JP5961534B2 - 揺動内接噛合型の遊星歯車装置及びその製造方法 - Google Patents

揺動内接噛合型の遊星歯車装置及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、揺動内接噛合型の遊星歯車装置及びその製造方法に関する。
特許文献1に、風力発電設備に組み込まれる揺動内接噛合型の遊星歯車装置が開示されている。この遊星歯車装置は、駆動源であるモータと連結され、風車ブレードのピッチ角を調整するための減速装置として使用されるもので、遊星歯車と、該遊星歯車が内接噛合する内歯歯車と、を備えている。
遊星歯車装置は、内歯歯車の軸心からオフセットされた位置に複数の偏心体軸を備え、遊星歯車は、各偏心体軸にそれぞれ備えられた偏心体によって揺動され、揺動しながら前記内歯歯車と噛合している。各偏心体軸には、該偏心体軸を駆動するために偏心体軸歯車が設けられている。各偏心体軸歯車は、1個の入力ピニオンと同時に噛合しており、入力ピニオンとともにケーシングの内部に設けられて、潤滑されている。
遊星歯車の軸方向両側には、ケーシングに支持された一対のフランジ部材が配置されており、偏心体軸を回転自在に支持している。フランジ部材は、外歯歯車の自転によって生じる偏心体軸の(内歯歯車の軸心周りの)公転によって回転する。一対のフランジ体のうちの一方が出力軸と一体化されている。
特許文献1の技術では、出力軸の先端には出力ピニオンが設けられており、該出力ピニオンと噛合している(ブレード側の)内歯歯車を回転させることによって、風車ブレードのピッチ角を変更している。
特開2011−1941号公報(図1)
上述したような構成の揺動内接噛合型の遊星歯車装置にあっては、偏心体軸のピッチ円径(内歯歯車の軸心から偏心体軸の軸心までの距離)をできるだけ大きく確保したいという要請がある。また、例えば、入力ピニオンと偏心体軸歯車の減速比をできるだけ大きく確保するために、ときに、偏心体軸歯車の外径を大きくしたいという要請が生じることもある。
しかしながら、偏心体軸のピッチ円径を大きく確保したり、あるいは、偏心体軸歯車の外径を大きく確保しようとしたりすると、偏心体軸に設けられる偏心体軸歯車(の外周)がケーシング(の内周)と干渉するため、ケーシングの大きさを大きくする必要が生じ、装置が大型化するという問題があった。
本発明は、この問題を解消するためになされたものであって、ケーシングの大きさを大きくすることなく、偏心体軸のピッチ円径をより大きく設計したり、あるいは、偏心体軸歯車の外径をより大きく設計したりすることのできる揺動内接噛合型の遊星歯車装置及びその製造方法を提供することをその課題としている。
本発明は、ケーシングと、偏心体を備えた複数の偏心体軸と、前記偏心体によって揺動される遊星歯車と、該遊星歯車が内接噛合する内歯歯車と、前記偏心体軸に設けられ前記ケーシングの内部に配置される偏心体軸歯車と、前記遊星歯車と前記偏心体軸歯車との間に配置されるとともに前記ケーシングに支持されたフランジ部材と、を備えた揺動内接噛合型の遊星歯車装置において、前記ケーシングは、前記フランジ部材と径方向で対向するフランジ部材対向部と、前記偏心体軸歯車と径方向で対向する偏心体軸歯車対向部と、を有し、前記偏心体軸歯車対向部の内周面は、全周に亘って前記偏心体軸歯車の最外径よりも大きい内径を有し、前記偏心体軸歯車の最外径が、前記フランジ部材対向部の内周面の最小径よりも大きく、かつ前記フランジ部材対向部、前記偏心体軸歯車の最外径よりも内径の大きい凹部を備えた構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
本発明は、又、上記に記載の揺動内接噛合型の遊星歯車装置の製造方法であって、前記ケーシングの凹部と前記偏心体軸歯車の円周方向の位相を合せた状態で、前記凹部を前記偏心体軸歯車の径方向外側を通過させて、前記ケーシングと前記フランジ部材とを組み付けることにより、同じく上記課題を解決したものである。
本発明では、偏心体軸歯車の最外径が、ケーシングのフランジ部材に径方向で対向する内周面の最小径よりも大きい。偏心体軸歯車の最外径は、ケーシングの肉厚の一部に食い込む大きさとされている。
しかしながら、ケーシングには、該フランジ部材に径方向で対向する内周面に、偏心体軸歯車の最外径よりも内径の大きい凹部が形成されている。そのため、たとえ偏心体軸歯車の最外径が、ケーシングのフランジ部材に対向する内周面の最小径よりも大きくても、ケーシングの内周面と干渉することなく、偏心体軸歯車が設けられた偏心体軸をケーシング内の所定の位置に組み込むことができる。
本発明では、上記作用を、a)偏心体軸のピッチ円径をより大きく確保する; b)偏心体軸歯車の外径をより大きく確保する; c)ケーシングをより小型化する; という3つの効果のいずれに適用してもよく、これらの効果の組み合わせに適用してもよい。
本発明によれば、ケーシングの大きさを大きくすることなく、偏心体軸のピッチ円径をより大きく設定したり、あるいは、偏心体軸歯車の外径をより大きく設計したりすることのできる揺動内接噛合型の遊星歯車装置が得られる。
本発明の実施形態の一例に係る揺動内接噛合型の遊星歯車装置の断面図 図1の遊星歯車装置が風力発電設備のピッチ駆動装置の減速装置として組み付けられている状態を模式的に示した斜視図 図1の要部拡大断面図 図1の矢視IV−IV線に沿う断面図 図1の矢視V−V線に沿う断面図 図1のキャリヤピン近傍の拡大断面図
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例に係る揺動内接噛合型の遊星歯車装置の断面図、図2は、図1の遊星歯車装置が風力発電設備のピッチ駆動装置の減速装置として組み付けられている状態を模式的に示した斜視図である。
図2を参照して、本実施形態は、該遊星歯車装置12を、風力発電設備10(全体は図示略)の風車ブレード14の向き(ピッチ角)を調整するピッチ駆動装置16に適用している。
このピッチ駆動装置16は、モータ18、該モータ18の回転を減速する遊星歯車装置12、および風車ブレード14側に設けられ該遊星歯車装置12の出力軸20(図2では不図示)に設けられた出力ピニオン22と噛合する歯車(24:実際の位置とは若干異なる)とで主に構成されている。
モータ18の回転によって遊星歯車装置12の出力軸20および出力ピニオン22が回転し、これにより、該出力ピニオン22と噛合している歯車24が回転し、風車ブレード14のピッチ角が変更される。風車ブレード14のピッチ角を適正な角度とすることにより、より効率的に風圧を受けることができる。なお、符号21はナセル、23はナセル21を支柱25上で水平回転させるヨー駆動装置である。
以下、図1を参照して遊星歯車装置12の構成を詳細に説明する。なお、図3は、図1の要部拡大断面図、図4、図5は、それぞれ図1の矢視IV−IV線、V−V線に沿う断面図である。
この遊星歯車装置12は、いわゆる揺動内接噛合型と称される遊星歯車装置であり、外歯歯車30(遊星歯車)と、該外歯歯車30が内接噛合する内歯歯車32とを備える。
遊星歯車装置12の入力軸34は、モータ18側の端部に図示せぬモータ軸が挿入される中空部34Aを有している。入力軸34の反モータ側の端部には、入力ピニオン34Bが直切り形成されている。入力ピニオン34Bは、複数(この例では3個)の振り分け歯車36(偏心体軸歯車)と同時に噛合している。各振り分け歯車36は、スプライン38を介して偏心体軸40とそれぞれ連結されている。
偏心体軸40は、複数(この例では3本)、周方向に等間隔(この例では3本なので120度の間隔)に設けられている。なお、偏心体軸40の本数は、3本に限定されず、間隔も必ずしも等間隔でなくてもよい。各偏心体軸40は、内歯歯車32の軸心O2からオフセットされた位置(ピッチ円r1)において、一対の円錐ころ軸受42を介して後述する第1、第2フランジ部材44、46に両持ち支持されている。偏心体軸40には、該偏心体軸40の軸心O1に対して偏心した外周を有する偏心体48が一体的に形成されている。この例では、偏心体48は各偏心体軸40ごとに2個形成されており、該2個の偏心体48の偏心位相は180度ずれている。偏心体48の外周にはころ軸受49が配置され、該ころ軸受49を介して外歯歯車30が揺動可能に組み込まれている。
外歯歯車30は、揺動しながら内歯歯車32に内接噛合している。内歯歯車32は、この実施形態では、ケーシング50(のケーシング本体52)と一体化された内歯歯車本体32Aと、該内歯歯車本体32Aの支持溝32A1に回転自在に支持された外ピン32Bとで主に構成されている。外ピン32Bは、内歯歯車32の内歯を構成している。内歯歯車32の内歯の数(外ピン32Bの本数)は、外歯歯車30の外歯の数よりもわずかだけ(この例では1だけ)多い(図4参照)。
外歯歯車30の軸方向両側には、一対のフランジ部材(第1フランジ部材44および第2フランジ部材46)が配置されている。第1、第2フランジ部材44、46は、外歯歯車30のキャリヤピン孔30Aを(非接触で)貫通するキャリヤピン60によってボルト72、74を介して連結されている。キャリヤピン60は、この実施形態では、周方向に等間隔(120度の間隔)に3本配置されている。第1、第2フランジ部材44、46のうち第1フランジ部材44が、出力軸20と(当初から一部材として)一体化されている。このため、出力軸20、第1フランジ部材44、キャリヤピン60、および第2フランジ部材46は、相互に連結されて巨大な出力ブロック62を構成している。
出力軸20の先端には、前記出力ピニオン22が出力スプライン64および出力ボルト66を介して固定されている。前述したように、出力ピニオン22は、前記風車ブレード(相手部材)14側に固定された歯車24と噛合している(図2参照)。
ここで、主に図6を参照して、第1、第2フランジ部材44、46およびキャリヤピン(柱部材)60に関係する構成について詳細に説明する。
キャリヤピン60は、この実施形態では、周方向に等間隔(120度の間隔)に3本配置されている。各キャリヤピン60のピッチ円径(直径:第1、第2フランジ部材44、46の中心からキャリヤピン60の軸心までの距離の2倍)は、全てd14であり、等しい。各キャリヤピン60は、第1フランジ部材44とも第2フランジ部材46とも別の部材で構成されている。具体的には、キャリヤピン60は、第1、第2フランジ部材44、46より強度が高く、耐低温脆性に優れる鋼系の素材で形成されている。
キャリヤピン60は、軸方向一端側(負荷側)に第1フランジ部材44に嵌入される外径d11の第1嵌入部60A、他端側(反負荷側)に第2フランジ部材46に嵌入される外径d12の第2嵌入部60B、中央部に該第1、第2嵌入部60A、60Bの外径d11、d12よりも大きな外径d13を有する中央大径部60Cを備える。なお、この実施形態では、第1、第2嵌入部60A、60Bの外径d11、d12は同一であるが、異なっていてもよい。また、中央大径部60Cの外径d13も、第1、第2嵌入部60A、60Bの外径d11、d12と同一とされていてもよい。
第1フランジ部材44側の構成から説明すると、第1フランジ部材44には、キャリヤピン60の軸方向一端側の第1嵌入部60Aが嵌入されるキャリヤピン孔44Aが貫通形成されている。すなわち、この実施形態では、キャリヤピン60の軸方向一端側は、第1嵌入部60Aを介して第1フランジ部材44と連結される。具体的には、キャリヤピン60は、該キャリヤピン60の第1段部60Dが第1フランジ部材44の軸方向側面に当接するまで嵌入され、この状態で台座70付きのボルト72が締め込まれる。
(キャリヤピン60の第1嵌入部60Aが嵌入される)第1フランジ部材44は、内歯歯車32の内歯(この実施形態では外ピン32B)の内接円径d17よりも大きい外径d15を有する第1大径部44Bを備えている。この結果、(第1フランジ部材44の)キャリヤピン60の第1嵌入部60Aの径方向外側部分44P(以下、単に第1嵌入部外側部44Pと称す)には、所定の肉厚(寸法)L11が確保されている。
この大小関係に関してより具体的に説明すると、キャリヤピン60は外歯歯車30を貫通している。このため、外歯歯車30を貫通しているキャリヤピン60の中央大径部60Cでの外接円径d18は、内歯歯車32の外ピン32Bの内接円径d17より小さい(d18<d17)。したがって、該第1フランジ部材44での、第1嵌入部外側部44Pには、キャリヤピン60の中央大径部60Cでの外接円径d18に対して、(d17−d18)に相当する肉厚の最低余裕L13が確保されることになる。
そして、この実施形態では、さらに、第1嵌入部60Aの外径(太さ)d11を中央大径部60Cの外径(太さ)d13より小さくし(d11<d13)、かつ、第1大径部44Bの外径d15を、内歯歯車32の外ピン32Bの内接円径d17よりも大きくしていているため(d15>d17)、結果として、第1嵌入部外側部44Pには、最低余裕L13より、(d13−d11)/2+(d15−d17)/2に相当する分だけ、さらに大きな前記肉厚L11が確保されているものである。
なお、この実施形態では、第1フランジ部材44には、第1大径部44Bよりも軸方向内歯歯車32側に、該内歯歯車32と径方向に対向する第1対向部44C(外径d19)が備えられている。第1対向部44Cの外径d19は、該内歯歯車32の内歯の内接円径d17よりも(僅かに)小さい。この第1対向部44Cは、外ピン32Bの支持溝32A1からの脱落を防止する外ピン支持部として機能している。第1大径部44B(外径d15)と第1対向部44C(外径d19)との間に生じている(d15−d19の)段部44Dは、外ピン32Bの軸方向負荷側の端部と対峙している。したがって、当然のことながら、第1大径部44Bとキャリヤピン60は、径方向から見て重なっている(この実施形態では第1大径部44Bは、径方向から見てキャリヤピン60と100%重なっている)。また、第1フランジ部材44の軸方向内側の側面は、外歯歯車30の位置決めにも寄与している。
一方、第2フランジ部材46には、キャリヤピン60の他端側が嵌入される有底のキャリヤピン穴46Aが形成されている。すなわち、この実施形態ではキャリヤピン60の一端側のみならず、他側端も第2嵌入部60Bを介して第2フランジ部材46と連結されている。具体的には、キャリヤピン60の他端側は、その端面60Fが第2フランジ部材46のキャリヤピン穴46Aの底部46A1に当接するまで嵌入され、この状態で、ワッシャ74付きのボルト76が締め込まれる。
(キャリヤピン60の第2嵌入部60Bが嵌入される)第2フランジ部材46も、内歯歯車32の外ピン32B(内歯)の内接円径d17よりも大きい外径d16を有する第2大径部46Bを備えており、(第2フランジ部材46の)キャリヤピン60の第2嵌入部60Bの径方向外側部分46P(以下、単に第2嵌入部外側部46Pと称す)に、第1フランジ部材44側と同様に大きな厚み(寸法)L12が確保されている。
すなわち、結果としてこの実施形態では、キャリヤピン60の両端が第1、第2フランジ部材44、46にそれぞれ嵌入され、第1、第2フランジ部材44、46の双方が、第1、第2大径部44B、46Bを備えていることになる。
なお、第1、第2大径部44B、46Bの外径d15、d16は、この実施形態では同一であり(d15=d16)、第1、第2嵌入部60A、60Bの外径d11、d12も同一であるため(d11=d12)、第1、第2嵌入部外側部44P、46Pの厚みL11、L12も同一となっている(L11=L12)。しかし、これらは第1フランジ部材44側と第2フランジ部材46側とで互いに異なっていてもよい。
また、第2フランジ部材46側においても、第2大径部46Bよりも軸方向において内歯歯車32側に、該内歯歯車32と径方向に対向する第2対向部46Cが備えられている。第2対向部46Cの外径d20は、該内歯歯車32の外ピン32Bの内接円径d17よりも(僅かに)小さい。この第2対向部46Cも、(第1対向部44Cと同様に)外ピン32Bの支持溝32A1からの脱落を防止する外ピン支持部として機能している。
第2大径部46B(外径d16)と第2対向部46C(外径d20)との間に生じている(d16−d20の)段部46Dは、前記段部44Dと同様に、外ピン32Bの軸方向反負荷側の軸方向端部と対峙している。また、第2フランジ部材46の側面は、外歯歯車30の位置決めにも寄与している。
次に、遊星歯車装置12のケーシング50に関係する構成について説明する。遊星歯車装置12のケーシング50は、(モータカバー兼用の)継カバー51、(内歯歯車32の内歯歯車本体32Aと兼用の)ケーシング本体52、および負荷側カバー53とで主に形成され、それぞれボルト55、56によって連結されている。
ケーシング50(のケーシング本体52)の第1大径部44Bに対向する部分52A(以下、単に第1大径部対向部52Aと称す)の内径はD11である。第1大径部対向部52Aと軸方向において出力ピニオン22側に隣接する隣接部52B(以下、単にピニオン側隣接部52Bと称す)の内径は、D11より小さいD13である。すなわち、ケーシング本体52の第1大径部対向部52Aの内径D11は、ピニオン側隣接部52Bの内径D13より大きい(D11>D13)。
この第1大径部対向部52Aの内径D11の加工は機械加工によって行われる。第1大径部対向部52Aの内径D11が、ピニオン側隣接部52Bの内径D13より大きく、かつ第1大径部対向部52Aの内径D11が機械加工によって精度よく加工されることにより、加工誤差があっても干渉しない範囲で、第1大径部44Bの外径d15として、できるだけ第1大径部対向部52Aの内径D11に近い大きな寸法(d15≒D11)を確保している。また、その一方で、(D11>D13であるため)ケーシング本体52は、第1大径部対向部52Aより、ピニオン側隣接部52Bの方が厚くなっていて強度が高い。そこで、遊星歯車装置12全体をロータヘッド側の部材に固定するためのフランジ部52Fは、この肉厚とされたピニオン側隣接部52Bの近傍の外周に設けられている。
なお、第1大径部対向部52Aの内径D11は、内歯歯車32の内歯歯車本体32Aの支持溝32A1以外の部分の内径D18と同一である。また、第1フランジ部材44の第1大径部44Bの外径d15は、ピニオン側隣接部52Bの内径D13よりも大きい(d15>D13)。しかし、第1大径部44Bの負荷側の端部が、傾斜面44Kで構成されているため、第1フランジ部材44は、第1大径部対向部52Aとピニオン側隣接部52Bとの間の段差52Dを越えて軸方向負荷側に拡大された大きな厚みL19を確保している。
ところで、本実施形態では、(第1フランジ部材44より小径とされた)出力軸20は、第1大径部44Bよりも軸方向出力ピニオン22側で自動調心ころ軸受65によって支持されている。しかし、第1大径部44Bと内歯歯車32(の外ピン32B)との間の軸方向範囲における該第1フランジ部材44の第1大径部44Bとケーシング50(のケーシング本体52)との間には、軸受は配置されていない。また、第2フランジ部材46の第2大径部46Bの外周は、ケーシング50(の継カバー51)に直接接触して「滑り軸受」を構成している。具体的には、ケーシング50の継カバー51の第2フランジ部材46に径方向で対向する内周面(第2大径部46Bに対応する部分)51Aが、径方向内側に突出して外輪部を形成している(後述)。
要するに、この種の揺動内接噛合型の遊星歯車装置12にあっては、第1、第2大径部44B、46Bとケーシング50との間の双方に軸受が配置されることが多いが、この実施形態で第1大径部44Bとケーシング50(のケーシング本体52)との間には敢えて軸受を配置していない、ということになる。これは、出力ブロック62の剛性が高いため、自動調心ころ軸受65と前記内周面51Aの滑り軸受とで、長いスパンS12で2点支持できることから、この2点支持だけで十分な支持がなし得ると考えられるためである。
また、第2大径部46Bでの第2フランジ部材46の支持を「(転動体を有さない)滑り軸受による支持」としているのは、a)第2大径部46Bは出力ピニオン22から大きく離れており、かつ、b)遊星歯車装置12全体をロータヘッド側の部材(図示略)に固定するためのフランジ部52F(ラジアル荷重に対して反力を提供する部分)が、自動調心ころ軸受65の近傍に配置されている、という事情等から、第2大径部46Bの近傍に掛かるラジアル荷重は、大きくはないと考えられること、さらには、c)第2フランジ部材46の回転速度(ケーシング50との相対回転速度)は非常に遅いため、摺動面の摩耗の心配が少ない、d)低コストである、等の理由による。
次に、遊星歯車装置12のケーシング50に関係する構成について説明する。
遊星歯車装置12のケーシング50は、(モータカバー兼用の)継カバー51、(内歯歯車32の内歯歯車本体32Aと兼用の)ケーシング本体52、および負荷側カバー53とで主に形成され、それぞれボルト55、56によって連結されている。
ケーシング50(の継カバー51)の第2フランジ部材46に径方向で対向する内周面51Aには、円周方向3箇所(120度の間隔、すなわち偏心体軸40の本数と同一の個数で、偏心体軸40の位相と同位相となる間隔)に、円弧状の凹部51B(径方向の溝)が軸方向に沿って形成されている(図3、図5参照)。この凹部51Bの形状および形成位置のケーシングの内周面51Aに対する関係は、振り分け歯車36の大きさおよび組み付け位置に関係して規定されている。つまり、振り分け歯車36の外径(歯の外接円径)は、d1であり、最外径d3(内歯歯車32の軸心O2から最も遠い歯先までの距離)は、ケーシング50(の継カバー51)の第2フランジ部材46に径方向で対向する内周面51Aの最小径r2よりも大きい(d3>r2)。また、凹部51Bは、振り分け歯車36の最外径d3よりも径方向外側にまで穿設されている(最外径d3よりも大きい内径を有している)。すなわち、この実施形態では、穿設された凹部51Bの底面は、振り分け歯車36の軸心O1と同心とされ、最深距離(内径:最底面での内歯歯車32の軸心O2からの距離)r5は、振り分け歯車36の最外径d3より大きい。すなわち、r2<d3<r5である。
凹部51Bは、継カバー51を、振り分け歯車36および第2フランジ部材46の径方向外側に組み込むときに、振り分け歯車36が通過可能であればよく、その寸法、形状は限定されない。
なお、この実施形態では、凹部51Bの底面の最深距離r5は、ケーシング50(の継カバー51)の振り分け歯車36と径方向で対向する内周面51Cの内径D6と同径(r5=D6)である。よって、r2<d3<D6ということでもある。ケーシング50(の継カバー51)の第2フランジ部材46の近傍の最小外径は、この実施形態では、d5である。
第2フランジ部材46は、ケーシング50(の継カバー51)の第2フランジ部材46に径方向で対向する内周面(第2大径部46Bに対応する部分)51Aと接触し、滑り軸受66にてケーシング50(の継カバー51)に支持されている。前述したように、第1、第2フランジ部材44、46は、キャリヤピン60によって連結されており、第1フランジ部材44は、出力軸20と(当初から一部材として)一体化されている。このため、出力軸20、第1フランジ部材44、キャリヤピン60、および第2フランジ部材46は、相互に連結されて巨大な出力ブロック62を構成し、この出力ブロック62を自動調心ころ軸受65と当該滑り軸受66とで両持ち支持していることになる。
次に、この揺動内接噛合型の遊星歯車装置12の作用について説明する。
図示せぬモータ18が回転すると、遊星歯車装置12の入力軸34が回転する。入力軸34が回転すると入力ピニオン34Bを介して3個の振り分け歯車36が同時に同方向に回転する。この結果、3本の偏心体軸40が回転し、各偏心体軸40の軸方向同位置にある偏心体48が同期して偏心回転する。
これにより、外歯歯車30が揺動し、外歯歯車30と内歯歯車32との噛合位置が回転してゆく。外歯歯車30の歯数は内歯歯車32の歯数(外ピン32Bの本数)よりも1だけ少ないため、偏心体軸40が1回回転して噛合位置が一周するごとに、外歯歯車30は、(固定状態にある内歯歯車32に対して)相対的に1歯分だけ回転する(自転する)。
この自転成分が、偏心体軸40の公転として第1、第2フランジ部材44、46に伝達される。第1、第2フランジ部材44、46は、キャリヤピン60を介して連結されており、第1フランジ部材44は、出力軸20と一体化されている。このため、該第1、第2フランジ部材44、46に伝達されてきた外歯歯車30の自転成分は、出力軸20の回転として取り出され、該出力軸20の先端に設けられた出力ピニオン22を回転させる。
出力ピニオン22の回転は、風車ブレード14側に設けられた歯車24を回転させ、風車ブレード14のピッチ角度が変更される。
ここで、今、遊星歯車装置12のケーシング50(の継カバー51)の第2フランジ部材46の近傍の最小外径d5が、従来と同等であるとする。この条件の下で、遊星歯車装置12の強度をより増強させるには、偏心体軸40のピッチ円径(内歯歯車32の軸心O2からのオフセット量)r1を大きくするのが有利である。ところが、偏心体軸40のピッチ円径r1を大きくすると、振り分け歯車36の最外径d3は、ケーシング50(の継カバー51)の内周部51Aの最小径r2よりも大きくなって干渉(当接)してしまうため、従来と同様の外径(歯数)d1の振り分け歯車36をそのまま使うことができなくなってしまう(同一の減速比を確保することができなくなってしまう)。
しかしながら、本実施形態の構成によれば、ケーシング50(の継カバー51)は、第2フランジ部材46に径方向に対向する内周面51Aに、軸方向に沿って振り分け歯車36の最外径d3よりも径方向外側(最深距離r5=振り分け歯車36の近傍の内周径D6)にまで該振り分け歯車36の軸心O1と同心に穿設された凹部51Bを備えている。
そのため、組み付け時に、この凹部51Bを利用して該凹部51Bが振り分け歯車36の径方向外側に位置するように、凹部51Bと振り分け歯車36の円周方向の位相を合わせることにより、振り分け歯車36を、第2フランジ部材46に径方向で対向する内周面51Aの部分を通過させることができる。これにより、(偏心体軸40のピッチ円径r1を大きくしたことにより)振り分け歯車36の最外径d3が、第2フランジ部材46に径方向で対向する内周面51Aの最小径r2よりも大きくなっているにも拘わらず、振り分け歯車36を、第2フランジ部材46の軸方向外側の位置(軸方向継カバー51側の位置)組み付けることができる。また、継カバー51を第2フランジ部材46の軸方向外側に組み込むことができるという作用も得られる。
以上の作用は、見方を変えるならば、同一の大きさのケーシング、同一の偏心体軸のピッチ円径ならば、より大きな外径(より大きな減速比)の振り分け歯車を使用できるということを意味する。また、同一の偏心体軸のピッチ円径、同一の振り分け歯車の外径ならば、よりコンパクトな(内周面の最小径のより小さな)ケーシングを使用できるということでもある。勿論、組み合わせにより、これらの中庸を取った作用を得ることも可能である。
なお、第2フランジ部材46は、内歯歯車32の外ピン32Bの軸方向規制にも寄与しているが、凹部51Bは、円周方向の一部にのみ形成されているため、この機能が損なわれることはない。
また、組み付け後は、この凹部51Bを、潤滑剤の通路として機能させることができ、第2フランジ部材46の外周部の滑り軸受および振り分け歯車36を潤滑することができる。すなわち、第2フランジ部材46は、ケーシング50(の継カバー51)と接触し、滑り接触にてケーシング50に支持されているが、この凹部51Bが、潤滑油路として機能するため、高い回転安定性を長期に亘って確保することができる。また、第2フランジ部材46の軸方向外側にあって、潤滑剤のゆき届きにくい振り分け歯車36の、特に「歯部」を十分に潤滑することができる。
前述したように、凹部は、振り分け歯車が、ケーシングのフランジ部材と対向する部分を通過できる寸法、形状であればよいため、基本的には、偏心体軸の数と同数で、かつ該偏心体軸の位相と同位相に形成されていればよいが、この凹部の「潤滑剤の通路としての機能」に着目するならば、該凹部の数は必ずしも偏心体軸と同数に限定される必要はなく、偏心体軸の数よりも多くてもよい(偏心体軸歯車のないところにも形成してもよい)。凹部の形状も必ずしも円弧状でなくてもよく、例えば、矩形や楕円形であってもよい。
また、本遊星歯車装置は、上記実施形態のように、コンパクト性が要求されるとともに、高い強度が要求される風力発電設備のピッチ駆動装置に組み込む減速装置等に適用すると、特に顕著な効果が得られるが、本発明に係る遊星歯車装置の用途は、特にこれに限定されるものではなく、同様に、例えば、風力発電設備のヨー駆動装置(ナセルの旋回駆動装置)に適用してもよく、さらには、風力発電設備以外の種々の用途に適用してもよい。
12…遊星歯車装置
20…出力軸
30…外歯歯車
32…内歯歯車
44…第1フランジ部材
46…第2フランジ部材
50…ケーシング
51…継カバー
52…ケーシング本体

Claims (4)

  1. ケーシングと、偏心体を備えた複数の偏心体軸と、前記偏心体によって揺動される遊星歯車と、該遊星歯車が内接噛合する内歯歯車と、前記偏心体軸に設けられ前記ケーシングの内部に配置される偏心体軸歯車と、前記遊星歯車と前記偏心体軸歯車との間に配置されるとともに前記ケーシングに支持されたフランジ部材と、を備えた揺動内接噛合型の遊星歯車装置において、
    前記ケーシングは、前記フランジ部材と径方向で対向するフランジ部材対向部と、前記偏心体軸歯車と径方向で対向する偏心体軸歯車対向部と、を有し、
    前記偏心体軸歯車対向部の内周面は、全周に亘って前記偏心体軸歯車の最外径よりも大きい内径を有し、
    前記偏心体軸歯車の最外径が、前記フランジ部材対向部の内周面の最小径よりも大きく、かつ
    前記フランジ部材対向部、前記偏心体軸歯車の最外径よりも内径の大きい凹部を備えた
    ことを特徴とする揺動内接噛合型の遊星歯車装置。
  2. 請求項1において、
    前記凹部の底面の最深部での内径は、前記偏心体軸歯車対向部の内径と同じである
    ことを特徴とする揺動内接噛合型の遊星歯車装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記フランジ部材は、前記ケーシングと接触し、滑り軸受にて前記ケーシングに支持されている
    ことを特徴とする揺動内接噛合型の遊星歯車装置。
  4. 請求項1に記載の揺動内接噛合型の遊星歯車装置の製造方法であって、
    前記ケーシングの凹部と前記偏心体軸歯車の円周方向の位相を合せた状態で、
    前記凹部を前記偏心体軸歯車の径方向外側を通過させ、
    前記ケーシングと前記フランジ部材とを組み付ける
    ことを特徴とする揺動内接噛合型の遊星歯車装置の製造方法。
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