JP2024073881A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速走行時の乗り心地性能を向上したタイヤを提供すること。【解決手段】トレッド部を備えたタイヤであって、トレッド部は、トレッド面を構成する第一層と、第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層を有し、第一層および第二層が、それぞれゴム成分および再生カーボンブラックを含有するゴム組成物により構成され、第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する再生カーボンブラックの含有量をC(質量部)、第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する再生カーボンブラック量をB(質量部)としたとき、B/Cが1.0超である、タイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
タイヤに求められる性能の1つとして、走行中の乗り心地性能が挙げられる。特許文献1には、所定のバンド層を備えることで乗り心地性能等が向上したタイヤが開示されている。
特開2021-160669号公報
昨今においては、高速道路が整備され、車両性能も向上したため、高速で長距離を移動することは珍しくなく、特に高速走行時の乗り心地性能の向上が要求されている。
本発明は、高速走行時の乗り心地性能が向上したタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、以下のタイヤに関する。
トレッド部を備えたタイヤであって、
前記トレッド部は、トレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層を有し、
前記第一層および前記第二層が、それぞれゴム成分および再生カーボンブラックを含有するゴム組成物により構成され、
前記第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する前記再生カーボンブラックの含有量をC(質量部)、前記第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する前記再生カーボンブラック量をB(質量部)としたとき、B/Cが1.0超である、タイヤ。
本発明によれば、高速走行時の乗り心地性能が向上したタイヤが提供される。
タイヤのトレッド部のタイヤ回転軸を通る断面が示された図面である。 トレッド部を平面に押し付けたときのタイヤの接地面の模式図である。 他の実施形態であるタイヤの接地面の模式図である。
本発明の一実施形態であるタイヤは、トレッド部を備えたタイヤであって、前記トレッド部は、トレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層を有し、前記第一層および前記第二層が、それぞれゴム成分および再生カーボンブラックを含有するゴム組成物により構成され、前記第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する前記再生カーボンブラックの含有量をC(質量部)、前記第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する前記再生カーボンブラック量をB(質量部)としたとき、B/Cが1.0超である、タイヤである。
理論に拘束されることは意図しないが、本発明のタイヤにおいて高速走行時の乗り心地性能の向上を図ることができるメカニズムとしては、例えば以下のように考えられる。
まず、(1)トレッド部を構成するゴム組成物が再生カーボンブラックを含有することで、再生カーボンブラックの物理的な吸着により、ゴム成分と再生カーボンブラックが結びついた状態となると考えられる。そして、(2)再生カーボンブラックは、通常のカーボンブラックに比べ、製造時に表面の活性が低下していると考えられるため、トレッド部に振動が生じた際には再生カーボンブラックの表面とゴム分子鎖との間で微小な摩擦が生じやすくなり、路面からの衝撃を吸収しやすくなる。また、(3)トレッド部を二以上のゴム層とし、トレッド部の最表面を構成する第一層のゴム成分100質量部に対する再生カーボンブラック量よりも、第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層のゴム成分100質量部に対する再生カーボンブラック量を多くすることにより、再生カーボンブラックとゴム分子鎖間の微小な摩擦がトレッド部最表面よりもトレッド部内部で生じやすくなるため、トレッド部の最表面層が吸収しきれなかった路面からの衝撃をトレッド部内部で衝撃を吸収しやすくなる。そして、上記(1)~(3)が協働することで、本発明のタイヤにおいて、高速走行時の乗り心地性能を向上させることができると考えられる。
前記第一層の厚みをt1(mm)、前記第二層の厚みをt2(mm)としたとき、t1とt2の和に対するt2の比(t2/(t1+t2))が0.20以上であるが好ましい。
t2/(t1+t2)が0.20以上であることで、トレッド部における第二層の厚みの比率を高めることができ、第二層で衝撃を吸収しやすくすることができると考えられる。ただし、第二層の厚みが厚くなりすぎると、走行時に発熱しやすくなり、ゴム温度が高くなり、トレッド部全体の衝撃吸収性が小さくなり衝撃を吸収しにくくなると考えられるので、t2/(t1+t2)は、0.40以下であることが好ましい。
前記第一層の厚みをt1(mm)、前記第二層の厚みをt2(mm)としたとき、Bと、t1とt2の和に対するt2の比(t2/(t1+t2))との積(B×t2/(t1+t2))が3.0以上であることが好ましい。
第二層は車両走行時に変形しにくく、表面から伝播された振動により、再生カーボンブラックとゴム分子鎖間の摩擦を生じる。また、第二層が一定程度の厚みを有すると、トレッド内部で振動を吸収しやすくなる。したがって、第二層の厚みの比率と、再生カーボンブラックの含有量の積を一定以上とすることで、衝撃を吸収しやすくなると考えられる。
前記第一層を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*1)に対する、前記第二層を構成するゴム組成物70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*2)の比(70℃E*2/70℃E*1)が0.70以下であることが好ましい。
70℃E*2/70℃E*1を前記の範囲とすることで、第二層の剛性を第一層よりも小さくすることでき、走行時に第一層が半径方向内側に変形しやすくなると考えられる。また、第二層も第一層の変形に追従して、動くことが可能となるため、内側の第二層のE*を小さくすると良いと考えられる。
前記第一層を構成するゴム組成物の100%モジュラスが、前記第二層を構成するゴム組成物の100%モジュラスよりも大きいことが好ましい。
第二層の剛性を第一層よりも小さくすることで、第二層も第一層の変形に追従して、動くことが可能となるため、内側の第二層の100%モジュラスを小さくすることが良いと考えられる。
前記第一層を構成するゴム組成物の70℃におけるtanδ(70℃tanδ1)に対する、前記第一層を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*1)の比(70℃E*1/70℃tanδ1)が、60以上100以下であることが好ましい。
70℃E*1/70℃tanδ1を前記範囲とすることで、第一層での振動の吸収効率が高まり、高速走行時の乗り心地性能がさらに向上すると考えられる。
前記第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中の総スチレン量をS1(質量%)としたとき、t1とS1との積(t1×S1)が150以下であることが好ましい。
ゴム中にスチレン部が存在することで、ゴム組成物中にスチレン部の微細なドメインが形成されると考えられる。スチレン部が生じることにより、周囲のゴム相の界面でエネルギーロスを生じ、振動を吸収しやすくすることができると考えられる。一方で、過剰量になると、振動を吸収した際の蓄熱により、ゴム組成物の温度が高くなり、振動の吸収効率が低下すると考えられる。そのため、t1×S1を前記の範囲とすることで、スチレンと第一層の厚みの積を一定以下とすることで、蓄熱を抑制しつつ、効率よく振動を吸収しやすくすることができると考えられる。
前記第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量をI(質量%)としたとき、Cに対するIの比(I/C)が1.0以上であることが好ましい。
I/Cを前記の範囲とすることで、第一層での再生カーボンブラックのゴム成分への分散性が向上し、高速走行時の乗り心地性能がさらに向上すると考えられる。
前記第一層を構成するゴム組成物のショア硬度(Hs)が60超80未満であり、かつ、前記第二層を構成するゴム組成物のショア硬度(Hs)よりも大きいことが好ましい。
ゴム硬度を前記の範囲とすることで、高速走行時の乗り心地性能がさらに向上すると考えられる。
前記再生カーボンブラックが、廃タイヤおよび/または廃タイヤ用チューブを焼成した再生カーボンブラックであることが好ましい。
廃タイヤおよび/または廃タイヤ用チューブを焼成した再生カーボンブラックとすることで、再生カーボンブラックがゴム組成物のゴム成分中に分散しやすくなると考えられる。
前記廃タイヤおよび/または廃タイヤ用チューブがジエン系ゴムを含むことが好ましい。
廃タイヤおよび/または廃タイヤ用チューブがジエン系ゴムを含むことで、再生カーボンブラックがゴム組成物のゴム成分中に分散しやすくなると考えられる。
前記トレッド部は、タイヤ周方向に連続して延びる二以上の周方向溝、前記二以上の周方向溝のうちタイヤ幅方向最外側に位置する最外周方向溝と接地端とによって仕切られた一対のショルダー陸部、および前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部を有し、車両装着時においてタイヤ赤道から車両内側に位置するセンター陸部を内側センター陸部、タイヤ赤道から車両外側に位置するセンター陸部を外側センター陸部としたとき、前記内側センター陸部と前記外側センター陸部の面積が異なっていてもよい。このようなトレッドパターンにより、乗り心地性能がさらに向上すると考えられる。
<定義>
「トレッド部」は、タイヤの接地面を形成する部分であり、タイヤ半径方向断面において、ベルト層やベルト補強層、カーカス層などのスチールやテキスタイル材料によりタイヤ骨格を形成する部材を備える場合には、それらよりもタイヤ半径方向外側の部材である。
「トレッド部各層の厚み」は、タイヤを、タイヤ回転軸を含む面で切断した断面において、タイヤ赤道上における各ゴム層の厚みであり、タイヤを周方向に72°ずつ回転させ、5か所の位置で求めたトレッドの厚みの平均値である。例えば、第一層の厚みは、タイヤ赤道上における、トレッド最表面から第一層のタイヤ半径方向内側界面までのタイヤ半径方向の直線距離を指す。なお、タイヤ赤道上に周方向溝を有する場合には、トレッド部を構成する各ゴム層の厚みは、タイヤ赤道に最も近い陸部のタイヤ幅方向中央部における各ゴム層の厚みとする。「タイヤ赤道に最も近い陸部」とは、タイヤ赤道に存在する周方向溝の、タイヤ赤道に最も近い溝縁を有する陸部を指すものとし、そのような陸部が複数存在する場合は、トレッド部を構成する各ゴム層の厚みは、当該2つの陸部のタイヤ幅方向中央部における各ゴム層の厚みの平均値とする。また、タイヤ赤道上の陸部に通電部材などが存在し、界面が不明瞭である場合には、通電部材などにより遮られた界面を仮想的につなぎ合わせて測定するものとする。
トレッド部各溝の溝幅は、トレッド最表面での溝の開口最大幅であり、溝の延在方向に延びるトレッド両端の中心線に垂直な断面において、各溝のトレッド最表面側端部を繋ぎ合わせた直線距離により求めることができる。ここで、「溝の延在方向」とは、溝が連続して延びる方向をいい、例えば周方向溝であれば周方向であり、タイヤ幅方向に傾斜した溝であれば、タイヤ幅方向の傾斜に沿った向きである。
「再生カーボンブラック」とは、カーボンブラックを含む使用済みのタイヤ等の製品を粉砕し、粉砕物を焼成して得られるカーボンブラックであって、JIS K 6226-2:2003に準拠した熱重量測定法で、空気中の加熱で酸化燃焼させたとき、燃焼しない成分である灰分の質量(灰分量)の割合が13質量%以上であるカーボンブラックをいう。すなわち、前記酸化燃焼による減量分の質量(カーボン量)が87質量%未満である。再生カーボンブラックは、リサイクルカーボンブラックともいい、rCBで表すこともある。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMA(日本自動車タイヤ協会)であれば“JATMA YEAR BOOK“に記載されている適用サイズにおける「標準リム」、ETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)であれば“STANDARDS MANUAL”に記載されている“Measuring Rim”、TRA(The Tire and Rim Association, Inc.)であれば“YEAR BOOK”に記載されている“Design Rim”を指し、JATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。そして、規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば「最高空気圧」、ETRTOであれば “INFLATION PRESSURE”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の「最大値」、とし、正規リムと同様にJATMA、ETRTO、TRAの順に参照し、参照時に適用サイズがあればその規格に従う。
「接地形状」とは、正規リムに組み付け、正規内圧を加え、25℃で24時間静置した後、タイヤトレッド表面に墨を塗り、正規荷重を負荷して厚紙に押しつけ(キャンバー角は0°)、紙に転写させることで得られる。
「センター陸部の面積」とは、接地形状におけるセンター陸部の合計面積、すなわち墨部分の合計面積をいい、該陸部を横断する横溝および/またはサイプの面積は含まない。
「軟化剤」とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、ゴム組成物からアセトンを用いて抽出される成分である。軟化剤は、25℃で液体(液状)の軟化剤および25℃で固体の軟化剤を含む。ただし、通常タイヤ工業で使用されるワックスおよびステアリン酸は含まないものとする。
「軟化剤の含有量」は、予めオイル、樹脂成分、液状ゴム成分等の軟化剤により伸展された伸展ゴム成分中に含まれる軟化剤の量も含む。また、オイルの含有量、樹脂成分の含有量、液状ゴムの含有量についても同様であり、例えば、伸展成分がオイルである場合には伸展オイルはオイルの含有量に含まれる。
<測定方法>
「70℃tanδ」は、動的粘弾性測定装置(例えば、GABO社製のイプレクサーシリーズ)を用い、温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪±1%、伸長モードの条件下で測定される損失正接である。損失正接測定用サンプルは、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmの加硫ゴム組成物である。タイヤから切り出して作製する場合には、タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向が長辺、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように切り出す。
「70℃E*」は、動的粘弾性測定装置(例えば、GABO社製のイプレクサーシリーズ)を用い、温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪±1%、伸長モードの条件下で測定される複素弾性率である。本測定用サンプルは、30℃tanδの場合と同様にして作製される。
「スチレン含量」は、1H-NMR測定により算出される値であり、例えば、SBR等のスチレンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。「シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
「ショア硬度」は、JIS K 6253に準拠して23℃でタイプAデュロメータを接地面側からサンプルに押し付け測定する。硬度測定サンプルを試験タイヤから作成する場合には、試験タイヤの接地面を形成するトレッド部からタイヤ半径方向が厚さ方向となる様にトレッド部を切りだす。
「100%モジュラス」は、厚さ1mmの7号ダンベル形状の試験片を作製し、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張試験特性の求め方」に準じて、23℃雰囲気下にて、引張速度3.3mm/秒の条件で引張試験を実施した際の100%伸張時応力(MPa)である。測定サンプルを試験タイヤから作成する場合には、試験タイヤの接地面を形成するトレッド部からタイヤ半径方向が厚さ方向となる様にトレッド部を切りだす。
「ゴム成分中の総スチレン量」とは、ゴム成分100質量%中に含まれるスチレン単位の合計含有量(質量%)であって、各ゴム成分について、それぞれ、スチレン含量(質量%)にゴム成分中の質量分率を乗じて得られる値を算出し、それら値を総和した値である。具体的にはΣ(各スチレン単位含有ゴムのスチレン含量(質量%)×各スチレン単位含有ゴムのゴム成分中の含有量(質量%)/100)により算出される。
「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTIPORE HZ-M)による測定値を基に、標準ポリスチレン換算により求めることができる。例えば、SBR、BR等に適用される。
「カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)」は、JIS K 6217-2:2017に準じて測定される。「シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)」は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される。
本発明の一実施形態に係るタイヤの作製手順について、以下に詳細に説明する。ただし、以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。
[タイヤ]
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るタイヤを説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のタイヤは、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、タイヤのトレッド部のタイヤ回転軸を通る断面が示された図面である。図1において、上下方向がタイヤ半径方向であり、左右方向がタイヤ幅方向であり、紙面に垂直な方向がタイヤ周方向である。
図示される通り、本実施形態に係るタイヤのトレッド部8は、第一層6および第二層7を備え、第一層6の外面がトレッド面3を構成し、第二層7が第一層6のタイヤ半径方向内側に隣接している。第一層6は、典型的にはキャップトレッドに相当する。第二層7は、典型的な形は決まっていないことから、キャップトレッドであってもよく、ベーストレッドであってもよい。また、本発明の目的が達成される限り、第二層7とベルト層との間に、さらに1以上のゴム層を有していてもよい。トレッド部8が3層以上となる場合は、キャップトレッドもしくは内側層(ベーストレッド)を2層以上で構成してもよい。例えば、キャップトレッドが2層である場合には、該キャップトレッドのうちタイヤ半径方向内側に存在するゴム層が本発明の第二層に相当し、ベーストレッドが2層の場合には、該ベーストレッドのうちタイヤ半径方向外側に存在するゴム層が本発明の第二層に相当する。
図1では、複数の周方向溝1のうち最も深い溝深さを有する周方向溝1の溝底の最深部は、その周方向溝に隣接する陸部2内の第二層7の最外部よりもタイヤ半径方向内側に位置するように形成されているが、このような態様に限定されるものではなく、周方向溝1の溝底の最深部は、その周方向溝に隣接する陸部2内の第一層6の範囲内に留まる形でもよい。
図1では、周方向溝1の溝幅は、タイヤ半径方向外側から内側に向かって一定であるが、このような態様に限定されるものではなく、タイヤ半径方向外側から内側に向かって変化していてもよい。また、周方向溝の溝壁5は、タイヤ半径方向外側から内側に向かって直線状に延びているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、曲線状や階段状に延びていてもよい。
本実施形態において、トレッド部の全厚み、図1においては第一層6の厚みt1および第二層7の厚みt2の和(t1+t2)は、乗り心地性能および耐久性能の観点から、6.0mm以上が好ましく、7.0mm以上がより好ましく、8.0mm以上がさらに好ましく、9.0mm以上がさらに好ましく、9.5mm以上が特に好ましい。また、本発明の効果の観点から、トレッド部の全厚みは、15.0mm以下が好ましく、13.0mm以下がより好ましく、11.0mm以下がさらに好ましい。
本実施形態において、第一層6の厚みt1は、高速走行時の乗り心地性能の観点から、4.0mm以上が好ましく、5.0mm以上がより好ましく、6.0mm以上がさらに好ましい。また、第一層6の厚みt1は、12.0mm以下が好ましく、10.0mm以下がより好ましく、9.0mm以下がさらに好ましく、8.0mm以下が特に好ましい。
本実施形態において、第二層7の厚みt2は、トレッド内部で振動を吸収しやすくし、乗り心地性能を向上させる観点から、0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、1.0mm以上がさらに好ましい。また、第二層7の厚みt2は、走行時の発熱性を抑制する観点から、6.0mm以下が好ましく、4.0mm以下がより好ましく、3.0mm以下がさらに好ましく、2.5mm以下が特に好ましい。
第一層6の厚みt1と第二層7の厚みt2の和に対するt2の比(t2/(t1+t2))は、トレッド部における第二層の厚みの比率を高め、第二層で衝撃を吸収しやすくする観点から、0.10以上が好ましく、0.20以上がより好ましく、0.30以上がさらに好ましく、0.35以上が特に好ましい。また、第二層の厚みが厚くなりすぎると、走行時に発熱しやすくなり、ゴム温度が高くなり、トレッド部全体のtanδが小さくなり衝撃を吸収しにくくなると考えられることから、t2/(t1+t2)は、0.50以下が好ましく、0.45以下がより好ましく、0.40以下がさらに好ましい。
第一層6の70℃tanδ(70℃tanδ1)は、第一層の過度な温度上昇を抑制する観点から、0.20以下が好ましく、0.15以下がより好ましく、0.12以下がさらに好ましい。また、第一層6の70℃tanδの下限値は特に限定されないが、0.04以上が好ましく、0.06以上がより好ましく、0.08以上がさらに好ましい。
第二層7の70℃tanδ(70℃tanδ2)は、第一層から伝わった振動を吸収しやすくする観点から、0.02以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.04以上がさらに好ましい。一方、トレッド内部での過度な発熱を抑制する観点からは、0.20以下が好ましく、0.15以下がより好ましく、0.10以下がさらに好ましい。なお、第二層7の70℃tanδ(70℃tanδ2)は、第一層6の70℃tanδ(70℃tanδ1)よりも小さいことが好ましい。
第一層6の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*1)は、5.0MPa以上が好ましく、6.0MPa以上がより好ましく、6.5MPa以上がさらに好ましい。第一層の70℃E*を前記の範囲とすることで、適度な剛性を保つことができ、高速走行時においてもトレッド部の過度の発熱を抑制することができると考えられる。また、第一層6の70℃E*の上限は特に限定されないが、10MPa以下が好ましく、9MPa以下がより好ましく、8MPa以下がさらに好ましい。
第二層7の70℃における複素弾性率(70℃E*2)は、第一層6の70℃E*(70℃E*1)よりも小さいことが好ましい。すなわち、第一層7の70℃E*1に対する第一層7の70℃E*2の比(70℃E*2/70℃E*1)は、1.00未満が好ましい。70℃E*2は、具体的には、2.0MPa以上が好ましく、3.0MPa以上がより好ましく、4.0MPa以上がさらに好ましい。また、第二層7の70℃E*は、10MPa以下が好ましく、9MPa以下がより好ましく、8MPa以下がさらに好ましい。
70℃E*2/70℃E*1は、0.80以下がより好ましく、0.70以下がさらに好ましい。また、70℃E*2/70℃E*1の下限値は、0.40以上が好ましく、0.50以上がより好ましく、0.55以上がさらに好ましい。
第一層6の70℃におけるtanδ(70℃tanδ1)に対する、第一層6の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*1)の比(70℃E*1/70℃tanδ1)は、55以上が好ましく、60以上がより好ましく、65以上がさらに好ましく、70以上が特に好ましい。また、70℃E*1/70℃tanδ1は、100以下が好ましく、90以下がより好ましく、80以下がさらに好ましい。
70℃tanδ、70℃E*は、後記のゴム成分、フィラー、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。例えば、ゴム成分中の総スチレン量を増加させること、フィラーの配合量を増やすこと、加硫剤、加硫促進剤を減らすこと、軟化剤としてガラス転移温度の高い樹脂などを用いることなどにより、70℃tanδの値は上昇する傾向がある。また、例えば、ゴム成分中の総スチレン量を増加させること、フィラーの配合量を増やすこと、加硫剤、加硫促進剤を増やすこと、軟化剤としてガラス転移温度の高い樹脂などを用いること、軟化剤の配合量を減らすことなどにより70℃E*の値は上昇する傾向がある。また、再生カーボンブラックの配合量を少なくすると、70℃tanδ、70℃E*の値は低下する傾向がある。
第一層6を構成するゴム組成物のショア硬度(Hs)は、55.0以上が好ましく、60.0以上がより好ましく、62.0以上がさらに好ましく、63.5以上が特に好ましい。また、該ゴム硬度は、乗り心地性能の観点から、80.0以下が好ましく、70.0以下がより好ましく、65.0以下がさらに好ましい。
第二層7を構成するゴム組成物のショア硬度(Hs)は、40.0以上が好ましく、45.0以上がより好ましく、50.0以上がさらに好ましい。また、該ゴム硬度は、乗り心地性能の観点から、75.0以下が好ましく、65.0以下がより好ましく、60.0以下がさらに好ましい。
なお、前記各ゴム層のショア硬度は、ゴム成分、フィラー、軟化剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。例えば、ゴム成分中の総スチレン量を増加させること、フィラーの配合量を増やすこと、加硫剤、加硫促進剤を増やすこと、軟化剤としてガラス転移温度の高い樹脂などを用いること、軟化剤の配合量を減らすことなどによりショア硬度を高くすることができる。その逆に、ゴム成分中の総スチレン量を減少させること、フィラーの配合量を減らすこと、加硫剤、加硫促進剤を減らすこと、軟化剤としてガラス転移温度の低い可塑剤を使用すること、軟化剤の配合量を増やすことなどによりショア硬度は下げることができる。
第一層6を構成するゴム組成物の100%モジュラスは、1.5MPa以上が好ましく、2.0MPa以上がより好ましく、2.5MPa以上がさらに好ましい。また、該100%モジュラスは、5.5MPa以下が好ましく、5.0MPa以下がより好ましく、4.5MPa以下がさらに好ましく、4.0MPa以下が特に好ましい。
第一層6を構成するゴム組成物の100%モジュラスは、第二層7を構成するゴム組成物の100%モジュラスよりも大きいことが好ましい。第二層の剛性を第一層よりも小さくすることで、走行時に第一層が変形しやすくなると考えられる。第二層7を構成するゴム組成物の100%モジュラスは、1.5MPa以上が好ましく、2.0MPa以上がより好ましく、2.5MPa以上がさらに好ましい。また、該100%モジュラスは、5.5MPa以下が好ましく、5.0MPa以下がより好ましく、4.5MPa以下がさらに好ましく、4.0MPa以下が特に好ましい。
なお、100%モジュラスは、フィラー、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。例えば、ゴム組成物のゴム成分中の総スチレン量を増加させること、フィラーの配合量を増やすこと、加硫剤、加硫促進剤を増やすこと、軟化剤としてガラス転移温度の高い樹脂などを用いること、軟化剤の配合量を減らすことなどにより、100%モジュラスを高めることができる。
図2は、トレッド部を平面に押し付けたときのタイヤの接地面の模式図である。本実施形態にかかるトレッド部は、タイヤ周方向に連続して延びる二以上の周方向溝、前記二以上の周方向溝のうちタイヤ幅方向最外側に位置する最外周方向溝と接地端とによって仕切られた一対のショルダー陸部、および前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部を有することが好ましい。図2では、トレッド部には、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンが形成されているが、このような態様に限定されるものではなく、車両への装着の向きは指定されていなくてもよい。
図2では、トレッド部は、周方向に連続して延びる複数の周方向溝11、12、13を有している。図2においては、周方向溝11、12、13は3本設けられているが、周方向溝の数は特に限定されず、例えば2本~5本であってもよい。また、周方向溝11、12、13は、周方向に沿って直線状に延びているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、周方向に沿って波状、正弦波状、ジグザグ状等に延びていてもよい。
本明細書において「ショルダー陸部」は、タイヤ赤道Cからタイヤ幅方向Wの最外側に位置する周方向溝と接地端との間に形成された一対の陸部を指す。図2では、車両装着時に最外側に位置する周方向溝12と外側接地端Toとの間に形成された外側ショルダー陸部16、および、車両装着時に最内側に位置する周方向溝11と内側接地端Tiとの間に形成された内側ショルダー陸部17がそれぞれ設けられている。
本明細書において「センター陸部」は、前記の一対のショルダー陸部に挟まれる全ての陸部を指す。図2では、タイヤ赤道Cに沿って設けられた周方向溝13と車両装着時に最外側に位置する周方向溝12との間に形成された外側センター陸部18、および、タイヤ赤道Cに沿って設けられた周方向溝13と車両装着時に最内側に位置する周方向溝11との間に形成された内側センター陸部19がそれぞれ設けられているが、センター陸部の数は特に限定されず、例えば1つ~5つであってもよい。
図3は、他の実施形態であるタイヤの接地面の模式図である。図3において、トレッド面10は、周方向に連続して延びる4本の周方向溝11、12、13、14を有し、タイヤ赤道Cに周方向溝は存在していない。図3では、タイヤ赤道Cから車両内側方向に最も近い周方向溝13の溝縁までの距離W2が、タイヤ赤道Cから車両外側方向に最も近い周方向溝14の溝縁までの距離W3よりも大きくなっている。さらに、周方向溝13の溝幅が、その他の周方向溝11、12、14の溝幅よりも広くなっている。すなわち、車両装着時においてタイヤ赤道から車両内側に位置するセンター陸部を内側センター陸部19、タイヤ赤道から車両外側に位置するセンター陸部を外側センター陸部18としたとき、内側センター陸部の面積と外側センター陸部の面積が異なっている。図3において、タイヤ赤道Cに周方向溝は存在していないので、タイヤ赤道上に存在するセンター陸部20は、タイヤ赤道から車両内側が内側センター陸部19であり、タイヤ赤道から車両外側が外側センター陸部18である。内側センター陸部および外側センター陸部は、図3に示すように、それぞれ複数あってもよい。内側センター陸部および外側センター陸部が複数ある場合には、該陸部の面積は全ての該陸部の面積の合計である。図3において、ショルダー陸部16、17には、末端が周方向溝1に開口している複数のショルダー横溝21と、片端が周方向溝11、12に開口している複数のショルダーサイプ22とが設けられ、外側センター陸部18および内側センター陸部19には、片端が周方向溝11、12、13、14に開口している複数のセンターサイプ23が設けられている。
[ゴム組成物]
本実施形態に係るトレッド部の各層を構成するゴム組成物は、いずれも以下に説明する原料を用いて、要求される100%モジュラス、ショア硬度、70℃tanδ、70℃E*等に応じて製造することができる。以下に詳細に説明する。なお、以下特に断りがない限り、例示される各種配合剤の種類や配合量はトレッド部の第一層および第二層を構成するゴム組成物で共通である。
<ゴム成分>
本実施形態に係るゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。第一層を構成するゴム組成物は、ゴム成分としてSBRを含むことが好ましく、SBRおよびBRを含むことがより好ましく、SBR、BRおよびイソプレン系ゴムを含むことがさらに好ましい。一方、第二層を構成するゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴムを含むことが好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRを含むことがより好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRのみからなるゴム成分としてもよい。また、これらのゴム成分は可塑剤成分により、予め伸展された伸展ゴムを用いてもよい。また、これらのゴム成分はシリカやカーボンブラックなどのフィラー成分と相互作用可能な官能基で変性されていてもよく、架橋形態の最適化や劣化抑制の観点から不飽和結合部の一部が水素添加処理され、飽和結合となっていてもよい。
(SBR)
SBRとしては特に限定はなく、未変性の溶液重合SBR(S-SBR)や乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。なかでもS-SBRおよび変性SBRが好ましい。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加されたSBR)等も使用することができる。これらのSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記で列挙されたSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記で列挙されたSBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、ZSエラストマー(株)等より市販されているものを使用することができる。
SBRのスチレン含量は、例えば、ゴム成分中の総スチレン量が後述の範囲を満たすように適宜選択することができるが、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、28質量%以下が特に好ましい。また、SBRのスチレン含量は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。なお、SBRのスチレン含量は、前記測定方法により測定される。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果の観点から、10万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、30万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点から、重量平均分子量は200万以下が好ましく、180万以下がより好ましく、150万以下がさらに好ましい。なお、SBRの重量平均分子量は、前記測定方法により測定される。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中のSBRの含有量は、ゴム成分中の総スチレン量S1が後述の範囲を満たすように適宜選択することができるが、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、55質量%以上が特に好ましい。一方、ゴム成分中のSBRの含有量は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。なお、第二層を構成するゴム組成物のゴム成分中のSBRの含有量は特に制限されない。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量Iは、本発明の効果の観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下が特に好ましい。また、該含有量の下限値は特に制限されないが、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。
第二層を構成するゴム組成物のゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量は、本発明の効果の観点から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上が特に好ましい。また、該含有量の下限値は特に制限されないが、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス含量が50モル%未満のBR(ローシスBR)、シス含量が90モル%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。これらのBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)、宇部興産(株)、JSR(株)等より市販されているものを使用することができる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。シス含量は、95モル%以上が好ましく、96モル%以上より好ましく、97質量%以上さらに好ましい。なお、BRのシス含量は、前記測定方法により測定される。
変性BRとしては、末端および/または主鎖がケイ素、窒素および酸素からなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む官能基によって変性された変性ブタジエンゴム(変性BR)が好適に用いられる。
その他の変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)等が挙げられる。また、変性BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から、30万以上が好ましく、35万以上がより好ましく、40万以上がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点からは、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。なお、BRの重量平均分子量は、前記測定方法により測定される。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中のBRの含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、12質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましい。一方、第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中のBRの含有量は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
第二層を構成するゴム組成物のゴム成分中のBRの含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。一方、第二層を構成するゴム組成物のゴム成分中のBRの含有量は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中のBRおよびSBRの合計含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。一方、第二層を構成するゴム組成物のゴム成分中のBRおよびSBRの合計含有量の上限値は特に制限されない。
(その他のゴム成分)
本実施形態に係るゴム成分として、前記のイソプレン系ゴム、SBR、およびBR以外のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のイソプレン系ゴム、SBR、およびBR以外のジエン系ゴム;ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等の非ジエン系ゴムが挙げられる。これらその他のゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本実施形態に係るゴム成分は、ジエン系ゴムを80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、98質量%以上が特に好ましく、ジエン系ゴムのみからなるゴム成分としてもよい。また、上記のゴム成分の他に、公知の熱可塑性エラストマーを含有してもよく、含有しなくてもよい。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中の総スチレン量S1は、本発明の効果の観点から、5.0質量%以上が好ましく、7.0質量%以上がより好ましく、8.0質量%以上がさらに好ましい。また、第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中の総スチレン量S1は、本発明の効果の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。なお第二層を構成するゴム組成物のゴム成分中の総スチレン量は、特に制限されない。
第一層の厚みt1とS1との積(t1×S1)は、150以下が好ましく、140以下がより好ましく、120以下がさらに好ましく、110以下が特に好ましい。また、t1×S1は、本発明の効果の観点から、10以上が好ましく、20以上がより好ましく、50以上がさらに好ましい。
<フィラー>
本実施形態に係るゴム組成物は、フィラーとして再生カーボンブラックを含有し、再生カーボンブラック(rCB)とrCB以外のカーボンブラックおよび/またはシリカを併用することが好ましい。
(再生カーボンブラック)
再生カーボンブラックは、使用済み空気入りタイヤ(廃タイヤ)または使用済みのタイヤチューブ(廃タイヤ用チューブ)を粉砕し、その粉砕物を焼成して得ることができる。これらの廃タイヤおよび廃タイヤ用チューブは、ジエン系ゴムを含むことが好ましい。例えば、欧州特許出願公開第3427975号明細書では、「ゴム化学と技術」、Vol.85、No.3、408~449頁(2012)、特に、438、440、442頁に言及し、酸素を排除した550~800℃での有機材料の熱分解、または、比較的低い温度での真空熱分解により得られることが記載されている([0027])。このような熱分解プロセスから得られるカーボンブラックは、特許第6856781号の[0004]で言及されているように、通常、その表面に官能基を欠くものである(熱分解カーボンブラックと市販のカーボンブラックとの表面形態および化学の比較、Powder Technology 160(2005)190~193)。
本発明の再生カーボンブラックの灰分量は13質量%以上である。再生カーボンブラックは、灰分量が多いため、オイルを吸油しにくいという特徴を有する。該灰分量は、14質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、16質量%以上がさらに好ましく、17質量%以上が特に好ましい。なお、灰分量は前記定義による。
再生カーボンブラックは、その表面に官能基を欠くものであってもよく、あるいは、その表面に官能基を含むように処理されたものであってもよい。再生カーボンブラックの表面に官能基を含むように行う処理は、常法により実施することができる。例えば、欧州特許出願公開第3173251号明細書では、熱分解プロセスから得られたカーボンブラックを、酸性条件下で、過マンガン酸カリウムで処理することにより、その表面にヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基を含むカーボンブラクを得ている。また、特許第6856781号では、熱分解プロセスから得られたカーボンブラックを、少なくとも1つのチオール基またはジスルフィド基を含むアミノ酸化合物で処理して、その表面を活性化したカーボンブラックを得ている。本実施形態に係る再生カーボンブラックは、これらの表面に官能基を含むように処理されたカーボンブラックをも含むものである。
再生カーボンブラックは、Strable Green Carbon社、LDCarbon社等より市販されているものを使用することができる。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する再生カーボンブラックの含有量Cは、3.0質量部以上が好ましく、5.0質量部以上がより好ましく、7.0質量部以上がさらに好ましい。また、補強性の観点からは、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、25質量部以下が特に好ましい。
本発明において、第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する再生カーボンブラックの含有量Bは、第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する再生カーボンブラックの含有量Cよりも多い。すなわち、B/Cは、1.0超である。
第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する再生カーボンブラックの含有量Bは、具体的には、5.0質量部以上が好ましく、7.0質量部以上がより好ましく、10.0質量部以上がさらに好ましく、12.0質量部以上がさらに好ましく、14.0質量部以上が特に好ましい。また、補強性の観点からは、80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましく、50質量部以下が特に好ましい。
B/Cは、1.00超であり、1.25超が好ましく、1.40超がより好ましく、1.50超がさらに好ましい。一方、B/Cの上限値は、3.00以下が好ましく、2.50以下がより好ましく、2.20以下がさらに好ましい。
Bと、第一層の厚みt1と第二層の厚みt2の和に対するt2の比(t2/(t1+t2))の積(B×(t2/t1+t2))は、1.4以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、3.0以上がさらに好ましい。また、B×(t2/t1+t2)の上限値は、8.0以下が好ましく、7.5以下がより好ましく、6.0以下がさらに好ましい。
Cに対する、第一層のゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量I(質量%)の比(I/C)は、1.0以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。I/Cの上限値は、15.0以下が好ましく、10.0以下がより好ましく、8.0以下がさらに好ましい。
(rCB以外のカーボンブラック)
rCB以外のカーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なお、一般的な鉱油を燃焼させて生成されるカーボンブラック以外に、リグニン等のバイオマス材料を用いたカーボンブラックを用いてもよい。これらのカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、補強性の観点から、10m2/g以上が好ましく、30m2/g以上がより好ましく、50m2/g以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、200m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましく、120m2/g以下がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、前記測定方法により測定される。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するrCB以外のカーボンブラックの含有量は、特に限定されず、0質量部であってもよい。補強性の観点からは、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、本発明の効果の観点から、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するrCB以外のカーボンブラックの含有量は、20質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、100質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの合計含有量(rCBとrCB以外のカーボンブラックの含有量の合計)は、補強性の観点から、2質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、7質量部以上がさらに好ましい。また、本発明の効果の観点から、該カーボンブラックの合計含有量は、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの合計含有量(rCBとrCB以外のカーボンブラックの含有量の合計)は、補強性の観点から、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましい。また、本発明の効果の観点から、該カーボンブラックの合計含有量は、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましい。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する、カーボンブラックの合計含有量に対するrCBの含有量の比(C/カーボンブラック合計含有量)は、0.40以上が好ましく、0.45以上がより好ましく、0.50以上がさらに好ましい。第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する、カーボンブラックの合計含有量に対するrCBの含有量の比(B/カーボンブラック合計含有量)は、0.12以上が好ましく、0.20以上がより好ましく、0.33以上がさらに好ましい。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。なお、上記のシリカの他に、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたシリカを適宜用いてもよい。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、低燃費性能および耐摩耗性能の観点から、120m2/g以上が好ましく、150m2/g以上がより好ましく、170m2/g以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、前記測定方法により測定される。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、補強性の観点から、40質量部以上が好ましく、45質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましい。また、加工性の観点からは、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましい。
第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、特に制限されず、0質量部であってもよい。補強性の観点からは、40質量部以上が好ましく、45質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましい。また、加工性の観点からは、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましい。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するカーボンブラック(rCBとrCB以外のカーボンブラック)とシリカの合計含有量は、50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、70質量部以上がさらに好ましい。第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対するカーボンブラック(rCBとrCB以外のカーボンブラック)とシリカの合計含有量は、30質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましい。また、第一層および第二層を構成するゴム組成物のカーボンブラックとシリカの合計含有量の上限値は、加工性の観点から、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。
(その他のフィラー)
再生カーボンブラック、rCB以外のカーボンブラック、およびシリカ以外のフィラーとしては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、タルク、クレー、バイオ炭(BIOCHAR)等、従来からタイヤ工業において一般的に用いられているものを配合することができる。これらその他のフィラーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、モメンティブ社等より市販されているものを使用することができる。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤のシリカ100質量部に対する含有量は、シリカの分散性を高める観点から、1.0質量部以上が好ましく、3.0質量部以上がより好ましく、5.0質量部以上がさらに好ましい。また、コストおよび加工性の観点からは、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましい。
<その他の配合剤>
本実施形態に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、軟化剤、ワックス、加工助剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
(軟化剤)
本実施形態に係るゴム組成物は、軟化剤を含有することが好ましい。軟化剤としては、例えば、樹脂成分、オイル、液状ゴム等が挙げられる。なお、これらの軟化剤には前述の伸展ゴムを用いた際の伸展成分も含まれる。
樹脂成分としては、特に限定されないが、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等の炭化水素樹脂が挙げられる。
樹脂成分を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましい。また、樹脂成分の含有量は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、25質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
オイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルを使用することもできる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族系抽出物(TDAE)、重ナフテン系オイル等が挙げられる。また、ライフサイクルアセスメントの観点から、ゴム混合機やエンジンに用いられた後の廃油や、飲食店で使用された廃食用油を精製したものを用いてもよい。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。
液状ゴムは、常温(25℃)で液体状態のポリマーであれば特に限定されないが、例えば、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状スチレンイソプレンゴム(液状SIR)、液状ファルネセンゴム等が挙げられる。これらの液状ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状ゴムを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する軟化剤の含有量は、5質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましく、7質量部以上がさらに好ましく、8質量部以上が特に好ましい。また、該含有量は、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、45質量部以下がさらに好ましく、40質量部以下が特に好ましい。
第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する軟化剤の含有量は、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化防止の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加工助剤としては、例えば、Schill+Seilacher社、パフォーマンスアディティブス社等より市販されているものを使用することができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性および破壊強度の観点からは、10質量部以下が好ましく、8.0質量部以下がより好ましい。
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤が挙げられ、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤、および2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤が好ましい。これらの老化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましく、2.5質量部以下が特に好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレクシス社等より市販されているものを使用することができる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系若しくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、およびチアゾール系加硫促進剤からなる群から選ばれる1以上の加硫促進剤が好ましく、スルフェンアミド系加硫促進剤がより好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)が好ましい。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。なかでも、2-メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量(複数の加硫促進剤を併用する場合は全ての合計量)は、1.0質量部以上が好ましく、2.0質量部以上がより好ましく、2.5質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、8.0質量部以下が好ましく、7.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
<製造>
本実施形態に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。
混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。
混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、ファイナル練り工程では、70~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
第一層6および第二層7を含むトレッドを備えたタイヤは、それぞれに対応するゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、前記の方法により得たそれぞれのゴム層に対応する未加硫のゴム組成物を、所定の形状の口金を備えた押し出し機で各ゴム層の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
<用途>
本実施形態に係るタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤに好適に用いることができ、なかでも乗用車用タイヤに用いることが好ましい。なお、乗用車用タイヤとは、四輪で走行する自動車に装着されることを前提としたタイヤであり、その最大負荷能力が1000kg以下のものを指す。また、本実施形態に係るタイヤは、全シーズン用タイヤ、夏用タイヤ、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤに使用可能である。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。
以下に示す各種薬品を用いて、表1に従って得られるゴム組成物からなるトレッド部を備えたタイヤを想定し、下記評価方法に基づいて算出した結果を表1および表2に示す。
SBR1:JSR(株)製のHPR355(S-SBR、スチレン含量:28質量%、ビニル含量:56モル%、Mw:40万)
SBR2:JSR(株)製のHPR840(S-SBR、スチレン含量:10質量%、ビニル含量:42モル%、非油展品)
NR:TSR20
BR:JSR(株)製のBR730(Nd系触媒を用いて合成したBR、シス含量:96.6モル%、Mw:58万)
カーボンブラック1:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN351H(N2SA:69m2/g)
カーボンブラック2:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(N2SA:111m2/g)
再生カーボンブラック:廃タイヤを粉砕・焼成して得られたカーボンブラック(灰分量:17質量%)
シリカ:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
カップリング剤:エボニックデグサ社製のSi69(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:ENEOS(株)製のプロセスX-140
樹脂成分1:KRATON社製のSYLVATRAXX 4401(軟化点:85℃、ガラス転移温度39℃)
樹脂成分2:東ソー(株)製のペトロタック90
ワックス:日本精蝋(株)製のHi-Mic-1080(マイクロクリスタリンワックス)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(6PPD)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS))
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン(DPG))
(実施例および比較例)
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度150~160℃になるまで1~10分間混練りし、混練物を得る。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。得られた未加硫ゴム組成物を用いて、トレッドの第一層および/または第二層の形状に合わせて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃で加硫して表2に記載の各試験用タイヤを得る。なお、トレッド部の全厚みは10.0mmとした。
<70℃E*、70℃tanδの測定>
各試験用タイヤのトレッド部第一層またはトレッド部第二層の内部から、タイヤ周方向が長辺、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmで採取した各加硫ゴム試験片について、動的粘弾性測定装置(GABO社製のイプレクサーシリーズ)を用い、温度70℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪±1%、伸長モードの条件下で、JIS K 6394:2007に準拠し、複素弾性率E*、および損失正接tanδを測定する。
<ショア硬度の測定>
各試験用タイヤのトレッド部第一層またはトレッド部第二層の内部から、タイヤ半径方向が厚さ方向となるように硬度測定サンプルを作成し、JIS K 6253に準拠して、23℃でタイプAデュロメータを接地面側からサンプルに押し付けてゴム硬度を測定する。
<引張試験>
各試験用タイヤのトレッド部第一層またはトレッド部第二層の内部から、タイヤ周方向が引張方向となるように厚さ1mmのダンベル状7号形の試験片を切り出し、JIS K 6251:2017「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張試験特性の求め方」に準じて、23℃雰囲気下にて、引張速度3.3mm/秒の条件で引張試験を実施し、100%延伸時のモジュラス(MPa)を測定する。なお、サンプルの厚み方向はタイヤ半径方向とする。
<高速走行時の乗り心地性能>
各試験用タイヤに250kPaの空気を充填し、排気量が2000ccである自動車に装着する。この自動車を、その路面がアスファルトであるテストコースを時速100kmで走行させ、乗り心地性をテストドライバーが官能評価する。評価は1点~5点の整数値で行い、評点が高いほど乗り心地性能に優れる評価基準のもと、テストドライバー20名の合計点を算出する。比較例5の合計点を基準値(100)に換算し、各試験用タイヤの評価結果を合計点に比例するように指数化して表示する。
Figure 2024073881000001
Figure 2024073881000002
<実施形態>
本発明の実施形態の例を以下に示す。
〔1〕トレッド部を備えたタイヤであって、
前記トレッド部は、トレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層を有し、
前記第一層および前記第二層が、それぞれゴム成分および再生カーボンブラックを含有するゴム組成物により構成され、
前記第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する前記再生カーボンブラックの含有量をC(質量部)、前記第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する前記再生カーボンブラック量をB(質量部)としたとき、B/Cが1.0超である、タイヤ。
〔2〕前記第一層の厚みをt1(mm)、前記第二層の厚みをt2(mm)としたとき、t1とt2の和に対するt2の比(t2/(t1+t2))が0.20以上(好ましくは0.25以上、より好ましくは0.30以上、さらに好ましくは0.35以上)である、上記〔1〕記載のタイヤ。
〔3〕前記第一層の厚みをt1(mm)、前記第二層の厚みをt2(mm)としたとき、Bと、t1とt2の和に対するt2の比(t2/(t1+t2))との積(B×t2/(t1+t2))が3.0以上(好ましくは3.5以上)である、上記〔1〕または〔2〕記載のタイヤ。
〔4〕前記第一層を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*1)に対する、前記第二層を構成するゴム組成物70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*2)の比(70℃E*2/70℃E*1)が0.70以下である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔5〕前記第一層を構成するゴム組成物の100%モジュラスが、前記第二層を構成するゴム組成物の100%モジュラスよりも大きい、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔6〕前記第一層を構成するゴム組成物の70℃におけるtanδ(70℃tanδ1)に対する、前記第一層を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*1)の比(70℃E*1/70℃tanδ1)が、60以上100以下である、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔7〕前記第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中の総スチレン量をS1(質量%)としたとき、t1とS1との積(t1×S1)が150以下(好ましくは140以下、より好ましくは120以下、さらに好ましくは110以下)である、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔8〕前記第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量をI(質量%)としたとき、Cに対するIの比(I/C)が1.0以上(好ましくは1.4以上、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.0以上)である、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔9〕前記第一層を構成するゴム組成物のショア硬度(Hs)が60超80未満であり、かつ、前記第二層を構成するゴム組成物のショア硬度(Hs)よりも大きい、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔10〕前記再生カーボンブラックが、廃タイヤおよび/または廃タイヤ用チューブを焼成した再生カーボンブラックである、上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔11〕前記廃タイヤおよび/または廃タイヤ用チューブがジエン系ゴムを含む、上記〔10〕記載のタイヤ。
〔12〕前記タイヤが乗用車用タイヤである、上記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔13〕前記トレッド部が、タイヤ周方向に連続して延びる二以上の周方向溝、前記二以上の周方向溝のうちタイヤ幅方向最外側に位置する最外周方向溝と接地端とによって仕切られた一対のショルダー陸部、および前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部を有し、
車両装着時においてタイヤ赤道から車両内側に位置するセンター陸部を内側センター陸部、タイヤ赤道から車両外側に位置するセンター陸部を外側センター陸部としたとき、前記内側センター陸部と前記外側センター陸部の面積が異なる、上記〔1〕~〔12〕のいずれかに記載のタイヤ。
1 周方向溝
2 陸部
3 トレッド面
5 溝壁
6 第一層
7 第二層
8 トレッド部
9 第二層の最外部の延長線
t1 第一層の厚み
t2 第二層の厚み
P タイヤ赤道と交わるトレッド部の最外端の交点
10 トレッド面
11、12、13、14 周方向溝
16 外側ショルダー陸部
17 内側ショルダー陸部
18 外側センター陸部
19 内側センター陸部
20 センター陸部
21 ショルダー横溝
22 ショルダーサイプ
23 センターサイプ
C タイヤ赤道
To 外側接地端
Ti 内側接地端
W タイヤ幅方向

Claims (13)

  1. トレッド部を備えたタイヤであって、
    前記トレッド部は、トレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に隣接する第二層を有し、
    前記第一層および前記第二層が、それぞれゴム成分および再生カーボンブラックを含有するゴム組成物により構成され、
    前記第一層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する前記再生カーボンブラックの含有量をC(質量部)、前記第二層を構成するゴム組成物のゴム成分100質量部に対する前記再生カーボンブラック量をB(質量部)としたとき、B/Cが1.0超である、タイヤ。
  2. 前記第一層の厚みをt1(mm)、前記第二層の厚みをt2(mm)としたとき、t1とt2の和に対するt2の比(t2/(t1+t2))が0.20以上である、請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記第一層の厚みをt1(mm)、前記第二層の厚みをt2(mm)としたとき、Bと、t1とt2の和に対するt2の比(t2/(t1+t2))との積(B×t2/(t1+t2))が3.0以上である、請求項1または2記載のタイヤ。
  4. 前記第一層を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*1)に対する、前記第二層を構成するゴム組成物70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*2)の比(70℃E*2/70℃E*1)が0.70以下である、請求項1または2記載のタイヤ。
  5. 前記第一層を構成するゴム組成物の100%モジュラスが、前記第二層を構成するゴム組成物の100%モジュラスよりも大きい、請求項1または2記載のタイヤ。
  6. 前記第一層を構成するゴム組成物の70℃におけるtanδ(70℃tanδ1)に対する、前記第一層を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*1)の比(70℃E*1/70℃tanδ1)が、60以上100以下である、請求項1または2記載のタイヤ。
  7. 前記第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中の総スチレン量をS1(質量%)としたとき、t1とS1との積(t1×S1)が150以下である、請求項1または2記載のタイヤ。
  8. 前記第一層を構成するゴム組成物のゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量をI(質量%)としたとき、Cに対するIの比(I/C)が1.0以上である、請求項1または2記載のタイヤ。
  9. 前記第一層を構成するゴム組成物のショア硬度(Hs)が60超80未満であり、かつ、前記第二層を構成するゴム組成物のショア硬度(Hs)よりも大きい、請求項1または2記載のタイヤ。
  10. 前記再生カーボンブラックが、廃タイヤおよび/または廃タイヤ用チューブを焼成した再生カーボンブラックである、請求項1記載のタイヤ。
  11. 前記廃タイヤおよび/または廃タイヤ用チューブがジエン系ゴムを含む、請求項10記載のタイヤ。
  12. 前記タイヤが乗用車用タイヤである、請求項1記載のタイヤ。
  13. 前記トレッド部が、タイヤ周方向に連続して延びる二以上の周方向溝、前記二以上の周方向溝のうちタイヤ幅方向最外側に位置する最外周方向溝と接地端とによって仕切られた一対のショルダー陸部、および前記一対のショルダー陸部の間に位置するセンター陸部を有し、
    車両装着時においてタイヤ赤道から車両内側に位置するセンター陸部を内側センター陸部、タイヤ赤道から車両外側に位置するセンター陸部を外側センター陸部としたとき、前記内側センター陸部と前記外側センター陸部の面積が異なる、請求項1記載のタイヤ。
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