JP2021130573A - 単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】坩堝変形があったとしても、直径自動制御が精度よく有効に働き、酸化物単結晶を生産性良く育成する酸化物単結晶の育成方法を提供することを目的とする。【解決手段】坩堝内に投入された原料を加熱溶融した後に、原料融液表面に種結晶を接触させて、回転させながら引上げることで単結晶を育成するCz法による単結晶の製造方法であって、引上軸の上部に配置されたロードセルにより結晶重量を測定し、制御周期当たりの重量増加量から結晶直径を算出する工程と、目標直径との差分から出力を変化させて育成する結晶直径を制御する直径自動制御において、事前に測定した坩堝内径からの坩堝変形量を算出し、前記坩堝変形量に応じて目標直径補正量および引上速度の補正係数を算出する工程と、前記目標直径補正量及び引上速度を補正係数により補正した目標値で直径自動制御を行う工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、単結晶の製造方法に関する。特に、本発明は、高周波誘導加熱炉を用いたチョクラルスキー(以下、Czと略称する)法による単結晶の製造方法に関する。また、例えば、上記の単結晶は、酸化物単結晶であってよく、タンタル酸リチウム、若しくはニオブ酸リチウムであってもよい。
強誘電体であるタンタル酸リチウム(LiTaO3:以下、「LT」と略称する)やニオブ酸リチウム(LiNbO3:以下、「LN」と略称する)単結晶から加工される酸化物単結晶基板は、主に移動体通信機器において電気信号ノイズを除去する表面弾性波素子(SAWフィルター)の材料として用いられている。
SAWフィルターの材料となるLT、LN単結晶は、産業的には、主にCz法により育成され、例えば、特許文献1に記載の高周波誘電加熱式育成炉が使用される。Cz法とは、図1に示すように、坩堝内の原料融液表面に種結晶となる単結晶片を接触させ、該種結晶を回転させながら上方に引き上げることにより種結晶と同一方位の円筒状単結晶を育成する方法である。例えば、LT単結晶育成の場合、LT結晶の融点が1650℃と高温であることから、高融点金属であるイリジウム(Ir)製の坩堝を用い、所定のLT原料を充填し、高周波誘導加熱式の電気炉(育成炉)を用いて育成されている。育成時の引上速度は、一般的には数mm/H程度、回転速度は数〜数十rpm程度で行われる。また、育成時の炉内は、酸素濃度数%程度の窒素−酸素の混合ガス雰囲気とするのが一般的である。このような条件下で、肩と呼ばれるコーン状の成長部を形成した後、円形の基板を得るための円柱状の成長部(以下、直胴部)を形成することで単結晶インゴットが得られる。所望の長さまで直胴部を育成した後は、引上速度の変更や融液温度を徐々に高くする等の操作を行うことで、育成結晶を融液から切り離し、その後、育成炉のパワーを所定の速度で低下させることで徐冷し、炉内温度が室温近傍となった後に育成炉内から結晶を取り出す。結晶育成後のイリジウム坩堝内には、育成開始時のおよそ半分程度のLT原料が残る。坩堝内に残ったLT原料は次の育成に使用され、引き上げた結晶重量に相当するLT原料をイリジウム坩堝に充填して原料を融解し、結晶育成が行われる。このように坩堝内には固化した原料が常に同じ位置に残った状態で原料融解、冷却が繰り返し行われる。
結晶育成の温度領域で、イリジウム坩堝は熱膨張により1〜2mm程度膨張する。結晶育成終了後の冷却過程において、イリジウム坩堝が膨張した状態で融液表面の中央付近の原料が固化し始める。その後、炉内温度が下がるにつれて坩堝底付近から坩堝側壁に向かって固化していき、最後に坩堝内原料の中心部が固化する。イリジウム坩堝は、炉内温度が下がるにつれて収縮してくるが、イリジウムに対してLTの熱膨張係数が小さいために、固化した原料表面付近のイリジウム坩堝の側壁には外向きに応力が発生する。固化した原料表面より上方のイリジウム坩堝側壁には、固化した原料が無いために内向きに応力が発生する。1回の熱サイクルでの変形量は僅かであるが、原料固化表面位置が常に同じ位置で原料融解、冷却を繰り返し行っていくと塑性変形の応力が働き、イリジウム坩堝の変形は徐々に増大してくる(特許文献2参照)。
Cz法による単結晶育成では、引上軸の上部に配置されたロードセルにより結晶重量を測定し、制御周期当たりの重量増加量から結晶直径を算出し、目標直径との差分から高周波出力を変化させて直径を制御する直径自動制御(ADC、Automatic Diameter Control)が用いられている。
特開2019−6612号公報 特開2019−52067号公報
しかしながら、坩堝が変形すると結晶直径は実際の直径と異なった計算結果となるという問題があった。この変形した坩堝で結晶育成を行うと、目標とする直径から外れた結晶直径で単結晶が育成されてしまう。
このため、坩堝変形に伴う結晶径の増減などの形状不良、さらには、多結晶化やクラック不良などの結晶不良がしばしば見られ、生産性低下の要因となっていた。
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、坩堝変形があったとしても、直径自動制御が精度よく有効に働き、酸化物単結晶を生産性良く育成する酸化物単結晶の育成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る単結晶の製造方法は、坩堝内に投入された原料を加熱溶融した後に、原料融液表面に種結晶を接触させて、回転させながら引上げることで単結晶を育成するCz法による単結晶の製造方法であって、
引上軸の上部に配置されたロードセルにより結晶重量を測定し、制御周期当たりの重量増加量から結晶直径を算出する工程と、
目標直径との差分から出力を変化させて育成する結晶直径を制御する直径自動制御において、事前に測定した坩堝内径からの坩堝変形量を算出し、前記坩堝変形量に応じ目標直径補正量および引上速度の補正係数を算出する工程と、
前記目標直径補正量及び引上速度を補正係数により補正した目標値で直径自動制御を行う工程と、を有する。
本発明によれば、坩堝変形に伴う結晶形状不良を抑制すると共に多結晶化やクラック不良などの結晶不良を低減し、生産性の向上が図れる。
高周波誘導加熱式単結晶育成装置の概略構成を示す断面図である。 結晶直径の算出方法を説明するための図である。 変形した坩堝の形状の一例を示した図である。 坩堝の内径の測定方法の一例を説明するための図である。 LT単結晶で坩堝直径がφ210mm坩堝を用いた時の引上速度係数を示した図である。 実際に育成した結晶直径Dcから得られた目標直径実績補正量を示した図である。 坩堝直径が増加した場合の結晶直径の目標値の補正方法を説明するための図である。 結晶直径が減少した場合の結晶直径の目標値の補正方法を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
はじめに、図1を参照して、Cz法による単結晶育成装置の構成例、および、単結晶育成方法の概要について説明する。本発明に係るCz法を用いた単結晶育成装置は、大気中または酸素を含んだ不活性ガス雰囲気中で育成されるニオブ酸リチウムLiNbO(以下、「LN」と略称する場合がある)、タンタル酸リチウムLiTaO(以下、「LT」と略称する場合がある)、イットリウムアルミニウムガーネットYAl12(以下、「YAG」と略称する場合がある)などの酸化物単結晶の製造に用いる単結晶育成装置である。
図1は、高周波誘導加熱式単結晶育成装置の概略構成を示す断面図である。高周波誘導加熱式単結晶育成装置は、坩堝10と、耐火物20と、坩堝台30と、ワークコイル40と、引上げ軸50と、ロードセル60と、チャンバー70と、高周波電源80と、制御部90を備える。
また、引上軸50の下端には種結晶保持部51が設けられ、種結晶110を保持している。また、坩堝10内には原料融液120が貯留保持されている。
図1に示すように、高周波誘導加熱式単結晶育成装置は、チャンバー70内に坩堝10を配置する。坩堝10は、耐火物20を介して、坩堝台30上に載置される。チャンバー70内には、坩堝10を囲むように耐火材20が配置されている。坩堝10を囲むようにワークコイル40が配置され、ワークコイル40が形成する高周波磁場によって坩堝10の壁に渦電流が流れ、坩堝10自体が発熱体となる。このように、高周波誘導加熱式単結晶育成装置では、ワークコイル40によって形成される高周波磁場によりワークコイル40内に設置されている坩堝10の側壁に渦電流が発生し、その渦電流によって坩堝10自体が発熱体となり、坩堝10内にある原料の融解や結晶育成に必要な温度環境の形成を行う。
チャンバー70の上部には引上げ軸(シード棒)50が回転可能かつ上下方向に移動可能に設けられている。引き上げ軸50は、上方の引上げ軸駆動モータ52により昇降可能に構成されている。また、引上げ軸(シード棒)50の上端の先端部には、結晶重量を計測するためのロードセル60が取り付けられている。引上げ軸(シード棒)50の下端の先端部には、種結晶100を保持するための種結晶保持部51が取り付けられている。そして、引上げ軸50、引上げ軸駆動用モータ52及びロードセル60以外の構成要素を、チャンバー70が覆っている。
また、結晶育成装置全体の動作を制御するための制御部90と、実行中の自動直径制御データを記憶するための記憶部100と、高周波コイル40及び単結晶育成装置全体に電力を供給するための電源80がチャンバー70の外部に設けられる。
Cz法では、坩堝10内の単結晶の原料融液120の表面に種結晶110となる単結晶片を接触させ、種結晶110を引上げ軸(シード棒)50により回転させながら上方に引上げることにより、種結晶110と同一方位の円筒状単結晶を育成する。
そして、LT単結晶を育成する場合は、LT結晶の融点が1650℃であることから、例えば、高融点金属であるイリジウム(Ir)製の坩堝10が用いられる。なお、坩堝10は、イリジウム製に限定される訳ではなく、LT結晶の融点1650℃を超えている種々の高融点金属を用いることができる。
育成時の引上げ速度は、一般的には数mm/H程度、回転速度は数〜数十rpm程度で行われる。また、育成時の炉内は、酸素濃度が数%程度の窒素−酸素の混合ガス雰囲気とするのが一般的である。このような条件下で、所望の大きさまで単結晶を育成した後、引上げ速度の変更や融液温度を徐々に高くする等の操作を行うことで、育成結晶を原料融液120から切り離す。その後、育成炉のパワーを所定の速度で低下させることで徐冷し、炉内温度が室温近傍となった後に育成炉内から結晶を取り出す。結晶育成後の坩堝10内には、育成開始時のおよそ半分程度のLT原料が残る。坩堝10内に残ったLT原料は次の育成に使用され、引き上げた結晶重量に相当するLT原料を坩堝10に充填して原料を融解し、繰り返し結晶育成が行われる。
Cz法による単結晶育成では、引上げ軸50の上部に配置されたロードセル60により結晶重量を測定し、制御周期当たりの重量増加量から結晶直径を算出し、目標直径との差分から高周波出力を変化させて直径を制御する直径自動制御(ADC: Automatic Diameter Control)が用いられている。なお、制御周期は、特に限定されていないが、1分/回〜5分/回の範囲にあるのが一般的であり、例えば、2分/回であってもよい。具体的には、ロードセル60測定された結晶重量Wと、その時に結晶を引き上げた引上げ距離dhと、坩堝直径D、結晶密度ρ、融液密度ρより、式(1)で結晶直径を求めることが出来る。なお、ΔWの時、結晶直径Dc及び坩堝直径はDmの変化を小さいと仮定する。
Figure 2021130573

なお、式(1)は以下のように算出される。
図2に示されるように、単結晶130を育成する際の単結晶130の引上げ距離をdh、原料融液120の液面降下距離をdHとすると、実効成長距離は式(2)のようになる。
Figure 2021130573
微小時間に形成された単結晶130の重量と、原料融液120の減少重量は等しいので、式(3)が成立する。
π(D/2)(dh+dH)ρ=π(D/2)dHρ (3)
式(2)と式(3)から、式(4)が求まる。
Figure 2021130573
単結晶130が微小成長したときの重量変化量△Wは、単結晶130の微小成長により減少した原料融液120の重量に等しいので、式(5)が成立する。
π(D/2)dHρ=△W (5)
式(4)と式(5)からdHを消去すると、式(1)が得られる。
このように、ロードセル60による実測の単結晶130の重量増加量△Wと、引上げ距離dhを用いて、式(1)から結晶直径Dが算出される。
ここで算出された結晶直径Dを目標とする結晶直径と比較し、所定の結晶直径となるよう育成炉ヒーター出力を調整し制御を行う。
上述したように、結晶育成では、結晶育成後の坩堝10内には、育成開始時のおよそ半分程度のLT原料が残り、この坩堝10内に残ったLT原料は次の育成に使用され、引き上げた結晶重量Wに相当するLT原料をイリジウム坩堝に充填して原料を融解し、繰り返し結晶育成が行われる。このように、坩堝10内には固化した原料が常に同じ位置に残った状態で原料融解、冷却が繰り返し行われるため、坩堝10内に残った原料表面付近の坩堝側壁は外側に膨らみ、原料表面より上方の坩堝側壁は内側にくびれる変形が徐々に増大してくる。
図3は、そのような変形した坩堝10の形状の一例を示した図である。図3において、坩堝側壁が内側にくびれる領域は結晶育成が行われる領域である。坩堝10がくびれて内径が小さくなることにより、径不良や曲がりなどの結晶形状不良、多結晶化やクラックの発生の原因となる。あるいは、外側に膨らむ領域が徐々に上昇し坩堝10内に残った原料表面付近が広がる場合もある。そこで、本発明者は、坩堝10の内径を測定し、坩堝変形量に応じたADCの目標直径の補正及び、坩堝変形に伴う液面降下速度の変化に着目し、変形の進んだ坩堝を用いて試験を行った結果、坩堝変化量に応じたADC目標直径補正量と引上げ速度の調整を行うことで結晶形状不良を抑制し、且つ多結晶化やクラック不良を抑制出来る事を見出すに至った。
上記式(1)では、算出する結晶直径Dcは、変形の無い坩堝直径Dmを用いる。坩堝変形がある場合は、この坩堝直径Dmが変化するのでそれに合わせて結晶直径Dcを算出する必要がある。更に、引き上げ速度も併せて補正することが好ましい。これは、坩堝が変形すると液面降下距離が変化する。坩堝直径Dmが大きい場合は、液面降下距離が小さくなり、坩堝直径Dmが小さい場合には、液面降下距離が大きくなる。結晶育成が行われる領域の坩堝直径Dmが徐々に小さくなる様な変形をした場合には、結晶育成中に液面降下距離が徐々に大きくなるため実効成長距離が徐々に大きくなる。
以下、本発明のADCの目標直径の補正方法について詳細に説明する。
図4は、坩堝10の測定方法を説明するための図である。まず、事前に坩堝直径(坩堝内径)Dmを測定する。坩堝直径Dmの測定は、育成した結晶を取り出し後に測定する。測定器具はキャリパゲージなどを用いると良い。坩堝10は対象性を保ったまま変形することは少ない。局所的に膨らんだりくびれたりして変形の仕方はさまざまである。このため、坩堝直径Dmの測定は、測定箇所が多ければ多いほど真の値に近づくが、図4(a)に示すように、図4(b)に示す各高さ位置について、4方向の直径を測定して、その平均値を求めて坩堝直径Dmとしても良い。坩堝直径Dmを測定する位置は、図4(b)に示すように、坩堝10の上端から坩堝内原料の固化部分までの範囲を測定する。測定間隔は特に限定はないが、連続で測定することが好ましい。キャリパゲージでは、例えば10mm間隔で測定してもよい。
次に、坩堝内径4方向測定の平均値から変形の無い初期の坩堝内径Dm0を差し引き、坩堝直径の変化量とする。また、上記式(1)で坩堝が変形したときの坩堝直径Dm1により結晶径Dc1を求め、変形が無い時の結晶直径(Dc0−Dc1)を算出した値を目標直径算出補正値とした。
また、坩堝直径Dmが変化すると液面降下距離dHが変化する。そこで、結晶直径Dcを一定に固定し、坩堝直径Dmを変化させた時の液面降下距離dHを算出する。坩堝直径Dmが変化した時の液面降下距離をdH'とすると、実効成長距離(dG=dh+dH')となる。新品時の坩堝直径Dm0と同じ実効成長距離(dG=dh+dH)に合わせるためには、引上速度係数aを掛ければ良い。
つまり、式(6)から引上速度係数aを求める。
a(dh+dH')=(dh+dH) (6)
図5は、LT単結晶で坩堝直径がφ210mm坩堝を用いた時の引上速度係数を示す。液面降下距離dHは、結晶密度ρ、融液密度ρ、坩堝直径Dm、結晶直径Dcで求められる。このため、坩堝直径Dmが変化すると引上速度係数aも変化する。坩堝直径Dmが大きいほど引上速度係数aの傾斜は小さくなる傾向にある。引上速度係数aの関係は、結晶品種、坩堝直径Dmや結晶サイズ(直径)Dcごとに算出することが出来る。このように引上速度の調整を行うことにより、結晶育成中の実効成長距離(dG=dh+dH)が、変形の無い坩堝10を使用した時と同じ実効成長距離(dG=dh+dH)となり、実効成長距離の変動に起因する結晶欠陥の発生を抑制し、多結晶化やクラック不良を低減する事が出来る。
更に、目標直径補正量は、目標直径算出補正量から目標直径実績補正量に変更してもよい。上記の目標直径算出補正量(Dc0−Dc1)および引上速度係数aを用いて試験を行ったが、坩堝変形量が大きい場合、育成した結晶の直径寸法が合わないことがあった。そこで、上記で目標直径補正量(Dc0−Dc1)および引上速度係数aを用いて育成を行い、育成された結晶径を比較した所、算出した計算値より傾きが急峻で大きくなる傾向があった。
図6は、坩堝直径がφ210mmであり、変形がある坩堝で、上記目標直径算出補正量(Dc0−Dc1)および引上速度係数aを用いて行なった時の実際に育成した結晶直径Dcから得られた目標直径実績補正量を示す。図6において、直線Aは目標直径算出補正量を示し、直線Bは目標直径実績補正量を示す。
図6において、坩堝内径の変化量がプラスの場合には、目標直径算出補正量Aの方が目標直径実績補正量Bよりも大きく、坩堝内径の変化量がマイナスの場合には、目標直径実績補正量Bの方が目標直径算出補正量Aよりも大きい特性が示されている。
ここで、坩堝直径Dmが広がっている場合には、結晶直径Dcの目標値を、算出値よりも更に小さくする制御を行うことが好ましい。
図7は、そのような制御を行うことが好ましい理由を説明するための図である。図7に示されるように、坩堝直径Dmが広がっている場合には、実績値の重量変化量△WがADCの計算上の△Wよりも小さくなってしまう。そうすると、ADCは目標直径に達してしないと判断し、結晶直径が大きくなるような制御を行ってしまい、目標直径よりも直径が大きい単結晶130が育成される可能性が高くなる。そこで、このような場合には、結晶直径の目標値を、算出値よりも小さく設定する調整を行うことが好ましい。
一方、坩堝直径Dmが狭くなる場合は、結晶直径Dcの目標値を、算出値よりも大きく設定することが好ましい。
図8は、そのような制御を行うことが好ましい理由を説明するための図である。図8に示される通り、坩堝直径Dmが小さくなると、実績値の重量変化量△W'は大きくなる傾向があり、結晶直径が太くなっていると判断され、ADCが結晶直径を細くする制御を行う可能性が高くなる。そこで、この場合には、結晶直径の目標値を、算出値よりも太く設定し、適切な太さが確保されるように調整を行うことが好ましい。
なお、図6に示される実績値と算出値との差異は、坩堝変形は、坩堝下部では膨らむ方向に変形するからと考えられる。このため、坩堝下部での発熱分布が緩やかになる傾向にあり、この影響を受けていると推測される。よって、坩堝変量が大きい場合は、目標直径補正量は、算出した計算値より傾きを急峻に補正する目標値直径実績補正量を用いることがより好ましい。
次に、上述した坩堝10の変形量より育成時の目標直径補正量及び引上速度係数を決定し直径自動制御の設定値を補正し、単結晶の育成を行う。この時の補正は、ルツボの変形を測定した間隔に合わせ補正することが出来る。例えば、結晶育成開始時より10mm間隔で補正値を決定し補正してもよい。
補正値の設定は、例えば、図6を参照し、結晶肩部成長時の原料融液高さ位置の坩堝直径が新品時より5mm大きく、直胴下部成長時の原料融液高さ位置の坩堝内径が10mm小さい場合は、肩部の目標直径補正量は−4mm、直胴下部の目標直径補正量は+8mmとなる。肩部成長の目標直径を4mm小さく設定し、直胴下部の目標直径を8mm大きく設定する。肩から直胴下部に至る領域も同様に、測定した坩堝内径から目標直径補正量を求め、ADCステップの目標直径を変更させれば良い。
次に、図5に示す坩堝内径変化量と引上速度係数の関係図より、引上速度係数を決定する。
例えば、結晶肩部成長時の原料融液高さ位置の坩堝内径が新品時より5mm大きく、直胴下部成長時の原料融液高さ位置の坩堝内径が10mm小さい場合は、肩部の引上速度係数は1.06、直胴下部の引上速度係数は0.87となる。肩部成長時の引上速度に1.06を乗じた数値を引上速度に設定し、直胴下部の引上速度に0.87を乗じた数値を引上速度に設定する。なお、補正を行う間隔は、坩堝直径(坩堝内径)を測定する間隔になる。この間隔間で補正値に差がある場合、この間を補正値が徐々に変化するように傾斜を付けて制御してもよい。
直径自動制御の設定値を補正し、単結晶の育成を行うことで、形状が安定した単結晶を得られる。
なお、これらの制御は、図5、6の内容を記憶部100に記憶しておき、制御部90が演算処理を行い、ADCを実行しながら、目標直径、目標直径算出補正量、目標直径実績補正量、引上速度係数を順次演算しながら実行することにより、実施することができる。
[実施例]
次に、本発明の実施例について具体的に説明する。
[実施例1]
図1に示す高周波誘導加熱式単結晶育成装置を用い、内径210mmのイリジウム坩堝を用いて結晶直胴部径がφ160mmのLT結晶育成を行った。
坩堝は、使用回数100回のイリジウム坩堝を用いた。
まず、キャリパゲージを用いて坩堝内径測定を行った。図2に示す4方向の直径を坩堝上端から10mm間隔で測定した。原料融液表面位置にあたる坩堝内径変化量は、上端より10mm、20mmは、新品時より+1mmであった。30mm、40mm、50mmの坩堝内径変化量は−2mm、60mm、70mm、80mm位置の坩堝内径変化量は−5mm、90mm位置の坩堝内径変化量は−8mmであった。
図3に示す坩堝内径変化量とADC目標直径補正量の関係図より、目標直径補正量を目標直径実績補正量として、上端より10、20mmのADC目標直径補正量は−0.8mm、直胴部長さ30mm、40mm、50mm位置の補正量は+1.6mm、直胴部長さ60mm、70mm、80mm位置は+4mm、直胴部長さ90mm位置は+6.4mmとなり、上端より20mmまでの目標直径を159.2mm、50mmまでの位置を161.6mm、80mm位置までの目標直径を164mm、90mmまでの位置のADC目標直径を166.4mmに変更した。
次に、図4に示す坩堝直径変化量と引上速度係数の関係図より、上端より20mmまでの位置の引上速度係数は1.01、50mmまでの位置の引上速度係数は0.98、80mmまでの位置は0.94、90mmまでの位置は0.90となり、それぞれの引上速度に引上速度係数を乗じた数値に変更し、LT単結晶育成を行った。
直胴部長さ120mmのクラックの無いLT単結晶が得られた。直胴部の直径を測定したところ、結晶直径161mm〜157mmで、径不良の発生の無い結晶が得られた。
[実施例2]
高周波誘導加熱炉内に使用回数150回のイリジウム坩堝を用いて、図1に示す構成を構築した。構築した坩堝は、坩堝口元が広がり、坩堝側面がくびれるように変形していたために結晶形状不良が発生することが予想された。このため、LT原料を充填する前にキャリパゲージを用いて坩堝内径測定を行い、あらかじめADC目標直径の補正および引上速度の調整を行ってからLT単結晶の育成を行った。
まず、図2に示す4方向の直径を坩堝上端から10mm間隔で測定した。上端より10mm、20mmの位置にあたる坩堝内径変化量は、新品時より+4mmであった。直胴部長さ30mmの原料融液表面位置の坩堝内径変化量は±0mm、40mm、50mm、60mm位置の坩堝直径変化量は−5mm、70、80mm、90mm位置の坩堝内径変化量は−10mmであった。
そして、図3に示す坩堝内径変化量とADC目標直径補正量の関係図より、目標直径補正量を目標直径実績補正量として、上端より10mm、20mmの目標直径補正量は−3.2mm、30mm位置の補正量は±0mm、40mm、50mm、60mm位置は+4mm、70mm、80mm、90mm位置は+8mmとなり、上端より20mmまでの目標直径を156.8mm、30mmまでの位置の目標直径を160mm、60mmまでの位置の目標直径を164mm、90mm位置までの目標直径を168mmに設定した。
次に、図4に示す坩堝内径変化量と引上速度係数の関係図より、上端より10mm、20mmの引上速度係数は1.05、直胴部長さ30mm位置の引上速度係数は1.00、40mm、50mm、60mm位置の引上速度係数は0.94、70mm、80mm、90mm位置の引上速度係数は0.87となり、それぞれのADCステップの引上速度に調整乗率を乗じた数値に変更した。
LT原料を充填し、結晶育成を行ったところ、直胴部長さ120mmのクラックの無いLT単結晶が得られた。直胴部の直径は、160mm〜154mmで、径不良の発生の無い結晶が得られた。
[実施例3]
使用回数100回のイリジウム坩堝を用いて、実施例1と同様に坩堝内径変化量に応じたADC目標直径の補正および引上速度の調整を行って、LT単結晶育成を20回行った。なお、目標直径補正量は、目標直径実績補正量とした。
直胴部長さ120mmの径不良の発生及びクラックの無いLT単結晶が18本得られ、育成収率は90%であった。不良内訳は、多結晶が1本、クラック1本であった。
[実施例4]
使用回数100回のイリジウム坩堝を用いて、実施例1と同様に坩堝直径変化量に応じた目標直径算出補正量及び引上速度の調整を行って、LT単結晶育成を20回行った。なお、目標直径補正量は、目標直径算出補正量とした。
直胴部長さ120mmの径不良の発生及びクラックの無いLT単結晶が16本得られ、育成収率は80%であった。不良内訳は、多結晶が3本、クラック不良が1本であった。
[比較例1]
使用回数100回のイリジウム坩堝を用いて、坩堝内径変化量に応じた引上速度の調整のみを行い、ADC目標直径の補正は行わないでLT単結晶育成を20回行った。その他条件は、実施例1と同様とした。
直胴部長さ120mmのクラックの無いLT単結晶が12本得られ、育成収率は60%であった。不良内訳は、多結晶が4本、クラック不良が4本であった。直胴部の直径を測定したところ、直胴部の直径は、163mm〜151mmであった。直胴部の一部が153mm未満となり、径不良が発生した。
このように、本実施例によれば、本実施形態に係る単結晶の製造方法を実施することにより、坩堝10の内径が使用により変化しても、単結晶の製造に影響を与えず、所定の範囲内の均一な径を有する単結晶を製造できることが示された。
以上説明したように、本発明に係る酸化物単結晶の育成方法によれば、坩堝の内径を測定し、坩堝内径変化量に応じたADC目標直径の補正および引上速度の調整を行うことにより、結晶形状や実効成長距離に起因する多結晶化やクラックなどの結晶不良、および径不良を抑制することが可能となり、生産性の向上、コストダウンが図れる。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
本発明は、Cz法を用いた単結晶の製造方法に利用することができる。
10 坩堝
20 耐火物
30 坩堝台
40 コイルヒータ
50 引上げ軸
51 種結晶保持部
52 引上げ軸駆動用モータ
60 ロードセル
70 チャンバー
80 高周波電源
90 制御部
100 記憶部

Claims (4)

  1. 坩堝内に投入された原料を加熱溶融した後に、原料融液表面に種結晶を接触させて、回転させながら引上げることで単結晶を育成するCz法による単結晶の製造方法であって、
    引上軸の上部に配置されたロードセルにより結晶重量を測定し、制御周期当たりの重量増加量から結晶直径を算出する工程と、
    目標直径との差分から出力を変化させて育成する結晶直径を制御する直径自動制御において、事前に測定した坩堝内径からの坩堝変形量を算出し、前記坩堝変形量に応じて目標直径補正量および引上速度の補正係数を算出する工程と、
    前記目標直径補正量及び引上速度を補正係数により補正した目標値で直径自動制御を行う工程と、を有する単結晶の製造方法。
  2. 前記目標直径補正量は、目標直径実績補正量である請求項1に記載の単結晶の製造方法。
  3. 前記目標直径補正量の算出は、前記坩堝変形量が増加変形か又は縮小変形かに応じて縮小補正か増加補正かが異なる請求項2に記載の単結晶の製造方法。
  4. 前記坩堝変形量に応じて目標直径補正量および引上速度の補正係数を算出する工程は、予め定められた換算式又は換算テーブルに基づいて行う請求項1又は2に記載の単結晶の製造方法。
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