JP2021134425A - 銀めっき材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも硬度が高く且つ耐摩耗性に優れた銀めっき材およびその製造方法を提供する。【解決手段】シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、(2−メルカプトベンゾイミダゾールや2−メルカプトベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム2水和物などの)ベンゾイミダゾール類とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法において、銀めっきの際の電流密度に対する銀めっき液中のシアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、イミダゾール類のそれぞれの濃度の比(または銀めっきの際の電流密度に対する銀めっき液中のシアン化銀カリウムまたはシアン化銀とイミダゾール類のそれぞれの濃度の比とシアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度)を所定の範囲にする。【選択図】なし

Description

本発明は、銀めっき材およびその製造方法に関し、特に、車載用や民生用の電気配線に使用されるコネクタ、スイッチ、リレーなどの接点や端子部品の材料として使用される銀めっき材およびその製造方法に関する。
従来、コネクタやスイッチなどの接点や端子部品などの材料として、銅または銅合金やステンレス鋼などの比較的安価で耐食性や機械的特性などに優れた素材に、電気特性や半田付け性などの必要な特性に応じて、錫、銀、金などのめっきを施しためっき材が使用されている。
銅または銅合金やステンレス鋼などの素材に錫めっきを施した錫めっき材は、安価であるが、高温環境下における耐食性に劣っている。また、これらの素材に金めっきを施した金めっき材は、耐食性に優れ、信頼性が高いが、コストが高くなる。一方、これらの素材に銀めっきを施した銀めっき材は、金めっき材と比べて安価であり、錫めっき材と比べて耐食性に優れている。
また、コネクタやスイッチなどの接点や端子部品などの材料は、コネクタの挿抜やスイッチの摺動に伴う耐摩耗性も要求される。
しかし、銀めっき材は、軟質で摩耗し易いため、接続端子などの材料として使用すると、挿抜や摺動により凝着して凝着摩耗が生じ易くなり、また、接続端子の挿入時に表面が削られて摩擦係数が高くなって挿入力が高くなるという問題がある。
このような問題を解消するため、80〜130g/Lの銀と、60〜130g/Lのシアン化カリウムと、30〜80mg/Lのセレンと、50〜190g/Lの炭酸カリウムとを含む銀めっき液中において、電気めっきを行うことによって、素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法(例えば、特許文献1参照)、80〜110g/Lの銀と70〜160g/Lのシアン化カリウムと55〜70mg/Lのセレンを含む銀めっき液中において、銀めっき液中のシアン化カリウムの濃度と電流密度の積をy(g・A/L・dm)とし、液温をx(℃)として、(32.6x−300)≦y≦(32.6x+200)になるように電気めっきを行うことによって、素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
しかし、特許文献1および2の方法で製造した銀めっき材のビッカース硬さHVは155以下であり、さらに硬度が高く且つ耐摩耗性に優れた銀めっき材が望まれている。
一方、銀めっき材では、再結晶により銀めっきの結晶粒径が増大し易く、この結晶粒径の増大により硬度が低くなって、耐摩耗性が低下するという問題がある(例えば、特許文献3参照)。
このような銀めっき材の耐摩耗性を向上させるために、銀めっき中にアンチモンなどの元素を含有させることにより、銀めっき材の硬度を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開2016−204719号公報(段落番号0010) 特開2016−145413号公報(段落番号0010) 特開2008−169408号公報(段落番号0006) 特開2009−79250号公報(段落番号0003−0004)
しかし、特許文献4の方法のように、銀めっき中にアンチモンなどの元素を含有させると、銀が合金化して硬度が向上するものの、耐摩耗性の向上は十分ではなく、さらに耐摩耗性に優れた銀めっき材が望まれている。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、従来よりも硬度が高く且つ耐摩耗性に優れた銀めっき材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、ベンゾイミダゾール類とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法において、銀めっきの際の電流密度に対する銀めっき液中のシアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、ベンゾイミダゾール類のそれぞれの濃度の比(または銀めっきの際の電流密度に対する銀めっき液中のシアン化銀カリウムまたはシアン化銀とベンゾイミダゾール類のそれぞれの濃度の比とシアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度)を所定の範囲にすることにより、従来よりも硬度が高く且つ耐摩耗性に優れた銀めっき材を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による銀めっき材の製造方法は、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、ベンゾイミダゾール類とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法において、銀めっき液中のシアン化銀カリウムまたはシアン化銀の濃度をA(g/L)、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度をB(g/L)、ベンゾイミダゾール類の濃度をC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度が30〜80g/Lであり、A/Dが(銀めっき液がシアン化銀カリウムを含む場合は)30(g・dm/L・A)以上または(銀めっき液がシアン化銀を含む場合は)15(g・dm/L・A)以上、C/Dが1.2(g・dm/L・A)以上になるように電気めっきを行うことを特徴とする。
また、本発明による銀めっき材の製造方法は、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、ベンゾイミダゾール類とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法において、銀めっき液中のシアン化銀カリウムまたはシアン化銀の濃度をA(g/L)、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度をB(g/L)、ベンゾイミダゾール類の濃度をC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、A/Dが(銀めっき液がシアン化銀カリウムを含む場合は)30(g・dm/L・A)以上または(銀めっき液がシアン化銀を含む場合は)15(g・dm/L・A)以上、B/Dが(銀めっき液がシアン化カリウムを含む場合は)100(g・dm/L・A)以下または(銀めっき液がシアン化ナトリウムを含む場合は)150(g・dm/L・A)以下、C/Dが1.2(g・dm/L・A)以上になるように電気めっきを行うことを特徴とする。この銀めっき材の製造方法において、銀めっき液中のシアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度が30〜80g/Lであるのが好ましい。
上記の銀めっき材の製造方法において、ベンゾイミダゾール類が2−メルカプトベンゾイミダゾールまたは2−メルカプトベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム2水和物であるのが好ましく、銀めっき液中のベンゾイミダゾール類の濃度が0.5〜50g/Lであるのが好ましい。また、銀めっき液が30g/L以下の炭酸カリウムを含んでもよい。また、銀からなる表層を形成する際の電気めっきは、液温10〜50℃で行われるのが好ましく、電流密度0.2〜2.0A/dmで行われるのが好ましい。また、素材が銅または銅合金からなるのが好ましく、素材と表層との間にニッケルからなる下地層を形成するのが好ましい。
また、本発明による銀めっき材は、素材上に銀からなる表層が形成された銀めっき材において、銀からなる表層の平均結晶子径が25nm以下であり且つビッカース硬さHVが150以上であり、表層中のアンチモン含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする。
この銀めっき材において、表層が90〜99質量%の銀からなるのが好ましく、表層中の炭素含有量が1〜10質量%であるのが好ましい。また、ビッカース硬さHVが160以上であるのが好ましい。さらに、素材が銅または銅合金からなるのが好ましく、素材と表層との間にニッケルからなる下地層が形成されているのが好ましい。
本発明によれば、従来よりも硬度が高く且つ耐摩耗性に優れた銀めっき材およびその製造方法を提供することができる。
本発明による銀めっき材の製造方法の実施の形態では、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、(2−メルカプトベンゾイミダゾールや2−メルカプトベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム2水和物などの)ベンゾイミダゾール類とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法において、銀めっき液中のシアン化銀カリウムまたはシアン化銀の濃度をA(g/L)、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度をB(g/L)、(2−メルカプトベンゾイミダゾールや2−メルカプトベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム2水和物などの)ベンゾイミダゾール類の濃度をC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度が30〜80g/L(好ましくは35〜75g/L、さらに好ましくは35〜60g/L)であり、A/Dが(銀めっき液がシアン化銀カリウムを含む場合は)30(g・dm/L・A)以上(好ましくは35(g・dm/L・A)以上)または(銀めっき液がシアン化銀を含む場合は)15(g・dm/L・A)以上、(好ましくは17(g・dm/L・A)以上)、C/Dが1.2(g・dm/L・A)以上(好ましくは1.3(g・dm/L・A)以上)になるように電気めっきを行うか、あるいは、A/Dが(銀めっき液がシアン化銀カリウムを含む場合は)30(g・dm/L・A)以上(好ましくは35(g・dm/L・A)以上)または(銀めっき液がシアン化銀を含む場合は)15(g・dm/L・A)以上、(好ましくは17(g・dm/L・A)以上)、B/Dが(銀めっき液がシアン化カリウムを含む場合は)100(g・dm/L・A)以下(好ましくは90(g・dm/L・A)以下)または(銀めっき液がシアン化ナトリウムを含む場合は)150(g・dm/L・A)以下(好ましくは120(g・dm/L・A)以下)、C/Dが1.2(g・dm/L・A)以上(好ましくは1.3(g・dm/L・A)以上)になるように電気めっきを行う。なお、後者の電気めっきでは、銀めっき液中のシアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度Bを30〜80g/Lにするのが好ましい。このように(シアン系)銀めっき液中に有機添加剤として(2−メルカプトベンゾイミダゾールや2−メルカプトベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム2水和物などの)ベンゾイミダゾール類を添加して電気めっき(銀めっき)を行うと、銀からなる表層中に有機添加剤(の少なくとも一部)を取り込んで表層の銀の結晶粒成長を抑制(結晶粒を微細化)することによって表層の硬度を高めて耐摩耗性を向上させるとともに、有機添加剤の潤滑効果により表層の摩擦係数を低下させることができると考えられる。また、銀からなる表層中に有機添加剤を取り込むことにより、銀めっき材を接続端子などの材料として使用した場合に、挿抜や摺動により凝着するのを抑制して耐摩耗性を向上させることができる。特に、上記の条件で電気めっきを行えば、従来よりも硬度が高く且つ耐摩耗性に優れた銀めっき材を製造することができる。
上記の銀めっき材の製造方法において、銀めっき液中のイミダゾール類の濃度は、好ましくは0.5〜50g/L(2−メルカプトベンゾイミダゾールの場合は好ましくは0.5〜5g/L、2−メルカプトベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム2水和物の場合は好ましくは10〜50g/L(さらに好ましくは15〜40g/L))である。また、銀めっき液は、30g/L以下(好ましくは20g/L以下、さらに好ましくは15g/L以下)の炭酸カリウムを含んでもよい。また、銀からなる表層を形成する際の電気めっきは、液温10〜50℃で行われるのが好ましく、液温15〜40℃で行われるのがさらに好ましい。また、この電気めっきは、電流密度0.2〜2.0A/dmで行われるのが好ましく、電流密度0.3〜1.7A/dmで行われるのがさらに好ましい。また、素材は、銅または銅合金からなるのが好ましく、素材と表層との間に(銅、ニッケルまたはこれらの合金からなる)下地層を形成するのが好ましい。
本発明による銀めっき材の実施の形態では、素材上に銀からなる表層が形成された銀めっき材において、銀からなる表層の平均結晶子径が25nm以下(好ましくは24nm以下)であり且つビッカース硬さHVが150以上(好ましくは160以上、さらに好ましくは165〜250)であり、表層中のアンチモン含有量は0.1質量%以下である。
この銀めっき材において、表層が90〜99質量%の銀からなるのが好ましく、92〜99質量%の銀からなるのがさらに好ましい。また、表層中の炭素含有量は、1〜10質量%であるのが好ましく、2〜8質量%であるのがさらに好ましく、3〜6質量%であるのが最も好ましい。また、表層中の酸素含有量は、5質量%以下であるのが好ましく、3質量%以下であるのがさらに好ましい。また、表層中のカリウム含有量は、1質量%以下であるのが好ましく、0.8質量%以下であるのがさらに好ましい。また、素材が銅または銅合金からなるのが好ましく、素材と表層との間に(銅、ニッケルまたはこれらの合金からなる)下地層が形成されているのが好ましい。
以下、本発明による銀めっき材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
まず、基材(被めっき材)として67mm×50mm ×0.3mmの無酸素銅(C1020 1/2H)からなる圧延板を用意し、この被めっき材の前処理として、被めっき材とSUS板をアルカリ脱脂液に入れ、被めっき材を陰極とし、SUS板を陽極として、電圧5Vで30秒間電解脱脂を行い、水洗した後、3%硫酸中で15秒間酸洗を行った。
次に、540g/Lのスルファミン酸ニッケル四水和物と25g/Lの塩化ニッケルと35g/Lのホウ酸を含む水溶液からなる無光沢ニッケルめっき液中において、前処理を行った被めっき材を陰極とし、ニッケル電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温55℃において電流密度5A/dmで80秒間電気めっき(無光沢ニッケルめっき)を行って、下地めっき皮膜として無光沢ニッケルめっき皮膜を形成した。この無光沢ニッケルめっき皮膜の略中央部の厚さを蛍光X線膜厚計(株式会社日立ハイテクサイエンス製のSFT−110A)により測定したところ、1μmであった。
次に、3g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と90g/Lのシアン化カリウム(KCN)を含む水溶液からなる銀ストライクめっき液中において、下地めっき皮膜を形成した被めっき材を陰極とし、白金で被覆したチタン電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら室温(25℃)において電流密度2.0A/dmで10秒間電気めっきを行って、銀ストライクめっき皮膜を形成した後、水洗して銀ストライクめっき液を十分に洗い流した。
次に、40g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と39g/Lのシアン化カリウム(KCN)と1g/Lの2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)を含む水溶液からなる銀めっき液中において、銀ストライクめっき皮膜を形成した被めっき材を陰極とし、銀電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温25℃において電流密度0.5A/dmで18分間電気めっき(銀めっき)を行って銀めっき皮膜を形成した後、水洗し、エアガンによる風圧で乾燥して、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成の際の銀めっき液中のシアン化銀カリウム(KAg(CN))、シアン化カリウム(KCN)および2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)の濃度をそれぞれA(g/L)、B(g/L)およびC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、A/D=80(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材の表面のビッカース硬さHVを、微小硬さ試験機(株式会社ミツトヨ製のHM−221)を使用して、測定荷重10gfを10秒間加えて、JIS Z2244に準じて測定したところ、171.1であった。
また、上記の銀めっき材を2枚用意し、一方をインデント加工(内側R=1.5mm)して圧子として使用し、他方を平板状の評価試料として使用し、精密摺動試験装置(株式会社山崎精機研究所製のCRS−G2050−DWA)により、評価試料に圧子を一定の荷重(5N)で押し当てながら、素材が露出するまで往復摺動動作(摺動距離5mm、摺動速度1.67mm/s)を継続し、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製のVHX−1000)により複合めっき材の摺動痕の中心部を倍率100倍で観察して、銀めっき材の摩耗状態を確認する摩耗試験を行うことにより、耐摩耗性の評価を行った。その結果、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。また、この摺動摩耗試験の前後に評価試料に圧子を一定の荷重(5N)で押し当てながら測定電流10mAで接触抵抗を測定したところ、摺動試験前の初期の接触抵抗は0.32mΩであり、摺動試験後の接触抵抗は0.13mΩであった。
また、この銀めっき材の銀めっき皮膜の(111)面、(200)面、(220)面および(311)面の各々の結晶面に垂直方向の結晶子径を、XRD分析装置(株式会社リガク製の全自動多目的水平型X線回折装置Smart Lab)によって得られたX線回折パターン(XRDパターン)の結晶面のピーク(38°付近に現れる(111)ピークと44°付近に現れる(200)ピークと64°付近に現れる(220)ピークと77°付近に現れる(311)ピーク)の各々のピークの半価幅からシェラー(Scherrer)の式を用いてそれぞれ算出し、各結晶面の配向比率による重みづけをして、各結晶面の結晶子径の加重平均により平均結晶子径を算出した。その結果、銀めっき皮膜の平均結晶子径は127.78オングストローム(12.778nm)であった。なお、上記の配向比率として、X線回折(XRD)分析装置(株式会社リガク製の全自動多目的水平型X線回折装置Smart Lab)により、Cu管球、Kβフィルタ法を用いて、走査範囲2θ/θを走査して、得られたX線回折パターンから、銀めっき皮膜の(111)面、(200)面、(220)面および(311)面の各々のX線回折ピーク強度(X線回折ピークの強度)をJCPDSカードNo.40783に記載された各々の相対強度比(粉末測定時の相対強度比)((111):(200):(220):(311)=100:40:25:26)で割ることにより補正して得られた値(補正強度)を使用した。
また、この銀めっき材の銀めっき皮膜について、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)(日本電子株式会社製のJXA8200)を使用して、加圧電圧15kV、照射電流3.0×10−8A、50μm四方の分析領域として、ZAF法による定性定量分析により表面分析を行ったところ、銀めっき皮膜は、4.1質量%の炭素と2.7質量%の酸素と0.6質量%のカリウムを含み、残部が銀からなる皮膜であった。また、銀めっき皮膜中に(アンチモンや錫などの)他の元素は検出されず、0.1質量%未満であった。
[実施例2]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度0.7A/dmで13分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=57(g・dm/L・A)、B/D=56(g・dm/L・A)、C/D=1.4(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは187.7であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は147.34オングストローム(14.734nm)であった。
また、この銀めっき材の銀めっき皮膜について、実施例1と同様の方法により表面分析を行ったところ、銀めっき皮膜は、3.6質量%の炭素を含み、残部が銀からなる皮膜であった。また、銀めっき皮膜中に(アンチモンや錫などの)他の元素は検出されず、0.1質量%未満であった。
[実施例3]
銀めっき液中の2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)の量を2g/Lとした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=80(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=4.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは165.6であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は143.70オングストローム(14.370nm)であった。
また、この銀めっき材の銀めっき皮膜について、実施例1と同様の方法により表面分析を行ったところ、銀めっき皮膜は、5.3質量%の炭素と0.6質量%の硫黄を含み、残部が銀からなる皮膜であった。また、銀めっき皮膜中に(アンチモンや錫などの)他の元素は検出されず、0.1質量%未満であった。
[実施例4]
銀めっき液中のシアン化銀カリウム(KAg(CN))の量を100g/Lとした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=200(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは181.2であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は231.46オングストローム(23.146nm)であった。
[実施例5]
銀めっき液中のシアン化銀カリウム(KAg(CN))の量を100g/Lとし、2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)の量を2g/Lとして電流密度1.5A/dmで6分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=67(g・dm/L・A)、B/D=26(g・dm/L・A)、C/D=1.3(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは165.5であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は100.15オングストローム(10.015nm)であった。
[実施例6]
40g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と39g/Lのシアン化カリウム(KCN)と1g/Lの2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)と20g/Lの炭酸カリウム(KCO)を含む水溶液からなる銀めっき液を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=80(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは188.6であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は166.07オングストローム(16.607nm)であった。
[実施例7]
無光沢ニッケルめっき皮膜を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=80(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは175.7であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は156.82オングストローム(15.682nm)であった。
[実施例8]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1A/dmで9分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例7と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=40(g・dm/L・A)、B/D=39(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは170.4であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は156.82オングストローム(15.682nm)であった。
[実施例9]
銀めっき皮膜を形成する際に液温を18℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=80(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは194.1であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は105.03オングストローム(10.503nm)であった。
[実施例10]
銀めっき皮膜を形成する際に液温を35℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=80(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは185.8であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は168.56オングストローム(16.856nm)であった。
[実施例11]
銀めっき皮膜を形成する際に電気めっき時間を7.2分間とした以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、2μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=80(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=4.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは154.3であった。また、800回の往復摺動動作後に素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は209.40オングストローム(20.940nm)であった。
[比較例1]
40g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と39g/Lのシアン化カリウム(KCN)を含む水溶液からなる銀めっき液を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=80(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは105.8であった。また、60回の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好ではないことがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は434.98オングストローム(43.498nm)であった。
[比較例2]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1.5A/dmで6分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、比較例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=27(g・dm/L・A)、B/D=26(g・dm/L・A)、C/D=0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは112.7であった。また、銀めっき皮膜の平均結晶子径は625.39オングストローム(43.498nm)であった。なお、この銀めっき材では、銀めっき皮膜の表面に外観ムラが観察されたため、摺動摩耗試験を行わなかった。
[比較例3]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1A/dmで9分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=40(g・dm/L・A)、B/D=39(g・dm/L・A)、C/D=1.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは131.2であった。また、銀めっき皮膜の平均結晶子径は160.06オングストローム(16.006nm)であった。なお、この銀めっき材では、銀めっき皮膜の表面に外観ムラが観察されたため、摺動摩耗試験を行わなかった。
[比較例4]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1.5A/dmで6分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=27(g・dm/L・A)、B/D=26(g・dm/L・A)、C/D=1.3(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは131.1であった。また、100回の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好ではないことがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は105.20オングストローム(10.520nm)であった。
[比較例5]
銀めっき液中のシアン化カリウム(KCN)の量を99g/Lとして電流密度1.5A/dmで6分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=27(g・dm/L・A)、B/D=66(g・dm/L・A)、C/D=0.7(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは118.6であった。また、銀めっき皮膜の平均結晶子径は318.16オングストローム(31.816nm)であった。なお、この銀めっき材では、銀めっき皮膜の表面に外観ムラが観察されたため、摺動摩耗試験を行わなかった。
[比較例6]
銀めっき液中のシアン化カリウム(KCN)の量を99g/Lとした以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=80(g・dm/L・A)、B/D=198(g・dm/L・A)、C/D=4.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは121.3であった。また、80回の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好ではないことがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は736.65オングストローム(73.665nm)であった。
[比較例7]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1A/dmで9分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例4と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=100(g・dm/L・A)、B/D=39(g・dm/L・A)、C/D=1.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは138.4であった。また、200回の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好ではないことがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は205.78オングストローム(20.578nm)であった。
[比較例8]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1.5A/dmで6分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例4と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=67(g・dm/L・A)、B/D=26(g・dm/L・A)、C/D=0.7(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは130.8であった。また、銀めっき皮膜の平均結晶子径は318.46オングストローム(31.846nm)であった。なお、この銀めっき材では、銀めっき皮膜の表面に外観ムラが観察されたため、摺動摩耗試験を行わなかった。
[比較例9]
100g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と99g/Lのシアン化カリウム(KCN)と1g/Lの2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)を含む水溶液からなる銀めっき液を使用して電流密度1.5A/dmで6分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=67(g・dm/L・A)、B/D=66(g・dm/L・A)、C/D=0.7(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは120.1であった。また、銀めっき皮膜の平均結晶子径は381.93オングストローム(38.193nm)であった。なお、この銀めっき材では、銀めっき皮膜の表面に外観ムラが観察されたため、摺動摩耗試験を行わなかった。
[比較例10]
銀めっき液中のシアン化銀カリウム(KAg(CN))の量を100g/Lとし、シアン化カリウム(KCN)の量を99g/Lとした以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=200(g・dm/L・A)、B/D=198(g・dm/L・A)、C/D=4.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは121.4であった。また、70回の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好ではないことがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は391.48オングストローム(39.148nm)であった。
[比較例11]
115g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と60g/Lのシアン化カリウム(KCN)と40mg/Lのセレンを含む水溶液からなる銀めっき液を使用して電流密度2A/dmで5分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=58(g・dm/L・A)、B/D=30(g・dm/L・A)、C/D=0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは118.9であった。また、100回の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好ではないことがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は635.73オングストローム(63.573nm)であった。
[比較例12]
148g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と140g/Lのシアン化カリウム(KCN)と8mg/Lのセレンを含む水溶液からなる銀めっき液を使用して液温16℃において電流密度8A/dmで80秒(1.3分)間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=19(g・dm/L・A)、B/D=18(g・dm/L・A)、C/D=0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは82.4であった。また、50回の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好ではないことがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は749.72オングストローム(74.972nm)であった。
[比較例13]
175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と95g/Lのシアン化カリウム(KCN)と70mg/Lのセレンを含む水溶液からなる銀めっき液を使用して液温18℃において電流密度5A/dmで2分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=35(g・dm/L・A)、B/D=19(g・dm/L・A)、C/D=0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは133.8であった。また、80回の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好ではないことがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は278.25オングストローム(27.825nm)であった。
[比較例14]
40g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と39g/Lのシアン化カリウム(KCN)と1g/Lの2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)と20g/Lの炭酸カリウム(KCO)を含む水溶液からなる銀めっき液を使用して電流密度1A/dmで9分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=40(g・dm/L・A)、B/D=39(g・dm/L・A)、C/D=1.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは134.4であった。また、10回未満の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好ではないことがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は192.83オングストローム(19.283nm)であった。
[比較例15]
無光沢ニッケルめっき皮膜を形成する際に液温50℃、電流密度4A/dmで140秒間電気めっきを行い、銀ストライクめっき皮膜を形成する際に電流密度2.0A/dmで30秒間電気めっきを行い、銀めっき皮膜を形成する際にAg−Sbめっき液(日進化成株式会社製の銀めっき液(Na浴)に日進化成株式会社製のニッシンブライトNを添加しためっき液)を使用して液温18℃、電流密度3A/dmで500秒(8.3分)間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の無光沢ニッケルめっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、1μmであった。また、この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、B/D=0(g・dm/L・A)、C/D=0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは170.4であった。また、150回の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好ではないことがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は126.11オングストローム(12.611nm)であった。
また、この銀めっき材の銀めっき皮膜について、実施例1と同様の方法により表面分析を行ったところ、銀めっき皮膜は、1.6質量%の炭素と2.9質量%のアンチモンを含み、残部が銀からなる皮膜であった。
[実施例12]
銀めっき液として、100g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と39g/Lのシアン化カリウム(KCN)と20g/Lの2−メルカプトベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム2水和物(2−MBIS)を含む水溶液からなる銀めっき液を使用して、電流密度0.7A/dmで13分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成の際の銀めっき液中のシアン化銀カリウム(KAg(CN))、シアン化カリウム(KCN)および2−メルカプトベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム2水和物(2−MBIS)の濃度をそれぞれA(g/L)、B(g/L)およびC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、A/D=143(g・dm/L・A)、B/D=56(g・dm/L・A)、C/D=28.6(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは226であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は97オングストローム(9.7nm)であった。
[実施例13]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1.0A/dmで9分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例12と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=100(g・dm/L・A)、B/D=39(g・dm/L・A)、C/D=20.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは175であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は112オングストローム(11.2nm)であった。
[実施例14]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1.5A/dmで6分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例12と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=67(g・dm/L・A)、B/D=26(g・dm/L・A)、C/D=13.3(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは155であった。また、500回の往復摺動動作後に素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は138オングストローム(13.8nm)であった。
[実施例15]
銀めっき液として、27g/Lのシアン化銀(AgCN)と39g/Lのシアン化ナトリウム(NaCN)と1g/Lの2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)を含む水溶液からなる銀めっき液を使用して、電流密度0.5A/dmで18分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成の際の銀めっき液中のシアン化銀(AgCN)、シアン化ナトリウム(NaCN)および2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)の濃度をそれぞれA(g/L)、B(g/L)およびC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、A/D=54(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは166であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は90オングストローム(9.0nm)であった。
また、この銀めっき材の銀めっき皮膜について、実施例1と同様の方法により表面分析を行ったところ、銀めっき皮膜は、6.1質量%の炭素と1.1質量%の硫黄を含み、残部が銀からなる皮膜であった。また、銀めっき皮膜中に(アンチモンや錫などの)他の元素は検出されなかった。
[実施例16]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度0.7A/dmで13分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例15と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=39(g・dm/L・A)、B/D=56(g・dm/L・A)、C/D=1.4(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは176であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は81オングストローム(8.1nm)であった。
[実施例17]
銀めっき皮膜を形成する際に液温35℃において電流密度0.5A/dmで18分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例15と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=54(g・dm/L・A)、B/D=78(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは175であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は109オングストローム(10.9nm)であった。
[実施例18]
銀めっき液中の2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)の量を2g/Lとし、銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1.5A/dmで6分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例15と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=18(g・dm/L・A)、B/D=26(g・dm/L・A)、C/D=1.3(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは152であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は72オングストローム(7.2nm)であった。
[実施例19]
銀めっき液として、68g/Lのシアン化銀(AgCN)と64g/Lのシアン化ナトリウム(NaCN)と2g/Lの2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)を含む水溶液からなる銀めっき液を使用して、電流密度1.0A/dmで9分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成の際の銀めっき液中のシアン化銀(AgCN)、シアン化ナトリウム(NaCN)および2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)の濃度をそれぞれA(g/L)、B(g/L)およびC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、A/D=68(g・dm/L・A)、B/D=64(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは161であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は122オングストローム(12.2nm)であった。
[実施例20]
銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1.5A/dmで6分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例19と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=45(g・dm/L・A)、B/D=43(g・dm/L・A)、C/D=1.3(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは161であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は87オングストローム(8.7nm)であった。
[実施例21]
銀めっき液中のシアン化ナトリウム(NaCN)の量を74g/Lとし、銀めっき皮膜を形成する際に電流密度0.7A/dmで13分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例19と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=97(g・dm/L・A)、B/D=106(g・dm/L・A)、C/D=2.9(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは166であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は78オングストローム(7.8nm)であった。
[実施例22]
銀めっき液中のシアン化ナトリウム(NaCN)の量を74g/Lとし、銀めっき皮膜を形成する際に電流密度1.0A/dmで9分間電気めっき(銀めっき)を行った以外は、実施例19と同様の方法により、銀めっき材を作製した。この銀めっき材の銀めっき皮膜の略中央部の厚さを実施例1と同様の方法により測定したところ、5μmであった。なお、この銀めっき材の銀めっき皮膜の形成において、A/D=68(g・dm/L・A)、B/D=74(g・dm/L・A)、C/D=2.0(g・dm/L・A)であった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜のビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは162であった。また、1,000回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。さらに、銀めっき皮膜の平均結晶子径は106オングストローム(10.6nm)であった。
これらの実施例および比較例で得られた銀めっき材の製造条件および特性を表1〜表9に示す。
Figure 2021134425
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Claims (18)

  1. シアン化銀カリウムとシアン化カリウムとベンゾイミダゾール類とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法において、銀めっき液中のシアン化銀カリウムの濃度をA(g/L)、シアン化カリウムの濃度をB(g/L)、ベンゾイミダゾール類の濃度をC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、シアン化カリウムの濃度が30〜80g/Lであり、A/Dが30(g・dm/L・A)以上、C/Dが1.2(g・dm/L・A)以上になるように電気めっきを行うことを特徴とする、銀めっき材の製造方法。
  2. シアン化銀カリウムとシアン化カリウムとベンゾイミダゾール類とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法において、銀めっき液中のシアン化銀カリウムの濃度をA(g/L)、シアン化カリウムの濃度をB(g/L)、ベンゾイミダゾール類の濃度をC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、A/Dが30(g・dm/L・A)以上、B/Dが100(g・dm/L・A)以下、C/Dが1.2(g・dm/L・A)以上になるように電気めっきを行うことを特徴とする、銀めっき材の製造方法。
  3. シアン化銀とシアン化ナトリウムとベンゾイミダゾール類とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法において、銀めっき液中のシアン化銀の濃度をA(g/L)、シアン化ナトリウムの濃度をB(g/L)、ベンゾイミダゾール類の濃度をC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、シアン化ナトリウムの濃度が30〜80g/Lであり、A/Dが15(g・dm/L・A)以上、C/Dが1.2(g・dm/L・A)以上になるように電気めっきを行うことを特徴とする、銀めっき材の製造方法。
  4. シアン化銀とシアン化ナトリウムとベンゾイミダゾール類とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法において、銀めっき液中のシアン化銀の濃度をA(g/L)、シアン化ナトリウムの濃度をB(g/L)、ベンゾイミダゾール類の濃度をC(g/L)とし、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、A/Dが15(g・dm/L・A)以上、B/Dが150(g・dm/L・A)以下、C/Dが1.2(g・dm/L・A)以上になるように電気めっきを行うことを特徴とする、銀めっき材の製造方法。
  5. 前記銀めっき液中のシアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度が30〜80g/Lであることを特徴とする、請求項2または4に記載の銀めっき材の製造方法。
  6. 前記ベンゾイミダゾール類が2−メルカプトベンゾイミダゾールまたは2−メルカプトベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム2水和物であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の銀めっき材の製造方法。
  7. 前記銀めっき液中のベンゾイミダゾール類の濃度が0.5〜50g/Lであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の銀めっき材の製造方法。
  8. 前記銀めっき液が30g/L以下の炭酸カリウムを含むことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の銀めっき材の製造方法。
  9. 前記電気めっきが、液温10〜50℃で行われることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の銀めっき材の製造方法。
  10. 前記電気めっきが、電流密度0.2〜2.0A/dmで行われることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の銀めっき材の製造方法。
  11. 前記素材が銅または銅合金からなることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の銀めっき材の製造方法。
  12. 前記素材と前記表層との間にニッケルからなる下地層を形成することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の銀めっき材の製造方法。
  13. 素材上に銀からなる表層が形成された銀めっき材において、銀からなる表層の平均結晶子径が25nm以下であり且つビッカース硬さHVが150以上であり、表層中のアンチモン含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする、銀めっき材。
  14. 前記表層が90〜99質量%の銀からなることを特徴とする、請求項13に記載の銀めっき材。
  15. 前記表層中の炭素含有量が1〜10質量%であることを特徴とする、請求項13または14に記載の銀めっき材。
  16. 前記ビッカース硬さHVが160以上であることを特徴とする、請求項13乃至15のいずれかに記載の銀めっき材。
  17. 前記素材が銅または銅合金からなることを特徴とする、請求項13乃至16のいずれかに記載の銀めっき材。
  18. 前記素材と前記表層との間にニッケルからなる下地層が形成されていることを特徴とする、請求項13乃至17のいずれかに記載の銀めっき材。
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