JP6793219B2 - 金属薄板製シェルと合成樹脂製ライナーとを具備する容器蓋 - Google Patents

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本発明は、金属薄板製シェルと合成樹脂製ライナーとを具備する容器蓋、更に詳しくは、天面壁及びこの天面壁の周縁から垂下するスカート壁を有する金属製薄板製シェルと、シェルの天面壁の内面に軟化乃至溶融状態の合成樹脂素材を供給し、次いでこの合成樹脂製素材を型押成形することによって成形される合成樹脂製ライナーとを具備する容器蓋に関する。
下記特許文献1及び2に開示されている如く、金属薄板、ガラス或いは合成樹脂から形成された飲料用容器のための容器蓋として、金属薄板製シェルと合成樹脂製ライナーとを具備する容器蓋が広く実用に供されている。シェルは円形天面壁及び天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有する。ライナーはシェルの天面壁の内面に軟化乃至溶融状態の合成樹脂素材を供給し、次いで合成樹脂素材を型押成形することによって成形される。
特開2015−3325号公報 特開2014−201315号公報
上述したとおりの容器蓋においては、容器の口頸部から容器蓋を離脱する際の必要トルクを低減せしめる等の点からライナーはシェルの内面に対して非接着乃至弱接着状態であり、シェルに対してライナーが相対的に移動自在であることが望まれる。そこで、通常、シェルを構成する金属薄板の片面(シェルの内面となる側の面)に、ライナーに対して非接着乃至弱接着性を有するコーティングを施している。一方、本発明者等の経験によれば、内面にライナーに対して非接着乃至弱接着性を有するコーティングが施されている金属薄板からシェルを形成した場合、次のとおりの問題が発生する傾向があることが判明した。即ち、シェルの天面壁の内面に軟化乃至溶融状態の合成樹脂素材を供給し、次いで合成樹脂素材を型押成形してライナーを成形した場合、成形されたライナーが冷却される間に収縮され、ライナーの外径が過剰に縮小され、例えばシェルのスカート壁の上端部に配設されている環状凹部の内径よりも小さくなり、シェル内からライナーが脱落してしまう虞がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、容器の口頸部に装着された状態において、ライナーはシェルに対して相対的に移動自在であるにも拘らず、シェルからライナーが脱落してしまうことが充分確実に防止される、新規且つ改良された容器蓋を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討の結果、ライナーをその周縁領域において局部的にシェルに対して接着状態にし、その他の領域においてはシェルに対して非接着乃至弱接着状態にすることによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する容器蓋として、天面壁及び該天面壁の周縁から垂下するスカート壁を有する金属薄板製シェルと、該シェルの該天面壁の内面に軟化乃至溶融状態の合成樹脂素材を供給し、次いで該合成樹脂素材を型押成形することによって成形される合成樹脂製ライナーとを具備する容器蓋にして、
該ライナーを型押成形した時点において、該ライナーはその周縁領域において局部的に該シェルの内面に対して接着状態であり、その他の領域においては該シェルの内面に対して非接着乃至弱接着状態であり、
容器の口頸部に装着された状態にあっては、該シェルに対する該ライナーの局部的接着状態は毀損されている、ことを特徴とする容器蓋が提供される。
本明細書及び特許請求の範囲で使用する語句「周縁領域」は、ライナーの最大外径R(図1参照)の半分、即ちR/2よりも半径方向外側の領域を意味する。
該シェルの該天面壁と該スカート壁との境界領域は縦断面図において半径方向外方に向かって下方に円弧状に延在し、該ライナーは該シェルの該境界領域の一部或いは該境界領域に隣接してその半径方向内側に位置する領域の一部に対応する部位において該シェルの内面に対して接着状態であるのが好ましい。好適には、該ライナーは周方向に間隔をおいて配置された複数個の領域において該シェルに対して接着状態である。該ライナーは周方向に連続して延びる円環形状領域において該シェルに対して接着状態であってもよい。該ライナーの、該シェルに対向する側の面の全面積の2乃至20%の領域で、該ライナーは該シェルの内面に対して接着状態であるのが好適である
本発明の容器蓋にあっては、ライナーを型押成形した時点において、ライナーがシェルに局部的に接着されていること、そしてまたこれに起因してライナーが冷却される間にライナーの外径が過剰に縮小されることが防止され、かくしてシェルからライナーが脱落してしまうことが防止される。そして、好適実施形態においては、容器の口頸部に容器蓋を装着する際にシェルに加えられる変形によってシェルに対するライナーの局部的な接着が毀損され、シェルに対してライナーが移動自在になり、容器の口頸部から容器を離脱する際の必要トルクが低減される。
本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を、一部を断面で示す正面図。 図1に示す容器蓋のA−A断面図。 図1に示す容器蓋に設けられる接着部位の変形例。 図1に示す容器蓋のライナーを接着部位において局部的にシェルに接着せしめる好適様式について説明する図。 図1に示す容器蓋を容器の口頸部に装着して口頸部を密封した状態を、一部を断面で示す正面図。
以下、本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳述する。
図1は本発明に従って構成された容器蓋の好適形態を図示している。全体を番号2で示す容器蓋は、金属薄板製のシェル4と合成樹脂製のライナー6とから構成されている。シェル4は、後述する接着性を有するコーティングと非接着乃至弱接着性を有するコーティングを片面(シェル4の内面となる側の面)に施した、アルミニウム基合金薄板、クロム処理鋼薄板又はブリキ薄板の如き適宜の金属薄板にプレス加工等の機械加工を施すことによって形成される。シェル4は円形天面壁8及びこの天面壁8の周縁から垂下するスカート壁10を有する。天面壁8とスカート壁10との境界領域(番号を12で示す)は縦断面図において半径方向外方に向かって下方に円弧状に延在している。スカート壁10の上端部には、周方向に連続して延びる環状凹部14が配設され、この環状凹部14より幾分下方の領域には、周方向に凹凸が交互に存在する、所謂ナール16が形成されている。ナール16の凹部における上端縁は切断され半径方向内側に変位され、これによってスカート壁10の上端部には、周方向に間隔をおいてスリット17が形成されている。スカート壁10の下部には半径方向外方に膨出せしめられた環状膨出部18が形成されている。そして、この環状膨出部18には周方向に延びる弱化ライン20が規定されており、スカート壁10は弱化ライン20より上方の主部22と弱化ライン20より下方のタンパーエビデント裾部24とに区画されている。図示の実施形態においては、弱化ライン20は周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリット26とかかるスリット26間に位置する複数個の橋絡部28とから構成されている。
ライナー6は、軟化乃至溶融状態の合成樹脂素材、例えばポリプロピレン或いはポリエチレン、をシェル4の天面壁8の内面に供給し、次いでこの合成樹脂素材を型押成形することによって形成される。ライナー6は、全体として円板形状であり、円形中央部30とかかる中央部30を囲繞する環状部32とを有する。中央部30の厚さは全体に渡って実質上同一であって、中央部30は実質上水平に延在せしめられている。一方、環状部32は、環状凹部14の内面上面と境界領域12の内面との間で規定される空間と対応する形状であって、中央部30の上面から半径方向外方に向かって下方に弧状に延び、次いで実質上垂直に下方に向かって幾分延び、しかる後に半径方向内方に向かって下方に弧状に延びる外側面と、中央部30の下面から実質上垂直に下方に向かって延びる内側面とを有する。
上述したライナー6は、型押成形した時点において、その周縁領域(即ちライナー6の最大外径Rの半分であるR/2よりも半径方向外側の領域)が局部的にシェル4の内面に対して接着状態であり、その他の領域がシェル4の内面に対して非接着乃至弱接着状態であることが重要である。図1と共に図2を参照して説明すると、本実施形態においては、ライナー6はシェル4の境界領域12(図2における一点鎖線よりも半径方向外側の領域)の一部に対応する部位、即ち図2において斜線で示す接着部位40、においてシェル4の内面に対して接着状態である。そのため、ライナー6を型押成形した時点において、ライナー6がシェル4に局部的に接着されていること、そしてまたこれに起因して、ライナー6が冷却される間にライナー6の外径が過剰に縮小されることが防止され、かくしてシェル4からライナー6が脱落してしまうことが防止される。ライナー6は周方向に間隔をおいて配置された複数個の領域においてシェル4に対して接着状態であるのが好ましく、図示の実施形態においては、接着部位40は周方向に等角度間隔をおいて4個設けられており、夫々の接着部位40は周方向に延びる弧状にせしめられている。ライナー6の、シェル4に対向する側の面の全面積の2乃至20%の領域で、ライナー6はシェル4の内面に対して接着状態であるのが好ましい。図3は接着領域40の変形例を図示している。図3(a)においては周方向に等角度間隔をおいた4個の円形部位40においてシェル4に対して接着状態であり、図3(b)においては周方向に等角度間隔をおいた4個の矩形部位40においてシェル4に対して接着状態であり、図3(c)においては周方向に等角度間隔をおいた4個の三角形状部位40においてシェル4に対して接着状態であり、図3(d)においては周方向に連続して延びる円環部位40においてシェル4に対して接着状態であり、図3(e)においては周方向に連続して延びる同心状の2個の円環部位40においてシェル4に対して接着状態である。また、図3(f)においてはシェル4の境界領域12に隣接してその内側に位置する4個の弧状部位40においてシェル4に対して接着状態である。そしてまた、図3(g)においては周方向に間隔をおいて位置する4個の接着部位40においてシェル4に対して接着状態であり、4個の接着部位40は容器蓋2の開回転方向(図3(g)において時計方向)に向かって半径方向外方に延び且つ半径方向外方に向かって漸次幅が増大している。
ライナー6を上述した接着部位40において局部的にシェル4に接着せしめる好適様式について説明すると、次のとおりである。最初に、シェル4を形成するために適宜の機械加工が施される前の金属製薄板41の片面(シェル4の内面となる側の面)に、接着コーティングを円形に施した領域42を設ける(図4(a))。次いで、上記領域42の上面(即ち、後述するとおりにして容器蓋2を容器の口頸部に装着した際に下方を向く面)に、非接着乃至弱接着性を有するコーティングを略円形に施した領域44を設ける(図4(b))。領域44の直径は領域42の直径よりも小さく、領域44の周縁部には、図4(b)に明確に示されるとおり、非接着乃至弱接着性を有するコーティングがされておらず接着性を有するコーティングが局部的に露呈せしめられる部位が存在する。非接着性乃至弱接着性を有するコーティングとしては例えばライナー6を構成する合成樹脂に対して接着性を有する成分を含有しない或いは極微量を含有したアルキッド系インキを挙げることができ、接着性を有するコーティングとしては例えばライナー6を構成する合成樹脂に対して接着性を有するニスを挙げることができる。次いで、上述したコーティングが施された金属製薄板に適宜の機械加工を施してシェル4を形成する。そして、このシェル4の内面に軟化乃至溶融状態の合成樹脂素材を供給し、この合成樹脂素材を型押成形することによってライナー6を形成する。かくすると、ライナー6の外面(シェル4の内面と対向する側の面)は上述したとおりの接着性を有するコーティングが局部的に露呈せしめられた部位、即ち接着部位40、においてシェル4の内面と局部的に接着せしめられる。
図1には本発明にかかる容器蓋2と共に容器の口頸部38が二点鎖線によって図示されている。アルミニウム基合金薄板、クロム酸処理鋼薄板或いはブリキ薄板の如き適宜の金属薄板から形成することができる容器の口頸部46は全体として略円筒形状であり、その軸線方向中央部には雄螺条48が形成され、かかる雄螺条48の下方には環状に膨出せしめられた係止あご部50が形成されている。口頸部46の上部は上方に向かって直径が漸次減少する円錐台形状にせしめられており、口頸部46の上端にはカール52が形成されている。カール52は、縦断面図において略円形にせしめられている。かような口頸部46を備えた金属製容器自体は周知であるので、金属製容器自体についての詳細な説明は、本明細書においては省略する。
金属製容器内に内容物を充填した後、容器蓋2は口頸部46に被嵌せしめられ、適宜の様式によって口頸部46に装着される。図5を参照して説明すると、口頸部46に容器蓋2を被嵌した後に、平坦な下面を有する図示しない押圧工具を容器蓋2のシェル4の天面壁8の外面に当接せしめて天面壁8を下方に押圧し、これと同時に或いはこれに続いて下端部内周面に下方を向いた環状肩面を有する図示しない絞り工具をシェル4の境界領域12に作用せしめて境界領域12を下方及び半径方向内側に変形せしめる。かくすると、図5に明確に図示する如く、ライナー6の中央部30がカール52の上面に密接せしめられると共に、ライナー6の環状部32が下方に変形されてカール52の外周面に密接せしめられ、これによって口頸部46が密封される。更に、境界領域12が変形されたことで、シェル4に対するライナー6の局部的接着状態が毀損され、シェル4に対してライナー6が移動自在になる(つまり、容器の口頸部46に装着された状態にあっては、シェル4に対するライナー6の局部的接着状態は毀損されている)。そしてまた、押圧工具を天面壁8の外面に当接せしめて天面壁8を下方に押圧するのと同時に或いはこれに続いて、スカート壁10に図示しない螺条形成工具を作用せしめてスカート壁10に形成されている環状凹部14から下方に向けて口頸部46の雄螺条48に沿ってスカート壁10に雌螺条54を形成すると共に、スカート壁10のタンパーエビデント裾部24に図示しない係止工具を作用せしめてタンパーエビデント裾部24を半径方向内側に強制して口頸部46の係止あご部50に係止せしめる。
容器の口頸部46を開封して内容物を消費する際には、容器蓋2を開方向即ち図5において上方から見て反時計方向に回転せしめる。上述したとおり、シェル4に対するライナー6の局部的接着状態は既に毀損され、シェル4に対してライナー6が相対的に移動自在である故に、容器蓋2を回転せしめる際の必要トルクが過剰になることはない。容器蓋2を開方向に回転せしめると、口頸部46の雄螺条48と容器蓋2の雌螺条54との協働によって容器蓋2は回転と共に上昇せしめられる。しかしながら、容器蓋2のシェル4におけるタンパーエビデント裾部24は口頸部46の係止あご部50に係止されている故に上昇が阻止され、これによってシェル4の周方向弱化ライン20の橋絡部28に相当な応力が生成され、周方向弱化ライン20が破断されてタンパーエビデント裾部24がスカート壁10の主部22から分離される。しかる後においては、タンパーエビデント裾部24を口頸部46に残留せしめて容器蓋2が口頸部46から離脱され、口頸部46が開封される。
以上本発明にかかる容器蓋の好適実施形態について詳細に説明したが、本発明にかかる容器蓋はこれに限定されるものではなく種々の変形例が考えられる。例えば、上述した実施形態においては、ライナーは単一層から構成される形態であったが、ライナーは上述した実施形態におけるライナー6を基層とし、この基層の内面に比較的軟質な密封層を更に型押成形した二層形態でもよい
2:容器蓋
4:シェル
6:ライナー
8:天面壁
10:スカート壁
12:境界領域
14:環状凹部
20:弱化ライン
40:接着部位
64:係止あご部

Claims (5)

  1. 天面壁及び該天面壁の周縁から垂下するスカート壁を有する金属薄板製シェルと、該シェルの該天面壁の内面に軟化乃至溶融状態の合成樹脂素材を供給し、次いで該合成樹脂素材を型押成形することによって成形される合成樹脂製ライナーとを具備する容器蓋にして、
    該ライナーを型押成形した時点において、該ライナーはその周縁領域において局部的に該シェルの内面に対して接着状態であり、その他の領域においては該シェルの内面に対して非接着乃至弱接着状態であり、
    容器の口頸部に装着された状態にあっては、該シェルに対する該ライナーの局部的接着状態は毀損されている、
    ことを特徴とする容器蓋。
  2. 該シェルの該天面壁と該スカート壁との境界領域は縦断面図において半径方向外方に向かって下方に円弧状に延在し、該ライナーは該シェルの該境界領域の一部或いは該境界領域に隣接してその半径方向内側に位置する領域の一部に対応する部位において該シェルの内面に対して接着状態である、請求項1記載の容器蓋。
  3. 該ライナーは周方向に間隔をおいて配置された複数個の領域において該シェルに対して接着状態である、請求項1又は2記載の容器蓋。
  4. 該ライナーは周方向に連続して延びる円環形状領域において該シェルに対して接着状態である、請求項1又は2記載の容器蓋。
  5. 該ライナーの、該シェルに対向する側の面の全面積の2乃至20%の領域で、該ライナーは該シェルの内面に対して接着状態である、請求項1から4までのいずれかに記載の容器蓋。
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