JP2023152637A - 銀めっき材およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】素材上に下地めっき皮膜を介して銀めっき皮膜を形成した場合に、高温高湿環境において、銀めっき皮膜が下地めっき皮膜から剥離し難く、密着性に優れた銀めっき材およびその製造方法を提供する。【解決手段】(好ましくは銅または銅合金からなる)素材上に(好ましくは銅、ニッケルまたはこれらの合金からなる)下地めっき皮膜を介して(好ましくは厚さ0.06~15μmの)下地の銀めっき皮膜を形成した後、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、ベンゾチアゾール類またはその誘導体とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって、下地の銀めっき皮膜上に(好ましくは厚さ0.1~2.0μmの)炭素と硫黄を含む銀からなる表層(炭素と硫黄を含む銀めっき皮膜)を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、銀めっき材およびその製造方法に関し、特に、車載用や民生用の電気配線に使用されるコネクタ、スイッチ、リレーなどの接点や端子部品の材料として使用される銀めっき材およびその製造方法に関する。
従来、コネクタやスイッチなどの接点や端子部品などの材料として、銅または銅合金やステンレス鋼などの比較的安価で耐食性や機械的特性などに優れた素材に、電気特性や半田付け性などの必要な特性に応じて、錫、銀、金などのめっきを施しためっき材が使用されている。
銅または銅合金やステンレス鋼などの素材に錫めっきを施した錫めっき材は、安価であるが、高温環境下における耐食性に劣っている。また、これらの素材に金めっきを施した金めっき材は、耐食性に優れ、信頼性が高いが、コストが高くなる。一方、これらの素材に銀めっきを施した銀めっき材は、金めっき材と比べて安価であり、錫めっき材と比べて耐食性に優れている。
また、コネクタやスイッチなどの接点や端子部品などの材料は、コネクタの挿抜やスイッチの摺動に伴う耐摩耗性も要求される。
しかし、銀めっき材は、軟質で摩耗し易いため、接続端子などの材料として使用すると、挿抜や摺動により凝着して凝着摩耗が生じ易くなり、また、接続端子の挿入時に表面が削られて摩擦係数が高くなって挿入力が高くなるという問題がある。
このような問題を解消するため、銀めっき中にアンチモンなどの元素を含有させることにより、銀めっき材の硬度を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1の方法のように、銀めっき中にアンチモンなどの元素を含有させると、銀が合金化して硬度が向上するものの、耐摩耗性の向上は十分ではなく、さらに耐摩耗性に優れた銀めっき材が望まれている。
このような問題を解消するため、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、ベンゾチアゾール類またはその誘導体とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって素材上に銀からなる表層を形成して銀めっき材を製造する方法において、銀めっき液中のフリーシアンの濃度をA(g/L)、銀めっき液中のベンゾチアゾール類またはその誘導体のベンゾチアゾール分の濃度をB(g/L)、銀めっき液の温度をC(℃)、電気めっきの電流密度をD(A/dm)とすると、(BC/A)/Dが10(℃・dm/A)以上になるように電気めっきを行うことにより、従来よりも耐摩耗性に優れた銀めっき材を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2009-79250号公報(段落番号0003-0004) 特許第6916971号公報(段落番号0013)
しかし、特許文献2の方法により製造した銀めっき材では、素材上に下地めっき皮膜を介して銀めっき皮膜を形成すると、高温高湿環境において銀めっき皮膜が下地めっき皮膜から剥離し易いという問題がある。
そのため、特許文献2の方法により製造した耐摩耗性に優れた銀めっき材において、素材上に下地めっき皮膜を介して銀めっき皮膜を形成した場合に、高温高湿環境において、銀めっき皮膜が下地めっき皮膜から剥離し難く、密着性に優れた銀めっき材を提供することが望まれている。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、素材上に下地めっき皮膜を介して銀めっき皮膜を形成した場合に、高温高湿環境において、銀めっき皮膜が下地めっき皮膜から剥離し難く、密着性に優れた銀めっき材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、素材上に下地めっき皮膜を介して下地の銀めっき皮膜を形成した後、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、ベンゾチアゾール類またはその誘導体とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって、下地の銀めっき皮膜上に炭素と硫黄を含む銀からなる表層(炭素と硫黄を含む銀めっき皮膜)を形成すれば、素材上に下地めっき皮膜を介して銀めっき皮膜を形成した場合に、高温高湿環境において、銀めっき皮膜が下地めっき皮膜から剥離し難く、密着性に優れた銀めっき材を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による銀めっき材の製造方法は、素材上に下地めっき皮膜を介して下地の銀めっき皮膜を形成した後、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、ベンゾチアゾール類またはその誘導体とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって、下地の銀めっき皮膜上に炭素と硫黄を含む銀からなる表層を形成することを特徴とする。
この銀めっき材の製造方法において、下地の銀めっき皮膜の厚さが0.06~15μmであるのが好ましい。また、ベンゾチアゾール類がメルカプトベンゾチアゾールであるのが好ましく、ベンゾチアゾール類の誘導体がベンゾチアゾール類のアルカリ金属塩あるのが好ましく、アルカリ金属塩がナトリウム塩であるのが好ましい。また、下地めっき皮膜が銅、ニッケルまたはこれらの合金からなるのが好ましく、素材が銅または銅合金からなるのが好ましい。
また、本発明による銀めっき材は、素材上に下地めっき皮膜を介して下地の銀めっき皮膜が形成され、この下地の銀めっき皮膜上に、炭素と硫黄を含む銀からなる表層が形成され、下地の銀めっき皮膜中のAgの原子濃度が95at%より高く、Sの原子濃度が0.6at%より低く且つAgの原子濃度に対するCの原子濃度の割合が3%より低く、炭素と硫黄を含む銀からなる表層中のAgの原子濃度が95at%以下、Sの原子濃度が0.6at%以上であり且つAgの原子濃度に対するCの原子濃度の割合が3%以上であることを特徴とする。この銀めっき材において、下地の銀めっき皮膜の厚さが0.06~15μmであるのが好ましい。また、銀めっき材中の銀の平均結晶子径が100nm以下であるのが好ましく、銀めっき材の表面のビッカース硬さHVが70~160であるのが好ましい。さらに、下地めっき皮膜が銅、ニッケルまたはこれらの合金からなるのが好ましく、素材が銅または銅合金からなるのが好ましい。また、炭素と硫黄を含む銀からなる表層中のナトリウムメルカプトベンゾチアゾールのメルカプト基と五員環のS元素に由来するSの原子濃度の合計が0.3at%以上であり、下地の銀めっき皮膜中のナトリウムメルカプトベンゾチアゾールのメルカプト基と五員環のS元素に由来するSの原子濃度の合計が0.3at%未満であるのが好ましい。また、炭素と硫黄を含む銀からなる表層について、X線光電子分光法により測定したときに、161.6~162.9eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度と163.2~164.5eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度の合計が0.3at%以上であり、下地の銀めっき皮膜について、X線光電子分光法により測定したときに、161.6~162.9eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度と163.2~164.5eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度の合計が0.3at%未満であるのが好ましい。
本発明によれば、素材上に下地めっき皮膜を介して銀めっき皮膜を形成した場合に、高温高湿環境において、銀めっき皮膜が下地めっき皮膜から剥離し難く、密着性に優れた銀めっき材およびその製造方法を提供することができる。
実施例10の銀めっき材の断面の5万倍の走査電子顕微鏡写真(SEM像)である。 比較例1の銀めっき材の断面の5万倍のSEM像である。
本発明による銀めっき材の製造方法の実施の形態では、(好ましくは銅または銅合金からなる)素材上に(好ましくは銅、ニッケルまたはこれらの合金からなる)(好ましくは厚さ0.01~10μm、さらに好ましくは厚さ0.5~2μmの)下地めっき皮膜を介して銀ストライクめっき皮膜を形成し、この銀ストライクめっき皮膜上に(銀ストライクめっき皮膜を含む厚さが好ましくは0.06~15μm、さらに好ましくは0.10~10μm、最も好ましくは0.15~5μmの)下地の銀めっき皮膜を形成した後、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、ベンゾチアゾール類またはその誘導体とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって、下地の銀めっき皮膜上に(好ましくは厚さ0.1~5.0μm、さらに好ましくは0.5~3.0μm、最も好ましくは0.5~2.0μmの)炭素と硫黄を含む銀からなる表層を形成する。
下地の銀めっき皮膜は、シアン化銀カリウム(KAg(CN))とシアン化カリウム(KCN)とセレンを含む水溶液からなる銀めっき液中において、電流密度1~10A/dmで1~90秒間電気めっきを行うことによって形成することができる。
なお、ベンゾチアゾール(CNS)は、ベンゼン骨格とチアゾール骨格を有する複素環式化合物であり、ベンゾチアゾール類は、2-メルカプトベンゾチアゾールなどのメルカプト基(-SH)を有するベンゾチアゾールであるのが好ましい。また、ベンゾチアゾール類の誘導体として、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))、亜鉛-2-メルカプトベンゾチアゾール、5-クロロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、6-アミノ-2-メルカプトベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾチアゾールなどを使用することができる。これらのベンゾチアゾール類の誘導体のうち、ベンゾチアゾール類のアルカリ金属塩であるのが好ましく、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))などのベンゾチアゾール類のナトリウム塩であるのが好ましい。
このように(シアン系)銀めっき液中に有機添加剤として(メルカプトベンゾチアゾールなどの)ベンゾチアゾール類またはそのアルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩)を添加して電気めっき(銀めっき)を行うと、銀からなる表層中に有機添加剤(の少なくとも一部)を取り込んで、有機添加剤の潤滑効果により表層の摩擦係数を低下させることができると考えられる。なお、ベンゾチアゾール類としてメルカプトベンゾチアゾールを使用すれば、銀めっき材の生産効率を向上させることができる。また、銀からなる表層中に有機添加剤を取り込むことにより、銀めっき材を接続端子などの材料として使用した場合に、挿抜や摺動により凝着するのを抑制して耐摩耗性を向上させることができる。特に、上記の条件で電気めっきを行えば、従来よりも耐摩耗性に優れた銀めっき材を製造することができる。
上記の銀めっき材の製造方法において、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は、好ましくは3~70g/L(さらに好ましくは10~70g/L、最も好ましくは15~60g/L)であり、銀めっき液中のベンゾチアゾール分の濃度は、好ましくは2~100g/L(さらに好ましくは5~90g/L、さらに好ましくは8~80g/L、最も好ましくは10~70g/L)であり、銀めっき液中の銀の濃度は、好ましくは15~140g/L(さらに好ましくは15~125g/L、最も好ましくは20~110g/L)である。また、銀めっき液中のシアン化銀カリウムまたはシアン化銀の濃度は、好ましくは30~260g/L(さらに好ましくは30~25g/L、最も好ましくは35~220g/L)であり、銀めっき液中のシアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度は、好ましくは10~200g/L(さらに好ましくは20~185g/L、さらに好ましくは30~160g/L、最も好ましくは40~115g/L)であり、銀めっき液中のベンゾチアゾール類またはそのアルカリ金属塩の濃度は、好ましくは3~100g/L(さらに好ましくは10~90g/L、最も好ましくは15~80g/L)である。また、電気めっき(銀めっき)は、液温15~50℃で行われるのが好ましく、液温18~47℃で行われるのがさらに好ましい。また、電気めっき(銀めっき)は、電流密度0.5~12A/dmで行われるのが好ましく、1.5~10A/dmで行われるのがさらに好ましい。なお、良好な銀めっき皮膜を形成するためには、電流密度が2A/dm以上と比較的高いのが好ましく、3A/dm以上であるのがさらに好ましい。
また、本発明による銀めっき材の実施の形態では、(好ましくは素材が銅または銅合金からなる)素材上に(好ましくは銅、ニッケルまたはこれらの合金からなる)(好ましくは厚さ0.01~10μm、さらに好ましくは厚さ0.5~2μmの)下地めっき皮膜を介して銀ストライクめっき皮膜を形成し、この銀ストライクめっき皮膜上に(銀ストライクめっき皮膜を含む厚さが好ましくは0.06~15μm、さらに好ましくは0.10~10μm、最も好ましくは0.15~5μmの)下地の銀めっき皮膜(光沢銀めっき皮膜や無光沢銀めっき皮膜などの下地の銀めっき皮膜)が形成され、この下地の銀めっき皮膜上に、(好ましくは厚さ0.1~5.0μm、さらに好ましくは0.5~3.0μm、最も好ましくは0.5~2.0μmの)炭素と硫黄を含む銀からなる表層が形成され、下地の銀めっき皮膜中のAgの原子濃度が95at%より高く(好ましくは97at%以上であり)、Sの原子濃度が0.6at%より低く(好ましくは0.5at%以下であり)且つAgの原子濃度に対するCの原子濃度の割合が3%より低く(好ましくは2%以下であり)、炭素と硫黄を含む銀からなる表層中のAgの原子濃度が95at%以下(好ましくは、80at%以上、93at%以下)、Sの原子濃度が0.6at%以上(好ましくは、0.7at%以上、5at%以下)であり且つAgの原子濃度に対するCの原子濃度の割合が3%以上(好ましくは、5%以上、20%以下)である。また、銀めっき材中の銀の平均結晶子径が100nm以下であるのが好ましく、銀めっき材の表面のビッカース硬さHVが70~160であるのが好ましい。また、炭素と硫黄を含む銀からなる表層中のナトリウムメルカプトベンゾチアゾールのメルカプト基と五員環のS元素に由来するSの原子濃度の合計が0.3at%以上であるのが好ましく、0.4at%以上であるのがさらに好ましく、下地の銀めっき皮膜中のナトリウムメルカプトベンゾチアゾールのメルカプト基と五員環のS元素に由来するSの原子濃度の合計が0.3at%未満であるのが好ましく、0.2at%以下であるのがさらに好ましい。また、炭素と硫黄を含む銀からなる表層について、X線光電子分光法により測定したときに、161.6~162.9eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度と163.2~164.5eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度の合計が0.3at%以上であるのが好ましく、0.4at%以上であるのがさらに好ましく、下地の銀めっき皮膜について、X線光電子分光法により測定したときに、161.6~162.9eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度と163.2~164.5eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度の合計が0.3at%未満であるのが好ましく、0.2at%以下であるのがさらに好ましい。
以下、本発明による銀めっき材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
まず、基材(被めっき材)として67mm×50mm ×0.3mmの無酸素銅(C1020 1/2H)からなる圧延板を用意し、この被めっき材の前処理として、被めっき材とSUS板をアルカリ脱脂液に入れ、被めっき材を陰極とし、SUS板を陽極として、電圧5Vで30秒間電解脱脂を行い、水洗した後、3%硫酸中で15秒間酸洗を行い、水洗した。
次に、540g/Lのスルファミン酸ニッケル四水和物と25g/Lの塩化ニッケルと35g/Lのホウ酸を含む水溶液からなる無光沢ニッケルめっき液中において、前処理を行った被めっき材を陰極とし、ニッケル電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温50℃において電流密度7A/dmで70秒間電気めっき(無光沢ニッケルめっき)を行って、下地めっき皮膜として無光沢ニッケルめっき皮膜を形成した。この下地めっき皮膜の中央部の厚さを蛍光X線膜厚計(株式会社日立ハイテクサイエンス製のSFT-110A)により測定したところ、1μmであった。
次に、3g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と90g/Lのシアン化カリウム(KCN)を含む水溶液からなる銀ストライクめっき液中において、下地めっき皮膜を形成した被めっき材を陰極とし、白金で被覆したチタン電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら室温(25℃)において電流密度2.0A/dmで10秒間電気めっきを行って、厚さ0.01μm程度の銀ストライクめっき皮膜を形成した後、水洗して銀ストライクめっき液を十分に洗い流した。
次に、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と95g/Lのシアン化カリウム(KCN)とセレノシアン酸カリウムを含む水溶液からなる銀めっき液(セレン濃度37mg/L)中において、銀ストライクめっき皮膜を形成した被めっき材を陰極とし、銀電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温18℃において電流密度2.3A/dmで3秒間電気めっき(銀めっき)を行って下地の銀めっき皮膜を形成した。この下地の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(銀ストライクめっき皮膜を含む下地の銀めっき皮膜の中央部の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、0.06μmであった。
次に、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と95g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度38g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)中において、下地の銀めっき皮膜を形成した被めっき材を陰極とし、銀電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温35℃において電流密度7A/dmで18秒間電気めっき(銀めっき)を行って銀めっき皮膜を形成した。この銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.06μmであった。なお、フリーシアン濃度とベンゾチアゾール分の濃度は、それぞれフリーシアン濃度=KCN濃度×(CNの分子量26.02/KCNの分子量65.12)と、ベンゾチアゾール分の濃度=SMBT濃度×(ベンゾチアゾール(CNS)の分子量135.19/SMBTの分子量189.23)により算出した。
このようにして得られた銀めっき材の表面(上の3カ所)のビッカース硬さHVを、微小硬さ試験機(株式会社ミツトヨ製のHM-221)を使用して、測定荷重10gfを10秒間加えて、JIS Z2244に準じて測定したところ、平均139.2であった。
また、上記の銀めっき材を2枚用意し、一方をインデント加工(内側R=1.5mm)して圧子として使用し、他方を平板状の評価試料として使用し、精密摺動試験装置(株式会社山崎精機研究所製のCRS-G2050-DWA)により、評価試料に圧子を一定の荷重(5N)で押し当てながら、素材が露出するまで往復摺動動作(摺動距離5mm、摺動速度1.67mm/s)を継続し、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製のVHX-1000)により銀めっき材の摺動痕の中心部を倍率100倍で観察して、銀めっき材の摩耗状態を確認する摩耗試験を行うことにより、耐摩耗性の評価を行った。その結果、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れていることがわかった。
また、上記の銀めっき材を2枚用意し、一方をインデント加工(内側R=1.5mm)して圧子として使用し、他方を平板状の評価試料として使用し、精密摺動試験装置(株式会社山崎精機研究所製のCRS-G2050-DWA)により、評価試料に圧子を一定の荷重(5N)で押し当てながら、摺動動作(摺動距離5mm、摺動速度1.67mm/s)を行い、この摺動動作中に水平方向にかかる力を測定してその最大値Fを求め、平板状試験片とインデント付き試験片との間の動摩擦係数(μ)をμ=F/Nから算出したところ、動摩擦係数の最大値は0.39であった。
また、この銀めっき材の表面の(111)面、(200)面、(220)面および(311)面の各々の結晶面に垂直方向の結晶子径を、XRD分析装置(株式会社リガク製の全自動多目的水平型X線回折装置Smart Lab)によって得られたX線回折パターン(XRDパターン)の結晶面のピーク(38°付近に現れる(111)ピークと44°付近に現れる(200)ピークと64°付近に現れる(220)ピークと77°付近に現れる(311)ピーク)の各々のピークの半価幅からシェラー(Scherrer)の式を用いてそれぞれ算出し、各結晶面の配向比率による重みづけをして、各結晶面の結晶子径の加重平均により平均結晶子径を算出した。その結果、銀めっき材中の銀の平均結晶子径は161.6オングストローム(16.16nm)であった。なお、上記の配向比率として、X線回折(XRD)分析装置(株式会社リガク製の全自動多目的水平型X線回折装置Smart Lab)により、Cu管球、Kβフィルタ法を用いて、走査範囲2θ/θを走査して、得られたX線回折パターンから、銀めっき皮膜の(111)面、(200)面、(220)面および(311)面の各々のX線回折ピーク強度(X線回折ピークの強度)をJCPDSカードNo.40783に記載された各々の相対強度比(粉末測定時の相対強度比)((111):(200):(220):(311)=100:40:25:26)で割ることにより補正して得られた値(補正強度)を使用した。
また、得られた銀めっき材を350℃で1分間加熱した後に、銀めっき材の表面に粘着テープ(ニチバン株式会社製のセロハンテープ)を貼り付けて、JIS H8504に準じてクロスカットテープピーリングテストを行い、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、剥離はなく、密着性が良好であった。
また、得られた銀めっき材を350℃で1分間加熱した後に、180°密着曲げを行って曲げ戻した後、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、剥離はなく、密着性が良好であった。
また、上記の銀めっき材を2枚用意し、これらの銀めっき材を温度85℃、湿度85%に設定した恒温恒湿器(株式会社いすゞ製作所製のTPAV-48-20)に入れてそれぞれ240時間後と500時間後に、試料片の表面に粘着テープ(ニチバン株式会社製のセロハンテープ)を貼り付けて、JIS H8504に準じてクロスカットテープピーリングテストを行い、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、240時間後では、剥離はなく、密着性が良好であったが、500時間後では、粘着テープを貼り付けた銀めっき皮膜の表面の面積に対して10面積%より広い面積で剥離した。
また、上記の銀めっき材を2枚用意し、これらの銀めっき材を温度85℃、湿度85%に設定した恒温恒湿器に入れてそれぞれ240時間と500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、曲げた部分(山折り部と谷折り部)の銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、240時間後では、剥離はなく、密着性が良好であったが、500時間後では、剥離があった。
[実施例2]
下地の銀めっき皮膜を形成する際の電流密度を2.8A/dm、電気めっき時間を5秒間とした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の下地の銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、0.1μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均136.1であった。また、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.44であった。さらに、平均結晶子径は130.6オングストローム(13.06nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例3]
下地の銀めっき皮膜を形成する際の電流密度を7A/dm、電気めっき時間を4秒間とした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の下地の銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、0.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均132.1であった。また、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.46であった。さらに、平均結晶子径は118.8オングストローム(11.88nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例4]
下地の銀めっき皮膜を形成する際の電流密度を7A/dm、電気めっき時間を9秒間とした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の下地の銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、0.5μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均132.4であった。また、200回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.34であった。さらに、平均結晶子径は133.7オングストローム(13.37nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例5]
下地の銀めっき皮膜を形成する際の電流密度を7A/dm、電気めっき時間を18秒間とした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の下地の銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.0μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均124.1であった。また、300回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.42であった。さらに、平均結晶子径は528.1オングストローム(52.81nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例6]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と50g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度20g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.36であった。また、平均結晶子径は139.5オングストローム(13.95nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例7]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と60g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度24g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、500回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.38であった。また、平均結晶子径は128.9オングストローム(12.89nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例8]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と70g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度28g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、200回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.37であった。また、平均結晶子径は129.7オングストローム(12.97nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例9]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と80g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度32g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、300回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.40であった。また、平均結晶子径は132.6オングストローム(13.26nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例10]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と90g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度36g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、500回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.43であった。また、平均結晶子径は135.0オングストローム(13.50nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例11]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と100g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度40g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、300回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.39であった。また、平均結晶子径は134.0オングストローム(13.40nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例12]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と110g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度44g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.42であった。また、平均結晶子径は148.7オングストローム(14.87nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例13]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と120g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度48g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.41であった。また、平均結晶子径は142.3オングストローム(14.23nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、湿度85%に設定した恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例14]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と130g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度52g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、300回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.46であった。また、平均結晶子径は141.0オングストローム(14.10nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例15]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と90g/Lのシアン化カリウム(KCN)と20g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度36g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度14g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、100回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.52であった。また、平均結晶子径は135.7オングストローム(13.57nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例16]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と90g/Lのシアン化カリウム(KCN)と25g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度36g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度18g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.49であった。また、平均結晶子径は134.0オングストローム(13.40nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例17]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と90g/Lのシアン化カリウム(KCN)と35g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度36g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度25g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、500回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.40であった。また、平均結晶子径は115.3オングストローム(11.53nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例18]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と90g/Lのシアン化カリウム(KCN)と40g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度36g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度29g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、700回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.42であった。また、平均結晶子径は102.1オングストローム(10.21nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例19]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と90g/Lのシアン化カリウム(KCN)と50g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度36g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度36g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、1000回以上の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.52であった。また、平均結晶子径は109.9オングストローム(10.99nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例20]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と90g/Lのシアン化カリウム(KCN)と60g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度36g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度43g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、1000回以上の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.54であった。また、平均結晶子径は126.6オングストローム(12.66nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例21]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と90g/Lのシアン化カリウム(KCN)と70g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度36g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度50g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、1000回以上の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.57であった。また、平均結晶子径は128.1オングストローム(12.81nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例22]
下地の銀めっき皮膜を形成する際の電流密度を7A/dm、電気めっき時間を36秒間とした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の下地の銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均112.3であった。また、200回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.50であった。さらに、平均結晶子径は584.1オングストローム(58.41nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例23]
下地の銀めっき皮膜を形成する際の電流密度を7A/dm、電気めっき時間を90秒間とした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の下地の銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、5μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均96.8であった。また、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.52であった。さらに、平均結晶子径は611.9オングストローム(61.19nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例24]
下地の銀めっき皮膜を形成する際の電流密度を7A/dm、電気めっき時間を180秒間とした以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の下地の銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、10μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均92.0であった。また、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.50であった。さらに、平均結晶子径は625.1オングストローム(62.51nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[比較例1]
下地の銀めっき皮膜を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を得た。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均139.4であった。また、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.41であった。さらに、平均結晶子径は146.3オングストローム(14.63nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後では、いずれも剥離はなく、密着性が良好であった。また、恒温恒湿器に入れて240時間後では、銀ストライクめっき皮膜の表面の面積に対して5面積%より広い面積で剥離し、恒温恒湿器に入れて500時間後では、銀ストライクめっき皮膜の表面の面積に対して10面積%より広い面積で剥離して、密着性が良好でなかった。さらに、恒温恒湿器に入れて240時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも、銀めっき皮膜の剥離があり、密着性が良好でなかった。
[比較例2]
下地の銀めっき皮膜を形成せず、175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と95g/Lのシアン化カリウム(KCN)と69mg/Lのセレン(Se)を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度38g/L、セレン濃度69mg/L)中において、銀ストライクめっき皮膜を形成した被めっき材を陰極とし、銀電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温18℃において電流密度5A/dmで120秒間電気めっき(銀めっき)を行って銀めっき皮膜を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、5μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均132.0であった。また、80回の往復摺動動作後に素材が露出したことが確認され、耐摩耗性が良好でなく、動摩擦係数の最大値は1.71であった。さらに、平均結晶子径は278.0オングストローム(27.80nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例25]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、138g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と80g/Lのシアン化カリウム(KCN)と32g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度75g/L、フリーシアン濃度32g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度23g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均122.6であった。また、400回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.41であった。また、平均結晶子径は116.0オングストローム(11.60nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例26]
表面の銀めっき皮膜を形成する際に使用した銀めっき液として、240g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と100g/Lのシアン化カリウム(KCN)と28g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度130g/L、フリーシアン濃度40g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度20g/L)を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき材の銀めっき皮膜の中央部の厚さ(下地と表層の銀めっき皮膜の中央部の合計の厚さ)を上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、1.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均125.6であった。また、300回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.48であった。また、平均結晶子径は132.5オングストローム(13.25nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例27]
175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と95g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度38g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)中において、下地の銀めっき皮膜を形成した被めっき材を陰極とし、銀電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温35℃において電流密度7A/dmで54秒間電気めっき(銀めっき)を行って銀めっき皮膜を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、3.29μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均104.3であった。また、700回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.35であった。また、平均結晶子径は87.1オングストローム(8.71nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例28]
175g/Lのシアン化銀カリウム(KAg(CN))と95g/Lのシアン化カリウム(KCN)と30g/Lの2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))を含む水溶液からなる銀めっき液(銀濃度95g/L、フリーシアン濃度38g/L、ベンゾチアゾール分(BT)の濃度21g/L)中において、下地の銀めっき皮膜を形成した被めっき材を陰極とし、銀電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温35℃において電流密度7A/dmで90秒間電気めっき(銀めっき)を行って銀めっき皮膜を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この銀めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、5.34μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均92.4であった。また、1000回以上の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.35であった。また、平均結晶子径は90.39オングストローム(9.039nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例29]
540g/Lのスルファミン酸ニッケル四水和物と25g/Lの塩化ニッケルと35g/Lのホウ酸を含む水溶液からなる無光沢ニッケルめっき液中において、前処理を行った被めっき材を陰極とし、ニッケル電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温50℃において電流密度7A/dmで7秒間電気めっき(無光沢ニッケルめっき)を行って、下地めっき皮膜として無光沢ニッケルめっき皮膜を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この下地めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、0.1μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均101.8であった。また、100回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.39であった。また、平均結晶子径は102.53オングストローム(10.253nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例30]
540g/Lのスルファミン酸ニッケル四水和物と25g/Lの塩化ニッケルと35g/Lのホウ酸を含む水溶液からなる無光沢ニッケルめっき液中において、前処理を行った被めっき材を陰極とし、ニッケル電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温50℃において電流密度7A/dmで14秒間電気めっき(無光沢ニッケルめっき)を行って、下地めっき皮膜として無光沢ニッケルめっき皮膜を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この下地めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、0.2μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、ビッカース硬さHVを測定し、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、ビッカース硬さHVは平均102.3であった。また、100回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.48であった。また、平均結晶子径は106.79オングストローム(10.679nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例31]
540g/Lのスルファミン酸ニッケル四水和物と25g/Lの塩化ニッケルと35g/Lのホウ酸を含む水溶液からなる無光沢ニッケルめっき液中において、前処理を行った被めっき材を陰極とし、ニッケル電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温50℃において電流密度7A/dmで210秒間電気めっき(無光沢ニッケルめっき)を行って、下地めっき皮膜として無光沢ニッケルめっき皮膜を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この下地めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、3μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、300回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.51であった。また、平均結晶子径は157.62オングストローム(15.762nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
[実施例32]
540g/Lのスルファミン酸ニッケル四水和物と25g/Lの塩化ニッケルと35g/Lのホウ酸を含む水溶液からなる無光沢ニッケルめっき液中において、前処理を行った被めっき材を陰極とし、ニッケル電極板を陽極として、スターラにより500rpmで撹拌しながら液温50℃において電流密度7A/dmで350秒間電気めっき(無光沢ニッケルめっき)を行って、下地めっき皮膜として無光沢ニッケルめっき皮膜を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、銀めっき材を得た。この下地めっき皮膜の中央部の厚さを上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ、5μmであった。
このようにして得られた銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、耐摩耗性の評価を行い、結晶子径を算出した。その結果、700回の往復摺動動作後にも素材が露出しなかったことが確認され、耐摩耗性に優れており、動摩擦係数の最大値は0.43であった。また、平均結晶子径は175.15オングストローム(17.515nm)であった。
上記の銀めっき材について、実施例1と同様の方法により、銀めっき皮膜の剥離の有無を目視によって評価したところ、350℃で1分間加熱した後、350℃で1分間加熱した後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後、恒温恒湿器に入れて500時間後、恒温恒湿器に入れて500時間後に180°密着曲げを行って曲げ戻した後のいずれも剥離はなく、密着性が良好であった。
これらの実施例および比較例で得られた銀めっき材の製造条件および特性を表1~表4に示す。
Figure 2023152637000002
Figure 2023152637000003
Figure 2023152637000004
Figure 2023152637000005
また、実施例10、15、21および比較例1、2で得られた銀めっき材の断面を走査電子顕微鏡で観察した。なお、実施例10および比較例1で得られた銀めっき材の断面の5万倍の走査電子顕微鏡写真(SEM像)をそれぞれ図1および図2に示す。その結果、実施例10、15および21で得られた銀めっき材では、基材の表面に下地めっき皮膜(無光沢ニッケルめっき皮膜)10が形成され、この下地めっき皮膜10上に下地の銀めっき皮膜12が形成され、この下地の銀めっき皮膜12上に炭素(C)と硫黄(S)を含む銀からなる表層(炭素と硫黄を含む銀めっき皮膜)14が形成されていることが確認された。一方、比較例1で得られた銀めっき材では、基材の表面に下地めっき皮膜(無光沢ニッケルめっき皮膜)10が形成され、この下地めっき皮膜10上に炭素(C)と硫黄(S)を含む銀からなる表層(炭素と硫黄を含む銀めっき皮膜)14が形成されていることが確認された。なお、比較例2で得られた銀めっき材では、比較例1で得られた銀めっき材の炭素(C)と硫黄(S)を含む銀からなる表層(炭素と硫黄を含む銀めっき皮膜)14の代わりに、微量のセレン(Se)を含む銀からなる表層(微量のセレンを含む銀めっき皮膜)が形成されていた。
また、実施例10、15、21、25および26で得られた銀めっき材について、X線光電子分光法(XPS)による測定を行って、(最表面から深さ方向に沿って組成分析した結果を示す)深さ方向プロファイルを得た。
その結果、炭素と硫黄を含む銀からなる表層14の厚さ方向中央部では、Agの原子濃度はいずれも95at%以下(実施例10では89.3at%、実施例15では92.7at%、実施例21では83.6at%、実施例25では85.0at%、実施例26では92.6at%)であり、Sの原子濃度はいずれも0.6at%以上(実施例10では1.3at%、実施例15では0.8at%、実施例21では2.5at%、実施例25では1.8at%、実施例26では1.0at%)であり、Agの原子濃度に対するCの原子濃度の割合はいずれも3%以上(実施例10では9.7%、実施例15では6.3%、実施例21では14.1%、施例25では13.9%、実施例26では6.4%)であった。なお、いずれもSeは検出されなかった(Seの原子濃度は0.014at%(0.01質量%)より低かった)。
一方、下地の銀めっき皮膜12の厚さ方向中央部では、Agの原子濃度はいずれも95at%より高く(実施例10では98.5at%、実施例15では97.3at%、実施例21では98.5at%、実施例25では97.1at%、実施例26では98.4at%)、Sの原子濃度はいずれも0.6at%より低く(実施例10では0.5at%、実施例15では0.3at%、実施例21では0.2at%、実施例25では0.2at%、実施例26では0.2at%)、Agの原子濃度に対するCの原子濃度の割合はいずれも3%より低かった(実施例10では0.4%、実施例15では1.3%、実施例21では0.6%、実施例25では1.2%、実施例26では0.8%)。なお、いずれもSeは検出されなかった(Seの原子濃度は0.014at%(0.01質量%)より低かった)。
また、比較例1および2で得られた銀めっき材について、X線光電子分光法(XPS)による測定を行って、(最表面から深さ方向に沿って組成分析した結果を示す)深さ方向プロファイルを得たところ、銀からなる表層14の厚さ方向中央部では、Agの原子濃度は、比較例1では90.2at%、比較例2では99.6at%であり、Sの原子濃度は、比較例1では1.2at%、比較例2では0.0at%であり、Agの原子濃度に対するCの原子濃度の割合は、比較例1では8.8%、比較例2では0.3%であった。
なお、X線光電子分光法(XPS)による測定では、X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ株式会社製のPHI5000 VersaProbeIII)により、指定元素としてC、O、S、Ag、K、Ni、Nの濃度を分析して、銀めっき材の構造を調べた。また、X線光電子分光法(XPS)による測定は、X線の照射条件として、到達真空度を10-7Pa、励起源を単色化AlKα、出力を25W、加速電圧を15kV、ビームサイズを100μmΦ、入射角を90degとし、電子中和銃によりエミッション電流20μA、バイアス電圧1.0V、加速電圧30.0Vで電子線を照射するとともにアルゴン銃によりイオン種をArとして加速電圧0.11kV、エミッション電流7mAでアルゴンイオンを照射しながら、光電子取り出し角を45deg、積算回数を5回、積分時間を40ms(20ms×2)、パスエネルギーを140eV、測定エネルギー間隔を0.25eV/stepとして行った。
また、深さ方向プロファイルは、アルゴンイオン銃によりイオン種をAr、加速電圧を4kV、エミッション電流を20mA、掃引領域を2.7mm×2.7mmとしてイオンスパッタリングを行って、(深さ方向の分析のための)表面エッチングを行い、この表面エッチングとX線光電子分光法(XPS)による測定を交互に繰り返すことによって得た。
なお、深さ方向プロファイルでは、Agの3d軌道の結合エネルギー(Ag3d)のピークが362.0~382.0eV、Cの1s軌道の結合エネルギー(C1s)のピークが278.0~308.0eV、Sの2p軌道の結合エネルギー(S2p)のピークが156~170eVにあり、これらのピークからAgとCとSの原子濃度を求めた。
また、実施例25および実施例26で得られた銀めっき材のSの結合状態を調べるために、Cについて積算回数を10回、積分時間を80ms(20ms×4)、パスエネルギーを69eV、測定エネルギー間隔を0.1250eV/stepとし、Sについて測定範囲を155.0~175.0eV、積算回数を15回、積分時間を80ms(20ms×4)、パスエネルギーを69eV、測定エネルギー間隔を0.1250eV/stepとした以外は、上記と同様のX線光電子分光法(XPS)による測定を行った。
その結果、実施例25および実施例26で得られた銀めっき材では、Sの2p軌道の結合エネルギー(S2p)のピークが160.4~161.4eVと161.6~162.9eVと163.2~164.5eVの3つの範囲で認められた。なお、SMBTを含む銀めっき層について、X線光電子分光法(XPS)による測定を行うと、Sの2p軌道の結合エネルギー(S2p)のピークが上記の3つの範囲で認められるので、実施例25および26で得られた銀めっき材について、X線光電子分光法(XPS)による測定における161.6~162.9eVの範囲にあるピークは、SMBTのメルカプト基のS原子由来のピークであると考えられ、163.2~164.5eVの範囲にあるピークは、SMBTの五員環のS元素由来のピークであると考えられ、160.4~161.4eVの範囲にあるピークは、上記以外のS原子由来のピークであると考えられる。
また、炭素と硫黄を含む銀からなる表層14の厚さ方向中央部において、実施例25で得られた銀めっき材では、SMBTのメルカプト基のS原子由来のSの原子濃度は0.4at%、SMBTの五員環のS原子由来のSの原子濃度は0.6at%、SMBTのメルカプト基のS原子由来のSとSMBTの五員環のS原子由来のSの原子濃度の合計は1.0at%、それ以外のSの原子濃度は0.8at%であり、実施例26で得られた銀めっき材では、SMBTのメルカプト基のS原子由来のSの原子濃度は0.3at%、SMBTの五員環のS原子由来のSの原子濃度は0.2at%、SMBTのメルカプト基のS原子由来のSとSMBTの五員環のS原子由来のSの原子濃度の合計は0.5at%、それ以外のSの原子濃度は0.5at%であり、実施例25および実施例26で得られた銀めっき材の炭素と硫黄を含む銀からなる表層14では、SMBTのメルカプト基のS原子由来のSとSMBTの五員環のS原子由来のSの原子濃度の合計は0.3at%以上であり、炭素と硫黄を含む銀からなる表層14にSMBT由来のSが存在することが確認された。
一方、下地の銀めっき皮膜12の厚さ方向中央部において、実施例25で得られた銀めっき材では、SMBTのメルカプト基のS原子由来のSの原子濃度は0.0at%、SMBTの五員環のS原子由来のSの原子濃度は0.1at%、SMBTのメルカプト基のS原子由来のSとSMBTの五員環のS原子由来のSの原子濃度の合計は0.1at%、それ以外のSの原子濃度は0.1at%であり、実施例26で得られた銀めっき材では、SMBTのメルカプト基のS原子由来のSの原子濃度は0.0at%、SMBTの五員環のS原子由来のSの原子濃度は0.1at%、SMBTのメルカプト基のS原子由来のSとSMBTの五員環のS原子由来のSの原子濃度の合計は0.1at%、それ以外のSの原子濃度は0.1at%であり、実施例25および実施例26で得られた銀めっき材の下地の銀めっき皮膜12では、SMBTのメルカプト基のS原子由来のSとSMBTの五員環のS原子由来のSの原子濃度の合計は0.3at%未満であり、分析限界に近い誤差レベルの値であった。
また、実施例3、29および30で得られた銀めっき材について、曲げ半径R=3mmとして90°に折り曲げた状態で、銀めっき皮膜の割れを光学顕微鏡によって観察したところ、実施例3の銀めっき材では、実用上は問題がない程度の小さいひびが観察され、実施例29および実施例30の銀めっき材では、ひびがさらに少なくなっていた。これらの実施例から、銀めっき材に厳しい曲げ加工を行う場合には、下地のニッケル皮膜の厚さが0.05~1.5μm程度であるのが好ましいことがわかる。
10 下地めっき皮膜
12 下地の銀めっき皮膜
14 銀からなる表層(銀めっき皮膜)

Claims (15)

  1. 素材上に下地めっき皮膜を介して下地の銀めっき皮膜を形成した後、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムと、ベンゾチアゾール類またはその誘導体とを含む水溶液からなる銀めっき液中において電気めっきを行うことによって、下地の銀めっき皮膜上に炭素と硫黄を含む銀からなる表層を形成することを特徴とする、銀めっき材の製造方法。
  2. 前記下地の銀めっき皮膜の厚さが0.06~15μmであることを特徴とする、請求項1に記載の銀めっき材の製造方法。
  3. 前記ベンゾチアゾール類がメルカプトベンゾチアゾールであることを特徴とする、請求項1に記載の銀めっき材の製造方法。
  4. 前記ベンゾチアゾール類の誘導体が前記ベンゾチアゾール類のアルカリ金属塩あることを特徴とする、請求項1に記載の銀めっき材の製造方法。
  5. 前記アルカリ金属塩がナトリウム塩であることを特徴とする、請求項4に記載の銀めっき材の製造方法。
  6. 前記下地めっき皮膜が銅、ニッケルまたはこれらの合金からなることを特徴とする、請求項1に記載の銀めっき材の製造方法。
  7. 前記素材が銅または銅合金からなることを特徴とする、請求項1に記載の銀めっき材の製造方法。
  8. 素材上に下地めっき皮膜を介して下地の銀めっき皮膜が形成され、この下地の銀めっき皮膜上に、炭素と硫黄を含む銀からなる表層が形成され、下地の銀めっき皮膜中のAgの原子濃度が95at%より高く、Sの原子濃度が0.6at%より低く且つAgの原子濃度に対するCの原子濃度の割合が3%より低く、炭素と硫黄を含む銀からなる表層中のAgの原子濃度が95at%以下、Sの原子濃度が0.6at%以上であり且つAgの原子濃度に対するCの原子濃度の割合が3%以上であることを特徴とする、銀めっき材。
  9. 前記下地の銀めっき皮膜の厚さが0.06~15μmであることを特徴とする、請求項8に記載の銀めっき材。
  10. 前記銀めっき材中の銀の平均結晶子径が100nm以下であることを特徴とする、請求項8に記載の銀めっき材。
  11. 前記銀めっき材の表面のビッカース硬さHVが70~160であることを特徴とする、請求項8に記載の銀めっき材。
  12. 前記下地めっき皮膜が銅、ニッケルまたはこれらの合金からなることを特徴とする、請求項8に記載の銀めっき材。
  13. 前記素材が銅または銅合金からなることを特徴とする、請求項8に記載の銀めっき材。
  14. 前記炭素と硫黄を含む銀からなる表層中のナトリウムメルカプトベンゾチアゾールのメルカプト基と五員環のS元素に由来するSの原子濃度の合計が0.3at%以上であり、前記下地の銀めっき皮膜中のナトリウムメルカプトベンゾチアゾールのメルカプト基と五員環のS元素に由来するSの原子濃度の合計が0.3at%未満であることを特徴とする、請求項8に記載の銀めっき材。
  15. 前記炭素と硫黄を含む銀からなる表層について、X線光電子分光法により測定したときに、161.6~162.9eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度と163.2~164.5eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度の合計が0.3at%以上であり、前記下地の銀めっき皮膜について、X線光電子分光法により測定したときに、161.6~162.9eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度と163.2~164.5eVの範囲にピークがあるスペクトルから求められるSの原子濃度の合計が0.3at%未満であることを特徴とする、請求項8に記載の銀めっき材。
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