JP2004025233A - 金属キャップの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、塗料屑を発生することのない金属キャップの製造方法を提供することにある。
【解決手段】金属板16におけるキャップ18の内側に成形される面に、成形前の最内層を形成する合成樹脂製塗料を塗布する最内層形成工程(S14)と、前記最内層形成工程(S14)後の金属板16を、キャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜き、前記最内層がキャップ内側となるように該キャップ予定部をキャップ18に成形する成形工程(S16)と、を備えた金属キャップの製造方法において、前記最内層形成工程(S14)は、前記合成樹脂製塗料を、前記打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて、該キャップ予定部に塗布することを特徴とする金属キャップの製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】金属板16におけるキャップ18の内側に成形される面に、成形前の最内層を形成する合成樹脂製塗料を塗布する最内層形成工程(S14)と、前記最内層形成工程(S14)後の金属板16を、キャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜き、前記最内層がキャップ内側となるように該キャップ予定部をキャップ18に成形する成形工程(S16)と、を備えた金属キャップの製造方法において、前記最内層形成工程(S14)は、前記合成樹脂製塗料を、前記打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて、該キャップ予定部に塗布することを特徴とする金属キャップの製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属キャップの製造方法、特に塗料屑の発生しない方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス製の瓶や薄金属製のねじ付き缶に、ラグキャップやスクリュウキャップやピルファープルーフキャップと呼ばれる金属製捻りキャップが使われている。これらの金属キャップの製造工程は、先ずキャップの内側に成形される金属製の角板またはコイル状薄板の面に全面に亘って、金属に強固に接着する合成樹脂製塗料が塗布され、防食を目的としたベースコート層とされる。
【0003】
次にキャップの外側に成形される面には、白色の合成樹脂製塗料が塗られ、その上に標示や装飾を千鳥状に直接印刷し、該印刷インキの上を透明の合成樹脂製塗料で覆ったり、最近使われ始めた方法として、キャップの外側に成形される金属製の角板またはコイル状薄板の面に直接、表示や装飾を施した印刷フィルムを貼着させる。
【0004】
一方、パッキンがキャップに強固に接着していないと、捻りキャップを捻って開蓋するときに、パッキンが変形して大きな開蓋トルクを必要とするため、キャップの内側に成形される面には、ベースコート層に強固に接着すると共に、パッキンにも強固に接着し、容器のねじ等の係脱手段に対して滑り性も良い合成樹脂製塗料を最内層(バフコート)として薄板全面に塗布する。
このように防食塗装と装飾を施された薄板をプレスで打ち抜き、天板と該天板に続くスカート部とからなるキャップシェルに成形する。
【0005】
該キャップシェルから例えばラグキャップ、スクリュウキャップ、ピルファープルーフキャップ等に成形し、天板にパッキンを設け、製品とする。
このようにして製造された金属キャップの内、ピルファープルーフキャップは、内容液を充填した容器口部に被せられ、天板を容器に向かって押さえ付けながら、スカート部の下端を容器の環状突起部の下端に絞り込ませ、キャップの天板とスカート部の下端で容器の環状突起部を包持すると同時にスカート部にねじ等の係脱手段を形成させ、容器に装着される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記キャップの製造過程で塗料屑が発生すると、容器内に混入したり、容器の密封不良のおそれがあるので、金属キャップの製造過程においては、塗料屑の発生をできる限りなくすことが求められていた。
しかしながら、従来は、塗料屑の発生原因すら特定できておらず、塗料屑の発生を大幅に低減することのできる製造技術の開発が急務であった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は塗料屑の発生しない金属キャップの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが、塗料屑の発生原因を調査、検討した結果、特にプレスで打ち抜く際に多くの塗料屑が発生することが判明した。
すなわち、合成樹脂製塗料により形成される最内層(バフコート)は厚みが厚いので、プレスで打ち抜く際に過酷な破断成形が加わると、該最内層が割れたり剥離し、塗料屑を発生し易い。このような塗料屑がキャップに付着したまま容器に装着すると、容器内に塗料屑が混入したり、キャップと容器の間に挟まって容器の密封不良の原因となるのである。
【0008】
そして、プレスで打ち抜く際に最内層に過酷な破断成形を加えないことにより、塗料屑の発生を大幅に低減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記目的を達成するために本発明にかかる金属キャップの製造方法は、最内層形成工程と、成形工程と、を備えた金属キャップの製造方法において、
前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料を、前記打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて、該キャップ予定部に塗布することを特徴とする。
【0009】
ここで、前記最内層形成工程は、金属板におけるキャップの内側に成形される面に、成形前の最内層を形成する合成樹脂製塗料を塗布する。
また前記成形工程は、前記最内層形成工程後の金属板を、キャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜き、前記最内層がキャップ内側となるように該キャップ予定部をキャップに成形する。
ここにいう金属板とは、金属板そのものだけでなく、金属板に何らかの層が形成されているものも含めていう。
【0010】
ここにいう最内層とは、打ち抜きの際にキャップの最もパッキン側となる層をいい、後段において最内層に直接或いは接着層等を介してパッキンが設けられる。
ここにいうキャップに成形するとは、例えば天板及びスカート部のみを形成すること、さらには例えば該スカート部に容器との係脱手段を形成する等の付加物を形成することを含めていう。
本発明において用いられる合成樹脂製塗料としては、例えばパッキンに塩化ビニール樹脂系ゾルを使用する場合は、塩化ビニール樹脂系塗料若しくはアクリル樹脂系塗料等、パッキンにアクリル樹脂系ゾルを使用する場合は、アクリル樹脂系塗料やエポキシ樹脂系塗料等が一例として挙げられる。
【0011】
なお、本発明において、前記成形工程は、キャップ開封時に破断される不正開封防止バンドを、前記打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に形成し、前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料を、前記不正開封防止バンドの刻設位置よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて、該キャップ予定部に塗布することが好適である。
また本発明において、前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料を、前記打ち抜き破断線ないし不正開封防止バンドの刻設位置よりもキャップ予定部側に1mm〜8mmの離隔距離をおいて塗布することが好適である。
【0012】
すなわち、前記最内層が前記打ち抜き破断線ないし不正開封防止バンドの刻設位置に1mmよりも近づくと、例えば塗装ズレ、成形の際の位置決めのズレにより、最内層を打ち抜き、塗料屑を発生させてしまうことがあるのに対し、8mmよりも離隔すると、キャップに成形した後に、パッキンが固着していない部分が発生し、密封機能が損なわれ、開蓋時にパッキンが変形して開蓋し難くなることがあるからである。
【0013】
さらに本発明において、前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料として、ずり速度2000sec−1で測定時の構造粘度が0.5〜2.0poiseのビニル系樹脂塗料又はアクリル系樹脂塗料を塗布することが好適である。
すなわち、合成樹脂製塗料の構造粘度が0.5poiseよりも小さいと、合成樹脂製塗料の流れが良すぎて、打ち抜き破断線若しくは不正開封防止バンドの刻設位置に1mmよりも近づくことがあるのに対し、その構造粘度が2.0poiseよりも大きいと、合成樹脂製塗料の流れが悪くて、最内層の頂面が平坦に成らない。これにより外観上の見栄えが悪くなったり、パッキンの接着が阻害されたり、合成樹脂製塗料が塗膜割れ等を起こし塗料の加工性が悪くなることがあるからである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施形態について説明する。
図1には本発明の一実施形態にかかる金属キャップの製造方法を行うための金属キャップの製造装置の概略構成が示されている。なお本実施形態においては、ラグキャップを製造する例について説明する。
同図に示す金属キャップの製造装置10は、最内層形成手段12と、成形手段14を備える。
【0015】
金属板16ないしキャップシェル18は供給手段20により図中矢印I方向に供給され、最内層形成手段12、成形手段14を順に設けている。最内層形成手段12の前段に、ベースコート層形成手段22、印刷層形成手段24を順に設けている。
ここで、前記ベースコート層形成手段22は、例えば内側ベースコート層形成部26と、外側ベースコート層形成部28を備え、金属製主材の内外両面にそれぞれ、防食や装飾のためのベースコート層を全面に亘って形成している。
【0016】
前記印刷層形成手段24は、外側ベースコート層に印刷層を形成している。
前記最内層形成手段12は、塗布部30と、乾燥部32を備え、金属板16におけるキャップの内側に成形される面に、成形前の最内層(バフコート)を形成する合成樹脂製塗料を塗布している。
すなわち、塗布部30は、金属板16を間に挟み対向配置された型ロール34、及び押えロール36と、型ロール34の外周に配置された塗料部38を備える。
ここで、前記型ロール34は、例えば最内層の厚みと広さをもつ形状の窪みが複数個、表面に形成されている。そして、内側ベースコート層に強固に接着すると共に、パッキンにも強固に接着する合成樹脂製塗料は、塗料部38より型ロール34に供給され、印刷層形成手段24で使用された金属板16の基準端面を位置合わせの基準面として位置合わせされ、型ロール34より金属板16に塗布される。
【0017】
また前記乾燥部32は、金属板16に塗布され、ウエット状態の合成樹脂製塗料の焼付け乾燥を行うことにより、金属板16の最内層を完成させる。
ここで、本実施形態においては、前記最内層形成手段12は、合成樹脂製塗料を、打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて、該キャップ予定部に塗布している。すなわち、前記最内層は、後段のプレスによって打ち抜かれる境界を仮想した打ち抜き破断線よりも内側に、かつ該打ち抜き破断線上に掛からないように形成されている。
【0018】
前記成形手段14は、例えば中間成形部40と、最終成形部42を備え、最内層形成手段12よりの金属板16を、キャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜き、最内層がキャップ内側となるように該キャップ予定部をキャップに成形する。
すなわち、中間成形部40は、例えばプレス等よりなり、最内層を形成させた金属板16を従来通りの手段で位置合わせした後に、キャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜ち、キャップ予定部よりキャップシェル18を作る。
最終成形部42は、キャップシェル18から例えばラグキャップ等のキャップを成形し、天板にパッキンを設け、キャップ44を完成する。
【0019】
本実施形態にかかる金属キャップの製造装置10は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
まず板状の金属製主材は供給手段20によりベースコート層形成手段22に供給され、ベースコート層形成工程(S10)が行われる。
すなわち、ベースコート形成工程(S10)では、金属製主材の内外両面に、防食や装飾の目的のために内側ベースコート層と外側ベースコート層が全面に亘って形成される。
【0020】
前記ベースコート層形成工程(S10)後に金属板16は供給手段20により後段の印刷層形成手段24に供給され、印刷層形成工程(S12)が行われる。すなわち、印刷層形成工程(S12)では、金属製主材の外面側の外側ベースコート層にキャップの標示や外面装飾のための印刷層を形成させている。
前記印刷層形成工程(S12)後に、金属板16は供給手段20により後段の最内層形成手段12に供給され、最内層形成工程(S14)が行われる。最内層形成工程(S14)後に金属板16は供給手段20により、さらに後段の成形手段14に供給され、例えばプレス等により金属板を打ち抜き、キャップシェル等を作る等の成形工程(S16)が行われる。
【0021】
ここで、従来は、最内層形成工程において、金属板全面に最内層の塗布を行っていたが、該最内層として塗布される合成樹脂製塗料は、例えば10μm等と膜厚が他の層に比較し厚いので、後段の成形工程において、例えばプレス等により金属板を打ち抜く際に塗料屑を発生し易い。
このため本実施形態にかかる金属キャップの製造方法では、この最内層よりの塗料屑の発生をできる限り防ぐことが非常に重要である。
【0022】
そこで、本実施形態においては、前記金属板のプレスでの打ち抜きの際に、塗料屑を発生させないために、前記最内層形成手段12は、合成樹脂製塗料を打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて該キャップ予定部に塗布している。
すなわち、塗布部30により合成樹脂製塗料は、プレスによって打ち抜かれる境界を仮想した打ち抜き破断線よりも内側に塗布され、最内層が打ち抜き破断線上に掛からないように塗布されている。
【0023】
そして、乾燥部32によりウエット状態の最内層を焼付け乾燥することにより、金属板16に最内層を完成させている。
前記最内層形成工程(S14)後に金属板16は、中間成形部40のプレスでキャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜かれ、最内層がキャップ内側となるように、該キャップ予定部をキャップシェルに成形する。
【0024】
ここで、前記最内層は、前段の最内層形成工程(S14)において、プレスにより打ち抜かれる境界を仮想した打ち抜き破断線よりも内側に、かつ打ち抜き破断線上に掛からないように形成されている。したがって、中間形成部40のプレスによる金属板の打ち抜きにおいて最内層の合成樹脂製塗料に過酷な破断成形が加わらない。これによりプレスによる打ち抜きの際に最内層の合成樹脂製塗料が割れたり剥離し、塗料屑になることを防ぐことができる。
【0025】
最終成形部42は、前記中間成形部40により成形されたキャップシェル18から例えばラグキャップ等のキャップ44に成形する。
すなわち、前記最終成形部42は、スカート部の下端を内巻きのカール部に成形し、該カール部を潰して半径方向内方に突出するラグを複数箇所作り、また天板にパッキンを設け、ラグキャップ等のキャップ44を完成している。
【0026】
このように本実施形態においては、前記最内層が形成されている金属板16を中間成形部40のプレスで打ち抜く際に、塗料屑を発生させないために、その前段の最内層形成工程(S14)では、最内層がプレスによって打ち抜かれる境界を仮想した打ち抜き破断線よりも内側に、かつ該打ち抜き破断線上に掛からないように合成樹脂製塗料が塗布されており、図2に拡大して示されるような最内層が形成されている。
【0027】
最内層
図2(A)は中間成形部40のプレスにより打ち抜く直前の金属板16の側面図を示しており、同図(B)は該金属板16の底面図である。
同図に示す金属板16は、金属製主材50と、内側ベースコート層形成部により形成された内側ベースコート層52と、外側ベースコート層形成部により形成された外側ベースコート層54と、印刷層形成手段により形成された印刷層56と、最内層形成手段により形成された最内層58を備える。
【0028】
ここで、スクリュウキャップやピルファープルーフキャップに使用される金属製主材50の主な材料は、化学処理鋼板、ブリキ及びアルミニウムで、ラグキャップに使用される材料はブリキが使用される。ブリキは合成樹脂製塗料との接着性に劣るが、その光沢の美しさ故に使用される。
前記金属製主材50の厚さは、例えば0.15mm〜0.25mm程で、その外形寸法が、1m弱の角板で、取り扱われている。
【0029】
前記金属製主材50の内外両面には、防食や装飾の目的で、内側ベースコート層52と外側ベースコート層54が全面に亘って形成され、金属製主材50の内面側の内側ベースコート層52としては、金属との接着性が良いエポキシフェノール樹脂系塗料が3μm〜5μm厚に塗られている。
前記金属製主材50の外面側の外側ベースコート層54としては、直接印刷の下塗り剤として、アクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂の白色塗料が、10μm厚程度に塗られている。
【0030】
外側ベースコート層54の上には、印刷層56が形成され、該印刷層56は、多数のキャップの標示や外面装飾を千鳥状に直接印刷し、該印刷インキの上にアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂の透明塗料が5μm厚程度塗られたり、あるいは外側ベースコート層54の上、若しくは金属製主材50の表面に直接、多数のキャップの標示や外面装飾を印刷した合成樹脂製フィルムを貼着させたりして、印刷層56を形成させている。
【0031】
内側ベースコート層52の内側には、最内層58が形成され、最内層58は、内側ベースコート層52に強固に接着すると共に、パッキンにも強固に接着する合成樹脂製塗料が使用される。
最内層58に使用される合成樹脂製塗料は、最内層58の内側に形成されるであろうパッキンが塩化ビニール樹脂系ゾルである場合、塩化ビニール樹脂系塗料若しくはアクリル樹脂系塗料が使用され、パッキンにアクリル樹脂系ゾルを使用する場合は、アクリル樹脂系塗料やエポキシ樹脂系塗料が使用される。
【0032】
前記最内層58は、厚さが例えば10μm程であり、後段のプレスによって打ち抜かれる境界を仮想した打ち抜き破断線60よりも内側、つまりキャップ予定部59側に、打ち抜き破断線60上に掛からない範囲のキャップ予定部59に形成されている。
この結果、本実施形態においては、後段の成形工程において最内層58を構成する合成樹脂製塗料に過酷な破断成形が加わらず、合成樹脂製塗料が割れたり剥離し、塗料屑になることがない。
【0033】
<最内層の形成範囲>
ところで、本実施形態においては、最内層58の形成範囲の設定は重要である。
すなわち、前記最内層58は、打ち抜き破断線60から内側に1mmよりも近づくと、塗装ズレが発生した場合や、キャップ成形の際に金属板16の送りがズレてしまった様な場合等に、最内層58をプレスで打ち抜いてしまい、塗料屑を発生させてしまう虞がある。
【0034】
これに対し、最内層58が打ち抜き破断線60から内側に8mmよりも離れると、キャップに成形した後に、パッキンが固着していない部分が発生し、密封機能が損なわれ、開蓋時にパッキンが変形し開蓋し難くなる虞がある。
そこで、本実施形態においては、該最内層58は、打ち抜き破断線60からキャップ予定部59側に1mm〜8mmの離隔距離をおいて塗布されている。
【0035】
この結果、本実施形態においては、最内層58の合成樹脂製塗料が打ち抜き破断線60の内側に確実に塗布されており、成形の際に最内層58の合成樹脂製塗料に過酷な破断成形が加わらないので、合成樹脂製塗料が割れたり剥離し、塗料屑になることがない。これにより塗料屑の発生をより確実に防ぐことができる。
【0036】
<合成樹脂製塗料の粘度>
また本実施形態においては塗料の粘度も重要である。
すなわち、最内層58の合成樹脂製塗料の構造粘度が0.5poiseよりも小さいと、合成樹脂製塗料の流れが良すぎて、打ち抜き破断線60に1mmよりも近づく心配がある。
これに対し、合成樹脂製塗料の構造粘度が2.0poiseよりも大きいと、合成樹脂製塗料の流れが悪くて最内層58の頂面が平坦に成らない場合が予想される。すると、外観上の見栄えが悪く、パッキンの接着が阻害されたり、合成樹脂製塗料が塗膜割れ等を起こして、塗料の加工性が悪くなる虞がある。
【0037】
そこで、本実施形態においては、合成樹脂製塗料が確実に塗装され、最内層58が打ち抜き破断線60から1mm〜8mm内側に確実に形成されるようにするため、最内層58を形成する合成樹脂製塗料の構造粘度を0.5〜2.0poise(ずり速度2000sec−1で測定)に調整している。
【0038】
最内層58の合成樹脂製塗料の構造粘度を、上記の範囲に調整する方法としては、合成樹脂製塗料に混合溶剤や微粉末シリカ(アエロジェル)を加えて行われる。その一例としては、Bakelite社製ビニライト樹脂VYHHとVMGH、油化シェルエポキシ社製エピコート828、日立化成社製Hitanol4010を45/45/5/5の比率で混合する。さらに樹脂100部当たり40部の石原産業社製酸化チタン(CR−95)を配合して不揮発分36%のベース塗料に調合し、該ベース塗料に、MIBK、キシレン、シクロヘキサノンの35:45:20の混合溶剤を加えることにより、粘度を調整することができる。
【0039】
本実施形態においては、このように粘度を調整した合成樹脂製塗料を、最内層58の所望の厚みと広さからなる形状を備えた窪みを千鳥状に複数個表面に形成させた型ロールで塗布し、焼付け乾燥することにより金属板16に最内層58を完成させている。
最内層58を形成させた金属板16をプレスに送って位置合わせした後に、プレスで金属板16を打ち抜き、キャップシェルを作るが、該プレスによる打ち抜きの際、最内層58と打ち抜き破断線60との間に合成樹脂製塗料が塗布されていないため、最内層58の合成樹脂製塗料が、過酷な破断成形を受けることがない。
【0040】
この結果、本実施形態においては、最内層58を形成する合成樹脂製塗料が割れたり剥離し塗料屑になることがない。これにより塗料屑の発生をより確実に防ぐことができる。
そして、本実施形態においては、前記プレスによる打ち抜きにより、図3に拡大して示されるようなキャップシェル18が成形される。
【0041】
<キャップシェル>
図3には前述のようにして成形されたキャップシェル18の断面図が示されている。
同図に示すキャップシェル18は、天板62と該天板62から下方に垂下するスカート部64を備えている。
ここで、スカート部64の下端を出発点として1mm〜8mmの範囲で所望の長さに設定された部分は、内側ベースコート層52がむき出しで、最内層58の合成樹脂製塗料が塗られていない状態になっている。
【0042】
ラグキャップ
続いて、前記キャップシェル18からラグキャップ等のキャップ44を成形するには、図4の半裁断面図に示されるように、スカート部64の下端を内巻きのカール部66に成形し、該カール部66を潰して半径方向内方に突出するラグ68を複数箇所作り、天板の内側にパッキンを形成させ、ラグキャップ44aとする。
なお、ラグキャップの他の例としては、スカート部64の中程に、半径方向内方に突出するラグを押圧成形しても良いし、該ラグキャップの水平断面形状は、円形に限られるものではなく、五角形や六角形の多角形や、楕円形でも良い。
【0043】
また補強とラグキャップ全体に剛性を持たせて開蓋し易くするために、スカート部64の下端に外巻きカール部を形成させることもできる。
以上のように本実施形態にかかる金属キャップの製造装置によれば、上述の構成を備えているので、打ち抜き破断線内側の所定範囲に最内層の合成樹脂製塗料を塗布することができる。したがって、本実施形態においては、プレスでの打ち抜きの際に、金属板の最内層の合成樹脂製塗料に過酷な破断成形が加わらず、最内層の合成樹脂製塗料が割れたり剥離することがないので、塗料屑になることを防ぐことができる。
【0044】
また本実施形態においては、最内層として塗布する合成樹脂製塗料が打ち抜き破断線よりも1mm〜8mm内側に塗布されていることにより、最内層の合成樹脂製塗料を打ち抜き破断線の内側に確実に塗布することができる。したがって、本実施形態においては、プレスでの打ち抜きの際に最内層の合成樹脂製塗料に過酷な破断成形が加わらず、合成樹脂製塗料が割れたり剥離することがないので、塗料屑の発生を、より確実に防ぐことができる。
【0045】
また本実施形態においては、最内層として塗布する合成樹脂製塗料が、構造粘度0.5〜2.0poiseのビニル系樹脂塗料又はアクリル系樹脂塗料であることにより、最内層の合成樹脂製塗料を打ち抜き破断線の内側に確実に塗布することができるので、塗料屑の発生を、より確実に防ぐことができる。
なお、前記構成ではラグキャップを製造した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の金属キャップ、例えばスクリュウキャップ、ピルファープルーフキャップ等に適用することができる。
【0046】
スクリュウキャップ
スクリュウキャップの製造には、前記金属製主材として化学処理鋼鈑、ブリキ及びアルミニウムよりなる群より選択された材料を用いることができる。
そして、最終成形部は、キャップシェル18から図5に示されるようなスクリュウキャップ44bを成形することができる。
すなわち、最終成形部は、図5の半裁断面図に示されるように、スカート部64の下端を内巻きのカール部66に成形し、スカート部64に半径方向内方に突出するねじ70を成形し、天板62にパッキンを形成し、スクリュウキャップ44bとする。
【0047】
なお、スクリュウキャップの他の例としては、スカート部64の下端を内巻きではなく外巻きのカール部に成形しても良いし、カール部を形成させなくても良く、ねじを半径方向外方に突出するねじにしても良い。
ここで、スカート部64の下端から1mm〜8mmの範囲で、所望の長さに設定した部分は、最内層58の合成樹脂製塗料が塗られていない状態であるが、この部分をカール部で隠し外観上見えることがないようにすれば、奇異な感じを起こさせることはない。
また最内層58の合成樹脂製塗料が塗られていない部分は、内側ベースコート層52で覆われているため、錆が発生することもない。
【0048】
ピルファープルーフキャップ
前記最終成形部は、キャップシェル18から図6に示されるようなピルファープルーフキャップ44cを成形することもできる。
すなわち、最終成形部は、前記図4に示したキャップシェル18のスカート部64に、横長の切断部分で構成させたスリット72と、該スリット72とスリット72との間にブリッジ74を形成させて、不正開封防止バンド76としている。
ここで、前記不正開封防止バンド76は、内側ベースコート層52がむき出しの部分に形成されており、その後、天板62の内側にはパッキンが形成される。
【0049】
<最内層の形成範囲>
ピルファープルーフキャップ44cにおいては、打ち抜き破断線の内側に不正開封防止バンド76の刻設位置を設けており、該最内層58は、不正開封防止バンド76の刻設位置に1mmよりも近づくと、塗装ズレが発生した場合や、不正開封防止用バンド76を形成させるときに、図4に示したキャップシェル18が装置10上でズレてしまった様な場合等に、最内層58をスリット状に切断してしまい、塗料屑を発生させてしまう虞がある。
【0050】
これに対し、最内層58が不正開封防止バンド76の刻設位置から8mmよりも離れると、キャップに成形した後に、パッキンが固着していない部分が発生して、密封機能が損なわれ、開蓋時にパッキンが変形して開蓋し難くなる虞がある。
そこで、打ち抜き破断線の内側に不正開封防止バンド76の刻設位置を設けるピルファープルーフキャップ44cでは、図7に示されるように中間成形工程の直前である前記最内層形成工程において、該最内層58は、打ち抜き破断線60よりも内側の不正開封防止バンド76の刻設位置よりも、さらに1mm〜8mm内側に塗布されている。
【0051】
<合成樹脂製塗料の粘度>
ここで、本実施形態においては、合成樹脂製塗料が確実に塗装され、最内層58が不正開封防止バンド76の刻設位置から1mm〜8mm内側に確実に形成されるようにするため、最内層58の合成樹脂製塗料の構造粘度を0.5〜2.0poise(ずり速度2000sec−1で測定)に調整している。
【0052】
すなわち、最内層58の合成樹脂製塗料の構造粘度が0.5poiseよりも小さいと、合成樹脂製塗料の流れが良すぎて、不正開封防止バンド76の刻設位置に1mmよりも近づく心配があるのに対し、合成樹脂製塗料の構造粘度が2.0poiseよりも大きいと、合成樹脂製塗料の流れが悪くて最内層58の頂面が平坦に成らないことが予想されるからである。
【0053】
そこで、ピルファープルーフキャップ44cの製造において、スカート部64を横長に切断してスリット72を成形する際は、スカート部64の下端から不正開封防止バンド76の刻設位置間と、不正開封防止バンド76の刻設位置から最内層58間における1mm〜8mmの範囲で設定した所望の長さの部分には、最内層58の合成樹脂製塗料が塗られていない。このため、成形工程におけるプレスでの金属板の打ち抜きの際に、最内層58の合成樹脂製塗料が、過酷な破断成形を受けることがなく、最内層58の合成樹脂製塗料が割れたり剥離し塗料屑になることがない。
【0054】
なお、ピルファープルーフキャップ44cを開封すると、スカート部64の下端部が容器の環状突起部の下端に絞り込まれているため、回動することができないので、ブリッジ74が破断し、スリット62からスカート部64の下端まで板厚を薄くして設けた弱化線78も破断し、スカート部64が広がって、容器口部からピルファープルーフキャップ44cをはずし易くすると共に、開封があったことを指し示す。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる金属キャップの製造方法は、最内層形成工程により、最内層を形成する合成樹脂製塗料を、打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて該キャップ予定部に塗布することとしたので、製造過程における塗料屑の発生を防ぐことができる。
また本発明においては、前記合成樹脂製塗料が打ち抜き破断線若しくは不正開封防止バンドの刻設位置よりもキャップ予定部側に1mm〜8mmの離隔距離をおいて塗布されていることにより、製造過程における塗料屑の発生を、より確実に防ぐことができる。
さらに本発明においては、前記合成樹脂製塗料が構造粘度0.5〜2.0poiseのビニル系樹脂塗料またはアクリル系樹脂塗料であることにより、製造過程における塗料屑の発生を、より確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる金属キャップ製造方法を行うための金属キャップ製造装置の概略構成の説明図である。
【図2】同図(A)は本実施形態にかかる金属キャップの製造方法で使用する金属板を示した側面図、同図(B)は同図(A)に示した金属板の底面図である。
【図3】本発明にかかる金属キャップの製造方法における中間成形品であるキャップシェルの断面図である。
【図4】本実施形態にかかる金属キャップの製造方法で製造したラグキャップの一例を示した半裁断面図である。
【図5】本実施形態にかかる金属キャップの製造方法で製造したスクリュウキャップの一例を示した半裁断面図である。
【図6】本実施形態にかかる金属キャップの製造方法で製造したピルファープルーフキャップの一例を示した半裁断面図である。
【図7】図6に示したピルファープルーフキャップに好適な最内層の形成範囲の説明図である。
【符号の説明】
10 金属キャップの製造装置
12 最内層形成手段
14 成形手段
16 金属板
58 最内層
59 キャップ予定部
60 打ち抜き破断線
76 不正開封防止バンド
【発明の属する技術分野】
本発明は金属キャップの製造方法、特に塗料屑の発生しない方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス製の瓶や薄金属製のねじ付き缶に、ラグキャップやスクリュウキャップやピルファープルーフキャップと呼ばれる金属製捻りキャップが使われている。これらの金属キャップの製造工程は、先ずキャップの内側に成形される金属製の角板またはコイル状薄板の面に全面に亘って、金属に強固に接着する合成樹脂製塗料が塗布され、防食を目的としたベースコート層とされる。
【0003】
次にキャップの外側に成形される面には、白色の合成樹脂製塗料が塗られ、その上に標示や装飾を千鳥状に直接印刷し、該印刷インキの上を透明の合成樹脂製塗料で覆ったり、最近使われ始めた方法として、キャップの外側に成形される金属製の角板またはコイル状薄板の面に直接、表示や装飾を施した印刷フィルムを貼着させる。
【0004】
一方、パッキンがキャップに強固に接着していないと、捻りキャップを捻って開蓋するときに、パッキンが変形して大きな開蓋トルクを必要とするため、キャップの内側に成形される面には、ベースコート層に強固に接着すると共に、パッキンにも強固に接着し、容器のねじ等の係脱手段に対して滑り性も良い合成樹脂製塗料を最内層(バフコート)として薄板全面に塗布する。
このように防食塗装と装飾を施された薄板をプレスで打ち抜き、天板と該天板に続くスカート部とからなるキャップシェルに成形する。
【0005】
該キャップシェルから例えばラグキャップ、スクリュウキャップ、ピルファープルーフキャップ等に成形し、天板にパッキンを設け、製品とする。
このようにして製造された金属キャップの内、ピルファープルーフキャップは、内容液を充填した容器口部に被せられ、天板を容器に向かって押さえ付けながら、スカート部の下端を容器の環状突起部の下端に絞り込ませ、キャップの天板とスカート部の下端で容器の環状突起部を包持すると同時にスカート部にねじ等の係脱手段を形成させ、容器に装着される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記キャップの製造過程で塗料屑が発生すると、容器内に混入したり、容器の密封不良のおそれがあるので、金属キャップの製造過程においては、塗料屑の発生をできる限りなくすことが求められていた。
しかしながら、従来は、塗料屑の発生原因すら特定できておらず、塗料屑の発生を大幅に低減することのできる製造技術の開発が急務であった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は塗料屑の発生しない金属キャップの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが、塗料屑の発生原因を調査、検討した結果、特にプレスで打ち抜く際に多くの塗料屑が発生することが判明した。
すなわち、合成樹脂製塗料により形成される最内層(バフコート)は厚みが厚いので、プレスで打ち抜く際に過酷な破断成形が加わると、該最内層が割れたり剥離し、塗料屑を発生し易い。このような塗料屑がキャップに付着したまま容器に装着すると、容器内に塗料屑が混入したり、キャップと容器の間に挟まって容器の密封不良の原因となるのである。
【0008】
そして、プレスで打ち抜く際に最内層に過酷な破断成形を加えないことにより、塗料屑の発生を大幅に低減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記目的を達成するために本発明にかかる金属キャップの製造方法は、最内層形成工程と、成形工程と、を備えた金属キャップの製造方法において、
前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料を、前記打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて、該キャップ予定部に塗布することを特徴とする。
【0009】
ここで、前記最内層形成工程は、金属板におけるキャップの内側に成形される面に、成形前の最内層を形成する合成樹脂製塗料を塗布する。
また前記成形工程は、前記最内層形成工程後の金属板を、キャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜き、前記最内層がキャップ内側となるように該キャップ予定部をキャップに成形する。
ここにいう金属板とは、金属板そのものだけでなく、金属板に何らかの層が形成されているものも含めていう。
【0010】
ここにいう最内層とは、打ち抜きの際にキャップの最もパッキン側となる層をいい、後段において最内層に直接或いは接着層等を介してパッキンが設けられる。
ここにいうキャップに成形するとは、例えば天板及びスカート部のみを形成すること、さらには例えば該スカート部に容器との係脱手段を形成する等の付加物を形成することを含めていう。
本発明において用いられる合成樹脂製塗料としては、例えばパッキンに塩化ビニール樹脂系ゾルを使用する場合は、塩化ビニール樹脂系塗料若しくはアクリル樹脂系塗料等、パッキンにアクリル樹脂系ゾルを使用する場合は、アクリル樹脂系塗料やエポキシ樹脂系塗料等が一例として挙げられる。
【0011】
なお、本発明において、前記成形工程は、キャップ開封時に破断される不正開封防止バンドを、前記打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に形成し、前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料を、前記不正開封防止バンドの刻設位置よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて、該キャップ予定部に塗布することが好適である。
また本発明において、前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料を、前記打ち抜き破断線ないし不正開封防止バンドの刻設位置よりもキャップ予定部側に1mm〜8mmの離隔距離をおいて塗布することが好適である。
【0012】
すなわち、前記最内層が前記打ち抜き破断線ないし不正開封防止バンドの刻設位置に1mmよりも近づくと、例えば塗装ズレ、成形の際の位置決めのズレにより、最内層を打ち抜き、塗料屑を発生させてしまうことがあるのに対し、8mmよりも離隔すると、キャップに成形した後に、パッキンが固着していない部分が発生し、密封機能が損なわれ、開蓋時にパッキンが変形して開蓋し難くなることがあるからである。
【0013】
さらに本発明において、前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料として、ずり速度2000sec−1で測定時の構造粘度が0.5〜2.0poiseのビニル系樹脂塗料又はアクリル系樹脂塗料を塗布することが好適である。
すなわち、合成樹脂製塗料の構造粘度が0.5poiseよりも小さいと、合成樹脂製塗料の流れが良すぎて、打ち抜き破断線若しくは不正開封防止バンドの刻設位置に1mmよりも近づくことがあるのに対し、その構造粘度が2.0poiseよりも大きいと、合成樹脂製塗料の流れが悪くて、最内層の頂面が平坦に成らない。これにより外観上の見栄えが悪くなったり、パッキンの接着が阻害されたり、合成樹脂製塗料が塗膜割れ等を起こし塗料の加工性が悪くなることがあるからである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施形態について説明する。
図1には本発明の一実施形態にかかる金属キャップの製造方法を行うための金属キャップの製造装置の概略構成が示されている。なお本実施形態においては、ラグキャップを製造する例について説明する。
同図に示す金属キャップの製造装置10は、最内層形成手段12と、成形手段14を備える。
【0015】
金属板16ないしキャップシェル18は供給手段20により図中矢印I方向に供給され、最内層形成手段12、成形手段14を順に設けている。最内層形成手段12の前段に、ベースコート層形成手段22、印刷層形成手段24を順に設けている。
ここで、前記ベースコート層形成手段22は、例えば内側ベースコート層形成部26と、外側ベースコート層形成部28を備え、金属製主材の内外両面にそれぞれ、防食や装飾のためのベースコート層を全面に亘って形成している。
【0016】
前記印刷層形成手段24は、外側ベースコート層に印刷層を形成している。
前記最内層形成手段12は、塗布部30と、乾燥部32を備え、金属板16におけるキャップの内側に成形される面に、成形前の最内層(バフコート)を形成する合成樹脂製塗料を塗布している。
すなわち、塗布部30は、金属板16を間に挟み対向配置された型ロール34、及び押えロール36と、型ロール34の外周に配置された塗料部38を備える。
ここで、前記型ロール34は、例えば最内層の厚みと広さをもつ形状の窪みが複数個、表面に形成されている。そして、内側ベースコート層に強固に接着すると共に、パッキンにも強固に接着する合成樹脂製塗料は、塗料部38より型ロール34に供給され、印刷層形成手段24で使用された金属板16の基準端面を位置合わせの基準面として位置合わせされ、型ロール34より金属板16に塗布される。
【0017】
また前記乾燥部32は、金属板16に塗布され、ウエット状態の合成樹脂製塗料の焼付け乾燥を行うことにより、金属板16の最内層を完成させる。
ここで、本実施形態においては、前記最内層形成手段12は、合成樹脂製塗料を、打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて、該キャップ予定部に塗布している。すなわち、前記最内層は、後段のプレスによって打ち抜かれる境界を仮想した打ち抜き破断線よりも内側に、かつ該打ち抜き破断線上に掛からないように形成されている。
【0018】
前記成形手段14は、例えば中間成形部40と、最終成形部42を備え、最内層形成手段12よりの金属板16を、キャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜き、最内層がキャップ内側となるように該キャップ予定部をキャップに成形する。
すなわち、中間成形部40は、例えばプレス等よりなり、最内層を形成させた金属板16を従来通りの手段で位置合わせした後に、キャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜ち、キャップ予定部よりキャップシェル18を作る。
最終成形部42は、キャップシェル18から例えばラグキャップ等のキャップを成形し、天板にパッキンを設け、キャップ44を完成する。
【0019】
本実施形態にかかる金属キャップの製造装置10は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
まず板状の金属製主材は供給手段20によりベースコート層形成手段22に供給され、ベースコート層形成工程(S10)が行われる。
すなわち、ベースコート形成工程(S10)では、金属製主材の内外両面に、防食や装飾の目的のために内側ベースコート層と外側ベースコート層が全面に亘って形成される。
【0020】
前記ベースコート層形成工程(S10)後に金属板16は供給手段20により後段の印刷層形成手段24に供給され、印刷層形成工程(S12)が行われる。すなわち、印刷層形成工程(S12)では、金属製主材の外面側の外側ベースコート層にキャップの標示や外面装飾のための印刷層を形成させている。
前記印刷層形成工程(S12)後に、金属板16は供給手段20により後段の最内層形成手段12に供給され、最内層形成工程(S14)が行われる。最内層形成工程(S14)後に金属板16は供給手段20により、さらに後段の成形手段14に供給され、例えばプレス等により金属板を打ち抜き、キャップシェル等を作る等の成形工程(S16)が行われる。
【0021】
ここで、従来は、最内層形成工程において、金属板全面に最内層の塗布を行っていたが、該最内層として塗布される合成樹脂製塗料は、例えば10μm等と膜厚が他の層に比較し厚いので、後段の成形工程において、例えばプレス等により金属板を打ち抜く際に塗料屑を発生し易い。
このため本実施形態にかかる金属キャップの製造方法では、この最内層よりの塗料屑の発生をできる限り防ぐことが非常に重要である。
【0022】
そこで、本実施形態においては、前記金属板のプレスでの打ち抜きの際に、塗料屑を発生させないために、前記最内層形成手段12は、合成樹脂製塗料を打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて該キャップ予定部に塗布している。
すなわち、塗布部30により合成樹脂製塗料は、プレスによって打ち抜かれる境界を仮想した打ち抜き破断線よりも内側に塗布され、最内層が打ち抜き破断線上に掛からないように塗布されている。
【0023】
そして、乾燥部32によりウエット状態の最内層を焼付け乾燥することにより、金属板16に最内層を完成させている。
前記最内層形成工程(S14)後に金属板16は、中間成形部40のプレスでキャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜かれ、最内層がキャップ内側となるように、該キャップ予定部をキャップシェルに成形する。
【0024】
ここで、前記最内層は、前段の最内層形成工程(S14)において、プレスにより打ち抜かれる境界を仮想した打ち抜き破断線よりも内側に、かつ打ち抜き破断線上に掛からないように形成されている。したがって、中間形成部40のプレスによる金属板の打ち抜きにおいて最内層の合成樹脂製塗料に過酷な破断成形が加わらない。これによりプレスによる打ち抜きの際に最内層の合成樹脂製塗料が割れたり剥離し、塗料屑になることを防ぐことができる。
【0025】
最終成形部42は、前記中間成形部40により成形されたキャップシェル18から例えばラグキャップ等のキャップ44に成形する。
すなわち、前記最終成形部42は、スカート部の下端を内巻きのカール部に成形し、該カール部を潰して半径方向内方に突出するラグを複数箇所作り、また天板にパッキンを設け、ラグキャップ等のキャップ44を完成している。
【0026】
このように本実施形態においては、前記最内層が形成されている金属板16を中間成形部40のプレスで打ち抜く際に、塗料屑を発生させないために、その前段の最内層形成工程(S14)では、最内層がプレスによって打ち抜かれる境界を仮想した打ち抜き破断線よりも内側に、かつ該打ち抜き破断線上に掛からないように合成樹脂製塗料が塗布されており、図2に拡大して示されるような最内層が形成されている。
【0027】
最内層
図2(A)は中間成形部40のプレスにより打ち抜く直前の金属板16の側面図を示しており、同図(B)は該金属板16の底面図である。
同図に示す金属板16は、金属製主材50と、内側ベースコート層形成部により形成された内側ベースコート層52と、外側ベースコート層形成部により形成された外側ベースコート層54と、印刷層形成手段により形成された印刷層56と、最内層形成手段により形成された最内層58を備える。
【0028】
ここで、スクリュウキャップやピルファープルーフキャップに使用される金属製主材50の主な材料は、化学処理鋼板、ブリキ及びアルミニウムで、ラグキャップに使用される材料はブリキが使用される。ブリキは合成樹脂製塗料との接着性に劣るが、その光沢の美しさ故に使用される。
前記金属製主材50の厚さは、例えば0.15mm〜0.25mm程で、その外形寸法が、1m弱の角板で、取り扱われている。
【0029】
前記金属製主材50の内外両面には、防食や装飾の目的で、内側ベースコート層52と外側ベースコート層54が全面に亘って形成され、金属製主材50の内面側の内側ベースコート層52としては、金属との接着性が良いエポキシフェノール樹脂系塗料が3μm〜5μm厚に塗られている。
前記金属製主材50の外面側の外側ベースコート層54としては、直接印刷の下塗り剤として、アクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂の白色塗料が、10μm厚程度に塗られている。
【0030】
外側ベースコート層54の上には、印刷層56が形成され、該印刷層56は、多数のキャップの標示や外面装飾を千鳥状に直接印刷し、該印刷インキの上にアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂の透明塗料が5μm厚程度塗られたり、あるいは外側ベースコート層54の上、若しくは金属製主材50の表面に直接、多数のキャップの標示や外面装飾を印刷した合成樹脂製フィルムを貼着させたりして、印刷層56を形成させている。
【0031】
内側ベースコート層52の内側には、最内層58が形成され、最内層58は、内側ベースコート層52に強固に接着すると共に、パッキンにも強固に接着する合成樹脂製塗料が使用される。
最内層58に使用される合成樹脂製塗料は、最内層58の内側に形成されるであろうパッキンが塩化ビニール樹脂系ゾルである場合、塩化ビニール樹脂系塗料若しくはアクリル樹脂系塗料が使用され、パッキンにアクリル樹脂系ゾルを使用する場合は、アクリル樹脂系塗料やエポキシ樹脂系塗料が使用される。
【0032】
前記最内層58は、厚さが例えば10μm程であり、後段のプレスによって打ち抜かれる境界を仮想した打ち抜き破断線60よりも内側、つまりキャップ予定部59側に、打ち抜き破断線60上に掛からない範囲のキャップ予定部59に形成されている。
この結果、本実施形態においては、後段の成形工程において最内層58を構成する合成樹脂製塗料に過酷な破断成形が加わらず、合成樹脂製塗料が割れたり剥離し、塗料屑になることがない。
【0033】
<最内層の形成範囲>
ところで、本実施形態においては、最内層58の形成範囲の設定は重要である。
すなわち、前記最内層58は、打ち抜き破断線60から内側に1mmよりも近づくと、塗装ズレが発生した場合や、キャップ成形の際に金属板16の送りがズレてしまった様な場合等に、最内層58をプレスで打ち抜いてしまい、塗料屑を発生させてしまう虞がある。
【0034】
これに対し、最内層58が打ち抜き破断線60から内側に8mmよりも離れると、キャップに成形した後に、パッキンが固着していない部分が発生し、密封機能が損なわれ、開蓋時にパッキンが変形し開蓋し難くなる虞がある。
そこで、本実施形態においては、該最内層58は、打ち抜き破断線60からキャップ予定部59側に1mm〜8mmの離隔距離をおいて塗布されている。
【0035】
この結果、本実施形態においては、最内層58の合成樹脂製塗料が打ち抜き破断線60の内側に確実に塗布されており、成形の際に最内層58の合成樹脂製塗料に過酷な破断成形が加わらないので、合成樹脂製塗料が割れたり剥離し、塗料屑になることがない。これにより塗料屑の発生をより確実に防ぐことができる。
【0036】
<合成樹脂製塗料の粘度>
また本実施形態においては塗料の粘度も重要である。
すなわち、最内層58の合成樹脂製塗料の構造粘度が0.5poiseよりも小さいと、合成樹脂製塗料の流れが良すぎて、打ち抜き破断線60に1mmよりも近づく心配がある。
これに対し、合成樹脂製塗料の構造粘度が2.0poiseよりも大きいと、合成樹脂製塗料の流れが悪くて最内層58の頂面が平坦に成らない場合が予想される。すると、外観上の見栄えが悪く、パッキンの接着が阻害されたり、合成樹脂製塗料が塗膜割れ等を起こして、塗料の加工性が悪くなる虞がある。
【0037】
そこで、本実施形態においては、合成樹脂製塗料が確実に塗装され、最内層58が打ち抜き破断線60から1mm〜8mm内側に確実に形成されるようにするため、最内層58を形成する合成樹脂製塗料の構造粘度を0.5〜2.0poise(ずり速度2000sec−1で測定)に調整している。
【0038】
最内層58の合成樹脂製塗料の構造粘度を、上記の範囲に調整する方法としては、合成樹脂製塗料に混合溶剤や微粉末シリカ(アエロジェル)を加えて行われる。その一例としては、Bakelite社製ビニライト樹脂VYHHとVMGH、油化シェルエポキシ社製エピコート828、日立化成社製Hitanol4010を45/45/5/5の比率で混合する。さらに樹脂100部当たり40部の石原産業社製酸化チタン(CR−95)を配合して不揮発分36%のベース塗料に調合し、該ベース塗料に、MIBK、キシレン、シクロヘキサノンの35:45:20の混合溶剤を加えることにより、粘度を調整することができる。
【0039】
本実施形態においては、このように粘度を調整した合成樹脂製塗料を、最内層58の所望の厚みと広さからなる形状を備えた窪みを千鳥状に複数個表面に形成させた型ロールで塗布し、焼付け乾燥することにより金属板16に最内層58を完成させている。
最内層58を形成させた金属板16をプレスに送って位置合わせした後に、プレスで金属板16を打ち抜き、キャップシェルを作るが、該プレスによる打ち抜きの際、最内層58と打ち抜き破断線60との間に合成樹脂製塗料が塗布されていないため、最内層58の合成樹脂製塗料が、過酷な破断成形を受けることがない。
【0040】
この結果、本実施形態においては、最内層58を形成する合成樹脂製塗料が割れたり剥離し塗料屑になることがない。これにより塗料屑の発生をより確実に防ぐことができる。
そして、本実施形態においては、前記プレスによる打ち抜きにより、図3に拡大して示されるようなキャップシェル18が成形される。
【0041】
<キャップシェル>
図3には前述のようにして成形されたキャップシェル18の断面図が示されている。
同図に示すキャップシェル18は、天板62と該天板62から下方に垂下するスカート部64を備えている。
ここで、スカート部64の下端を出発点として1mm〜8mmの範囲で所望の長さに設定された部分は、内側ベースコート層52がむき出しで、最内層58の合成樹脂製塗料が塗られていない状態になっている。
【0042】
ラグキャップ
続いて、前記キャップシェル18からラグキャップ等のキャップ44を成形するには、図4の半裁断面図に示されるように、スカート部64の下端を内巻きのカール部66に成形し、該カール部66を潰して半径方向内方に突出するラグ68を複数箇所作り、天板の内側にパッキンを形成させ、ラグキャップ44aとする。
なお、ラグキャップの他の例としては、スカート部64の中程に、半径方向内方に突出するラグを押圧成形しても良いし、該ラグキャップの水平断面形状は、円形に限られるものではなく、五角形や六角形の多角形や、楕円形でも良い。
【0043】
また補強とラグキャップ全体に剛性を持たせて開蓋し易くするために、スカート部64の下端に外巻きカール部を形成させることもできる。
以上のように本実施形態にかかる金属キャップの製造装置によれば、上述の構成を備えているので、打ち抜き破断線内側の所定範囲に最内層の合成樹脂製塗料を塗布することができる。したがって、本実施形態においては、プレスでの打ち抜きの際に、金属板の最内層の合成樹脂製塗料に過酷な破断成形が加わらず、最内層の合成樹脂製塗料が割れたり剥離することがないので、塗料屑になることを防ぐことができる。
【0044】
また本実施形態においては、最内層として塗布する合成樹脂製塗料が打ち抜き破断線よりも1mm〜8mm内側に塗布されていることにより、最内層の合成樹脂製塗料を打ち抜き破断線の内側に確実に塗布することができる。したがって、本実施形態においては、プレスでの打ち抜きの際に最内層の合成樹脂製塗料に過酷な破断成形が加わらず、合成樹脂製塗料が割れたり剥離することがないので、塗料屑の発生を、より確実に防ぐことができる。
【0045】
また本実施形態においては、最内層として塗布する合成樹脂製塗料が、構造粘度0.5〜2.0poiseのビニル系樹脂塗料又はアクリル系樹脂塗料であることにより、最内層の合成樹脂製塗料を打ち抜き破断線の内側に確実に塗布することができるので、塗料屑の発生を、より確実に防ぐことができる。
なお、前記構成ではラグキャップを製造した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の金属キャップ、例えばスクリュウキャップ、ピルファープルーフキャップ等に適用することができる。
【0046】
スクリュウキャップ
スクリュウキャップの製造には、前記金属製主材として化学処理鋼鈑、ブリキ及びアルミニウムよりなる群より選択された材料を用いることができる。
そして、最終成形部は、キャップシェル18から図5に示されるようなスクリュウキャップ44bを成形することができる。
すなわち、最終成形部は、図5の半裁断面図に示されるように、スカート部64の下端を内巻きのカール部66に成形し、スカート部64に半径方向内方に突出するねじ70を成形し、天板62にパッキンを形成し、スクリュウキャップ44bとする。
【0047】
なお、スクリュウキャップの他の例としては、スカート部64の下端を内巻きではなく外巻きのカール部に成形しても良いし、カール部を形成させなくても良く、ねじを半径方向外方に突出するねじにしても良い。
ここで、スカート部64の下端から1mm〜8mmの範囲で、所望の長さに設定した部分は、最内層58の合成樹脂製塗料が塗られていない状態であるが、この部分をカール部で隠し外観上見えることがないようにすれば、奇異な感じを起こさせることはない。
また最内層58の合成樹脂製塗料が塗られていない部分は、内側ベースコート層52で覆われているため、錆が発生することもない。
【0048】
ピルファープルーフキャップ
前記最終成形部は、キャップシェル18から図6に示されるようなピルファープルーフキャップ44cを成形することもできる。
すなわち、最終成形部は、前記図4に示したキャップシェル18のスカート部64に、横長の切断部分で構成させたスリット72と、該スリット72とスリット72との間にブリッジ74を形成させて、不正開封防止バンド76としている。
ここで、前記不正開封防止バンド76は、内側ベースコート層52がむき出しの部分に形成されており、その後、天板62の内側にはパッキンが形成される。
【0049】
<最内層の形成範囲>
ピルファープルーフキャップ44cにおいては、打ち抜き破断線の内側に不正開封防止バンド76の刻設位置を設けており、該最内層58は、不正開封防止バンド76の刻設位置に1mmよりも近づくと、塗装ズレが発生した場合や、不正開封防止用バンド76を形成させるときに、図4に示したキャップシェル18が装置10上でズレてしまった様な場合等に、最内層58をスリット状に切断してしまい、塗料屑を発生させてしまう虞がある。
【0050】
これに対し、最内層58が不正開封防止バンド76の刻設位置から8mmよりも離れると、キャップに成形した後に、パッキンが固着していない部分が発生して、密封機能が損なわれ、開蓋時にパッキンが変形して開蓋し難くなる虞がある。
そこで、打ち抜き破断線の内側に不正開封防止バンド76の刻設位置を設けるピルファープルーフキャップ44cでは、図7に示されるように中間成形工程の直前である前記最内層形成工程において、該最内層58は、打ち抜き破断線60よりも内側の不正開封防止バンド76の刻設位置よりも、さらに1mm〜8mm内側に塗布されている。
【0051】
<合成樹脂製塗料の粘度>
ここで、本実施形態においては、合成樹脂製塗料が確実に塗装され、最内層58が不正開封防止バンド76の刻設位置から1mm〜8mm内側に確実に形成されるようにするため、最内層58の合成樹脂製塗料の構造粘度を0.5〜2.0poise(ずり速度2000sec−1で測定)に調整している。
【0052】
すなわち、最内層58の合成樹脂製塗料の構造粘度が0.5poiseよりも小さいと、合成樹脂製塗料の流れが良すぎて、不正開封防止バンド76の刻設位置に1mmよりも近づく心配があるのに対し、合成樹脂製塗料の構造粘度が2.0poiseよりも大きいと、合成樹脂製塗料の流れが悪くて最内層58の頂面が平坦に成らないことが予想されるからである。
【0053】
そこで、ピルファープルーフキャップ44cの製造において、スカート部64を横長に切断してスリット72を成形する際は、スカート部64の下端から不正開封防止バンド76の刻設位置間と、不正開封防止バンド76の刻設位置から最内層58間における1mm〜8mmの範囲で設定した所望の長さの部分には、最内層58の合成樹脂製塗料が塗られていない。このため、成形工程におけるプレスでの金属板の打ち抜きの際に、最内層58の合成樹脂製塗料が、過酷な破断成形を受けることがなく、最内層58の合成樹脂製塗料が割れたり剥離し塗料屑になることがない。
【0054】
なお、ピルファープルーフキャップ44cを開封すると、スカート部64の下端部が容器の環状突起部の下端に絞り込まれているため、回動することができないので、ブリッジ74が破断し、スリット62からスカート部64の下端まで板厚を薄くして設けた弱化線78も破断し、スカート部64が広がって、容器口部からピルファープルーフキャップ44cをはずし易くすると共に、開封があったことを指し示す。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる金属キャップの製造方法は、最内層形成工程により、最内層を形成する合成樹脂製塗料を、打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて該キャップ予定部に塗布することとしたので、製造過程における塗料屑の発生を防ぐことができる。
また本発明においては、前記合成樹脂製塗料が打ち抜き破断線若しくは不正開封防止バンドの刻設位置よりもキャップ予定部側に1mm〜8mmの離隔距離をおいて塗布されていることにより、製造過程における塗料屑の発生を、より確実に防ぐことができる。
さらに本発明においては、前記合成樹脂製塗料が構造粘度0.5〜2.0poiseのビニル系樹脂塗料またはアクリル系樹脂塗料であることにより、製造過程における塗料屑の発生を、より確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる金属キャップ製造方法を行うための金属キャップ製造装置の概略構成の説明図である。
【図2】同図(A)は本実施形態にかかる金属キャップの製造方法で使用する金属板を示した側面図、同図(B)は同図(A)に示した金属板の底面図である。
【図3】本発明にかかる金属キャップの製造方法における中間成形品であるキャップシェルの断面図である。
【図4】本実施形態にかかる金属キャップの製造方法で製造したラグキャップの一例を示した半裁断面図である。
【図5】本実施形態にかかる金属キャップの製造方法で製造したスクリュウキャップの一例を示した半裁断面図である。
【図6】本実施形態にかかる金属キャップの製造方法で製造したピルファープルーフキャップの一例を示した半裁断面図である。
【図7】図6に示したピルファープルーフキャップに好適な最内層の形成範囲の説明図である。
【符号の説明】
10 金属キャップの製造装置
12 最内層形成手段
14 成形手段
16 金属板
58 最内層
59 キャップ予定部
60 打ち抜き破断線
76 不正開封防止バンド
Claims (4)
- 金属板におけるキャップの内側に成形される面に、成形前の最内層を形成する合成樹脂製塗料を塗布する最内層形成工程と、
前記最内層形成工程後の金属板を、キャップ予定部の周囲の打ち抜き破断線に沿って打ち抜き、前記最内層がキャップ内側となるように該キャップ予定部をキャップに成形する成形工程と、
を備えた金属キャップの製造方法において、
前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料を、前記打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて、該キャップ予定部に塗布することを特徴とする金属キャップの製造方法。 - 請求項1記載の金属キャップの製造方法において、前記成形工程は、キャップ開封時に破断される不正開封防止バンドを、前記打ち抜き破断線よりもキャップ予定部側に形成し、
前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料を、前記不正開封防止バンドの刻設位置よりもキャップ予定部側に所定の離隔距離をおいて、該キャップ予定部に塗布することを特徴とする金属キャップの製造方法。 - 請求項1又は2記載の金属キャップの製造方法において、前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料を、前記打ち抜き破断線ないし不正開封防止バンドの刻設位置よりもキャップ予定部側に1mm〜8mmの離隔距離をおいて塗布することを特徴とする金属キャップの製造方法。
- 請求項3記載の金属キャップの製造方法において、前記最内層形成工程は、前記合成樹脂製塗料として、ずり速度2000sec−1で測定時の構造粘度が0.5〜2.0poiseのビニル系樹脂塗料又はアクリル系樹脂塗料を塗布することを特徴とする金属キャップの製造方法。
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JP2002184844A JP2004025233A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 金属キャップの製造方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006044703A (ja) * | 2004-08-02 | 2006-02-16 | Mitsubishi Materials Corp | キャップ及びキャップ付容器 |
JP2008230678A (ja) * | 2007-03-22 | 2008-10-02 | Japan Crown Cork Co Ltd | 金属製容器蓋及びその製造方法 |
CN101972822A (zh) * | 2010-10-11 | 2011-02-16 | 无锡四方友信股份有限公司 | 钢桶底盖错位冲压成型方法 |
JP2016530100A (ja) * | 2013-07-19 | 2016-09-29 | ボール コーポレイションBall Corporation | 金属キャップを製造するとともに同金属キャップにリソグラフィを提供する方法 |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002184844A patent/JP2004025233A/ja not_active Withdrawn
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