JP2021095818A - 木造建物の補強構造 - Google Patents

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正憲 飯田
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Masataka Hirabayashi
正尊 平林
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Ayumi Azeyanagi
歩 畔柳
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Abstract

【課題】柱を損傷し難い木造建物の補強構造を提供する。【解決手段】木造建物の補強構造は、互いに隣り合う木製の柱12に両端がそれぞれピン接合された鋼製の第一横架材30と、第一横架材30の下方において、互いに隣り合う柱12に両端がそれぞれピン接合された鋼製の第二横架材40と、第一横架材30及び第二横架材40に取り付けられた制振部材50と、を備えている。【選択図】図3

Description

本発明は、木造建物の補強構造に関する。
下記特許文献1には、柱と梁とで構成される構面同士が接合された建物の制振構造が示されている。この制振構造においては、接合される構面の上梁と下梁とが、ブラケット及び制振装置としてのダンパを用いて連結されている。
特開2003−97085号公報
上記特許文献1に示された制振構造のように、従来、ダンパ等の制振部材は、横架材に取り付けられる事が多い。横架材に取り付けられた制振部材に大きな耐力を期待した場合、横架材の材料によっては、制振部材の耐力に横架材の耐力が負けてしまう場合がある。この対策の一つとして、横架材をより強度の高い材料として耐力を高める方法が考えられる。例えば木造建物の横架材を鋼製とし、さらにこの横架材に制振部材を取り付ける方法が考えられる。
しかし、木造建物の横架材を鋼製とした場合、木製の柱の耐力が、鋼横架材の耐力より小さくなることがある。このため、木製の柱において、横架材との接合部が損傷する虞がある。
本発明は上記事実を考慮して、柱を損傷し難い木造建物の補強構造を提供することを目的とする。
請求項1の木造建物の補強構造は、互いに隣り合う木製の柱に両端がそれぞれピン接合された鋼製の第一横架材と、前記第一横架材の下方において、互いに隣り合う前記柱に両端がそれぞれピン接合された鋼製の第二横架材と、前記第一横架材及び前記第二横架材に取り付けられた制振部材と、を備えている。
請求項1に記載の木造建物の補強構造では、互いに隣り合う柱の上下に、鋼製の第一横架材及び第二横架材が架け渡されている。そして、第一横架材及び第二横架材には制振部材が取り付けられている。これにより、地震時に柱に挟まれた構面が変形すると、制振部材が変形する。このとき、制振部材が大きく変形し、第一横架材及び第二横架材に大きな力が作用する場合がある。このような場合においても、第一横架材及び第二横架材は鋼製とされているため、損傷し難い。これにより制振部材は十分に制振性能を発揮できる。
また、第一横架材及び第二横架材は、柱にピン接合されている。このため、第一横架材及び第二横架材が変形し易く、柱に挟まれた構面の変形が制振部材に伝達されやすい。これにより、制振部材の制振性能を効率良く引き出すことができる。
さらに、第一横架材及び第二横架材が柱にピン接合されていることで、第一横架材及び第二横架材に発生する応力が、柱に伝わり難い。このため、柱の損傷が抑制される。これに対して、第一横架材及び第二横架材が柱に「剛接合」されていると、接合部が損傷し易い。
請求項2の木造建物の補強構造は、請求項1に記載の木造建物の補強構造において、前記第一横架材、前記第二横架材及び前記制振部材は壁内に配置されている。
請求項2に記載の木造建物の補強構造では、第一横架材、第二横架材及び前記制振部材が壁内に配置されている。このため、これらの部材は外部から視認され難い。したがって、建物の意匠性を損なわず建物を補強することができる。
請求項3の木造建物の補強構造は、請求項1又は請求項2に記載の木造建物の補強構造において、前記柱に接合された木製の梁と、前記梁を含んで形成された横方向に沿う構面を補強する水平補強部材と、を備えている。
請求項3の木造建物の補強構造では、横方向に沿う構面が水平補強部材によって補強されている。このため、建物が地震時に水平力を受けた際に、横方向に沿う構面が面外に変形し難い。この結果、柱に挟まれた上下方向に沿う構面に地震力が作用し易くなる。これにより、制振部材の制振性能を発揮し易くできる。
本発明によると、柱を損傷し難い木造建物の補強構造を提供することができる。
本発明の第1、第2実施形態に係る木造建物の補強構造が適用された建物の架構の一部を示す斜視図である。 (A)は本発明の第1実施形態に係る木造建物の補強構造が適用される前における建物の架構の状態を示す立面図であり、(B)は架構から貫を撤去した状態を示す立面図であり、(C)は貫を撤去して形成された貫通孔に固定部材を固定した状態を示す立面図である。 (A)は本発明の第1実施形態に係る木造建物の補強構造を示す立面図であり、(B)は(A)におけるB−B線断面図であり、(C)は(A)におけるC−C線断面図である。 (A)は本発明の第1実施形態に係る木造建物の補強構造における固定部材の固定方法の変形例を示す立面図であり、(B)は(A)におけるB−B線断面図である。 (A)は本発明の第1実施形態に係る木造建物の補強構造を示した模式図であり(B)は地震時に建物に水平力が作用した状態を示す模式図であり、(C)はモーメント図である。 (A)は柱と第一横架材及び第二横架材とを剛接合した比較例に係る木造建物の補強構造を示した模式図であり(B)は比較例において地震時に建物に水平力が作用した状態を示す模式図であり、(C)はモーメント図である。 (A)は本発明の第1、第2実施形態に係る木造建物の補強構造において、水平構面補強部材が備えられた状態で建物に水平力が作用した状態を示す斜視図であり、(B)水平構面補強部材が備えられていない変形例において建物に水平力が作用した状態を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る木造建物の補強構造において第一横架材及び第二お横架材の変形例を示す立面図である。 (A)は本発明の第2実施形態に係る木造建物の補強構造を示す立面図であり、(B)は縦枠部材と横枠部材の接合方法を示す斜視図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る木造建物の補強構造について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
<建物>
図1には、建物10の架構の一部が示されている。建物10は、本発明の実施形態に係る「木造建物の補強構造」が適用される木造建物である。本発明は、住宅、公共施設等、様々な用途の木造建物に適用することができる。また、「新築」建物の補強及び「既存」建物の補強の何れにも適用することができる。
なお、本実施形態において、建物10は既存の伝統構法による木造建築とされ、耐震・耐暴風性能を高めるために制振構造が適用される。既存の伝統構法による木造建築は、その歴史的価値を鑑みて、柱や梁を大きく欠損する穿孔や切断等の工法は可能な限り低減することが好ましい。
建物10は、木製の柱12及び木製の梁14によって木造架構が形成されている。柱12は上下方向(Z方向)に沿って配置されている。柱12には、梁14が接合されている。より詳しくは、柱12には、X方向に沿う梁14X及びY方向に沿う梁14Yの少なくとも一方が接合されている。
なお、X方向及びY方向はそれぞれ互いに直交する方向であり、かつ、横方向(水平方向)に沿う方向である。また、梁14は、梁14X及び梁14Yの総称である。以下の説明においては、梁14X及び梁14Yについて、特に区別する必要がある場合を除き、梁14と称す。
また、互いに隣り合う柱12に挟まれた上下方向に沿う構面(X方向及びZ方向に沿う構面)を鉛直構面12Hと称し、互いに隣り合う梁14に囲まれた横方向に沿う構面(X方向及びY方向に沿う構面)を水平構面14Hと称す。
なお、鉛直構面12Hは必ずしも鉛直方向に沿う必要はなく、柱12が施工される際に生じる誤差程度は傾斜していてもよく、または捩じれていてもよい。同様に水平構面14Hも必ずしも水平面に沿う必要はなく、梁14が施工される際に生じる誤差程度は傾斜していてもよく、または捩じれていてもよい。
<補強部材>
鉛直構面12Hは、鉛直補強部材20によって補強されている。水平構面14Hは、水平補強部材80によって補強されている。図1には、鉛直補強部材20が配置される部分の一例を網掛で示している。
<柱の加工>
鉛直構面12Hを鉛直補強部材20で補強するためには、まず柱12を加工する。具体的には、図2(A)に示すように柱12に架け渡されている上下の貫16を、図2(B)に示すように撤去する。貫16は柱12の貫通孔12Aを貫通して配置されている。このため、貫16の撤去後、柱12には貫通孔12Aが露出する。
次にそれぞれの貫通孔12Aに、固定部材12Bを挿入し、固定部材12Bを柱12に固定する。固定部材12Bは鋼材で形成され、その外周面が、貫通孔12Aの内周面に直接当接する寸法とされている。又は固定部材12Bの外周面は、貫通孔12Aの内周面に緩衝材などを介して当接する寸法とされている。固定部材12Bは、両端が柱12から突出して配置される。固定部材12Bと柱12とは、固定部材12Bにおいて柱12から突出した部分に部材12Cをボルト固定することで、互いに位置決めされ補強のために柱に取り合うボルト等を配置する必要がない。
なお、部材12Cは、固定部材12Bの上面(又は下面)と柱12の側面とで形成される入隅部分12Eに配置されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば図4(A)、(B)に示すように、部材12Cは、固定部材12Bの側面と柱12の側面とで形成される入隅部分12Fに配置してもよい。
図2(C)に示すように、固定部材12Bにおいて、柱12から突出する一方の端部には、ピン接合用の挿入孔12BHが形成されている。固定部材12Bは、この一方の端部(つまり挿入孔12BH)が、補強構面(鉛直補強部材20が配置される構面)に位置するように、柱12に固定される。換言すると、互いに隣り合う柱12に固定される一対の固定部材12B同士は、挿入孔12BHが形成された端部同士が対向するように配置される。
<鉛直補強部材>
図3(A)には、鉛直補強部材20の構成が示されている。鉛直補強部材20は、互いに隣り合う柱12に挟まれた上下方向に沿う鉛直構面12Hを補強する部材である。この鉛直補強部材20は、第一横架材30と、第二横架材40と、制振部材50と、を含んで構成されている。
また、図3(B)に示すように、鉛直補強部材20は、壁内に配置されている。具体的には、鉛直補強部材20は板材60で被覆されている。板材60は、互いに隣り合う柱12間に亘って配置されており、柱12は露出している(所謂「真壁」構造)。なお、鉛直補強部材20は、柱12を板材60で被覆した「大壁」構造の壁内に配置することもできる。
(第一横架材)
図3(A)に示すように、第一横架材30は、本体部32、接合部34及び板状部36を備えている。本体部32は例えばH形鋼で形成され、鉛直構面12HにおいてX方向に沿って延設されている。また、本体部32のウェブがZ方向に沿って配置されている。
接合部34は、本体部32の両端とそれぞれ一体となっている。接合部34には、挿入孔34Hが形成されている。この挿入孔34Hは、固定部材12Bの挿入孔12BH(図2(C)参照)と連通するように配置される。そして、挿入孔34H及び挿入孔12BHに回転軸としての鋼棒を挿通することで、第一横架材30が固定部材12Bにピン接合される。すなわち、第一横架材30は、互いに隣り合う柱12に両端(一対の接合部34)がそれぞれピン接合される。
板状部36は、鋼板で形成され、上端部が本体部32と一体となっている。板状部36は、鉛直構面12HにおいてX方向に沿って、かつZ方向下向きに取り付けられている。板状部36の下端部には、制振部材50が取り付けられている。
(第二横架材)
第二横架材40は、第一横架材30の下方に配置されている。第二横架材40は、本体部42、接合部44及び板状部46を備えている。本体部42及び接合部44の構成は、第一横架材30における本体部32及び接合部34の構成と同様であり説明を省略する。また、接合部44における挿入孔44Hも、挿入孔34Hの構成と同様であり説明を省略する。
板状部46は、鋼板で形成され、下端部が本体部42の上フランジに溶接されている。板状部46は、鉛直構面12HにおいてX方向に沿って、かつZ方向上向きに取り付けられている。板状部46の上端部には、制振部材50が取り付けられている。
(制振部材)
制振部材50は、上プレート52、下プレート54及び粘弾性体56を備えている。上プレート52は、鉛直構面12HにおいてX方向及びZ方向に沿って配置され、第一横架材30の板状部36に接合されている。接合方法は特に限定されないが、本実施形態においてはスプライスプレート及びボルトを用いて接合されている。
下プレート54は、上プレート52を挟み込むようにして2枚配置されている。2枚の下プレート54は、それぞれ鉛直構面12HにおいてX方向及びZ方向に沿って配置され、第二横架材40の板状部46に接合されている。接合方法は特に限定されないが、本実施形態においてはボルトを用いて接合されている。
2枚の下プレート54のそれぞれと板状部46との間には、スペーサ58が配置されている。このスペーサ58によって、上プレート52と2枚の下プレート54との間に、隙間が形成されている。
上プレート52と下プレート54との間の隙間には、板状の粘弾性体56が配置されている。粘弾性体56の両面はそれぞれ、上プレート52及び下プレート54に接着されている。このため、上プレート52及び下プレート54がX方向及びZ方向に沿う面内において相対変位すると、粘弾性体56はせん断変形する。
<水平補強部材>
図1に示すように、水平補強部材80は、一例として、水平面を補強する火打ち梁82を含んで構成されている。この火打ち梁82は、梁14X及び梁14Yに囲まれた水平構面14Hを補強している。また、火打ち梁82建物10の床仕上げ材と天井仕上げ材の内部に配置されている。
具体的には、火打ち梁82は、互いに隣り合う2本の梁14X及び2本の梁14Yによって形成される矩形状の水平構面14Hの4隅に配置されている。それぞれの隅部において、火打ち梁82は、梁14X及び梁14Yの双方と交わる方向に配置されている。また、火打ち梁82は、その両端部が、梁14X及び梁14Yにそれぞれ接合されている。
火打ち梁82は、上下に隣り合う2つの水平構面14Hに配置されている。この2つの水平構面14Hの間の鉛直構面12Hは、鉛直補強部材20によって補強されている。換言すると、火打ち梁82は、柱12(鉛直補強部材20によって補強された鉛直構面12Hを形成する柱)の上下に接合されたそれぞれの梁14Xに囲まれた水平構面14Hを補強している。
なお、水平構面14Hに配置する水平補強部材80は、火打ち梁82に限定されるものではない。例えば水平構面14Hには、水平補強部材80として水平ブレース(不図示)を配置してもよい。また、水平補強部材80として構造用合板等の面材を配置してもよい。
<作用・効果>
本実施形態に係る木造建物の補強構造では、図3(A)に示すように、互いに隣り合う柱12の上下に、第一横架材30及び第二横架材40が架け渡されている。そして、第一横架材30及び第二横架材40には制振部材50が取り付けられている。地震時に柱12に挟まれた鉛直構面12Hが変形すると、制振部材50が変形する。このとき、制振部材50が大きく変形し、第一横架材30及び第二横架材40に大きな力が作用する場合がある。このような場合においても、第一横架材30及び第二横架材40は鋼製とされているため、損傷し難い。これにより制振部材50は十分に制振性能を発揮できる。
また、図5(A)の模式図に示すように、第一横架材30及び第二横架材40は、柱12(柱12に固定された固定部材12B)にピン接合(ピン接合部分を白丸で示す)されている。このため、図5(B)に示すように、第一横架材30及び第二横架材40が変形し易く、柱12に挟まれた鉛直構面12Hの変形が、制振部材50に伝達され易い。これにより、制振部材50の制振性能を効率良く引き出すことができる。
さらに、第一横架材30及び第二横架材40が柱12にピン接合されていることで、第一横架材30及び第二横架材40に発生する応力が、柱に伝わり難い。すなわち、図5(C)のモーメント図に示すように、第一横架材30及び第二横架材40と、柱12と、の間でモーメントが伝達され難い。これにより、柱への損傷が抑制される。
一方で、図6(A)の模式図には、比較例に係る第一横架材300及び第二横架材400が示されている。第一横架材300及び第二横架材400は、柱12に剛接合(剛接合部分を黒丸で示す)されている。このため、図6(B)に示すように、第一横架材300及び第二横架材400が、図5(B)に示す第一横架材30及び第二横架材40と比較して変形し難く、柱12に挟まれた鉛直構面の変形が、制振部材50に伝達され難い。これにより、制振部材50の制振性能を効率良く引き出し難い。
また、第一横架材300及び第二横架材400を柱12に剛接合することで、図6(C)のモーメント図に示すように、第一横架材300及び第二横架材400と、柱12と、の間でモーメントが伝達され易い。これにより、柱12が損傷し易くなる可能性がある。
また、本実施形態に係る木造建物の補強構造では、図3(B)に示すように、鉛直補強部材20(第一横架材30、第二横架材40及び制振部材50、図3(A)参照)が、壁内(板材60に挟まれる位置)に配置されている。このため、鉛直補強部材20は外部から視認され難い。したがって、建物10の意匠性を損なわず建物10を補強することができる。
また、本実施形態に係る木造建物の補強構造においては、図1に示すように、柱12に挟まれた上下方向に沿う構面(鉛直構面12H)が、鉛直補強部材20によって補強され、さらに、柱12に接合された梁14Xに囲まれた横方向に沿う構面(水平構面14H)が、水平補強部材80(火打ち梁82)によって補強されている。
これにより、図7(A)に示すように、地震時に建物10に水平力Pが作用しても水平構面14Hが変形(面外への撓み、捩じれ等の変形)し難い。この結果、柱12に挟まれた鉛直構面12Hに地震力が作用し易くなる。これにより、鉛直補強部材20の効果を有効に発揮し易い。なお、図7(A)においては、図示を簡略化するために、鉛直構面12Hにおける鉛直補強部材20は省略されている。
これに対して、図7(B)に示す水平構面140Hには、水平補強部材が設けられていない。このため、地震時に建物10に水平力Pが作用した場合、水平構面140Hは、水平補強部材80によって補強されている水平構面14Hと比較して、面外に変形し易い。この結果、柱12に挟まれた鉛直構面12Hに力が伝わり難くなる。この場合、鉛直補強部材20の効果を有効に発揮し難い。
また、本実施形態に係る木造建物の補強構造においては、図1に示すように、鉛直補強部材20によって補強された鉛直構面12Hの「上下」における水平構面14Hが、水平補強部材80(火打ち梁82)によって補強されている。
このため、何れか一方の水平構面14Hが水平補強部材80によって補強されていない場合と比較して、鉛直構面12Hに地震力が作用し易い。したがって、鉛直構面12Hを補強する鉛直補強部材20の効果をさらに有効に発揮できる。
なお、本実施形態において第一横架材30は、本体部32、接合部34及び板状部36を備えているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば図8に示す第一横架材62のように、第一横架材30における本体部32、接合部34及び板状部36に相当する部分を一体的に形成してもよい。すなわち、単板で形成してもよい。
このように形成することで、第一横架材の構成を簡略化できる。なお、第一横架材62の厚みは、求められる強度に応じて適宜設定する。また、必要に応じて適宜リブ補強することもできる。
第二横架材40についても同様に、第二横架材64に代えることができる。第二横架材64の構成は第一横架材62の構成と同様であるため説明は省略する。
また、本実施形態においては、鉛直補強部材20によって補強された鉛直構面12Hの上下における水平構面14Hが、水平補強部材80によって補強されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
例えば、鉛直補強部材20によって補強された鉛直構面12Hの「上方」の水平構面14H及び「下方」の水平構面14Hの少なくとも一方を水平補強部材80によって補強すればよい。この構成によっても、鉛直構面12Hが変形し易くなるため、鉛直補強部材20の効果を有効に発揮し易くできる。
さらに、鉛直補強部材20によって補強された鉛直構面12Hの「上方」の水平構面14H及び「下方」の水平構面14Hの何れも水平補強部材80によって補強しない構成としてもよい。この構成によっても、第一横架材30及び第二横架材40と、柱12とがピン接合されていれば、柱12の損傷を抑制できる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る木造建物の補強構造について、図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態との差異を中心に説明し、第1実施形態と共通する構成及び効果については説明を省略する。
第1実施形態においては、図2(A)〜(C)に示すように、柱12から貫16を撤去して、この撤去後に形成された貫通孔12Aに、固定部材12Bを挿入している。一方で、第2実施形態は、撤去可能な貫が無い場合に適用される実施形態である。
第2実施形態に係る木造建物の補強構造においては、第1実施形態の固定部材12Bに代えて、図9(A)に示すように、縦枠部材12Gが用いられている。縦枠部材12Gは鋼棒等を用いて形成され、柱12に沿って配置されている。
縦枠部材12Gは、柱12に対して貫通ボルトを介して固定されている。また、縦枠部材12Gと柱12との間には例えば金属製のスペーサSが配置され、縦枠部材12Gと柱12とが直接接触していない。
なお、縦枠部材12Gを柱12に固定する部材は貫通ボルトに限定されず、非貫通のラグスクリューボルトを用いてもよい。または、縦枠部材12G及び柱12の周囲に、繊維シート等を巻き付けることによって縦枠部材12Gを柱12に固定してもよい。
図9(B)にも示すように、縦枠部材12Gの上下端部には、ピン接合用の挿入孔12GHが形成されている。第2実施形態においては、柱12に固定されたこの縦枠部材12Gに対して、鉛直補強部材70(後述する横枠部材72A)がピン固定される。
図9(A)に示すように、鉛直補強部材70は、互いに隣り合う柱12に挟まれた上下方向に沿う鉛直構面12Hを補強する部材である。この鉛直補強部材70は、第一横架材72と、第二横架材74と、制振部材76と、を含んで構成されている。
第一横架材72は、横枠部材72Aと、板状部72Bと、を備えている。横枠部材72Aは、縦枠部材12Gと同様に、角型鋼管やチャンネル材、H形鋼等を用いて形成され、梁14に沿って配置されている。
横枠部材72Aと梁14とは離間して配置されている。なお、横枠部材72Aと梁14との離間距離は特に限定されるものではない。また、横枠部材72Aと梁14との間には、鉛直補強部材70を覆う板材等が介在していてもよい。
図9(B)に示すように、横枠部材72Aの両端部(左右端部、図9(B)においては一方の端部のみを示す)には、ピン接合用の挿入孔72GHが形成されている。この挿入孔72GHは、縦枠部材12Gの挿入孔12GH(上端部の挿入孔12GH)と連通するように配置される。
なお、縦枠部材12G及び横枠部材72Aは同一の厚みとされ、縦枠部材12Gの上下端部の中央部には、当該厚みの半分の厚みの切欠きが形成されている。一方で、横枠部材72Aの両端部の中央部には、当該厚みの半分の厚みの突起が形成されている。縦枠部材12Gと横枠部材72Aとを組み付ける際には、これらの切欠きと突起とを係合させる。
そして、挿入孔72GH及び挿入孔12GHに鋼棒を挿通することで、図9(A)に示す第一横架材72が、縦枠部材12Gにピン接合される。すなわち、第一横架材72は、互いに隣り合う柱12に両端がそれぞれピン接合される。
板状部72Bの構成は第1実施形態の第一横架材30における板状部36と同様であり説明を省略する。
第二横架材74は、第一横架材72の下方に設置され、縦枠部材12Gの下端部にピン接合されている。第二横架材74は、横枠部材74Aと、板状部74Bと、を備えている。横枠部材74A及び板状部74Bの構成は、第一横架材72における横枠部材72A及び板状部72Bと同様であり説明を省略する。
制振部材76は、上プレート76A、下プレート76B及び粘弾性体76Cを備えている。上プレート76A、下プレート76B及び粘弾性体76Cの構成は、第1実施形態の制振部材50における上プレート52、下プレート54及び粘弾性体56の構成(図3(A)、(C)参照)と同様であり詳しい説明を省略する。
なお、制振部材50における粘弾性体56は鉛直構面12Hの面内方向に沿って2枚設けられているが、制振部材76における粘弾性体76Cは鉛直構面12Hの面内方向に沿って1枚のみ設けられている。このように、粘弾性体の数量(換言すると鉛直構面12Hの面内方向に沿う面積)は特に限定されるものではない。
以上説明したように、第2実施形態に係る木造建物の補強構造においては、柱12に固定された縦枠部材12Gと、鉛直補強部材70を形成する横枠部材72A、74Aとが、互いに隣り合う柱12の間で矩形状の枠体を形成している。そして、縦枠部材12Gと横枠部材72Aとがピン接合され、縦枠部材12Gと横枠部材74Aとがピン接合されている。
この構成により、第2実施形態に係る木造建物の補強構造は、第1実施形態に係る木造建物の補強構造と同様の効果を得ることができる。また、横枠部材74Aは、梁14と離間して配置できるため、鉛直補強部材70の配置位置を自由に選定することができる。このため汎用性が高い。
なお、第2実施形態に係る鉛直補強部材70は、第1実施形態において説明した水平補強部材80と組み合わせて用いることができる。以上説明したように、本発明は様々な態様で実施できる。
12 柱
14X 梁
20 鉛直補強部材
30 第一横架材
40 第二横架材
50 制振部材
80 水平補強部材
82 火打ち梁(水平補強部材)

Claims (3)

  1. 互いに隣り合う木製の柱に両端がそれぞれピン接合された鋼製の第一横架材と、
    前記第一横架材の下方において、互いに隣り合う前記柱に両端がそれぞれピン接合された鋼製の第二横架材と、
    前記第一横架材及び前記第二横架材に取り付けられた制振部材と、
    を備えた木造建物の補強構造。
  2. 前記第一横架材、前記第二横架材及び前記制振部材は壁内に配置されている、請求項1に記載の木造建物の補強構造。
  3. 前記柱に接合された木製の梁と、
    前記梁を含んで形成された横方向に沿う構面を補強する水平補強部材と、
    を備えた、請求項2に記載の木造建物の補強構造。
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