JP2021153477A - エビ様真空凍結乾燥食品の製造方法 - Google Patents

エビ様真空凍結乾燥食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明はエビ様の食感を有し、熱水等により容易に復元可能な乾燥したエビ様食品の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】多孔質構造を有するコンニャクゲルと、グルコマンナン、アルカリ剤、水を混合した基材生地とコンニャクゲルを破砕したコンニャクゲル破砕物とを混合した基材と、を混合し、成型した後、加熱処理して加熱凝固し、凍結した後、真空凍結乾燥することにより、エビのような食感を有し、熱水等により容易に復元可能なエビ様真空凍結乾燥食品を製造することができる。【選択図】図15

Description

本発明は、湯戻し可能なエビ様真空凍結乾燥食品の製造方法に関する。
従来、様々な食品のイミテーション食品が開発されている。例えば、カニカマや人工イクラなどが挙げられ、これらは高価なものの代替品として開発されたが、近年では、植物蛋白を使用した代替肉など、菜食主義だけでなく健康や環境を意識した代替食品が開発されている。
エビについては、国内で採取、養殖された物だけでなく、様々な国々で採取されたエビや主に東南アジア等で養殖されたエビを輸入している。近年の需要増大と病気の蔓延により価格が高騰しており、また、近年の菜食主義や健康、環境の面からも、エビについても安価でより本物に近い食感を有する代替食品が求められている。
エビの代替食品については、例えば、特許文献1〜3が開示されている。
特許文献1は、たんぱく質の摂取を制限されている患者向けの低たんぱくでエビ又はカニ蒲鉾様の食感を有するエビ、カニ蒲鉾様食品の製造方法に関するものであり、コンニャク精粉1重量部、繊維長が100μm以下の水不溶性食物繊維0.5〜4重量部に、水、塩基を加えたものを、熱水中でゲル化する工程Aと、工程Aにより得られたゲル化物を5mm以下に裁断する工程Bと、工程Bにより得られた裁断物にコンニャク精粉と水を混合して成型する工程Cと、工程Cで得られた成型物を熱水中でゲル化させる工程Dを含むことを特徴とする低たんぱくのエビ又はカニ蒲鉾様食品の製造法が開示されている。
また、特許文献2は、価格が高騰するエビの代替として使用できる、エビ代替食品に関するものであり、コンニャク粉、アミロペクチンを90重量%以上含有するデンプン、アルカリ剤および水を混合し、加熱した後凍結し製造される、エビ代替食品が開示されている。
また、特許文献3は、エビ様食感を有するエビ代替食品の製造方法に関するものであり、小麦澱粉及び/又はハイアミロースコーンスターチ1〜10重量%、コンニャク粉1.5〜8重量%、セルロース1〜7重量%、アルカリ剤および水を混合し、加熱した後凍結する、エビ代替食品の製造法が開示されている。
いずれの技術もコンニャクをゲル化したものを使用したものであるが、エビ様の食感としては、十分なのもではなかった。また、インスタント食品に使用される熱湯などにより容易に復元可能な乾燥食品について記載されていなかった。
特許第5874644号公報 特開2015−177754号公報 特許第6137412号公報
本発明は、エビ様の食感を有し、熱水等により容易に復元可能な乾燥したエビ様食品の製造方法を提供することを目的とする。
発明者は、従来のコンニャクゲルでは不十分であったエビ様の食感を再現すべく、コンニャクゲルの内部構造について着目し、鋭意研究した結果、多孔質構造を有するコンニャクゲルがエビ様の食感を有することを見出した。しかしながら、多孔質構造を有するコンニャクゲルを使用したエビ様食品を乾燥するだけでは、熱水等により復元可能なエビ様食品を得ることができなかった。そこで鋭意研究した結果、本発明に至った。
すなわち、コンニャクゲルと、コンニャクゲル破砕物を含む基材と、を含むエビ様真空凍結乾燥食品の製造方法であって、グルコマンナンと、アルカリ剤と、水と、を混合し、生地を作製した後、前記生地を成形し、蒸煮して生地をゲル化し、ゲル化した生地を凍結し、大きさが長辺7〜20mm、厚みが0.5〜1.5mmに細断した後、マイクロ波または減圧乾燥により、水分が70〜90重量%で、ゲルの断面における100μm以上の細孔を計測した空隙率が9〜17%、最大細孔空隙率が3〜6%となるように多孔質化したコンニャクゲルを作製するコンニャクゲル作製工程と、グルコマンナンと、加工澱粉と、アルカリ剤と、水とを混合し、生地を作製した後、前記生地を成形し、蒸煮して生地をゲル化し、破砕してコンニャクゲル破砕物を作製するコンニャクゲル破砕物作製工程と、グルコマンナンと、アルカリ剤と、水とを混合した基材生地と、前記コンニャクゲル破砕物を混合し、基材を作製する基材作製工程と、前記コンニャクゲルと、前記基材と、を混合し混合物を作製する混合物作製工程と、前記混合物を成形する成型工程と、成形した前記混合物を加熱し、加熱凝固する加熱工程と、加熱凝固した前記混合物を凍結し、真空凍結乾燥する真空凍結乾燥工程と、を含むことを特徴とするエビ様真空凍結乾燥食品の製造方法である。
また、本発明に係るコンニャクゲル破砕物の生地は、グルコマンナン2〜4.5重量%、加工澱粉を1〜12重量%含み、pHが10〜11であることが好ましい。
また、本発明に係る基材生地は、グルコマンナン1.5〜4重量%含みpHが9.5〜10.5であることが好ましい。
また、本発明に係るコンニャクゲルの生地は、生地の重量に対して2.5〜4重量%のグルコマンナンを含み、pHが10〜11であることが好ましい。
また、本発明に係る基材は、基材中にコンニャクゲル破砕物を10〜80重量%含むことが好ましい。
また、本発明に係る混合物の基材とコンニャクゲルの混合比は、3:7〜7:3であることが好ましい。
本発明により、エビ様の食感を有し、熱水等により容易に復元可能な乾燥したエビ様食品の製造方法を提供することができる。
試験例1−1のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1−2のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1−3のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1−4のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1−5のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験1−1の各サンプルのレオメータ―による物性試験結果のグラフである。 試験例1−6のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1−7のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1−8のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1−9のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1−10のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1−11のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験1−2の各サンプルのレオメータ―による物性試験結果のグラフである。 試験2−2〜2−4、試験3に使用したエビ様食品の金型の写真である。 試験例2−2−1のエビ様真空凍結乾燥食品の写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
<コンニャクゲル作製工程>
(生地作製)
グルコマンナン、炭酸ソーダや水酸化カルシウムなどのアルカリ剤と水を混合し、生地を作製する。その他の資材としては、加工澱粉や食塩、アミノ酸、調味料、色素、香料などを添加することもできる。グルコマンナンの添加量としては、生地の重量に対して2.5〜4重量%の範囲が好ましい。2.5重量%未満であるとゲルの強度が弱く、4重量%よりも多いとゲルの強度が強い。なお、本発明に係るグルコマンナンとしては、グルコマンナン製剤を使用しても、コンニャク粉を使用してもよく、グルコマンナンとして、上記添加量を含むことが好ましい。アルカリ剤の添加量については、特に限定はなく、生地のpHが10〜11が添加することが好ましい。
また、本発明に係るコンニャクゲルには、加工澱粉を添加することが好ましい。澱粉の種類は、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉を使用することができ、加工方法としては、架橋、エーテル化、アセチル化、酸化などが挙げられる。好ましい加工澱粉としては、エーテル化澱粉、リン酸架橋澱粉、エーテル化リン酸架橋澱粉が挙げられる。加工澱粉の添加量としては、生地の重量に対して3.5〜8重量%の範囲が好ましい。8重量%よりも多くなると澱粉の性状が強くなり、3.5重量%未満になると澱粉の効果が得られにくい。
水の添加量としては、他の添加資材の量にもよるが、添加量に生地の重量に対して生地の水分が90±5重量%となるように添加すればよい。生地の混合方法としては、フードミキサーなどの装置に水を入れ、グルコマンナンや加工澱粉、食塩などの粉末物を混合したものを添加し、撹拌混合した後、最後にアルカリ剤を添加し混合する。アルカリ剤の添加が早すぎると生地が凝固し始めるため好ましくない。
(成型工程)
生地作製工程で作製した生地を成形する。成型方法は特に限定はなく、型枠に入れて成型する方法、板に薄く延ばして成形する方法、ロールにより成形する方法、筒等に入れて穴から押し出すことにより成形する方法が挙げられる。成型する形状は特に限定はないが、シート状や麺線状に成型することが好ましく、シート状の場合は、厚みが0.5〜1.5mmとなるように、麺線状の場合は、径や厚みが0.5〜1.5mmとなるように成形することが好ましい。
(蒸煮工程)
成型した生地を蒸煮により加熱凝固しゲル化物を作製する。蒸煮の方法は、特に限定はなく、生地がしっかり凝固する程度に行えばよい。例えば、90℃以上のスチームで5〜20分程度蒸すことや、90℃以上の熱湯で5〜10分程度加熱する方法が挙げられる。
(凍結工程)
加熱凝固したゲル化物の粗熱をとり、凍結する。凍結することにより、ゲルが変性することでコンニャクのゲルっぽい食感から適度な弾力のある食感となるだけでなく、後述する細断工程で細断しやすくなる。凍結方法は特に限定はなく、例えば、エアブラスト式のトンネルフリーザー、スパイラルフリーザー、ワゴンフリーザーや急速凍結庫、ブライン式のフレキシブルフリーザー等が適用できる。凍結は、ゲル化物の品温が−18℃程度以下となるまでしっかりと凍結することが好ましい。
(細断工程)
凍結したゲル化物を所定の大きさに切断する。切断方法は特に限定はなく、ロール刃に切断する方法や、包丁刃により切断する方法などが挙げられる。切断後のゲルは一番長い辺(長辺)が7〜20mm程度、ゲルの一番短い辺が(厚み)が0.5〜1.5mmとなるように切断する。また、コンニャクゲルの形状としては、出来るだけ細長い形状が好ましく、長辺や厚み以外の3次元方向の長さ(短辺)は、5mm以下が好ましい。例えば、凍結したゲル化物が麺線状の場合であれば、長さが7〜20mmとなるように回転刃や包丁刃で切断すればよく、シート状であれば長辺が7〜20mm、短辺が0.5〜5mmの直方体となるように切断すればよい。長辺が7mmよりも短いと噛んだ時にコンニャクゲルの食感を感じにくく、20mmよりも大きいと、コンニャクゲルを混ぜるなどの加工しづらくなる。また、厚みが0.5mmよりも薄いとコンニャクゲルの弾力を感じにくく、1.5mmよりも厚くなるとコンニャクゲルの弾力を強く感じすぎる。また、形状が正方形の板状に近づくとエビ様真空凍結乾燥食品を作製する際に加工しづらくなる。
(多孔質化工程)
細断工程で細断したゲルを多孔質化する。多孔質化の方法は、マイクロ波処理や凍結乾燥後、復水する方法が挙げられ、多孔質構造がゲル断面における100μm以上の細孔を計測した空隙率が9〜17%であり、ゲル断面における最大細孔空隙率が3〜6%の範囲になるように行えばよい。マイクロ波処理の場合は、できるだけ低ワットで行う方が、多孔質構造をコントロールしやすい。また、マイクロ波処理によって水分も蒸散するため、水分調整する必要も少ない。例えば200Wで処理する場合は、1〜10分程度処理することが好ましい。水分が70重量%未満となると、マイクロ波処理の場合、空隙率が高くなり、大きな細孔ができるようになる。逆に水分が90重量%よりも高いと、細孔が小さく、空隙率も不十分になる。真空凍結乾燥の場合は、一度乾燥した後、水を吸水させて水分を70〜90重量%に調整する。水分が70重量%未満となると、弾力が強く、乾いた硬い食感となる。逆に水分が90重量%よりも多いとゲルがみずみずしくなるが、弾力が弱くなる。マイクロ波処理の場合も真空凍結乾燥の場合も、水分が70〜80重量%の範囲がより好ましい。なお、マイクロ波処理や真空凍結乾燥による多孔質化工程を行っても、ゲルの形状は細断処理後の形状とほとんど変わらない。
なお、多孔質構造を測定する断面としては、長辺方向に垂直な断面を観察することが好ましい。観察は、走査型電子顕微鏡で行い、倍率100〜200倍程度で低減圧下にて撮影することが好ましい。また、空隙の測定については、電子顕微鏡で撮影した画像から細孔を測るような画像解析ソフトを用いて100μmの細孔の面積や数を測定する。このような画像ソフトとしては、Media Cybernetics 社製のImage-Pro Premier 9.1が挙げられる。測定したデータより、空隙率や最大空隙率を算出する。
以上のように、作製したコンニャクゲルは、エビ様の食感を有し、エビ様真空凍結乾燥食品に使用することができる。
<コンニャクゲル破砕物作製工程>
本発明に係るコンニャクゲル破砕物は、乾燥物が高度な復水性を有し、基材内部に含まれることで、基材やコンニャクゲルの復水を促進する効果がある。本発明に係るコンニャクゲル破砕物としては、グルコマンナン、アルカリ剤の他に加工澱粉を含む。その他の資材としては、食塩、アミノ酸、調味料、色素、香料などを添加することもできる。
本発明に係るコンニャクゲル破砕物のグルコマンナンの添加量としては、生地の重量に対して2〜4.5重量%含むことが好ましい。2重量%未満であると柔らかく、4.5重量%よりも多いと破砕しづらくなる。
また、本発明に係るコンニャクゲル破砕物に添加する加工澱粉の種類としては、特に限定はなく、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉を使用することができる。また、加工方法としては、架橋、エーテル化、アセチル化、酸化などが挙げられる。好ましい加工澱粉としては、リン酸架橋澱粉やエーテル化リン酸架橋澱粉が挙げられる。また、加工澱粉の添加量としては、生地の重量に対して1〜12重量%の範囲が好ましい。12重量%よりも多くなると復元性が良すぎて基材が柔らかくなり、1重量%未満になると復元性が悪くなり、コンニャクゲル破砕物のざらついた食感が強くなる。より好ましくは2〜8重量%である。
本発明に係るエビ様真空凍結乾燥食品のコンニャクゲル破砕物に添加するアルカリ剤は、コンニャクゲル破砕物の生地を塩基性にできればよく、炭酸ソーダや水酸化カルシウムなどのアルカリ剤が挙げられる。アルカリ剤の添加量としては、生地のpHが10〜11となるように添加すればよい。
本発明に係るエビ様真空凍結乾燥食品に使用するコンニャクゲル破砕物の製造方法としては、本発明に係るエビ様真空凍結乾燥食品に使用するコンニャクゲルと同様に、生地を作製し、成型後、蒸煮し、ゲル化物を作製する。具体的には、まず、フードミキサーなどの装置に水を入れ、グルコマンナンや加工澱粉、食塩などの粉末物を混合したものを添加し、撹拌混合した後、最後にアルカリ剤を添加し混合して生地を作製する。アルカリ剤の添加が早すぎると生地が凝固し始めるため好ましくない。
次いで作製した生地を成形する。成型方法は特に限定はなく、型枠に入れて成型する方法、板に薄く延ばして成形する方法、ロールにより成形する方法、筒等に入れて穴から押し出すことにより成形する方法が挙げられる。成型する形状は破砕するため特に限定はない。
成型した生地を蒸煮により加熱凝固しゲル化物を作製する。蒸煮の方法は、特に限定はなく、生地がしっかり凝固する程度に行えばよい。例えば、90℃以上のスチームで5〜20分程度蒸すことや、90℃以上の熱湯で5〜10分程度加熱する方法が挙げられる。
次いで加熱凝固したゲル化物を破砕する。破砕方法は特に限定はなく、フードミキサーなどのカッターミルや、ジェットミル、ハンマーミルなどの破砕機で破砕すればよい。コンニャクゲル破砕物の粒度としては、大きすぎると、基材がまとまりにくく、食感にムラが出る。また、小さすぎると復元性が悪くなる。好ましくは、粒径300μm未満が10重量%未満で且つ2700μm以上が10重量%未満となるように粒度を調整することが好ましい。また、粒度としては、モード径が700〜1700μm程度となるように調整することが好ましい。
<基材作製工程>
本発明に係る基材の役割としては、本発明に係るコンニャクゲルをまとめて結着させ、全体としてエビ様真空凍結乾燥食品の食感を調整するだけでなく、乾燥後の復元しやすくする役割がある。本発明に係るエビ様真空凍結乾燥食品の基材としては、グルコマンナン、アルカリ剤と、水とを混合した基材生地とコンニャクゲル破砕物を使用する。
本発明に係るエビ様真空凍結乾燥食品の基材生地中のグルコマンナンの添加量としては、基材の重量に対して1.5〜4重量%含むことが好ましい。1.5重量%未満だと柔らかすぎ、4重量%よりも多くなると成形がしづらくなる。
本発明に係るエビ様真空凍結乾燥食品の基材生地中のアルカリ剤は、基材生地を塩基性にできればよく、炭酸ソーダや水酸化カルシウムなどのアルカリ剤が挙げられる。アルカリ剤の添加量としては、基材生地のpHが9.5〜10.5となるように添加すればよい。
本発明に係るエビ様真空凍結乾燥食品の基材生地のその他の資材としては、タンパク質素材、澱粉、食塩、アミノ酸、油脂、乳化剤、結晶セルロース粉末、メチルセルロース、調味料、色素、香料などを添加することもできる。
タンパク質素材は、タンパク質を多く含むものであればよく、卵白粉末などの卵白、大豆粉末や分離大豆タンパク粉末などの大豆タンパク、グルテンなどの小麦タンパク、ゼラチン、脱脂粉乳やカゼインなどの乳タンパクなどを使用できる。タンパク質素材を含むことにより、基材にエビらしい筋繊維的な舌触りを付与することができる。好ましいタンパク質素材としては、卵白や大豆タンパクが好ましく、菜食主義対応のためには大豆タンパクが好ましい。タンパク質素材の好ましい添加量としては、基材生地の重量に対して1〜3重量%添加することが好ましい。1重量%未満だとグルコマンナン由来のゲル感が強くなり、3重量%よりも多くなるとゲル強度が弱くなり柔らかくなる。
澱粉の種類は、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉を使用することができ、これらをα化や加工したものも使用できる。加工澱粉としては、架橋澱粉、エーテル化澱粉、アセチル化澱粉、酸化澱粉などが挙げられる。本発明に係るエビ様真空凍結乾燥食品としては、α化澱粉や架橋澱粉が好ましい。澱粉を添加することにより、基材にボディー感を付与することができ、コンニャクのゲルっぽい食感を抑えることができる。澱粉の添加量としては、基材生地の重量に対して0.5〜7重量%含まれるように添加することが好ましい。0.5重量%未満であると澱粉によるボディー感が弱く、7重量%よりも多くなると澱粉の食感が強くなりすぎる。
結晶セルロース粉末は、食感に大きな影響を及ぼすことなく、エビ様真空凍結乾燥食品にグルコマンナンや澱粉では表現できない不溶性の固形物感を与えることができる。ただし、入れすぎるとグルコマンナンのゲル化を阻害し、少なすぎるとエビ様真空凍結乾燥食品の固形物感が少なく、ゲルっぽい食感となるため、基材生地の重量に対して、0.5〜2.5重量%添加することが好ましい。
また、油脂は、タンパク質素材のざらつきを抑え、油溶性の色素や香料を分散させることができ、乳化した状態で基材生地に添加することが好ましい。添加量としては、基材生地の重量に対して3〜11重量%となるように添加することが好ましい。添加しすぎるとグルコマンナンのゲル結合を阻害し、少なすぎると油脂による食感や風味の改善効果が得られにくい。油脂の種類としては、ごま油、菜種油、米油、大豆油、コーン油などが挙げられる。
本発明に係るエビ様食品の基材の作製方法としては、フードミキサーなどの装置に、水または油脂を使用する場合は水に乳化した乳化液を入れ、グルコマンナンや澱粉、結晶セルロース、アミノ酸、調味料、食塩などの粉末物を混合したものを添加後、撹拌混合し、アルカリ剤を添加し混合して基材生地を作製した後、コンニャクゲル破砕物を添加し混合する。
このとき、コンニャクゲル破砕物の基材中の添加量としては、基材の重量に対して10〜80重量%添加することが好ましい。10重量%未満だと復元性を充分付与することができず、80重量%よりも多いと、基材とコンニャクゲルを混合した時に成形しづらくなる。より好ましくは、20〜60重量%である。
<混合物作製工程>
基材作製工程で作製した基材と、コンニャクゲル作製工程で作製したコンニャクゲルを混合する。混合方法は特に限定はないが、コンニャクゲルが破損しない程度で素早く均質に混ぜればよい。基材とコンニャクゲルとの混合比(重量比)は、3:7〜7:3の比で混合することが好ましい。基材が多すぎるとコンニャクゲルの食感を感じにくく、基材が少なすぎるとコンニャクゲルと基材の混合物が成形しづらく、コンニャクゲルの食感が強くなる。
<成型工程>
混合工程で作製した混合物を成形する。成型方法は特に限定はなく、図14で示すようなエビ状の成形型や口金から絞り出すことで成形すればよい。成型工程において金型を使用する場合、金型を着色しておくことで表面にエビ様の着色をすることができる。
<加熱工程>
成型工程で成形した成形物を蒸煮し、混合物を加熱凝固させる。蒸煮方法は、この場合スチームによる方法が好ましい。ボイルの場合、成形物の形状が壊れる可能性がある。スチーム方法は、作製する成形物の大きさによるため、特に限定はなく、生地がしっかり凝固する程度に行えばよく、90℃以上のスチームで5〜20分程度蒸すことが好ましい。
<真空凍結乾燥工程>
加熱凝固した混合物を凍結する。凍結のための手段は、従来技術を適用することができる。例えば、エアブラスト式のトンネルフリーザー、スパイラルフリーザー、ワゴンフリーザーや急速凍結庫、ブライン式のフレキシブルフリーザー等が適用できる。例えば、約−30℃のプレハブ式急速凍結庫を利用して急速に行うことができる。凍結方法は特に限定しないが、混合物の品温が−18℃以下となるようにしっかりと凍結する。
凍結した混合物は、真空乾燥機を用いて減圧下で真空凍結乾燥することでエビ様真空凍結乾燥食品とすることができる。真空凍結乾燥することで、即席麺や即席スープのなどのお湯等で復元する即席食品の具材とすることができる。凍結乾燥条件は特に限定されず、凍結した混合物が解凍しない程度の真空度、棚加熱温度で乾燥すればよい。好ましい範囲としては真空度が1.5torr以下、棚加熱温度が80℃以下、乾燥後の水分としては1〜5重量%となるように乾燥すればよい。
以上のように、グルコマンナンと、アルカリ剤と、コンニャクゲルを破砕したコンニャクゲル破砕物と、を混合した基材と、多孔質構造を有するコンニャクゲルを混合し、成型後、加熱処理し、凍結後、真空凍結乾燥することにより、エビのような食感を有するエビ様真空凍結乾燥食品を製造することができる。
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。
<試験1−1>コンニャクゲルの評価
(試験例1−1)
下記表1に記載した資材の内、水と炭酸ソーダを除き、粉体混合し、フードミキサーに水を入れ、粉体混合物を添加し、フードミキサーで均質に混ざるように1分程度撹拌した後、炭酸ソーダを添加し、1分さらに撹拌し、生地を作製した。
作製した生地をビニールに入れ、厚さ1mmとなるように生地をロールで伸ばし、98℃の蒸気庫で15分間スチームし、加熱凝固した。
加熱凝固したゲルを10x5mmに裁断機で細断し、評価サンプルとした。
Figure 2021153477
(試験例1−2)
試験例1−1と同様に生地を加熱凝固した後、−40℃の凍結庫で15分程度凍結した。凍結したゲルを10x5mmに裁断機で細断し、自然解凍して評価サンプルとした。
(試験例1−3)
試験例1−2で細断したゲルを40℃の熱風で水分が73重量%となるように乾燥し、評価サンプルとした。
(試験例1−4)
試験例1−2で細断したゲルを電子レンジにて200W、8分間処理し(水分73重量%)、評価サンプルとした。
(試験例1−5)
試験例1−2で細断したゲルを真空凍結乾燥機を用いて、棚温60℃、真空度1.5torr以下で水分が2重量%となるまで乾燥した後、水を添加し水分が73重量%となるまで復元し、評価サンプルとした。
試験例1−1〜1−5の評価サンプルについて、電子顕微鏡による構造解析、レオメータによる物性評価及び官能評価を行った。電子顕微鏡による構造解析は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JCM-6380LA、100倍率)にて撮影し、撮影したデジタル画像をMedia Cybernetics 社製のImage-Pro Premier 9.1により画像解析し行った。測定は、100μm2以上の孔の数、観察するサンプルの断面積、細孔の合計面積、最大の細孔の面積を測定し、空隙率(細孔合計面積/断面積)、平均細孔空隙率(空隙率/細孔数)、最大細孔空隙率(最大の細孔面積/断面積)を算出した。サンプル数はN=5とし、平均値をサンプルの値とした。
レオメータの測定は、単軸圧縮・引張型レオメータ(RE−33005C、株式会社 山電)を用いて、移動速度 0.1mm/s、最大変形90%で単軸等速陥入試験を行った。ロードセルは定格容量19.6Nのもの、プランジャーは円柱型で直径3.0mのものを使用した。また、評価サンプルは、ゲルの長辺に対して垂直に押圧するように測定した。測定は、0.01秒ごとに行い、力(荷重)と変形について測定した。測定したデータをY軸が力、X軸が変形となるようにグラフにプロットして、図6、13で示すような力−変形曲線を作成した。
官能試験については、ベテランのパネラー5人により行い、エビ様の食感として非常に良好なものを5、良好なものを4、概ね可なものを3、不適なものを2、著しく不適なものを1として評価を行った。
構造解析結果及び官能評価結果を下記表2に示す。また、各評価サンプルの代表的な電顕写真を図1〜5に示す。また、各サンプルのレオメータによる測定結果を示したグラフを図6に示す。
Figure 2021153477
官能評価結果から、試験例1−4及び試験例1−5で示すようにコンニャクゲルを凍結した後、マイクロ波処理したもの及びコンニャクゲルを凍結した後、真空凍結乾燥し、水分を復水したものが、エビ様の食感として良好であった。試験例1−4及び試験例1−5のサンプルの構造を電子顕微鏡で観察した結果、他の試験例と比較してゲル内部に空隙を多く有していることが判明した。また、最大細孔空隙率も他の試験例と比較し3%以上と高く、ある程度の大きさの空隙を有していた。
各試験区の評価サンプルの物性をレオメータによって測定した結果、図6で示すように、試験例1−2の凍結したサンプルは、試験例1−1の凍結していないサンプルと比較して、破断強度が上昇するだけでなく、山が見られないことから、凍結変性によりゲルが破断しにくくなったものと考える。また、乾燥処理した試験例1−3〜1−5のサンプルは、試験例1−2の乾燥していないサンプルに比べ破断強度が高くなっており、山が見られることから乾燥することにより、ゲルが破断するようになったことがわかる。しかしながら、熱風乾燥した試験例1−3では、破断後の落差が大きいいのに対し、真空凍結乾燥した試験例1−4やマイクロ波乾燥した試験例1−5では、破断した後の落差が小さく、次の山(抵抗)が発生している。これは、内部に空隙があることで破断したゲルが一気に割けるのではなく、内部の空隙で止まり、次の抵抗となっているものと考える。このような連続する抵抗が、エビの筋繊維を噛んだ時のプリプリとした食感に似ているものと考える。
<試験1−2>コンニャクゲルの多孔質構造の検討
(試験例1−6)
電子レンジによる処理を200W、1分とする以外は、試験例1−4の方法に従って、評価サンプルを作製した(水分89.5重量%)。
(試験例1−7)
電子レンジによる処理を200W、5分とする以外は、試験例1−4の方法に従って、評価サンプルを作製した(水分80重量%)。
(試験例1−8)
電子レンジによる処理を200W、10分とする以外は、試験例1−4の方法に従って、評価サンプルを作製した(水分71.0重量%)。
(試験例1−9)
電子レンジによる処理を1000W、1分とする以外は、試験例1−4の方法に従って、評価サンプルを作製した(水分82重量%)。
(試験例1−10)
電子レンジによる処理を1000W、5分とする以外は、試験例1−4の方法に従って、評価サンプルを作製した(水分1.5重量%)。
(試験例1−11)
電子レンジによる処理を1000W、5分とした後、水で復水し水分を71重量%とする以外は試験例1−4の方法に従って、評価サンプルを作製した。
試験1−2について試験1−1同様に電子顕微鏡による構造解析、レオメータによる物性評価及び官能評価を行った。なお、試験区1−10については、乾燥して硬すぎるため物性測定を行わなかった。構造解析結果及び官能評価結果を下記表3に示す。また、各評価サンプルの代表的な電顕写真を図7〜12に示す。また、各サンプルのレオメータによる測定結果を示したグラフを図13に示す。また、マイクロ波処理後の試験例1−6〜試験例1−9の各成分の含有量を示した表を下記表4に示す。
Figure 2021153477
Figure 2021153477
マイクロ波の強度や時間を変えて試験した結果、水分が70重量%までは、水分が徐々に落ちていくが、水分が70重量%切ると急激に水分が低下した。これは、水分が70重量%を切る程度で内部の水分が急激に蒸散して発泡するものと考えられる。官能試験の結果、試験例1−10のように乾燥が進んでしまったサンプルは、食感が硬く悪いものであった。試験例1−11のように乾燥が進んでしまったものを復水したサンプルは、多少食感が改善するもの繊維感が強く噛み切りにくい食感であった。試験例1−6〜1−9で示すように水分が70重量%に近い程良好な食感を有するようになり、水分の減りが少ない程水っぽく食感がゲルっぽい結果となった。また、試験例1−7と試験例1−9を比較すると同エネルギーで処理する場合、低ワットで長時間処理する方が高ワットで短時間処理するよりも良好な食感となった。
多孔質構造を電子顕微鏡で観察した結果、試験例1−6〜1−9で示すように、水分が70重量%以上の間は、空隙率が9〜17%の範囲、最大細孔空隙率も3〜6%の範囲で、細孔数もさほど変わらないが、試験例1−10で示すように、乾燥しすぎると膨化が進み空隙率が著しく上昇し、最大細孔空隙率も高くと大きな空隙ができ、細孔数も著しく上昇した。試験例1−11で示すように水分を復水した場合、細孔数が減少するものの、依然空隙率は20%以上であり、最大空隙率も8%以上であった。
図13で示すように、試験例1−6〜1−9のサンプルの物性をレオメータで測定した結果、変形率が高くなるにつれ複数の小山が発生した。水分が高い試験例1−6や試験例1−9は、力の最大値を迎えて大きくゲルが破断した後の力の落ち方が比較的急であり、弾力はあるものの歯切れが良くエビの筋繊維的な食感が弱いことを示しているものと考える。それに対し、試験例1−7及び1−8は、力の最大値を迎えてからの力の落ち方が緩やかであり、エビの筋繊維を噛んだ時のプリプリとした食感に似ているものと考える。しかしながら、試験例1−11では、試験例1−6〜1−9と同様に複数の小山が観察されるもの大きい山の後もさらに力が上昇していった。これは繊維感が強くなりすぎ、噛み切りにくい食感を表しているものと考える。
<試験1−3>コンニャクゲルの配合検討
(試験例1−12)〜(試験例1−20)
コンニャクゲルの配合を下記表5とする以外は、試験例1−8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。ただし、水分が71重量%となるようにマイクロ波処理の時間は、試験例ごとに微調整した。
Figure 2021153477
コンニャクゲルの生地中のグルコマンナンの添加量としては、試験例1−8、1−12、1−13に示すように、2.5〜4重量%が好ましいことがわかる。また、コンニャクゲルの生地中の加工澱粉の添加量としては、試験例1−16〜1−10に示すように、3.5〜8重量%が好ましいことがわかる。また、コンニャクゲルの生地中のアルカリ剤の添加量としては、試験例1−14、1−15で示すように、生地のpH10〜11が好ましいことがわかる。
コンニャクゲルの性状は、表4、5に示すように、生地の配合の影響を受けるが、コンニャクゲルは、多孔質化処理されるとともに水分が減少するため、水分の減少量によって、コンニャクゲル中の各成分の含有量は大きく変わる。また、一つの成分の添加量が増えることによって、他の成分の含有量も変化する。そのため、表4、5の結果から、好ましいコンニャクゲル中のグルコマンナンの含有量としては、3.5〜12重量%程度、より好ましくは、8.5〜10.5重量%程度と考える。また、好ましいコンニャクゲル中の加工澱粉の含有量としては、4.5〜18重量%程度、より好ましくは13.5〜16.5重量%であると考える。
<試験1−4>コンニャクゲルの形状
(試験例1−21)
コンニャクゲルの厚みを0.5mmとする以外は、試験例1−8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1−22)
コンニャクゲルの厚みを1.5mmとする以外は、試験例1−8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1−23)
加熱凝固したゲルを5x5mmに裁断機で細断する以外は、試験例1−8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1−24)
加熱凝固したゲルを7x5mmに裁断機で細断する以外は、試験例1−8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1−25)
加熱凝固したゲルを20x5mmに裁断機で細断する以外は、試験例1−8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1−26)
加熱凝固したゲルを10x2.5mmに裁断機で細断する以外は、試験例1−8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1−27)
加熱凝固したゲルを10x10mmに裁断機で細断する以外は、試験例1−8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1−28)
加熱凝固したゲルを2.5x2.5mmに裁断機で細断する以外は、試験例1−8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
試験1−4について試験1−1同様に官能評価を行った。官能評価結果を下記表6に示す。
Figure 2021153477
試験例1−8、1−21、1−22で示すように、コンニャクゲルの厚みとしては、0.5〜1.5mmの範囲が好ましい。また、試験例1−8、1−23〜1−25、1−28で示すようにコンニャクゲルの長辺としては7〜20mmが好ましい。7mmより小さいと噛んだ時にゲルを感じにくい。また20mmとなると成形しづらくなる。また、形状としては、試験例1−8、1−26、1−27で示すように細長い形状が成形面や食感の面でも好ましい。
<試験2−1>エビ様真空凍結乾燥食品の基材中のコンニャクゲル破砕物の検討1
(試験例2−1−1)〜(試験例2−1−9)
下記表7に記載した資材の内、水及び炭酸ソーダを除き、粉体混合した後、フードミキサーに水を入れ、粉体混合した粉体物を入れ、均質に混ざるように1分程度撹拌した後、炭酸ソーダを添加し、1分さらに撹拌し、コンニャクゲル破砕物用の生地を作製した。
作製した生地をビニールに入れ、厚さ1mmとなるように生地をロールで伸ばし、98℃の蒸気庫で15分間スチームし、加熱凝固した。
加熱凝固したゲル化物をフードプロセッサー(パナソニック社MK−K48P)に入れ、2900rpmで3分間破砕してゲル破砕物を作製し、コンニャクゲル破砕物を作製した。
(試験例2−1−10)
ゲル化物の破砕時間を2分とする以外は、試験例2−1−1に従って、コンニャクゲル破砕物を作製した。
(試験例2−1−11)
ゲル化物の破砕時間を1分とする以外は、試験例2−1−1に従って、コンニャクゲル破砕物を作製した。
(試験例2−1−12)
試験例2−1−1で破砕したコンニャクゲル破砕物を、1mmメッシュの篩に掛けてコンニャクゲル破砕物とした。
(試験例2−1−13)
試験例2−1−1で破砕したコンニャクゲル破砕物を、0.85mmメッシュの篩に掛けてコンニャクゲル破砕物とした。
(試験例2−1−14)
試験例2−1−1で破砕したコンニャクゲル破砕物を、0.5mmメッシュの篩に掛けてコンニャクゲル破砕物とした。
試験例2−1−1及び試験例2−1−10〜2−1−14までのコンニャクゲル破砕物の粒度分布とメジアン径、モード径を測定した結果を下記表8に示す。
Figure 2021153477
Figure 2021153477
<試験2−2>エビ様真空凍結乾燥食品の基材中のコンニャクゲル破砕物の検討2
(試験例2−2−1)〜(試験例2−2−15)
下記表9に記載された資材の内、水、乳化油脂、ごま油、炭酸ソーダを除き、粉体混合した後、フードミキサーに水に乳化油脂及びごま油を分散させた液を添加し、次いで粉体混合物を入れ、フードミキサーで均質に混ざるように1分程度撹拌した後、炭酸ソーダを添加し、1分さらに撹拌し、基材生地を作製した。
作製した基材生地の重量4に対して、試験例2−1−1〜試験例2−1−14で作製したコンニャクゲル破砕物を6添加し、良く混ぜ合わせて基材を作製した。なお、試験例2−2−15は、コンニャクゲル破砕物を入れずに基材生地のみで基材とした。
作製した基材の重量6に対して、試験例1−8のコンニャクゲルを4添加し、良く混合した後、図14で示すようなエビ用の金型の表面に紅麹色素を付着させ、そこに1匹当たり5gに充填し、98℃10分間スチーム加熱した。
スチーム加熱したエビ様食品を冷却し、−40℃のフリーザーで30分程度凍結して、凍結したエビ様食品を真空凍結乾燥機(東洋技研株式会社製TFD10LF4)にて0.1torr以下で、棚温が60℃、品温が58℃になるまで乾燥し、エビ様真空凍結乾燥食品サンプルとした。
試験2−2で作製したエビ様真空凍結乾燥食品サンプルを容器に入れ熱湯で3分間復元し喫食し、復元性及び官能評価を行った。ベテランのパネラー5人により行い、復元性については、十分に復水しているものを◎、復水しているものを○、部分的に復水していないものがあるものを△、全体として芯が復水していないものを×とした。また、官能評価については食感について行い、非常に良好なものを◎、良好なものを○、劣るものを△、非常に劣るものを×とした。また、それぞれのサンプルに対して喫食前の重量に対する喫食後の重量の割合(復元率)を測定した。評価結果を下記表10に示す。
Figure 2021153477
Figure 2021153477
試験例2−2−1〜2−2−3で示すようにコンニャクゲル破砕物の生地中のグルコマンナンの添加量については、復元性にはあまり関係が無く、添加量が少ないと食感が柔らかく、多いと、破砕前のゲル化物が硬く、破砕しづらくなった。好ましい範囲としては、2〜4.5重量%である。
試験例2−2−1及び試験例2−2−4〜2−2−7で示すようにコンニャクゲル破砕物の生地中の加工澱粉の添加量については、少ないと復元性が悪く、基材がざらついた食感を感じるようになり、多すぎると戻りが良すぎて柔らかい食感となった。好ましい添加量としては、1〜12重量%である。また、加工澱粉の種類としては、エーテル化リン酸架橋澱粉でもリン酸架橋澱粉でも同等の効果があった。
試験例2−2−1及び試験例2−2−8、2−2−9で示すようにコンニャクゲル破砕物中の生地のpHは、低いとゲル破砕物が柔らかく、食感が柔らかくなり、高いと、復元性、食感には影響はないが、エグ味を感じるようになる。好ましくは、pH10〜11の範囲である。
試験例2−2−1及び試験例2−2−10〜2−2−15で示すようにコンニャクゲル破砕物の粒度としては、破砕が荒いと戻りムラや食感ムラがでるようになる。逆に粒径の大きいものを除去して粒径の細かいものを多くしていくと水の入りが悪くなり、食感が硬くなっていく。好ましくは、粒径が2700μm以上のものが10重量%以下で且つ、粒形が300μm未満のものが10重量%以下となるような範囲の分布をもつコンニャクゲル破砕物を使用することが好ましい。粒度としては、モード径が700〜1700μmの範囲が好ましい。
<試験2−3>エビ様真空凍結乾燥食品の基材の生地の検討
(試験2−3−1)〜(試験例2−3−4)
試験例2−2−1で作製したエビ様真空凍結乾燥食品の基材生地の代わりに下記表11の配合に基づいて基材生地を作製し、試験例2−2−1と同様にエビ様真空凍結乾燥食品サンプルを作製した。作製したエビ様真空凍結乾燥食品サンプルは、試験2−2と同様に復元性、食感の評価を行った。評価結果を下記表12に示す。
Figure 2021153477
Figure 2021153477
試験2−3の結果より、エビ様真空凍結乾燥食品の基材生地は、食感に影響を及ぼすものの復元性にはあまり影響を及ぼさなかった。エビ様真空凍結乾燥食品の基材生地中のグルコマンナンの添加量としては、1.5〜4重量%が好ましく、エビ様真空凍結乾燥食品の基材生地のpHとしては9.5〜10.5が好ましい。
<試験2−4>エビ様真空凍結乾燥食品の基材の生地とコンニャク破砕物との比の検討
(試験例2−4−1)〜(試験例2−4−5)
試験例2−2−1で作製したエビ様真空凍結乾燥食品の基材生地と試験例2−1−1で作製したコンニャク破砕物を下記表13の割合で混合した基材を用い、試験例2−2−1の方法に従って、エビ様真空凍結乾燥食品を作製した。試験2−2と同様に復元性、食感の評価及び復元率の測定を行った。評価結果及び測定結果を下記表13に示す。
Figure 2021153477
試験2−4で示すようにコンニャクゲル破砕物の基材中の配合量が少なくなるほど復元性が悪く、食感が硬くなり、配合量が多くなると食感が柔らかく、成形しづらくなった。コンニャクゲル破砕物の基材中の配合量の好ましい範囲としては、基材中に10〜80重量%含まれることが好ましい。
<試験3>基材とコンニャクゲルの比の検討
(試験例3−1)
基材とコンニャクゲルの比を3:7とする以外は試験例2−2−1に従って、エビ様真空凍結乾燥食品サンプルを作製した。
(試験例3−2)
基材とコンニャクゲルの比を4:6とする以外は試験例2−2−1に従って、エビ様真空凍結乾燥食品サンプルを作製した。
(試験例3−3)
基材とコンニャクゲルの比を7:3とする以外は試験例2−2−1に従って、エビ様真空凍結乾燥食品サンプルを作製した。
試験3について試験2−2同様に復元性、官能評価を行った。評価結果を下記表14に示す。
Figure 2021153477
試験3で示すように基材とゲルとの混合比は7:3〜3:7の範囲が好ましい結果となった。より好ましくは、6:4〜4:6の範囲であると考える。

Claims (6)

  1. コンニャクゲルと、コンニャクゲル破砕物を含む基材と、を含むエビ様真空凍結乾燥食品の製造方法であって、
    グルコマンナンと、アルカリ剤と、水と、を混合し、生地を作製した後、前記生地を成形し、蒸煮して生地をゲル化し、ゲル化した生地を凍結し、大きさが長辺7〜20mm、厚みが0.5〜1.5mmに細断した後、マイクロ波または減圧乾燥により、水分が70〜90重量%で、ゲルの断面における100μm以上の細孔を計測した空隙率が9〜17%、最大細孔空隙率が3〜6%となるように多孔質化したコンニャクゲルを作製するコンニャクゲル作製工程と、
    グルコマンナンと、加工澱粉と、アルカリ剤と、水とを混合し、生地を作製した後、前記生地を成形し、蒸煮して生地をゲル化し、破砕してコンニャクゲル破砕物を作製するコンニャクゲル破砕物作製工程と、
    グルコマンナンと、アルカリ剤と、水とを混合した基材生地と、前記コンニャクゲル破砕物を混合し、基材を作製する基材作製工程と、
    前記コンニャクゲルと、前記基材と、を混合し混合物を作製する混合物作製工程と、
    前記混合物を成形する成型工程と、
    成形した前記混合物を加熱し、加熱凝固する加熱工程と、
    加熱凝固した前記混合物を凍結し、真空凍結乾燥する真空凍結乾燥工程と、を含むことを特徴とするエビ様真空凍結乾燥食品の製造方法。
  2. 前記コンニャクゲル破砕物の生地は、グルコマンナン2〜4.5重量%、加工澱粉を1〜12重量%含み、pHが10〜11であることを特徴とする請求項1記載のエビ様真空凍結乾燥食品の製造方法。
  3. 前記基材生地は、グルコマンナン1.5〜4重量%含みpHが9.5〜10.5であることを特徴とする請求項1または2記載のエビ様真空凍結乾燥食品の製造方法。
  4. 前記コンニャクゲルの生地は、生地の重量に対して2.5〜4重量%のグルコマンナンを含み、pHが10〜11であることを特徴とする請求項1〜3何れか一項記載のエビ様真空凍結乾燥食品の製造方法。
  5. 前記基材は、基材中に前記コンニャクゲル破砕物を10〜80重量%含むことを特徴とする請求項1〜4何れか一項記載のエビ様真空凍結乾燥食品の製造方法。
  6. 前記混合物の前記基材と前記コンニャクゲルの混合比が3:7〜7:3であることを特徴とする請求項1〜5何れか一項記載のエビ様真空凍結乾燥食品の製造方法。
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