JP2022176693A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低燃費性能、氷上グリップ性能、および氷上操縦安定性能の総合性能が改善されたタイヤを提供すること。
【解決手段】トレッド面を構成する第一層と、前記第一層の半径方向内側に隣接する第二層と、前記第二層の半径方向内側に隣接する第三層とを少なくとも備えたトレッドを有するタイヤであって、前記トレッド部が、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝を有し、前記第一層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも2種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、前記第二層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、前記第三層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成されたタイヤ。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
ブラックアイスバーン(雪のない路面に薄い氷が張っている状態の凍結路面)は、ドライバーによる目視が困難な場合があり、タイヤスリップ等を起こしやすい。このことから、ブラックアイスバーンにおいてコーナリングする際もスリップせず、良好な応答性ないし操縦安定性を得ることが要求される。
特許文献1には、氷上性能および低燃費性能に優れた冬用タイヤが記載されている。
特開2017-203111号公報
凍結路面において良好な応答性ないし操縦安定性を得るために、トレッド部の発熱性を向上させることも考えられるが、トレッド表面と氷上路面との摩擦により生じた熱により氷が溶け、トレッド表面と路面との間に水膜が発生し、かえってスリップを招くことが懸念される。
本発明は、低燃費性能、氷上グリップ性能、および氷上操縦安定性能の総合性能が改善されたタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、トレッド部に3層以上のゴム層を設け、かつトレッド面を構成する第一のゴム層に2種以上のゴム成分を配合することにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
〔1〕トレッド面を構成する第一層と、前記第一層の半径方向内側に隣接する第二層と、前記第二層の半径方向内側に隣接する第三層とを少なくとも備えたトレッドを有するタイヤであって、前記トレッド部が、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝を有し、前記第一層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも2種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、前記第二層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、前記第三層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成されたタイヤ、
〔2〕前記第二層を構成するゴム成分が、イソプレン系ゴムを10~90質量%、およびブタジエンゴムを10~90質量%含む、上記〔1〕記載のタイヤ、
〔3〕前記第三層を構成するゴム成分が、イソプレン系ゴムおよびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、上記〔1〕または〔2〕記載のタイヤ、
〔4〕前記第一層を構成する構成するゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して補強用充填剤を60質量部以上含有する、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔5〕前記第二層を構成するゴム組成物の硫黄量が、前記第三層を構成するゴム組成物の硫黄量よりも少ない、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔6〕前記第一層を構成する構成するゴム組成物の30℃におけるtanδに対して、前記第二層を構成する構成するゴム組成物の30℃におけるtanδおよび前記第三層を構成する構成するゴム組成物の30℃におけるtanδが小さい、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔7〕前記第二層を構成するゴム成分の総スチレン量が25質量%未満である、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔8〕前記第一層を構成するゴム組成物が、テルペン系樹脂およびシクロペンタジエン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔9〕前記第一層を構成するゴム組成物が変性液状ブタジエンゴムを含有する、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔10〕前記第一層を構成するゴム組成物の、JIS K 6253-3:2012に準拠し、デュロメータータイプAを用いて、温度23℃で測定したショア硬度(Hs)が40~60である、上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔11〕前記第一層の100%延伸時のモジュラスが、前記第二層の100%延伸時のモジュラスよりも大きい、上記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のタイヤ、
〔12〕いずれか1つの前記周方向溝の溝底の最深部が、その周方向溝に隣接する陸部内の前記第二層の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されている、上記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のタイヤ、に関する。
本発明によれば、低燃費性能、氷上グリップ性能、および氷上操縦安定性能の総合性能が改善されたタイヤが提供される。
本開示の一実施形態に係るタイヤのトレッドの一部が示された拡大断面図である。
本開示の一実施形態であるタイヤは、トレッド面を構成する第一層と、前記第一層の半径方向内側に隣接する第二層と、前記第二層の半径方向内側に隣接する第三層とを少なくとも備えたトレッドを有するタイヤであって、前記トレッド部が、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝を有し、前記第一層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも2種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、前記第二層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、前記第三層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成されたタイヤである。
トレッド部に3層以上のゴム層を設け、かつトレッド面を構成する第一のゴム層に2種以上のゴム成分を配合することで、得られたタイヤは、低燃費性能、氷上グリップ性能、および氷上操縦安定性能の総合性能が改善される。その理由については、理論に拘束されることは意図しないが、以下のように考えられる。
本開示のタイヤは、(1)トレッド部に3層以上のゴム層を設けることにより、複数のゴム層界面がトレッド部に形成される。これにより、トレッド部にせん断変形が生じた際に、界面間におけるゴム相の微細な分子運動による摩擦により、エネルギーロスを生じさせることができると考えられる。また(2)第一のゴム層では少なくとも2種の異なるゴム成分を含んでいるため、海島構造が形成され、島相が氷上路面に部分的に食いつくスパイクの役割を果たすことが可能となる。これらにより、トレッド表面で水膜の発生を抑えつつ、路面に吸着し、トレッド部の界面においてエネルギーロスを生じさせることができるため、氷上でのグリップ性能および操縦安定性を向上させることができると考えられる。同時に転動時においては、トレッド表面のせん断変形は小さいため、通常走行時の発熱を抑制することが可能になると考えられる。以上により、低燃費性能、氷上グリップ性能、および氷上操縦安定性能の総合性能が改善するという、特筆すべき効果が達成されると考えられる。
前記第二層を構成するゴム成分は、イソプレン系ゴムを10~90質量%、およびブタジエンゴムを10~90質量%含むことが好ましい。また、前記第二層を構成するゴム成分の総スチレン量は25質量%未満であることが好ましい。さらに、前記第三層を構成するゴム成分は、イソプレン系ゴムおよびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
第二層を構成するゴム成分を前記のものとすることにより、第二層も海島構造となるため、第一層と第二層との界面が不連続に繋がりやすくなり、界面での摩擦を生じやすくするとともに、共通のポリマーでの結合部においては、ハンドリングによる力を伝播させやすくすることができると考えられる。さらに、第二層を構成するゴム成分が、好ましくはイソプレン系ゴムもしくはブタジエンゴムのいずれかを含むことにより、第二層と第三層との界面は、第二層の海島構造と不連続に結合しやすい状態となり、界面での発熱を生じるとともに、共通のポリマーでの結合部においては、ハンドリングによる力の伝達がされやすくなるため、良好な氷上での応答性が得られるものと考えられる。
前記第一層を構成する構成するゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して補強用充填剤を60質量部以上含有することが好ましい。
第一層を構成するゴム組成物が補強用充填剤を60質量部以上含むことにより、第一層のゴムマトリクス中の島相内にも補強充填剤が分散されやすくなり、硬いドメインを形成させやすくすることができると考えられる。
前記第一層を構成する構成するゴム組成物の30℃におけるtanδに対して、前記第二層を構成する構成するゴム組成物の30℃におけるtanδおよび前記第三層を構成する構成するゴム組成物の30℃におけるtanδが小さいことが好ましい。
第二層および第三層の発熱性を低下させることで、転動時のトレッド内部での発熱が抑制されることから、トレッド表面温度の上昇により路面上の氷を液化させることを抑制しやすくなると考えられる。
前記第二層を構成するゴム組成物の硫黄量は、前記第三層を構成するゴム組成物の硫黄量よりも少ないことが好ましい。
前記第二層を構成するゴム組成物の硫黄量を、前記第三層を構成するゴム組成物の硫黄量よりも少なくすることにより、加硫時にタイヤ内部から加わる圧力によって第三層側から第二層へ向けて硫黄が移動しやすくなることで良好なゴム層間の結合が得られ、反力を出しやすくすることができると考えられる。
前記第一層を構成するゴム組成物は、テルペン系樹脂およびシクロペンタジエン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
ゴム組成物にテルペン系樹脂および/またはシクロペンタジエン系樹脂を配合することにより、トレッドゴムの撥水性を向上させることができ、このゴム組成物をトレッド部に用いてタイヤとすることで、ウェットグリップ性能を向上させることができると考えられる。
前記第一層を構成するゴム組成物は、変性液状ブタジエンゴムを含有することが好ましい。
変性液状ブタジエンゴムが充填剤と相互作用し、スチレンブタジエンゴム中のブタジエン部もしくは、ブタジエンゴム相(BR相)により選択的に入ることで、系内で液状ブタジエンゴムが表面についた充填剤の微細な硬いドメインが形成され、路面に対するひっかき効果を得やすくすることができると考えられる。
前記第一層を構成するゴム組成物の0℃における複素弾性率(MPa)(0℃E*)に対する-30℃におけるtanδ(-30℃tanδ)の比(-30℃tanδ/0℃E*)が0.070以上であることが好ましい。
前記第一層を構成するゴム組成物の、JIS K 6253-3:2012に準拠し、デュロメータータイプAを用いて、温度23℃で測定したショア硬度(Hs)は40~60であることが好ましい。
第一層を構成するゴム組成物のショア硬度(Hs)を前記の範囲とすることにより、良好なマクロでの追従性が得やすくなると考えられる。
前記第一層の100%延伸時のモジュラスは、前記第二層の100%延伸時のモジュラスよりも大きいことが好ましい。
第一層の100%延伸時のモジュラスを、第二層の100%延伸時のモジュラスよりも大きくすることにより、第一層で生じた変形を第二層へ伝えやすくなり、せん断変形時に内部でのエネルギーロスが生じやすくなると考えられる。
本開示のタイヤは、いずれか1つの前記周方向溝の溝底の最深部が、その周方向溝に隣接する陸部内の前記第二層の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されていることが好ましい。
周方向溝の溝底の最深部が、その周方向溝に隣接する陸部内の前記第二層の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成することにより、第二層においてもせん断変形が生じ易くなり、各層間でのエネルギーロスを得やすくすることができると考えられる。
<定義>
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、JATMAであれば“標準リム”、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”である。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”である。
「正規状態」は、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。なお、本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法(タイヤ断面幅Wt等)は、前記正規状態で測定される。
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば“最大負荷能力”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。
「トレッド接地端」とは、正規状態のタイヤに正規荷重が負荷されキャンバー角0度で平面に接地したときの最もタイヤ幅方向外側の接地位置である。
「陸部」とは、トレッド部において、トレッド接地端およびタイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝によって仕切られた領域をいう。例えば、周方向溝が2つの場合、陸部は一対のショルダー陸部とそれらに挟まれたセンター陸部とに分けられ、周方向溝が3つの場合、センター陸部がさらに車両装着時に車両内側となる陸部と、同外側となる陸部とに分けられる。
「周方向溝の溝深さ」は、トレッド面と周方向溝1の溝底の最深部の延長線との距離によって求められる。なお、溝深さHは、例えば、周方向溝1が複数ある場合、トレッド面3と、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1の溝底の最深部の延長線との距離である。
「ゴム成分中の総スチレン量」とは、ゴム成分100質量%中に含まれるスチレン部の合計含有量(質量%)であって、Σ(各スチレン含有ゴムのスチレン含有量(質量%)×各スチレン含有ゴムのゴム成分中の含有量(質量%)/100)により計算される。例えば、ゴム成分が、第一のSBR(スチレン含有量25質量%)30質量%、第二のSBR(スチレン含有量27.5質量%)60質量%、およびBR10質量%からなる場合、ゴム成分100質量%中の総スチレン量(S)は、24.0質量%(=25×30/100+27.5×60/100)である。なお、スチレン含有ゴムのスチレン量は、1H-NMR測定により算出される。
「オイルの含有量」は、油展ゴムに含まれるオイル量も含む。
<測定方法>
「硫黄量」は、JIS K 6233:2016に準拠した酸素燃焼フラスコ法により測定される硫黄量(質量%)である。硫黄量測定用サンプルは、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmの加硫ゴム組成物である。タイヤから切り出して作製する場合には、タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が長辺、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように切り出す。
「30℃tanδ」は、温度30℃、初期歪5%、動歪1%、周波数10Hzの条件下で測定する損失正接である。損失正接測定用サンプルは、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmの加硫ゴム組成物である。タイヤから切り出して作製する場合には、タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が長辺、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように切り出す。
「-30℃tanδ」は、温度-30℃、初期歪10%、動歪0.25%、周波数10Hzの条件下で測定する損失正接である。本測定用サンプルは、30℃tanδの場合と同様にして作製される。
「0℃E*」は、温度0℃、初期歪10%、動歪0.25%、周波数10Hzの条件下で測定する複素弾性率(MPa)である。複素弾性率測定用サンプルは、30℃tanδの場合と同様にして作製される。
「ショア硬度」は、JIS K 6253-3:2012に準拠し、デュロメータータイプAを用いて温度23℃の条件下で測定するショア硬度(Hs)である。ショア硬度測定用サンプルは、トレッド部から、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように切り出して作製する。また、測定は、硬度測定用サンプルの接地面側から測定器具をサンプルに押し付けて行う。
「100%延伸時のモジュラス」は、JIS K 6251:2017に準拠し、23℃雰囲気下にて、引張速度3.3mm/秒の条件で測定された、列理方向(押出しまたはせん断処理によりゴムシートを形成する際の圧延方向)への伸び100%時の引張応力である。100%延伸時のモジュラス測定用サンプルは、厚さ1mmのダンベル状7号形の加硫ゴム試験片である。タイヤから切り出して作製する場合には、タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が引張方向、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように切り出す。
「スチレン含量」は、1H-NMR測定により算出される値であり、例えば、SBR等のスチレンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。「ビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、SBR、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。「シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。例えば、SBR、BR等に適用される。
「カーボンブラックのN2SA」は、JIS K 6217-2「ゴム用カーボンブラック基本特性-第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」に準じて測定される。「シリカのN2SA」は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される。「シリカの平均一次粒子径」は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。「粉ゴムの平均粒径」は、JIS Z 8815:1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒径である。
「樹脂成分の軟化点」は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
本開示の一実施形態であるタイヤの作製手順について、以下に詳細に説明する。但し、以下の記載は本開示を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。なお、本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
<タイヤ>
図1は、タイヤのトレッドの一部が示された拡大断面図である。図1において、上下方向がタイヤ半径方向であり、左右方向がタイヤ幅方向であり、紙面に垂直な方向がタイヤ周方向である。
本開示のトレッド部は、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝1を有している。周方向溝1が2つ以上あることで、陸部2が少なくとも一対のショルダー陸部とそれらに挟まれたセンター陸部とに分けられ、さらに3つ以上であることでセンター陸部が、さらに車両装着時に車両内側となる陸部と、同外側となる陸部とに分けられる。このため、それぞれの陸部のトレッドパターンを異なるものとすることができ、トレッドパターンを設計する際の自由度が向上するので好ましい。周方向溝の本数が3つ以上である場合、タイヤ幅方向の最外側に位置する一対の周方向溝を、最外周方向溝という。周方向溝の本数は、4つ以上であってもよく、5つ以上であってもよい。周方向溝1は、周方向に沿って直線状に延びていてもよく、波状や正弦波状やジクザク状に延びていてもよい。
図示される通り、本開示のタイヤのトレッド部は、第一のゴム層6、第二のゴム層7および第三のゴム層8を備え(以下、単に「第一層6」、「第二層7」、「第三層8」と表記することがある)、第一層6の外面がトレッド面3を構成し、第二層7が第一層6の半径方向内側に隣接し、第三層8が第二層7の半径方向内側に隣接している。第一層6は、典型的にはキャップトレッドに相当する。第三層8は、典型的にはベーストレッドまたはアンダートレッドに相当する。第二層7は、典型的な形は決まっていないことから、ベーストレッドであってもよく、アンダートレッドであってもよい。また、本開示の目的が達成される限り、第三層8とベルト層との間に、さらに1または2以上のゴム層を有していてもよい。
図1において、両矢印t1は第一層6の最大厚み、両矢印t2は第二層7の最大厚み、両矢印t3は第三層8の最大厚みである。図1には、溝が形成されていないトレッド面上の任意の点が、記号Pとして示されている。記号Nで示される直線は、点Pを通り、この点Pにおける接平面に垂直な直線(法線)である。本明細書では、厚みt1、t2およびt3は、図1の断面において、溝が存在しない位置におけるトレッド面上の点Pから引いた法線Nに沿って測定される。
本開示において、第一層6の最大厚みt1は特に限定されないが、ウェットグリップ性能の観点から、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上がさらに好ましい。一方、発熱性の観点からは、第一層6の最大厚みt1は、6.0mm以下が好ましく、5.5mm以下がより好ましく、5.0mm以下がさらに好ましい。
本開示において、第二層7の最大厚みt2は特に限定されないが、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、3.0mm以上がさらに好ましい。また、第二層7の最大厚みt2は、10.0mm以下が好ましく、9.0mm以下がより好ましく、8.0mm以下がさらに好ましい。
本開示において、第三層8の最大厚みt3は特に限定されないが、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上がさらに好ましい。また、第三層8の最大厚みt3は、10.0mm以下が好ましく、9.0mm以下がより好ましく、8.0mm以下がさらに好ましい。
第一層6、第二層7、および第三層8の合計厚さに対する第二層の厚さの比(t2/(t1+t2+t3)は、本開示の効果の観点から、0.30以上が好ましく、0.40以上がより好ましく、0.45以上がさらに好ましい。
第一層6の厚さは、第二層7の厚さよりも薄いことが好ましい。
本開示のトレッドは、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝1を有している。周方向溝1は、周方向に沿って直線状に延びているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、周方向に沿って波状や正弦波状やジクザク状に延びていてもよい。
本開示のトレッドは、タイヤ幅方向で、周方向溝1によって仕切られた陸部2を有している。
周方向溝1の溝深さH1は、陸部2の延長線4と周方向溝1の溝底の最深部の延長線5との距離によって求められる。なお、溝深さH1は、例えば、周方向溝1が複数ある場合、陸部2の延長線4と、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1(図1においては左側の周方向溝1)の溝底の最深部の延長線5との距離とすることができる。
本開示では、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1(図1においては左側の周方向溝1)の溝底の最深部は、その周方向溝に隣接する陸部2内の第二層7の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されている。すなわち、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1(図1においては左側の周方向溝1)の溝底の最深部の延長線5は、その周方向溝に隣接する陸部2内の第二層7の最外部の延長線9よりもタイヤ半径方向内側に位置している。
本開示では、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1(図1においては左側の周方向溝1)の直下(タイヤ半径方向内側)では、その周方向溝に隣接する陸部2内の第二層7の最外部に対してタイヤ半径方向内側に凹んだ凹部を有し、第一層6の一部が第二層7の前記凹部内に所定の厚さで形成されている。第一層6および第二層7をこのように形成することにより、タイヤ摩耗後に周方向溝1の周囲に残る第一層6の複素弾性率が第二層7の複素弾性率よりも高いため、旋回時にエッジとして機能しやすくなり、スノートラクション等が向上すると考えられる。
本開示では、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1(図1においては左側の周方向溝1)の溝底の最深部は、その周方向溝に隣接する陸部2内の第三層8の最外部よりもタイヤ半径方向外側に位置するように形成されている。すなわち、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1(図1においては左側の周方向溝1)の溝底の最深部の延長線5は、その周方向溝に隣接する陸部2内の第三層8の最外部の延長線よりもタイヤ半径方向外側に位置している。
本開示では、少なくとも1つの陸部2の幅方向長さが、タイヤ半径方向外側から内側に向かって増加する箇所を有していることが好ましく、陸部2の幅方向長さが、タイヤ半径方向外側から内側に向かって漸増していることがより好ましい。このような態様とすることにより、走行による摩耗とともに接地面積を広くすることができるため、走行末期までウェット操縦安定性能および氷上グリップ性能を維持することができる。なお、本開示の周方向溝1の溝壁は、タイヤ半径方向外側から内側に向かって直線状に延びているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、曲線状や階段状に延びていてもよい。
第一層6を構成するゴム組成物の硫黄量は、氷上でのハンドリング応答性の観点から、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましく、0.8以上が特に好ましい。第二層を構成するゴム組成物の硫黄量は、0.6以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましく、0.9以上が特に好ましい。第三層8を構成するゴム組成物の硫黄量は、1.0以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.6以上がさらに好ましく、1.8以上が特に好ましい。一方、第一層6、第二層7、および第三層8を構成するゴム組成物の硫黄量は、耐摩耗性能の観点から、4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3.0以下がさらに好ましい。本開示では、第二層7を構成するゴム組成物の硫黄量は、第三層8を構成するゴム組成物の硫黄量少ないことが好ましい。第二層7を構成するゴム組成物の硫黄量を、第三層8を構成するゴム組成物の硫黄量よりも少なくすることにより、第二層7と第三層8の良好な加硫接着性を確保できると考えられる。
第一層6を構成するゴム組成物の30℃tanδ(以下、第一層6の30℃tanδという)は、氷上グリップ性能の観点から、0.11以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、0.18以上がさらに好ましく、0.20以上が特に好ましい。第二層7の30℃tanδは、0.10以上が好ましく、0.12以上がより好ましく、0.14以上がさらに好ましい。第三層8の30℃tanδは、0.10以上が好ましく、0.12以上がより好ましく、0.14以上がさらに好ましい。一方、第一層6、第二層7、および第三層8の30℃tanδは、低燃費性能の観点から、0.40以下が好ましく、0.35以下がより好ましく、0.30以下がさらに好ましい。本開示では、第一層6の30℃tanδは、第二層7の30℃tanδおよび第三層8の30℃tanδよりも大きいことが好ましい。第一層6の30℃tanδを、第二層7の30℃tanδおよび第三層8の30℃tanδよりも大きくすることにより、走行中に第一層での発熱が大きくなり、良好なウェットグリップ性能が得られると考えられる。第二層7の30℃tanδに対する第一層6の30℃tanδの比は、1.0以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましく、1.3以上が特に好ましい。また、第二層7の30℃tanδに対する第一層6の30℃tanδの比の上限値は特に制限されないが、2.5以下が好ましく、2.2以下がより好ましく、2.0以下がさらに好ましく、1.8以下が特に好ましい。
第一層6を構成するゴム組成物の0℃E*(MPa)に対する-30℃tanδの比(-30℃tanδ/0℃E*)は、本開示の効果の観点から、0.060以上が好ましく、0.063以上がより好ましく、0.066以上がさらに好ましく、0.070以上が特に好ましい。また、-30℃tanδ/0℃E*は、0.200以下が好ましく、0.150以下がより好ましく、0.120以下がさらに好ましい、0.090以下が特に好ましい。
なお、第一層6、第二層7、および第三層8を構成するゴム組成物の30℃tanδ、-30℃tanδ、および0℃E*は、前記測定方法により測定される。第一層6、第二層7、および第三層8を構成するゴム組成物の30℃tanδ、-30℃tanδ、および0℃E*は、後記のゴム成分、フィラー、可塑剤等(特に可塑剤)の種類や配合量により適宜調整することができる。
第一層6を構成するゴム組成物のショア硬度(Hs)(以下、第一層6のショア硬度(Hs)という)は、70以下が好ましく、65以下がより好ましく、60以下がさらに好ましく、58以下が特に好ましい。また、第二層7のショア硬度(Hs)は、75以下が好ましく、70以下がより好ましく、65以下がさらに好ましく、60以下が特に好ましい。第一層6および第二層7のショア硬度(Hs)を前記の範囲とすることにより、路面に対する追従性を損なわず、反力が得られやすくなるため、氷上グリップ性能が向上すると考えられる。一方、第一層6および第二層7のショア硬度(Hs)は、タイヤのブロック剛性を保つという観点から、30以上が好ましく、35以上がより好ましく、40以上がさらに好ましく、45以上がさらに好ましく、50以上が特に好ましい。なお、各ゴム層のゴム硬度は、後記のゴム成分、フィラー、可塑剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。
第一層6の100%延伸時のモジュラスは、1.0MPa以上が好ましく、1.1MPa以上がより好ましく、1.2MPa以上がさらに好ましく、1.3MPa以上が特に好ましい。また、第二層7の100%延伸時のモジュラスは、1.0MPa以上が好ましく、1.2MPa以上がより好ましく、1.4MPa以上がさらに好ましく、1.6MPa以上が特に好ましい。なお、第一層6および第二層7の100%延伸時のモジュラスの上限値は特に制限されないが、通常4.0MPa以下であり、3.5MPa以下が好ましい。本開示では、第一層6の100%延伸時のモジュラスは、第二層7の100%延伸時のモジュラスよりも大きいことが好ましい。第一層6の100%延伸時のモジュラスを、第二層7の100%延伸時のモジュラスよりも大きくすることにより、第一層6で生じた変形を第二層7へ伝えやすくなり、せん断変形時に内部でのエネルギーロスが生じやすくなると考えられる。第二層7の100%延伸時のモジュラスと、第一層6の100%延伸時のモジュラスとの差は、0.1MPa以上が好ましく、0.2MPa以上がより好ましく、0.3MPa以上がさらに好ましい。なお、各ゴム層の100%延伸時のモジュラスは、後記のゴム成分、フィラー、可塑剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。
[ゴム組成物]
本開示のタイヤは、前述したトレッド部の形状と、トレッド部の各層を構成するゴム組成物の前記の物性とが協働することにより、低燃費性能、氷上グリップ性能、および氷上操縦安定性能の総合性能を改善することができる。
<ゴム成分>
本開示のトレッド部の各層を構成するゴム組成物(以下、特に断りのない限り、本開示に係るゴム組成物という)は、ゴム成分としてイソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)が好適に使用される。第一層6を構成するゴム成分は、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも2種を含む。第二層7および第三層8を構成するゴム成分は、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。第一層6、第二層7、および第三層8を構成するゴム成分は、イソプレン系ゴムを含むことが好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRを含むことがより好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRのみからなるゴム成分としてもよい。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
イソプレン系を含有する場合のゴム成分中の含有量は、複素弾性率の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上が特に好ましい。一方、イソプレン系ゴムのゴム成分中の含有量の上限値は特に制限されず、100質量%としてもよいが、トレッド部での減衰性の確保の観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス含量が50モル%未満のBR(ローシスBR)、シス含量が90モル%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。これらのBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)、宇部興産(株)、JSR(株)等より市販されているものを使用することができる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。シス含量は、95モル%以上が好ましく、96モル%以上がより好ましく、97モル%以上がさらに好ましく、98モル%以上が特に好ましい。なお、BRのシス含量は、前記測定方法により測定される。
希土類系BRとしては、希土類元素系触媒を用いて合成され、ビニル含量が、好ましくは1.8モル%以下、より好ましくは1.0モル%以下、さらに好ましくは0.8%モル以下であり、シス含量が、好ましくは95モル%以上、より好ましくは96モル%以上、さらに好ましくは97モル%以上、特に好ましくは98モル%以上である。このような希土類系BRとしては、例えば、ランクセス(株)等より市販されているものを使用することができる。
SPB含有BRは、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶が、単にBR中に結晶を分散させたものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものが挙げられる。このようなSPB含有BRとしては、宇部興産(株)等より市販されているものを使用することができる。
変性BRとしては、末端および/または主鎖がケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性された変性ブタジエンゴム(変性BR)が好適に用いられる。
その他の変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)等が挙げられる。また、変性BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。
前記で列挙されたBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から、30万以上が好ましく、35万以上がより好ましく、40万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性等の観点からは、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。なお、BRのMwは、前記測定方法により測定される。
BRを含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、35質量%以上が特に好ましい。また、該含有量は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、65質量%以下が特に好ましい。
(SBR)
SBRとしては特に限定はなく、溶液重合SBR(S-SBR)、乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。なかでもS-SBRおよび変性SBRが好ましい。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加SBR)等も使用することができる。これらのSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示で使用できるS-SBRとしては、JSR(株)、住友化学(株)、宇部興産(株)、旭化成(株)、ZSエラストマー(株)等によって製造販売されるS-SBRが挙げられる。
SBRのスチレン含量は、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、グリップ性能の温度依存性および耐ブロー性能の観点からは、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。なお、SBRのスチレン含量は、前記測定方法により測定される。
SBRのビニル含量は、シリカとの反応性の担保、ウェットグリップ性能、ゴム強度、および耐摩耗性能の観点から、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。また、SBRのビニル含量は、温度依存性の増大防止、破断伸び、および耐摩耗性能の観点から、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。なお、SBRのビニル含量は、前記測定方法により測定される。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、ウェットグリップ性能の観点から、20万以上が好ましく、25万以上がより好ましく、30万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点から、重量平均分子量は200万以下が好ましく、180万以下がより好ましく、150万以下がさらに好ましい。なお、SBRのMwは、前記測定方法により測定される。
SBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、氷上グリップ性能の観点から、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましくい。一方、SBRのゴム成分中の含有量の上限値は特に制限されず、100質量%としてもよい。
第二層7を構成するゴム成分の総スチレン量は、25質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましく、15質量%未満がさらに好ましく、10質量%未満がさらに好ましく、5質量%未満が特に好ましく、0質量%であってもよい。
(その他のゴム成分)
本開示に係るゴム成分として、前記のイソプレン系ゴム、SBR、およびBR以外のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等が挙げられる。これらその他のゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<補強用充填剤>
本開示に係るゴム組成物は、カーボンブラックおよび/またはシリカを含む補強用充填剤が好適に使用される。第一層6および第二層7を構成するゴム組成物は、フィラーとしてシリカを含むことが好ましく、カーボンブラックおよびシリカを含むことがより好ましく、カーボンブラックおよびシリカのみからなるフィラーとしてもよい。第三層8を構成するゴム組成物は、フィラーとしてカーボンブラックを含むことが好ましく、カーボンブラックのみからなるフィラーとしてもよい。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、補強性およびトレッド部での減衰性の確保の観点から、140m2/g以上が好ましく、150m2/g以上がより好ましく、160m2/g以上がさらに好ましく、170m2/g以上が特に好ましい。また、発熱性および加工性の観点からは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、前記測定方法により測定される。
シリカの平均一次粒子径は、20nm以下が好ましく、18nm以下がより好ましい。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、5nm以上がさらに好ましい。シリカの平均一次粒子径が前期の範囲であることによって、シリカの分散性をより改善でき、補強性、破壊特性、耐摩耗性をさらに改善できる。なお、シリカの平均一次粒子径は、前記測定方法により測定される。
第一層6および第二層7を構成するゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、トレッド部での減衰性の確保および氷上グリップ性能の観点から、30質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましく、55質量部以上が特に好ましい。また、ゴムの比重を低減させ軽量化を図る観点から、130質量部以下が好ましく、120質量部以下がより好ましく、110質量部以下がさらに好ましく、105質量部以下が特に好ましい。
第三層8を構成するゴム組成物がシリカを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、25質量部以下がさらに好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。これらのカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、耐候性や補強性の観点から、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上がさらに好ましい。また、分散性、低燃費性能、破壊特性および耐久性能の観点からは、250m2/g以下が好ましく、220m2/g以下がより好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、前記測定方法により測定される。
第一層6および第二層7を構成するゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、耐候性や補強性の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、低燃費性能の観点からは、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましく、15質量部以下が特に好ましい。
第三層8を構成するゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、低燃費性能の観点からは、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、55質量部以下がさらに好ましい。
(その他の補強用充填剤)
シリカおよびカーボンブラック以外の補強用充填剤としては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルク等、従来からタイヤ工業において一般的に用いられているものを配合することができる。
第一層6および第二層7を構成するゴム組成物において、シリカの含有量に対するカーボンブラックの含有量の比は、0.40以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.21以下がさらに好ましく、0.17以下がさらに好ましく、0.13以下がさらに好ましく、0.10以下が特に好ましい。シリカの含有量に対するカーボンブラックの含有量の比を前記の範囲とすることにより、氷上グリップ性能をより向上させることができる。一方、シリカの含有量に対するカーボンブラックの含有量の比の下限値は特に制限されず、例えば0.01以上、0.02以上、0.05以上とすることができ、カーボンブラックを含有しない補強用充填剤としてもよい。
第一層6および第二層7を構成するゴム組成物における、補強用充填剤のゴム成分100質量部に対する合計含有量は、氷上グリップ性能の観点から、50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、70質量部以上がさらに好ましく、75質量部以上が特に好ましい。また、該含有量は、本開示の効果の観点から、140質量部以下が好ましく、130質量部以下がより好ましく、120質量部以下がさらに好ましく、110質量部以下が特に好ましい。
第三層8を構成するゴム組成物における、補強用充填剤のゴム成分100質量部に対する合計含有量は、補強性およびトレッド部での減衰性の確保の観点から、30質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、45質量部以上が特に好ましい。また、該含有量は、本開示の効果の観点から、120質量部以下が好ましく、110質量部以下がより好ましく、105質量部以下がさらに好ましい。
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤;等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、モメンティブ社等より市販されているものを使用することができる。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカ100質量部に対するシランカップリング剤の含有量は、シリカの分散性を高める観点から、1.0質量部以上が好ましく、3.0質量部以上がより好ましく、5.0質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の低下を防止する観点からは、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
<可塑剤>
本開示に係るゴム組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤としては、例えば、樹脂成分、オイル、液状ゴム、エステル系可塑剤等が挙げられる。
(樹脂成分)
本開示に係るゴム組成物は、樹脂成分として、テルペン系樹脂およびシクロペンタジエン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
テルペン系樹脂およびシクロペンタジエン系樹脂は、クマロン樹脂、石油系樹脂(脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂など)、フェノール系樹脂、ロジン誘導体などのタイヤ用ゴム組成物に用いられる他の粘着性樹脂よりもSP値が低いという特徴がある。ここでSP値とは、化合物の構造に基づいてHoy法によって算出された溶解度パラメーター(Solubility Parameter)を意味し、二つの化合物のSP値が離れているほど相溶性が低いことを示す。ここで、水のSP値は約23であり、前記他の粘着樹脂のSP値は約9~12であることから、他の粘着樹脂よりもSP値が低いテルペン樹脂は、より水との相溶性が低い粘着性樹脂であり、これを含有するゴム組成物とすることにより、ゴム組成物の撥水性を向上させることができる。
テルペン系樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテンなどのテルペン原料から選ばれる少なくとも1種からなるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを原料とする芳香族変性テルペン樹脂、テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料とするテルペンフェノール樹脂などのテルペン系樹脂(水素添加されていないテルペン系樹脂)、ならびにこれらのテルペン系樹脂に水素添加処理を行ったもの(水素添加されたテルペン系樹脂)が挙げられる。ここで、芳香族変性テルペン樹脂の原料となる芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエンなどが挙げられ、また、テルペンフェノール樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
テルペン系樹脂のなかでも、よりSP値が低く、ゴム成分との相溶性に優れ、より撥水性を向上させることができるという理由から、水素添加されたテルペン系樹脂が好ましく、100%に近い水素添加が可能であり、さらに耐久性にも優れるという理由から水素添加されたポリテルペン樹脂がより好ましい。テルペン系樹脂への水素添加処理は、公知の方法で行うことができ、また、本開示においては、市販の水素添加されたテルペン系樹脂を使用することもできる。
テルペン系樹脂のSP値は、ゴム組成物の撥水性をより向上させることができるという理由から、8.6以下が好ましく、8.5以下がより好ましい。テルペン系樹脂のSP値の下限は、ゴム成分との相溶性の観点から7.5以上が好ましい。
シクロペンタジエン系樹脂のSP値は、ゴム組成物の撥水性をより向上させることができるという理由から、8.5以下が好ましく、8.4以下がより好ましい。シクロペンタジエン系樹脂のSP値の下限は、ゴム成分との相溶性の観点から7.9以上が好ましい。
ゴム成分100質量部に対するテルペン系樹脂およびシクロペンタジエン系樹脂の合計含有量は、本開示の効果の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、10質量部以上が特に好ましい。また、テルペン系樹脂およびシクロペンタジエン系樹脂の合計含有量は、ゴム組成物の硬度、成形加工性、粘度を適切に確保できるという観点から、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
その他の樹脂成分としては、特に限定されないが、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂成分(好ましくはテルペン系樹脂またはシクロペンタジエン系樹脂)の軟化点は、ウェットグリップ性能の観点から、60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましい。また、加工性、ゴム成分とフィラーとの分散性向上という観点からは、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。なお、樹脂成分の軟化点は、前記測定方法により測定される。
樹脂成分を含有する場合のゴム成分100質量部に対する合計含有量は、本開示の効果の観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、ゴム組成物の硬度、成形加工性、粘度を適切に確保できるという観点から、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、25質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、動物油脂等が挙げられる。前記プロセスオイルとしてはパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルを使用することもできる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族系抽出物(TDAE)、重ナフテン系オイル等が挙げられる。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、90質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましい。
(液状ゴム)
液状ゴムは、常温(25℃)で液体状態のポリマーであれば特に限定されないが、例えば、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状スチレンイソプレンゴム(液状SIR)、液状ファルネセンゴム等が挙げられる。なかでも、液状BRが好ましく、変性液状BRがより好ましい。これらの液状ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性液状BRとしては、特に限定されず、例えば、末端および/または主鎖が珪素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性された変性液状ブタジエン重合体が挙げられる。また、本開示の変性液状BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。なお、本開示において、液状とは、常温(25℃)で液体状態にあるという意味である。
上記官能基としては、特に限定されず、例えば、シリル基、R1(R2O)2シリル基、(R122Oシリル基、(R2O)3シリル基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基等が挙げられる。ここで、シリル基の置換基を構成するR1とR2は、それぞれ、独立に、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を表す。炭素数1~10のアルキル基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。なかでも、本開示の効果の観点から、直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。炭素数6~10のアリール基の具体例としては、フェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等が挙げられる。
官能基としては、本開示の効果の観点から、R1(R2O)2シリル基、(R122Oシリル基、(R2O)3シリル基等の珪素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基が好ましく、なかでも、トリアルコキシシリル基がより好ましい。さらに、トリアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
変性液状BRは、市販品を用いても、合成により得られたものを用いてもよい。市販品としては、例えば、日本曹達(株)製のもの、CRAY VALLEY社製のもの、Noveon社製のものなどを用いることができる。合成方法としては特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、未変性の液状ブタジエン系重合体と珪素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む化合物とを、金属触媒の存在下で反応させ、官能基を導入するなどの方法が挙げられる。
変性液状BRの具体例としては、例えば、主鎖にトリエトキシシリル基を有する構造のもの、両末端に水酸基を有する構造のものなどが挙げられる。
変性液状BRは、1種または2種以上を用いることができる。
液状ゴム(好ましくは液状BR、よりが好ましくは変性液状BR)を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上が特に好ましい。また、液状ゴムの含有量は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。液状ゴムの含有量を上記範囲内とすることにより、本開示の効果をより良好に発揮できる。
(エステル系可塑剤)
エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジブチル(DBA)、アジピン酸ジイソブチル(DIBA)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アゼライン酸ジ2-エチルヘキシル(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、フタル酸ジブチル(DBP)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、リン酸トリブチル(TBP)、リン酸トリオクチル(TOP)、リン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリメチル(TMP)、チミジントリリン酸(TTP)、リン酸トリクレシル(TCP)、リン酸トリキシレニル(TXP)等が挙げられる。これらのエステル系可塑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可塑剤のゴム成分100質量部に対する含有量(複数の可塑剤を併用する場合は全ての合計量)は、氷上グリップ性能の観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。また、加工性の観点からは、120質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、90質量部以下がさらに好ましく、80質量部以下が特に好ましい。
<その他の配合剤>
本開示に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、ワックス、加工助剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化防止の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
加工助剤としては、未加硫時におけるゴムの低粘度化や離型性の確保を目的とした脂肪酸金属塩や、ゴム成分のミクロな層分離を抑制する観点から広く相溶化剤として市販されているもの等を使用することができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性および破壊強度の観点からは、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩などの老化防止剤が挙げられる。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレクシス社等より市販されているものを使用することができる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系若しくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、所望の効果がより好適に得られる点から、スルフェンアミド系、グアニジン系、およびチアゾール系加硫促進剤からなる群から選ばれる1以上の加硫促進剤が好ましく、スルフェンアミド系加硫促進剤およびグアニジン系加硫促進剤を組み合わせることがより好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)およびN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)が好ましい。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。なかでも、2-メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1.0質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、2.0質量部以上がさらに好ましい。また、加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8.0質量部以下が好ましく、7.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらに好ましく、5.0質量部以下が特に好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
<製造>
本開示に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。
混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。
混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、ファイナル練り工程では、70~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
第一層6、第二層7、および第三層8を含むトレッドを備えたタイヤは、前記のゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、ゴム成分に対して上記各成分を必要に応じて配合した未加硫のゴム組成物を、所定の形状の口金を備えた押し出し機で第一層6、第二層7、および第三層8の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
<用途>
本開示のタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤに好適に用いることができ、中でも乗用車用タイヤに用いることが好ましい。なお、乗用車用タイヤとは、四輪で走行する自動車に装着されることを前提としたタイヤであり、その最大負荷能力が1000kg以下のものを指す。また、本開示のタイヤは、全シーズン用タイヤ、夏用タイヤ、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤに使用可能であり、中でも、冬用タイヤに用いることが好ましい。
本開示を実施例に基づいて説明するが、本開示は、実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
NR:TSR20
SBR:旭化成(株)製のタフデン4850(未変性S-SBR、スチレン含量:40質量%、ビニル含量:46モル%、Mw:35万、ゴム固形分100質量部に対してオイル分50質量部含有)
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR(登録商標)150B(ビニル含量:1.5モル%、シス含量:97モル%、Mw:44万)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(N2SA:111m2/g)
シリカ:エボニックデグサ社製のULTRASIL(登録商標)VN3(N2SA:175m2/g、平均一次粒子径:17nm)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:H&R(株)製のVivaTec500(TDAEオイル)
樹脂成分1:ヤスハラケミカル(株)製のP125(水素添加されたポリテルペン樹脂、軟化点:125℃)
樹脂成分2:ExxonMobil社製のOppera PR-120(水素添加されたジシクロペンタジエン樹脂、軟化点:120℃)
液状ゴム:日本曹達(株)製のNISSO-PB GI-3000(両末端に水酸基を持つ水素添加された変性液状BR)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン(DPG))
(実施例および比較例)
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度150~160℃になるまで1~10分間混練りし、混練物を得た。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を用いて、トレッドの第一層(厚さ:5.0mm)、第二層(厚さ:5.0mm)、および第三層(厚さ:1.0mm)の形状に合わせて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃で加硫して、表2に記載の各試験用タイヤ(サイズ:195/65R15、リム:15×6.0J、内圧:230kPa)を得た。なお、周方向溝の最深部の溝深さは8.0mmである。
<損失正接tanδおよび複素弾性率E*の測定>
各試験用タイヤのトレッド部のゴム層内部から、タイヤ周方向が長辺となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmで切り出して作製した各ゴム試験片について、GABO社製のイプレクサーシリーズを用いて、温度30℃、初期歪5%、動歪1%、周波数10Hzの条件下で30℃tanδを測定した。また、温度-30℃、初期歪10%、動歪0.25%、周波数10Hzの条件下で-30℃tanδを測定した。また、温度0℃、初期歪10%、動歪0.25%、周波数10Hzの条件下で0℃E*を測定した。
<ゴム硬度(Hs)の測定>
JIS K6253-3:2012に準拠し、デュロメータータイプAを用いて、各ゴム試験片の温度23℃でのショア硬度(Hs)を測定した。なお、各ゴム試験片は、各試験用タイヤのトレッド部のゴム層内部から切り出したものを用いた。
<引張試験>
各試験用タイヤのトレッド部のゴム層内部から、タイヤ周方向が引張方向となるように切り出した厚さ1mmのダンベル状7号形の試験片を作製し、JIS K 6251:2017に準拠し、23℃雰囲気下にて、引張速度3.3mm/秒の条件で引張試験を実施し、100%延伸時のモジュラス(MPa)を測定した。なお、サンプルの厚み方向はタイヤ半径方向とした。
<低燃費性能>
転がり抵抗試験機を用い、新品時の各試験用タイヤを、リム15×6.0J、内圧230kPa、荷重4.24kN、速度80km/hの条件下で走行させたときの転がり抵抗を測定し、その逆数を、基準比較例(表3では比較例1、表5では比較例3、以下同じ)を100として指数表示した。数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性能に優れることを示す。
<氷上グリップ性能>
各試験用タイヤを、排気量2000ccのFF乗用車の四輪にそれぞれ装着し、氷上路面において速度15km/hでブレーキをかけた地点からの制動距離を測定した。制動距離の逆数の値について対照タイヤ(比較例1)のの制動距離を100として、各試験用タイヤの評価結果を指数化して表示した。
<氷上操縦安定性能>
各試験用タイヤを、排気量2000ccのFF乗用車の四輪にそれぞれ装着し氷上路面のテストコースにて実車走行を行った。テストドライバーによる50km/hでの走行時の、直進、車線変更、加減速時の各々のフィーリングに基づいてハンドリング特性を評価した。評価は1点~10点の整数値で行い、評点が高いほどハンドリング特性に優れる評価基準のもと、テストドライバー10名の合計点を算出した。対照タイヤ(比較例1)の新品時の合計点を基準値(100)に換算し、各試験用タイヤの評価結果を合計点に比例するように指数化して表示した。
低燃費性能、氷上グリップ性能、および氷上操縦安定性能の総合性能(低燃費性能指数、氷上グリップ性能指数、および氷上操縦安定性能指数の総和)は、300超を性能目標値とする。
Figure 2022176693000001
Figure 2022176693000002
表1および表2の結果より、トレッド部に3層以上のゴム層を設け、かつトレッド面を構成する第一のゴム層に2種以上のゴム成分を配合した本開示のタイヤは、低燃費性能、氷上グリップ性能、および氷上操縦安定性能の総合性能が改善されていることがわかる。
1・・・周方向溝
2・・・陸部
3・・・トレッド面
4・・・陸部の延長線
5・・・周方向溝の溝底の最深部の延長線
6・・・第一層
7・・・第二層
8・・・第三層
9・・・第二層の最外部の延長線

Claims (12)

  1. トレッド面を構成する第一層と、前記第一層の半径方向内側に隣接する第二層と、前記第二層の半径方向内側に隣接する第三層とを少なくとも備えたトレッドを有するタイヤであって、
    前記トレッド部が、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝を有し、
    前記第一層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも2種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、
    前記第二層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成され、
    前記第三層が、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むゴム成分を含有するゴム組成物により構成されたタイヤ。
  2. 前記第二層を構成するゴム成分が、イソプレン系ゴムを10~90質量%、およびブタジエンゴムを10~90質量%含む、請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記第三層を構成するゴム成分が、イソプレン系ゴムおよびブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1または2記載のタイヤ。
  4. 前記第一層を構成する構成するゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して補強用充填剤を60質量部以上含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記第二層を構成するゴム組成物の硫黄量が、前記第三層を構成するゴム組成物の硫黄量よりも少ない、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記第一層を構成する構成するゴム組成物の30℃におけるtanδに対して、前記第二層を構成する構成するゴム組成物の30℃におけるtanδおよび前記第三層を構成する構成するゴム組成物の30℃におけるtanδが小さい、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  7. 前記第二層を構成するゴム成分の総スチレン量が25質量%未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ。
  8. 前記第一層を構成するゴム組成物が、テルペン系樹脂およびシクロペンタジエン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のタイヤ。
  9. 前記第一層を構成するゴム組成物が変性液状ブタジエンゴムを含有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のタイヤ。
  10. 前記第一層を構成するゴム組成物の、JIS K 6253-3:2012に準拠し、デュロメータータイプAを用いて、温度23℃で測定したショア硬度(Hs)が40~60である、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ。
  11. 前記第一層の100%延伸時のモジュラスが、前記第二層の100%延伸時のモジュラスよりも大きい、請求項1~10のいずれか一項に記載のタイヤ。
  12. いずれか1つの前記周方向溝の溝底の最深部が、その周方向溝に隣接する陸部内の前記第二層の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のタイヤ。
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