JP2021114665A - 通信機器用の外郭部材 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1は、通信機器用の樹脂製部品の金属めっきによる加飾手段の提案に係り、押釦スイッチのキートップや装飾部品異種の樹脂素材を一体に成形して成る通信機器用の多色樹脂成形部品であって、当該部品表面の互いに隔離された複数の領域に、同一金属又は異種金属のめっき膜を付着させることを特徴とする前記多色樹脂成形部品が開示されている。
携帯電話やスマートフォンのデザインは金属光沢調意匠に人気があり、筐体やキーパッドの外装を金属光沢調にする要望が強く、特許文献3では金属調や金属光沢感をより強調するために金属成分を含む高輝性インクを用いて形成された加飾層を含むキーシートが提案され、特許文献4では、電波透過性に優れた金属光沢調のキーパッド部材用積層フィルムが提案されている。
また前記基材シートの後面側には、着色層と厚盛り部とが配置されたものとすることができる。
前記着色層は、透光性及び電波透過性を有すると共に、前面側から見た際に前記メタリック風印刷シートに色彩を与えるものである。
前記厚盛り部は、透光性及び電波透過性を有すると共に、前面側から見た際に前記メタリック風印刷シートに立体的な装飾効果を与えるものである。
前記金属的反射層は、前記着色層及び前記厚盛り部よりも後面側に配置される。
前記厚盛り部は、前記基材シートの厚さ方向の断面において、後方に向かって突出しており、且つ、前記厚盛り部の周縁が湾曲部をなす。
前記厚盛り部の少なくとも一部の前記湾曲部の後面に前記金属的反射層が配置されることによって、金属的凹曲反射面が構成され、前記メタリック風印刷シートを前方から見た際、前記金属的凹曲反射面からの反射光を視認できるように構成されている。
前記細密領域は、前記着色層よりも小さな面積の前記透過部分と前記メタリック部分とが混在して配置されている領域である。
前記細密領域にある前記厚盛り部は細密厚盛り部であり、前記細密厚盛り部は、その前面側の前記着色層よりも小さな面積の微細厚盛り部分が集合した部分である。
前記金属的反射層が少なくとも複数の前記微細厚盛り部分の後面に配置され、少なくとも複数の前記微細厚盛り部分に前記金属的凹曲反射面が設けられ、前方から見た際、前記細密厚盛り部の前面側の前記着色層の中に、複数の前記微細厚盛り部分における前記金属的凹曲反射面からの反射光が視認されるように構成されたものとすることができる。
その結果、前記着色層が単一の平面的な着色であったとしても、複数の前記微細厚盛り部分による前記金属的凹曲反射面からの反射光が視認されることによって、輝きのある微細な立体模様を形成することができ、立体的な装飾効果や装飾の多様性を高めることができる。
また、前記着色層は、前面側から見た際に、前記メタリック風印刷シートに色彩を与えると共に文字、図形、模様などの視覚的表現をなすものとすることができる。
また、前記細密領域においては、複数の前記メタリック部分同士が隙間を隔てて配列され、前記隙間が1mm以内の微細な前記透過部分であるものとすることができる。
さらに本発明にあっては、前記着色層と前記細密厚盛り部との組み合わせによって多彩な立体表現が可能であり、例えば前記着色層とその下に配置される前記細密厚盛り部とによって、基材シートの前面側から見た際に、錯視、モアレ又は干渉縞が生じる図形を構成しているものとして実施することもできる。例えば細かな線状の模様の前記着色層と、細かな線状の凹凸模様の前記細密厚盛り部とを組み合わせるとそれぞれ単独の模様では表現できないような錯視、モアレ又は干渉縞が、両者の細かな線状模様の相互作用によって生じるようにすることができる。
なお、メタリック風印刷シートは、その最後面に透明または着色された調整層を配置して実施することができるものであり、着色された調整層を備える場合は、前記無着色非反射部分については調整層の色彩が見えることになる。
さらに本発明は、前記のメタリック風印刷シートと、その後方側に配置される後方部材とを備え、前方から見た際、前記メタリック風印刷シートが視認される位置に配置されたものとすることができる。
これによって、本発明は、通信に及ぼす電波の遮蔽の発生を抑制しつつ、金属光沢調の意匠性を高めることができる通信機器用の外郭部材を提供することができたものである。
なお図3などの各図は、説明のための図であるため各層の厚みなどの寸法を正確に示したものではない。
また、以下、使用者の目に近い方を前とし、使用者の目に遠い方を後とするものであり、「後面側に」とは「よりも後方に」との意味で用いられるものであり、例えば、「部材Xの後面側に部材Yを配置する」とは、部材Xの後面(使用者の目から遠い方)に部材Yを直接配置してもよいし、部材Xの後面と部材Yの前面との間に第3の部材Zを介在させてもよいことを意味する。「前面側に」も同様に「よりも前方に」(使用者の目に近い方)との意味で用いられる。なおこの実施の形態では、前後方向は、メタリック風印刷シート51の厚さ方向と同じ意味で用いられるもので、図3と図4のメタリック風印刷シート51の各断面図においては、前面側を上方に後面側を下方に配置して描いている。
本発明は、通信装置を備えた通信機器及びこれに装着される保護ケースを含む通信機器用の外郭部材に関するものである。通信機器とは、電波による通信装置を備えた各種の機器を意味するもので、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を含むモバイル通信機器を含むものである。保護ケースとは、スマートフォンやタブレットなどの通信機器を保護するためにこれに装着して用いられるケースである。外郭部材とは、これらの通信機器及び保護ケースの表面に配置される部材であり、スマートフォンやタブレットのケーシングやスイッチを含むものであり、また保護ケースのケース本体や各種の表面に現れる部材を含むものであり、本発明はこれらの各種部材に適用することができるものである。
図1は、スマートフォン1をその背面側(表示部を備えた正面側の反対側)から見た斜視図であり、外郭部材71としてのスマートフォン1のケーシングの表面にメタリック風印刷シート51が配置されている。
図2は、スマートフォンの保護ケース2の背面側から見た斜視図であり、外郭部材71としての保護ケース2の表面にメタリック風印刷シート51が配置されている。
メタリック風印刷シート51は、外郭部材71の本体の表面に接着などによって配置固定されるほか、インジェクション成形などで一体に成形して実施することができる。外郭部材71の本体が透明体の場合は本体の内面に配置しても構わない。言い換えれば、メタリック風印刷シート51は、外郭部材71の本体の外部から見える位置に配置されるものである。
図3を参照して本発明の一実施形態に係るメタリック風印刷シートを説明する。
図3に示されたメタリック風印刷シートは、透光性及び電波透過性を有する基材シート10と、基材シート10の後面側に配置された透光性を有する着色インキによる着色層52と、厚盛り部56及び金属的反射層57とを備える。ここで、本発明において、「透光性を有する」とは、光を透過する性質を有することをいい、透明や半透明の材質のものを用いることができる。また「電波透過性」とは、電波を透過する性質を有することをいい、特に高周波の電波を良好に透過することが好ましい。なお、以下の実施の形態では、金属的反射層57以外の各部材や各層は、特記しない限り透光性ならびに電波透過性を有するものとして実施されている。
電波透過性を有する基材シート10には、セルロースアセテートブチレート(CAB)樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製のフィルムやシートのほか、ガラス板等を用いることができ、単層であってもよく、2層以上の積層体であってもよい。基材シート10の厚さは、特に限定されないが、一般に50〜500μm、望ましくは100〜200μm程度とされる。
電波透過性及び透光性を有する着色インキによる着色層52は、基材シート10の後面側に配置される。また、着色層52は、平面状の基材シート10に沿って、平面状に配置される。透光性を有する着色インキには、色を有しかつ透光性を有する印刷用のインキを用い、無色透明のインキを含んでもよい。着色層52の厚みは、1〜20μm程度の範囲が好ましいものであるが、適宜変更して実施し得る。着色層52は、メタリック風印刷シート51の前面側に一色以上の色彩を与えると共に、多色にすることにより文字、図形、模様などの視覚的表現をなすもので、従来の印刷技術の適用により1回または複数回の印刷が施されることによってモノクロームまたは多色の印刷層による着色層52が形成される。
電波透過性および透光性を有する厚盛り部56は、着色層52の少なくとも一部の後面を含む位置に配置され、着色層52の後面側から後方に突出している。透光性を有する厚盛り部56は、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂やこれらの混合物又は化合物などの合成樹脂製の厚盛インキによって形成され、透光性を有するものであれば、透明であってもよく、着色インキと同様に顔料などで着色された透明であってもかまわない。
着色層52と金属的反射層57のみでは、その装飾効果は平面的に止まるものであるが、厚盛り部56が配置されることにより、立体的な装飾効果に高めることができる。
金属的反射層57は、金属箔やホログラム箔などの反射箔や金属色のインクを含んでもよく、厚盛り部56の少なくとも一部の後面に配置される。金属的反射層57は、鏡面状の反射や金属的光沢を与える。
メタリック風印刷シート51は、前面側から見て、金属的反射層57を備えたメタリック部分3と金属的反射層57を備えていない透過部分4とに区分される。透過部分4に位置する各層はいずれも電波透過性を備え、通信に必要な電波を良好に透過する。他方、金属的反射層57を備えたメタリック部分3は通信に必要な電波を透過させないか減衰させるものであり、メタリック風印刷シート51は、メタリック部分3と透過部分4とを備えることによって、全体として通信に必要な電波を透過させると共に高級感のあるメタリック風の加飾を、スマートフォン1や保護ケース2などの外郭部材に付与することができるものである。
厚盛り部56は、上述のとおり、着色層52の少なくとも一部の後面を含む位置に配置され、着色層52の後面側から後方に突出している。また、着色層52の後面側から後方に突出している厚盛り部56の、少なくともその周縁は、表面張力により、基材シート10の厚さ方向の断面において、後方に向かって湾曲した凹曲部58を備える。この凹曲部58の少なくとも一部の後面に金属的反射層57が配置され、金属的反射層57が金属的凹曲反射面59を構成する。従って、金属的凹曲反射面59は、基材シート10の厚さ方向の断面において、後方に向かって湾曲した面となる。
金属的反射層57は、上述のとおり、凹曲部58の少なくとも一部の後面に配置すればよく、厚盛り部56の後面と完全に一致する部分に配置してもよく、凹曲部58の少なくとも一部の後面と厚盛り部56に隣接する着色層52の少なくとも一部の後面に配置しても構わない。
以上のことから、厚盛り部56及び金属的反射層57を上記のように構成することにより、メタリック風印刷シート51に新たな装飾効果を発現させることができる。
この場合、より具体的には三者の外縁(外周線)の平面視におけるズレが3mm以内であることが好ましく、1mm以内であることがより好ましい。メタリック風印刷シート51を前方から見た際、これら三者の外縁が略一致していることにより、第2着色領域54、厚盛り部56及び金属的反射層57の全体が金属的反射効果を備えることができる。
なお図示は省略するが、メタリック風印刷シート51は、その最後面に調整層(図示せず)を配置してもよい。調整層の色は問わない。透明であってもよく、着色インキと同様に顔料などで着色されたものであってもかまわない。調整層は、粘着剤や接着剤の層とその後面に配置されたポリエチレンテレフタレート樹脂やポリカーボネート樹脂等の樹脂フィルムとから構成される。メタリック風印刷シート51を備えた外殻部材を形成する場合、メタリック風印刷シート51の最後面に調整層を配置することが望ましい。メタリック風印刷シート51の最後面に調整層を配置することにより、後方部材の色流れを抑えることができる。調整層の形成には、コーターでの塗布のほか、オフセット印刷やシルク印刷を用いることができる。
この実施の形態では、メタリック風印刷シート51の表面が平滑であるが、さらに表面が別個の平滑なシート(図示せず)を配置するなどしなくてもかまわない。また、後方部材にメタリック風印刷シート51を貼り付けて外殻部材を形成した場合、経時変化によって後面の凹凸が表面側の平滑性に影響を与えることも考えられるが、前記のようにメタリック風印刷シート51の後面の凹凸を緩和させることによって、平滑性の影響の発生を抑制することができる。
この実施の形態に係るメタリック風印刷シート51は、135℃の高温にも耐え得る耐熱性を有するものなど、素材の選択の自由度が高いものである。
これによって、一つの第2着色領域54の内部において、複数の微細厚盛り部分55による複数の金属的凹曲反射面59を配置することができる。その結果第2着色領域54においては単一の変化のない図形であったとしても、複数の微細厚盛り部分55によって多数の金属的凹曲反射面59が配置されるため、複雑な立体感や輝きをメタリック風印刷シート51の表面にもたらすことができる。
また金属的反射層57を備えたメタリック部分3と金属的反射層57を備えていない透過部分4とが微細な状態で混在するため、メタリック風印刷シート51を、スマートフォン1のケーシングや保護ケース2のほぼ全面に配置した場合であっても、内部の通信装置のアンテナの位置に関わらず、アンテナの送受信状態を阻害することを抑制することができる。
メタリック部分3(金属的反射層57を備えた微細厚盛り部分55)が点状の場合は、1平方センチメートル当たり9個以上存在するものであることがより望ましく、1つの点の最大径が1.0〜3.0mmであることが細密な装飾感を高める上で望ましいし、メタリック部分3(金属的反射層57を備えた微細厚盛り部分55)同士の間隔、言い換えれば金属的反射層57を備えていない透過部分4が1mm以上でもよいが、0.3〜0.6mm以上であることが、電波の送受信状況と細密な装飾感を高める上で望ましい。
具体的には図5(A)にて矢印で示される二重円の着色層52は、一色で示された二重円の図形であるに止まるが、図5(B)にて矢印で示された二重円の細密厚盛り部50は、微細厚盛り部分55の集合によって構成されたものである結果、図5(C)にて矢印で示された二重円は、あたかも多くの宝玉によって構成されたものであるかの如く、細密な図形が立体感豊かに表現されたものとなっている。
なお図3に示されるように、微細厚盛り部分55の形状や大きさは均一である必要はなく、表現する図形によって図5(B)に示されるように様々なものを用いることができる。
その結果、図4(E)(F)に示すように、平面において次の四つの部分が設けられることになる。
1)一致部分11:前記着色層と前記厚盛り部と前記金属的反射層とが一致した部分。
2)平面着色部分12:前記着色層のみで前記厚盛り部と前記金属的反射層とが存在しない部分。
3)無着色金属反射部分13:前記厚盛り部と前記金属的反射層のみで前記着色層が存在しない部分。
4)無着色非反射部分14:前記着色層、前記厚盛り部及び前記金属的反射層が存在しない部分。
その結果従来にも増して多彩な表現が可能となる。特に無着色非反射部分14をあえて設けることによって、一致部分11、平面着色部分12、無着色金属反射部分13の対比がより強調されることになる。
着色層52と微細厚盛り部分55が平面視において交差しているものとすることによって、上記の四つの部分が形成されたものである。
なお図4(B)に示すように、平面視において微細厚盛り部分55同士の間の部分に着色インキによる62を設けて実施することもできる。
また、図6(A)に示すように、着色層52を線分とし、微細厚盛り部分55を線分と点との組み合わせとして実施することもできる。
さらに図6(B)(C)(D)に示すように、微細厚盛り部分55を不定形なドットの集合体として実施することもできる。
図7(A)では着色層による縦の縞模様が表されていたに止まるが、図7(D)(E)(F)のメタリック風印刷シートでは、メタリック部分3が、着色層と厚盛り部と金属的反射層とが一致した一致部分11と、厚盛り部と金属的反射層のみで着色層が存在しない無着色金属反射部分13とで構成される。他方、透過部分4は、着色層のみで厚盛り部と金属的反射層とが存在しない平面着色部分12と、着色層、厚盛り部及び金属的反射層が存在しない無着色非反射部分14とで構成されることによって、電波の良好な送受信を阻害することなく多彩な細密模様が形成されたものである。
次に上述のメタリック風印刷シート51を製造する方法について説明する。
(メタリック風印刷シート51を製造する工程の概要:第1の例)
メタリック風印刷シート51を製造する工程は、透光性を有する基材シート10の後面側に透光性を有する着色インキによる着色層52を形成する着色ステップと、着色層52の後面側に透光性を有する厚盛り部56を形成する厚盛りステップと、厚盛り部56の後面側に金属的反射層57を形成する装飾ステップとを行うものである。
着色ステップは、透光性を有する着色インキを、種々の方法で、透光性を有する基材シート10の後面側に印刷することによって着色層52を形成する工程である。印刷にはオフセット印刷やシルク印刷やインクジェット印刷を用いることができるが、グラビア印刷等の他の印刷方法を用いることもできる。
また、着色層52として、厚盛り部56が後面側に配置されていない第1着色領域53と、厚盛り部56が後面側に配置されている第2着色領域54を形成してもよく、第1着色領域53と第2着色領域54とは、色相、明度、彩度のうち少なくとも一種が異なる違った色に着色されてもよい。
厚盛りステップは、着色層52の少なくとも一部の後面を含む位置に厚盛り部56を形成する工程である。
厚盛り部56は、着色層52と同様に透光性を有する厚盛インキを印刷することによって形成することができるが、他の手法によって形成してもよい。上述のとおり、厚盛り部56は、その厚み(t)や幅(l)がメタリック風印刷シート51の装飾効果を左右する大きな要因となるため、厚み(t)好ましくは75〜150μm、より好ましくは80〜100μm、幅(l)0.3mm〜3.0mmが適当であるが、これに限るものではない。この厚みを得るために、層厚みの大きなシルクスクリ−ン印刷を行うことが有利である。その際、1回から、5回程度の複数回の印刷を施してもよい。部分的に印刷回数を変えるなどして厚みの異なる複数種類の厚盛り部56を形成してもよい。他方厚盛り部56の厚みを同じにすることによって、印刷を施す際の印刷の版を共通して用いることができ生産効率を高めることができる。
装飾ステップは、厚盛り部56の少なくとも一部の後面に金属的反射層57を形成する工程である。厚盛りステップにて形成された厚盛り部56は、着色層52の後面側から後方に突出しており、厚盛り部56の少なくともその周縁は、表面張力により、基材シート10の厚さ方向の断面において、後方に向かって湾曲した凹曲部58を備える。そして、装飾ステップにて、この凹曲部58の少なくとも一部の後面に金属的反射層57を形成し、形成された金属的反射層57が金属的凹曲反射面59を構成するものである。
金属的反射層57の厚みは、適宜変更して実施し得るが、0.3〜0.5μm程度の範囲が好ましい。
本願のメタリック風印刷シート51を製造する他の製造例は、透光性を有する基材シート10の後面側に装飾部を形成する工程である。具体的には透光性を有する着色インキによる着色層52を形成する着色ステップと、透光性を有する厚盛インキによる厚盛り部56を形成する厚盛りステップと、厚盛り部56の後面側に金属的反射層57を形成する装飾ステップとを行うものである。
着色ステップは、透光性を有する着色インキを、種々の方法で、基材シート10の後面側に印刷することによって着色層52を形成する工程である。着色ステップにおいて、着色層52は、前方から見て、厚盛り部56が存在しない位置にある第1着色領域53と、厚盛り部56が存在する位置にある第2着色領域54とが形成され、第1着色領域53と第2着色領域54とは、色相、明度、彩度のうち少なくとも一種が異なる違った色に着色される。
着色層52を形成するための印刷方法や着色層52の厚みは、本願の第1実施形態と同じであり、説明を省略する。
厚盛りステップは、基材シート10の後面側に厚盛り部56を形成する工程である。
厚盛り部56を形成するための方法や、厚盛り部56の厚みや幅は、本願の第1実施形態と同じであり、説明を省略する。
装飾ステップは、厚盛り部56の後面側に金属的反射層57を形成する工程である。金属的反射層57は前面側からの光を反射するものであり、着色層52を透過した金属的反射層57からの反射光を前方の看者が視認するように構成されることから、金属的反射層57は、メタリック風印刷シート51の最も後面側に形成される。
金属的反射層57を形成するための方法や、金属的反射層57の厚みは、本願の第1実施形態と同じであり、説明を省略する。
メタリック風印刷シート51は、種々の方法によって外殻部材71と一体化することができる。
メタリック風印刷シート51は、スマートフォン1のケーシングや保護ケース2などの外殻部材71の本体に貼り付けて用いることも可能である。
合成樹脂による樹脂成形体を用いた外殻部材71については、貼合成型技術を適用することが可能である。貼合成型技術の方法としては、インモールド成形とアウトモールド成形のいずれも適用することができる。以下、接着剤や粘着剤を用いた貼り付けの例、インモールド成形を用いた貼り付けの例、アウトモールド成形を用いた貼り付けの例を示す。
図12(A)に示すように、外殻部材71の後面側にメタリック風印刷シート51の前面側を貼り付けることができる。外殻部材51はアクリル板等の透明体として実施される。外殻部材71(この例では透明体)とメタリック風印刷シート51との間は、粘着剤や接着剤などのシート間接合剤62によって接合される。粘着剤や接着剤は透明性の高いものが適当であり、且つ、シート間に気泡が混入し難いものを用いることが望ましい。例えば、接着剤としては、UV接着剤に代表される紫外線などの活性エネルギー線硬化型接着剤を用いることが有利である。
後面側に外殻部材71を貼り付けたメタリック風印刷シート51を前方から見た際、メタリック風印刷シート51が視認される位置に配置されており、金属的凹曲反射面59からの反射光を視認することができ、立体的な装飾効果を奏する。
図13は、インモールド成形の説明図であり、図13(A)に示すように、樹脂成型用の金型81、81を開き、金型の内部にメタリック風印刷シート51を配置する。
これにより、図13(C)に示すような、外殻部材71(この例では合成樹脂による樹脂成形体)とその前面に配置されたメタリック風印刷シート51とが一体となったインサート成形品を得ることができる。
次に、図15は、アウトモールド成形の例を示すものである。アウトモールド成形は、メタリック風印刷シート51の上下の差圧を利用して外殻部材71に貼り付けて賦形するもので、種々の形態のものが提案され実用化されており、これらを適宜選択して用いることができる。
なお、図1及び図2ではメタリック風印刷シート51を外郭部材71であるスマートフォン1やスマートフォンの保護ケース2の平面部分にのみ表したが、側面などの屈曲した部分や湾曲した部分にも配置することができるものであり、その際屈曲した部分や湾曲した部分のメタリック風印刷シート51と平面部分のメタリック風印刷シート51とが連続した一連のメタリック風印刷シート51を用いて実施することができるものである。
2 スマートフォンの保護ケース
3 メタリック部分
4 透過部分
10 基材シート
11 一致部分
12 平面着色部分
13 無着色金属反射部分
14 無着色非反射部分
50 細密厚盛り部
51 メタリック風印刷シート
52 着色層
53 着色領域
54 着色領域
55 微細厚盛り部分
56 厚盛り部
57 金属的反射層
58 凹曲部
59 金属的凹曲反射面
71 外殻部材
Claims (8)
- 通信装置を備えたモバイル機器及びこれに装着される保護ケースを含む通信機器用の外郭部材において、
前記外郭部材の少なくとも一部にメタリック風印刷シートが配置され、
前記メタリック風印刷シートは、前面側から見て、金属的反射層を備えたメタリック部分と金属的反射層を備えていない透過部分とを備え、
前記金属的反射層は、前記メタリック風印刷シートの厚さ方向の断面において湾曲している金属的凹曲反射面を備え、
前記透過部分は、前記通信装置への電波を透過する電波透過性を有することを特徴とする通信機器用の外郭部材。 - 前記金属的反射層は、透光性及び電波透過性を有する基材シートの後面側に配置された転写箔又は印刷インキによって構成され、
前記基材シートの後面側には、着色層と厚盛り部とが配置され、
前記着色層は、透光性及び電波透過性を有すると共に、前面側から見た際に前記メタリック風印刷シートに色彩を与えるものであり、
前記厚盛り部は、透光性及び電波透過性を有すると共に、前面側から見た際に前記メタリック風印刷シートに立体的な装飾効果を与えるものであり、
前記金属的反射層は、前記着色層及び前記厚盛り部よりも後面側に配置され、
前記厚盛り部は、前記基材シートの厚さ方向の断面において、後方に向かって突出しており、且つ、前記厚盛り部の周縁が湾曲部をなし、
前記厚盛り部の少なくとも一部の前記湾曲部の後面に前記金属的反射層が配置されることによって、金属的凹曲反射面が構成され、
前記メタリック風印刷シートを前方から見た際、前記金属的凹曲反射面からの反射光を視認できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の通信機器用の外郭部材。 - 前記メタリック風印刷シートは、前面側から見て少なくとも一部の領域に細密領域を備え、
前記細密領域は、前記着色層よりも小さな面積の前記透過部分と前記メタリック部分とが混在して配置されている領域であり、
前記細密領域にある前記厚盛り部は細密厚盛り部であり、
前記細密厚盛り部は、その前面側の前記着色層よりも小さな面積の微細厚盛り部分が集合した部分であり、
前記金属的反射層が少なくとも複数の前記微細厚盛り部分の後面に配置され、
少なくとも複数の前記微細厚盛り部分に前記金属的凹曲反射面が設けられ、
前方から見た際、前記細密厚盛り部の前面側の前記着色層の中に、複数の前記微細厚盛り部分における前記金属的凹曲反射面からの反射光が視認されるように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の通信機器用の外郭部材。 - 前記細密領域においては、点状又は線状の微細な前記メタリック部分が1平方センチメートル当たり3個以上存在するものであり、前記メタリック部分同士の間に前記透過部分が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の通信機器用の外郭部材。
- 前記細密領域においては、複数の前記メタリック部分同士が隙間を隔てて配列され、前記隙間が1mm以内の微細な前記透過部分であることを特徴とする請求項3又は4に記載の通信機器用の外郭部材。
- 前記細密厚盛り部とその前面側に重ねられた前記着色層とは、前面側から見てずれが生じており、
前面側から見て、前記メタリック部分は、着色層と厚盛り部と金属的反射層とが一致した一致部分と、厚盛り部と金属的反射層のみで着色層が存在しない無着色金属反射部分とで構成され、前記透過部分は、着色層のみで厚盛り部と金属的反射層とが存在しない平面着色部分と、着色層、厚盛り部及び金属的反射層が存在しない無着色非反射部分とで構成されていることを特徴とする請求項3〜5の何かに記載の通信機器用の外郭部材。 - 前記基材シートの後面側であって、前面側から見て少なくとも前記微細厚盛り部分同士の間の部分に着色インキによる後面側着色層が存在することを特徴とする請求項3〜6の何かに記載の通信機器用の外郭部材。
- 前記通信装置のアンテナの前面側に前記細密領域が配置されることを特徴とする請求項3〜7の何かに記載の通信機器用の外郭部材。
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