JP2021112209A - ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法 - Google Patents

ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021112209A
JP2021112209A JP2021078287A JP2021078287A JP2021112209A JP 2021112209 A JP2021112209 A JP 2021112209A JP 2021078287 A JP2021078287 A JP 2021078287A JP 2021078287 A JP2021078287 A JP 2021078287A JP 2021112209 A JP2021112209 A JP 2021112209A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extract
beer
quinic acid
flavor deterioration
taste
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2021078287A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7212715B2 (ja
Inventor
慶治 森田
Keiji Morita
慶治 森田
祐嗣 生田
Yuji Ikuta
祐嗣 生田
舞 金澤
Mai Kanazawa
舞 金澤
晶子 大澤
Akiko Osawa
晶子 大澤
将司 山崎
Masashi Yamazaki
将司 山崎
聡代 村社
Satoyo Murakoso
聡代 村社
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ogawa and Co Ltd
Original Assignee
Ogawa and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ogawa and Co Ltd filed Critical Ogawa and Co Ltd
Priority to JP2021078287A priority Critical patent/JP7212715B2/ja
Publication of JP2021112209A publication Critical patent/JP2021112209A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7212715B2 publication Critical patent/JP7212715B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】ビールテイスト飲料の経時的に発生する劣化臭の抑制に優れ、簡便かつ効果的にビールテイスト飲料の香味安定化に寄与する香味劣化抑制手段を提供することである。【解決手段】キナ酸及び感覚刺激物質を有効成分として含むことを特徴とするビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、キナ酸及び感覚刺激物質を有効成分として含有することを特徴とするビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、香味劣化抑制方法、香味劣化が抑制されたビールテイスト飲料、及びその製造方法に関する。
本発明によれば、ビールテイスト飲料を輸送又は保管中の熱や光などによって生じる経時的な香味劣化が抑制され、安定性に優れたビールテイスト飲料を提供することができる。
近年、消費者のニーズ、嗜好性の多様化や健康志向に伴い、アルコール、糖質(カロリー)、プリン体などを低減した又はこれらを含まないビールテイスト飲料(「ビール風味飲料」とも言う)が人気である。
こうしたビールテイスト飲料は、製造後消費されるまでの輸送や保管に伴って味や香りが徐々に変化し、作り立ての新鮮なビールテイスト飲料が有する本来の香味が損なわれ、劣化臭が発生することが知られている。
保存時の劣化臭としては、暗所にて数週間から数か月の保管中に徐々に発生するカードボード臭、酸化臭、老化臭(以下、これらを纏めて「老化臭等」という)といわれる劣化臭や、主に輸送中に紫外線に数時間から数日間照射されることによって生じる日光臭といわれる劣化臭がある。
ビールテイスト飲料の劣化臭対策として、所定量の2−メチル酪酸エチル及びリナロールを含有させる方法(特許文献1)や、ホップ成分のオキシダーゼ反応産物を含有させる方法(特許文献2)などが提案されている。
しかしながら上記の提案は、特定の風味設計のビールテイスト飲料には有効であるが、幅広い風味設計には対応できない、老化臭等と日光臭のどちらか一方に対してしか有効でないなどの問題点があり、そのため汎用的な劣化臭抑制手段が要望されている。
特開2015−139429号公報 特開2015−119645号公報 特開2007−14212号公報 特開2001−321115号公報
本発明は、ビールテイスト飲料の経時的に発生する劣化臭の抑制若しくは防止に関する従来技術における種々の問題点を解決するものであり、簡便かつ効果的にビールテイスト飲料の香味安定化に寄与する香味劣化抑制手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ビールテイスト飲料にキナ酸及び感覚刺激物質、具体的にはジンゲロール、ショウガオール、カプサイシン、サンショール、ピペリン、スピラントールからなる群より選択される1種又は2種以上の感覚刺激物質を添加することにより、老化臭等と日光臭の双方の劣化臭を抑制できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)キナ酸及び感覚刺激物質を有効成分として含有することを特徴とするビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤。
(2)感覚刺激物質が、ジンゲロール、ショウガオール、カプサイシン、サンショール、ピペリン及びスピラントールからなる群より選択される1種又は2種以上である上記の香味劣化抑制剤。
(3)キナ酸が、(i)コーヒー豆抽出物を加水分解処理し、加水分解処理物を精製して得られる精製物に含まれるキナ酸、又は、(ii)茶葉を水で抽出処理して抽出液を得、次いでその抽出液を吸着剤で精製処理して得られる精製物に含まれるキナ酸であることを特徴とする上記の香味劣化抑制剤。
(4)感覚刺激物質が、ショウガ抽出物に含まれるジンゲロールとショウガオール、トウガラシ抽出物に含まれるカプサイシン、サンショウ抽出物に含まれるサンショール、コショウ抽出物に含まれるピペリン、並びにオランダセンニチ抽出物に含まれるスピラントールからなる群より選択される1種又は2種以上である上記の香味劣化抑制剤。
(5)キナ酸を0.001〜10質量%、感覚刺激物質を0.0001〜1質量%含むことを特徴とする上記の香味劣化抑制剤。
(6)ビールテイスト飲料に、キナ酸及び感覚刺激物質を添加することを特徴とするビールテイスト飲料の香味劣化抑制方法。
(7)ビールテイスト飲料に、キナ酸を0.01〜100ppm、感覚刺激物質を0.001〜10ppmの濃度で添加することを特徴とする上記の香味劣化抑制方法。
(8)感覚刺激物質が、ジンゲロール、ショウガオール、カプサイシン、サンショール、ピペリン、スピラントールからなる群より選択される1種又は2種以上である上記の香味劣化抑制方法。
(9)キナ酸が、(i)コーヒー豆抽出物を加水分解処理し、加水分解処理物を精製して得られる精製物に含まれるキナ酸、又は、(ii)茶葉を水で抽出処理して抽出液を得、次いでその抽出液を吸着剤で精製処理して得られる精製物に含まれるキナ酸であることを特徴とする上記の香味劣化抑制方法。
(10)感覚刺激物質が、ショウガ抽出物に含まれるジンゲロールとショウガオール、トウガラシ抽出物に含まれるカプサイシン、サンショウ抽出物に含まれるサンショール、コショウ抽出物に含まれるピペリン、並びにオランダセンニチ抽出物に含まれるスピラントールからなる群より選択される1種又は2種以上である上記の香味劣化抑制方法。
(11)上記の香味劣化抑制剤が添加されてなるビールテイスト飲料であって、キナ酸が0.01〜100ppm、感覚刺激物質が0.001〜10ppmであることを特徴とするビールテイスト飲料。
(12)上記の香味劣化抑制剤を、キナ酸が0.01〜100ppm、感覚刺激物質が0.001〜10ppmとなるように添加する工程を含むことを特徴とするビールテイスト飲料の製造方法。
本発明のキナ酸及び感覚刺激物質を有効成分として含有することを特徴とする香味劣化抑制剤は、ビールテイスト飲料に添加することにより、経時的に生じる劣化臭(老化臭等と日光臭)を効果的に抑制することができる。
また、当該香味劣化抑制剤を添加する段階は、ビールテイスト飲料の製造工程のいずれの段階であっても良いので、すでに操業中の製造設備や工程の変更を伴わず、簡便な抑制手段である。
本発明のビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤は、極少量の添加量でビールテイスト飲料の経時的な劣化臭を抑制することが出来るので、抑制剤成分のキナ酸や感覚刺激物質自体の匂いや味がビールテイスト飲料の風味に悪影響を及ぼすことがない。
以上からして、本発明の香味劣化抑制剤は、既存のビール風味のアルコール飲料や清涼飲料であってもその製品設計(原材料や成分等)を大きく変えることなく使用できる点で汎用性があり、アルコール飲料業界や清涼飲料業界を始めとする食品業界にとって大いに有用である。
〔A〕香味劣化抑制剤
本発明の香味劣化抑制剤は、キナ酸と感覚刺激物質の双方を有効成分として含有することを特徴とする。
(1)キナ酸
本発明に使用するキナ酸(quinic acid)は、下記の式で表される1,3,4,5−テトラヒドロキシシクロヘキサン−1−カルボン酸である。
Figure 2021112209
本発明に使用するキナ酸は、クロロゲン酸の加水分解等の方法で化学合成したものであっても、天然物、例えばキナ酸含有植物から得られる成分であってもよい。さらに、試薬として販売されている市販のキナ酸を使用することができる。
しかしながら、価格等の実用性の観点、食の安全性やイメージの点から植物由来のキナ酸が好ましい。キナ酸はクランベリー果汁などに多く存在する他、クロロゲン酸などのキナ酸誘導体として植物中に広く分布するので、植物から慣用の抽出操作で得ることができるからである。
本発明において、キナ酸は、果汁、茶、コーヒーなどの可食性植物原料から得られるキナ酸を含有する植物抽出物を使用するのが好ましく、特にキナ酸含有量が多く、入手も容易でコストパフォーマンスに優れる茶葉やコーヒー豆を原料とするのが好ましい。
キナ酸含有植物抽出物は、植物抽出物中のキナ酸の含有量が1質量%以上、特に5質量%以上であることが好ましい。
例えば、特許文献3の「製造例1」に記載されている方法に従い、茶葉を水で抽出処理して得ることができる。具体的には、紅茶葉に蒸留水を加え、それを1時間、加熱還流して紅茶葉の抽出液を得、その抽出液を冷却した後、遠心濾過器で固液分離し、濾液を得た後、濾液に活性炭を加え、室温で1時間攪拌して吸着処理を行い、精製液を得、その後、精製液を冷却し、さらにセライトで濾過し、得られた濾液を凍結乾燥することにより、キナ酸を約4質量%含む紅茶葉抽出物を得ることができる。
また、特許文献4の「実施例1」に記載されている方法に従い、生コーヒー豆をアルカリ又は酵素で加水分解して得ることができる。具体的には、微粉砕したコーヒー生豆に、70重量%エタノール水溶液を加え、2時間加熱還流し、冷却後、遠心濾過器で固液分離し、濾過液をエタノール含量5重量%以下まで減圧濃縮し、タンナーゼを加え40℃、3時間攪拌して加水分解処理し、遠心分離により不溶物を取り除いた後、処理液に合成吸着剤を添加し、1時間攪拌し、その後濾過により合成吸着剤を濾別し、濾液を凍結乾燥することにより、キナ酸32%を含むコーヒー豆加水分解物を得ることができる。
(2)感覚刺激物質
本発明に使用する感覚刺激物質とは、人間の舌や口腔粘膜に作用し温度感覚、疼痛感覚を刺激して、いわゆる辛味(hot flavor)を引き起こす物質をいう。
具体的にはジンゲロール、ショウガオール、カプサイシン、サンショール、ピペリン、スピラントールなどを挙げることができ、これらを1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。キナ酸と同様に、これらの感覚刺激物質は、化学合成品又は植物由来の成分のいずれであってもよいが、価格等の実用性の観点、食の安全性やイメージの点から植物由来の成分が好ましい。
植物由来の感覚刺激物質を得るための方法としては、感覚刺激物質を含有する植物から、一般的な抽出方法を使用することができ、例えば、水や熱水、有機溶剤、またはそれらの混合物等を用いた一般的な溶剤抽出の他、超臨界流体抽出、蒸留、圧搾法などを挙げることができる。
得られた抽出物は、必要に応じて濾過又は遠心分離によって固形物を除いた後、そのまま用いるか又は溶媒を濃縮してもしくはスプレードライなどにより乾燥して用いてもよい。
上記抽出物を得るために使用する溶媒としては、水、またはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコール、酢酸エチルなどのエステル類、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレンアルコー
ル、グリセリンなどのグリコール類、ジエチルエーテル、石油エーテルなどのエーテル類、アセトン、酢酸などの極性溶媒、ベンゼン、ヘキサン、キシレンなどの炭化水素などを挙げることができ、これら溶媒は、単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記抽出方法により得られた感覚刺激物質は、更に、精製してもよい。この精製には、公知の天然有機化合物の分離や精製に用いる方法を使用できる。具体的には、カラムクロマトグラフィー、水との共沸による蒸留、水蒸気蒸留、分子蒸留、液状二酸化炭素抽出又は超臨界流体抽出などの方法を挙げることができる。
以下、具体的な感覚刺激物質であるジンゲロール、ショウガオール、カプサイシン、サンショール、ピペリン、スピラントールについて詳述する。
(a)ジンゲロール
ジンゲロール(gingerol)は、ショウガ(生姜)の辛味成分である。下記式において側鎖の炭素数が10個(n=4)のものが主成分で6−ジンゲオールとよばれ、炭素数が8〜14の類縁化合物がある。側鎖のケトアルコールの部分構造で、ヒドロキシル基が脱水してショウガオールに、レトロアルドール反応が起こればジンゲロンになる。
Figure 2021112209
(b)ショウガオール
ショウガオール(shogaol)も、生姜の辛味成分である。側鎖中に、二重構造を持つが
、貯蔵、乾燥中にジンゲロールから脱水によって生成すると考えられる。
Figure 2021112209
ジンゲロール及び/又はショウガオールを含むショウガ抽出物を使用する場合は、ショウガ科に属する多年生草本である生姜の根、茎及び/又は葉を原料とし、これをそのまま或いは粉砕(生もしくは乾燥)して抽出した抽出物や、この抽出物の精製物又は原料を圧搾抽出することにより得られる搾汁などを使用することができる。
ショウガ抽出物中のジンゲロール及び/又はショウガオールの含有量が1質量%以上(両方とも含まれる場合は合計量で1質量%以上)、特に10質量%以上であることが好ましい。
また、ショウガ抽出物は、ジンゲロール及び/又はショウガオールを含むものであれば、形態は問わず、例えばジンジャーオイル、ジンジャーオレオレジン、ジンジャーエクストラクトなどを使用することができる。
(c)カプサイシン
カプサイシン(capsaicin)は、トウガラシ(唐辛子)の主要辛味成分である。構造式
の芳香環を有するアミンをバニリルアミンといい、それに有機酸がアミド結合しているものを一般にカプサイシン類という。唐辛子の辛味成分として20種近いバニリルアミドが見出されている。
Figure 2021112209
カプサイシンを含むトウガラシ抽出物を使用する場合は、ナス科トウガラシ(capsicum)の果実部分を原料とし、これをそのまま或いは粉砕(生もしくは乾燥)して抽出した抽出物や、この抽出物の精製物又は原料を圧搾抽出することにより得られる搾汁などを使用することができる。
トウガラシ抽出物中のカプサイシンの含有量が1質量%以上、特に3質量%以上であることが好ましい。
また、トウガラシ抽出物は、カプサイシンを含むものであれば、形態は問わず、例えばトウガラシオイル、トウガラシオレオレジン、トウガラシエクストラクトなどを使用することができる。
(d)サンショール
サンショール(sanshool)は、サンショウ(山椒)の実の辛味成分である。化学構造から胡椒、唐辛子の辛味成分と同じアミド系辛味成分に分類される。二重結合について、シス型の異性体も知られている。
Figure 2021112209
サンショールを含むサンショウ抽出物を使用する場合は、ミカン科サンショウ (Zanthoxylum Piperitum DC.)及び、その同属植物であるアサクラザンショウ(Zanthoxylum piperium DC. Forma inerme Makino)、ヤマアサクラザンショウ(Zanthoxylum piperium DC. Forma brevispinosum Makino)、カショウ(Zanthoxylum Bungeanum Sieb.
et Zucc.)、イヌザンショウ(Zanthoxylum Schinifolium Sieb. et Zucc.)、フ
ユザンショウ(Zanthoxylum avicennae DC., Zanthoxylum simulans Hance,Zanthoxylum planispinum Sieb. et Zucc.)等を原料とし、これをそのまま或いは粉砕(生
もしくは乾燥)して抽出した抽出物や、この抽出物の精製物又は原料を圧搾抽出することにより得られる搾汁などを使用することができる。
品種としてはミカン科サンショウ属に属するJapanese pepper(学名Zanthoxylum piperitum)が好ましい。
サンショウ抽出物中のサンショールの含有量が1質量%以上、特に5質量%以上であることが好ましい。
また、サンショウ抽出物は、サンショールを含むものであれば、形態を問わず、例えばサンショウ抽出物として、サンショウオイル、サンショウオレオレジン、サンショウエクストラクトなどを使用することができる。
(e)ピペリン
ピペリン(piperine)は、コショウ(胡椒)の辛味の主要成分である。ピペリジンとアミド結合しているため、アミド系辛味成分に分類される。側鎖の二重結合は紫外線照射により一部cis型に異性化してピペリンより辛味の劣るシャビシンとなる。
Figure 2021112209
ピペリンを含むコショウ抽出物を使用する場合は、コショウ科に属するコショウ(Piper nigrum.別名はペッパー)の茎、根、葉、果実、種子などを原料とする。これをそのま
ま或いは粉砕(生もしくは乾燥)して抽出した抽出物や、この抽出物の精製物又は原料を圧搾抽出することにより得られる搾汁などを使用することができる。
コショウ抽出物中のピペリンの含有量が1質量%以上、特に10質量%以上であることが好ましい。
また、コショウ抽出物は、ピペリンを含有するものであれば、形態を問わず、例えばペッパーオイル、ペッパーオレオレジン、ペッパーエクストラクトなどを使用することができる。
(f)スピラントール
スピラントール(spilanthol)は、キク科オランダセンニチ(Spilanthes acmella)、キバナオランダセンニチ(Spilanthes acmella var. oleracea)等に含まれる辛味成分であり、下記の化学式で表されるN−イソブチル−2,6,8−デカトリエンアミドである。
CH3CH=CH−CH=CH(CH2)2CH=CHCONHCH2CH(CH3)2
スピラントールを含むオランダセンニチ抽出物を使用する場合は、キク科オランダセンニチ(Spilanthes acmella)、キバナオランダセンニチ(Spilanthes acmella var. oleracea)の全草、花頭などを原料とし、これをそのまま或いは粉砕(生もしくは乾燥)して抽出した抽出物や、この抽出物の精製物又は原料を圧搾抽出することにより得られる搾汁などを使用することができる。
オランダセンニチ抽出物中のスピラントールの含有量が1質量%以上、特に10質量%以上であることが好ましい。
また、オランダセンニチ抽出物は、スピラントールを含むものであれば、形態を問わず、例えばオランダセンニチ抽出物として、オランダセンニチオイル、オランダセンニチオレオレジン、オランダセンニチエクストラクトなどを使用することができる。
本発明のビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤は、キナ酸及び感覚刺激物質を有効成分として含むものであり、両者を撹拌機で均一になるまで混合するだけの混合物をそのまま香味劣化抑制剤として使用できるが、以下の通り、他の成分をさらに含む香味劣化抑制剤組成物としても良い。
キナ酸及び感覚刺激物質の混合物に、例えば、水、エタノール、グリセリン、トリエチルシトレート、プロピレングリコール等の液体希釈溶剤で適時希釈して得られる液剤の態様で使用しても良い。または、デキストリン等を添加し噴霧乾燥によりパウダー状にした粉末剤の態様で使用することも可能であり、用途に応じて種々の剤形を採用することが出来る。
香味劣化抑制剤における含有量は、キナ酸が0.001〜10質量%、感覚刺激物質が0.0001〜1質量%であることが好ましく、特に、キナ酸が0.01〜1質量%、感覚刺激物質が0.001〜0.1質量%からなることが好ましい。
本発明のビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤は、本発明の効果を阻害しない限度において、必要に応じて種々の任意成分を配合することもできる。
そのような任意成分の例としては、例えば、香料、甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色料、漂白料、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤などを例示することができる。
〔B〕ビールテイスト飲料
本発明における、ビールテイスト飲料とは、ビール風味又はビールのような風味を有する飲料をいい、例えば、酒税法で規定されるビール、発泡酒、リキュール類、スピリッツ類の他、清涼飲料として分類されるアルコールフリーのいわゆるノンアルコールビールが挙げられる。
アルコールを含むビールテイスト飲料の製造方法として、発酵製法と非発酵製法の二通りの製造方法がある。前者は、一般的な麦芽又は穀物類の糖化液を主原料として、酵母を用いてアルコール発酵させて製造する方法である。また、後者は酵母による発酵工程を経ないで、飲用水に、麦汁、麦芽エキス、糖類、香料、場合によってはアルコールなどを添加して製造する方法である。
本発明のビールテイスト飲料は、発酵製法、非発酵製法のいずれの製法で製造されたビールテイスト飲料にも適用することができる。
ビールテイスト飲料に対するキナ酸の添加量は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01〜100ppmであり、特に好ましくは0.1〜10ppmである。
キナ酸含有植物抽出物の場合は、抽出物に含まれるキナ酸が上記の量となるように抽出物を添加することが好ましい。
一方、ビールテイスト飲料に対する感覚刺激物質の添加量は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.001〜10ppmであり、特に好ましくは0.01〜10ppmである。
感覚刺激物質含有植物抽出物の場合は、植物抽出物に含まれる感覚刺激物質が上記の量となるように抽出物を添加することが好ましい。
添加量が少ないと、香味劣化抑制効果が十分ではなく、添加量が多いと、キナ酸及び感覚刺激物質が本来有している香味により、ビールテイスト飲料の香味が損なわれてしまう。
ビールテイスト飲料の製造において、キナ酸(キナ酸を含有する植物抽出物)と感覚刺激物質(感覚刺激物質を含有する植物抽出物)からなる香味劣化抑制剤の添加は、いずれの工程であってもよい。
なお、キナ酸が含まれるコーヒー豆又は茶葉の抽出物、ジンゲロールとショウガオールが含まれるショウガ抽出物、カプサイシンが含まれるトウガラシ抽出物、サンショールが含まれるサンショウ抽出物、ピペリンが含まれるコショウ抽出物、スピラントールが含まれるオランダセンニチ抽出物の各抽出物は、いずれも有機物複合体である植物体を抽出して得られる物である。このような植物体抽出物には、タンパク質、脂質、糖質等に加えて、その他多くの成分が含まれている。つまり、各抽出物は、いずれも公知の主要成分の他に多種多様な微量成分を含み、極めて複雑な組成物を構成する。
従って、本発明における各抽出物を構造や特性により直接特定するためには、構成成分の同定及び定量が必須となるが、全ての構成成分を同定及び定量することは、技術常識から見て不可能であるか、又はおよそ実際的ではない。
そこで、本発明においては各抽出物に含まれる香味劣化抑制成分以外の成分を網羅的に記載していない。
次に、製造例、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、下記の製造例、実施例に限定されるものではない。
〔1〕キナ酸含有植物抽出物
以下の通り、キナ酸含有植物抽出物を緑茶葉、紅茶葉、コーヒー豆から製造した。
[製造例1](キナ酸含有植物抽出物1:緑茶抽出物)
緑茶葉100gに蒸留水2,000gを加え、60℃で一時間攪拌した。40℃まで冷却後、遠心濾過器を用いて茶葉及び不溶物を分離後、分離液をセライト濾過し1,780gの抽出液を得た。
その抽出液を減圧下、液温50℃で液量が300gになるまで濃縮した。この濃縮液300gに95%エタノール360gを加えた後、10℃まで冷却し生じた不溶物をセライ
ト濾過し、濾液593gを得た。
更にその濾液に活性炭12gを加え、30分間攪拌後セライト濾過し、濾液を凍結乾燥することにより、キナ酸含有植物抽出物2.2gを得た。
HPLCを用いて分析した結果、キナ酸含有植物抽出物に含まれるキナ酸は、7.6質量%であった。
[製造例2](キナ酸含有植物抽出物2の調製:紅茶抽出物)
紅茶葉100gに蒸留水2,000gを加え、1時間加熱還流した。冷却後、遠心濾過器で固液分離し、濾液1,920gを得た。
その濾液に活性炭5gを加え、合成吸着剤(三菱化学社製「ダイヤイオンHP−20」(商品名))500mlを添加し、1時間攪拌した。
その後、濾過により合成吸着剤を除去し、濾液1,890gを得た。
濾液1,890gを陽イオン交換樹脂(三菱化学社製「ダイヤイオンSK1B」(商品名))1,000mlを充填したカラムに供し、空間速度SV=1で送液した。通過液は限外濾過膜(日東電工社製「NTU−2120」)により濾過した。
得られた濾液1,810gを凍結乾燥することにより、キナ酸含有植物抽出物5.9g
を得た。
HPLCを用いて分析した結果、キナ酸含有植物抽出物に含まれるキナ酸は、17.0質量%であった。
[製造例3](キナ酸含有植物抽出物3:コーヒー豆加水分解抽出物)
コーヒー生豆500gを微粉砕した後、70%エタノール水溶液5,000mlを加え、2時間加熱還流した。
冷却後、遠心濾過器で固液分離し、濾過液をエタノール含量5%以下まで減圧濃縮し、クロロゲン酸エステラーゼ(キッコーマン社製)1,000単位を加え40℃で3時間攪拌した。処理液を、遠心分離により不溶物を取り除き、合成吸着剤(三菱化学社製「ダイヤイオンHP−20」(商品名))1,000mlを充填したカラムに通導し、溶出してきた液を凍結乾燥することにより、キナ酸含有植物抽出物26.6gを得た。
HPLCを用いて分析した結果、キナ酸含有植物抽出物に含まれるキナ酸は、32質量%であった。
なお、クロロゲン酸エステラーゼの1単位は30℃の水中において3−カフェオイルキナ酸を1分間に1マイクロモル加水分解する酵素量である。
〔2〕感覚刺激物質
感覚刺激物質として、以下の市販品を用いた。
(a)ジンジャー抽出物(小川香料(株)社製)
抽出物中に、ジンゲロール19質量%、ショウガオール6質量%を含有
(b)トウガラシ抽出物(小川香料(株)社製)
抽出物中に、カプサイシン5質量%を含有
(c)サンショウ抽出物(小川香料(株)社製)
抽出物中に、サンショール15質量%を含有
(d)ペッパー抽出物(小川香料(株)社製)
抽出物中に、ピペリン35質量%を含有
(e)オランダセンニチ抽出物(小川香料(株)社製)
抽出物中に、スピラントール15質量%を含有
〔試験例1〕(ビールテイストアルコール飲料/光劣化抑制効果の評価)
(1)評価用サンプル飲料
市販のビールテイスト飲料(原材料:麦芽・ホップ、アルコール含有量:5%)に、表1に記載のとおり、製造例1〜3で得られたキナ酸含有植物抽出物、および市販品である感覚刺激物質を含む植物抽出物を添加したものを180mlガラス瓶(無色透明)に充填して試験例1のビールテイストアルコール飲料をサンプル飲料として作製した。
また、キナ酸と感覚刺激物質のいずれも全く含まない対照用のサンプル飲料(以下、「無添加サンプル飲料」という)を作製して、同様の劣化処理を行った。
(2)試験方法
サンプル飲料に、15,000ルクス、10℃で3日間光照射することで、光劣化の評価試験を行った。
(3)評価方法
無添加サンプル飲料を対照として、各サンプル飲料について、訓練されたパネラー4名により、劣化臭の強さおよび劣化臭を抑制する効果について官能評価を行った。
「非常に高い効果がみられた」を5点、「高い効果がみられた」を4点、「効果がみら
れた」を3点、「やや効果がみられた」を2点、「対象と同程度で、効果がみられなかった」を1点として、評価点の平均点を算出した。
平均点に応じて下記の基準に従い、評価結果を表1に記載した。
平均点が1.0〜2.0未満のとき、評価は×
平均点が2.0〜3.0未満のとき、評価は△
平均点が3.0〜4.0未満のとき、評価は○
平均点が4.0〜5.0以下のとき、評価は◎
Figure 2021112209
(4)試験結果
15,000ルクス、10℃で3日間光照射することで、無添加サンプル飲料は、腐敗臭、スカンク臭といった劣化臭が感じられた。
キナ酸含有植物抽出物のみ、又は感覚刺激物質含有植物抽出物のみを添加したサンプル飲料(比較例1〜7)は、無添加サンプル飲料と比較すると、劣化臭は弱く感じられたが、満足する効果は得られなかった。
一方、キナ酸含有植物抽出物および感覚刺激物質含有植物抽出物の双方を添加したサンプル飲料(実施例1〜9)は、いずれも顕著に劣化臭を抑制していた。
また、いずれのサンプル飲料も、キナ酸含有植物抽出物、及び感覚刺激物質含有植物抽出物由来の異味・異臭は感じられなかった。
特に、実施例1と実施例8のサンプル飲料については、前者は比較例1、比較例3と対比して、後者は比較例7と対比してわかるように、キナ酸と感覚刺激物質の合計量が、キナ酸のみ、又は感覚刺激物質のみの単品と同量又はそれ以下で効果がアップしていることから、キナ酸と感覚刺激物質の組み合わせによる相乗効果を確認することができた。
〔試験例2〕(ビールテイストアルコール飲料/熱劣化抑制効果の評価)
(1)評価用サンプル飲料
市販のビールテイスト飲料(原材料:麦芽・ホップ、アルコール含有量:5%)に、表2に記載のとおり、製造例1〜3で得られたキナ酸含有植物抽出物および感覚刺激物質を
含有する植物抽出物を添加したものを180mlガラス瓶に充填して試験例2のビールテイストアルコール飲料をサンプル飲料として作製した。
また、キナ酸と感覚刺激物質のいずれも全く含まない対照用のサンプル飲料(以下、「無添加サンプル飲料」という)を作製して、同様の劣化処理を行った。
(2)試験方法
サンプル飲料を40℃で7日間、暗所で保管することで、熱劣化の評価試験を行った。(3)評価方法
試験例1に記載の評価方法に従い、官能評価を実施した。評価結果を表2に示す。
Figure 2021112209
(4)試験結果
40℃で7日間、暗所で保管することで、無添加サンプル飲料は、加熱臭、紹興酒様といった劣化臭が感じられた。
キナ酸のみ、又は感覚刺激物のみを添加した比較例8〜14のサンプル飲料は、無添加サンプル飲料と比較すると、劣化臭は弱く感じられたが、満足する効果は得られなかった。
一方、キナ酸及び感覚刺激物質の両方を添加した実施例10〜18のサンプル飲料は、いずれも顕著に劣化臭を抑制していた。
また、いずれのサンプル飲料も、キナ酸含有植物抽出物、及び感覚刺激物質を含有する植物抽出物に由来する異味・異臭は感じられなかった。
〔試験例3〕(ビールテイストノンアルコール飲料/光劣化抑制効果の評価)
(1)評価用サンプル飲料
市販のノンアルコールビールテイスト飲料〔原材料:麦芽、ホップ、酸味料、香料、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK) 〕に、表3に記載のと
おり、製造例1〜3で得られたキナ酸含有植物抽出物および感覚刺激物質を含有する植物抽出物を添加したものを180mlガラス瓶(無色透明)に充填して試験例3のビールテ
イストノンアルコール飲料をサンプル飲料として作製した。
また、キナ酸と感覚刺激物質のいずれも全く含まない対照用のサンプル飲料(以下、「無添加サンプル飲料」という)を作製して、同様の劣化処理を行った。
(2)試験方法
サンプル飲料に、15,000ルクス、10℃で3日間光照射することで、光劣化の評価試験を行った。
(3)評価方法
試験例1に記載の評価方法に従い、官能評価を実施した。評価結果を表3に示す。
Figure 2021112209
(4)試験結果
15,000ルクス、10℃で3日間光照射することで、ビールテイストノンアルコール飲料においても、試験例1のビールテイストのアルコール飲料と同様に、無添加サンプル飲料は、腐敗臭、スカンク臭といった劣化臭が感じられた。
キナ酸のみ、又は感覚刺激物質のみを添加した、比較例15〜21のサンプル飲料は、無添加サンプル飲料と比較すると、劣化臭は弱く感じられたが、満足する効果は得られなかった。
一方、キナ酸及び感覚刺激物質の両方を添加した、実施例19〜27のサンプル飲料は、いずれも顕著に劣化臭を抑制していた。
特に、すなわち、実施例19、26と実施例27のサンプル飲料については、前者は比較例16と対比して、また後者は比較例21と対比してわかるように、キナ酸と感覚刺激物質の合計量が、キナ酸のみ若しくは感覚刺激物質のみの単品と同量又はそれ以下で効果がアップしていることから、キナ酸と感覚刺激物質の組み合わせによる相乗効果を確認することができた。
また、いずれのサンプル飲料も、キナ酸含有植物抽出物、及び感覚刺激物質に由来する異味・異臭は感じられなかった。
〔試験例4〕(ビールテイストノンアルコール飲料/熱劣化抑制効果の評価)
(1)評価用サンプル飲料
市販のノンアルコールビールテイスト飲料(原材料:麦芽、ホップ、酸味料、香料、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK))に、表4に記載のとおり、製造例1〜3で得られたキナ酸含有植物抽出物および感覚刺激物質を含有する植物抽出物を添加したものを180mlガラス瓶に充填して試験例4のビールテイストノンアルコール飲料をサンプル飲料をとして作製した。
また、キナ酸と感覚刺激物質のいずれも全く含まない対照用のサンプル飲料(以下、「無添加サンプル飲料」という)を作製して、同様の劣化処理を行った。
(2)試験方法
サンプル飲料を40℃で7日間、暗所で保管することで、熱劣化の評価試験を行った。(3)評価方法
試験例1に記載の評価方法に従い、官能評価を実施した。評価結果を表4に示す。
Figure 2021112209
(4)試験結果
40℃で7日間、暗所で保管することで、ビールテイストノンアルコール飲料においても、試験例2のビールテイストのアルコール飲料と同様に、無添加サンプル飲料は、加熱臭、紹興酒様といった劣化臭が感じられた。
キナ酸のみ、又は感覚刺激物質のみを添加した比較例22〜28のサンプル飲料は、無添加サンプル飲料と比較すると、劣化臭は弱く感じられたが、満足する効果は得られなかった。
一方、キナ酸及び感覚刺激物質の両方を添加した実施例28〜36のサンプル飲料は、いずれも顕著に劣化臭を抑制していた。
すなわち、実施例28、実施例30、実施例35、実施例36のサンプル飲料については、比較例22〜28のサンプル飲料と比較してわかるように、キナ酸と感覚刺激物質の合計量が、キナ酸のみ若しくは感覚刺激物質のみの単品と同量又はそれ以下で効果がアップしていることから、キナ酸と感覚刺激物質の組み合わせによる相乗効果を確認すること
ができた。
また、いずれのサンプル飲料も、キナ酸含有植物抽出物、及び感覚刺激物質含有植物抽出物に由来する異味・異臭は感じられなかった。
〔試験例5〕(香料添加ビールテイストアルコール飲料/熱及び光劣化抑制効果)
(1)評価用サンプル飲料
市販のノンアルコールビールテイスト飲料(原材料:麦芽、ホップ、酸味料、香料、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK))に、飲料中のエタノール含有量が5容量%になるように、99%エタノールを添加し、さらに、後記の表6の「ビール香料1」を0.1%、製造例1〜3で得られたキナ酸含有植物抽出物、および感覚刺激物質を含有する植物抽出物を添加したものを、180mlガラス瓶(無色透明)に充填して試験例5の香料添加ビールテイストアルコール飲料をサンプル飲料として作製した。
また、ビール香料1を含むが、キナ酸と感覚刺激物質のいずれも全く含まない対照用のサンプル飲料(以下、「無添加サンプル飲料」という)を作製して、同様の劣化処理を行った。
(2)試験方法
サンプル飲料を40℃、7,000ルクスで7日間保管することで、熱及び光劣化の評価試験を行った。
(3)評価方法
試験例1に記載の評価方法に従い、官能評価を実施した。評価結果を表5に示す。
Figure 2021112209
(4)試験結果
40℃、7,000ルクスで7日間保管することで、無添加サンプル飲料は、腐敗臭、加熱臭といった劣化臭が感じられ、「ビール香料1」を添加しただけでは、劣化臭は抑制することはできなかった。
キナ酸のみ、又は感覚刺激物質のみを添加した比較例29〜35のサンプル飲料は、無
添加サンプルと比較すると、劣化臭は弱く感じられたが、満足する効果は得られなかった。
一方、キナ酸、及び感覚刺激物質の両方を添加した実施例37〜45のサンプル飲料は、いずれも顕著に劣化臭を抑制していた。
また、いずれのサンプルも、キナ酸含有植物抽出物、及び感覚刺激物質を含有する植物抽出物由来の異味・異臭は感じられなかった。
〔試験例6〕(香料添加ビールテイストアルコール飲料/熱及び光劣化抑制効果)
(1)評価用サンプル飲料
前記試験例5の実施例43(紅茶抽出物中のキナ酸が1ppmおよびオランダセンニチ抽出物中のスピラントールが0.1ppm)の香料添加ビールテイストアルコール飲料に添加した「ビール香料1」を、表6の「ビール香料2」又は「ビール香料3」に代えて添加した以外は、同様にして香料添加ビールテイストアルコール飲料をサンプル飲料として作製した(それぞれ「実施例46」、「実施例47」)。
また、ビール香料2又はビール香料3を含むが、キナ酸と感覚刺激物質のいずれも全く含まない対照用のサンプル飲料(以下、「無添加サンプル飲料」という)を作製して、同様の劣化処理を行った。
(2)試験方法
試験例5と同様の条件で熱及び光劣化の評価試験を行った。
(3)評価方法
試験例1に記載の評価方法に従い、官能評価を実施した。
(4)試験結果
「ビール香料2」、「ビール香料3」は、「ビール香料1」に各種抽出物(すなわち、米抽出物、茶抽出物、くん液、フェネグリーク抽出物、バニラ抽出物、トウミツ抽出物)を追加したものであるが、そうした「ビール香料2」、「ビール香料3」を使用した場合においても、試験例5の無添加サンプル飲料と同様に、ビール香料の添加だけでは劣化臭を抑制できなかった。
これに対して、「ビール香料2」、「ビール香料3」に加えて、紅茶抽出物中のキナ酸が1ppmとオランダセンニチ抽出物中のスピラントールが0.1ppmになるように添加した実施例46、実施例47のサンプル飲料は、熱及び光による劣化臭を抑制することができた。
Figure 2021112209

Claims (12)

  1. キナ酸及び感覚刺激物質を有効成分として含有することを特徴とするビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤。
  2. 感覚刺激物質が、ジンゲロール、ショウガオール、カプサイシン、サンショール、ピペリン及びスピラントールからなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1に記載の香味劣化抑制剤。
  3. キナ酸が、(1)コーヒー豆抽出物を加水分解処理し、加水分解処理物を精製して得られる精製物に含まれるキナ酸、又は、(2)茶葉を水で抽出処理して抽出液を得、次いでその抽出液を吸着剤で精製処理して得られる精製物に含まれるキナ酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の香味劣化抑制剤。
  4. 感覚刺激物質が、ショウガ抽出物に含まれるジンゲロールとショウガオール、トウガラシ抽出物に含まれるカプサイシン、サンショウ抽出物に含まれるサンショール、コショウ抽出物に含まれるピペリン、並びにオランダセンニチ抽出物に含まれるスピラントールからなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の香味劣化抑制剤。
  5. キナ酸を0.001〜10質量%、感覚刺激物質を0.0001〜1質量%含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の香味劣化抑制剤。
  6. ビールテイスト飲料に、キナ酸及び感覚刺激物質を添加することを特徴とするビールテイスト飲料の香味劣化抑制方法。
  7. ビールテイスト飲料に、キナ酸を0.01〜100ppm、感覚刺激物質を0.001〜10ppmの濃度で添加することを特徴とする請求項6に記載の香味劣化抑制方法。
  8. 感覚刺激物質が、ジンゲロール、ショウガオール、カプサイシン、サンショール、ピペリン、スピラントールからなる群より選択される1種又は2種以上である請求項6又は7に記載の香味劣化抑制方法。
  9. キナ酸が、(1)コーヒー豆抽出物を加水分解処理し、加水分解処理物を精製して得られる精製物に含まれるキナ酸、又は、(2)茶葉を水で抽出処理して抽出液を得、次いでその抽出液を吸着剤で精製処理して得られる精製物に含まれるキナ酸であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の香味劣化抑制方法。
  10. 感覚刺激物質が、ショウガ抽出物に含まれるジンゲロールとショウガオール、トウガラシ抽出物に含まれるカプサイシン、サンショウ抽出物に含まれるサンショール、コショウ抽出物に含まれるピペリン、並びにオランダセンニチ抽出物に含まれるスピラントールからなる群より選択される1種又は2種以上である請求項6〜9のいずれか1項に記載の香味劣化抑制方法。
  11. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の香味劣化抑制剤が添加されてなるビールテイスト飲料であって、キナ酸が0.01〜100ppm、感覚刺激物質が0.001〜10ppmであることを特徴とするビールテイスト飲料。
  12. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の香味劣化抑制剤を、キナ酸が0.01〜100ppm、感覚刺激物質が0.001〜10ppmとなるように添加する工程を含むことを特
    徴とするビールテイスト飲料の製造方法。
JP2021078287A 2016-10-04 2021-05-06 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法 Active JP7212715B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021078287A JP7212715B2 (ja) 2016-10-04 2021-05-06 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016196145A JP6933888B2 (ja) 2016-10-04 2016-10-04 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法
JP2021078287A JP7212715B2 (ja) 2016-10-04 2021-05-06 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016196145A Division JP6933888B2 (ja) 2016-10-04 2016-10-04 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021112209A true JP2021112209A (ja) 2021-08-05
JP7212715B2 JP7212715B2 (ja) 2023-01-25

Family

ID=61907452

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016196145A Active JP6933888B2 (ja) 2016-10-04 2016-10-04 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法
JP2021078287A Active JP7212715B2 (ja) 2016-10-04 2021-05-06 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016196145A Active JP6933888B2 (ja) 2016-10-04 2016-10-04 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6933888B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6933888B2 (ja) * 2016-10-04 2021-09-08 小川香料株式会社 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法
JP7022003B2 (ja) * 2018-04-27 2022-02-17 小川香料株式会社 青汁飲料およびその製造方法、並びに青汁のオフフレーバーのマスキング剤およびマスキング方法
JP7468986B2 (ja) * 2018-05-10 2024-04-16 サッポロビール株式会社 ビールテイスト飲料及びその製造方法、並びにビールテイスト飲料のとげとげしい苦味を低減する方法
JP7144194B2 (ja) * 2018-05-29 2022-09-29 アサヒビール株式会社 麦芽発酵飲料及びその製造方法
EP3960841A4 (en) * 2019-04-26 2023-01-25 Suntory Holdings Limited BEVERAGE PRODUCTION PROCESS
KR102295062B1 (ko) * 2019-06-04 2021-08-27 서동구 커피가 함유된 맥주의 제조방법
JP7340469B2 (ja) * 2020-01-29 2023-09-07 サッポロビール株式会社 ビールテイスト飲料
JP7385515B2 (ja) 2020-03-24 2023-11-22 株式会社日清製粉グループ本社 静菌用組成物、静菌方法及び加工食品

Citations (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6455171A (en) * 1987-08-25 1989-03-02 Ajinomoto Kk Beer having improved taste
JPH05244924A (ja) * 1993-02-08 1993-09-24 Kirin Brewery Co Ltd 酵母入りビール
JPH1042787A (ja) * 1996-08-05 1998-02-17 Ogawa Koryo Kk フレーバー用熱劣化抑制剤
JP2001131575A (ja) * 1999-11-05 2001-05-15 Nof Corp 臭気がマスクされた水産動物油脂
JP2001321116A (ja) * 2000-05-10 2001-11-20 Ogawa & Co Ltd 苦味・渋味抑制剤
JP2002104985A (ja) * 2000-09-29 2002-04-10 Gunze Ltd フリーラジカル消去活性剤
JP2005204555A (ja) * 2004-01-22 2005-08-04 Ogawa & Co Ltd 辛味増強剤
JP2006104071A (ja) * 2004-09-30 2006-04-20 Ogawa & Co Ltd 感覚刺激増強剤
JP2006223104A (ja) * 2005-02-15 2006-08-31 Ogawa & Co Ltd 高甘味度甘味料の呈味改善剤
JP2008048712A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 Yuko Kato 青唐辛子調理加工食品および製造方法
JP2010200659A (ja) * 2009-03-03 2010-09-16 Ogawa & Co Ltd 香味劣化防止剤
JP2011184429A (ja) * 2010-02-10 2011-09-22 Univ Of Tsukuba 低分子抗酸化剤及び高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物を含む組成物
WO2013094357A1 (ja) * 2011-12-21 2013-06-27 麒麟麦酒株式会社 アルコール感が付与された非アルコール飲料およびその製造方法
JP2015044766A (ja) * 2013-08-28 2015-03-12 花王株式会社 ショウガ抽出処理物の製造方法
WO2015156244A1 (ja) * 2014-04-08 2015-10-15 小川香料株式会社 炭酸飲料用の感覚刺激物質を含有する乳化組成物
JP2016082898A (ja) * 2014-10-24 2016-05-19 アサヒビール株式会社 非発酵ビール様発泡性飲料
CN105942019A (zh) * 2016-05-09 2016-09-21 马鞍山绿野生态农业(集团)有限公司 一种提高抗氧化能力鱼饲料添加剂
JP6933888B2 (ja) * 2016-10-04 2021-09-08 小川香料株式会社 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法

Patent Citations (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6455171A (en) * 1987-08-25 1989-03-02 Ajinomoto Kk Beer having improved taste
JPH05244924A (ja) * 1993-02-08 1993-09-24 Kirin Brewery Co Ltd 酵母入りビール
JPH1042787A (ja) * 1996-08-05 1998-02-17 Ogawa Koryo Kk フレーバー用熱劣化抑制剤
JP2001131575A (ja) * 1999-11-05 2001-05-15 Nof Corp 臭気がマスクされた水産動物油脂
JP2001321116A (ja) * 2000-05-10 2001-11-20 Ogawa & Co Ltd 苦味・渋味抑制剤
JP2002104985A (ja) * 2000-09-29 2002-04-10 Gunze Ltd フリーラジカル消去活性剤
JP2005204555A (ja) * 2004-01-22 2005-08-04 Ogawa & Co Ltd 辛味増強剤
JP2006104071A (ja) * 2004-09-30 2006-04-20 Ogawa & Co Ltd 感覚刺激増強剤
JP2006223104A (ja) * 2005-02-15 2006-08-31 Ogawa & Co Ltd 高甘味度甘味料の呈味改善剤
JP2008048712A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 Yuko Kato 青唐辛子調理加工食品および製造方法
JP2010200659A (ja) * 2009-03-03 2010-09-16 Ogawa & Co Ltd 香味劣化防止剤
JP2011184429A (ja) * 2010-02-10 2011-09-22 Univ Of Tsukuba 低分子抗酸化剤及び高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物を含む組成物
WO2013094357A1 (ja) * 2011-12-21 2013-06-27 麒麟麦酒株式会社 アルコール感が付与された非アルコール飲料およびその製造方法
JP2015044766A (ja) * 2013-08-28 2015-03-12 花王株式会社 ショウガ抽出処理物の製造方法
WO2015156244A1 (ja) * 2014-04-08 2015-10-15 小川香料株式会社 炭酸飲料用の感覚刺激物質を含有する乳化組成物
JP2016082898A (ja) * 2014-10-24 2016-05-19 アサヒビール株式会社 非発酵ビール様発泡性飲料
CN105942019A (zh) * 2016-05-09 2016-09-21 马鞍山绿野生态农业(集团)有限公司 一种提高抗氧化能力鱼饲料添加剂
JP6933888B2 (ja) * 2016-10-04 2021-09-08 小川香料株式会社 ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018057300A (ja) 2018-04-12
JP6933888B2 (ja) 2021-09-08
JP7212715B2 (ja) 2023-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6933888B2 (ja) ビールテイスト飲料の香味劣化抑制剤、及び香味劣化抑制方法
KR101187237B1 (ko) 마카 추출물 함유 알코올 음료
WO2005039301A1 (ja) 茶生葉パウダー、茶生葉パウダーより得られる処理物、抽出物、オイルおよびアロマ
EP3225115A1 (en) Flavor-improving agent
JP7382322B2 (ja) 炭酸刺激飲食品用の炭酸感増強剤
JP6356986B2 (ja) 風味改善剤
JP2021094024A (ja) 炭酸刺激飲食品用の炭酸感増強剤、香料組成物及び炭酸感が増強された炭酸刺激飲食品
WO2015125629A1 (ja) 酵素処理植物エキスの製造方法
KR20160049471A (ko) 산초 추출물에 의한 고감미도 감미료의 정미 개선제
CN105120686A (zh) 蘑菇提取物和呈味改善剂
JP2013009641A (ja) 後発酵茶抽出物の精製物及びそれを配合した飲食品
JP6212245B2 (ja) 新規蒸留酒類及びその製造方法
JP5376629B2 (ja) フレーバー劣化防止剤
JP5999826B2 (ja) ユーデスモールを有効成分とする自律神経調節用組成物及び飲料
KR100568939B1 (ko) 캡사이신 성분이 함유된 주류 및 그 제조방법
JP2007174915A (ja) 飲食品の酸味軽減剤
JP7282560B2 (ja) 飲食品の香味又は風味の劣化抑制用組成物及び劣化抑制方法
JP5153931B1 (ja) ユーデスモールを含有する非アルコール飲料
JP7299434B2 (ja) 果実香の成分を含有しているアルコール飲料
WO2009065239A1 (en) Compositions and their use
JP7235620B2 (ja) 果実香の成分を含有しているアルコール飲料
JP5911789B2 (ja) ユーデスモールを有効成分とする自律神経調節剤
JP6746672B2 (ja) 洋梨果汁精製物の製造方法
JP2006042625A (ja) 茶類抽出物の製造方法
JP2015156848A (ja) 冷涼感の増強方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210603

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7212715

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150