては、JSR(株)、住友化学(株)、宇部興産(株)、旭化成(株)、ZSエラストマー(株)等によって製造販売されるS-SBRが挙げられる。
SBRのスチレン含量は、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、グリップ性能の温度依存性および耐ブロー性能の観点からは、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのスチレン含有量は、1H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含量は、シリカとの反応性の担保、ウェットグリップ性能、ゴム強度、および耐摩耗性能の観点から、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。また、SBRのビニル含量は、温度依存性の増大防止、破断伸び、および耐摩耗性能の観点から、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、ウェットグリップ性能の観点から、20万以上が好ましく、25万以上がより好ましく、30万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点から、重量平均分子量は200万以下が好ましく、180万以下がより好ましく、150万以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。
SBRを含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、本開示の効果の観点から、30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。また、SBRの含有量は、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス1,4結合含有率(シス含量)が50%未満のBR(ローシスBR)、シス1,4結合含有率が90%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。これらBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)や、ブタジエンゴムの活性末端に縮合アルコキシシラン化合物を有するブタジエンゴム(シリカ用変性BR)等が挙げられる。このような変性BRとしては、例えば、ZSエラストマー(株)等によって製造販売されるスズ変性BRやシリカ用変性BRが挙げられる。
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から、30万以上が好ましく、35万以上がより好ましく、40万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点からは、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。なお、BRの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。
BRを含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、本開示の効果の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、BRの含有量は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
イソプレン系ゴムを含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、本開示の観点から、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、イソプレン系ゴムを含有する場合の含有量の下限値は特に制限されず、0質量%であってもよい。
(その他のゴム成分)
本開示に係るゴム成分として、前記のイソプレン系ゴム、SBR、およびBR以外のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等が挙げられる。これらその他のゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。その他のゴムのゴム成分における含有量は、0質量%であってもよい。
<フィラー>
本開示に係るゴム組成物は、フィラーとしてシリカを含むことが好ましく、カーボンブラックおよびシリカを含むことがより好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては、タイヤ工業において一般的なものを適宜利用することができる、例えば、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762などが挙げられる。これらのカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、補強性の観点から、80m2/g以上が好ましく、90m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上がさらに好ましい。また、N2SAは、低燃費性能および加工性の観点から、200m2/g以下が好ましく、170m2/g以下がより好ましく、155m2/g以下がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217-2「ゴム用カーボンブラック基本特性-第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」に準じて測定された値である。
カーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、耐摩耗性能およびウェットグリップ性能の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、低燃費性能の観点からは、50質量部以下が好ましく、35質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、低燃費性能および耐摩耗性能の観点から、140m2/g以上が好ましく、170m2/g以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるシリカのN2SAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
シリカを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、20質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましく、60質量部以上が特に好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、130質量部以下が好ましく、120質量部以下がより好ましく、110質量部以下がさらに好ましい。
シリカとカーボンブラックのゴム成分100質量部に対する合計含有量は、耐摩耗性能の観点から、40質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および破断時伸びの観点からは、160質量部以下が好ましく、140質量部以下がより好ましく、120質量部以下がさらに好ましい。
シリカとカーボンブラックの合計含有量に対するシリカの割合は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、85質量%以上が特に好ましい。
(その他のフィラー)
シリカおよびカーボンブラック以外のフィラーとしては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルク等、従来からタイヤ工業において一般的に用いられているものを配合することができる。
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において、従来シリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、下記のメルカプト系シランカップリング剤;ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤が好ましく、メルカプト系シランカップリング剤がより好ましい。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
メルカプト系シランカップリング剤は、下記式(7)で表される化合物、および/または下記式(8)で表される結合単位Aと下記式(9)で表される結合単位Bとを含む化合物であることが好ましい。
Figure 2022076708000002
(式中、R101、R102、およびR103は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル、炭素数1~12のアルコキシ、または-O-(R111-O)z-R112(z個のR111は、それぞれ独立して、炭素数1~30の2価の炭化水素基を表し;R112は、炭素数1~30のアルキル、炭素数2~30のアルケニル、炭素数6~30のアリール、または炭素数7~30のアラルキルを表し;zは、1~30の整数を表す。)で表される基を表し;R104は、炭素数1~6のアルキレンを表す。)
Figure 2022076708000003
Figure 2022076708000004
(式中、xは0以上の整数を表し;yは1以上の整数を表し;R201は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシルもしくはカルボキシルで置換されていてもよい炭素数1~30のアルキル、炭素数2~30のアルケニル、または炭素数2~30のアルキニルを表し;R202は、炭素数1~30のアルキレン、炭素数2~30のアルケニレン、または炭素数2~30のアルキニレンを表し;ここにおいて、R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
式(7)で表される化合物としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランや、下記式(10)で表される化合物(エボニックデグサ社製のSi363)等が挙げられ、下記式(10)で表される化合物を好適に使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2022076708000005
式(8)で示される結合単位Aと式(9)で示される結合単位Bとを含む化合物としては、例えば、モメンティブ社等より製造販売されているものが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤のシリカ100質量部に対する含有量(複数のシランカップリング剤を併用する場合は全ての合計量)は、シリカの分散性を高める観点から、1.0質量部以上が好ましく、3.0質量部以上がより好ましく、5.0質量部以上がさらに好ましい。また、コストおよび加工性の観点からは、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましい。
フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ以外に、さらにその他のフィラーを用いてもよい。そのようなフィラーとしては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、タルク、クレー等この分野で一般的に使用されるフィラーをいずれも用いることができる。これらのフィラーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<その他の配合剤>
本開示に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、軟化剤、ワックス、加工助剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
(軟化剤)
本開示に係るゴム組成物は、軟化剤を含有することが好ましい。軟化剤としては、例えば、樹脂、オイル、液状ゴム、エステル系可塑剤等が挙げられる。軟化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂としては、特に限定されないが、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
石油樹脂としては、C5系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。石油樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
C5系石油樹脂とは、C5留分を重合することにより得られる樹脂をいう。C5留分としては、例えば、シクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等の炭素数4~5個相当の石油留分が挙げられる。C5系石油樹脂しては、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)が好適に用いられる。
芳香族系石油樹脂とは、C9留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C9留分としては、例えば、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデン、メチルインデン等の炭素数8~10個相当の石油留分が挙げられる。芳香族系石油樹脂の具体例としては、例えば、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、および芳香族ビニル系樹脂が好適に用いられる。芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、発熱性に優れているという理由から、α-メチルスチレンもしくはスチレンの単独重合体またはα-メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、クレイトン社、イーストマンケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
C5C9系石油樹脂とは、前記C5留分と前記C9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分およびC9留分としては、前記の石油留分が挙げられる。C5C9系石油樹脂としては、例えば、東ソー(株)、LUHUA社等より市販されているものを使用することができる。
テルペン系樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン等のテルペン化合物から選ばれる少なくとも1種からなるポリテルペン樹脂;前記テルペン化合物と芳香族化合物とを原料とする芳香族変性テルペン樹脂;テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料とするテルペンフェノール樹脂;並びにこれらのテルペン系樹脂に水素添加処理を行ったもの(水素添加されたテルペン系樹脂)が挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂の原料となる芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノール等が挙げられる。テルペン系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ロジン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば天然樹脂ロジン、それを水素添加、不均化、二量化、エステル化等で変性したロジン変性樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノール系樹脂としては、特に限定されないが、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールアセチレン樹脂、オイル変性フェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。フェノール系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂の軟化点は、ウェットグリップ性能の観点から、60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましい。また、加工性、ゴム成分とフィラーとの分散性向上という観点からは、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、軟化点は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度として定義され得る。
樹脂を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ウェットグリップ性能の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、発熱性抑制の観点からは、60質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましく、15質量部以下が特に好ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、動物油脂等が挙げられる。前記プロセスオイルとしてはパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルを使用することもできる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族系抽出物(TDAE)、重ナフテン系オイル等が挙げられる。オイルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、60質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
液状ゴムは、常温(25℃)で液体状態のポリマーであれば特に限定されないが、例えば、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状スチレンイソプレンゴム(液状SIR)、液状ファルネセンゴム等が挙げられる。これらの液状ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状ゴムを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上が特に好ましい。また、液状ゴムの含有量は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジブチル(DBA)、アジピン酸ジイソブチル(DIBA)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アゼライン酸ジ2-エチルヘキシル(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、フタル酸ジブチル(DBP)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、リン酸トリブチル(TBP)、リン酸トリオクチル(TOP)、リン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリメチル(TMP)、チミジントリリン酸(TTP)、リン酸トリクレシル(TCP)、リン酸トリキシレニル(TXP)等が挙げられる。これらのエステル系可塑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エステル系可塑剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上が特に好ましい。また、エステル系可塑剤の含有量は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
軟化剤のゴム成分100質量部に対する含有量(複数の軟化剤を併用する場合は全ての合計量)は、ウェットグリップ性能の観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。また、加工性の観点からは、120質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましく、40質量部以下が特に好ましい。
(ワックス)
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化防止の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
(加工助剤)
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加工助剤としては、例えば、Schill+Seilacher社、パフォーマンスアディティブス社等より市販されているものを使用することができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性および破壊強度の観点からは、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤が挙げられ、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤、および2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤が好ましい。これらの老化防止剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
(ステアリン酸)
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
(酸化亜鉛)
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
(加硫剤)
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレクシス社等より市販されているものを使用することができる。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系若しくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、およびチアゾール系加硫促進剤からなる群から選ばれる1以上の加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)が好ましい。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。なかでも、2-メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。また、加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8質量部以下が好ましく、7質量部以下がより好ましく、6質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
[製造]
本開示に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。
混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。
混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、ファイナル練り工程では、70~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
前記ゴム組成物から構成される本開示のタイヤは、前記ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、ゴム成分に対して上記各成分を必要に応じて配合した未加硫のゴム組成物を、トレッド第一層、トレッド内層またはサイドウォールの形状に押出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。
[用途]
前記ゴム組成物は、各種タイヤのトレッド、例えば、乗用車用タイヤ;トラック・バス用タイヤ;二輪車用タイヤ;高性能タイヤ;全シーズン用タイヤ;夏用タイヤ;スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤに使用可能である。中でも、乗用車用タイヤまたは夏用タイヤの少なくともいずれかであることが好ましい。
以下、実施例に基づいて、本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらのみに限定されるものではない。
<各種薬品>
実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
SBR1:JSR(株)製のHPR850(スチレン含量:27.5質量%、ビニル含量:59.0質量%、非油展品)
SBR2:TRINSEO社製のSPRINTAN SLR6430(スチレン含量:40質量%、ビニル量24質量%、Mw:146万、油展品:固形分100質量部に対して37.5質量部のTDAEオイルを含む)
BR1:宇部興産(株)製のUBEPOL BR(登録商標)150B(シス含量:97%、Mw:44万)
BR2:旭化成(株)製のASAPRENE N103(シス含量:38質量%、Mw:55万)
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製のダイヤブラックN220(N2SA:115m2/g)
シリカ:Evоnic社製のULTRASIL(登録商標)VN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤1:Evоnic社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
シランカップリング剤2:モメンティブ社製のNXT-Z45(メルカプト系シランカップリング剤:結合単位A(55モル%)と結合単位B(45モル%)との共重合体)
オイル:H&R社製のVIVATEC 500(TDAEオイル)
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
樹脂:クレイトン社製のSylvatraxx4401(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、軟化点:85℃)
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5%オイル硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(DPG、1,3-ジフェニルグアニジン)
<試験用加硫ゴムシート・試験用タイヤの製造>
表1に示す配合内容に従い、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度160℃で4分間混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で12分間プレス加硫し、試験用加硫ゴムシートを得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物を、それぞれ、表2に示すトレッド第一層、トレッド内層、またはサイドウォールの形状となるように押し出し加工し、これを他の部材とともに貼り合わせ、生タイヤを作製した。次に加硫工程において170℃で20分間プレス成形し、195/65R15サイズの試験用タイヤを作製した。ここで、表2において、Sce、Sr、θ、Sg(Sg1、Sg2)およびStの各値は、前記のとおり、正規状態において、正規荷重を負荷してトレッドを平面に押し付けたときの接地形状から計測された値であり、センター陸部の陸部幅、該センター陸部にタイヤ幅方向外側で隣接する周方向溝の溝深さ、LaおよびLb(Lb1、Lb2)は、前記のとおり、正規状態で計測された値である。また、HT、H1およびH2は、前記のとおり、タイヤを、タイヤ子午線を含む面で二分して得られる一方を、正規リムにリム組みして計測された値である。
<評価>
以下に評価方法を示す。実施例における性能目標値は、低燃費性指数と操縦安定性指数を合算した総合性能指数が200以上である。
(tanδの測定)
試験用加硫ゴムシートについて、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度30℃、周波数10Hz、初期歪み10%、および、動歪み2%の条件下で、損失正接(30℃tanδ)を測定した。
(低燃費性)
各試験用タイヤを、転がり抵抗試験機を用い、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例(比較例1)を100とした時の指数で表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示す。
(操縦安定性)
各試験用タイヤを車輌(国産のFF車、排気量2000cc)の全輪に装着して、ドライアスファルト路面のテストコースを周回し、そのときの周回タイムを計測した。操縦安定性は、下式によりに指数で表示した。指数が大きいほど、操縦安定性が優れていることを示す。なお、基準タイヤは転がり抵抗性能のラベリングがAA以上の、同じタイヤサイズの市販タイヤであり、周回タイムが実施例・比較例よりも大きい(遅い)タイヤである。
操縦安定性=[(基準タイヤの周回タイム-試験用タイヤの周回タイム)/(基準タイヤの周回タイム-比較例1のタイヤの周回タイム)]×100
Figure 2022076708000006
Figure 2022076708000007
表2の結果より、実施例のタイヤは、低燃費性指数と操縦安定性指数を合算した総合性能指数において、比較例のタイヤに比べて優れた値を示しており、低燃費性と操縦安定性との総合性能が改善されたものであることがわかる。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 クリンチ
3E クリンチの上端
4 カーカス
11 トレッド第一層
12 トレッド内層
12E トレッド内層の端部
13、14、15 周方向溝
16 外側ショルダー陸部
17 内側ショルダー陸部
18 外側センター陸部
19 内側センター陸部
21 外側ショルダー幅方向溝
22 内側ショルダー幅方向溝
25 外側センター幅方向溝
26 内側センター幅方向溝
27 外側センターサイプ
28 内側センターサイプ
C タイヤ赤道
HT タイヤ断面高さ
To 外側トレッド端
Ti 内側トレッド端
TW トレッド幅
W タイヤ幅方向
Wt タイヤ断面幅

Claims (10)

  1. 2層以上からなるトレッド部およびサイドウォール部を備えるタイヤであって、
    前記2層以上からなるトレッド部が、タイヤ半径方向最も外側のトレッド第一層と、タイヤ半径方向内側のトレッド内層とを少なくとも備え、
    前記トレッド内層の端部がサイドウォール部まで延び、前記トレッド内層がサイドウォール部においてサイドウォールよりもタイヤ幅方向内側に配置され、
    前記トレッド第一層の接地面は、タイヤの周方向に連続して延びる2つ以上の周方向溝と、前記周方向溝で仕切られた陸部であって、タイヤ幅方向の両端に位置する2つの周方向溝によって仕切られた一対のショルダー陸部および前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部と、幅方向溝とまたは幅方向溝およびサイプとを有し、
    前記陸部全体の面積をSr、前記センター陸部の合計面積をSceとしたとき、SrおよびSceが、下記式(1)
    式(1) 0.35≦Sce/Sr≦0.80
    を満たし、
    前記トレッド内層を構成するゴム組成物の30℃における損失正接を30℃tanδBT、前記サイドウォール部のサイドウォールを構成するゴム組成物の30℃における損失正接を30℃tanδSWとしたとき、30℃tanδBTと30℃tanδSWが、下記式(2)
    式(2) 30℃tanδBT/30℃tanδSW<1
    を満たす、タイヤ。
  2. 前記式(2)の右辺の値が0.9である、請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記式(2)の右辺の値が0.8である、請求項1記載のタイヤ。
  4. 前記30℃tanδBTと、前記Srと、前記Sceとが、下記式(3)
    式(3) 30℃tanδBT×(Sce/Sr)≦0.15
    を満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記式(3)の右辺の値が0.05である、請求項4記載のタイヤ。
  6. 前記センター陸部のうちの、独立した1つのセンター陸部の陸部幅が、タイヤ幅方向外側で隣接する少なくとも一つの周方向溝の溝深さの2倍以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載のタイヤ。
  7. 前記センター陸部がサイプを有し、前記サイプが、前記センター陸部の前記幅方向での両縁部を結ぶように延びており、前記センター陸部のサイプの前記幅方向の両端を結ぶ直線と、前記周方向溝とがなす角θが65~80度の範囲である、請求項1~6のいずれか1項に記載のタイヤ。
  8. 前記タイヤの周方向の長さをLa、前記幅方向溝の前記幅方向のエッジ成分の長さの合計Lb1および前記サイプの前記幅方向のエッジ成分の長さの合計Lb2の総和をLbとしたとき、LaおよびLbが、下記式(4)
    式(4) 3≦Lb/La≦7
    を満たす、請求項7記載のタイヤ。
  9. 前記トレッド第一層のトレッド踏面内において、前記トレッド踏面の接地面積をSt、前記周方向溝の合計面積Sg1並びに前記幅方向溝および前記サイプの合計面積Sg2の総和をSgとしたとき、StおよびSgが、下記式(5)
    式(5) 0.20≦Sg/St≦0.40
    を満たす、請求項1~8のいずれか1項に記載のタイヤ。
  10. 前記タイヤが乗用車用空気入りタイヤである、請求項1~9のいずれか1項に記載のタイヤ。
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