JP4065690B2 - 易開封性容器蓋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、殻体とライナーとから構成された易開封性容器蓋、更に詳しくは円形天面壁、この天面壁の周縁から垂下するスカート壁、及びスカート壁の下端から延出する把持片を含み、天面壁及びスカート壁と共に把持片の少なくとも基部は金属薄板から一体に形成されており、把持片の両側からスカート壁を上方に延び、次いで天面壁の周縁部を円弧状に延びる一対のスコアが形成されている殻体と、殻体の天面壁の内面上で合成樹脂素材を型押成形することによって形成され、外周縁は該一対のスコアの円弧状に延びる部分よりも半径方向外方に位置する円板状ライナーとから構成された易開封性容器蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述した形態の易開封性容器蓋は、円筒状口頸部の外周面には環状あご部が形成されている形態のガラス製又は合成樹脂製容器に適用される。ライナーは周縁シール部と中央薄肉部を有し、容器の口頸部に容器蓋が所要とおりに装着されると、ライナーの周縁シール部が口頸部頂面に密接され、これによって口頸部が密封される。容器の口頸部に容器蓋を装着する際には、口頸部に容器蓋を被嵌し、殻体のスカート壁の下部を半径方向内側に変形せしめて口頸部の環状あご部に係止せしめる。容器の口頸部を開封する際には、殻体の把持片を半径方向外方及び上方に引っ張ることによって殻体の一対のスコアを破断し、これによって環状あご部に対するスカート壁の係止を解除して容器蓋の全体を口頸部から除去する。
【0003】
而して、容器の口頸部に容器蓋を装着する際には、殻体に対してライナーが所定位置に充分確実に保持されていて、殻体を容器の口頸部に所要とおりに被嵌すると口頸部に対してライナーが所要とおりに位置せしめられることが重要である。かかる見地からは、殻体の天面壁の内面にライナーが充分に接着されていることが必要である。他方、容器の口頸部を開封する際に殻体の一対のスコアを充分容易に破断し、容器蓋全体を充分容易に口頸部から除去することができるようになすためには、一対のスコアの相当部分を覆っているライナーを破断せしめる必要なくして一対のスコアを破断することができるように構成すると共に、一対のスコアの破断初期から中期に渡ってはライナーが殻体の天面壁から剥離され、ライナーを大幅に変形せしめる必要なくして殻体の天面壁を漸次変形せしめることができるように構成することが必要である。一対のスコアを破断する際にライナーも破断しなければならない場合には、相当大きな力を加えることが必要になる。また、ライナーがその略全領域に渡って殻体の天面壁の内面に接着されており、一対のスコアを破断する際には殻体の天面壁のみならずライナーも大幅に変形せしめなければならない、更に詳しくは大幅に折り曲げなければならない場合にも、同様に相当な力を加えることが必要になる。
【0004】
特公昭61−44736号公報に開示されている易開封性容器蓋においては、上述した要件を充足するために、一対のスコア間に位置し且つ把持片からは離隔された特定領域のみにおいてライナーを天面壁の内面に接着せしめている。かような容器蓋においては、殻体に形成されている一対のスコアの相当部分はライナーによって覆われているが、一対のスコアの破断すべき部分を覆っている領域においてライナーは天面壁の内面に接着されておらず、従ってライナーを破断する必要なくして一対のスコアを破断することができる。また、ライナーを天面壁の内面に接着している特定領域は把持片から離隔している故に、一対のスコアの破断初期から中期に渡ってライナーは殻体の天面壁から剥離されて、実質上変形せしめられることなく略平坦な形態に維持され、殻体の天面壁のみが漸次変形せしめられる。従って、一対のスコアの破断初期から中期に渡って過剰に大きな力を必要とすることなく女性及び子供でも充分に安定して一対のスコアを破断して容器蓋の全体を容器の口頸部から除去することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭61−44736号公報に開示されている易開封性容器蓋も、特に口頸部の直径が比較的大きい(例えば口頸部の呼び外径が30mm)、従って容器蓋の直径が比較的大きい場合に、充分に満足し得るものではなく、次のとおりの解決すべき問題がある。第一に、ライナーが殻体の天面壁の内面に接着されている領域が比較的小さい領域に限定されていることに起因して、容器の口頸部に容器蓋を装着する際に、ライナーの、天面壁に接着されていない周縁部に皺が発生し、口頸部の密封が不充分になる虞がある。第二に、一対のスコアの破断後期、即ち一対のスコアの後半部を破断する際に、要求される力が比較的大きくなる傾向がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、ライナーと殻体の天面壁の内面とを接着せしめる領域と非接着乃至弱接着状態にせしめる領域との配列を改良して、ライナーに望ましくない変形を生成せしめることなく容器の口頸部に容器蓋を所要とおりに充分に安定して装着することができ、そしてまた一対のスコアの破断が全体に渡って過剰な力を必要とすることなく充分容易に容器の口頸部から容器蓋を除去して口頸部を開封することができる、新規且つ改良された易開封性容器蓋を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する易開封性容器蓋として、円形天面壁、該天面壁の周縁から垂下するスカート壁、及び該スカート壁の下端から延出する把持片を含み、該天面壁及び該スカート壁と共に該把持片の少なくとも基部は金属薄板から一体に形成されており、該把持片の両側から該スカート壁を上方に延び、次いで該天面壁の周縁部を円弧状に延びる一対のスコアが形成されている殻体と、該殻体の該天面壁の内面上で合成樹脂素材を型押成形することによって形成され、外周縁は該一対のスコアの円弧状に延びる部分よりも半径方向外方に位置する円板状ライナーと、から構成された易開封性容器蓋において、ライナーと該殻体の該天面壁の内面との間には、直径D1の円形中心領域と該円形中心領域を除く環状領域とを有し、該環状領域は該把持片の中心線から周方向両側に夫々角度0乃至α度である第一の領域と、角度α乃至β度である第二の領域と、角度β乃至γ度である第三の領域と、角度γ乃至δ度である第四の領域と、角度δ乃至180度である第五の領域とが存在し、
該円形中心領域においては該ライナーは該天面壁の内面に対して接着されており、
該環状領域の該第一の領域においては、該ライナーの外周縁から半径方向幅Wで弧状に延び且つ半径方向内側縁は該一対のスコアの円弧状に延びる部分と整合し或いはこれより半径方向内側に位置する弧状領域で該ライナーは該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着であり、該弧状領域の内側においては間隔をおいて配置された複数個の部位において該ライナーは該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着状態であるが、該複数個の部位以外においては該ライナーは該天面壁の内面に対して接着されており、該弧状領域の内側における該複数個の部位の面積s1と該複数個の部位以外の面積s2とはs1=0.4乃至0.7s2の関係を有し、
該環状領域の該第二の領域においては、該ライナーの外周縁から半径方向幅Wで弧状に延び且つ半径方向内側縁は該一対のスコアの円弧状に延びる部分と整合し或いはこれより半径方向内側に位置する弧状領域で該ライナーは該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着であり、該弧状領域の内側においては該ライナーは該天面壁の内面に対して接着されており、
該環状領域の該第三の領域においては、該ライナーの外周縁から半径方向幅Wで弧状に延び且つ半径方向内側縁は該一対のスコアの円弧状に延びる部分と整合し或いはこれより半径方向内側に位置する弧状領域で該ライナーは該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着であり、該弧状領域の内側においては間隔をおいて配置された複数個の部位において該ライナーは該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着状態であるが、該複数個の部位以外においては該ライナーは該天面壁の内面に対して接着されており、該弧状領域の内側における該複数個の部位の面積s3と該複数個の部位以外の面積s4とはs3=0.2乃至0.7s4の関係を有し、
該ライナーの直径をD2とすると、該円形中心領域の直径D1は0.3乃至0.7D2であり、該半径方向幅Wは0.05乃至0.20D2であり、該角度αは45至75度であり、該角度βは85乃至95度であり、該γは125乃至155度であり、該δは145乃至165度である、
ことを特徴とする易開封性容器蓋が提供される。
【0008】
該環状領域の該第五の領域においては、該ライナーは該天面壁の内面に接着されているのが好ましい。好適実施形態においては、該環状領域の該第一の領域における該弧状領域の内側において、該複数個の部位の各々は該把持片の中心線に対して垂直な方向に間隔をおいて該把持片の中心線に平行に延びる帯状である。該環状領域の該第三の領域における該弧状領域の内側において、該複数個の部位の各々は周方向に間隔をおいて半径方向に延びる或いは該把持片の中心線方向に間隔をおいて該把持片の中心線に対して垂直に延びる帯状である。該環状領域の該四の領域において、該ライナーの外周縁からの半径方向幅Wで弧状に延び且つ半径方向内側縁は該一対のスコアと整合し或いはこれより半径方向内側に位置する弧状領域の、該角度γにおける該弧状領域の内側縁から該角度δにおける該ライナーの外周縁まで延びる直線よりも半径方向外側においては該ライナーが該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着状態であるが、該弧状領域における該直線よりも半径方向内側及び該弧状領域の内側においては該ライナーは該天面壁の内面に対して接着されている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された易開封性容器蓋の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0010】
図1及び図2を参照して説明すると、全体を番号2で示す図示の容器蓋は、殻体4とライナー6(図2)とから構成されている。
【0011】
殻体4は円形天面壁8、この天面壁8の周縁から垂下するスカート壁10、及びスカート壁10の下端から延出する把持片12を含んでいる。図2を参照することによって理解される如く、天面壁8及びスカート壁10と共に把持片12の基部14は、アルミニウム基合金薄板、クロム酸処理鋼薄板又はブリキ薄板の如き適宜の金属薄板に打ち抜き加工及び絞り加工の如き適宜の機械加工を加えることによって一体に成形されている。把持片12の基部14の両側において、スカート壁10の下端部には切欠16a及び16bが形成されている。把持片12は上記基部14とこれに連結されたリング状部18とから構成されている。把持片12のリング状部18は、把持片12の基部14を所謂中子として、ポリプロピレン又はポリエチレンの如き適宜の合成樹脂材料から射出成形乃至圧縮成形することによって、成形と同時に基部14に連結することができる。所望ならば、把持片12の全体を、天面壁8及びスカート壁10と共に金属薄板から一体に形成することもできる。殻体4には、更に詳しくはその金属薄板から一体に形成されている部分には、一対のスコア20a及び20bが形成されている。金属薄板の表面又は裏面から工具を作用せしめて厚さを低減せしめることによって形成される一対のスコア20a及び20bは、把持片12の両側に形成されている上記切欠16a及び16bからスカート壁10を上方に延びる部分22a及び22b、部分22a及び22bに続いて天面壁8の周縁部を円弧状に延びる部分24a及び24b、並びに部分24a及び24bに続いて更にスカート壁10に延出する部分26a及び26b(図3も参照されたい)を有する。
【0012】
図2に図示するライナー6は、軟質ポリエチレンの如き適宜の合成樹脂素材を上記殻体4の天面壁8の内面に供給し、かかる合成樹脂素材を所要形状に型押成形することによって形成することができる。ライナー6は全体として円板形状であり、周縁シール部28と中央薄肉部30とを有する。周縁シール部28には環状外側突条32と環状内側突条34が形成されている。ライナー6の外周縁は、上記一対のスコア20a及び20bの円弧状に延びる部分24a及び24bよりも半径方向外側に位置せしめられている(この点については図3を参照して後に更に言及する)。
【0013】
図3は、殻体4の天面壁8及びスカート壁10と共に把持片12の基部14を形成するための金属薄板を所要形状に打ち抜いたが未だ絞り加工を加えていない状態、換言すれば殻体4の天面壁8及びスカート壁10と共に把持片12の基部14を平面状に展開した状態における、金属薄板の片面、即ち天面壁8及びスカート壁10の内面側を規定する片面を図示している。図3において、高密度で黒点を施した領域においては、ライナー6に対して接着性を有する接着性塗料が表面に存在する接着域であり、黒点が施されていない白地領域は上記接着性塗料の上面にライナー6に対して非接着性乃至弱接着性塗料を塗布した非接着乃至弱接着域を示している。更に、図3において、二点鎖線で示す円36はライナー6の外周縁の位置を示し、二点鎖線で示す円38はライナー6の周縁シール部28の内側縁の位置を、換言すればライナー6の中央薄肉部30の外周縁の位置を示している。図3を参照すると、ライナー6の外周縁36は上記一対のスコア20a及び20bの円弧状に延びる部分24a及び24bよりも半径方向外側に位置せしめられることが明確に理解される。ライナー6を上述したとおりにして型押成形すると、接着性塗料が表面に存在する接着域(高密度で黒点を施した領域)においてはライナー6が充分強固に天面壁8の内面に接着され、一方非接着性乃至弱接着性塗料が存在する非接着乃至弱接着域(白地領域)においてはライナー6が天面壁8の内面に対して非接着乃至充分容易に剥離され得る弱接着状態にせしめられる。上記接着性塗料及び非接着性乃至弱接着性塗料自体は当業者には周知の塗料でよく、ライナー6の材料に応じて適宜に選定することができる。所望ならば、金属薄板の片面の全体に非接着性乃至弱接着性塗料を塗布し、次いで所要部位において接着性塗料を塗布して接着域と非接着乃至弱接着域を生成せしめ、或いは接着域のみに接着性塗料を塗布し必要に応じて非接着乃至弱接着域のみに非接着性乃至弱接着性塗料を塗布して接着域と非接着乃至弱接着域とを生成せしめることもできる。
【0014】
図3を参照して、ライナー6と殻体4の天面壁8の内面との関係について説明を続けると、両者間の領域(即ちライナー6の外周縁36よりも内側の円形領域)は、直径D1の円形中心領域40と、かかる円形中心領域40を除く環状領域42とから構成されている。円形中心領域40においてはライナー6は天面壁8の内面に対して接着されているのが重要である。環状領域42は把持片12の中心線44から周方向両側に夫々角度0乃至α度である第一の領域46と、角度α乃至β度である第二の領域48と、角度β乃至γ度である第三の領域50と、角度γ乃至δ度である第四の領域52と、角度δ乃至180度である第五の領域54とが存在する。角度αは45至75度であり、角度βは85乃至95度であり、角度γは125乃至155度であり、角度δは145乃至165度であるのが重要である。
【0015】
第一の領域46はライナー6の外周縁36から半径方向幅Wで弧状に延びる弧状領域56を有し、かかる弧状領域56の半径方向内側縁は、図3に図示する如く1対のスコア20a及び20bにおける円弧状に延びる部分24a及び24bより半径方向内側に位置せしめられているか、或いはこれに整合せしめられているのが重要である。また、第一の領域46においては、弧状領域56でライナー6は天面壁8の内面に対して非接着乃至弱接着であり、弧状領域56の内側においては間隔をおいて配置された複数個の部位58においてライナー6は天面壁8に対して非接着乃至弱接着であるが、複数個の部位58以外においてはライナー6は天面壁8に対して接着されているのが重要である。そしてまた、第一の領域46の弧状領域56の内側において、複数個の部位58の面積s1と複数個の部位58以外の面積s2とはs1=0.4乃至0.7s2の関係を有するのが重要である。好ましくは、第一の領域46の弧状領域56の内側における複数個の部位58の各々は、把持片12の中心線44に対して垂直な方向に間隔をおいて配置されており、弧状領域56の内側縁から把持片12の中心線44に平行に延びる帯状である。図示の実施形態においては、複数個の部位58の内、中央に位置する部位58はその中心線が把持片12の中心線44に整合せしめられており、複数個の部位58の夫々の自由端は、把持片12の中心線上であって、円形中心領域40の周縁近傍から第一の領域46の弧状領域56における内側縁の両端を結ぶ一対の直線によって規定されている。第二の領域48はライナー6の外周縁36から半径方向幅Wで弧状に延びる弧状領域60を有し、かかる弧状領域60の半径方向内側縁は、図3に図示する如く1対のスコア20a及び20bにおける円弧状に延びる部分24a及び24bより半径方向内側に位置せしめられているか、或いはこれに整合せしめられているのが重要である。また、第二の領域48においては、弧状領域60でライナー6は天面壁8の内面に対して非接着乃至弱接着であるが、弧状領域60の内側においてはライナー6は天面壁8に対して接着されていることが重要である。第三の領域50はライナー6の外周縁36から半径方向幅Wで弧状に延びる弧状領域62を有し、かかる弧状領域62の半径方向内側縁は、図3に図示する如く1対のスコア20a及び20bにおける円弧状に延びる部分24a及び24bより半径方向内側に位置せしめられているか、或いはこれに整合せしめられているのが重要である。また、第三の領域50においては、弧状領域62でライナー6は天面壁8に対して非接着乃至弱接着であり、弧状領域62の内側においては間隔をおいて配置された複数個の部位64においてライナー6は天面壁8に対して非接着乃至弱接着であるが、複数個の部位64以外においてはライナー6は天面壁8に対して接着されているのが重要である。第三の領域50の弧状領域62の内側における、複数個の部位64の面積s3と複数個の部位64以外の面積s4とはs3=0.2乃至0.7s4の関係を有するのが重要である。好ましくは、第三の領域50における複数個の部位64の各々は、図3に図示ずる如く周方向に間隔をおいて半径方向に延びる帯状、或いは把持片12の中心線44に対して垂直な方向に間隔をおいて延びる帯状である。第四の領域52はライナー6の外周縁36から半径方向幅Wで延びる弧状領域66を有するのが好適である。第四の領域52における弧状領域66の半径方向内側縁は、図3に図示する如く1対のスコア20a及び20bにおける、スカート壁10に延出する部分26a及び26bより半径方向内側に位置せしめられているか、或いはこれに整合せしめられているのが好ましい。図示の実施形態においては、角度γにおける弧状領域66の内側縁から角度δにおけるライナー6の外周縁36まで延びる直線の半径方向外側においてはライナー6が天面壁8の内面に対して非接着乃至弱接着であるが、弧状領域66における直線よりも半径方向内側及び弧状領域66の内側においてはライナー6は天面壁8の内面に対して接着されている。第五の領域54おいては、ライナー6は天面壁8の内面に対して接着されているのが好適である。ライナー6の直径をD2とすると、上記円形中心領域40の直径D1は0.3乃至0.7D2であり、上記半径方向幅Wは0.05乃至0.20D2であるのが重要である。
【0016】
図4は、殻体4とライナー6とから構成されている易開封性容器蓋2を容器の口頸部68に装着した状態を図示している。ガラス又はポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂から形成される容器の口頸部68は全体として略円筒形状であり、上面が開口されている。口頸部68の外周面には環状あご部70が形成されている。かような口頸部68に容器蓋2を装着して口頸部68を密封する際には、口頸部68に容器蓋2を被嵌して下方に押圧し、これによってライナー6の周縁シール部28を口頸部68の上端部に密接せしめ、そして殻体4のスカート壁10の下端部を半径方向内側に変形せしめて環状あご部70に係止せしめる。
【0017】
容器の口頸部68から容器蓋2を離脱せしめて口頸部68を開封する際には、殻体4の把持片12におけるリング状部18に指を掛け、把持片12を前方に、次いで上方に引っ張る。かくすると、図5に図示する如く、殻体4に形成されている一対のスコア20a及び20bの初期乃至中期破断が遂行され、スカート壁10をその下端から上方に延びる部分22a及び22bが破断され、そして天面壁8を円弧状に延びる部分24a及び24bの上流部分が破断される。これに続いて、把持片12を更に上方乃至後方に引っ張ると、一対のスコア20a及び20bの後期破断が遂行され、円弧状に延びる部分24a及び24bの破断が更に進行せしめられる。一対のスコア20a及び20bの初期乃至中期破断の際においては、第一の領域46における、天面壁8の内面とライナー6とが接着されている領域が、図3に図示する如く、弧状領域56及び複数個の部位58以外の部分に限定されている故に、天面壁8の内面からライナー6が容易に剥離され、これによって殻体4の一部は折り曲げられて上方に変位せしめられるが、ライナー6は大きく変形せしめられることなく略平坦な円板形状に維持される。また、一対のスコア20a及び20bの後期破断の際においても、第三の領域50における、天面壁8の内面とライナー6とが接着されている領域が、図3に図示する如く、弧状領域62及び複数個の部位64以外の部分に限定されている故に、天面壁8の内面からライナー6が容易に剥離され、これによってライナー6を大幅に変形せしめる必要なくして殻体4の一部を更に折り曲げて上方に変位せしめることができる。第一の領域46の弧状領域56の内側における、複数個の部位58の面積s1に対する複数個の部位58以外の面積s2の比率(s2/s1)が過剰に大きい場合、第三の領域50の弧状領域62の内側における、複数個の部位64の面積s3に対する複数個の部位64以外の面積s4の比率(s4/s3)が過剰に大きい場合、第一の領域46の弧状領域56の半径方向幅Wが過剰に小さい場合、第二の領域48の弧状領域60の半径方向幅Wが過剰に小さい場合、第三の領域50の弧状領域62の半径方向幅Wが過剰に小さい場合、第一の領域46の周方向両側への延在角度αが過剰に小さい場合、及び第三の領域50の延在角度γ−βが過剰に小さい場合には、天面壁8の内面からライナー6を剥離せしめるのに相当な力を要し、或いは天面壁8の内面からライナー6が殆ど剥離せしめられず、従って一対のスコア20a及び20bの破断の際にライナー6も大幅に上昇せしめることが必要になり、かくして一対のスコア20a及び20bの破断に相当大きな力が必要になる。
【0018】
上述したとおりの一対のスコア20a及び20bの破断を遂行すると、容器の口頸部68に形成されている環状あご部70に対する殻体4のスカート壁10の下端部の係止が漸次解除され、従って容器蓋2の全体が口頸部68から離脱され、口頸部68が開封される。
【0019】
次に、本発明の易開封容器蓋の実施例を比較例と共に説明する。
実施例
図1乃至図5に図示するとおりの形態の容器蓋を3個製造した。厚さ0.24mmのアルミニウム基合金薄板(JIS・5052番)から殻体をプレス成形した。殻体の外形D3は27.0mmであり、高さHは7.0mmであった。殻体の内面全体には、接着性塗料として90重量%のエポキシ及び10重量%のフェノールと共に10phrの酸変性ポリエチレンを含有するエポキシフェノール系塗料を塗布し、図3の白地領域においては前記エポキシフェノール系塗料上に非接着性乃至弱接着性塗料として油変性アルキド樹脂を塗布した。高周波誘導加熱した殻体の天面壁の内面に、80重量%の直鎖状低密度ポリエチレン及び20重量%のオレフィン系ゴムと共に、1000ppmの滑剤を含有するライナー素材を供給して、ライナーを型押成形した。ライナーの直径D2は24.75mmであった。
【0020】
殻体の天面壁の内面とライナーとの間の円形中心領域の直径D1は10.0mmあり(従ってD1=0.40D2)、殻体の天面壁の内面とライナーとの間の半径方向幅Wは3.9mmであった(従ってW=0.16D2)。角度αは68度であり、角度βは88度であり、角度γは130度であり、角度δは148度であった。第一の領域の弧状領域の内側においては、11個の非接着性乃至弱接着である部位が存在し、かかる非接着性乃至弱接着である部位の面積s1とそれ以外の面積s2との比率s2/s1は2であった。第一の領域の弧状領域の内側における非接着性乃至弱接着である部位の各々は把持片の中心線に対して垂直な方向に0.8mmである間隔V1で均等に配置され、0.8mmである幅V2で第一の領域の弧状領域の内側縁から把持片の中心線に平行に延びる帯状であった。第一の領域の弧状領域の内側における非接着性乃至弱接着である部位の内、中央に位置する部位はその中心線が把持片の中心線に整合せしめられており、非接着性乃至弱接着である部位の夫々の自由端の各々は、把持片の中心線上であって、第一の領域における弧状領域の内側縁から半径方向内側に2.6mmである位置から第一の領域の弧状領域における内側縁の両端を結ぶ一対の直線によって規定されていた。第三の領域の弧状領域の内側においては、夫々6個の非接着性乃至弱接着である部位が存在し、かかる非接着性乃至弱接着性である部位s3とそれ以外の面積s4との比率s3/s4は0.5であった。第三の領域の弧状領域の内側における非接着性乃至弱接着性である部位の各々は周方向に0.7mmである間隔V3で均等に配置され、0.3mmである幅V4で第三の領域の弧状領域の内側縁から円形中央領域の周縁まで半径方向に3.5mmである長さLで延びる帯状であった。
【0021】
アサヒビール株式会社から商品名「スーパードライ」として販売されているビールを図4に図示するとおりの口頸部を有するガラス製容器に充填し、口頸部に上記容器蓋を装着した。かかる際には190kgfの力で容器蓋を口頸部に押圧し、容器蓋の殻体におけるスカート壁の下端部を半径方向内側に変形せしめた。次いで、容器を5℃の環境下に1週間放置した。そして、容器蓋の殻体における把持片を半径方向外方に、そして上方に引っ張って、容器蓋を容器の口頸部から離脱し、容器を開栓した。かかる開栓時の一対のスコアの後半部を破断する際に、
要求される力の最大値を製造した3個の容器蓋について夫々測定した。その結果は下記表1に示すとおりであった。
【0022】
比較例
比較のために、第三の領域における、弧状領域の内側全領域においてライナーが、図6に図示する如く、天面壁に対して接着している点を除いて、上記実施例と実質上同一の容器蓋を3個製造した。そして、上記実施例と同様にして、開栓時の一対のスコアの後半部を破断する際に、要求される力の最大値を製造した3個の容器蓋について夫々測定した。その結果は下記表1に示すとおりであった。
【0023】
【表1】
Figure 0004065690
【0024】
【発明の効果】
本発明の容器蓋によれば、ライナーに望ましくない変形を生成せしめるこなく容器の口頸部に容器蓋を所要とおりに充分に安定して装着することができ、そしてまた一対のスコアの破断の全体に渡って過剰な力を必要とすることなく充分容易に容器の口頸部から容器蓋を除去して口頸部を開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を示す斜面図。
【図2】図1の容器蓋の断面図。
【図3】図1の容器蓋における殻体の天面壁の内面とライナーの関係を示すための、図1の容器蓋における殻体の展開図。
【図4】容器の口頸部に図1の容器蓋を装着した状態を示す断面図。
【図5】容器の口頸部に装着された図1の容器蓋を、口頸部から離脱するために一対のスコアの初期乃至中期破断を遂行した状態を示す斜面図。
【図6】比較例の容器蓋における殻体の天面壁の内面とライナーの関係を示すための、図3と同様の殻体の展開図。
【符号の説明】
2:容器蓋
4:殻体
6:ライナー
8:殻体の天面壁
10:殻体のスカート壁
12:殻体の把持片
20a:スコア
20b:スコア
24a:スコアの円弧状に延びる部分
24b:スコアの円弧状に延びる部分
28:ライナーの周縁シール部
30:ライナーの中央薄肉部
36:ライナーの外周縁
38:ライナーの周縁シール部の内側縁
40:円形中心領域
42:環状領域
44:把持片の中心線
46:殻体の天面壁の内面とライナーの間の第一の領域
48:殻体の天面壁の内面とライナーの間の第二の領域
50:殻体の天面壁の内面とライナーの間の第三の領域
52:殻体の天面壁の内面とライナーの間の第四の領域
54:殻体の天面壁の内面とライナーの間の第五の領域
56:第一の領域の弧状領域
58:第一の領域の弧状領域の内側における複数個の部位
60:第二の領域の弧状領域
62:第三の領域の弧状領域
64:第三の領域の弧状領域内側における複数個の部位
66:第四の領域の弧状領域

Claims (5)

  1. 円形天面壁、該天面壁の周縁から垂下するスカート壁、及び該スカート壁の下端から延出する把持片を含み、該天面壁及び該スカート壁と共に該把持片の少なくとも基部は金属薄板から一体に形成されており、該把持片の両側から該スカート壁を上方に延び、次いで該天面壁の周縁部を円弧状に延びる一対のスコアが形成されている殻体と、該殻体の該天面壁の内面上で合成樹脂素材を型押成形することによって形成され、外周縁は該一対のスコアの円弧状に延びる部分よりも半径方向外方に位置する円板状ライナーと、から構成された易開封性容器蓋において、
    該ライナーと該殻体の該天面壁の内面との間には、直径D1の円形中心領域と該円形中心領域を除く環状領域とを有し、該環状領域は該把持片の中心線から周方向両側に夫々角度0乃至α度である第一の領域と、角度α乃至β度である第二の領域と、角度β乃至γ度である第三の領域と、角度γ乃至δ度である第四の領域と、角度δ乃至180度である第五の領域とが存在し、
    該円形中心領域においては該ライナーは該天面壁の内面に対して接着されており、
    該環状領域の該第一の領域においては、該ライナーの外周縁から半径方向幅Wで弧状に延び且つ半径方向内側縁は該一対のスコアの円弧状に延びる部分と整合し或いはこれより半径方向内側に位置する弧状領域で該ライナーは該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着であり、該弧状領域の内側においては間隔をおいて配置された複数個の部位において該ライナーは該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着状態であるが、該複数個の部位以外においては該ライナーは該天面壁の内面に対して接着されており、該弧状領域の内側における該複数個の部位の面積s1と該複数個の部位以外の面積s2とはs1=0.4乃至0.7s2の関係を有し、
    該環状領域の該第二の領域においては、該ライナーの外周縁から半径方向幅Wで弧状に延び且つ半径方向内側縁は該一対のスコアの円弧状に延びる部分と整合し或いはこれより半径方向内側に位置する弧状領域で該ライナーは該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着であり、該弧状領域の内側においては該ライナーは該天面壁の内面に対して接着されており、
    該環状領域の該第三の領域においては、該ライナーの外周縁から半径方向幅Wで弧状に延び且つ半径方向内側縁は該一対のスコアの円弧状に延びる部分と整合し或いはこれより半径方向内側に位置する弧状領域で該ライナーは該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着であり、該弧状領域の内側においては間隔をおいて配置された複数個の部位において該ライナーは該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着状態であるが、該複数個の部位以外においては該ライナーは該天面壁の内面に対して接着されており、該弧状領域の内側における該複数個の部位の面積s3と該複数個の部位以外の面積s4とはs3=0.2乃至0.7s4の関係を有し、
    該ライナーの直径をD2とすると、該円形中心領域の直径D1は0.3乃至0.7D2であり、該半径方向幅Wは0.05乃至0.20D2であり、該角度αは45乃至75度であり、該角度βは85乃至95度であり、該γは125乃至155度であり、該δは145乃至165度である、
    ことを特徴とする易開封性容器蓋。
  2. 該環状領域の該第五の領域においては、該ライナーは該天面壁の内面に接着されている、請求項1記載の易開封性容器蓋。
  3. 該環状領域の該第一の領域における該弧状領域の内側において、該複数個の部位の各々は該把持片の中心線に対して垂直な方向に間隔をおいて該把持片の中心線に平行に延びる帯状である、請求項1又は2記載の易開封性容器蓋。
  4. 該環状領域の該第三の領域における該弧状領域の内側において、該複数個の部位の各々は周方向に間隔をおいて半径方向に延びる或いは該把持片の中心軸線方向に間隔をおいて該把持片の中心線に対して垂直に延びる帯状である、請求項1から3までのいずれかに記載の易開封性容器蓋。
  5. 該環状領域の該四の領域において、該ライナーの外周縁からの半径方向幅Wで弧状に延び且つ半径方向内側縁は該一対のスコアと整合し或いはこれより半径方向内側に位置する弧状領域の、該角度γにおける該弧状領域の内側縁から該角度δにおける該ライナーの外周縁まで延びる直線よりも半径方向外側においては該ライナーが該天面壁の内面に対して非接着乃至弱接着状態であるが、該弧状領域における該直線よりも半径方向内側及び該弧状領域の内側においては該ライナーは該天面壁の内面に対して接着されている、請求項1から4までのいずれかに記載の易開封容器蓋。
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