JP2021156331A - 減速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量化を図れる減速装置を提供することを目的の1つとする。【解決手段】ケーシング22と、ケーシング22の径方向内側に配置されるキャリヤ18と、ケーシング22とキャリヤ18の間に配置される主軸受24と、を備えた減速装置であって、ケーシング22は、薄肉部22sと、薄肉部22sよりも径方向の厚みが大きい肉厚部22fと、肉厚部22fを軸方向に貫通するボルト孔22hと、を有し、薄肉部22sは、主軸受24の作用線Lsと重ならない位置に設けられる。【選択図】図3

Description

本発明は、減速装置に関する。
入力された回転を減速する歯車装置が知られている。本出願人は、特許文献1により、内歯部材の内周に設けられた内歯歯車と、内歯歯車と噛み合いながら偏心回転する外歯歯車とを備えた歯車装置を開示した。この歯車装置では、内歯部材に内歯部材と支持部材とを固定する連結ボルト用の連通ボルト孔が複数設けられている。
特開2018−53995号公報
減速装置の軽量化のために、減速装置のケーシングを薄肉化することが考えられる。しかし、ケーシングを薄型化すると応力が過大になり、ケーシングの耐久性が低下する可能性がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、軽量化を図れる減速装置を提供することを目的の1つとする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の減速装置は、ケーシングと、ケーシングの径方向内側に配置されるキャリヤと、ケーシングとキャリヤの間に配置される主軸受と、を備えた減速装置であって、ケーシングは、薄肉部と、薄肉部よりも径方向の厚みが大きい肉厚部と、肉厚部を軸方向に貫通するボルト孔と、を有する。薄肉部は、主軸受の作用線と重ならない位置に設けられる。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、軽量化を図れる減速装置を提供できる。
実施形態に係る減速装置を示す側面断面図である。 図1の減速装置のA−A線断面図である。 図1の減速装置のケーシングの周辺を拡大した側面断面図である。 図1の減速装置のケーシングの抜きタップを説明する図である。 図1の減速装置のケーシングとボルトの配置を示す正面図である。
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
[実施形態]
以下、図面を参照して、本開示の実施形態に係る減速装置100の構成を説明する。図1は、本実施形態の減速装置100を概略的に示す側面断面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。減速装置100の用途に限定はないが、この例の減速装置100は例えば多関節ロボットの関節に使用できる。
減速装置100の全体構成を説明する。減速装置100は、主に、入力軸12と、外歯歯車14と、内歯歯車16と、キャリヤ18、20と、ケーシング22と、主軸受24、26と、偏心軸受30と、内ピン32と、入力軸軸受33、34とを主に備える。
以下、内歯歯車16の中心軸線Laに沿った方向を「軸方向」といい、その中心軸線Laを中心とする円の円周方向、半径方向をそれぞれ「周方向」、「径方向」とする。また、以下、便宜的に、軸方向の一方側(図中右側)を入力側といい、他方側(図中左側)を反入力側という。このような方向の表記は、減速装置100の使用姿勢を制限するものではなく、減速装置100は、任意の姿勢で使用されうる。
キャリヤ18、20は、外歯歯車14の反入力側に配置される第1キャリヤ18と、外歯歯車14の入力側に配置される第2キャリヤ20とを含む。主軸受24、26は、外歯歯車14の反入力側に配置される第1主軸受24と、外歯歯車14の入力側に配置される第2主軸受26とを含む。入力軸軸受33、34は、外歯歯車14の反入力側に配置される第1入力軸軸受33と、外歯歯車14の入力側に配置される第2入力軸軸受34とを含む。
本実施形態の減速装置100は、入力軸12が内歯歯車16の中心軸線Laと同軸線上に設けられるセンタークランクタイプである。減速装置100は、中央部に軸方向に貫通するホロー部Hを有する。ホロー部Hは、入力軸12に設けられる。
ケーシング22は、減速装置100の外殻を構成する。キャリヤ18、20は、ケーシング22の内側に配置され、ケーシング22と相対回転する。入力軸12は、中心にホロー部Hを有する中空円筒状を有する。例えば、入力軸12の入力側の端部にモータ軸がボルトなどの連結具により連結される。
入力軸12は、複数の偏心部12aを有し、外歯歯車14を揺動させる偏心体として機能する。この例では、入力軸12は、位相が180°ずれた2つの偏心部12aを有する。入力軸12の両端部は、入力軸軸受33、34を介してキャリヤ18、20に支持される。なお、偏心部12aの数は、2つに限られず、1つまたは3つ以上であってもよい。
入力軸軸受33、34の構成に制限はないが、この例の第1入力軸軸受33の転動体はボール(球体)であり、第2入力軸軸受34の転動体はころ(円筒体)である。
外歯歯車14は、偏心軸受30を介して対応する偏心部12aに回転自在に支持される。外歯歯車14には、中心孔14cと、複数の内ピン孔14hとが形成されている。中心孔14cは、外歯歯車14の中心に設けられる貫通孔である。複数の内ピン孔14hは、外歯歯車14の中心からオフセットされた位置に設けられる貫通孔である。図2の例では、10個の内ピン孔14hが周方向に36°間隔で配置されている。内ピン孔14hには内ピン32が挿通される。外歯歯車14の外周に形成された歯が、内歯歯車16の歯と噛み合いながら回転することで、外歯歯車14が揺動する。
内歯歯車16は、外歯歯車14と噛み合う。本実施形態の内歯歯車16は、ケーシング22と一体化された内歯歯車本体と、この内歯歯車本体に回転自在に支持される外ピン16a(ピン部材)とで構成されている。外ピン16aは、内歯歯車16の内歯を構成する。内歯歯車16の内歯数(外ピン16aの数)は、外歯歯車14の外歯数よりも僅かだけ(この例では1だけ)多い。
第1キャリヤ18および第2キャリヤ20は、主軸受24、主軸受26を介してケーシング22に回転自在に支持されている。第1キャリヤ18は、第1入力軸軸受33を介して入力軸12を支持する。第2キャリヤ20は、第2入力軸軸受34を介して入力軸12を支持する。
第1キャリヤ18と第2キャリヤ20とは、内ピン32を介して連結される。内ピン32は、外歯歯車14の軸芯から径方向にオフセットした位置において、外歯歯車14の内ピン孔14hを軸方向に貫通する。
キャリヤ18、20とケーシング22の一方は、被駆動装置に回転動力を出力する出力部材として機能し、他方は減速装置100を支持するための外部部材に固定される被固定部材として機能する。本実施形態において、出力部材は第1キャリヤ18および第2キャリヤ20であり、被固定部材はケーシング22である。
この例では、内ピン32は、周方向に36°間隔で10個配置される。図1では、1つの内ピン32を示す。内ピン32は、反入力側が第1キャリヤ18に固定され、入力側が第2キャリヤ20に固定される。内ピン32は、第1キャリヤ18と第2キャリヤ20とを連結する。図2の例では、内ピン32は、第1キャリヤ18と一体的に形成されており、入力側が第2キャリヤ20にボルトB2によって固定されている。内ピン32の外周にはスリーブ32sが設けられる。内ピン32は、内ピン孔14hに隙間を有する状態で挿通される。内ピン32は、スリーブ32sを介して内ピン孔14hの一部と当接している。内ピン32は、外歯歯車14の自転を拘束しその揺動のみを許容している。
主軸受24、26は、第1キャリヤ18とケーシング22の間および第2キャリヤ20とケーシング22の間に配置される。主軸受24、26の構成に制限はないが、この例の主軸受24、26は、転動体24e、26eが球体であるアンギュラ玉軸受けである。主軸受24、26の外輪は、ケーシング22に支持される。第1主軸受24の内輪は、キャリヤ18と一体的に形成されている。第2主軸受26の内輪は、キャリヤ20と一体的に形成されている。
ケーシング22は、キャリヤ18、20を環囲する中空円筒状の部材である。ケーシング22は、薄肉部22sと、薄肉部22sより外径が大きく径方向の厚みが大きい肉厚部22fとを有する。図2に示すように、肉厚部22fには軸方向に貫通するボルト孔22hおよび抜きタップ孔22pが設けられている。肉厚部22fは、外部の相手側部材50に連結される。
図1に示すように、ケーシング22と、第1キャリヤ18との間には、主軸受24からの潤滑剤をシールするオイルシール28が設けられている。
以下、本実施形態の特徴構成を説明する。
本発明者は、減速装置について研究して以下の知見を得た。減速装置は、産業ロボットや工作機械など多様な用途に使用される。減速装置の用途を広げるために、減速装置は軽量化されることが望ましい。減速装置を軽量化するために、ケーシングを減肉して軽量化することが考えられる。しかし、ケーシングの内周側の大きさを変更せずに、外周側を減肉すると、ボルト孔の外周側の肉厚が薄くなり所望の強度を得られない可能性がある。この肉厚を厚くするために、ボルト径およびボルト孔を小さくことも考えられるが、この場合、ボルト長Lと呼び径dと比(L/d比)が大きくなる。L/d比が過大なボルトは、非標準品となり、調達面で不利である。
これらから、本発明者は、減速装置にモーメント荷重が加わった場合のケーシングの応力分布に着目し、高応力領域を避けて低応力領域を減肉することにより、軽量化と強度の両立が可能なことを見出した。以下、具体的に説明する。
図3を参照する。図3は、ケーシングの周辺の側面断面図である。この図に示すように、減速装置100は、ケーシング22と、ケーシング22の径方向内側に配置されるキャリヤ18、20と、ケーシング22とキャリヤ18、20の間に配置される主軸受24、26と、を備える。例えば、本実施形態の減速装置100においては、第1キャリヤ18に被駆動部材が連結されることから、キャリヤ18とケーシング22との間にモーメント荷重が加わり、その荷重は主に主軸受24によって支持される。この場合、ケーシング22には、主軸受24の作用線Lsと重なる領域に大きな荷重が加わるため、作用線Lsと重なる領域が高応力領域となり、作用線Lsと重ならない領域が低応力領域となる。
上述したように主軸受24、26は互いに背面合わせで組み込まれたアンギュラ玉軸受けである。主軸受24の作用点Psは、中心軸線La上であって主軸受24の反入力側に離れて位置する。主軸受26の作用点Psは、中心軸線La上であって主軸受26の入力側に離れて位置する。したがって、主軸受24の作用線Lsは、入力側に向かうにつれて中心軸線Laから遠ざかるように傾斜している。また、主軸受26の作用線Lsは、反入力側に向かうにつれて中心軸線Laから遠ざかるように傾斜している。
ケーシング22は、肉厚部22fと、肉厚部22fより減肉された薄肉の薄肉部22sとが設けられる。肉厚部22fは、相対的に大きな外径を有し、薄肉部22sよりも径方向厚みが大きい。薄肉部22sは、肉厚部22fより小さな外径を有し、肉厚部22fよりも径方向厚みが小さい。図3に示すように、肉厚部22fは、肉厚部22fを軸方向に貫通するボルト孔22hを有し、薄肉部22sは、主軸受24の作用線Lsと重ならない位置に設けられる。つまり、薄肉部22sは、ケーシング22の高応力領域を避けてケーシング22の低応力領域に設けられている。この場合、薄肉部22sを有するためケーシング22は軽量であり、薄肉部22sは高応力領域を避けて配置されているため、強度の低下を抑制できる。
薄肉部22sはケーシング22の軸方向一端部に設けられ、肉厚部22fはケーシング22の薄肉部22sに隣接する位置から軸方向他端にまで渡って設けられてもよい。図3の例では、薄肉部22sはケーシング22の反入力側の端部に設けられ、肉厚部22fは薄肉部22sの入力側に隣接する位置からケーシング22の入力側の端部に渡って連続的に設けられている。この場合、軸方向の一方側から薄肉部22sを加工できるので、軸方向の中間部分に薄肉部を設ける場合と比べて、加工が容易になり、加工精度が向上する。より具体的には、肉厚部22fは、主軸受24の一部、内歯歯車16の軸方向全長および主軸受26の一部(外輪の軸方向全長)の径方向外側を覆うように、軸方向に連続して設けられており、その軸方向全長を貫通してボルト孔22hを有する。つまり、肉厚部22fは、一対の主軸受24、26の一方の主軸受24の径方向外側から他方の主軸受26の径方向外側までの領域に渡って設けられている。なお、肉厚部22fは、外径や径方向厚みが軸方向に一定である必要はなく、外径や径方向厚みが異なる部分が含まれてもよい。
肉厚部22fに設けられるボルト孔の用途に制限はないが、本実施形態のボルト孔22hは、減速装置100を外部の相手側部材50に連結するためのボルトB1を通す孔である。図3の例では、ボルトB1は、ボルト孔22hを貫通して相手側部材50に形成されたタップ孔50hに螺合される。ボルト孔22hの数に制限はないが、図2の例では、周方向に30°間隔で12個のボルト孔22hが設けられている。
薄肉部22sの外周をボルトB1の頭部B1hと干渉しない程度の小さな外径にすると、薄肉部22sの径方向厚みが小さくなり過ぎ強度が不足する場合がある。このため、本実施形態では、薄肉部22sは、ボルトB1の頭部B1hに対応する位置に当該頭部B1hの一部を収容する第1凹部22mを有する(図3および図5参照)。この場合、薄肉部22sの強度の低下を抑制できる。また、肉厚部22fの端面にボルトB1の座を形成でき、使用するボルトB1を短くして調達性を向上できる。第1凹部22mは、薄肉部22sをざぐり加工することにより形成される。第1凹部22mは、薄肉部22sの外周面から径方向内側に凹む凹形状を有し、薄肉部22sの軸方向に沿って形成される。
薄肉部22sは、上述のモーメント荷重の影響が小さい位置に設けられることが望ましい。このため、本実施形態では、図3に示すように、薄肉部22sは、作用線Lsに平行で主軸受24の転動体24eに外接する2本の直線Lp、Lqに挟まれる範囲と重ならない位置に設けられる。直線Lpは、転動体24e反入力側に外接し、直線Lqは、転動体24e入力側に外接している。この場合、薄肉部22sが作用線Lsから離れるのでモーメント荷重の影響を小さくできる。
本実施形態では、薄肉部22sの径方向内側にオイルシール28が配置されている。この場合、肉厚部22fの軸方向範囲を小さくし、薄肉部22sの軸方向範囲を大きくできるので、ケーシング22の軽量化に有利である。なお、オイルシール28は、肉厚部22fの径方向内側に配置されてもよい。
本実施形態では、薄肉部22sは、径方向から見て主軸受24の一部と重なるように構成されている。この場合、薄肉部22sの軸方向範囲を主軸受24の軸方向範囲と重なる領域まで大きくできるので、ケーシング22の軽量化に有利である。なお、薄肉部22sは、径方向から見て主軸受24と重複しないように構成されてもよい。
図2、図4を参照して、抜きタップ孔22pを説明する。図4は、抜きタップ孔22pを説明する断面図である。メンテナンスや交換などのために、減速装置100を相手側部材50から分離する際、減速装置100と相手側部材50が密着して分離し難い場合がある。このため、本実施形態では、図2、図4に示すように、肉厚部22fは、ボルト孔22hとボルト孔22hの間に抜きタップ孔22pを有する。抜きタップ孔22pの数に制限はないが、図2の例では、周方向に180°間隔で2つの抜きタップ孔22pが設けられている。抜きタップ孔22pは、肉厚部22fを軸方向に貫通している。
減速装置100を相手側部材50から取り外す方法を説明する。
(1)図4(a)に示すように、減速装置100が相手側部材50に連結された状態では、分離ボルトBsは装着されていない。
(2)図4(b)に示すように、減速装置100を取り外すとき、先ず連結用のボルトB1を全て外した状態で、分離ボルトBsを各抜きタップ孔22pにねじ込む。
(3)ねじ込まれた分離ボルトBsの先端部Bstが相手側部材50に当接したら、その状態で分離ボルトBsをさらにねじ込む。
(4)図4(c)に示すように、ねじ込まれた分離ボルトBsの先端部Bstが抜きタップ孔22pから突き出ることにより、減速装置100が相手側部材50から浮いて隙間50sができる。
(5)減速装置100が浮くことにより、密着状態は解消され、減速装置100は容易に分離可能になる。減速装置100が分離されたら、分離ボルトBsをタップ孔22pから取り外してもよい。
薄肉部22sの外周を分離ボルトBsの頭部Bshと干渉しない程度の小さな外径にすると、薄肉部22sの強度が不足する場合がある。このため、本実施形態では、図4に示すように、薄肉部22sは、抜きタップ孔22pにねじ込まれる分離ボルトBsの頭部Bshに対応する位置に当該頭部Bshの一部を収容する第2凹部22nを有する。この場合、薄肉部22sの強度の低下を抑制できる。また、肉厚部22fの端面に分離ボルトBsの座を形成でき、使用する分離ボルトBsを短くして調達性を向上できる。第2凹部22nは、薄肉部22sをざぐり加工することにより形成される。第2凹部22nは、薄肉部22sの外周面から径方向内側に凹む凹形状を有し、薄肉部22sの軸方向に沿って形成される。
図5を参照して、ボルトB1の配置を説明する。図5は、ケーシング22とボルトB1の配置を示す正面図である。減速装置の外周に突出部を有する場合、ユーザは突出部を含む大きさの取付スペースを確保する必要があり、使い勝手が悪い。このため、本実施形態では、肉厚部22fの外径Df(外周直径)は、ボルトB1の頭部B1hに外接する外接円径Dbよりも大きい。この場合、ボルトB1の頭部B1hが肉厚部22fの外周に突出しないので、ユーザは肉厚部22fの外径に対応した取付スペースを確保すればよい。また、肉厚部22fの外径Dfが外接円径Dbよりも小さい場合と比べて、肉厚部22fの強度低下を抑制できる。
このように構成された減速装置100の動作を説明する。モータから入力軸12に回転が伝達されると、入力軸12の偏心部12aが入力軸12を通る回転中心線周りに回転し、偏心軸受30を介して外歯歯車14が揺動する。外歯歯車14が揺動すると、外歯歯車14と内歯歯車16の噛合位置が順次ずれる。この結果、入力軸12が一回転する毎に、外歯歯車14と内歯歯車16との歯数差に相当する分、外歯歯車14および内歯歯車16の一方の自転が発生する。本実施形態においては、外歯歯車14が自転し、内ピン32を介して第1キャリヤ18および第2キャリヤ20から減速回転が出力される。
このように構成された減速装置100の特徴を説明する。減速装置100は、薄肉部22sを有するので減速装置100の軽量化を図れる。薄肉部22sが主軸受24の作用線Lsと重ならない位置に設けられているため、モーメント荷重に対する強度を確保できる。肉厚部22fにボルト孔22hが設けられているので、ボルトB1が短くなり、調達性が向上する。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
[変形例]
実施形態の説明では、減速装置100がセンタークランクタイプの偏心揺動型減速装置である例を示したが、本発明はこれに限定されない。減速装置は、ケーシングとキャリヤとの間に主軸受が配置されるものであればよく、減速機構の種類は特に限定されない。例えば、中心からオフセットした位置に複数のクランク軸が配置されるいわゆる振り分けタイプの偏心揺動型減速装置、撓み噛み合い式減速装置、単純遊星減速装置などであってもよいし、歯車を有さない減速機構、例えばトラクションドライブでもよい。
実施形態の説明では、ケーシング22が一体の部材で構成される例を示したが、ケーシングは、複数の部材で構成されてもよい。
実施形態の説明では、肉厚部22fのボルト孔22hが、減速装置100を相手側部材50に連結するためのボルトB1を通す孔である例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、肉厚部のボルト孔は、複数の部材で構成されたケーシングを連結するためのボルトを通す孔であってもよいし、ケーシングにカバーを固定するためのボルトを通す孔であってもよい。
実施形態の説明では、外歯歯車14の数が2である例を示したが、外歯歯車の数は、1または3以上であってもよい。
実施形態の説明では、キャリヤ18、20を接続するためのピン部材として、外歯歯車14の駆動力の伝達に寄与する内ピン32を備える例を示した。キャリヤ18、20を接続するためのピン部材として内ピン32とは別に駆動力の伝達に寄与しないキャリヤピンを備えてもよい。
実施形態の説明では、内ピン32が第1キャリヤ18と一体的に形成される例を示したが、内ピン32は、第1キャリヤ18と別体に形成されてボルト等の固定具によって連結されてもよい。
実施形態の説明では、内ピン32の数および内ピン孔14hの数が10である例を示したが、これらの数は9以下または11以上であってもよい。また、内ピン32の数は、内ピン孔14hの数より少なくてもよい。
実施形態の説明では、主軸受24、26の内輪が、キャリヤ18、20と一体的に形成される例を示したが、主軸受の内輪は、キャリヤとは別体であってもよい。
実施形態の説明では、主軸受24、26の転動体24e、26eが球体である例を示したが、主軸受の転動体は、テーパころや円筒ころ等球体とは別の形状を有してもよい。また、主軸受は、一対の軸受で構成されるものに限定されず、例えばクロスローラ軸受でもよい。
上述の各変形例は実施形態と同様の作用・効果を奏する。
上述した実施形態の構成要素と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
B1 ボルト、 B1h 頭部、 12 入力軸、 12a 偏心部、 14 外歯歯車、 16 内歯歯車、 18 第1キャリヤ、 20 第2キャリヤ、 B2 ボルト、 22 ケーシング、 22f 肉厚部、 22h ボルト孔、 22m 第1凹部、 22n 第2凹部、 22p タップ孔、 22s 薄肉部、 24 第1主軸受、 24e 転動体、 26 第2主軸受、 28 オイルシール、 50 相手側部材、 50h タップ孔、 100 減速装置。

Claims (9)

  1. ケーシングと、前記ケーシングの径方向内側に配置されるキャリヤと、前記ケーシングと前記キャリヤの間に配置される主軸受と、を備えた減速装置であって、
    前記ケーシングは、薄肉部と、前記薄肉部よりも径方向の厚みが大きい肉厚部と、前記肉厚部を軸方向に貫通するボルト孔と、を有し、
    前記薄肉部は、前記主軸受の作用線と重ならない位置に設けられることを特徴とする減速装置。
  2. 前記薄肉部は、前記ボルト孔に通されるボルトの頭部に対応する位置に当該頭部の一部を収容する凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の減速装置。
  3. 前記薄肉部は、前記作用線に平行で転動体に外接する2本の直線に挟まれる範囲と重ならない位置に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の減速装置。
  4. 前記薄肉部の径方向内側にオイルシールが配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の減速装置。
  5. 前記薄肉部は、径方向から見て、前記主軸受の一部と重なることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の減速装置。
  6. 前記肉厚部は、前記ボルト孔と前記ボルト孔の間に抜きタップ孔を有し、前記薄肉部は、前記抜きタップ孔にねじ込まれるボルトの頭部に対応する位置に当該頭部の一部を収容する第2凹部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の減速装置。
  7. 前記肉厚部の外径は、前記ボルト孔に通されるボルトの頭部の外接円径よりも大きいことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の減速装置。
  8. 前記薄肉部は前記ケーシングの軸方向一端部に設けられ、前記肉厚部は前記ケーシングの前記薄肉部に隣接する位置から軸方向他端にまで渡って設けられることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の減速装置。
  9. 前記主軸受として、一対の軸受を有し、
    前記肉厚部は、一方の主軸受の径方向外側から他方の主軸受の径方向外側までの領域に渡って設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の減速装置。
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