JP2014025093A - コネクタ用めっき端子 - Google Patents

コネクタ用めっき端子 Download PDF

Info

Publication number
JP2014025093A
JP2014025093A JP2012164566A JP2012164566A JP2014025093A JP 2014025093 A JP2014025093 A JP 2014025093A JP 2012164566 A JP2012164566 A JP 2012164566A JP 2012164566 A JP2012164566 A JP 2012164566A JP 2014025093 A JP2014025093 A JP 2014025093A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plating layer
terminal
indium
silver
connector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012164566A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5803833B2 (ja
Inventor
Takahiro Sunaga
隆弘 須永
Yoshifumi Saka
喜文 坂
Yasushi Saito
寧 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Wiring Systems Ltd
AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Wiring Systems Ltd
AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Wiring Systems Ltd, AutoNetworks Technologies Ltd, Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Wiring Systems Ltd
Priority to JP2012164566A priority Critical patent/JP5803833B2/ja
Publication of JP2014025093A publication Critical patent/JP2014025093A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5803833B2 publication Critical patent/JP5803833B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Abstract

【課題】大電流を印加することができるコネクタ用めっき端子であって、小さな摩擦係数を有することによって、高い耐摩耗性と低い挿入力を有し、かつ加熱環境下で使用した際の摩擦係数の上昇及び接触抵抗の上昇が抑制されたコネクタ用めっき端子を提供すること。
【解決手段】他の導電部材と電気的に接触する接点部を含む領域の母材表面がビッカース硬さ150以上の硬質銀めっき層により覆われ、前記硬質銀めっき層の表面がインジウムめっき層により覆われ、前記インジウムめっき層が最表面に露出したコネクタ用めっき端子とする。インジウムめっき層の厚さが0.5μm以上1.0μm以下であると特に好適である。
【選択図】図1

Description

本発明は、コネクタ用めっき端子に関し、さらに詳しくは銀めっき層を備えたコネクタ用めっき端子に関するものである。
近年、ハイブリッドカーや、電気自動車等で高出力モータが使用されるようになっている。モータ近傍は高温になりやすいうえ、通電量が大きい高出力モータ用の端子等では、コネクタ端子に大電流が流れるので、端子部での発熱量が大きくなる。
従来、自動車の電気部品等を接続するコネクタ端子としては、一般に、銅又は銅合金などの母材表面にスズめっきなどのめっきが施されたものが用いられていた。しかし、従来のスズめっき端子は、このような大電流で使用される場合には、耐熱性が不十分である。そこで、大電流の印加に使用されるコネクタ端子として、スズめっき端子の代わりに銀めっき端子が用いられることがある。銀は電気抵抗値が低く、通電時の温度上昇が低く抑えられるとともに、高い融点を有し、高温になる環境においても好適に使用することができる。また、銀めっきは、耐腐食性も非常に高い。
しかし、銀は比較的軟らかい金属であるため、通常の銀めっき層の表面は大きな摩擦係数を示す。電流容量に合わせて端子が大きくなると、端子挿入力が大きくなり、挿入時の端子表面へのダメージも大きくなる。よって、一般的な銀めっき端子においては、表面の摩擦係数の大きさに起因して、耐摩耗性が低く、また挿入に大きな力を要する。
銀めっき端子の表面の耐摩耗性を向上させるため、例えば、特許文献1では、最表面の銀微結晶の結晶粒径を大きくし、さらにある程度の厚さを有する平滑な銀めっき層を下層として存在させることを開示している。ここで、最表面に形成される結晶粒の大きな銀めっき層は、いわゆる軟質銀めっき層であり、下層として用いられる平滑な銀めっき層は、結晶粒径の小さいいわゆる硬質銀めっき層であると考えられる。
特開2008−88493号公報
上記特許文献1のめっき層構成においては、軟らかい層の下に硬い層が形成されていることで、表面の摩擦係数が低減されるものと考えられる。しかし、銀を加熱すると、再結晶による結晶粒の成長が容易に起こる。よって、大電流印加時のような加熱環境下で、特許文献1のようなめっき層構成を有する銀めっき端子を使用すると、下層の硬質銀めっき層までが軟化してしまう。すると、当初からめっき層全体が軟質銀めっき層で形成されている場合と同様に、摩擦係数の上昇による挿入力の上昇及び耐摩耗性の低下という問題が発生し、耐摩耗性の向上のために銀めっき層を2層構成とした効果が失われてしまう。
また、硬質銀めっき層においては、結晶粒を小さくするために、アンチモン等の元素が添加されることが多い。加熱環境で硬質銀めっき層を有するコネクタ端子が使用された場合に、アンチモン原子が銀めっき層表面に偏析し、酸化されることで表面の接触抵抗を上昇させる可能性がある。
つまり、特許文献1のようなめっき層構成を有する銀めっき端子においては、加熱環境下で使用することで摩擦係数の上昇及び接触抵抗の上昇が引き起こされるという意味において、大電流用端子として十分に高い耐熱性が達成されない。
本発明が解決しようとする課題は、大電流を印加することができるコネクタ用めっき端子であって、小さな摩擦係数を有することによって、高い耐摩耗性と低い挿入力を有し、かつ加熱環境下で使用した際の摩擦係数の上昇及び接触抵抗の上昇が抑制されたコネクタ用めっき端子を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかるコネクタ用めっき端子は、他の導電部材と電気的に接触する接点部を含む領域の母材表面がビッカース硬さ150以上の硬質銀めっき層により覆われ、前記硬質銀めっき層の表面がインジウムめっき層により覆われ、前記インジウムめっき層が最表面に露出していることを要旨とする。
ここで、前記インジウムめっき層の厚さが0.5μm以上1.0μm以下であることが好適である。
また、前記母材は銅又は銅合金よりなるとよい。
さらに、前記コネクタ用めっき端子は、前記母材表面と前記硬質銀めっき層の間にニッケルめっき層を有するとよい。
上記発明にかかるコネクタ用めっき端子によると、硬い銀めっき層の表面が、軟らかく、潤滑作用を有するインジウムめっき層によって覆われているため、めっき端子の最表面における摩擦係数が低くなる。これにより、コネクタ用めっき端子は、耐摩耗性に優れ、低い挿入力を有する。
また、このめっき端子においては、高温で放置された際にも、摩擦係数の上昇が低く抑えられるので、加熱環境下での使用履歴を経ても、高い耐摩耗性と低挿入力が維持される。さらに、インジウムめっき層の存在により、高温で放置された場合にも、硬質銀めっき層に含まれるアンチモン等の添加元素が最表面で酸化されて表面の接触抵抗を上昇させることも抑制される。これらの効果により、本発明にかかるコネクタ用めっき端子は高い耐熱性を備える。
ここで、インジウムめっき層の厚さが0.5μm以上1.0μm以下であると、硬質銀めっき層とインジウムめっき層を積層したことでもたらされる、摩擦係数の低減によるコネクタ用めっき端子の耐摩耗性の向上と挿入力の低減の効果、そして耐熱性向上の効果が、一層よく発揮される。
また、母材が銅又は銅合金よりなる場合に、もし母材表面に銀めっき層のみが形成されていれば、加熱環境に晒された際に、母材中の銅原子が銀めっき層中を容易に拡散し、表面に達した銅原子が酸化されることで、表面の接触抵抗が上昇してしまう。これに対し、銀めっき層の表面にインジウムめっき層が形成されていれば、このような最表面における銅酸化物の形成が阻止され、コネクタ用めっき端子が加熱環境下で使用されても、接触抵抗が上昇することが抑制される。
さらに、母材表面と硬質銀めっき層の間にニッケルめっき層を有する場合には、母材由来の金属原子が硬質銀めっき層及びインジウムめっき層へ拡散することが強固に防止され、母材由来の金属原子が接触抵抗の上昇などを引き起こすことが防止される。
本発明にかかるコネクタ用めっき端子の表面構成を示す図である。 本発明にかかるコネクタ用めっき端子の構造の一例を示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明にかかるコネクタ用めっき端子(以下、単にめっき端子又は端子ということがある)は、少なくとも相手方コネクタ端子等の他の導電部材と電気的に接触する接点部において、図1に示したような表面構成を有する。つまり、母材1の表面を被覆して形成されたビッカース硬さが150以上の硬質銀めっき層2と、その表面を被覆して形成され、最表面に露出されたインジウムめっき層3とからなるめっき層構造4を有する。
母材1は、コネクタ用めっき端子の基材として用いられるものであり、例えば銅又は銅合金から形成されている。また、母材1の表面には、ニッケル等よりなる下地めっき層が形成されていてもよい。その場合、母材1から上層への金属原子の拡散、とりわけ母材1が銅又は銅合金よりなる場合の銅原子の拡散が、強固に防止される。
母材1の上に硬質銀めっき層2を形成することで、コネクタ用めっき端子の電気抵抗値が低く抑えられ、大電流を印加することが可能となる。銀は小さな電気抵抗率を有するからである。
一般に、ビッカース硬さが100あるいは150以上の銀めっき層が硬質銀めっき層と称され、ビッカース硬さが100あるいは150未満の銀めっき層が軟質銀めっき層と称される。また、銀微結晶の結晶粒径と、硬さの間には強い相関があり、概ね粒径0.2μm以下の場合が硬質銀、それ以上の場合が軟質銀となる。硬質銀と軟質銀は、電気めっきの際の電流密度等、製膜条件を制御することによっても作り分けることができるが、アンチモン、セレン等の元素をめっき液に添加することで、結晶粒径の小さい硬質銀めっき層を効率的に得ることができる。これらの添加元素が、めっき工程における銀微結晶の結晶成長を抑制するからである。
硬いめっき層の上に軟らかいめっき層が形成された場合に、最表面の摩擦係数が低減される傾向があり、銀めっき層2が硬質銀より構成されていることで、その上に軟らかいインジウムめっき層3が形成された状態において、インジウムめっき層3の表面での摩擦係数が効果的に低減される。
硬質銀めっき層2の膜厚は特に限定されるものではないが、薄すぎると、上記のような効果が十分に発揮されず、厚すぎると、材料コストの上昇を招く。1〜10μmの範囲内とすることが好適である。
銀めっき層2の表面は、インジウムめっき層3によって覆われる。インジウムは非常に軟らかく、かつ小さなせん断応力を有する金属であり、固体潤滑剤として作用する。よって、硬質銀めっき層2の上にインジウムめっき層3を形成することで、最表面に硬質銀めっき層2が露出している場合に比べ、めっき端子表面の摩擦係数が低減される。固体潤滑剤として使用される金属としては、スズが最も一般的であるが、インジウムはスズよりもさらに小さなせん断応力を有し、より優れた潤滑作用を示す。このようなインジウムめっき層3が、高い硬度を有する硬質銀めっき層2の上に形成されていることで、インジウムめっき層3の表面において、低い摩擦係数が達成される。これによって、高い耐摩耗性が得られるとともに、コネクタ用めっき端子の挿入力が小さくなる。
インジウムめっき層3の厚さとしては、0.5μm以上かつ1.0μm以下とすることが好適である。インジウムめっき層3の厚さが0.5μm未満であると、上記のようなインジウムめっき層3の存在による摩擦係数の低減の効果が得られにくい。一方、インジウムめっき層3の厚さが1.0μmよりも大きいと、最表面においてインジウムの接点特性が強く現れるようになる。例えば、インジウムめっき層3の表面における摩擦係数の低減という、下層に硬質銀めっき層2が存在することによる効果が発揮され難くなり、摩擦係数が上昇してしまう。
自動車用大電流端子として、表面の動摩擦係数がおおむね0.5以下であることが望ましい。インジウムめっき層3の厚さが上記範囲にある場合には、0.5以下の動摩擦係数が達成される。
インジウムめっき層3の存在による効果と、その下の銀めっき層2の存在による効果がバランス良く享受されることにより、効果的に最表面での摩擦係数が低減され、また後述する耐熱性向上の効果が十分に発揮されるという点において、インジウムめっき層3の厚さが0.5μm程度である場合が最も好適である。
硬質銀めっき層2の表面がインジウムめっき層3によって覆われていることの効果は、更に、めっき端子が加熱環境下で使用された場合にも発揮される。自動車用の大電流端子は、モータ周辺など高温になる箇所で使用されることも多く、また大電流の印加によって端子の温度上昇が大きくなることも多い。
加熱環境に晒された場合、母材表面上に硬質銀めっき層しか形成されていないと、再結晶に伴う結晶粒の成長によって、銀めっき層の軟化が起こる。すると、表面の摩擦係数の上昇が引き起こされる。また、硬質銀めっき層中に添加されていたアンチモン等が、銀めっき層の最表面に偏析し、酸化されることで、表面の接触抵抗が上昇される。さらに、特に母材が銅又は銅合金よりなる場合に顕著であるが、母材中の金属原子(母材が銅又は銅合金よりなる場合は銅原子)が、加熱によって銀めっき層中を拡散し、最表面に達して酸化されることによっても、銀めっき層表面の接触抵抗値が上昇してしまう。
一方、本発明にかかるコネクタ用めっき端子においては、インジウムめっき層3が存在することにより、加熱環境に晒された際に、表面の摩擦係数の上昇や、接触抵抗上昇が、インジウムめっき層3がない場合に比較して、小さな値に抑えられる。
自動車用大電流端子の耐熱性の指標として、150℃で120時間放置した後でも、動摩擦係数がおおむね0.5以下に抑えられていることが望ましく、また荷重10Nで計測した接触抵抗の上昇値が5mΩ以下に抑制されていることが望ましい。厚さが0.5μm以上1.0μm以下のインジウムめっき層を有する本発明にかかるコネクタ用めっき端子によれば、これらの目標値を達成することができる。つまり、十分に高い耐熱性を達成することができる。
インジウムめっき層の存在によって、加熱環境下での摩擦係数の上昇及び接触抵抗の上昇が抑制される機構は明らかではないが、可能性のある機構として、インジウム自体が加熱環境においても表面の摩擦係数を上昇させるような状態変化を起こさず、また、アンチモン等の硬質銀めっき層由来の添加元素及び銅等の母材由来の金属元素の拡散及び/又は最表面への偏析を阻止する効果を有するということが考えられる。あるいは別の機構として、加熱環境において、インジウム及び銀の少なくとも一部が合金を形成し、この合金の物性として、摩擦係数を低減させる効果、及び硬質銀めっき由来の添加元素及び母材由来の金属元素の拡散及び/又は最表面への偏析を阻止する特性を有するということが考えられる。
本発明にかかるコネクタ用めっき端子は、少なくとも他の導電部材と電気的に接触する接点部に上記のめっき層構造4を有していれば、いかなる形状を有していてもよい。一例として図2のような公知のメス型コネクタ端子と同様の形状を有するメス型コネクタ用めっき端子20とすることができる。メス型コネクタ用めっき端子20の挟圧部23は、前方が開口した四角筒状に形成され、挟圧部23内に相手方接続部材であるオス型端子29が挿入される。挟圧部23の底面の内側には、内側後方へ折り返された形状の弾性接触片21が形成されている。弾性接触片21はオス型端子29と突出したエンボス部21aにおいて接触し、オス型端子29に上向きの力を加える。弾性接触片12と相対する挟圧部23の天井部の表面が内部対向接触面22とされ、オス型端子29が弾性接触片21によって内部対向接触面22に押し付けられることにより、オス型端子29が挟圧部23内において挟圧保持される。
メス型コネクタ用めっき端子20は、銅又は銅合金を母材1として形成されている。このうち、弾性接触片21と内部対向接触面22の挟圧部23の内側に露出される表面に、硬質銀めっき層2とインジウムめっき層3よりなるめっき層構造4が形成されている。めっき層構造4の存在により、弾性接触片21及び内部対向接触面22と、オス型端子29との接点部において、低い摩擦係数と高い耐熱性が実現されている。ここで、めっき層構造4は、弾性接触片21の表面全体に形成されていなくても、弾性接触片21のうち、エンボス部21aにのみ形成されていれば、十分である。逆に、さらに広い領域にわたってめっき層構造4が形成されていてもよく、メス型コネクタ用めっき端子20を構成する母材1の表面全体を被覆していてもよい。また、オス型端子29の表面にも、めっき層構造4が形成されていれば、両端子の接点部において、さらに良好な電気的接続が形成される。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
[実施例]
清浄な銅基板の表面に、電気めっき法によって、硬質銀めっき層を形成した。膜厚はめっき時間によって制御し、8μmとした。さらにその表面に、電気めっき法によって、インジウムめっき層を形成した。膜厚はめっき時間によって制御し、0.5μm、1.0μmの2通りのものをそれぞれ形成した。
硬質銀めっき層については、アトテック社製アルガルックス64を用いて形成した。めっき浴の組成は、シアン化銀40g/L、シアン化ナトリウム120g/L、炭酸ナトリウム15g/L、光沢剤4ml/L、硬化剤15ml/Lであった。めっき条件としては、電流密度2ASD、浴温25度とし、6分程度めっきすると約8μmの銀めっき層が形成された(めっき速度は約1.3μm/分)。
インジウムめっきについては、アトテック社製インディプレートを用いて行った。液温25℃、電流密度1ASDで100秒間程度めっきすると、厚さ0.5μmのインジウムめっき層が得られ、200秒間程度めっきすると、厚さ1.0μmのインジウムめっき層が得られた。
このようにして作成しためっき部材における銀めっき層の硬度の目安として、集束イオンビーム−走査イオン顕微鏡(FIB−SIM)を用いて銀めっき層を構成する銀微結晶の粒径を確認した。インジウムめっき層を形成する直前のめっき部材の断面についてFIB−SIM像を取得した後、銀めっき層中のある長さの直線が横切る微結晶を計数した。その長さを微粒子の個数で割ることで、銀微結晶の平均粒径を算出したところ、銀微結晶の平均粒径として0.16μmとの値が求められた。この粒径は、硬質銀の粒径として典型的なものであり、実施例のめっき部材において、銀めっき層は硬質銀めっき層よりなることが確認された。
[比較例]
上記実施例において、硬質銀めっき層の表面にインジウムめっき層を形成せずに、銅基板の上に硬質銀めっき層を形成した状態のものを、比較例にかかるめっき部材とした。
[試験方法]
(摩擦係数の評価)
端子の挿入力の指標として、各実施例及び比較例にかかるめっき部材について、動摩擦係数を評価した。つまり、平板状にしためっき部材と半径3mmのエンボス状にしためっき部材を鉛直方向に接触させて保持し、ピエゾアクチュエータを用いて鉛直方向に5Nの荷重を印加しながら、10mm/min.の速度でエンボス状のめっき部材を水平方向に引張り、ロードセルを使用して接点部に働く摩擦力を測定した。摩擦力を荷重で割った値を摩擦係数とした。
この摩擦係数の評価を、作成直後のめっき部材に対して行った。次いで、めっき部材を大気中150℃で120時間放置し(以下、この条件を「高温放置」と称する場合がある)、放置後の試料に対しても室温に放冷後、同様に摩擦係数の評価を行った。
(荷重−抵抗特性の評価)
端子接点部における接触抵抗と、加熱環境下での使用に伴う接触抵抗値の上昇の程度を見積もるため、荷重−抵抗特性の評価を行った。各実施例及び比較例にかかるめっき部材について、接触抵抗を四端子法によって測定した。この際、電極は、一方を平板とし、一方を半径3mmのエンボス形状とした。また、測定においては、開放電圧を20mV、通電電流を10mAとし、荷重印加速度0.1mm/min.でエンボス部材を平板状部材に押し付け、又は離すことで、0〜40Nの荷重を増加させる方向と減少させる方向に順次印加した。この荷重−抵抗特性の評価を、作成直後のめっき部材に対して行った。次いで、高温放置後の試料に対しても室温に放冷後、同様に荷重−抵抗特性の評価を行った。
さらに、荷重10N(荷重増加方向)における接触抵抗値に着目し、初期状態(高温放置前)から高温放置後に上昇した値を、抵抗上昇値とした。ここで、一般的な大電流用端子において、接点部に加えられる荷重の近似値として、10Nとの荷重が評価基準として選定されている。
[試験結果及び考察]
(摩擦係数の評価)
表1に、各実施例と比較例のめっき部材について、高温放置の前後で摩擦係数を測定した結果を示す。
Figure 2014025093
まず、初期(高温放置前)の摩擦係数を比較すると、インジウムめっき層が存在する場合に、インジウムめっき層が存在しない場合に比べ、摩擦係数の値が小さくなっている。
高温放置を経ると、インジウムめっき層が形成されている場合にも、されていない場合にも摩擦係数は初期の値よりも上昇している。しかしながら、インジウムめっき層が存在する場合には、その上昇量は小さく、摩擦係数が比較的低い状態が維持されている。特に、インジウムめっき層の厚さが0.5μmの場合には、高温放置後の摩擦係数はインジウム層が存在しない場合の半分の値にまで小さなものとなっている。
インジウムめっき層の厚さを0.5μmから1.0μmに厚くしても、初期状態における摩擦係数はさらに低減されることはなく、高温放置後においては、むしろ増加している。つまり、インジウムめっき層の厚さを厚くすればするほど摩擦係数の低減の効果が得られるという訳ではなく、厚く形成しすぎると、その効果は飽和又は減少してしまう。これは、インジウムめっき層をある程度よりも厚く形成することで、相対的に硬質銀めっき層の存在による摩擦係数低減の効果が小さくなるためであると考えられる。
(荷重−抵抗特性の評価)
表2に、各実施例と比較例のめっき部材について、荷重10Nで計測した高温放置前後の接触抵抗値とその上昇値を示す。
Figure 2014025093
まず、初期(高温放置前)の荷重−抵抗特性を比較すると、インジウムめっき層が形成されている場合と、形成されていない場合とで、またインジウムめっき層の厚さによって、値に差がない。
高温放置後には、インジウムめっき層が存在する場合も、存在しない場合も、それぞれの初期値に比べて接触抵抗値が上昇している。しかしながら、インジウムめっき層が存在する場合には、インジウムめっき層が存在しない場合と比較して、高温放置後の接触抵抗値が非常に小さくなっている。
その結果、インジウムめっき層が存在することによって、高温放置による抵抗上昇値が1桁以上低く抑えられている。インジウムめっき層の厚さが1.0μmの場合の方が、0.5μmの場合よりも高温放置による抵抗上昇値がさらに小さくなっている。
(まとめ)
実施例のうち厚さ0.5μmのインジウムめっき層が硬質銀めっき層の上に形成された場合と、比較例にかかるインジウムめっき層が形成されない硬質銀めっき層のみの場合とについて、高温放置前後の摩擦係数及び高温放置による接触抵抗上昇の測定値を、自動車用大電流端子としての目標値とともに表3にまとめる。
Figure 2014025093
このように、硬質銀めっき層の上にインジウムめっき層が形成されていることで、高温放置の前後を通じて、摩擦係数が低減されている。高温放置前後を通じて、0.5以下との大電流端子の目標値を達成している。これにより、初期又は高温放置後いずれの状態においても、低い端子挿入力と高い耐摩耗性が達成される。
また、高温放置による抵抗上昇についても、硬質銀めっき層の上にインジウムめっき層が形成されていることで、上昇が抑制され、5mΩ以下との目標値が達成されている。高温放置による摩擦係数上昇の抑制と併せて、インジウムめっき層の存在により、高い耐熱性が付与されている。
1 母材
2 硬質銀めっき層
3 インジウムめっき層
4 めっき層構造

Claims (4)

  1. 他の導電部材と電気的に接触する接点部を含む領域の母材表面がビッカース硬さ150以上の硬質銀めっき層により覆われ、前記硬質銀めっき層の表面がインジウムめっき層により覆われ、前記インジウムめっき層が最表面に露出していることを特徴とするコネクタ用めっき端子。
  2. 前記インジウムめっき層の厚さが0.5μm以上1.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ用めっき端子。
  3. 前記母材は銅又は銅合金よりなることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ用めっき端子。
  4. 前記母材表面と前記硬質銀めっき層の間にニッケルめっき層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ用めっき端子。
JP2012164566A 2012-07-25 2012-07-25 コネクタ用めっき端子 Expired - Fee Related JP5803833B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012164566A JP5803833B2 (ja) 2012-07-25 2012-07-25 コネクタ用めっき端子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012164566A JP5803833B2 (ja) 2012-07-25 2012-07-25 コネクタ用めっき端子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014025093A true JP2014025093A (ja) 2014-02-06
JP5803833B2 JP5803833B2 (ja) 2015-11-04

Family

ID=50199007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012164566A Expired - Fee Related JP5803833B2 (ja) 2012-07-25 2012-07-25 コネクタ用めっき端子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5803833B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015198045A (ja) * 2014-04-02 2015-11-09 株式会社オートネットワーク技術研究所 端子金具及びその製造方法
JP2016015224A (ja) * 2014-07-01 2016-01-28 日本航空電子工業株式会社 コネクタ
WO2020195058A1 (ja) * 2019-03-26 2020-10-01 株式会社オートネットワーク技術研究所 金属材および接続端子
JP6916971B1 (ja) * 2020-09-15 2021-08-11 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法
WO2021171818A1 (ja) * 2020-02-25 2021-09-02 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015198045A (ja) * 2014-04-02 2015-11-09 株式会社オートネットワーク技術研究所 端子金具及びその製造方法
JP2016015224A (ja) * 2014-07-01 2016-01-28 日本航空電子工業株式会社 コネクタ
WO2020195058A1 (ja) * 2019-03-26 2020-10-01 株式会社オートネットワーク技術研究所 金属材および接続端子
JP2020158822A (ja) * 2019-03-26 2020-10-01 株式会社オートネットワーク技術研究所 金属材および接続端子
JP7135963B2 (ja) 2019-03-26 2022-09-13 株式会社オートネットワーク技術研究所 金属材および接続端子対
WO2021171818A1 (ja) * 2020-02-25 2021-09-02 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法
WO2022059237A1 (ja) * 2020-09-15 2022-03-24 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法
JP2022048959A (ja) * 2020-09-15 2022-03-28 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法
JP2022048977A (ja) * 2020-09-15 2022-03-28 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法
JP7130821B2 (ja) 2020-09-15 2022-09-05 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法
JP6916971B1 (ja) * 2020-09-15 2021-08-11 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法
JP2022159396A (ja) * 2020-09-15 2022-10-17 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法
JP7370431B2 (ja) 2020-09-15 2023-10-27 Dowaメタルテック株式会社 銀めっき材およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5803833B2 (ja) 2015-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5696811B2 (ja) コネクタ用めっき端子および端子対
JP5387742B2 (ja) めっき部材、コネクタ用めっき端子、めっき部材の製造方法、及びコネクタ用めっき端子の製造方法
US9692162B2 (en) Electric contact and connector terminal pair
JP5803833B2 (ja) コネクタ用めっき端子
WO2014034460A1 (ja) コネクタ用めっき端子および端子対
CN108886212B (zh) 电触点及连接器端子对
JP5949291B2 (ja) コネクタ端子及びコネクタ端子用材料
JP2010248616A (ja) 耐熱性に優れるSnめっき付き銅又は銅合金及びその製造方法
JP2013221208A (ja) コネクタ用めっき端子
WO2016111187A1 (ja) 電気接点対およびコネクタ用端子対
JP5464297B2 (ja) めっき部材の製造方法及びコネクタ用めっき端子の製造方法
US10033124B2 (en) Electrical contact pair and connector terminal pair
CN113597480B (zh) 金属材料及连接端子
JP2015137417A (ja) コネクタ端子およびコネクタ端子材料
JP4753502B2 (ja) 錫−銅金属間化合物分散錫めっき端子
US10804632B2 (en) Connection terminal and method for producing connection terminal
US10804633B2 (en) Electrical contact point, connector terminal pair and connector pair
JP7151499B2 (ja) 金属材および接続端子
JP7111000B2 (ja) 金属材および接続端子
WO2022181445A1 (ja) 金属材、接続端子、および金属材の製造方法
JP6079508B2 (ja) めっき部材、コネクタ用めっき端子、めっき部材の製造方法、およびコネクタ用めっき端子の製造方法
JP2023513011A (ja) 充電端子の銀合金クラッド構造およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141031

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150630

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150804

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150817

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5803833

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees