JP7075430B2 - コンニャクゲル及びその製造方法並びにコンニャクゲルを用いたエビ様食品及びその製造方法 - Google Patents

コンニャクゲル及びその製造方法並びにコンニャクゲルを用いたエビ様食品及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エビ様の食感を有するコンニャクゲル及び該コンニャクゲルを用いたエビ様食品に関する。
従来、様々な食品のイミテーション食品が開発されている。例えば、カニカマや人工イクラなどが挙げられ、これらは高価なものの代替品として開発されたが、近年では、植物蛋白を使用した代替肉など、菜食主義だけでなく健康や環境を意識した代替食品が開発されている。
エビについては、国内で採取、養殖された物だけでなく、様々な国々で採取されたエビや主に東南アジア等で養殖されたエビを輸入している。近年の需要増大と病気の蔓延により価格が高騰しており、また、近年の菜食主義や健康、環境の面からも、エビについても安価でより本物に近い食感を有する代替食品が求められている。
エビの代替食品については、例えば、特許文献1~3が開示されている。
特許文献1は、たんぱく質の摂取を制限されている患者向けの低たんぱくでエビ又はカニ蒲鉾様の食感を有するエビ、カニ蒲鉾様食品の製造方法に関するものであり、コンニャク精粉1重量部、繊維長が100μm以下の水不溶性食物繊維0.5~4重量部に、水、塩基を加えたものを、熱水中でゲル化する工程Aと、工程Aにより得られたゲル化物を5mm以下に裁断する工程Bと、工程Bにより得られた裁断物にコンニャク精粉と水を混合して成型する工程Cと、工程Cで得られた成型物を熱水中でゲル化させる工程Dを含むことを特徴とする低たんぱくのエビ又はカニ蒲鉾様食品の製造法が開示されている。
また、特許文献2は、価格が高騰するエビの代替として使用できる、エビ代替食品に関するものであり、コンニャク粉、アミロペクチンを90重量%以上含有するデンプン、アルカリ剤および水を混合し、加熱した後凍結し製造される、エビ代替食品が開示されている。
また、特許文献3は、エビ様食感を有するエビ代替食品の製造方法に関するものであり、小麦澱粉及び/又はハイアミロースコーンスターチ1~10重量%、コンニャク粉1.5~8重量%、セルロース1~7重量%、アルカリ剤および水を混合し、加熱した後凍結する、エビ代替食品の製造法が開示されている。
いずれの技術もコンニャクをゲル化したものを使用したものであるが、エビ様の食感としては、十分なのもではなかった。
特許第5874644号公報 特開2015-177754号公報 特許第6137412号公報
本発明は、エビ様の食感を有するコンニャクゲル及び該コンニャクゲルを用いたエビ様食品を提供することを目的とする。
発明者は、従来のコンニャクゲルでは不十分であったエビ様の食感を再現すべく、コンニャクゲルの内部構造について着目し鋭意研究した結果、本発明に至った。
すなわち、下記構成(A)~(G)を有するコンニャクゲルである。(A)グルコマンナン含量が3.5~12重量%、(B)水分含量が70~90重量%、(C)ゲルの大きさが長辺7~20mm、(D)ゲルの厚みが0.5~1.5mm、(E)ゲルの断面における100μm以上の細孔を計測した空隙率が9~17%、(F)ゲルの断面における最大細孔空隙率が3~6%(G)冷凍変性されている。
また、本発明に係るコンニャクゲルは、構成(H)を有することが好ましい。(H)加工澱粉の含量が4.5~18重量%。
また、本発明に係るコンニャクゲルの製造方法としては、生地の重量に対して2.5~4重量%のグルコマンナンと、アルカリ剤と、水と、を混合し、生地のpHが10~11となるように生地を作製する生地作製工程と、作製した前記生地を成型する成形工程と、成型した前記生地を蒸煮しゲル化物を作製する蒸煮工程と、作製した前記ゲル化物を凍結すると凍結工程と、凍結した前記ゲル化物を大きさが長辺7~20mm、厚みが0.5~1.5mmに細断する細断工程と、細断した前記ゲル化物をマイクロ波または減圧乾燥により、水分が70~90重量%で、ゲルの断面における100μm以上の細孔を計測した空隙率が9~17%、ゲルの断面における最大細孔空隙率が3~6%となるように多孔質化する多孔質化工程と、を含むことが好ましい。
また、本発明に係るコンニャクゲルの製造方法としては、 生地作製工程において、生地の重量に対して加工澱粉3.5~8重量%添加することが好ましい。
また、本発明に係るエビ様食品は、グルコマンナン、タンパク質素材、加工澱粉、アルカリ剤及び水を含む基材と、本発明に係るコンニャクゲルを含むことが好ましい。
また、本発明に係るエビ様食品は、基材に、グルコマンナン3~4.5重量%、タンパク質素材1~3重量%、加工澱粉8~15重量%を含み、pHが9.5~10.5であり、エビ様食品の重量に対して、基材を30~70重量%、本発明に係るコンニャクゲルを、70~30重量%含むことが好ましい。
また、本発明に係るエビ様食品の製造方法としては、生地の重量に対して、グルコマンナン3~4.5重量%と、タンパク質素材1~3重量%と、加工澱粉8~15重量%と、アルカリ剤と、水と、を混合し、基材のpHが9.5~10.5となるように基材を作製する基材作製工程と、請求項3または4記載のコンニャクゲル製造工程と、前記基材作製工程で作製した基材と、前記コンニャクゲル製造工程で製造したコンニャクゲルとを3:7~7:3の比で混合し、混合物を作製する混合工程と、前記混合工程で作製した混合物を成形し成形物を作製する成型工程と、記成型工程で作製した成形物を蒸煮し、加熱凝固させる加熱工程と、を含むことが好ましい。
また、本発明に係るエビ様食品の製造方法としては、加熱工程の後、加熱凝固した成形物の表面を乾燥する乾燥工程を含むことが好ましい。
本発明により、エビ様の食感を有するコンニャクゲル及び該コンニャクゲルを用いたエビ様食品を提供することができる。
試験例1-1のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1-2のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1-3のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1-4のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1-5のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験1-1の各サンプルのレオメータによる物性試験結果のグラフである。 試験例1-6のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1-7のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1-8のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1-9のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1-10のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験例1-11のコンニャクゲルサンプルの断面の電顕写真である。 試験1-2の各サンプルのレオメータによる物性試験結果のグラフである。 試験2-1~2-3に使用したエビ様食品作製用の金型の写真である。 試験例2-13のエビ様食品の写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
<コンニャクゲル>
本発明に係るコンニャクゲルは、具体的には、ゲル中にグルコマンナンを3.5~12重量%含み、水分は70~90重量%、ゲルの大きさは、長辺が7~20mm、厚みが0.5~1.5mmあり、ゲル断面に100μm以上の細孔を計測した空隙率が9~17%であり、ゲル断面における最大細孔空隙率が3~6%の多孔質構造を有し、冷凍変性されているものである。
(グルコマンナン)
本発明に係るコンニャクゲル中に含有するグルコマンナンの含有量としては、コンニャクゲル重量に対して3.5~12重量%であることが好ましい。グルコマンナンは、ゲルの骨格を形成するため、3.5重量%よりも少なくなるとコンニャクゲルの弾力が弱くなる。グルコマンナンの添加量が12重量%よりも多くなると他の添加物の含有量が少なくなる。本発明に係るコンニャクゲル中に含有するグルコマンナンの含有量は、コンニャクゲルの水分量や他の添加物の添加量により左右するが、より好ましくは、8.5~10.5重量%である。
(加工澱粉)
本発明に係るコンニャクゲルは、加工澱粉を含有することができる。加工澱粉を含有することにより、グルコマンナンだけでは、出せない食感を表現することができる。澱粉の種類は、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉を使用することができる。加工澱粉としては、架橋澱粉、エーテル化澱粉、アセチル化澱粉、酸化澱粉などが挙げられるが、凍結処理をするため、冷凍耐性があることが好ましく、リン酸架橋澱粉、エーテル化澱粉、エーテル化リン酸架橋澱粉が好ましい。加工澱粉の含有量としては、コンニャクゲル中に4.5~18重量%含まれることが好ましい。4.5重量%未満であると加工澱粉による食感改善効果が弱く、18重量%よりも多くなると加工澱粉の食感が強くなりすぎる。本発明に係るコンニャクゲル中に含有する加工澱粉の含有量は、コンニャクゲルの水分量や他の添加物の添加量により左右するが、より好ましくは、13.5~16.5重量%である。
(水分)
本発明に係るコンニャクゲルの水分は70~90重量%が好ましい。通常のコンニャクゲルの水分は、90%よりも多い場合が多いが、本発明に係るコンニャクゲルは、多孔質構造を得るためにマイクロ波などで処理されるため、水分が蒸発する。水分が70重量%未満となると、急激にゲルが発砲し、多孔質構造が不適となるため食感が悪くなる。逆に水分が90重量%よりも高くなると十分な多孔質構造を得られない。また、本発明に係るコンニャクゲルを用いてエビ様食品などを作製する場合には、コンニャクゲル以外の基材の水分よりも低くすることで、基材から水分移行によるコンニャクゲルの食感劣化を抑制することができる。より好ましい水分量としては、70~80重量%である。
(形状)
本発明に係るコンニャクゲルの形状は、直方体に限らず、楕円柱でも、不定形でもよいが、長辺が7~20mm、厚みが0.5~1.5mmが好ましい。本発明において、長辺とは、コンニャクゲルの最長の長さを示し、厚みは、コンニャクゲルの最短の長さを示す。例えば、10x5x1mmの長方形状であれば、長辺が10mm、厚みが1mmとなる。また、径が1.5mm、長さが10mmの円柱状であれば、長辺10mm、厚み1.5mmとなる。長辺が7mmよりも短いと噛んだ時にコンニャクゲルの食感を感じにくく、20mmよりも大きいと、コンニャクゲルを混ぜるなどの加工がしづらくなる。また、厚みが0.5mmよりも薄いとコンニャクゲルの弾力を感じにくく、1.5mmよりも厚くなるとコンニャクゲルの弾力を強く感じすぎる。また、コンニャクゲルの形状としては、出来るだけ細長い形状が好ましく、長辺や厚み以外の3次元方向の長さ(短辺)は、5mm以下が好ましい。
(多孔質構造)
本発明に係るコンニャクゲルは、空隙率が9~17%の多孔質構造を有する。本発明に係る空隙率は、ゲルの断面を電子顕微鏡で観察した時に断面の100μm以上の細孔の面積を計測し、計測した断面の面積に対する細孔の総面積の割合である。空隙率が9%未満であると詰まった弾力の強いゲルのような食感となる。逆に空隙率が17%よりも大きいと膨化が起こりすぎ過乾燥になるため、繊維感が強く噛み切りづらくなる。
また、本発明に係るコンニャクゲルは、最大細孔空隙率が3~6%の多孔質構造を有する。本発明に係る最大細孔空隙率は、ゲルの断面を電子顕微鏡で観察した時のゲルの断面積の面積に対する細孔の最大面積の割合である。最大細孔空隙率が6%を超えると大きな空隙を有するようになり、食感にムラが出たり、膨化が起こりすぎ過乾燥になるため繊維感が強く噛み切りづらくなる。逆に最大細孔空隙率が3%よりも低くなると、空隙の大きさが小さすぎるため詰まった弾力の強いゲルのような食感となり、多孔質構造による食感改善が得られにくい。
なお、多孔質構造を測定する断面としては、長辺方向に垂直な断面を観察することが好ましい。観察は、走査型電子顕微鏡で行い、倍率100~200倍程度で低減圧下にて撮影することが好ましい。また、空隙の測定については、電子顕微鏡で撮影した画像から細孔を測るような画像解析ソフトを用いて100μmの細孔の面積や数を測定する。このような画像ソフトとしては、Media Cybernetics 社製のImage-Pro Premier 9.1が挙げられる。測定したデータより、空隙率や最大空隙率を算出する。
(冷凍変性)
本発明に係るコンニャクゲルは、冷凍変性されている。コンニャクゲルを冷凍変性する方法としては、特に限定はなく、通常の-18℃程度の冷凍庫で凍結させても、-35℃以下の急速凍結庫で凍結させてもよい。冷凍することにより、コンニャクゲルが変性し、適度な食感を有するようになる。
上記のように、ゲル中にグルコマンナンを3.5~12重量%含み、水分は70~90重量%、ゲルの大きさは、長辺が7~20mm、厚みが0.5~1.5mmあり、ゲル断面に100μm以上の細孔を計測した空隙率が9~17%であり、ゲル断面における最大細孔空隙率が3~6%の多孔質構造を有し、冷凍変性されているコンニャクゲルを用いることによって、エビ様の筋繊維を噛んだ時のようなプリプリした食感を再現することができる。
<コンニャクゲルの製造方法>
コンニャクゲルの作製方法としては、下記の方法が例示される。
(生地作製)
グルコマンナン、炭酸ソーダや水酸化カルシウムなどのアルカリ剤と水を混合し、生地を作製する。アルカリ剤の他に、加工澱粉や食塩、アミノ酸、調味料、色素、香料などを添加することもできる。グルコマンナンの添加量としては、生地の重量に対して2.5~4重量%の範囲が好ましい。2.5重量%未満であるとゲルの強度が弱く、4重量%よりも多いとゲルの強度が強い。なお、本発明に係るグルコマンナンとしては、グルコマンナン製剤を使用しても、コンニャク粉を使用してもよく、グルコマンナンとして、上記添加量を含むことが好ましい。アルカリ剤の添加量としては、特に限定はなく、生地のpHが10~11が添加することが好ましい。加工澱粉の添加量としては、生地の重量に対して3.5~8重量%の範囲が好ましい。8重量%よりも多くなると澱粉の性状が強くなり、3.5重量%未満になると澱粉の効果が得られにくい。水の添加量としては、他の添加資材の量にもよるが、添加量に生地の重量に対して生地の水分が90±5重量%となるように添加すればよい。生地の混合方法としては、フードミキサーなどの装置に水を入れ、グルコマンナンや澱粉、食塩などの粉末物を混合したものを添加後、撹拌混合し、最後にアルカリ剤を添加し混合すればよい。アルカリ剤の添加が早すぎると生地が凝固し始めるため好ましくない。
(成型工程)
生地作製工程で作製した生地を成形する。成型方法は特に限定はなく、型枠に入れて成型する方法、板に薄く延ばして成形する方法、ロールにより成形する方法、筒等に入れて穴から押し出すことにより成形する方法が挙げられる。成型する形状は特に限定はないが、シート状や麺線状に成型することが好ましく、シート状の場合は、厚みが0.5~1.5mmとなるように、麺線状の場合は、径や厚みが0.5~1.5mmとなるように成形することが好ましい。
(蒸煮工程)
成型した生地を蒸煮により加熱凝固しゲル化物を作製する。蒸煮の方法は、特に限定はなく、生地がしっかり凝固する程度に行えばよい。例えば、90℃以上のスチームで5~20分程度蒸すことや、90℃以上の熱湯で5~10分程度加熱する方法が挙げられる。
(凍結工程)
加熱凝固したゲル化物の粗熱をとり、凍結する。凍結することにより、ゲルが変性することでコンニャクのゲルっぽい食感から適度な弾力のある食感となるだけでなく、後述する細断工程で細断しやすくなる。凍結方法は特に限定はなく、例えば、エアブラスト式のトンネルフリーザー、スパイラルフリーザー、ワゴンフリーザーや急速凍結庫、ブライン式のフレキシブルフリーザー等が適用できる。凍結は、ゲル化物の品温が-18℃程度以下となるまでしっかりと凍結することが好ましい。
(細断工程)
凍結したゲル化物を所定の大きさに切断する。切断方法は特に限定はなく、ロール刃に切断する方法や、包丁刃により切断する方法などが挙げられる。切断後のゲルは一番長い辺(長辺)が7~20mm程度、ゲルの一番短い辺が(厚み)が0.5~1.5mmとなるように切断する。また、コンニャクゲルの形状としては、出来るだけ細長い形状が好ましく、長辺や厚み以外の3次元方向の長さ(短辺)は、5mm以下が好ましい。例えば、凍結したゲル化物が麺線状の場合であれば、長さが7~20mmとなるように回転刃や包丁刃で切断すればよく、シート状であれば長辺が7~20mm、短辺が0.5~5mmの直方体となるように切断すればよい。長辺が7mmよりも短いと噛んだ時にコンニャクゲルの食感を感じにくく、20mmよりも大きいと、コンニャクゲルを混ぜるなどの加工しづらくなる。また、厚みが0.5mmよりも薄いとコンニャクゲルの弾力を感じにくく、1.5mmよりも厚くなるとコンニャクゲルの弾力を強く感じすぎる。また、形状が正方形の板状に近づくとエビ様食品を作製する際に加工しづらくなる。
(多孔質化工程)
細断工程で細断したゲルを多孔質化する。多孔質化の方法は、マイクロ波処理や凍結乾燥後、復水する方法が挙げられ、多孔質構造がゲル断面における100μm以上の細孔を計測した空隙率が9~17%であり、ゲル断面における最大細孔空隙率が3~6%の範囲になるように行えばよい。マイクロ波処理の場合は、できるだけ低ワットで行う方が、多孔質構造をコントロールしやすい。また、マイクロ波処理によって水分も蒸散するため、水分調整する必要も少ない。例えば200Wで処理する場合は、1~10分程度処理することが好ましい。水分が70重量%未満となると、マイクロ波処理の場合、空隙率が高くなり、大きな細孔ができるようになる。逆に水分が90重量%よりも高いと、細孔が小さく、空隙率も不十分になる。真空凍結乾燥の場合は、一度乾燥した後、水を吸水させて水分を70~90重量%に調整する。水分が70重量%未満となると、弾力が強く、乾いた硬い食感となる。逆に水分が90重量%よりも多いとゲルがみずみずしくなるが、弾力が弱くなる。マイクロ波処理の場合も真空凍結乾燥の場合も、水分が70~80重量%の範囲がより好ましい。なお、マイクロ波処理や真空凍結乾燥による多孔質化工程を行っても、ゲルの形状は細断処理後の形状とほとんど変わらない。
以上のように、作製したコンニャクゲルは、エビ様の食感を有し、エビ様食品に使用することができる。
<エビ様食品及びその製造方法>
本発明に係るエビ様食品は、上記本発明に係るコンニャクゲルを使用する。エビ様食品の基材としては特に限定はなく、カニ蒲鉾の様にすり身を使用してもよく、コンニャクゲル同様にグルコマンナンを使用してもよい。特に菜食主義対応のため、本発明ではグルコマンナンを使用したエビ様食品及びその製造方法について記載する。
(基材作製工程)
本発明に係る基材の役割としては、本発明に係るコンニャクゲルをまとめて結着させるだけでなく、コンニャクゲル間を埋め、コンニャクゲルの食感だけでは表現できない、エビ様の舌ざわりや固形物感を付与し、全体としてエビ様食品の食感を調整する役割がある。本発明に係るエビ様食品の基材としては、グルコマンナン、タンパク質素材、加工澱粉、アルカリ剤を使用する。
本発明に係るエビ様食品の基材のグルコマンナンの添加量としては、基材の重量に対して3~4.5重量%含むことが好ましい。3重量%未満だと柔らかすぎ、4.5重量%よりも多くなると成形などがしづらくなる。
本発明に係るエビ様食品の基材のタンパク質素材は、タンパク質を多く含むものであればよく、卵白粉末などの卵白、大豆粉末や分離大豆タンパク粉末などの大豆タンパク、グルテンなどの小麦タンパク、ゼラチン、脱脂粉乳やカゼインなどの乳タンパクなどを使用できる。タンパク質成分を含むことにより、基材にエビらしい筋繊維的な舌触りを付与することができる。好ましいタンパク質素材としては、卵白や大豆タンパクが好ましく、菜食主義対応のためには大豆タンパクが好ましい。タンパク質素材の好ましい添加量としては、基材の重量に対して1~3重量%添加することが好ましい。1重量%未満だとグルコマンナン由来のゲル感が強くなり、3重量%よりも多くなるとゲル強度が弱くなり柔らかくなる。
本発明に係るエビ様食品の基材の澱粉の種類は、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉を使用することができる。加工澱粉としては、架橋澱粉、エーテル化澱粉、アセチル化澱粉、酸化澱粉などが挙げられる。本発明に係るエビ様食品としては、保水性や老化耐性のあるリン酸架橋澱粉、エーテル化澱粉、エーテル化リン酸架橋澱粉、が好ましい。加工澱粉を添加することにより、基材にボディー感を付与することができ、コンニャクのゲルっぽい食感を抑えることができる。加工澱粉の添加量としては、基材の重量に対して8~15重量%含まれるように添加することが好ましい。8重量%未満であると澱粉によるボディー感が弱く、15重量%よりも多くなると澱粉の食感が強くなりすぎる。
本発明に係るエビ様食品の基材のアルカリ剤は、基材を塩基性にできればよく、炭酸ソーダや水酸化カルシウムなどのアルカリ剤が挙げられる。アルカリ剤の添加量としては、基材のpHが9.5~10.5となるように添加すればよい。
本発明に係るエビ様食品の基材としては、上記素材の他に食塩、アミノ酸、油脂、乳化剤、結晶セルロース粉末、調味料、色素、香料などを添加することもできる。結晶セルロース粉末は、食感に大きな影響を及ぼすことなく、エビ様食品にグルコマンナンや澱粉では表現できない不溶性の固形物感を与えることができる。ただし、入れすぎるとグルコマンナンのゲル化を阻害し、少なすぎるとエビ様食品の固形物感が少なく、ゲルっぽい食感となるため、基材の重量に対して、0.5~2.5重量%添加することが好ましい。また、油脂は、タンパク質素材のざらつきを抑え、油溶性の色素や香料を分散させることができ、乳化した状態で基材に添加することが好ましい。添加量としては、生地の重量に対して1~3重量%となるように添加することが好ましい。添加しすぎるとグルコマンナンのゲル結合を阻害し、少なすぎると油脂による食感や風味の改善効果が得られにくい。油脂の種類としては、ごま油、菜種油、米油、大豆油、コーン油などが挙げられる。
本発明に係るエビ様食品の基材の作製方法としては、フードミキサーなどの装置に、水または油脂を使用する場合は水に乳化した乳化液を入れ、グルコマンナンや澱粉、結晶セルロース、アミノ酸、調味料、食塩などの粉末物を混合したものを添加後、撹拌混合し、最後にアルカリ剤を添加し混合する。アルカリ剤の添加が早すぎると生地が凝固しすぎるため好ましくない。
(混合工程)
基材作製工程で作製した基材と、本発明に係るコンニャクゲルを混合する。混合方法は特に限定はないが、コンニャクゲルが破損しない程度で素早く均質に混ぜればよい。基材とコンニャクゲルとの混合比(重量比)は、3:7~7:3の比で混合することが好ましい。基材が多すぎるとコンニャクゲルの食感を感じにくく、基材が少なすぎるとコンニャクゲルと基材の混合物が成形しづらく、コンニャクゲルの食感が強くなる。
(成型工程)
混合工程で作製した混合物を成形し成形物を作製する。成型方法は特に限定はなく、図14で示すようなエビ状の成形型や口金から絞り出すことで成形すればよい。成型工程において金型を使用する場合、金型を着色しておくことで表面にエビ様の着色をすることができる。
(加熱工程)
成型工程で成形した成形物を蒸煮し、加熱凝固させる。蒸煮方法は、この場合スチームによる方法が好ましい。ボイルの場合、成形物の形状が壊れる可能性がある。スチーム方法は、作製する成形物の大きさによるため特に限定はなく、生地がしっかり凝固する程度に行えばよく、90℃以上のスチームで5~20分程度蒸すことが好ましい。
(その他工程)
加熱工程で加熱凝固した成形物は、冷却後そのままエビ様食品として喫食することができる。また、すぐに使用しない場合は、冷凍することで冷凍物として流通することもできる。そうすることで基材からコンニャクゲルへの経時的な水分移行を抑えることができ、食感を使用時まで維持することができる。
また、加熱工程で加熱凝固した成形物の表面を乾燥することが好ましい。乾燥方法としては、特に限定はなく、熱風乾燥やマイクロ波による乾燥を行えばよい。乾燥は、表面の水分を数%程度落とし、表面に被膜を作製するだけでよく、熱風乾燥の場合40~150℃の熱風で10秒~180秒程度、マイクロ波処理であれば200Wで30秒程度乾燥すればよい。乾燥被膜を作ることにより、エビ様食品を食べたときの表面のプリッとした食感をより感じることができる。
以上のように、本発明に係る多孔質構造を有するコンニャクゲルを用いることにより、エビのような食感を有するエビ様食品を製造することができる。
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。
<試験1-1>コンニャクゲルの評価
(試験例1-1)
下記表1に記載した資材の内、水と炭酸ソーダを除き、粉体混合し、フードミキサーに水を入れ、粉体混合物を添加し、フードミキサーで均質に混ざるように1分程度撹拌した後、炭酸ソーダを添加し、1分さらに撹拌し、生地を作製した。
作製した生地をビニールに入れ、厚さ1mmとなるように生地をロールで伸ばし、98℃の蒸気庫で15分間スチームし、加熱凝固した。
加熱凝固したゲルを10x5mmに裁断機で細断し、評価サンプルとした。
Figure 0007075430000001
(試験例1-2)
試験例1-1と同様に生地を加熱凝固した後、-40℃の凍結庫で15分程度凍結した。凍結したゲルを10x5mmに裁断機で細断し、自然解凍して評価サンプルとした。
(試験例1-3)
試験例1-2で細断したゲルを40℃の熱風で水分が73重量%となるように乾燥し、評価サンプルとした。
(試験例1-4)
試験例1-2で細断したゲルを電子レンジにて200W、8分間処理し(水分73重量%)、評価サンプルとした。
(試験例1-5)
試験例1-2で細断したゲルを真空凍結乾燥機を用いて、棚温60℃、真空度1.5torr以下で水分が2重量%となるまで乾燥した後、水を添加し水分が73重量%となるまで復元し、評価サンプルとした。
試験例1-1~1-5の評価サンプルについて、電子顕微鏡による構造解析、レオメータによる物性評価及び官能評価を行った。電子顕微鏡による構造解析は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JCM-6380LA、100倍率)にて撮影し、撮影したデジタル画像をMedia Cybernetics 社製のImage-Pro Premier 9.1により画像解析し行った。測定は、100μm2以上の孔の数、観察するサンプルの断面積、細孔の合計面積、最大の細孔の面積を測定し、空隙率(細孔合計面積/断面積)、平均細孔空隙率(空隙率/細孔数)、最大細孔空隙率(最大の細孔面積/断面積)を算出した。サンプル数はN=5とし、平均値をサンプルの値とした。
レオメータの測定は、単軸圧縮・引張型レオメータ(RE-33005C、株式会社 山電)を用いて、移動速度 0.1mm/s、最大変形90%で単軸等速陥入試験を行った。ロードセルは定格容量19.6Nのもの、プランジャーは円柱型で直径3.0mmのものを使用した。また、評価サンプルは、ゲルの長辺に対して垂直に押圧するように測定した。測定は、0.01秒ごとに行い、力(荷重)と変形について測定した。測定したデータをY軸が力、X軸が変形となるようにグラフにプロットして、図6、13で示すような力-変形曲線を作成した。
官能試験については、ベテランのパネラー5人により行い、エビ様の食感として非常に良好なものを5、良好なものを4、概ね可なものを3、不適なものを2、著しく不適なものを1として評価を行った。
構造解析結果及び官能評価結果を下記表2に示す。また、各評価サンプルの代表的な電顕写真を図1~5に示す。また、各サンプルのレオメータによる測定結果を示したグラフを図6に示す。
Figure 0007075430000002
官能評価結果から、試験例1-4及び試験例1-5で示すようにコンニャクゲルを凍結した後、マイクロ波処理したもの及びコンニャクゲルを凍結した後、真空凍結乾燥し、水分を復水したものが、エビ様の食感として良好であった。試験例1-4及び試験例1-5のサンプルの構造を電子顕微鏡で観察した結果、他の試験例と比較してゲル内部に空隙を多く有していることが判明した。また、最大細孔空隙率も他の試験例と比較し3%以上と高く、ある程度の大きさの空隙を有していた。
各試験区の評価サンプルの物性をレオメータによって測定した結果、図6で示すように、試験例1-2の凍結したサンプルは、試験例1-1の凍結していないサンプルと比較して、破断強度が上昇するだけでなく、山が見られないことから、凍結変性によりゲルが破断しにくくなったものと考える。また、乾燥処理した試験例1-3~1-5のサンプルは、試験例1-2の乾燥していないサンプルに比べ破断強度が高くなっており、山が見られることから乾燥することにより、ゲルが破断するようになったことがわかる。しかしながら、熱風乾燥した試験例1-3では、破断後の落差が大きいいのに対し、真空凍結乾燥した試験例1-4やマイクロ波乾燥した試験例1-5では、破断した後の落差が小さく、次の山(抵抗)が発生している。これは、内部に空隙があることで破断したゲルが一気に割けるのではなく、内部の空隙で止まり、次の抵抗となっているものと考える。このような連続する抵抗が、エビの筋繊維を噛んだ時のプリプリとした食感に似ているものと考える。
<試験1-2>コンニャクゲルの多孔質構造の検討
(試験例1-6)
電子レンジによる処理を200W、1分とする以外は、試験例1-4の方法に従って、評価サンプルを作製した(水分89.5重量%)。
(試験例1-7)
電子レンジによる処理を200W、5分とする以外は、試験例1-4の方法に従って、評価サンプルを作製した(水分80重量%)。
(試験例1-8)
電子レンジによる処理を200W、10分とする以外は、試験例1-4の方法に従って、評価サンプルを作製した(水分71.0重量%)。
(試験例1-9)
電子レンジによる処理を1000W、1分とする以外は、試験例1-4の方法に従って、評価サンプルを作製した(水分82重量%)。
(試験例1-10)
電子レンジによる処理を1000W、5分とする以外は、試験例1-4の方法に従って、評価サンプルを作製した(水分1.5重量%)。
(試験例1-11)
電子レンジによる処理を1000W、5分とした後、水で復水し水分を71重量%とする以外は試験例1-4の方法に従って、評価サンプルを作製した。
試験1-2について試験1-1同様に電子顕微鏡による構造解析、レオメータによる物性評価及び官能評価を行った。なお、試験区1-10については、乾燥して硬すぎるため物性測定を行わなかった。構造解析結果及び官能評価結果を下記表3に示す。また、各評価サンプルの代表的な電顕写真を図7~12に示す。また、各サンプルのレオメータによる測定結果を示したグラフを図13に示す。また、マイクロ波処理後の試験例1-6~試験例1-9の各成分の含有量を示した表を下記表4に示す。
Figure 0007075430000003
Figure 0007075430000004
マイクロ波の強度や時間を変えて試験した結果、水分が70重量%までは、水分が徐々に落ちていくが、水分が70重量%切ると急激に水分が低下した。これは、水分が70重量%を切る程度で内部の水分が急激に蒸散して発泡するものと考えられる。官能試験の結果、試験例1-10のように乾燥が進んでしまったサンプルは、食感が硬く悪いものであった。試験例1-11のように乾燥が進んでしまったものを復水したサンプルは、多少食感が改善するもの繊維感が強く噛み切りにくい食感であった。試験例1-6~1-9で示すように水分が70重量%に近い程良好な食感を有するようになり、水分の減りが少ない程水っぽく食感がゲルっぽい結果となった。また、試験例1-7と試験例1-9を比較すると同エネルギーで処理する場合、低ワットで長時間処理する方が高ワットで短時間処理するよりも良好な食感となった。
多孔質構造を電子顕微鏡で観察した結果、試験例1-6~1-9で示すように、水分が70重量%以上の間は、空隙率が9~17%の範囲、最大細孔空隙率も3~6%の範囲で、細孔数もさほど変わらないが、試験例1-10で示すように、乾燥しすぎると膨化が進み空隙率が著しく上昇し、最大細孔空隙率も高くと大きな空隙ができ、細孔数も著しく上昇した。試験例1-11で示すように水分を復水した場合、細孔数が減少するものの、依然空隙率は20%以上であり、最大空隙率も8%以上であった。
図13で示すように、試験例1-6~1-9のサンプルの物性をレオメータで測定した結果、変形率が高くなるにつれ複数の小山が発生した。水分が高い試験例1-6や試験例1-9は、力の最大値を迎えて大きくゲルが破断した後の力の落ち方が比較的急であり、弾力はあるものの歯切れが良くエビの筋繊維的な食感が弱いことを示しているものと考える。それに対し、試験例1-7及び1-8は、力の最大値を迎えてからの力の落ち方が緩やかであり、エビの筋繊維を噛んだ時のプリプリとした食感に似ているものと考える。しかしながら、試験例1-11では、試験例1-6~1-9と同様に複数の小山が観察されるもの大きい山の後もさらに力が上昇していった。これは繊維感が強くなりすぎ、噛み切りにくい食感を表しているものと考える。
<試験1-3>コンニャクゲルの配合検討
(試験例1-12)~(試験例1-20)
コンニャクゲルの配合を下記表5とする以外は、試験例1-8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。ただし、水分が71重量%となるようにマイクロ波処理の時間は、試験例ごとに微調整した。
Figure 0007075430000005
コンニャクゲルの生地中のグルコマンナンの添加量としては、試験例1-8、1-12、1-13に示すように、2.5~4重量%が好ましいことがわかる。また、コンニャクゲルの生地中の加工澱粉の添加量としては、試験例1-16~1-10に示すように、3.5~8重量%が好ましいことがわかる。また、コンニャクゲルの生地中のアルカリ剤の添加量としては、試験例1-14、1-15で示すように、生地のpH10~11が好ましいことがわかる。
コンニャクゲルの性状は、表4、5に示すように、生地の配合の影響を受けるが、コンニャクゲルは、多孔質化処理されるとともに水分が減少するため、水分の減少量によって、コンニャクゲル中の各成分の含有量は大きく変わる。また、一つの成分の添加量が増えることによって、他の成分の含有量も変化する。そのため、表4、5の結果から、好ましいコンニャクゲル中のグルコマンナンの含有量としては、3.5~12重量%程度、より好ましくは、8.5~10.5重量%程度と考える。また、好ましいコンニャクゲル中の加工澱粉の含有量としては、4.5~18重量%程度、より好ましくは13.5~16.5重量%であると考える。
<試験1-4>コンニャクゲルの形状
(試験例1-21)
コンニャクゲルの厚みを0.5mmとする以外は、試験例1-8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1-22)
コンニャクゲルの厚みを1.5mmとする以外は、試験例1-8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1-23)
加熱凝固したゲルを5x5mmに裁断機で細断する以外は、試験例1-8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1-24)
加熱凝固したゲルを7x5mmに裁断機で細断する以外は、試験例1-8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1-25)
加熱凝固したゲルを20x5mmに裁断機で細断する以外は、試験例1-8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1-26)
加熱凝固したゲルを10x2.5mmに裁断機で細断する以外は、試験例1-8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1-27)
加熱凝固したゲルを10x10mmに裁断機で細断する以外は、試験例1-8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
(試験例1-28)
加熱凝固したゲルを2.5x2.5mmに裁断機で細断する以外は、試験例1-8の方法に従ってコンニャクゲルを作製した。
試験1-4について試験1-1同様に官能評価を行った。官能評価結果を下記表6に示す。
Figure 0007075430000006
試験例1-8、1-21、1-22で示すように、コンニャクゲルの厚みとしては、0.5~1.5mmの範囲が好ましい。また、試験例1-8、1-23~1-25、1-28で示すようにコンニャクゲルの長辺としては7~20mmが好ましい。7mmより小さいと噛んだ時にゲルを感じにくい。また20mmとなると成形しづらくなる。また、形状としては、試験例1-8、1-26、1-27で示すように細長い形状が成形面や食感の面でも好ましい。
<試験2-1>エビ様食品の基材の検討
(試験例2-1)~(試験例2-12)
下記表7に記載した資材の内、水、乳化油脂、油溶性のエビフレーバー、炭酸ソーダを除き、粉体混合した後、フードミキサーに水に乳化油脂及び油溶性エビフレーバーを分散させた液を添加し、次いで粉体混合物を添加し、均質に混ざるように1分程度撹拌した後、炭酸ソーダを添加し、1分さらに撹拌し、基材を作製した。
作製した基材を基材の重量6に対して、試験例1-8のコンニャクゲルを4添加し、良く混合した後、図14で示すようなエビ用の金型の表面に紅麹色素を付着させ、そこに1匹当たり5gに充填し、98℃10分間スチーム加熱した。
スチーム加熱したエビ様食品を冷却し、評価サンプルとした。
試験2-1について試験1-1同様に官能評価を行った。官能評価結果を下記表8に示す。
Figure 0007075430000007
Figure 0007075430000008
本発明に係るエビ様食品の基材の配合としては、試験例2-1~2-3で示すようにグルコナンマンナンの添加量としては、基材の重量に対して3~4.5重量%の範囲で添加することが好ましい。また、試験例2-4、2-5で示すように基材のpHとしては、コンニャクゲルの生地のpHよりも低い9.5~10.5が好ましい。加工澱粉としては、試験例2-6、2-7で示すようにエビ様食品のボディー感を出すために基材の重量に対して8~15重量%の範囲で添加することが好ましい。試験例2-8~2-10で示すようにエビ様のタンパク質っぽい舌ざわりを出すためのタンパク質素材としては、1~3重量%添加することが好ましい。また、不溶性の固形分感を出すために結晶セルロースの添加量としては、0.5~2.5重量%の範囲が好ましい。しかしながら、何れの試験例のエビ様食品サンプルもエビ様食品として十分な食感を有しているものの、表面と内部との食感が均質なため、エビ様の表面に幕の張ったようなプリッとした食感に欠けていた。
<試験2-2>エビ様食品のエビ表面の食感及び基材とコンニャクゲルの比の検討
(試験例2-13)
試験例2-1で作製したエビ様食品を200Wで30秒間マイクロ波処理し、評価サンプルとした。
(試験例2-14)
試験例2-1で作製したエビ様食品を40℃の熱風で3分間乾燥し、評価サンプルとした。
(試験例2-15)
基材とコンニャクゲルの比を3:7とする以外は試験例2-13に従って、エビ様食品を作製した。
(試験例2-16)
基材とコンニャクゲルの比を4:6とする以外は試験例2-13に従って、エビ様食品を作製した。
(試験例2-17)
基材とコンニャクゲルの比を7:3とする以外は試験例2-13に従って、エビ様食品を作製した。
試験2-2について試験1-1同様に官能評価を行った。官能評価結果を下記表9に示す。
Figure 0007075430000009
試験例2-13及び試験例2-14で示すように加熱工程で作製したエビ様食品の表面を乾燥する乾燥工程を設けることにより、表面に張りが出てよりエビ様の食感に近づいた。乾燥方法としては、熱風乾燥よりもマイクロ波の方が表面の膜っぽさが自然で非常に良好であった。
試験例2-13、試験例2-15~2-17で示すように基材とゲルとの混合比は7:3~3:7の範囲が好ましい結果となった。より好ましくは、6:4~4:6の範囲であると考える。

Claims (5)

  1. 下記構成(A)~()を有するコンニャクゲル。
    (A)グルコマンナン含量が3.5~12重量%
    (B)水分含量が70~90重量%
    (C)ゲルの長辺が7~20mm
    (D)ゲルの厚みが0.5~1.5mm
    (E)ゲルの断面における100μm以上の細孔を計測した空隙率が9~17%
    (F)ゲルの断面における最大細孔空隙率が3~6%
    (G)冷凍変性されている
    (H)加工澱粉の含量が4.5~18重量%
  2. 生地の重量に対して2.5~4重量%のグルコマンナンと、3.5~8重量%の加工澱粉と、アルカリ剤と、水と、を混合し、生地のpHが10~11となるように生地を作製する生地作製工程と、
    作製した前記生地を成型する成形工程と、
    成型した前記生地を蒸煮し、ゲル化物を作製する蒸煮工程と、
    作製した前記ゲル化物を凍結する凍結工程と、
    凍結した前記ゲル化物を大きさが長辺7~20mm、厚みが0.5~1.5mmに細断する細断工程と、
    細断した前記ゲル化物をマイクロ波または減圧乾燥により、水分が70~90重量%で 、ゲルの断面における100μm以上の細孔を計測した空隙率が9~17%、最大細孔空隙率が3~6%となるように多孔質化する多孔質化工程と、を含むコンニャクゲルの製造方法。
  3. グルコマンナン、タンパク質素材、加工澱粉、アルカリ剤及び水を含む基材と、
    請求項1載のコンニャクゲルと、を含むビ様食品であって、
    前記基材は、グルコマンナン3~4.5重量%、タンパク質素材1~3重量%、加工澱粉8~15重量%を含み、
    記基材のpHが9.5~10.5であり、
    記エビ様食品の重量に対して、前記基材を30~70重量%、請求項1載のコンニャクゲルを70~30重量%含むことを特徴とするビ様食品。
  4. 基材の重量に対して、グルコマンナン3~4.5重量%と、タンパク質素材1~3重量 %と、加工澱粉8~15重量%と、アルカリ剤と、水と、を混合し、基材のpHが9.5~10.5となるように基材を作製する基材作製工程と、
    請求項記載のコンニャクゲル製造工程と、
    前記基材作製工程で作製した基材と、前記コンニャクゲル製造工程で製造したコンニャクゲルとを3:7~7:3の比で混合し、混合物を作製する混合工程と、
    前記混合工程で作製した混合物を成形し成形物を作製する成型工程と、
    前記成型工程で作製した成形物を蒸煮し、加熱凝固させる加熱工程と、を含むエビ様食品の製造方法。
  5. 前記加熱工程の後、加熱凝固した成形物の表面を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする請求項記載のエビ様食品の製造方法。
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