<実施形態>
本発明に係る実施形態を図面を参照して以下に説明する。実施形態の重要物取扱装置Jは、現金を取り扱う現金処理機J(1)である。
図1に示す実施形態の重要物取扱装置Jの一例である現金処理機J(1)は、例えば、金融機関の店舗に設置されるものであり、少なくとも紙幣および硬貨に関する入出金処理を行うものである。現金処理機J(1)は、現金のうちの紙幣の入出金処理を行う紙幣処理部12と、現金のうちの硬貨の入出金処理を行う硬貨処理部13とを有している。
紙幣処理部12は、機外から入金紙幣が投入される紙幣入金口20と、紙幣入金口20に投入され紙幣入金口20から繰り出された紙幣を識別しつつ計数する紙幣入金識別部21と、紙幣入金識別部21で受け入れ可能と識別された受入紙幣を一方に、紙幣入金識別部21で受け入れ不可と識別された偽紙幣を含む受入不可紙幣を他方に振り分ける紙幣入金振分部22と、を有している。
また、紙幣処理部12は、紙幣入金識別部21で受け入れ可能と識別され紙幣入金振分部22で一方に振り分けられた受入紙幣を金種別に分けて一時貯留させる紙幣一時貯留部24と、紙幣入金識別部21で受け入れ不可と識別され紙幣入金振分部22で他方に振り分けられた受入不可紙幣を機外に取り出し可能に排除する紙幣入金リジェクト口25と、紙幣一時貯留部24に金種別に一時貯留された紙幣を金種別に出金可能に収納する紙幣収納部26と、を有している。紙幣収納部26は、図示は略すが、単一金種の紙幣を出金可能に収納するスタッカを、出金紙幣として再使用する全金種分有している。
また、紙幣処理部12は、紙幣収納部26から繰り出された紙幣を識別しつつ計数する紙幣出金識別部28と、紙幣出金識別部28で出金可と識別された出金可紙幣を第1の方向に、出金不可と識別された出金不可紙幣を第2の方向に、精査処理を行う際に紙幣出金識別部28で正常と識別された紙幣を第3の方向に振り分ける紙幣出金振分部29と、紙幣出金振分部29で第1の方向に振り分けられた紙幣を機外に取り出し可能とする紙幣出金口30と、紙幣出金振分部29で第2の方向に振り分けられた紙幣を収納する紙幣機内リジェクト部31と、紙幣出金振分部29で第3の方向に振り分けられた紙幣を一時貯留させる紙幣貯留部32と、を有している。
ここで、紙幣一時貯留部24は、一時貯留させている紙幣を繰り出して、紙幣出金口30に返却し、あるいは、金種別に分けた状態のまま紙幣収納部26に収納する。紙幣貯留部32は、貯留している紙幣を繰り出して、紙幣入金識別部21に搬送する。紙幣機内リジェクト部31は、紙幣の収納のみ可能となっており、紙幣の機内繰り出しは不可となっている。
硬貨処理部13は、機外から入金硬貨が投入される硬貨入金口40と、硬貨入金口40に投入され硬貨入金口40から繰り出された硬貨を識別しつつ計数する硬貨入金識別部41と、硬貨入金識別部41で受け入れ可能と識別された受入硬貨を一方に、硬貨入金識別部41で受け入れ不可と識別された偽硬貨を含む受入不可硬貨を他方に振り分ける硬貨入金振分部42と、を有している。
また、硬貨処理部13は、硬貨入金識別部41で受け入れ可能と識別され硬貨入金振分部42で一方に振り分けられた受入硬貨を金種別に分けて一時貯留させる硬貨一時貯留部44と、硬貨入金識別部41で受け入れ不可と識別され硬貨入金振分部42で他方に振り分けられた受入不可硬貨を機外に取り出し可能に排除する硬貨入金リジェクト口45と、硬貨一時貯留部44に金種別に一時貯留された硬貨を金種別に出金可能に収納する硬貨収納部46と、を有している。硬貨収納部46は、図示は略すが、単一金種の硬貨を出金可能に収納するスタッカを、出金硬貨として再使用する全金種分有している。
また、硬貨処理部13は、硬貨収納部46から繰り出された硬貨を識別しつつ計数する硬貨出金識別部48と、硬貨出金識別部48で出金可と識別された出金可硬貨を第1の方向に、出金不可と識別された出金不可硬貨を第2の方向に、精査処理を行う際に硬貨出金識別部48で正常と識別された硬貨を第3の方向に振り分ける硬貨出金振分部49と、硬貨出金振分部49で第1の方向に振り分けられた硬貨を機外に取り出し可能とする硬貨出金口50と、硬貨出金振分部49で第2の方向に振り分けられた硬貨を収納する硬貨機内リジェクト部51と、硬貨出金振分部49で第3の方向に振り分けられた硬貨を一時貯留させる硬貨貯留部52と、を有している。
ここで、硬貨一時貯留部44は、一時貯留させている硬貨を繰り出して、硬貨出金口50に返却し、あるいは、金種別に分けた状態のまま硬貨収納部46に収納する。硬貨貯留部52は、貯留している硬貨を繰り出して、硬貨入金識別部41に搬送する。硬貨機内リジェクト部51は、硬貨の収納のみ可能となっており、硬貨の機内繰り出しは不可となっている。
現金処理機J(1)は、その全体を制御する制御部60(操作者識別手段)と、操作者に向けて表示を行うとともに操作者による操作入力を受け付ける操作表示部61(操作者識別手段)と、用紙に印字する印字部63と、を有している。
制御部60は、操作表示部61に入力された情報により操作者のIDである操作者IDを識別する。制御部60は、識別した操作者IDに応じて、操作表示部61の表示を用いた案内を、通常業務において選択可能な通常業務メニューでの案内と、監査業務において選択可能な監査メニューでの案内とに切り替えて行う。言い換えれば、現金処理機J(1)は、通常業務において選択可能な通常業務メニューと、監査処理に限定された監査メニューとをもっている。
制御部60は、入力された操作者IDが金融機関の本部の監査員に対して割り当てられた操作者IDである場合は、監査メニューでの案内を行うことになり、入力された操作者IDが監査員より下位の、金融機関の店舗の担当者に対して割り当てられた操作者IDである場合は、通常業務メニューでの案内を行うことになる。具体的に、制御部60は、操作者が、その操作者IDの入力を含んで現金処理機J(1)にログインすると、その操作者IDに基づいて、ログインした者が店舗の担当者であるか、本部の監査員であるかを識別する。なお、現金処理機J(1)へのログインは、操作者IDの入力に加えてパスワードの入力を要するものとし、あるいは、生体認証による操作者IDの入力を要するものとする。
通常業務メニューでの案内にしたがって行う処理には、例えば、以下の処理がある。
「紙幣入金処理」
操作表示部61の通常業務メニューの表示において操作表示部61に紙幣入金処理の選択入力がなされると、制御部60により制御されて、紙幣処理部12が紙幣入金処理を行う。紙幣入金処理において、紙幣処理部12は、紙幣入金口20に機外から投入された紙幣を紙幣入金口20が一枚ずつ分離して機内へ繰り出し、紙幣入金識別部21が識別および計数する。そして、紙幣入金識別部21で受け入れ可能と識別された受入紙幣を紙幣入金振分部22が紙幣一時貯留部24に向けて振り分けて紙幣一時貯留部24に一時貯留させ、紙幣入金識別部21で受け入れ不可と識別された受入不可紙幣を紙幣入金振分部22が紙幣入金リジェクト口25に向けて振り分けて機外に取り出し可能とする。
「紙幣収納処理」
紙幣入金処理後の操作表示部61の、紙幣入金処理での計数結果を含む通常業務メニューでの表示に対し、操作表示部61に入金確定操作が入力されると、紙幣処理部12は、紙幣一時貯留部24の紙幣を、金種別に分けた状態のまま、紙幣収納部26に収納する紙幣収納処理を行う。
「紙幣返却処理」
紙幣入金処理後の操作表示部61の、紙幣入金処理での計数結果を含む通常業務メニューでの表示に対し、操作表示部61にキャンセル操作が入力されると、紙幣処理部12は、紙幣一時貯留部24の紙幣を紙幣出金口30に搬送して機外に取り出し可能とする紙幣返却処理を行う。
「紙幣出金処理」
操作表示部61の通常業務メニューの表示において操作表示部61に紙幣出金処理の選択入力がなされると、制御部60により制御されて、紙幣処理部12が紙幣出金処理を行う。紙幣出金処理において、紙幣処理部12は、入力された出金データに基づいて紙幣収納部26が紙幣を金種別に計数しつつ繰り出し、紙幣出金識別部28が識別しつつ計数する。そして、紙幣出金識別部28で出金可能と識別された紙幣を紙幣出金振分部29が紙幣出金口30に向けて振り分けて機外に取り出し可能とする。また、紙幣出金識別部28で出金不可と識別された紙幣を紙幣出金振分部29が紙幣機内リジェクト部31に向けて振り分けて収納する。
「紙幣精査処理」
操作表示部61の通常業務メニューの表示において操作表示部61に紙幣精査処理の選択入力がなされると、制御部60により制御されて、紙幣処理部12が紙幣精査処理を行う。紙幣精査処理において、紙幣処理部12は、紙幣収納部26から一金種用のスタッカの紙幣を全て繰り出し、紙幣出金識別部28の識別結果に基づいて、識別および計数できた紙幣は、紙幣出金振分部29が紙幣貯留部32に向けて振り分けて一時貯留させる。他方、紙幣出金識別部28で識別あるいは計数が不能な紙幣は、紙幣出金振分部29が紙幣機内リジェクト部31に向けて振り分けて収納する。
次に、紙幣貯留部32に一時貯留させた紙幣を紙幣貯留部32から繰り出し、紙幣入金識別部21の識別結果に基づいて、識別および計数できた紙幣は、紙幣一時貯留部24を介して紙幣収納部26の対応するスタッカに収納する。他方、紙幣入金識別部21で識別あるいは計数が不能な紙幣は、紙幣入金振分部22で紙幣入金リジェクト口25に繰り出す。これにより、紙幣収納部26において、この金種の紙幣の収納量が確定する。このような処理を全金種についてそれぞれ実行することで、紙幣収納部26の金種別の在り高を確定させる。
「硬貨入金処理」
操作表示部61の通常業務メニューの表示において操作表示部61に硬貨入金処理の選択入力がなされると、制御部60により制御されて、硬貨処理部13が硬貨入金処理を行う。硬貨入金処理において、硬貨処理部13は、硬貨入金口40に機外から投入された硬貨を硬貨入金口40が一枚ずつ分離して機内へ繰り出し、硬貨入金識別部41が識別および計数する。そして、硬貨入金識別部41で受け入れ可能と識別された受入硬貨を硬貨入金振分部42が硬貨一時貯留部44に向けて振り分けて一時貯留させ、硬貨入金識別部41で受け入れ不可と識別された受入不可硬貨を硬貨入金振分部42が硬貨入金リジェクト口45に向けて振り分けて機外に取り出し可能とする。
「硬貨収納処理」
硬貨入金処理後の操作表示部61の、硬貨入金処理での計数結果を含む通常業務メニューでの表示に対し、操作表示部61に入金確定操作が入力されると、硬貨処理部13は、硬貨一時貯留部44の硬貨を、金種別に分けた状態のまま、硬貨収納部46に収納する硬貨収納処理を行う。
「硬貨返却処理」
硬貨入金処理後の操作表示部61の、硬貨入金処理での計数結果を含む通常業務メニューでの表示に対し、操作表示部61にキャンセル操作が入力されると、硬貨処理部13は、硬貨一時貯留部44の硬貨を硬貨出金口50に搬送して機外に取り出し可能とする硬貨返却処理を行う。
「硬貨出金処理」
操作表示部61の通常業務メニューの表示において操作表示部61に硬貨出金処理の選択入力がなされると、制御部60により制御されて、硬貨処理部13が硬貨出金処理を行う。硬貨出金処理において、硬貨処理部13は、入力された出金データに基づいて硬貨収納部46が硬貨を金種別に計数しつつ繰り出し、硬貨出金識別部48が識別しつつ計数する。そして、硬貨出金識別部48で出金可能と識別された硬貨を硬貨出金振分部49が硬貨出金口50に向けて振り分けて機外に取り出し可能とする。また、硬貨出金識別部48で出金不可と識別された硬貨を硬貨出金振分部49が硬貨機内リジェクト部51に向けて振り分けて収納する。
「硬貨精査処理」
操作表示部61の通常業務メニューの表示において、操作表示部61に硬貨精査処理の選択入力がなされると、制御部60により制御されて、硬貨処理部13が硬貨精査処理を行う。硬貨精査処理において、硬貨処理部13は、硬貨収納部46から一金種のスタッカの硬貨を全て繰り出し、硬貨出金識別部48の識別結果に基づいて、識別および計数できた硬貨は、硬貨出金振分部49が硬貨貯留部52に向けて振り分けて一時貯留させる。他方、硬貨出金識別部48で識別あるいは計数が不能な硬貨は、硬貨出金振分部49が硬貨機内リジェクト部51に向けて振り分けて収納する。
次に、硬貨貯留部52に一時貯留させた硬貨を硬貨貯留部52から繰り出し、硬貨入金識別部41の識別結果に基づいて、識別および計数できた硬貨は、硬貨一時貯留部44を介して硬貨収納部46の対応するスタッカに収納する。他方、硬貨入金識別部41で識別あるいは計数が不能な紙幣は、硬貨入金振分部42で硬貨入金リジェクト口45に繰り出す。これにより、硬貨収納部46において、この金種の硬貨の収納量が確定する。このような処理を全金種についてそれぞれ実行することで、硬貨収納部46の金種別の在り高を確定させる。
なお、紙幣入金処理と硬貨入金処理とを一括して入金処理として並行処理可能であり、紙幣収納処理と硬貨収納処理とを一括して収納処理として並行処理可能であり、紙幣返却処理と硬貨返却処理とを一括して返却処理として並行処理可能であり、紙幣出金処理と紙幣出金処理とを一括して出金処理として並行処理可能であり、紙幣精査処理と硬貨精査処理とを一括して精査処理として並行処理可能である。
以上により、現金処理機J(1)は、自動精査機能付き装置(当該装置自身のみで、現金の精査が可能な装置)となっている。
図2は、図1に示す現金処理機J(1)の監査処理に限定された監査メニューの操作表示部61での表示画面の一例である。監査専用の監査メニューは、上記したように、監査員が現金処理機J(1)にログインすることで、ログインした者が店舗の担当者であるか、本部の監査員であるかを制御部60が判断し、監査員である場合に自動的に起動する。すなわち、例えば監査員専用のIDカードを操作表示部61の図示略のカードリーダが読み取って現金処理機J(1)へのログインが完了すると、制御部60は、ログインした者が本部の監査員であると判断して、図2に示すような監査専用の監査メニューを操作表示部61に自動表示させる。このとき、操作表示部61には、通常業務メニューに含まれる入金処理および出金処理を選択肢として表示させない。つまり、監査メニューでは、通常業務メニューに含まれる入金処理および出金処理が選択不可となっている。
図2において、「1.在り高照会」は、現金処理機J(1)内に、現に存在するであろう理論値の現金量を、操作表示部61および印字部63の少なくともいずれか一方によって出力させる処理を行う際に選択されるものである。すなわち、図2に示す表示画面を操作表示部61に表示させた状態で、操作表示部61の「1.在り高照会」がタッチ操作されると、制御部60は、「1.在り高照会」が選択されたと判断して、現金処理機J(1)内に、現に存在するであろう理論値の現金量を、操作表示部61に表示させ、さらに操作表示部61を介して印字操作が入力されると印字部63で用紙に印字させる。このように出力された操作表示部61および印字部63の出力の少なくとも一方を見て、監査員は現金処理機J(1)の在り高を把握する。
すなわち、現金処理機J(1)は、現金在り高が信頼できる装置あるいは現在在り高を信頼する装置である場合、「1.在り高照会」の選択操作で、現に存在するであろう理論値の現金在り高について、表示および印字の少なくともいずれか一方を行うだけの監査処理を行う。
この場合、現金在り高は、例えば、上記した紙幣精査処理を行い、しかも紙幣機内リジェクト部31に紙幣がない状態とすることで確定した機内の紙幣の在り高に対し、その後に行われた紙幣入金処理および紙幣収納処理により機内へ収納した紙幣の計数値を順次加算し、紙幣出金処理により機外に払い出した紙幣の計数値を順次減算した値が、紙幣の現金在り高となる。同様に、上記した硬貨精査処理を行い、しかも硬貨機内リジェクト部51に硬貨がない状態とすることで確定した機内の硬貨の在り高に対し、その後に行われた硬貨入金処理および硬貨収納処理により機内へ収納した硬貨の計数値を順次加算し、硬貨出金処理により機外に払い出した硬貨の計数値を順次減算した値が、硬貨の現金在り高となる。
これは、例えば、紙幣収納部26および硬貨収納部46のスタッカ毎の在り高は不確定でも、紙幣機内リジェクト部31および硬貨機内リジェクト部51を含めた装置在り高が信頼できる場合である。
なお、この装置在り高が信頼できるか否かの判断について、制御部60は、例えば、上記した紙幣精査処理および硬貨精査処理を所定のタイミングで自動的に行う自動精査が、紙幣機内リジェクト部31および硬貨機内リジェクト部51へのリジェクトなしで、特定回数連続して完了したか否かを自動判断し、特定回数以上連続して完了した場合に、装置在り高が信頼できると判定し、それ以外の場合は、装置在り高が信頼できないと判定する。
この場合、制御部60の制御を以下のように変更することが可能である。すなわち、装置在り高が信頼できると判定すると、操作表示部61に表示する図2に示す監査メニューに、装置在り高が信頼できる旨の表示を含んで表示させるとともに、「1.在り高照会」の選択操作を有効とする制御とする。また、装置在り高が信頼できないと判定すると、操作表示部61に表示する図2に示す監査メニューに、装置在り高が信頼できない旨の表示を含んで表示させるとともに、「1.在り高照会」を表示させず、その選択操作を無効とする制御とする。
図2において、「2.再勘(自動精査)」は、現金処理機J(1)の紙幣収納部26および硬貨収納部46内の現金量を、現金処理機J(1)の機内で計数させる際に選択されるものである。すなわち、図2に示す表示画面を操作表示部61に表示させた状態において、操作表示部61の「2.再勘(自動精査)」がタッチ操作されると、制御部60は、「2.再勘(自動精査)」が選択されたと判断して、上記した紙幣精査処理および硬貨精査処理を実行する自動再勘(自動精査)を現金処理機J(1)に行わせる。そして、その結果の現在在り高を、操作表示部61に表示させ、さらに操作表示部61を介して印字操作が入力されると印字部63で用紙に印字させる。その際に、制御部60は、データ上、現に存在するであろう理論値の現金量と、精査処理によって確認された現金量との一致を確認し、一致するか否かを操作表示部61および印字部63の少なくとも一方で出力させる。
このとき、制御部60は、自動再勘が不可能な紙幣機内リジェクト部31の紙幣については、紙幣の装置在り高の理論値から、自動再勘による紙幣収納部26の紙幣の在り高を減算した値を紙幣機内リジェクト部31の紙幣の在り高とする。また、このとき、制御部60は、自動再勘が不可能な硬貨機内リジェクト部51の硬貨についても、硬貨の装置在り高の理論値から、自動再勘による硬貨収納部46の硬貨の在り高を減算した値を硬貨機内リジェクト部51の硬貨の在り高とする。
あるいは、制御部60は、自動再勘が不能な紙幣機内リジェクト部31の紙幣あるいは硬貨機内リジェクト部51の硬貨がある場合については、その有無の指摘と、在り高確認(現物確認)のための操作手順等を操作表示部61に表示させる。すると、監査員は、紙幣機内リジェクト部31の紙幣あるいは硬貨機内リジェクト部51の硬貨を取り出して在り高確認を行うことになる。これに加えて、制御部60は、このようにして得られた紙幣機内リジェクト部31および硬貨機内リジェクト部51の在り高確認の結果を操作表示部61に入力させて、自動再勘による装置在り高に加算して反映させるようにしても良い。
図2に示す表示画面を操作表示部61に表示した状態において、操作表示部61の「3.全回収」がタッチ操作されると、制御部60は、「3.全回収」が選択されたと判断して、上記した紙幣出金処理と硬貨出金処理とを行って紙幣収納部26に収納している紙幣および硬貨収納部46に収納している硬貨をすべて現金処理機J(1)の機外に放出させる全回収処理を行う。その際に、紙幣出金識別部28および硬貨出金識別部48の計数値を、操作表示部61および印字部63の少なくともいずれか一方への出力させることで、監査員に、現金処理機J(1)外に全回収処理にて放出した現金量を把握させる。
図2に示す表示画面を操作表示部61に表示した状態で、操作表示部61の「4.装填」がタッチ操作されると、制御部60は、「4.装填」が選択されたと判断して、紙幣入金処理および紙幣収納処理と、硬貨入金処理および硬貨収納処理とを行って、上記全回収処理によって機外に放出された現金をすべて現金処理機J(1)内に収納(装填)させる装填処理を行う。その際に、紙幣入金識別部21および硬貨入金識別部41の計数値を、操作表示部61および印字部63の少なくともいずれか一方への出力させることで、監査員に、現金処理機J(1)内の紙幣収納部26および硬貨収納部46に装填処理にて装填した現金量を把握させる。
そして、監査員は、全回収処理で機外に放出した現金量と、装填処理で再度機内に装填した現金量との一致を、例えば用紙に印字された印字データを比較することで確認する。
なお、現金処理機J(1)が、紙幣貯留部32および硬貨貯留部52を備えていない自動精査機能付きでない装置である場合、および、紙幣貯留部32および硬貨貯留部52を備えた自動精査機能付きの装置であっても、機械的なエラーや収納枚数上の問題がある(すべての収納箇所が満杯に近く、自動精査ができる余裕がないなど)とき、全回収処理と、全回収処理にて機外に放出した現金の装填処理とをセットで実施させる。その場合、制御部60は、全回収処理で機外に放出した現金量と、装填処理で再度現金処理機J(1)の機内に装填した現金量との一致を確認して、その結果を、操作表示部61に表示させるようにしても良い。
このように、現金処理機J(1)は、回収処理時および装填処理時の少なくともいずれか一方の計数結果に基づいて、装置在り高を操作表示部61および印字部63の少なくともいずれか一方へ出力させる。このとき、監査員は、紙幣機内リジェクト部31および硬貨機内リジェクト部51の現金や、機外にリジェクトされた現金についての対応も考慮して装置在り高の監査を行う。
現金処理機J(1)においては、上記したように、紙幣機内リジェクト部31および硬貨機内リジェクト部51を備えていて、出金に適さない現金を出金しないようにリジェクト(排除)する機能があるが、紙幣機内リジェクト部31および硬貨機内リジェクト部51は、いずれも現金を機内に繰り出すことがない。このため、紙幣機内リジェクト部31および硬貨機内リジェクト部51のリジェクト現金については、一般的に、人手によって現金処理機J(1)から取り出され、その現金量が確認されることになる(リジェクト現金については後述)。
図2に示す表示画面における「5.その他」は、現金処理機J(1)を取り扱う操作者を特定する操作者IDやパスワードを監査する際に選択される(詳細は後述)。
以上の実施形態によれば、通常業務において選択可能な通常業務メニューに加え、監査処理に限定された監査メニューを選択可能に操作表示部61に表示するため、監査処理に限定された監査メニューを選択することで、必要とするメニューを容易に且つ間違えることなく選択でき、これに基づいて監査業務を進めることができる。よって、操作に慣れていない人でも容易に監査業務を進めることが可能となる。
すなわち、普段から現金処理機J(1)を操作している金融機関の店員は、問題無く現金処理機J(1)の操作を行うことができるが、一般的に監査を行う立場の人は操作に慣れておらず、また、対象となる現金処理機J(1)が多種多様であるため、これらの操作をすべて理解し得ないのが現実である。よって、実際の監査にあっては、店員の協力の下、現金処理機J(1)の操作を助けて貰って監査業務を進めている。これに対し、実施形態の現金処理機J(1)では、通常業務において選択可能な処理メニュー(処理モード)とは別に、監査専用の簡易な処理メニュー(処理モード)を選択可能となっているため、監査専用の簡易な処理メニューを選択することで、監査を受ける側の店員の立ち会い協力がなくとも、監査員が専用ガイダンスに沿って容易に監査業務を単独で進めることができる。
また、制御部60が、操作表示部61に入力された操作者IDから、操作者が監査員であることを識別したときに、監査メニューを選択したものとして、監査専用の監査メニューを表示するため、監査員に対して自動的に操作表示部61に監査メニューを表示することになる。よって、監査員が操作に慣れていなくてもさらに容易に監査業務を進めることが可能となる。すなわち、現金処理機J(1)は、監査員が現金処理機J(1)にログインした際、ログインした者が監査員であることを確認することで、監査メニューが選択されたと自動的に判断して監査メニューを操作表示部61に表示させるので、監査に不慣れな監査員であっても、現金処理機J(1)の現金監査を、店舗の担当者の協力を受けることなく、確実に進めることができる。
また、監査処理に限定された監査メニューを選択可能に操作表示部61に表示するのが、特に操作が煩雑な現金を取り扱う現金処理機J(1)であるため、容易に監査業務を進めることが可能になることの効果が高い。
また、監査処理において、制御部60は、データ上、現金処理機J(1)内に現に存在するであろう理論値の現金量と、精査処理によって確認された現金量との一致を確認するため、これらの一致確認を監査員が行う必要がなくなる。
実施形態の重要物取扱装置Jとしての現金処理機J(1)は、少なくともバラの現金を取り扱うものであり、例えば、図3に示すような出納機J(1)a、窓口機J(1)b、大口入金機J(1)c、現金自動預払機J(1)d、両替機J(1)e、後方機J(1)f等である。
ここで、出納機J(1)aは、金融機関の店舗の窓口カウンタの後方に設置される窓口内機器であって店舗全体の現金等の在り高を管理する。窓口機J(1)bは、店舗の窓口カウンタに設置されテラーにより操作されて入出金を行う。大口入金機J(1)cは、店舗のロビーに設置されるロビー機であって大口の入金が行われる。現金自動預払機J(1)dは、店舗のロビーに設置されるロビー機であって顧客により操作されて入出金を行う。両替機J(1)eは、店舗のロビーに設置されるロビー機であって顧客により操作されて両替を行う。後方機J(1)fは、窓口カウンタより後方に設置される窓口内機器であって出納担当者、二線担当者とも言われる上位者によって操作される現金処理機J(1)のうち、出納機J(1)a以外のものである。
なお、重要物取扱装置Jには、いずれも現金を取り扱わない、言い換えれば非現金を取り扱う非現金処理機J(2)がある。非現金処理機J(2)は、例えば、手形小切手を取り扱う有価証券類処理機J(2)aや、これらを有する店舗において使用される重要物の一つである鍵などを管理する鍵管理機J(2)bや、鍵を含めた重要物、例えば、契約書類などの機密書類や重要印などを保管しうる保管庫システムJ(2)cなどである。これらの非現金処理機J(2)においても、現金処理機J(1)と同様、通常業務において選択可能な通常業務メニューに加え、監査処理に限定された監査メニューを選択可能に表示するようになっており、操作者が監査員であることを識別したときに、監査専用の監査メニューを表示するようになっている。これにより、非現金を取り扱う非現金処理機J(2)においても、容易に監査業務を進めることが可能になる。
<変形例1>
図3は、現金処理機J(1)等の重要物取扱装置Jがネットワーク接続されて構成される重要物取扱システムZを示す一例である。
重要物取扱システムZは、図3に示すように、重要物取扱装置Jとして、現金処理機J(1)である出納機J(1)aと、現金処理機J(1)である窓口機J(1)bと、現金処理機J(1)である大口入金機J(1)cと、現金処理機J(1)である現金自動預払機J(1)dと、現金処理機J(1)である両替機J(1)eと、現金処理機J(1)である後方機J(1)fと、を有している。また、重要物取扱システムZは、重要物取扱装置Jとして、非現金処理機J(2)である有価証券類処理機J(2)aと、非現金処理機J(2)である鍵管理機J(2)bと、非現金処理機J(2)である保管庫システムJ(2)cと、を有している。
これら出納機J(1)a、窓口機J(1)b、大口入金機J(1)c、現金自動預払機J(1)d、両替機J(1)e、後方機J(1)f、有価証券類処理機J(2)a、鍵管理機J(2)bおよび保管庫システムJ(2)cは、ネットワーク接続されて、種々の連携が可能となっている。このネットワークは、公衆回線も含めた種々の回線により、本部(センター)の本部サーバSや、他店舗の店舗サーバとも接続されて、種々の連携が可能となっている。重要物取扱システムZは、複数の重要物取扱装置Jに無線でネットワーク接続されるタブレット型端末装置T(端末装置)を有している。
ここにおいて、少なくとも同一店舗内の重要物取扱装置Jにおいては、監査においても連携処理が可能に構成されている。
一般的に、同一店舗内の現金処理機J(1)等においては、現金処理機J(1)の一つである出納機J(1)aにおいて、同一店舗内のすべての情報を集約するようになっている。その意味で、出納機J(1)aは、店舗最上位機と呼べる状態にある。出納機J(1)aにかえて、出納機J(1)aを含む出納機システムが店舗最上位機となる場合もある。
なお、変形例1においては、現金処理機J(1)や非現金処理機J(2)以外に、さらにネットワーク接続しえない金庫室Kが備わっており、金庫室Kには、現金、非現金(機密書類や重要印など)が収納される。特に、金庫室Kの現金の在り高については、ネットワーク接続されていないものの、店舗最上位機である出納機J(1)aにおいて記憶し、管理するようになっている。
そして、この重要物取扱システムZにおいては、店舗最上位機である出納機J(1)a(一の重要物取扱装置)において、情報集約される他の現金処理機J(1)b〜J(1)fおよび金庫室Kの現金在り高をも情報収集して管理するようになっている。ここにおいて、店舗最上位機である出納機J(1)aは、図2の監査メニューの表示前後において、重要物取扱装置Jおよび金庫室Kのいずれの監査を行うかを選択指示できるようになっている。
すなわち、重要物取扱システムZは、一の重要物取扱装置Jである出納機J(1)aと、他の重要物取扱装置J(1)b〜J(1)f,J(2)a〜J(2)cとが互いに通信可能に接続されている重要物取扱システムZであって、一の重要物取扱装置Jである出納機J(1)aにおいて、他の重要物取扱装置J(1)b〜J(1)f,J(2)a〜J(2)cに対する監査処理を実行可能となっている。加えて、重要物取扱システムZは、出納機J(1)aが、通信可能に接続されていない金庫室Kに対する監査処理も実行可能となっている。
また、重要物取扱システムZは、重要物取扱装置Jとは別に携帯型のタブレット型端末装置Tを有しており、一の重要物取扱装置Jである出納機J(1)aにおいて、他の重要物取扱装置J(1)b〜J(1)f,J(2)a〜J(2)cおよび金庫室Kに対する監査処理を実行する際に、出納機J(1)aにおける他の重要物取扱装置J(1)b〜J(1)f,J(2)a〜J(2)cおよび金庫室Kに対する監査処理を、このタブレット型端末装置Tで引き継ぎ可能となっている。言い換えれば、一の重要物取扱装置Jである出納機J(1)aの一部の処理をタブレット型端末装置Tが引き継いで実行可能となっている。
図4は、ネットワーク接続可能な重要物取扱装置Jを含めた重要物取扱システムZにおける出納機J(1)aの操作表示部61に表示される監査メニューの一例を示す。
すなわち、図4の監査メニューは、図2の監査メニューに対して、操作表示部61の「1.在り高照会」、「2.再勘(自動精査)」、「3.全回収」、「4.装填」、「5.その他」の表示の右方において、監査対象となりうる機器構成を選択可能に表示している。
図4に示す一例においては、重要物取扱装置Jをグループ別に、上段より、「1.本機(出納機1)」、「2.窓口機(窓口機群:L機接続)」、「3.ロビー機(両替機、大口入金機等)(M機接続)」、「4.後方機(本機以外の窓口内機器)(N機接続)」、「5.その他の機器・収納庫類(O機接続)」、「6.金庫室」、に区分して選択可能に表示している。
「1.本機(出納機1)」は、店舗最上位機である出納機J(1)aを示しており、監査対象として出納機J(1)aを選択する際にタッチ操作される。
「2.窓口機(窓口機群:L機接続)」は、店舗窓口カウンタに設置されて窓口係員によって操作される窓口機J(1)bを示しており、監査対象として窓口機J(1)bを選択する際にタッチ操作される。
「3.ロビー機(両替機、大口入金機等)(M機接続)」は、窓口カウンタ前方のロビーに設置されるロビー機(ロビー内に配置されて顧客によって操作される大口入金機J(1)c、現金自動預払機J(1)dおよび両替機J(1)e等)を示しており、監査対象として大口入金機J(1)c、現金自動預払機J(1)dおよび両替機J(1)e等を選択する際にタッチ操作される。
「4.後方機(本機以外の窓口内機器)(N機接続)」は、窓口カウンタ後方に設置されて、上位者によって操作される後方機J(1)fを示しており、監査対象として後方機J(1)fを選択する際にタッチ操作される。
「5.その他の機器・収納庫類(O機接続)」は、その他の機器・収納庫類(有価証券類処理機J(2)a、鍵管理機J(2)bおよび保管庫システムJ(2)c等)を示しており、監査対象として有価証券類処理機J(2)a、鍵管理機J(2)bおよび保管庫システムJ(2)c等を選択する際にタッチ操作される。
「6.金庫室」は、監査対象として金庫室Kを選択する際にタッチ操作される。
なお、窓口機J(1)bと、大口入金機J(1)c、現金自動預払機J(1)dおよび両替機J(1)e等のロビー機と、後方機J(1)fと、有価証券類処理機J(2)a、鍵管理機J(2)bおよび保管庫システムJ(2)c等の他の機器・収納庫類とは、それぞれの接続台数が表示可能であり、図4に示すように、L機接続、M機接続、N機接続およびO機接続と、接続台数を表示している。つまり、図4では、重要物取扱システムZにおいて、窓口機J(1)bがL機(L台)接続され、大口入金機J(1)c、現金自動預払機J(1)dおよび両替機J(1)e等のロビー機がM機(M台)接続され、後方機J(1)fがN機(N台)接続され、有価証券類処理機J(2)a、鍵管理機J(2)bおよび保管庫システムJ(2)c等の他の機器・収納庫類がO機(O台)接続されていることを示している。
図4に示すように、出納機J(1)aが操作表示部61に表示する監査メニューには、選択された監査対象機器を表示する監査対象機器表示欄101が設けられており、監査対象機器表示欄101には、デフォルトとして、監査対象機器が本機(出金機1)であることを表示している。
また、監査対象機器表示欄101にデフォルト表示される本機(出金機1)については、「1.本機(出納機1)」に付設して、その本日の監査状況を「監査状況」の表示の下側に表示するとともに、その監査情報を「前回監査」の表示の下側に表示する。ここで、監査情報としては、本日分を含む前回監査までの特記事項の有無情報を表示する。
ここで、本日の監査状況は、図4に示すように、本日未監査であれば「本日:未」を表示することになり、現在監査途中であれば「監査途中」を、本日監査済みで監査が正常終了あれば「正常終了」を、本日監査済みで監査が異常終了あれば「異常終了」を、表示することになる。
また、本日未監査であって前回監査までの特記事項がなければ、監査情報として前回監査の月日と特記事項無しであることを示す「○/△注記無し」を表示することになり(○は月、△は日)、本日監査済みであってその監査までの特記事項がなければ、監査情報として「本日:注記無し」を表示することになり、本日未監査であって前回監査までの特記事項があれば、監査情報として前回監査の月日と特記事項有りであることを示す「○/△注記有り★」を表示することになり、本日監査済みであってその監査までの特記事項があれば、監査情報として「本日:注記有り★」を表示することになる。ここで、監査情報として「注記有り★」が表示された特記事項有りの場合には、当該表示部分がタッチ操作されると、その詳細情報を、操作表示部61に別ウィンドウにて、表示するようになっている。
なお、図4に示す一例の、「2.窓口機」、「3.ロビー機」、「4.後方機」のように、本機(出納機1)以外の現金処理機J(1)b〜J(1)fを詳細に区分するのではなく、これらを纏めて、本機(出納機1)に対する他の現金処理機として一纏めにして操作表示部61に表示しても良い。
また、図4の監査メニューでは、監査処理をタブレット型端末装置Tに引き継ぐ際にタッチ操作される「タブレット移行」の選択欄102が表示されている。タブレット移行については後述する。
{手順1}
監査メニューとして、図4に示すように、操作表示部61に、重要物取扱装置Jであって店舗最上位機である出納機J(1)aと、店舗最上位機である出納機J(1)aにネットワーク接続される現金処理機J(1)b〜J(1)fおよび非現金処理機J(2)a〜J(2)cを含む重要物取扱装置Jとの一覧を表示させる。
{手順2}
操作表示部61に表示された図4に示す画面表示に対して、いずれの重要物取扱装置Jを監査するかが選択操作されることになる。
図5は、操作表示部61に表示された図4に示す画面表示において、「2.窓口機(窓口機群:L機接続)」がタッチ操作されることで、窓口機J(1)bを監査対象に指定した場合に表示される操作表示部61の表示例である。図5においては、監査メニューの「1.在り高照会」、「2.再勘(自動精査)」、「3.全回収」、「4.装填」、「5.その他」を引き続き表示している。また、図5においては、監査対象機器表示欄101に、窓口機J(1)bを監査対象に指定したことを示す「2.窓口機(窓口機群:L機接続)」を表示している。
図5に示す表示例では、監査対象の選択肢であるL機(L台)接続された窓口機1〜6等のそれぞれについて、本日の監査状況を表示するとともに、前回までの監査情報を表示している。
ここでも、本日の監査状況は、上記と同様であり、図5に示す表示例では、窓口機3〜6が本日未監査であるため、「本日:未」を表示している。また、窓口機1,2が本日監査済みであって監査が正常終了であるため、監査状況として「正常終了」を表示している。また、窓口機3,4,6が本日未監査であって前回監査までの特記事項がないため、監査情報として「○/△注記無し」を表示している。また、窓口機5が本日未監査であって前回監査までの特記事項があるため、監査情報として「○/△注記有り★」を表示している。ここでも、監査情報に「注記有り★」と表示される特記事項有りの場合には、当該表示部分をタッチすることで、その詳細情報を、操作表示部61に別ウィンドウにて、表示するようになっている。
窓口機J(1)bは、本機である出納機J(1)aと同様、現金処理機J(1)となるので、図5に示す表示例において窓口機1〜6等の中からいずれかを選択した場合、切り替わって出納機J(1)aの操作表示部61に表示される監査メニューは、図2と同様の監査メニューの「1.在り高照会」、「2.再勘(自動精査)」、「3.全回収」、「4.装填」、「5.その他」に加えて、例えば「窓口機3」等、指定された窓口機J(1)bを表示する監査対象機器表示欄101を有する。この監査メニューに対する選択操作に応じて、指定された窓口機J(1)bに対して、上記した実施形態と同様の処理を行う。他の現金処理機J(1)c〜J(1)fを監査対象とした場合についてもほぼ同様である。
これに対して、図6は、図4に示す画面表示において、「5.その他の機器・収納庫類(O機接続)」がタッチ操作されることで、現金処理機J(1)とは言えない、非現金処理機J(2)である、その他機器・収納庫類を監査対象に指示した場合の操作表示部61の表示例である。図6では、監査対象機器表示欄101に、非現金処理機J(2)を監査対象に指定したことを示す「5.その他の機器・収納庫類」を表示している。
図6では、一例として、監査対象の選択肢として、収納庫システムJ(2)cである二つの収納庫A,Bと、鍵管理機1等があることを示している。これら二つの収納庫A,Bと鍵管理機1等に関し、監査状況、監査情報について、図5と同様の表示を行う。
図6では、収納庫Aにあっては、さらに4カ所の個別の収納庫A1〜A4があり、収納庫Bにあっては、さらに3カ所の個別の収納庫B1〜B3があることを示す例となっている。すなわち、収納庫Aの全体を示す「1.収納庫A0(A全体)」の全体表示段と、収納庫Aの収納庫A1を示す「1.収納庫A1」の個別表示段と、収納庫Aの収納庫A2を示す「1.収納庫A2」の個別表示段と、収納庫Aの収納庫A3を示す「1.収納庫A3」の個別表示段と、収納庫Aの収納庫A4を示す「1.収納庫A4」の個別表示段と、収納庫Bの全体を示す「2.収納庫B0(B全体)」の全体表示段と、収納庫Bの収納庫B1を示す「2.収納庫B1」の個別表示段と、収納庫Bの収納庫B2を示す「2.収納庫B2」の個別表示段と、収納庫Bの収納庫B3を示す「2.収納庫B3」の個別表示段と、を有している。収納庫Aの全体を示す「1.収納庫A0(A全体)」の全体表示段および収納庫Bの全体を示す「1.収納庫B0(B全体)」の全体表示段は、なくても良い。
他方、これらの監査対象の選択肢にあっては、現金処理機J(1)ではないことから、図2の監査メニューに示す、「2.再勘(自動精査)」と「3.全回収」と「4.装填」とについては、図6に示す監査メニューには表示されない。但し、収納庫システムJ(2)cを含むため、現金処理機J(1)に装填しない現金、いわゆる手持ち現金と呼ばれるものに相当するものを保管することがある。このため、在り高照会ができるように「1.在り高照会」が選択可能であり、これに加えて「5.その他」が選択可能となっている。
重要物取扱システムZは、一の重要物取扱装置Jである出納機J(1)aにおいて、他の重要物取扱装置Jである現金処理機J(1)b〜J(1)fおよび非現金処理機J(2)a〜J(2)cに対する監査処理を実行する際に、出納機J(1)aにおける他の重要物取扱装置J(1)b〜J(1)f,J(2)a〜J(2)cに対する監査処理を、タブレット型端末装置Tで引き継ぎ可能となっている。図6で示した、その他機器・収納庫類一覧から、さらに、例えば個々の収納庫A1〜A4,B1〜B3等のいずれか一つが選択され、「タブレット移行」の選択欄102がタッチ操作されると、選択された収納庫に対する監査処理をタブレット型端末装置Tで引き継ぐ。その場合のタブレット型端末装置Tの操作表示部100の表示の一例を図7に示す。
図7は、出納機J(1)aの操作表示部61の図6に示す表示画面において、収納庫A2をタッチ操作し、タブレット移行の選択欄102をタッチ操作した場合に、タブレット型端末装置Tの操作表示部100に表示される表示画面を示している。
図7では、監査対象機器表示欄103を有しており、この監査対象機器表示欄103に、監査対象に指定された「収納庫A2」を表示している。また、図6に示すようにタブレット移行前の出納機J(1)aの操作表示部61に表示されていた収納庫A2に関する監査状況(「本日:未」)および監査情報(「○/△注記無し」)を、図7に示すように、タブレット型端末装置Tの操作表示部100に表示している。さらに、図6に示すように監査メニューとしてタブレット移行前の出納機J(1)aの操作表示部61に表示されていた「1.在り高照会」と「5.その他」とが、図7に示すように、タブレット型端末装置Tの操作表示部100に選択可能に表示される。また、図7に示すように、タブレット型端末装置Tの操作表示部100には、タブレット移行を解除するための「移行退避」の選択欄104を表示している。「移行退避」の選択欄104がタッチ操作されると、監査処理をタブレット型端末装置Tから出納機J(1)aに戻す。
なお、個々の収納庫A1〜A4,B1〜B3等の監査は、出納機J(1)aでは行えないことから、それぞれの設置場所に監査員が移動する必要があり、タブレット移行は、そのような場合に備えて、監査処理を、持ち運び容易なタブレット型端末装置Tの操作表示部100で行えるよう、出納機J(1)aからタブレット型端末装置Tに引き継ぐ処理である。
図7において、「1.在り高照会」をタッチ操作して選択した場合に表示される操作表示部100の表示例を図8に示す。図8に示すように、タブレット型端末装置Tの操作表示部100には、図7と同様の監査対象、監査状況および監査情報を引き続き表示している。また、図8に示すように、操作表示部100には、監査メニューから「1.在り高照会」が選択されたことを表示している。
加えて、図8に示す例では、収納庫A2に収納している現金の在り高が、金種Aの小束紙幣の10束(=金種Aのバラ紙幣の1000枚)と、金種Bの小束紙幣の5束(=金種Bのバラ紙幣の500枚)と、金種Cの小束紙幣の50束(=金種Cのバラ紙幣の5000枚)とであり、金種Aの小束紙幣の10束については監査済みであり、金種Bの小束紙幣の5束および金種Cの小束紙幣の50束については、未監査であることを示している。また、図8に示す例では、金種A〜Cの少なくとも一つに未監査が含まれることから、収納庫A2に収納している現金の在り高の小計についても、未監査であることを示している。
図6ないし図8に示す表示が行われる監査対象と同様な監査対象として、出納機J(1)aの操作表示部61の図4に示す表示画面おいて「6.金庫室」が選択される場合があり、その場合に表示される操作表示部61の表示の一例を図9に示す。図9に示すように、操作表示部61は、監査対象機器表示欄101に、監査対象の「6.金庫室」を表示している。また、図9に示すように、操作表示部61は、金庫室Kに関する監査状況(「本日:未」)および監査情報(「○/△注記無し」)を表示している。また、金庫室Kにあっては、現金処理機J(1)ではないことから、監査メニューとして、保管庫システムJ(2)cの場合の図6と同様、在り高照会が可能となるように「1.在り高照会」が選択可能とされ、これに加えて「5.その他」が選択可能とされるようになっている。
図4において「6.金庫室」を選択したときは、図6で示した、監査対象が「5.その他機器・収納庫類」である場合の一覧表示から、さらに、図6に示す個々の収納庫A1〜A4,B1〜B3等を選択したときと同様、店舗最上位機である出納機J(1)aでの監査はできない。このため、監査員はそれぞれの設置場所に移動する必要がある。そのような場合に備えて、操作表示部61に、図9に示すように、監査処理をタブレット移行するよう促す表示を表示させるとともに、「タブレット移行」の選択欄102を表示させる。
図9において、「タブレット移行」の選択欄102がタッチ操作されると、金庫室Kの監査について、出納機J(1)aからタブレット型端末装置Tに監査処理を引き継ぐことになる。よって、図6から図7への移行と同様に、タブレット型端末装置Tの操作表示部100が、図10に示す表示を表示させる。図10に示すように、操作表示部100は、図9と同様の監査対象の「金庫室」を監査対象機器表示欄103に表示しており、図9と同様の金庫室Kに関する監査状況および監査情報を表示している。加えて、操作表示部100は、図10に示すように、金庫室K内の監査についての監査メニューとして、「1.金庫室現金監査」と「2.金庫室非現金監査」とを選択可能に表示させている。
図10において「1.金庫室現金監査」が選択されると、タブレット型端末装置Tの操作表示部100が図11に示す表示を表示させる。図11に示すように、操作表示部100は、監査対象機器表示欄103に、監査対象の「金庫室」を引き続き表示している。また、図11に示すように、操作表示部100は、金庫室Kに関する監査状況および監査情報を引き続き表示している。加えて、図11に示すように、操作表示部100は、監査メニューの「金庫室現金監査」が選択されたことを表示している。さらに、図11に示す例では、操作表示部100は、金庫室K内の小金庫1〜3等に収納している現金の在り高を表示し、小金庫1については監査済みであり、小金庫2については未監査であり、小金庫3については未監査であることを示している。
監査員は、現金処理機J(1)等や、保管庫システムJ(2)cに収納されていない、金庫室Kに収納されている現金の在り高確認を行う。これは、「金庫室現金」として出納機J(1)aに記録されていてタブレット型端末装置Tに引き継がれた現金量(明細を含む)と、金庫室K内の現物の現金量とを人手により比較し、その結果を記録する作業である。
金庫室K内の非現金監査についても、現金でない点を除き、現金同様、それぞれの保管箇所と保管物明細が出納機J(1)aに記録されていて、これらをタブレット型端末装置Tに引き継いで監査することになる。図10において「2.金庫室非現金監査」を選択した場合、タブレット型端末装置Tの操作表示部100が図12に示す表示に切り替わる。操作表示部100は、図12に示すように、監査対象、監査状況および監査情報を引き続き表示している。加えて、操作表示部100は、図12に示すように、監査メニューの「金庫室非現金監査」が選択されたことを表示している。図12に示す例では、金庫室K内の書庫1および書庫2等に収納している非現金の重要物リストを表示し、書庫1,2について未監査であることを示している。
監査員は、このように、金庫室K内に収納していると出納機J(1)aに記録されている非現金の重要物リストをタブレット型端末装置Tの操作表示部100に表示しつつ、その金庫室K内における実際の収納状況を確認し記録する。
なお、出納機J(1)a以外の現金処理機J(1)b〜J(1)fにあっては、出納機J(1)aからの指示で監査動作を行い、出納機J(1)aでその監査動作を遠隔監視することも可能である。これに対して、監査員が、監査動作を指示した出納機J(1)a以外の現金処理機J(1)b〜J(1)fの目前に移動して、監査状況を目前監視できるよう、同じくタブレット移行できるようにしても良い。いずれの場合にも、出納機J(1)aを監査する場合も含めて、図4ないし図6に示すように、出納機J(1)aの操作表示部61には、「タブレット移行」の選択欄102が表示され、タブレット移行を可能としている。
{手順3}
出納機J(1)aにおいて、選択された現金処理機J(1)等に合わせた監査メニューが表示されると、監査員は、監査メニューの中から選択の上で、必要に応じて、当該現金処理機J(1)等に向かう。異常がなければ、監査員は、当該現金処理機J(1)等に行かずに出納機J(1)aにおいて監査が可能となる。または、出納機J(1)aにおいて選択された現金処理機J(1)等の監査が可能となった旨の表示がなされることになり、これを見て、監査員は、当該現金処理機J(1)等に向かう。そして、当該現金処理機J(1)等において表示される監査メニューを選択する。このようにしても良い。
上記に対し、図2の監査メニューの表示後にあっては、選択された監査メニューを実行可能な現金処理機J(1)等が選択的に表示され、監査員が、その一つを選択する。あるいは、複数選択可能とする。複数選択の際には、その処理順が、選択順で仮決定される。さらには、重要物取扱システムZ側で、処理順を明記する形で順番表示させても良い。
さらに、複数の現金処理機J(1)等の監査にあっては、監査が進む毎に、監査を要する現金処理機J(1)の一覧から、監査済みの機器と未監査の機器とが判るように区別表示するようにしたり、未監査の機器の一覧から監査済みの機器を順次除外して表示するようにしても良い。
変形例1の重要物取扱システムZによれば、一の重要物取扱装置Jである出納機J(1)aにおいて、この出納機J(1)aに加えて他の重要物取扱装置J(1)b〜J(1)f,J(2)a〜J(2)cおよび金庫室Kに対する監査処理を実行可能となる。そして、複数台の重要物取扱装置Jの監査業務を行う際に、上記実施形態と同様、監査処理に限定された監査メニューを選択することで、必要とするメニューを容易に且つ間違えることなく選択でき、これに基づいて監査業務を進めることができる。よって、操作に慣れていない人でも容易に複数台の重要物取扱装置Jの監査業務を進めることが可能となる。
また、一の重要物取扱装置Jである出納機J(1)aにおいて、他の重要物取扱装置J(1)b〜J(1)f,J(2)a〜J(2)cあるいは金庫室Kに対する監査処理を実行する際に、一の重要物取扱装置Jである出納機J(1)aにおける他の重要物取扱装置J(1)b〜J(1)f,J(2)a〜J(2)cあるいは金庫室Kに対する監査処理をタブレット型端末装置Tで引き継ぐことで、タブレット型端末装置Tを持参して他の重要物取扱装置J(1)b〜J(1)f,J(2)a〜J(2)cの設置場所あるいは金庫室Kに移動して監査処理を行うことができる。よって、他の重要物取扱装置J(1)b〜J(1)f,J(2)a〜J(2)cおよび金庫室Kに対する監査業務を容易に行うことが可能になる。
<変形例2>
変形例2では、図2の監査メニューにおける、「1.在り高照会」、または、「2.再勘(自動精査)」、または、「3.全回収」と「4.装填」とのセットの3パターンの監査を選択的に実行可能としている。そして、その選択の前段階として、監査対象の現金処理機J(1)が、監査パターンの推奨を行う。
例えば、監査着手時点において、監査対象である現金処理機J(1)の自動判断機能等によって自動精査が実施された直後の場合には、その旨を併せて操作表示部61に表示し、監査方法を選択できるように推奨する。すなわち、操作表示部61において、自動精査が実施された直後であることを表示するとともに、自動精査直後であるため改めての自動精査等の省略を推奨し、「2.再勘(自動精査)」や、「3.全回収」と「4.装填」とのセットの選択ではなく、「1.在り高照会」の選択を推奨する。これにより、監査員が、「1.在り高照会」の選択操作を行って監査を終了すれば、監査時間を短縮できる。
あるいは、前回自動精査処理の実行時点からの現金処理の取引件数を表示して、その基準値に対する多少により、監査方法を選択できるように推奨するようにしても良い。すなわち、取引件数が基準値より多ければ、「2.再勘(自動精査)」や、「3.全回収」と「4.装填」とのセットの選択を推奨し、取引件数が基準値以下であれば「1.在り高照会」の選択を推奨する。
図13は、図5に示す出納機J(1)aの操作表示部61の表示画面において、監査対象として現金処理機J(1)である「窓口機5」が選択されて「タブレット移行」が入力された場合のタブレット型端末装置Tの操作表示部100の表示例を示している。図13は、監査処理に際して、当該現金処理機J(1)が、自動精査等の現金計数動作を伴わない、データ上の現金在り高を回答するだけの監査対応は無理と、出納機J(1)aの制御部60が自動判断した場合の操作表示部100における画面表示例の一例である。
図13においては、図5に示す情報を引き継いでおり、監査対象が、窓口機5であることに加えて、窓口機5の監査状況および監査情報を示している。また、監査メニューとして、図2の「1.在り高照会」は画面表示せず、選択できないようにしている。これにより、監査員が、理論上の装置在り高を確認することのみで監査を終了してしまうことを防止する。
他方、特に図示しないが、上記した通り、監査着手時点において、前回自動精査を実施してからの時間、取引件数、エラー発生有無など、所定条件を満たしている場合には、「みなし再勘(自動精査)済み可能」の表示の上で、「1.在り高照会」を選択可能に表示させても良い。すなわち、前回自動精査を実施してからの時間が所定時間以下であり、前回自動精査を実施してからの取引件数が所定回数以下であり、前回自動精査を実施してからのエラー発生が無しの場合、「みなし再勘(自動精査)済み可能」の表示の上で、「1.在り高照会」を選択可能に表示させる。
また、エラー発生状況、在り高勘案(ニアフル情報)による再勘不能状況を自動判断して、「1.在り高照会」、「2.再勘(自動精査)」を選択できないように画面表示しないようにしても良い。すなわち、制御部60は、エラー発生状況が所定の条件を満たしていて、データ上の現金在り高を使用しない方が良いと判断した場合、操作表示部61に「1.在り高照会」を画面表示せず、これを選択できないようにする。また、在り高勘案(ニアフル情報)により再勘不能と判断した場合、操作表示部61に「2.再勘(自動精査)」を画面表示せず、これを選択できないようにする。すると、監査者は、「3.全回収」と「4.装填」とをセットで行うように操作を行う。
<変形例3>
変形例3では、変形例2と同様、図2の監査メニューにおける、「1.在り高照会」、または、「2.再勘(自動精査)」、または、「3.全回収」と「4.装填」とのセットの3パターンの監査を選択的に実行可能となっている。
その際に、制御部60は、取引履歴の記録機能を用いて、特異な取引の有無を判断し、特異な取引があるときには、その取引内容を操作表示部61に表示した上で、監査方法を選択可能とする。これにより、監査員は、取引内容を見て監査方法を3パターンの中から選択する。あるいは、制御部60は、特異な取引の取引内容に応じて、最適な監査方法を操作表示部61に表示して推薦し、その上で監査方法を3パターンの中から選択させるようにする。
ここで、「特異な取引」とは、例えば、監査対象が出納機J(1)aである場合に、通常の取引であれば、伝票印字があるはずなのに、伝票印字をキャンセルした取り引きがあった場合(伝票隠し)等である。あるいは、一旦、成立した取引を事後に取り消しする事後取消処理が発生していた場合に、原因があって取り消しているのであるから、それを確認する意味も含める。これらの「特異な取引」があった場合に、制御部60は、監査方法を操作表示部61に表示して推薦する際には、「2.再勘(自動精査)」、または、「3.全回収」と「4.装填」とのセットの選択を推奨する。
<その他の変形例>
「戻し処理」
上記したように、現金処理機J(1)においては、紙幣機内リジェクト部31あるいは硬貨機内リジェクト部51にリジェクト現金が発生し得るものであり、しかも、リジェクト現金を現金処理機J(1)内で自動的に再識別することはできず、人手によって確認することになる。
ここにおいて、自動再勘(自動精査)が不能な紙幣機内リジェクト部31あるいは硬貨機内リジェクト部51に現金がある場合については、その有無の指摘と、在り高確認(現物確認)のための操作が指示される。この在り高確認(現物確認)のための操作が「戻し処理」である。
紙幣機内リジェクト部31に紙幣があって「戻し処理」を行う場合、監査員は、紙幣機内リジェクト部31の紙幣を手で取り出して紙幣入金口20にセットし、現金処理機J(1)に対し紙幣入金処理および紙幣収納処理と同様の戻し処理を行わせて、紙幣入金口20の紙幣を紙幣入金識別部21で金種を確定させて紙幣収納部26に収納する。
また、硬貨機内リジェクト部51に硬貨があって「戻し処理」を行う場合、監査員は、硬貨機内リジェクト部51の硬貨を手で取り出して硬貨入金口40にセットし、現金処理機J(1)に対し硬貨入金処理および硬貨収納処理と同様の戻し処理を行わせて、硬貨入金口40の硬貨を硬貨入金識別部41で金種を確定させて硬貨収納部46に収納する。
なお、上記「戻し処理」を行っても、どうしても金種を確定させることができない現金は、「戻し処理不能」として機外管理(手許金処理)とする。
「タブレット連携その他」
変形例1において、監査員は、例えば、店舗最上位機である出納機J(1)aを操作して他の現金処理機J(1)b〜J(1)f等に自動精査を行わせることになるが、他の現金処理機J(1)b〜J(1)f等で、紙幣機内リジェクト部31あるいは硬貨機内リジェクト部51に現金がリジェクトされる機内リジェクトが発生すると、出納機J(1)aから離れた場所にある他の現金処理機J(1)b〜J(1)f等まで移動して、リジェクトの戻し処理を行わなくてはならない。そして、この戻し処理後は、再び出納機J(1)aに戻ってきて、自動精査の終了を見届けることになる。
このような監査員の出納機J(1)aと他の現金処理機J(1)b〜J(1)f等との往復を解決する策として、タブレット型端末装置Tを活用する。
すなわち、出納機J(1)aを操作して行う自動精査をタブレット型端末装置Tにも連動させる。よって、監査員はタブレット型端末装置Tを持ったまま他の現金処理機J(1)b〜J(1)f等に移動して戻し処理を終了させたとき、タブレット型端末装置Tの操作表示部100で「戻し処理終了」をタッチ操作することで、監査の手順が進む。
加えて、タブレット型端末装置Tでも、自動精査全体の完了も操作することができるようにする。
以上を要約すると、重要物取扱システムZにおいて、一の重要物取扱装置Jである出納機J(1)aが、タブレット型端末装置Tと連動して監査の手順を進めることができるようにする。
なお、移動した先での監査期間中、タブレット型端末装置Tと連携している出納機J(1)aは、操作表示部61に、監査対応中である旨の表示を表示させて、通常使用は不可能な状態となる。
また、出納機J(1)aに連携する監査対象の他の現金処理機J(1)b〜J(1)fおよび非現金処理機J(2)a〜J(2)c等は、監査中である場合には、監査対応中使用不可の表示を表示させて通常使用は不可能な状態となり、監査前の状態である場合には、監査前使用不可の表示を表示させて通常使用は不可能な状態となり、監査終了後は、監査完了使用可の表示を表示させて通常使用が可能な状態となる。
<ID監査・PW(パスワード)監査について>
図2の監査メニューの中から「5.その他」を選択した時、および、図6に示す監査対象機器として「5.その他機器・収納庫類」を選択した時の監査メニューの中から「5.その他」を選択した時において、監査メニューには、一例として、ID監査と、PW監査とが含まれる。
上記した現金の監査に限らず、重要物取扱装置Jにおいては、登録された操作者IDについても監査が行われる。その場合、重要物取扱装置Jは、現金処理機J(1)は勿論、非現金を取り扱う鍵管理機J(2)bや保管庫システムJ(2)c等の非現金処理機J(2)についても、アクセス権限を必要とすることから、監査対象に含まれる。すなわち、現金を取り扱う現金処理機J(1)および非現金を取り扱う非現金処理機J(2)をそれぞれ使用するために登録された操作者IDと、実際に働いている実働職員の操作者IDとの一致確認を行う。
一例として、鍵管理機J(2)bのID監査・PW監査について説明する。鍵管理機J(2)b以外の非現金処理機J(2)a,J(2)cおよび現金処理機J(1)等においても同様にしてID監査・PW監査が行われる。
図14は、出納機J(1)aの操作表示部61の図6に示す表示画面において、「鍵管理機1」が選択されて、「タブレット移行」の選択欄102がタッチ操作された場合、すなわち、鍵管理機1を監査対象とした場合のタブレット移行後のタブレット型端末装置Tの操作表示部100の表示例を示す。すなわち、図14では、監査対象機器表示欄103に、監査対象が、鍵管理機1であることを示すとともに、鍵管理機1の監査状況が本日は未実施であることと、鍵管理機1の監査情報が、前回監査までの特記事項がないこととを示している。そして、鍵管理機1は、現金を一切取り扱わないので、図14においては、図2の「1.在り高照会」、「2.再勘(自動精査)」、「3.全回収」および「4.装填」の表示はなく、「5.その他」の表示しかない。選択すべき項目が一つしかない本例にあっては、これを省略し、図15に移行しても良い。
図15は、図14の表示画面で、「5.その他」が選択された場合のタブレット型端末装置Tの操作表示部100の表示例を示す。図15においても、図14と同様の監査対象、監査状況および監査情報を引き続き示している。他方、図15の表示例では、監査メニューの「5.その他」が選択されたことと、ID監査を行う場合に選択される「1.ID監査」の表示と、PW監査を行う場合に選択される「2.PW監査」の表示とを含んでいる。
「ID監査」
図16は、図15において「1.ID監査」が選択された場合のタブレット型端末装置Tの操作表示部100の表示例を示している。図16においては、図15と同様の監査対象、監査状況および監査情報と、監査メニューの「5.その他」が選択されたこととを引き続き示している。そして、図16は、ID監査を紙データに基づいて行う場合に選択される「1.紙データ比較」の表示と、ID監査を電子データに基づいて行う場合に選択される「2.電子データ比較」の表示とを含んでいる。
図16において、監査員が「1.紙データ比較」を選択すると、鍵管理機1が、それに記憶されている操作者IDの数と操作者IDとを表示させる。すると、監査員は、操作者IDを手持ちの紙データに基づいて確認する。すなわち、これは、監査員が操作者ID(職員ID)のデータを紙で持っている場合である。この操作者IDのデータはID順などで表示されている。監査員は、まず、鍵管理機1に表示されている操作者IDの数と、紙データに記載されている、鍵管理機1に対する操作者IDの数との一致および不一致を確認する。その後、監査員は、鍵管理機1に表示されている操作者IDと、紙データに記載されている操作者IDとを突き合わせて監査する。
図16において、監査員が「2.電子データ比較」を選択すると、操作者IDを電子データに基づいて確認する。すなわち、タブレット型端末装置Tが、実働職員の操作者IDを、監査対象機器である鍵管理機1に送信可能な場合は、図16において、「2.電子データ比較」のうちの「対象機で比較」が選択されることになり、鍵管理機1にて、タブレット型端末装置Tから送信された実働職員の操作者IDと、鍵管理機1に記憶された操作者IDとを照合する。その際に、不在職員の操作者IDをリストアップして鍵管理機1に表示可能であり、不在職員の操作者IDを鍵管理機1への操作で、鍵管理機1の記憶データから削除可能である(履歴記録)。また、実働職員だが未登録の操作者IDをリストアップして鍵管理機1に表示可能であり、鍵管理機1への操作で、鍵管理機1へ追加登録したり、未登録を維持したりできる。これにより、鍵管理機1の監査処理において、通常業務において使用する操作者IDについて監査することができる。
監査対象機器である鍵管理機1に登録されている機器登録操作者IDを、タブレット型端末装置Tに送信可能な場合は、「2.電子データ比較」のうちの「タブレットで比較」が選択されることで、タブレット型端末装置Tにて、鍵管理機1から送信された機器登録操作者IDと、タブレット型端末装置Tに記憶された機器登録操作者IDとを照合する。その際に、不在職員の機器登録操作者IDをリストアップしてタブレット型端末装置Tの操作表示部100に表示可能であり、操作表示部100への操作で鍵管理機1の記憶データから削除可能である(履歴記録)。また、実働職員だが未登録の機器登録操作者IDをリストアップしてタブレット型端末装置Tの操作表示部100に表示可能であり、操作表示部100への操作で鍵管理機1の記憶データへ追加登録したり、未登録を維持したりできる。これによっても、鍵管理機1の監査処理において、通常業務において使用する操作者IDについて監査することができる。
なお、実働職員の操作者IDを、タブレット型端末装置Tで持つ場合、タブレット型端末装置Tが本部サーバS(あるいは店舗サーバ)にアクセスしてデータを入手することができる。不在職員の操作者IDについては、転勤先・退職済み等、現況を表示可能とする。これにより、例えば、転勤した職員の操作者IDが一の現金処理機J(1)に登録されたままとなっていないかを確認できる。
「PW監査」
図17は、図15において「2.PW監査」を選択した場合のタブレット型端末装置Tの操作表示部100の表示例を示す。図17においては、図15と同様の監査対象、監査状況および監査情報と、監査メニューの「5.その他」が選択されたこととを表示させている。また、図17においては、PW監査を開始する場合にタッチ操作される「開始」の表示と、監査結果から割り出される不適PWの操作者IDをタブレット型端末装置Tの操作表示部100に表示させるか、用紙に印字するかの選択表示と、出力順を未変更期間別にするか部署別にするかの選択表示と、を含んでいる。
PW監査では、パスワードである暗証番号を所定期間(例えば3ヶ月)に1度変更するルールが守られているかの確認を行う。暗証番号の変更履歴を確認して、所定期間を超えて変更履歴のない登録職員の操作者IDを、タブレット型端末装置Tの操作表示部100への表示および用紙への印字の選択された一方で出力する。表示および印字の際の順番は、未変更期間順および部署別の選択された一方で出力するが、期間グループ別に出力するようにしても良い。
加えて、非現金を取り扱う重要物取扱装置Jとして説明した鍵管理機J(2)bや保管庫システムJ(2)cにあっては、複数の鍵、複数の保管箇所が存在するので、操作者IDの監査に加えて、操作者ID毎の、鍵毎、保管箇所毎のアクセス権限についての監査も行えるようにしても良い。例えば、鍵管理機J(2)bにあっては、特定鍵に対するアクセス権限が正しく設定されているか否かを確認する。また、鍵を用いない保管庫システムJ(2)cにあっては、特定保管箇所に対するアクセス権限が正しく設定されているかを確認する。