JP2021147096A

JP2021147096A - 金属製キャップ及びその製造方法

Info

Publication number: JP2021147096A
Application number: JP2020051611A
Authority: JP
Inventors: 征中川; Tadashi Nakagawa; 大輔土本; Daisuke Tsuchimoto
Original assignee: Nippon Closures Co Ltd
Current assignee: Nippon Closures Co Ltd
Priority date: 2020-03-23
Filing date: 2020-03-23
Publication date: 2021-09-27
Also published as: US20230019020A1; CN115362104A; EP4129846A4; KR20220152388A; EP4129846A1; WO2021193075A1

Abstract

【課題】接着性内面塗膜及びマスキング層を同一工程で形成可能な生産性に顕著に優れた金属製キャップ及びその製造方法を提供する。【解決手段】頂板部と該頂板部の周囲から垂下するスカート部とを有する金属製キャップシェル１と、該金属製キャップシェルの頂板部内面にオレフィン樹脂製ライナーとを備えて成る金属製キャップにおいて、金属製キャップシェルの頂板部内面とオレフィン系樹脂製ライナーの間には、ベース樹脂中に接着成分を含有する塗料組成物及びマスキング剤から成る塗膜が形成されており、該塗膜は接着性を有する接着部と、非接着部とを有し、塗膜の接着部は、接着成分が塗膜表面に位置することにより構成され、塗膜の非接着部は、塗膜の金属製キャップシェル側にマスキング層３を有し、該マスキング層に対応する塗膜表面に塗料組成物の接着成分が分散相及びベース樹脂が連続相である海島構造が形成されていることを特徴とする。【選択図】図２

Description

本発明は、金属製キャップシェル及びオレフィン樹脂製ライナーを備えて成り、金属製キャップシェルとオレフィン樹脂製ライナーとの間に非接着乃至弱接着部分を有する金属製キャップ及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、接着性内面塗料組成物及び非接着乃至弱接着部分を形成するためのマスキング剤の塗工を一工程で行うことが可能で、生産性に優れた金属製キャップ及びその製造方法に関する。

従来より、樹脂製ライナーを備えた金属製キャップにおいて、樹脂製ライナーと金属製キャップシェルの頂板部内面に非接着乃至弱接着部分を形成したキャップは知られている。
例えば、下記特許文献１には、オレフィン系樹脂製ライナーが金属製キャップシェルに対して非接着性のマスキング層が部分的に形成され、ライナーの金属製キャップシェルからの脱落が防止されると共に、耐衝撃密封性及び耐ストレスクラッキング性が向上されたライナー付容器蓋が提案されている（特許文献１）。

また下記特許文献２には、金属製キャップシェル及び樹脂製ライナーを備えて成り、金属製キャップシェルに形成されたスカート部下端から頂板部に延びる一対のスコアに沿って金属製キャップシェルを引裂くことにより開封する金属製キャップにおいて、樹脂製ライナーは金属製キャップシェル頂板部内面に対して、非接着乃至弱接着の部分と剥離不可能な強接着の部分を有する易開封性キャップが提案されている（特許文献２）。かかる易開封性キャップにおいては、金属製キャップシェルに非接着乃至弱接着に接着された部分が存在するキャップにおいては、金属製キャップシェルに形成されたスコアを容易に破断できると共に、金属製キャップシェルと剥離不可能に強接着された部分が存在にすることにより、樹脂製ライナーが金属製キャップシェルと一体となって、容器口部からワンアクションで容易に取り外すことが可能になる。

このような、樹脂製ライナーが金属製キャップシェルに非接着乃至弱接着に接着された部分が存在するキャップは、一般に金属製キャップシェルの頂板部内面に樹脂製ライナーに対して接着性を有する内面塗料を塗布・硬化した後、該接着性内面塗膜の上に非接着乃至弱接着とすべき部分にマスキング剤を塗布・硬化してマスキング層を形成し、ライナーとなる溶融樹脂を供給して型押しすることにより、樹脂製ライナーの形成と同時に、金属製キャップシェルと樹脂製ライナーを一体化することにより成形されている。

特開昭５８−１７１３５９号公報特許第４０６５６９０号公報

上述したように、樹脂製ライナーが金属製キャップシェルに対して非接着乃至弱接着となるマスキング層が形成されたキャップにおいては、樹脂製ライナーの金属製キャップシェルからの脱落を防止するための接着性内面塗膜を形成するための工程、及び樹脂製ライナーが非接着乃至弱接着となるマスキング層を形成するための工程を、それぞれ別々に行わなければならないことから、生産性に劣っている。
従って本発明の目的は、接着性内面塗膜及びマスキング層を同一工程で形成可能な生産性に顕著に優れた金属製キャップ及びその製造方法を提供することである。

本発明によれば、頂板部と該頂板部の周囲から垂下するスカート部とを有する金属製キャップシェルと、該金属製キャップシェルの頂板部内面にオレフィン樹脂製ライナーとを備えて成る金属製キャップにおいて、前記金属製キャップシェルの頂板部内面とオレフィン系樹脂製ライナーの間には、ベース樹脂中に接着成分を含有する塗料組成物及びマスキング剤から成る塗膜が形成されており、該塗膜はオレフィン樹脂製ライナーに対して接着性を有する接着部と、オレフィン樹脂製ライナーに対して非接着性又は弱接着性を有する非接着部とを有し、前記塗膜の接着部は、前記塗料組成物の接着成分が塗膜表面に位置することにより構成され、前記塗膜の非接着部は、塗膜の金属製キャップシェル側にマスキング剤から成るマスキング層を有し、該マスキング層に対応する塗膜表面に前記塗料組成物の接着成分が分散相及びベース樹脂が連続相である海島構造が形成されていることを特徴とする金属製キャップが提供される。

本発明の金属製キャップにおいては、
１．前記マスキング剤の塗工量が１〜２５ｍｇ／ｄｍ^２であること、
２．前記塗料組成物の塗工量が２５〜４５ｍｇ／ｄｍ^２であること、
３．前記塗料組成物の塗工量が、マスキング剤の塗工量よりも多く、マスキング層の全部又は一部が塗料組成物により覆われていること、
４．前記マスキング剤が油変性アルキド樹脂であり、前記塗料組成物が、酸化ポリエチレン又は酸変性オレフィン系樹脂を接着性成分とし、エポキシ−フェノール樹脂又はポリエステル−フェノール樹脂をベース樹脂とする塗料組成物であること、
５．前記海島構造における分散相が４〜１８面積％であること、
が好適である。

本発明によればまた、頂板部と該頂板部の周囲から垂下するスカート部とを有する金属製キャップシェルと、該金属製シェルの頂板部内面に塗膜を介してオレフィン樹脂製ライナーを備えて成る金属製キャップの製造方法において、金属製キャップシェルの前記頂板部内面に、オレフィン樹脂製ライナーに対して非接着乃至弱接着性を有する非接着部を形成する箇所にマスキング剤を塗布し、該マスキング剤を硬化させることなく、前記非接着部及び接着部を形成する箇所にベース樹脂中に接着成分を含有する塗料組成物を塗布した後、前記マスキング剤及び前記塗料組成物の硬化を行うことにより、マスキング剤を塗布した箇所以外の塗料組成物を塗布した箇所にオレフィン樹脂製ライナーに対して接着性を有する接着部及びマスキング剤を塗布した箇所にオレフィン樹脂製ライナーに対して非接着性又は弱接着性を有する非接着部を備えた塗膜を形成することを特徴とする金属製キャップの製造方法が提供される。

本発明の金属製キャップにおいては、オレフィン樹脂製ライナーと金属製キャップシェルとの間に接着部及び非接着乃至弱接着部の両方を一工程で形成することが可能であり、生産性に優れている。また生産性良く製造できることから、経済性にも優れている。
また非接着乃至弱接着部に対応するマスキング層が接着成分を含有する塗料組成物により全部または一部が覆われていることにより、マスキング層が削れたりすることによる、マスキング剤による内容物への影響を低減させることが可能である。

従来の金属製キャップシェル内面の構造を説明するための図である。本発明に用いる金属製キャップシェル内面の構造を説明するための図である。本発明の金属製キャップの一例を示す図である。図３に示した金属製キャップの金属製キャップシェルに成形する前の平板の状態を示す平面図である。実施例２及び従来例におけるマスキング層に対応する塗膜表面の走査型電子顕微鏡画像データを２値化処理した画像であり、（Ａ）が実施例２であり、（Ｂ）が従来例である。

本発明は、頂板部と該頂板部の周囲から垂下するスカート部とを有する金属製キャップシェルと、該金属製キャップシェルの頂板部内面にオレフィン樹脂製ライナーとを備え、金属製キャップシェルの頂板部内面とオレフィン系樹脂製ライナーの間に、ベース樹脂中に接着成分を含有する塗料組成物及びマスキング剤から成る塗膜が形成されており、該塗膜がオレフィン樹脂製ライナーに対して接着性を有する接着部と、オレフィン樹脂製ライナーに対して非接着性又は弱接着性を有する非接着部とを有する金属製キャップにおいて、前記塗膜の接着部は、前記塗料組成物の接着成分が塗膜表面に位置することにより構成されており、前記塗膜の非接着部は、塗膜の金属製キャップシェル側にマスキング剤から成るマスキング層を有し、該マスキング層に対応する塗膜表面に前記塗料組成物の接着成分が分散相及びベース樹脂が連続相である海島構造が形成されていることが重要な特徴である。

図１及び図２は、接着成分を有する塗料組成物から成る塗膜及びマスキング層が形成された金属製キャップシェル内面の構造を説明するための図であり、（Ａ）は断面図及び（Ｂ）は上面図をそれぞれ模式的に示す図であり、図１は従来の金属製キャップシェル、図２は本発明に用いる金属製キャップシェルをそれぞれ示す。
図１（Ａ）に示すように、従来の金属製キャップシェルにおいては、金属製キャップシェル１の内面上に、ベース樹脂２ａ中に接着成分２ｂを含有する塗料組成物が塗布・硬化されることにより形成された塗膜２、該塗膜２の上に非接着乃至弱接着とすべき部分にマスキング剤が塗布・硬化されることによりマスキング層３が形成されている。塗膜２は、図１（Ｂ）から明らかなように、マスキング層３が形成された部分を除き、接着成分２ｂが塗膜表面に滲出することによって接着領域を形成し、マスキング層３の表面が非接着領域を形成している。

これに対して、本発明に用いる金属製キャップにおいては、図２（Ａ）に示すように、金属製キャップシェル１の内面に、非接着領域とすべき部分にマスキング層３が形成されていると共に、接着領域とすべき部分にベース樹脂２ａ中に接着成分２ｂを含有する塗料組成物が、マスキング層３も覆うように塗布されて塗膜２が形成されている。この塗膜２は、図２（Ｂ）から明らかなように、マスキング層３が形成されていない領域においては、表面に接着成分２ｂが滲出して接着領域を形成し、マスキング層３が形成されている位置では、塗料組成物のベース樹脂２ａ中に接着成分２ｂが分散した海島構造が形成されている。この海島構造が形成されている領域においては、接着成分２ｂの塗膜表面に占める割合が少ないことから、オレフィン樹脂製ライナーに対して非接着乃至弱接着となり、マスキング層３に対応する塗膜表面が非接着領域として形成される。マスキング層３は塗膜表面に部分的に露出していてもよいが、塗料組成物により全部または一部が覆われていることにより、従来の塗膜形成工程で作成した塗膜表面と比較して硬度が増すため耐傷付性が向上し、マスキング層の内容物への影響を低減させることが可能である。

本発明の金属製キャップにおいては、金属製キャップシェルの非接着領域を形成すべき個所に、塗料組成物に先立ってマスキング剤を塗布すると共に、このマスキング剤を硬化させることなくウェットの状態で、塗料組成物をマスキング剤も覆うように塗布した後、マスキング剤及び塗料組成物の両方を硬化することが重要である。これにより、マスキング層に対応する表面に、前述した非接着領域となる海島構造を形成することが可能になる。海島構造が形成されるメカニズムは明らかではないが、金属製キャップシェル表面に塗布されたマスキング剤が、塗料組成物の塗布の際にウェットの状態にあることから、塗料組成物の塗布によりその表面に凹凸が形成され、マスキング層がウェットであることと相俟ってこの凹凸に塗料組成物中の接着成分が付着し、接着成分の塗膜表面への滲出量が少なくなり、海島構造を形成すると考えられる。したがって、金属製キャップシェルに先に塗布されたマスキング剤を硬化した後、塗料組成物を塗布・硬化した場合には、マスキング層に対応する表面は、上述した接着領域と同様に、塗膜表面に接着成分が滲出してしまい、非接着領域を形成することができない。

海島構造は、マスキング層に対応する塗膜表面の領域面積（図２（Ａ）に示すマスキング層３の塗膜表面への投影面積）において、分散相である接着成分が２０面積％以下、特に４〜１８面積％の範囲にあることが好適である。上記範囲よりも分散相の面積が大きい場合には、マスキング層に対応する塗膜表面がオレフィン樹脂製ライナーに対して非接着乃至弱接着の状態にならず、所期の目的を達成することができない。一方上記範囲よりも分散相の面積が小さい場合には、塗料組成物における接着成分が少ないことから、塗膜による接着領域の接着強度が上記範囲にある場合に比して弱くなるおそれがある。

本発明の金属製キャップにおいて、マスキング剤は１〜２５ｍｇ／ｄｍ^２の塗工量で塗布することが好ましく、塗料組成物は５０ｍｇ／ｄｍ^２以下、特に２５〜４５ｍｇ／ｄｍ^２の塗工量で塗布することが好ましい。これにより、後述するオレフィン樹脂製ライナーを金属製キャップシェル内に確実に保持して、優れた密封性を発現すると共に、必要によりオレフィン樹脂製ライナーを金属製キャップシェルから容易に剥離することが可能となり、金属製キャップを容器口部からワンアクションで容易に取り外すことが可能になる。
また塗料組成物の塗工量は、マスキング剤の塗工量よりも多く、マスキング層が塗料組成物により完全に覆われていることが特に好ましい。これにより、前述したように、マスキング剤の内容物等への影響を考慮する必要がなくなるという利点がある。

（塗料組成物）
本発明の金属製キャップにおいて、金属製キャップシェルの頂板部内面にオレフィン樹脂製ライナーを接着固定するための塗料組成物としては、従来より金属製キャップシェルのオレフィン樹脂製ライナーに対して接着性を有する塗料組成物として使用されていたものをすべて使用することができる。
具体的には、これに限定されないが、ベース塗料として、エポキシ−フェノール系塗料、エポキシ−アミノ系塗料、ビニル−フェノール系塗料等の熱硬化型塗料に、接着成分として、酸化ポリエチレンや、無水マレイン酸やアクリル酸等のエチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性された酸変性オレフィン樹脂を分散させた塗料組成物を例示できる。
またベース塗料として上記の熱硬化型塗料の他、紫外線硬化型塗料も使用することができ、このような紫外線硬化型塗料としては、これに限定されないが、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、熱硬化型アクリル樹脂等の紫外線硬化型モノマー乃至プレポリマーと光ラジカル重合開始剤から成る紫外線ラジカル硬化型の塗料組成物、或いは樹脂成分として紫外線硬化型エポキシ樹脂と、光重合開始剤としてカチオン性紫外線重合開始剤、及び必要によりそれ自体公知のカチオン重合性ビニル単量体、希釈剤、他のエポキシ樹脂、増感剤、架橋剤等を含むカチオン硬化型の塗料組成物を例示できる。
接着成分は、塗料組成物のベース樹脂１００質量部対して１〜１５ｐｈｒの量で含有されていることが好適である。

（マスキング剤）
本発明の金属製キャップにおいて、金属製キャップシェルの頂板部内面にオレフィン樹脂製ライナーに対して非接着領域を形成するために用いるマスキング剤としては、油変性アルキド樹脂、ロジン、ロジン変性フェノール樹脂石油樹脂等を使用することができる。特に、前記塗料組成物が、酸化ポリエチレン又は酸変性オレフィン系樹脂を接着成分とし、エポキシ−フェノール樹脂又はポリエステル−フェノール樹脂をベース樹脂とする塗料組成物である場合には、油変性アルキド樹脂を用いることが好ましい。これにより、塗料組成物に先立って塗布されたマスキング剤の表面に塗料組成物の接着成分が十分に付着し、マスキング層に対応する塗膜表面に、接着成分から成る分散相が２０面積%以下である海島構造が形成され、非接着領域を効率よく形成することが可能になる。

（オレフィン樹脂製ライナー）
本発明の金属製キャップに使用されるオレフィン樹脂製ライナーは、金属製キャップに従来用いられていた公知のものをすべて使用することができる。ライナーを構成するオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−１共重合体等を例示できるが、密封性等の点から低密度ポリエチレンを主体とするものを好適に使用することができる。
オレフィン樹脂製ライナーは、別途成形されたライナーを金属キャップシェルに適用することもできるが、前述した内面塗膜が形成された金属製キャップシェル頂板部内面に溶融樹脂を施し、型押しすることにより、オレフィン樹脂製ライナーの賦形と金属製キャップシェル内への接着を同時に行うことが好適である。

（金属製キャップシェル）
本発明の金属製キャップに使用される金属製キャップシェルは、純アルミニウム又はアルミニウム合金、ティンフリースチール、ブリキ、亜鉛めっき鋼板等の従来金属製キャップに使用されていた金属板から成ることができ、特にアルミニウム板を好適に使用することができる。
またその形状も特に限定されず、後述する図３に示すような引裂きタイプのものの他、螺子キャップ、打栓キャップ等従来公知の形状のものを使用することができる。

（金属製キャップ）
本発明の金属製キャップは、金属製キャップシェルの頂板部に、非接着乃至弱接着領域を形成すべき個所に、上述したマスキング剤を塗布し、該マスキング剤がウェットの状態でオレフィン樹脂製ライナーに対して接着性を有する塗料組成物を、金属製キャップシェル頂板部内面の全面に塗布し、これを硬化させて成る塗膜上に、オレフィン樹脂製ライナーを有する限り種々の形態をとることができる。
例えば、図３に示すように、全体を１0で示す本発明のキャップは、頂板部１１、頂板部１１から垂下するスカート部１２、スカート部の下端１３から下方に延びる開封のための把持部１４から成る金属製のキャップシェル１５において、スカート部下端１３の把持部付け根近傍からスカート部上端を経て頂板部１１に至り、次いで頂板部１１の周縁付近に延びる一対の弱化ライン１６ａ，１６ｂが形成されている。また把持部１４の先端には、把持しやすくするための樹脂製のリング１７が取り付けられている。尚、図３には示されていないが、頂板部１１の内面には、接着性塗膜を介してオレフィン樹脂製ライナーが形成され、このライナーに容器口部が当接するようになっている。

図４は、図３に示した金属製キャップの金属製キャップシェル１５に成形する前の金属板（平板の状態におけるキャップ内面となる側の平面図である。この具体例においては、網点が付された領域が接着領域であり、白色の部分が非接着領域であるが、もちろんこのパターンに限定されない。
この態様の金属製キャップにおいては、金属製キャップシェルの頂板部の非接着領域に弱化ラインが形成されているため、弱化ラインを容易に破断することができる。その一方、金属製キャップシェル頂板部中央部が接着領域にあることから、把持部を更に引き上げ弱化ラインを破断することにより、金属製キャップシェルと共に、オレフィン樹脂製ライナーも容器口部から一体となって取り除くことが可能になる。

また図３及び４に示した態様以外にも、本発明の金属製キャップは、従来公知の懸賞機能付きの金属製キャップ、すなわち、金属製キャップシェルの頂板部内面又はオレフィン樹脂製ライナー内面に懸賞表示を有し、金属製キャップシェル内からライナーを剥離することにより表示を確認できるキャップにも適用可能である。この場合には、金属製キャップシェルは、螺子キャップや打栓タイプのキャップであってよい。
更に、前述した特開昭５８−１７１３５９号公報に記載されたキャップのように、ライナーを剥離することを目的とせず、耐衝撃密封性や耐ストレスクラッキング性を改良する目的で、非接着領域を形成するものであってももちろんよい。

本発明の優れた効果を以下の実施例及び比較例により説明する。
尚、以下の例で用いた各種材料及び評価方法は、以下の通りである。

（塗料組成物）
本発明における塗料組成物は、ベース樹脂（ベース塗料）として９０質量％のエポキシ及び１０質量％のフェノールと共に、接着成分として１０ｐｈｒの酸変性ポリエチレンを含有したエポキシフェノール系塗料を使用した。
（マスキング剤）
本発明におけるマスキング剤は、油変性アルキド樹脂を使用した。

（塗膜形成工程）
図４で示すように、金属製キャップシェル１５に成形する前のアルミニウム基合金薄板の、白色で示す非接着乃至弱接着領域に前記したマスキング剤１０ｍｇ／ｄｍ^２を塗布し、該マスキング剤がウェットの状態で前記した接着成分を含有する塗料組成物３０ｍｇ／ｄｍ^２〜５０ｍｇ／ｄｍ^２を、金属製キャップシェル頂板部内面側の全面に塗布した。これを、オーブンで１８０℃、１０分間の焼付を行い、該マスキング剤および該塗料組成物を硬化させて塗膜を形成した。

（金属製キャップシェル）
本発明における金属製キャップシェルは、厚さ０．２４ｍｍのアルミニウム基合金薄板（ＪＩＳ・５０５２番）を、前述した塗膜形成工程後にプレス成形したものを使用した。このシェルの外径は２７．０ｍｍ、高さは７．０ｍｍであり、それ自体公知のものである（特開２００３−１９１９８２を参照）。
（オレフィン樹脂製ライナー）
高周波誘導加熱した前記シェルの頂板部内面に、８０質量％の直鎖状低密度ポリエチレン及び２０質量％のオレフィン系ゴムと共に、１０００ｐｐｍの滑剤を含有するオレフィン樹脂製ライナー素材を供給して、ライナーを型押成形した。このライナーの直径は２４．７５ｍｍであり、それ自体公知のものである（特開２００３−１９１９８２を参照）。

（金属製キャップ）
図３に示すように、ライナー成形後の全体を１０で示す本発明のキャップは、頂板部１１、頂板部１１から垂下するスカート部１２、スカート部の下端１３から下方に延びる開封のための把持部１４から成る金属製のキャップシェル１５において、スカート部下端１３の把持部付け根近傍からスカート部上端を経て頂板部１１に至り、次いで頂板部１１の周縁付近に延びる一対の弱化ライン１６ａ，１６ｂが形成されている。また把持部１４の先端には、把持しやすくするための樹脂製のリング１７が取り付けられている。尚、図３には示されていないが、頂板部１１の内面には、接着性塗膜を介してオレフィン樹脂製ライナーが形成され、このライナーに容器口部が当接するようになっている。

実施例及び比較例で作成された金属製キャップの各種評価は、この金属製キャップをシェルの外径に合わせた所定のガラス製容器の口頸部に装着して、以下の方法により行った。

（開栓性）
金属製キャップ１０のリング１７を半径方向外方に、そして上方に引っ張って、金属製キャップ１０を容器の口頸部から離脱し、容器を開栓した。かかる開栓時の一対のスコアの後半部を破断する際に、要求される力の最大値を測定し、後述する＜従来例＞で示す塗膜形成工程で作成した金属製キャップ（従来品）と比較評価した。
○：従来品と開栓力が同等。
×：従来品よりも開栓力が高い。

（ライナー接着性）
金属製キャップ１０のオレフィン樹脂製ライナーを、頂板部１１内面から離れる方向に引っ張り、オレフィン樹脂製ライナーが剥離する際に、要求される力の最大値を測定し、後述する＜従来例＞で示す塗膜形成工程で作成した金属製キャップ（従来品）と比較評価した。
○：従来品と接着力が同等。
×_１：従来品よりも接着力が低い。
×_２：従来品よりも接着力が高い。

＜実施例１＞
前述した（塗膜形成工程）において、接着成分を含有する塗料組成物３０ｍｇ／ｄｍ^２を使用し、金属製キャップを作成した。この金属製キャップを用いて前述した各種評価を行った。その結果は、以下のとおりである。
開栓性：○
ライナー接着性：○

＜実施例２＞
前述した（塗膜形成工程）において、接着成分を含有する塗料組成物４０ｍｇ／ｄｍ^２を使用し、金属製キャップを作成した。この金属製キャップを用いて前述した各種評価を行った。その結果は、以下のとおりである。
開栓性：○
ライナー接着性：○

＜実施例３＞
前述した（塗膜形成工程）において、接着成分を含有する塗料組成物５０ｍｇ／ｄｍ^２を使用し、金属製キャップを作成した。この金属製キャップを用いて前述した各種評価を行った。その結果は、以下のとおりである。
開栓性：○
ライナー接着性：○

＜比較例１＞
実施例の（塗膜形成工程）において、接着成分を含有する塗料組成物２０ｍｇ／ｄｍ^２を使用し、その他は実施例と同じ方法で金属製キャップを作成した。この金属製キャップを用いて前述した各種評価を行った。その結果は、以下のとおりである。
開栓性：○
ライナー接着性：×_１

＜比較例２＞
実施例の（塗膜形成工程）において、接着成分を含有する塗料組成物６０ｍｇ／ｄｍ^２を使用し、その他は実施例と同じ方法で金属製キャップを作成した。この金属製キャップを用いて前述した各種評価を行った。その結果は、以下のとおりである。
開栓性：×
ライナー接着性：×_２

＜比較例３＞
図４で示すように、金属製キャップシェルに成形する前のアルミニウム基合金薄板の、白色で示す非接着乃至弱接着領域に実施例と同じマスキング剤１０ｍｇ／ｄｍ^２を塗布し、オーブンで１８０℃、１０分間の焼付を行い、該マスキング剤を硬化させて塗膜を形成した。その後、実施例と同じ接着成分を含有する塗料組成物４０ｍｇ／ｄｍ^２を、金属製キャップシェル頂板部内面側の全面に塗布し、オーブンで１８０℃、１０分間の焼付を行い、該塗料組成物を硬化させて塗膜を形成した後、その他は実施例と同じ方法で金属製キャップを作成した。この金属製キャップを用いて前述した各種評価を行った。その結果は、以下のとおりである。
開栓性：×
ライナー接着性：×_２

＜従来例＞
金属製キャップシェルに成形する前のアルミニウム基合金薄板に、実施例と同じ接着成分を含有する塗料組成物４０ｍｇ／ｄｍ^２を、金属製キャップシェル頂板部内面側の全面に塗布し、オーブンで１８０℃、１０分間の焼付を行い、該塗料組成物を硬化させて塗膜を形成した。その後、図４で示すように、白色で示す非接着乃至弱接着領域に実施例と同じマスキング剤１０ｍｇ／ｄｍ^２を塗布し、再びオーブンで１８０℃、１０分間の焼付を行い、該マスキング剤を硬化させて塗膜を形成した。
その他は実施例と同じ方法で金属製キャップ（従来品）を作成した。

＜耐傷付性＞
実施例２および前述した従来例の塗膜形成工程後に得られたアルミニウム基合金薄板から、マスキング層に対応する塗膜表面をもつ試験片を所定長さで切り出した。これらの試験片について、引っ掻き硬度試験法（ＪＩＳＫ５６００−５−４）で定められた鉛筆硬度試験を行い、耐傷付性の比較評価を行った。その結果は、以下のとおりである。
実施例２：鉛筆硬度＝３Ｈ乃至４Ｈ
従来例：鉛筆硬度＝Ｆ乃至Ｈ

＜海島構造の観察＞
実施例２および前述した従来例の塗膜形成工程後に得られたアルミニウム基合金薄板から、マスキング層に対応する塗膜表面を切り出し、走査型電子顕微鏡「日立ハイテク社製Ｓ−３４００Ｎ」を用いて倍率１５０倍で観察した（画像サイズ２５０×２５０ピクセルにトリミング）。その電子顕微鏡画像データを画像解析ソフト「ＩｍａｇｅＪ」を用い２値化処理し、マスキング層に対応する塗膜表面の領域面積における接着成分のポリエチレン（写真で黒い点で示す部分）の画像定量分析を行った。その結果は、以下のとおりである。
実施例２：９面積%
従来例：０面積%

１金属製キャップシェル、２塗膜、２ａ接着成分、２ｂベース樹脂、３マスキング層、１０金属製キャップ、１１頂板部、１２スカート部、１６弱化ライン。

Claims

頂板部と該頂板部の周囲から垂下するスカート部とを有する金属製キャップシェルと、該金属製キャップシェルの頂板部内面にオレフィン樹脂製ライナーとを備えて成る金属製キャップにおいて、
前記金属製キャップシェルの頂板部内面とオレフィン系樹脂製ライナーの間には、ベース樹脂中に接着成分を含有する塗料組成物及びマスキング剤から成る塗膜が形成されており、該塗膜はオレフィン樹脂製ライナーに対して接着性を有する接着部と、オレフィン樹脂製ライナーに対して非接着性又は弱接着性を有する非接着部とを有し、
前記塗膜の接着部は、前記塗料組成物の接着成分が塗膜表面に位置することにより構成され、前記塗膜の非接着部は、塗膜の金属製キャップシェル側にマスキング剤から成るマスキング層を有し、該マスキング層に対応する塗膜表面に前記塗料組成物の接着成分が分散相及びベース樹脂が連続相である海島構造が形成されていることを特徴とする金属製キャップ。
前記マスキング剤の塗工量が１〜２５ｍｇ／ｄｍ^２である請求項１記載の金属製キャップ。
前記塗料組成物の塗工量が２５〜４５ｍｇ／ｄｍ^２である請求項１又は２記載の金属製キャップ。
前記塗料組成物の塗工量が、マスキング剤の塗工量よりも多く、マスキング層の全部又は一部が塗料組成物により覆われている請求項１〜３の何れかに記載の金属製キャップ。
前記マスキング剤が油変性アルキド樹脂であり、前記塗料組成物が、酸化ポリエチレン又は酸変性オレフィン系樹脂を接着性成分とし、エポキシ−フェノール樹脂又はポリエステル−フェノール樹脂をベース樹脂とする塗料組成物である請求項１〜４の何れかに記載の金属製キャップ。
前記海島構造における分散相が４〜１８面積％である請求項１〜５の何れかに記載の金属製キャップ。
頂板部と該頂板部の周囲から垂下するスカート部とを有する金属製キャップシェルと、該金属製シェルの頂板部内面に塗膜を介してオレフィン樹脂製ライナーを備えて成る金属製キャップの製造方法において、
金属製キャップシェルの前記頂板部内面に、オレフィン樹脂製ライナーに対して非接着乃至弱接着性を有する非接着部を形成する箇所にマスキング剤を塗布し、該マスキング剤を硬化させることなく、前記非接着部及び接着部を形成する箇所にベース樹脂中に接着成分を含有する塗料組成物を塗布した後、前記マスキング剤及び前記塗料組成物の硬化を行うことにより、マスキング剤を塗布した箇所以外の塗料組成物を塗布した箇所にオレフィン樹脂製ライナーに対して接着性を有する接着部及びマスキング剤を塗布した箇所にオレフィン樹脂製ライナーに対して非接着性又は弱接着性を有する非接着部を備えた塗膜を形成することを特徴とする金属製キャップの製造方法。