JP4587423B2 - 3ピース缶用溶接缶胴の製造方法 - Google Patents

3ピース缶用溶接缶胴の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3ピース缶用の溶接缶胴を製造するための方法に関し、特に、少なくとも缶内面側となる面に熱可塑性樹脂フィルムがラミネートされた帯状の被覆金属板を材料として溶接缶胴を製造するようにした3ピース缶用溶接缶胴の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コーヒー,ジュース,ウーロン茶,緑茶等の飲料缶において一般的に広く使用されている3ピース缶の缶胴部分(溶接缶胴)を製造する方法として、帯状の金属板から所定の大きさ(複数缶分の大きさ)に切断された平坦な金属シート板に対し、その缶外面側に内容物やブランドの表示等を目的とした印刷・塗装を施すと共に、その缶内面側に内容物の保護を目的とした有機被膜の塗装を施してから、この印刷・塗装済みのシート板を一缶分毎の大きさのブランクに切断した後、それぞれのブランクについて、曲げ加工して重ね合わせ部を溶接することで円筒状の缶胴に形成してから、缶胴の両端部分にネック・フランジ加工を施す、ということが従来から一般的に行われていたが、そのような個々の金属シート板に対して印刷・塗装を施すような方法では、製缶速度を上げて生産性を高めるということが困難であり、また、製缶の現場で大量の有機溶剤を使用することによる様々な問題があった。
【0003】
これに対して、そのような問題を解決するために、3ピース缶の溶接缶胴の材料として、帯状の金属板に対し、予め印刷・塗装を施した帯状の熱可塑性樹脂フィルムを金属板の缶外面側にラミネートすると共に、保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルムを金属板の缶内面側にラミネートすることで、両面に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした被覆金属板のコイル(帯状板材)を予め製造しておき、この被覆金属板のコイルを複数缶分の長さのシート板に切断してから、各シート板を一缶分毎のブランクに切断した後、それぞれのブランクについて、曲げ加工して重ね合わせ部を溶接することで円筒状の缶胴に形成してから、缶胴の両端部分にネック・フランジ加工を施す、ということが従来から様々に提案され既に実施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような3ピース缶用溶接缶胴の製造方法において使用される帯状の被覆金属板では、溶接部となるブランクの重ね合わせ部(各ブランクにおける缶胴円周方向の両端部)に相当する部分が熱可塑性樹脂フィルムで覆われないように、金属板の内外両面の何れにおいても、一缶分の円周長さよりも僅かに短い幅の帯状フィルムが、金属板の幅方向で所定の間隔を置いて複数条ラミネートされており、金属板の幅方向では、所定の間隔で非ラミネート部分(ブランクの重ね合わせ部に相当する部分)が形成されているのに対して、金属板の長手方向では、非ラミネート部分が形成されることなく連続してフィルムがラミネートされた状態となっている。
【0005】
そのため、通常、ロータリーカッターのようなオフセットされた上刃と下刃による剪断手段によって、被覆金属板のコイルを所定の大きさのシート板に切断したり、更に各シート板を一缶分毎のブランクに切断したりする際に、各ブランクの缶胴円周方向の両端部に相当する部分については、金属板が露出した非ラミネート部分を切断するために問題はないものの、各ブランクの缶胴長さ方向の両端部(缶胴の開口両端部)に相当する部分については、金属板と熱可塑性樹脂フィルムを重ねて切断(剪断)することで、その切断端面に熱可塑性樹脂フィルムの剥離部を発生させることとなる。
【0006】
なお、オフセットされた上刃と下刃により金属板を切断(剪断)した場合、切断端面の一端側(金属板の一面側)がバリの発生する返り側となり、切断端面の他端側(金属板の他面側)である反返り側がバリの発生しないラウンド側となるが、上記のような熱可塑性樹脂フィルムの剥離部の発生はラウンド側で顕著なものとなる。
【0007】
このように被覆金属板の切断時に発生する熱可塑性樹脂フィルムの剥離部は、その後のフランジ加工において、フランジ加工具が缶胴の開口端部及び開口先端内面に接触して、缶内面側のフィルム剥離部に成形力がかかるために、所謂フィルムヘアーと言われるフィルムの切り屑を発生させる原因となり、そのようなフィルムへアーが缶内に脱離した場合には、内容物にフィルムへアーが混入しないように製缶後の選別工程でこれを除去しなければならず、手間がかかってコスト的にも問題があり、また、その程度によっては製缶が中断されるような状況となる場合も少なくない。
【0008】
そのようなフィルムヘアーの発生に対して、従来、ラミネートされた樹脂フィルムの剥離や脱離を少なくするための手段として、被覆金属板の切断時の返りの方向やフランジの形状を改良する方法、ラミネートフィルムと金属板との接着強度を向上させる方法などが提案されており、ある程度の実績はあげているものの、それらの方法によっては、樹脂フィルムの剥離や脱離を未だ充分には防止することができず、さらに改善されたフィルムヘアーの防止方法の開発が期待されている。
【0009】
なお、3ピース缶用の溶接缶胴ではないが、2ピース缶のシームレス缶体(缶底を一体成形した缶胴)について、特開平9−19733号公報には、「予め金属板の少なくとも缶内側となる面に熱可塑性樹脂を被覆し、この樹脂被覆金属板を絞り成形してカップを作り、このカップの端縁周辺部を加熱処理して絞り加工により発生したカップ上部端部から外方に伸びる熱可塑性樹脂の片を熱収縮させてカップ開口部に熱可塑性樹脂の存在しない露出金属面を形成し、かつ熱収縮させた樹脂を融着させた後、再絞り成形または再絞り成形としごき成形する」ことで、「熱可塑性樹脂被覆のヘアーの発生を防止した」ということが記載されている。
【0010】
しかしながら、上記のような公報中に記載されているフィルムヘアー防止方法では、熱可塑性樹脂を(高周波誘導加熱により)融点以上に加熱処理して熱収縮させており、そのような方法によって3ピース缶の溶接缶胴の両端部を連続製缶の搬送途中で加熱処理する場合には、加熱処理のための新たな手段(高周波誘導加熱コイル等)が必要となって、大きな熱エネルギーを消費することになると共に、加熱処理時に缶胴が高温となって熱可塑性樹脂の外面が軟化するため、加熱処理の直後に冷却工程を設けることなく従来通りそのまま各缶胴を搬送すると、熱可塑性樹脂自体にダメージを与える虞が生じる。
【0011】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした被覆金属板から製造される3ピース缶用の溶接缶胴について、被覆金属板の切断による熱可塑性樹脂フィルムの剥離部が缶胴の両端の切断端面に存在していても、大きな熱エネルギーを消費して熱可塑性樹脂フィルムにダメージを与えるようなことなく、その後の缶胴のフランジ加工時に缶内面側のフィルム剥離部に対して加工具による成形力がかかることでフィルムヘアーが発生するのを効果的に防止できるようにすることを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、帯状の金属板の少なくとも缶内面側となる面に熱可塑性樹脂フィルムが長手方向で連続してラミネートされた被覆金属板を、複数缶分の長さのシート板に切断してから、各シート板を一缶分毎の大きさのブランクに切断した後、それぞれのブランクについて、曲げ加工して重ね合わせ部を溶接することで円筒状の缶胴に形成してから、缶胴の両端部分にネック・フランジ加工を施すようにした3ピース缶用溶接缶胴の製造方法において、金属板の少なくとも缶内面側となる面への熱可塑性樹脂フィルムのラミネートを、熱収縮率が高い熱硬化性樹脂の接着剤を介して行うと共に、ネック・フランジ加工を施す前の缶胴の両端部分の全周を、熱可塑性樹脂フィルムの融点以下の温度で加熱処理することにより、缶胴の開口端部の切断部分に存在する熱可塑性樹脂フィルムの剥離部を、熱硬化性接着剤の硬化収縮に伴う引き連れによって50%以上収縮させておくことを特徴とするものである。
【0013】
上記のような3ピース缶用溶接缶胴の製造方法によれば、被覆金属板の切断による熱可塑性樹脂フィルムの剥離部が缶胴の両端の切断端面に存在していても、熱可塑性樹脂フィルム自体を溶融させるような高温の加熱処理を行うことなく、例えば、従来から行われている缶胴溶接部の非ラミネート部分を補修塗装した後の加熱乾燥工程を利用して、熱可塑性樹脂フィルムの融点以下(150〜230℃)の温度で加熱処理することにより、熱可塑性樹脂フィルム自体にダメージを与えるようなことなく、熱硬化性接着剤の硬化収縮に伴う引き連れによって熱可塑性樹脂フィルムの剥離部を50%以上収縮させることで、缶胴の両端部分の切断端部の付近を、例えば、切断端部から0.1mm以上の幅で、熱可塑性樹脂フィルムの存在しない露出金属面とすることができて、その後のフランジ加工の際に、剥離した熱可塑性樹脂フィルムによりフィルムヘアーを発生させることはない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の3ピース缶用溶接缶胴の製造方法の一実施形態について詳細に説明する。
【0015】
本実施形態の方法では、3ピース缶用の溶接缶胴の材料となる帯状の金属板に対して、その一方の面(缶内面側)に、保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルムをラミネートすると共に、その他方の面(缶外面側)に、熱可塑性樹脂フィルムに予め印刷・塗装を施した印刷済み樹脂フィルムをラミネートしており、それら保護被膜の樹脂フィルムや印刷済み樹脂フィルムは、何れも、樹脂フィルムの側に形成された接着剤層を介して金属板にラミネートされている。
【0016】
溶接缶胴の材料である金属板については、特に限定するものではないが、従来から一般的に使用されている製缶用の表面処理鋼板、即ち、ニッケルメッキ鋼板,錫メッキ鋼板,極薄錫メッキ鋼板,電解クロム酸処理鋼板,亜鉛メッキ鋼板等の表面処理鋼板を適宜選択的に使用できる。
【0017】
そのような金属板の一方の面(缶内面側)に保護被膜としてラミネートする熱可塑性樹脂フィルムについては、ビスフェノールAを含有していない樹脂で、一定の耐加工性と耐熱性と耐水性と耐気体透過性等を備えている樹脂によるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びそれらの2種類以上の混合樹脂等による樹脂フィルムが使用できるが、耐熱性や内容物保護性の点からはポリエステルフィルムが好ましく、そのうちでもポリエステル樹脂の配向結晶化した二軸延伸フィルムが最適である。
【0018】
金属板の他方の面(缶外面側)にラミネートする印刷済み樹脂フィルムについては、熱可塑性樹脂フィルムを主体層とするものであり、例えば、トップコート層/熱可塑性樹脂フィルム/印刷インキ層/接着剤層の順に積層した印刷済み樹脂フィルムが挙げられるが、そのようなものに限らず、熱可塑性樹脂フィルムの主体層に対してトップコート層と印刷インキ層を同じ側に形成して、印刷インキ層の上をトップコート層で覆うようにしても良い等、適宜の積層構造として実施することが可能である。
【0019】
なお、例えば、トップコート層/熱可塑性樹脂フィルム/印刷インキ層/接着剤層の順に積層した印刷済み樹脂フィルムの場合、主体層となる帯状の熱可塑性樹脂フィルムに対して、その片面にトップコートを塗布してから乾燥させることでトップコート層を形成すると共に、トップコート塗布面とは反対面に、適宜の印刷方法により所望の印刷を施してから乾燥させて印刷インキ層を形成した後、印刷インキ層を覆うように接着剤を塗布・乾燥して接着剤層を形成することで、帯状の印刷済み樹脂フィルムとしている。
【0020】
そのような印刷済み樹脂フィルムに主体層として使用される熱可塑性樹脂フィルムについては、一定の耐加工性と耐熱性と耐水性と耐気体透過性等を備えている樹脂によるものであれば、特に限定されるものではないが、印刷インキ層の保持部としての役割を担うものであり、印刷される文字や図柄の印刷仕上がり外観の鮮明性や艶やかさを確保する必要があることから、基本的には透明若しくは半透明のものを使用することが望ましく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びそれらの2種類以上の混合樹脂等による樹脂フィルムを使用できるが、特に、透明性や耐熱性の点からはポリエステル樹脂の配向結晶化した二軸延伸フィルムが最適である。
【0021】
印刷済み樹脂フィルムの最上層となるトップコート層については、滑り性や耐レトルト処理性が良いだけでなく、更に無色透明な皮膜層であることが必要であって、そのようなトップコート層を形成するための塗料としては、熱硬化性樹脂,電子線硬化性樹脂,紫外線硬化性樹脂等の硬化性樹脂に対して更に滑り性をより向上させるためにシリコンやワックス等の滑性剤を添加したような硬化性樹脂塗料が使用できる。
【0022】
印刷インキ層については、文字や図柄を印刷により施すものであるため特別制限するものではないが、熱硬化性のウレタン系樹脂をバインダーとするインキが一般的に使用されており、その印刷方法としては、グラビア印刷,フレキソ印刷,オフセット印刷等、各種の印刷方法を適宜選択可能であるが、色数を豊富に使って色調豊かで美麗な文字や図柄を印刷したい場合には、グラビア印刷法により印刷するのがよい。
【0023】
印刷インキ層を覆うように印刷済み樹脂フィルムに設けられる接着剤層については、基本的には加圧および加熱により缶体の胴部外面側に容易に貼着できる接着剤によるもので、例えば、ポリエステル−イソシアネート−アミノ系接着剤,ポリエステル−エポキシ−アミノ系接着剤,エポキシ−フェノール系接着剤,エポキシ−アミノ系接着剤等の熱硬化型接着剤が好適に使用できるが、電子線硬化型接着剤、或いは熱硬化と電子線硬化の併用型接着剤等も使用できる。
【0024】
これに対して缶内面側で保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルムを金属板にラミネートするための接着剤については、本実施形態では、熱収縮率が高い熱硬化性接着剤を使用しており、そのような熱硬化性接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂、或いはエポキシ樹脂にポリエステル樹脂をグラフト化したエポキシエステル樹脂を骨格樹脂とし、石炭酸,キシレノール,クミルフェノール,クレゾール等を出発原料としてホルマリンを付加させたレゾール型フェノール樹脂を硬化剤とした熱硬化性接着剤があって、具体的には、エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂を(92.5:1.8)〜(92.5:2.2)の重量比で含有する(その他の5.3〜5.7重量%の成分はポリエステル樹脂とアミノ硬化剤である)熱硬化性接着剤を使用している。なお、そのような熱硬化性接着剤では、レゾール型フェノール樹脂の重量%を1.8〜2.2とすることで、高速熱貼着(高速ラミネート)時の密着性を高めている。
【0025】
そのような熱収縮率が高い熱硬化性接着剤を介して缶内面側の保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルムをラミネートすると共に、印刷済み樹脂フィルムを缶外面側にラミネートした被覆金属板については、例えば、帯状金属板のコイルを巻き解いて走行させながら、その一方の面(缶内面側)に保護被膜となる熱可塑性樹脂フィルムを長手方向に連続して熱貼着すると共に、その他方の面(缶外面側)に印刷済み樹脂フィルムを長手方向に連続して熱貼着することで、帯状の被覆金属板としている。
【0026】
その際、それぞれの熱可塑性樹脂フィルムの何れについても、幅広(例えば、4缶分の円周方向長さよりも少し幅が広い)の帯状金属板に対し、幅狭(例えば、一缶分の円周方向長さよりも僅かに短い寸法)の帯状フィルムを、金属板の幅方向で所定の間隔(例えば2〜6mm)を置いて、複数本(例えば4本)それぞれ長手方向に連続して熱貼着している。
【0027】
すなわち、帯状金属板に帯状フィルムを熱貼着する際には、帯状金属板を予め誘導加熱装置等により予備加熱しておき、金属板の上下両方のそれぞれで、リールに巻き取られた帯状フィルムを巻き解いて走行させながら、それぞれの貼着ロールの手前で、非ラミネート部分に相当する部分をフィルムの長手方向に切断除去してから、フィルムに塗布された接着剤(接着剤層)の側を金属板に向けて熱貼着する。その結果、帯状金属板の上下両面のそれぞれで、金属板の幅方向で所定の間隔(例えば2〜6mm)を置いて、複数条(例えば4条)のフィルムが金属板の長手方向で連続して熱貼着されることとなる。
【0028】
上記のように製造された帯状の被覆金属板は、長手方向で複数缶分となる所定の長さのシート板に切断されてから製缶ラインに供給され、この製缶ラインにおいて、各シート板を一缶分毎のブランクに切断した後、缶胴溶接機において、保護被膜となる樹脂フィルムが缶内側となり、印刷済み樹脂フィルムが缶外側となるように、ブランクを略円筒状に成形してから、ブランクの円周方向両端の非ラミネート部分同士を重ね合わせて、この重ね合わせ部を溶接することで、円筒状の缶胴に形成している。
【0029】
そして、そのような円筒状の缶胴に対して、更に、缶胴溶接部の非ラミネート部分を保護するための補修塗装を施してから、その後の加熱乾燥工程において、150〜230℃の加熱温度で缶胴全体を加熱することにより、缶胴溶接部の非ラミネート部分に形成された補修塗膜層を加熱・乾燥すると共に、被覆金属板を切断した際に缶内面側の切断端部で保護被膜である熱可塑性樹脂フィルムの剥離が見られるのに対して、そのような熱可塑性樹脂フィルムの剥離部を熱硬化性接着剤の硬化収縮に伴う引き連れにより50%以上収縮させた後、円筒状の缶胴の両端部分に対してネック加工とフランジ加工を順次施すことにより、3ピース缶用の溶接缶胴としてから、更に、そのような溶接缶胴の一方の端部に蓋板を巻締めることで、未使用の空缶製品としている。
【0030】
上記のような本実施形態の3ピース缶用溶接缶胴の製造方法について、その具体的な実施例とその比較例によって更に説明する。
【0031】
以下の各実施例と各比較例では、何れも、表面に錫鉄合金層,錫層,クロム・クロメート層が順次形成されている板厚が0.22mmで帯状の表面処理鋼板に対して、その一方の面(缶外面側)に印刷済み樹脂フィルムを、また、その他方の面(缶内面側)に保護被膜となる樹脂フィルムを、それぞれ、ラミネートロールにより、200m/分の速度で搬送し、160±5℃の温度で加熱して、50kg/cmで押圧しながら、同時に熱貼着することで、帯状のラミネート鋼板を製造している。
【0032】
そして、そのように製造された帯状のラミネート鋼板を、複数缶分の長さのシート板に切断してから、各シート板を一缶分毎の大きさのブランクに切断した後、それぞれのブランクについて、保護被膜となる樹脂フィルムが缶内側となり、印刷済み樹脂フィルムが缶外側となるように、曲げ加工して重ね合わせ部を溶接することで円筒状の缶胴に形成してから、溶接部を補修塗装した後、補修塗装部分を乾燥させるために、缶胴をオーブン内を通過させることにより、225±5℃で90秒間の加熱処理を行っている。
【0033】
なお、各実施例と各比較例の何れにおいても、缶外面側の印刷済み樹脂フィルムとしては、トップコート層(1μm)/熱可塑性樹脂フィルム(12μm)/印刷インキ層(2〜3μm)/接着剤層(5μm)からなる同じものを使用し、缶内面側の樹脂フィルム(保護被膜)としては、熱可塑性樹脂フィルム(11μm)/接着剤層(1.5μm)からなる同じものを使用しており、それぞれの樹脂フィルムの基材である熱可塑性樹脂フィルムは、何れも二軸延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製:商品名ルミラー)である。
【0034】
また、印刷済み樹脂フィルムの接着剤層としては、何れもアミノ硬化とEB(電子線)硬化の併用タイプの同じ接着剤を使用しているが、缶内面側の樹脂フィルム(保護被膜)の接着剤層としては、各実施例では、エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを92.5:1.8〜92.5:2.2の重量比で含有する(その他の5.3〜5.7重量%の成分はポリエステル樹脂とアミノ硬化剤である)熱硬化性接着剤を使用しているのに対して、各比較例では、そのような熱硬化性接着剤とは組成が異なる熱硬化性接着剤を使用している。
【0035】
【実施例】
〔実施例1〕
上記のような缶胴の製造において、缶内面側の樹脂フィルムの接着剤層として、エポキシ樹脂(92.5重量%),レゾール型フェノール樹脂(2重量%),ポリエステル樹脂(5重量%),アミノ硬化剤(0.5重量%)からなる熱硬化性接着剤を使用している。
〔実施例2〕
上記のような缶胴の製造において、缶内面側の樹脂フィルムの接着剤層として、エポキシ樹脂(92.5重量%),レゾール型フェノール樹脂(1.8重量%),ポリエステル樹脂(5重量%),アミノ硬化剤(0.7重量%)からなる熱硬化性接着剤を使用している。
〔実施例3〕
上記のような缶胴の製造において、缶内面側の樹脂フィルムの接着剤層として、エポキシ樹脂(92.5重量%),レゾール型フェノール樹脂(2.2重量%),ポリエステル樹脂(5重量%),アミノ硬化剤(0.3重量%)からなる熱硬化性接着剤を使用している。
【0036】
〔比較例1〕
上記のような缶胴の製造において、缶内面側の樹脂フィルムの接着剤層として、エポキシ樹脂(92.5重量%),レゾール型フェノール樹脂(1.5重量%),ポリエステル樹脂(5重量%),アミノ硬化剤(1重量%)からなる熱硬化性接着剤を使用している。
〔比較例2〕
上記のような缶胴の製造において、缶内面側の樹脂フィルムの接着剤層として、エポキシ樹脂(57重量%),ポリエステル樹脂(38重量%),アミノ硬化剤(5重量%)からなる熱硬化性接着剤を使用している。
【0037】
上記の各実施例1〜3による缶胴について、各実施例毎にそれぞれ100個ずつのサンプルでその平均値を見ると、各実施例1〜3の何れにおいても、円筒状の缶胴が形成された時点で、缶胴の開口端部の内側で樹脂フィルム(保護被膜)に、シート切断時やブランク切断時に発生した0.12mm程度の剥離部が見られるのに対して、加熱処理(225±5℃で90秒)を終えた時点では、熱硬化性接着剤の硬化収縮により前記の剥離部が0.02mm程度となるまで収縮しており、その結果、切断端部に0.1mm程度の幅で樹脂フィルムが存在しない露出金属面が形成されていた。
【0038】
これに対して、上記の各比較例1,2による缶胴について、各実施例毎にそれぞれ100個ずつのサンプルでその平均値を見ると、各比較例1,2の何れにおいても、円筒状の缶胴が形成された時点では、上記の各実施例の場合と同様に、缶胴の開口端部の内側で樹脂フィルム(保護被膜)に、シート切断時やブランク切断時に発生した0.12mm程度の剥離部が見られるのに対して、加熱処理(225±5℃で90秒)を終えた時点では、比較例1においては剥離部が0.05mm程度となり、また、比較例2においては剥離部が0.1mm程度となるように、熱硬化性接着剤の硬化収縮によりある程度は収縮していたが、その収縮の程度は上記の各実施例と比べて小さかった。
【0039】
さらに、上記の各実施例1〜3と各比較例1,2による缶胴のそれぞれ(各100個ずつのサンプル)について、その後、缶胴の開口端部に対してネックイン加工とフランジ加工を施した結果、各実施例1〜3による缶胴では、その何れでも、80%以上の缶胴でフィルムヘアーが発生していなかったのに対して、比較例1による缶胴では、フィルムヘアーが発生しないものは45%程度であり、また、比較例2による缶胴では、フィルムヘアーが発生しないものは40%程度であった。
【0040】
上記のような本実施形態の3ピース缶用溶接缶胴の製造方法によれば、帯状の被覆金属板をシート板に切断したり、シート板を一缶分毎のブランクに切断した際に、その切断部分で缶内面側の保護被膜である樹脂フィルムが剥離して、円筒状に形成された缶胴の開口端部の切断部分に樹脂フィルムの剥離部が存在していても、缶胴溶接部を補修塗装した後の加熱乾燥工程において、補修塗膜層の加熱・乾燥を行うと同時に、缶胴の両端部分の全周を熱可塑性樹脂フィルムの融点以下(150〜230℃)の温度で加熱処理して、熱硬化性接着剤の硬化収縮に伴う引き連れにより熱可塑性樹脂フィルムの剥離部を50%以上収縮させておくことで、缶胴の両端部分の切断端部の付近を、例えば、切断端部から0.1mm以上の幅で、缶内面側に熱可塑性樹脂フィルムの存在しない露出金属面とすることができて、その後のフランジ加工の際に、剥離した樹脂フィルムに起因するフィルムヘアーが発生するのを確実に防止することができる。
【0041】
しかも、缶胴の両端部分の加熱処理については、上記のように従来から存在する補修塗装後のオーブン等による加熱乾燥工程を利用することによって、高周波誘導加熱コイルのような専用手段を新たに設けることなく、また、そのような専用手段を使用することで大きな熱エネルギーを消費するようなことなく行うことができると共に、熱可塑性樹脂フィルムの融点以下(150〜230℃)の温度で、熱可塑性樹脂を溶融させることなく、接着剤の硬化収縮により樹脂フィルムの剥離部を収縮させるためのものであることから、その直後に冷却手段を設けることなくそのまま缶胴を搬送しても、缶胴にラミネートされている熱可塑性樹脂フィルム自体がダメージを受けるようなことはない。
【0042】
以上、本発明の3ピース缶用溶接缶胴の製造方法の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、缶内面側に保護被膜の樹脂フィルムをラミネートし、缶外面側に印刷済み樹脂フィルムをラミネートした被覆金属板から溶接缶胴を製造するような方法に限らず、缶内面側にだけ保護被膜の樹脂フィルムをラミネートしたり、或いは、缶内面側と缶外面側の両面に保護被膜の樹脂フィルムをラミネートしたような被覆金属板から溶接缶胴を形成した後で、円筒状の缶胴外面に印刷済み樹脂フィルムを貼着するような方法としても実施可能である等、適宜変更可能なものであることは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の3ピース缶用溶接缶胴の製造方法によれば、被覆金属板の切断による熱可塑性樹脂フィルムの剥離部が、円筒状に形成された缶胴の両端の切断端面に存在していても、大きな熱エネルギーを消費して熱可塑性樹脂フィルムにダメージを与えるようなことなく、熱可塑性樹脂フィルムの剥離部を収縮させることができて、その後の缶胴のフランジ加工時にフィルムヘアーが発生するのを効果的に防止することができる。

Claims (2)

  1. 帯状の金属板の少なくとも缶内面側となる面に熱可塑性樹脂フィルムが長手方向で連続してラミネートされた被覆金属板を、複数缶分の長さのシート板に切断してから、各シート板を一缶分毎の大きさのブランクに切断した後、それぞれのブランクについて、曲げ加工して重ね合わせ部を溶接することで円筒状の缶胴に形成してから、缶胴の両端部分にネック・フランジ加工を施すようにした3ピース缶用溶接缶胴の製造方法において、金属板の少なくとも缶内面側となる面への熱可塑性樹脂フィルムのラミネートを、熱収縮率が高い熱硬化性樹脂の接着剤を介して行うと共に、ネック・フランジ加工を施す前の缶胴の両端部分の全周を、熱可塑性樹脂フィルムの融点以下の温度で加熱処理することにより、缶胴の開口端部の切断部分に存在する熱可塑性樹脂フィルムの剥離部を、熱硬化性接着剤の硬化収縮に伴う引き連れによって50%以上収縮させておくことを特徴とする3ピース缶用溶接缶胴の製造方法。
  2. 帯状の金属板の少なくとも缶内面側となる面に、金属板の幅方向で所定の間隔を置いて、複数条の熱可塑性樹脂フィルムを長手方向に連続してラミネートすることで、溶接部となるブランクの重ね合わせ部に相当する部分を非ラミネート部分にすると共に、円筒状に形成された缶胴の非ラミネート部分である溶接部を補修塗装した後の加熱乾燥工程で、缶胴の両端部分の全周を熱可塑性樹脂フィルムの融点以下の温度で加熱処理するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の3ピース缶用溶接缶胴の製造方法。
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