JP2021064655A - 配線構造及びターゲット材 - Google Patents

配線構造及びターゲット材 Download PDF

Info

Publication number
JP2021064655A
JP2021064655A JP2019187146A JP2019187146A JP2021064655A JP 2021064655 A JP2021064655 A JP 2021064655A JP 2019187146 A JP2019187146 A JP 2019187146A JP 2019187146 A JP2019187146 A JP 2019187146A JP 2021064655 A JP2021064655 A JP 2021064655A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
zirconium
mol
layer
silicon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019187146A
Other languages
English (en)
Inventor
成紀 徳地
Narinori Tokuchi
成紀 徳地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Mining and Smelting Co Ltd filed Critical Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Priority to JP2019187146A priority Critical patent/JP2021064655A/ja
Publication of JP2021064655A publication Critical patent/JP2021064655A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
  • Internal Circuitry In Semiconductor Integrated Circuit Devices (AREA)

Abstract

【課題】銅を含む配線層を備えた配線構造において、該配線層の導電性を損なうことなく、電蝕を防止し且つ配線層の体積抵抗率の上昇を抑制すること。【解決手段】配線構造10は、窒化ケイ素又は純度90質量%以上の酸化ケイ素からなる層11と、該層11上に設けられた中間層12と、該中間層12上に設けられた配線層13とを備える。配線層13は銅を含む。中間層12はジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる。中間層12に含まれる銅及びジルコニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が2モル%以上33モル%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、配線構造に関する。また本発明は、該配線構造の製造に用いられるターゲット材に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイや有機ELといった表示デバイスのタッチパネル等に用いられる回路基板の配線膜として、近年、低抵抗であり、高融点の材料である銅が注目されている。しかし銅は、回路に用いられている材料の一種であるケイ素系材料との密着性が良好でないことから、銅の配線膜とケイ素系材料との間に密着層を配して両者の密着性を高める必要がある。この目的のために、特許文献1及び2には、SiOからなる絶縁性薄膜の表面に、Cu−Mg−Alからなる高密着性バリア膜を形成し、その上に純銅薄膜を形成して、高密着性バリア膜と純銅薄膜とからなる電極層を形成することが記載されている。
また本出願人は先に、ガラス基板と、該ガラス基板上に設けられた中間層と、該中間層上に設けられた銅を含む配線層とを備えた配線構造であって、該中間層がジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる配線構造を提案した(特許文献3)。
国際公開第2011/0024770号パンフレット 国際公開第2011/0052471号パンフレット 国際公開第2019/0093348号パンフレット
しかし、特許文献1及び2に記載の技術では、純銅薄膜に回路を形成するときに用いられるエッチング液が不可避的に回路中に残存した場合、該純銅薄膜と、Cu−Mg−Alからなる高密着性バリア膜との間で電蝕が生じることがある。また、これらの文献に記載のCu−Mg−Alは、密着性の向上の点でも改良の余地がある。
特許文献3に記載の技術によれば、ガラスとの密着性を高めることができるが、ガラス以外のケイ素系材料との密着性は検討されていない。
したがって本発明の課題は、銅を含む配線層を備えた配線構造において、該配線層の導電性を損なうことなく、電蝕を防止し且つ配線層とケイ素系材料との体積抵抗率の上昇を抑え、更には密着性を高める技術を提供することにある。
本発明は、窒化ケイ素又は純度90質量%以上の酸化ケイ素からなる層と、該層上に設けられた中間層と、該中間層上に設けられた配線層とを備えた配線構造であって、
前記配線層は銅を含み、
前記中間層はジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなり、
前記中間層に含まれる銅及びジルコニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が2モル%以上33モル%以下である配線構造を提供するものである。
本発明の配線構造は、銅を含む配線層と中間層とを同一のエッチング液によって一括エッチングでき、且つ電蝕の発生が起こりづらいものであり、また配線層の体積抵抗率の上昇を抑制され、更には配線層とケイ素系材料との密着性が向上したものである。
図1は、本発明の配線構造の一実施形態を示す厚み方向に沿う断面の模式図である。 図2は、本発明の配線構造の別の実施形態を示す厚み方向に沿う断面の模式図である。 図3は、配線抵抗測定用TEG形成パターンの上面の模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の配線構造の一実施形態が示されている。同図に示す配線構造10は、例えば薄膜トランジスタなどの各種の半導体デバイスとして用いられるものである。配線構造10は窒化ケイ素(SiN)又は純度90質量%以上の酸化ケイ素(SiO)からなる層(以下、これらの層を総称して「ケイ素含有層」という。)11を備えている。
ケイ素含有層11上には、銅を含む配線層13が設けられている。銅を含む配線層とは、純銅又は銅合金からなる電気回路の配線のことであり、一般には各種の薄膜形成方法によってケイ素含有層11上に形成された薄膜層から構成されている。
配線層13が銅合金から構成されている場合、該銅合金としては、例えば合金成分としてマンガン、マグネシウム、ビスマス及びインジウム等から選択される1種又は2種以上の元素を含む銅基合金が挙げられる。これらの合金成分は、銅基合金中に0.01モル%以上25モル%以下の割合で含有させることができる。配線層13が銅合金からなる場合、該銅合金は、後述する金属層14を構成する合金とは異種又は同種のものが用いられる。
配線層13が銅から構成されている場合、該配線層13は銅本来の導電性を有するものであれば、銅以外の他の元素を微量含むことは許容される。導電性を確保し、後述する中間層12とともにエッチングを容易とする観点からは、銅及び不可避不純物からなる合金であることが好ましく、酸素等のガス成分を除いた純度で3N以上の純度であることが更に好ましい。
配線層13の厚みは、配線構造10の具体的な用途に応じて任意に設定可能であり、例えば100nm以上2000nm以下に設定することができる。配線層13の厚みを100nm以上にすることで、配線構造として必要な導電性が確保される。また配線層13の厚みを2000nm以下に設定することで、多層積層基板に用いるときの障害にならず、また幅方向に対して過度に厚くならないことから高精細化に対応できる。更に、回路基板製造時の量産性が損なわれにくい。こうした観点から、配線層13の厚みは、更に好ましくは150nm以上1200nm以下であり、一層好ましくは200nm以上800nm以下である。
配線層13とケイ素含有層11との間には、これら両者の密着性を向上させるための中間層12が形成されている。図1においては中間層12が、ケイ素含有層11と直接に接しており、且つ配線層13とも直接に接している状態が示されている。つまり図1に示す実施形態においては、中間層12とケイ素含有層11との間には何らの層も介在していない。同様に同実施形態においては、中間層12と配線層13との間にも何らの層も介在していない。
中間層12は、配線層13とケイ素含有層11との密着性を向上させる観点から、ジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる材料から構成されている。すなわち中間層12は、銅−ジルコニウム(Cu−Zr)合金からなる(以下、「ジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金」を、「銅−ジルコニウム合金」ともいう。)。この合金組成を有する中間層12をケイ素含有層11と配線層13との間に設けることで、ケイ素含有層11と配線層13との密着性が効果的に向上することが、本発明者の検討の結果判明した。また、ジルコニウムは銅との拡散性が低い元素であることから、配線構造10を高温環境下で用いた場合であっても配線層13の導電性が低下しづらいという利点がある。このように、銅−ジルコニウム合金を中間層12として用いることで、配線層13の導電性を損なわずに、配線層13とケイ素含有層11との密着性を高めることができる。これらの利点は、後述する銅−ジルコニウム−ケイ素合金や、銅−ジルコニウム−ハフニウム合金や、銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金を中間層12として用いた場合にも同様に言えることである。
しかも、銅−ジルコニウム合金は、塩化銅や硫酸過水などの公知のエッチング液によって容易にエッチングできる。したがって、銅−ジルコニウム合金からなる中間層12を用いることで、エッチング時に溶解されない合金がケイ素含有層11上に残ることに起因する、ショート不良が発生しづらいという利点もある。その上、該エッチング液は、銅を含む配線層13もエッチングすることができるので、銅−ジルコニウム合金からなる中間層12を設けることで、配線層13と中間層12とを同一のエッチング液によって一括エッチングできるという利点もある。更に、銅−ジルコニウム合金からなる中間層12と、銅を含む配線層13とは、酸化還元電位が近似しているので、エッチング液が不可避的に残存した場合であっても電蝕が発生しづらいという利点もある。これらの利点は、後述する銅−ジルコニウム−ケイ素合金や、銅−ジルコニウム−ハフニウム合金や、銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金を中間層12として用いた場合にも同様に言えることである。
上述した配線層13とケイ素含有層11との密着性の向上を顕著なものとする観点や、電蝕の発生を一層抑制する観点から、ケイ素含有層11は、上述のとおり窒化ケイ素からなるか、又は純度90質量%以上、特に97質量%以上、とりわけ99質量%以上の酸化ケイ素からなる。したがって、例えば二酸化ケイ素の純度が低い一般のガラスは、本発明のケイ素含有層11からは除外される。
同様に、中間層12とケイ素含有層11との密着性の向上を一層顕著なものとする観点や、電蝕の発生を一層抑制する観点から、中間層12を構成する銅−ジルコニウム合金は、銅及びジルコニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が2モル%以上33モル%以下であり、2.5モル%以上25モル%以下であることが更に好ましく、5モル%以上10モル%以下であることが一層更に好ましい。
中間層12に含まれるジルコニウムによる、配線層13とケイ素含有層11との密着性を確保しつつ、配線構造10の製造時のエッチング性を容易にする観点や、電蝕の発生を一層抑制する観点から、中間層12は、更にケイ素又はハフニウムを含有することが好ましい。中間層12が、ケイ素及びハフニウムを含有することも好ましい。つまり中間層12は、ジルコニウムと、ケイ素又はハフニウムとを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる材料、換言すれば銅−ジルコニウム−ケイ素(Cu−Zr−Si)合金(以下、「ジルコニウム及びケイ素を含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金」を、「銅−ジルコニウム−ケイ素合金」ともいう。)から構成されているか、銅−ジルコニウム−ハフニウム(Cu−Zr−Hf)合金(以下、「ジルコニウム及びハフニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金」を、「銅−ジルコニウム−ハフニウム合金」ともいう。)から構成されているか、又は銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム(Cu−Zr−Si−Hf)合金(以下、「ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金」を、「銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金」ともいう。)から構成されていることが好ましい。
中間層12が銅−ジルコニウム−ケイ素合金から構成されている場合、銅−ジルコニウム−ケイ素合金は、銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が、2モル%以上33モル%以下であることが好ましい。ジルコニウムのモル数の割合を2モル%以上とすることで、配線層13からケイ素含有層11まで、それぞれの層間で密着性の向上が図れる。また、電蝕の発生の一層の抑制が図れる。ジルコニウムのモル数の割合を33モル%以下とすることで、配線構造の形成工程におけるエッチング性向上、及び中間層形成時の製造プロセスでの膜形成の容易さを確保できる。こうした観点から銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合は、2.5モル%以上25モル%以下であることがより好ましく3モル%以上23モル%以下であることが更に好ましく、5モル%以上9モル%以下であることが一層好ましい。ケイ素についても同様の観点から、銅−ジルコニウム−ケイ素合金は、銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計に対するケイ素のモル数の割合が、2モル%以上33モル%以下であることが好ましく、2.5モル%以上25モル%以下であることがより好ましく、3モル%以上23モル%以下であることが更に好ましく、5モル%以上9モル%以下であることが一層好ましい。
中間層12を構成する銅−ジルコニウム−ケイ素合金は、銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計に対する、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計の割合が4モル%以上40モル%以下であることが好ましい。ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計の割合を4モル%以上とすることで、密着性の向上が図れる。また、電蝕の発生の一層の抑制が図れる。ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計の割合を40モル%以下とすることで、ジルコニウム濃度を低く抑えて配線構造の形成工程におけるエッチングの容易さを確保できる。こうした観点から、銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計に対する、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計の割合は6モル%以上30モル%以下であることが好ましく、10モル%以上30モル%以下であることが更に好ましく、11モル%以上18モル%以下であることが更に好ましい。
中間層12が銅−ジルコニウム−ハフニウム合金から構成されている場合、銅−ジルコニウム−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が、2モル%以上33モル%以下であることが好ましい。ジルコニウムのモル数の割合を2モル%以上とすることで、配線層13とケイ素含有層11との密着性の向上が図れる。また、電蝕の発生の一層の抑制が図れる。ジルコニウムのモル数の割合を33モル%以下とすることで、配線構造の形成工程におけるエッチング性向上、及び中間層形成時の製造プロセスでの膜形成の容易さを確保できる。こうした観点から銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合は、3.0モル%以上25モル%以下であることが更に好ましく、5.2モル%以上9.9モル%以下であることが一層好ましい。ハフニウムについても同様の観点から、銅−ジルコニウム−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計に対するハフニウムのモル数の割合が、0.01モル%以上1.65モル%以下であることが好ましく、0.046モル%以上1.3モル%以下であることが更に好ましく、0.11モル%以上1.0モル%以下であることが一層好ましい。
中間層12を構成する銅−ジルコニウム−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計に対する、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計の割合が2モル%以上33モル%以下であることが好ましい。ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計の割合を2モル%以上とすることで、密着性の向上が図れる。また、電蝕の発生の一層の抑制が図れる。ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計の割合を33モル%以下とすることで、ジルコニウム濃度を低く抑えて配線構造の形成工程におけるエッチングの容易さを確保できる。こうした観点から、銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計に対する、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計の割合は3.1モル%以上20モル%以下であることが好ましく、5.3モル%以上10.1モル%以下であることが更に好ましい。
中間層12が銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金から構成されている場合、銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が、2モル%以上33モル%以下であることが好ましい。ジルコニウムのモル数の割合を2モル%以上とすることで、配線層13とケイ素含有層11との密着性の向上が図れる。また、電蝕の発生の一層の抑制が図れる。ジルコニウムのモル数の割合を33モル%以下とすることで、配線構造の形成工程におけるエッチング性向上、及び中間層形成時の製造プロセスでの膜形成の容易さを確保できる。こうした観点から銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合は、3モル%以上23モル%以下であることが更に好ましく、4モル%以上10モル%以下であることが一層好ましく、5モル%以上9モル%以下であることが更に一層好ましい。ケイ素及びハフニウムについても同様の観点から、銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計に対するケイ素及びハフニウムのモル数の合計の割合が、2モル%以上33モル%以下であることが好ましく、3モル%以上23モル%以下であることが更に好ましく、4モル%以上10モル%以下であることが一層好ましく、5モル%以上10モル%以下であることが一層好ましい。
中間層12を構成する銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計に対する、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計の割合が4モル%以上40モル%以下であることが好ましい。ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計の割合を4モル%以上とすることで、密着性の向上が図れる。また、電蝕の発生の一層の抑制が図れる。ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計の割合を40モル%以下とすることで、ジルコニウム濃度を低く抑えて配線構造の形成工程におけるエッチングの容易さを確保できる。こうした観点から、銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計に対する、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計の割合は5モル%以上30モル%以下であることが好ましく、9モル%以上20モル%以下であることが更に好ましい。
中間層12が銅−ジルコニウム合金から構成される場合、該銅−ジルコニウム合金は、上述のとおり、ジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金である。また、中間層12が銅−ジルコニウム−ケイ素合金から構成される場合、該銅−ジルコニウム−ケイ素合金は、上述のとおり、ジルコニウム及びケイ素を含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金であることが好ましい。また、中間層12が銅−ジルコニウム−ハフニウム合金から構成される場合、該銅−ジルコニウム−ハフニウム合金は、上述のとおり、ジルコニウム及びハフニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金であることが好ましい。更に、中間層12が銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金から構成される場合、該銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金は、上述のとおり、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金であることが好ましい。
銅−ジルコニウム合金、銅−ジルコニウム−ケイ素合金、銅−ジルコニウム−ハフニウム合金及び銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金が他の元素を含むか否かにかかわらず、不可避不純物の割合は、銅及びジルコニウムのモル数の合計、又は銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計、又は銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計、又は銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計に対して、2モル%以下であることが好ましく、1モル%以下であることが更に好ましい。不可避不純物の割合は、少なければ少ないほど好ましい。
中間層12は例えば各種の薄膜形成方法によって形成することができる。薄膜形成方法としては、スパッタリングや真空蒸着など、従来公知の方法を採用することができる。薄膜形成方法として例えばスパッタリングを行うに際しては、銅−ジルコニウム合金源として、ジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなるターゲット材を用い、スパッタリング装置のチャンバ内を一旦10−4Pa以下まで真空状態にした後に、該チャンバ内をAr雰囲気などとした状態下に、圧力0.1〜5.0Paでスパッタリングすることが好ましい。銅−ジルコニウム−ケイ素合金源としては、ジルコニウム及びケイ素を含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなるターゲット材を用いることが好ましい。銅−ジルコニウム−ハフニウム合金源としては、ジルコニウム及びハフニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなるターゲット材を用いることが好ましい。銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金源としては、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなるターゲット材を用いることが好ましい。これらのターゲット材における合金組成は、中間層12を構成する合金の組成と同様であり、同一の組成でもよい。つまり、このターゲット材は銅−ジルコニウム合金、又は銅−ジルコニウム−ケイ素合金、又は銅−ジルコニウム−ハフニウム合金、又は銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金からなるものであり、配線構造10において、ケイ素含有層11と配線層13との間の密着性を向上させるための中間層12の形成に用いられるものである。なお、このターゲット材には、中間層12と同様の理由により、銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウム以外の他の元素、例えば酸素を微量含むことは許容されるが、当該元素の含有量は、少なければ少ないほど好ましい。一方、より高純度のものは精製工程によるコストが高くなるため、当該元素の含有量が500ppm以上のものが好ましく、5000ppm以上のものがより好ましい。
前記のターゲット材が銅−ジルコニウム−ケイ素合金からなるスパッタリングターゲットである場合、該ターゲット中の銅−ジルコニウム−ケイ素(1:1:1)金属間化合物相の割合は、中間層12とケイ素含有層11との密着性の向上を一層顕著なものとする観点や、電蝕の発生を一層抑制する観点から、3%以上40%以下であることが好ましい。前記の割合は、後述の実施例における〔スパッタリングターゲット中の金属間化合物相の割合〕に記載の方法で算出される。
なお、前記のターゲット材は、スパッタリングに用いられることは勿論のこと、アークイオンプレーティング等の真空蒸着など、各種の物理気相成長法(PVD)のターゲット材としても好適に用いられる。
前記のターゲット材は当該技術分野において公知の種々の方法で製造することができる。例えば真空中で溶融させた銅及びジルコニウム並びに必要に応じてケイ素及び/又はハフニウムを原料とし、鋳造して合金化させる。次に、得られた鋳塊を用いてターゲット材を製造する。ターゲット材に加工する加工方法に特に制限はなく、例えば熱間鍛造でもよく、冷間鍛造でもよく、あるいは熱間圧延でもよい。また、ワイヤーソーで切り出し加工を行い、板材に形成してもよい。前記のターゲット材をスパッタリングターゲットとして用いる場合には、得られた板材を、スパッタリングの冶具であるバッキングプレートにインジウムなどのボンディング材を用いて貼り付ければよい。なお本発明において、ターゲット材とは、平面研削やボンディング等のターゲット材仕上げ工程前の状態も包含する。また、ターゲット材の形状は平板に限定されず、円筒形状のものも含まれる。本発明においてスパッタリングターゲットとは、こうした単数又は複数のターゲット材をバッキングプレート等にボンディングされるなどしてスパッタリングに供されるものをいう。
上述の方法で形成された中間層12の厚みは好ましくは10nm以上100nm以下である。中間層12の厚みを10nm以上に設定することで、ケイ素含有層11上にくまなく中間層12を形成することができ、ケイ素含有層11と配線層13との密着性を確実に向上させることができる。また、中間層12の厚みを100nm以下に設定することで、配線構造の体積抵抗率を不必要に高めることなく、且つ製造する際の生産性が損なわれないようにすることができる。この中間層12の厚みはケイ素含有層11と配線層13との密着性を向上させる範囲において前記範囲で任意に設定可能であり、更に好ましくは15nm以上80nm以下であり、一層好ましくは20nm以上50nm以下に設定することができる。
配線層13はケイ素含有層11と対向する面である第1面13aを有している。また配線層13は、第1面13aと反対側に位置する面である第2面13bを有している。第1面13aは、上述した中間層12と接している。第2面13b上には、後述する絶縁層15が設けられている。図1には、配線層13と絶縁層15とは直接に接しており、両層13,15間に他の層が介在していない状態が示されている。絶縁層15は、配線層13の第2面13bの全域を覆うように形成されている。したがって配線層13の第2面13bに露出した領域は存在していない。
本発明においては、ケイ素含有層11と中間層12との相互の密着性、更には第1面13aを介した中間層12と配線層13との相互の密着性が重要である。この密着性を高めるためにアニール処理(熱処理)を行うことが好ましい。このアニール処理の温度は一般に100℃以上であり、より好ましくは300℃以上、更に好ましくは500℃以上である。アニール処理の時間は、一般に15分以上120分以下である。このアニール処理は配線層13の成膜後であれば、任意の時期に行ってもよい。例えば、後述する絶縁層15の成膜後や、レジストのパターニング後でもよい。また上述のアニール条件を満たす範囲で成膜工程と同時に行ってもよい。アニール処理は例えば大気下で行うことができる。
図1に示すとおり、配線層13の上には絶縁層15が設けられている。絶縁層15は、配線層13の酸化を防止するとともに、異物等によるショートを防止する目的で付加的に設けられるものである。この目的のために絶縁層15は耐酸化性の高い材料から構成されている。耐酸化性の高い材料としては、例えば窒化物、炭化物及び酸化物などが挙げられる。これらの材料のうち、非酸化物からなる材料から絶縁層15を構成することが、耐酸化性を発揮させられる点から好ましい。非酸化物としては、例えば窒化物及び炭化物が挙げられ、特に窒化物を用いることが、耐酸化性を最大限に発揮させられる点から好ましい。窒化物としては、例えば金属又は半金属の窒化物が好適に用いられ、その例としては成膜が還元雰囲気で行えて配線層13の酸化の進行を抑制できる材料である窒化ケイ素などが挙げられる。酸化物としては、SiOなどのケイ素を含む酸化物、及びYなどの希土類を含む酸化物等が、薄膜トランジスタの安定性の点から好ましい。
絶縁層15は、耐酸化性を最大限に発揮させる観点から、配線層13及び中間層12の側面を含む全体を被覆するように設けられている。これに代えて、配線層13の第2面13b側の全域にのみ絶縁層を設けてもよい。
図2には本発明の別の実施形態が示されている。なお、図2において本実施形態に関し特に説明しない点については、先に説明した図1に示す実施形態に関する説明が適宜適用される。また図2において図1と同じ部材には同じ符号を付してある。本実施形態の配線構造10は、配線層13上に絶縁層15を備えるものである。配線層13と絶縁層15との間には金属層14が配されている。図2においては、金属層14が、配線層13と直接に接しているとともに、絶縁層15とも直接に接している状態が示されている。
絶縁層15と同様に、金属層14も付加的に用いられる層である。図2に示したように、配線層13上であって、且つ絶縁層15より下に金属層14を設けることで配線層13の酸化が一層効果的に防止される。金属層14及び絶縁層15は、配線層13の酸化防止のために択一的に用いることができる。すなわち、配線層13上に金属層14のみを設けてもよく、あるいは配線層13上に絶縁層15のみを設けてもよい。また、本実施形態のように配線層13上に金属層14及び絶縁層15をこの順で設けてもよい。一般に絶縁層15の成膜は、化学気相蒸着(CVD)法などにより、成膜温度を高めた状態で行われる。そのことに起因する熱負荷によって配線層13の導電性低下につながる可能性があるので、その点からは金属層14を設けた方が好ましい。いずれの態様であっても、絶縁層15の厚みは配線層13の酸化を防止し得る程度であればよく、好ましくは50nm以上500nm以下に設定することができ、更に好ましくは80nm以上300nm以下に設定することができる。
配線構造10において、上述した金属層14としては、ジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金、すなわち、銅−ジルコニウム合金が好適に用いられる。更に好適には、ジルコニウム、並びにケイ素及び/又はハフニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金、すなわち、銅−ジルコニウム−ケイ素合金、銅−ジルコニウム−ハフニウム合金、又は銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金が用いられる。これらの合金組成を有する金属層14を配線層13の上に設けることで、配線構造10の形成時のエッチング工程において、同一のエッチング液を用いた一括エッチングによって中間層12及び配線層13をともに任意の配線パターンに除去することが容易となる。更にはこうした層構造とすることで配線層13に含まれる銅の酸化が効果的に抑制されることが、本発明者の検討の結果判明した。このことに起因して、配線構造10は、酸化性雰囲気下でアニールした後であっても、アニールに起因する酸化の影響を受けづらいものとなる。
上述した酸化抑制の効果を一層顕著なものとする観点から、金属層14を構成する銅−ジルコニウム合金は、銅及びジルコニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合を5モル%以上33モル%以下とすることが好ましく、5モル%以上25モル%以下とすることが更に好ましく、10モル%以上20モル%以下とすることが一層好ましい。
金属層14が銅−ジルコニウム−ケイ素合金からなる場合には、該銅−ジルコニウム−ケイ素合金は、銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が、耐熱性を付与する観点から1モル%以上が好ましい。一方、金属層14をエッチング容易なものとしつつ、製造プロセスでの膜形成の容易さを確保する観点から33モル%以下とすることが好ましく、1モル%以上25モル%以下とすることが更に好ましく、2モル%以上20モル%以下とすることが一層好ましく、4モル%以上10モル%以下とすることがより一層好ましい。また、同様の観点から、金属層14を構成する銅−ジルコニウム−ケイ素合金は、銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計に対するケイ素のモル数の割合を1モル%以上33モル%以下とすることが好ましく、1モル%以上25モル%以下とすることが更に好ましく、2モル%以上20モル%以下とすることが一層好ましく、4モル%以上10モル%以下とすることがより一層好ましい。
更に、酸化抑制の効果を一層顕著なものとする観点から、金属層14が銅−ジルコニウム−ケイ素合金から構成される場合には、該銅−ジルコニウム−ケイ素合金は、銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計に対する、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計の割合が2モル%以上40モル%以下であることが好ましく、2モル%以上25モル%以下であることが更に好ましく、4モル%以上20モル%以下であることが一層好ましく、8モル%以上16モル%以下であることがより一層好ましい。
金属層14が銅−ジルコニウム−ハフニウム合金からなる場合には、該銅−ジルコニウム−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が、耐熱性を付与する観点から3モル%以上が好ましい。一方、金属層14をエッチング容易なものとしつつ、製造プロセスでの膜形成の容易さを確保する観点から33モル%以下とすることが好ましく、5モル%以上25モル%以下とすることが更に好ましく、10モル%以上20モル%以下とすることが一層好ましい。また、同様の観点から、金属層14を構成する銅−ジルコニウム−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計に対するハフニウムのモル数の割合を0.01モル%以上1.65モル%以下とすることが好ましく、0.02モル%以上1.3モル%以下とすることが更に好ましく、0.046モル%以上1.0モル%以下とすることが一層好ましく、0.11モル%以上1.0モル%以下とすることがより一層好ましい。
更に、酸化抑制の効果を一層顕著なものとする観点から、金属層14が銅−ジルコニウム−ハフニウム合金から構成される場合には、該銅−ジルコニウム−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計に対する、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計の割合が3モル%以上33モル%以下であることが好ましく、5モル%以上25モル%以下であることが更に好ましく、10モル%以上20モル%以下であることが一層好ましい。
金属層14が銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金からなる場合には、該銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が、耐熱性を付与する観点から3モル%以上が好ましい。一方、金属層14をエッチング容易なものとしつつ、製造プロセスでの膜形成の容易さを確保する観点から33モル%以下とすることが好ましく、5モル%以上25モル%以下とすることが更に好ましく、10モル%以上20モル%以下とすることが一層好ましい。また、同様の観点から、金属層14を構成する銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計に対するケイ素及びハフニウムのモル数の合計の割合を3モル%以上33モル%以下とすることが好ましく、5モル%以上25モル%以下とすることが更に好ましく、10モル%以上20モル%以下とすることが一層好ましい。
更に、酸化抑制の効果を一層顕著なものとする観点から、金属層14が銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金から構成される場合には、該銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金は、銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計に対する、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計の割合が2モル%以上33モル%以下であることが好ましく、4モル%以上25モル%以下であることが更に好ましく、6モル%以上20モル%以下であることが一層好ましく、10モル%以上18.1モル%以下であることがより一層好ましい。
金属層14を構成する銅−ジルコニウム合金、又は銅−ジルコニウム−ケイ素合金、又は銅−ジルコニウム−ハフニウム合金、又は銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金は、上述のとおり、ジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金であるか、又はジルコニウム及びケイ素を含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金であるか、又はジルコニウム及びハフニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金であるか、又はジルコニウム、ケイ素及びハフニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる合金であることが好ましい。
銅−ジルコニウム合金、銅−ジルコニウム−ケイ素合金、銅−ジルコニウム−ハフニウム合金、及び銅−ジルコニウム−ケイ素−ハフニウム合金が他の元素を含むか否かにかかわらず、不可避不純物の割合は、銅及びジルコニウムのモル数の合計、又は銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計、又は銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計、又は銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムのモル数の合計に対して、2モル%以下であることが好ましく、1モル%以下であることが更に好ましい。不可避不純物の割合は、少なければ少ないほど好ましい。金属層14は例えば各種の薄膜形成方法によって形成することができる。薄膜形成方法としては、スパッタリングや真空蒸着など、従来公知の方法を採用することができる。
金属層14の厚みは、配線構造10の具体的な用途に応じて任意に設定可能であり、例えば10nm以上100nm以下に設定することができる。金属層14の厚みを10nm以上に設定することで、保護の対象である配線層13に含まれる銅の酸化を効果的に防止することができる。また、金属層14の厚みを100nm以下に設定することで、金属層14の生産性が損なわれないようにすることができる。
また、金属層14は、配線層13の酸化防止という目的を果たすために必要な部分を覆っていればよい。本実施形態では、配線層13の第2面13b側の全域にのみ設けられたが、必要に応じて配線層13及び中間層12の側面を含む全体を被覆するように設けてもよい。
図2に示す実施形態の配線構造10は、ケイ素含有層11上に中間層12を設ける工程と、中間層12上に銅を含む配線層13を設ける工程と、配線層13上に金属層14を設ける工程と、これらの層12,13,14を有する積層構造を熱処理する工程とを備えた方法によって好適に製造される。そして、この製造方法によれば、配線構造10の製造過程において、大気下などの酸化性雰囲気下で熱処理を行った場合でも配線層13の酸化を防止することができる。
本実施形態の配線構造10によれば、先に説明した図1に示す実施形態の配線構造が有する利点である、(i)ケイ素含有層11と配線層13との密着性、(ii)元素の拡散に起因する高温下での配線層13の電気抵抗の上昇の抑制、及び(iii)エッチング容易性に加え、(iv)配線層13の酸化の抑制という相反する特性をすべて満たすことができるという利点がある。
以上の各実施形態の配線構造10は、このまま用いてもよく、あるいは後加工して各種の電子デバイスとして用いてもよい。電子デバイスとしては、例えば薄膜トランジスタなどの各種の半導体デバイスが挙げられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば図1に示す実施形態においては、配線層13上に絶縁層15が設けられていたが、該絶縁層15を設けなくてもよい。また図2に示す実施形態においては、配線層13上に金属層14及び絶縁層15が設けられていたが、該絶縁層15を設けなくてもよい。また、金属層14及び絶縁層15の双方を設けなくてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
以下の表1に示す組成となるように、各種出発原料のインゴットを精秤して、これらインゴットをカーボン製の坩堝に投入した。高周波誘導真空溶解炉中でこれらのインゴットを真空加熱して溶融させた。それによって得た溶湯をカーボン製の鋳型で鋳造し、鋳塊を得た。得られた鋳塊を、ワイヤーソーを用いて切り出した後、旋盤加工によって厚み5mmに加工した。このようにして得られたターゲット材の一面を、バッキングプレートにインジウムでロウ付けし、中間層用のスパッタリングターゲットを作製した。
前記で得られた中間層用のスパッタリングターゲット、6Nの純度の配線層用純銅のスパッタリングターゲットを用いて積層構造を作製した。まず、中間層用のスパッタリングターゲットを用い、下記条件でスパッタリングを実施して、SiN基板又は純度99%のSiO基板上に厚み25nmの中間層を形成した。次に、純銅のスパッタリングターゲットを用い同条件でスパッタリングを実施し、該中間層上に厚み400nmの配線層を形成し、積層構造を得た。
≪スパッタリング条件≫
・スパッタ方式:DCマグネトロンスパッタ
・排気装置 :ロータリーポンプ+クライオポンプ
・到達真空度 :1×10−4Pa以下
・Ar圧力 :0.4Pa
・基板温度 :室温(25℃)
・スパッタ電力:1000W(電力密度3.1W/cm
・使用基板 :50mm(縦)×50mm(横)×700μm(厚み)
〔実施例2ないし5〕
銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムの割合が表1に示す値となるように仕込み量を変更してスパッタリングターゲットを作製した。得られたスパッタリングターゲットを用い、実施例1と同様にして中間層を得た。次に、純銅のスパッタリングターゲットを用い同条件でスパッタリングを実施し、該中間層上に厚み400nmの配線層を形成した。更に、各実施例において中間層と同一組成の金属層用のスパッタリングターゲットを用い、中間層と同条件でスパッタリングを実施して、該配線層上に厚み50nmの金属層を形成した。これ以外は実施例1と同様にして図2に示す積層構造を得た。
〔実施例6〕
銅、ジルコニウム、ケイ素及びハフニウムの割合が表1に示す値となるように仕込み量を変更してスパッタリングターゲットを作製した。得られたスパッタリングターゲットを用い、実施例1と同様にして中間層及び配線層を得たのち、該中間層上には金属層を形成しなかった。以下実施例1と同様にして図1に示す積層構造を得た。
〔比較例1〕
中間層の形成に、表1に示す組成を有する銅−ジルコニウム−ケイ素合金スパッタリングターゲットを用いた。これ以外は実施例1と同様にして、積層構造を得た。
〔比較例2及び3〕
中間層の形成に、表1に示す組成を有する銅−マグネシウム−アルミニウム合金スパッタリングターゲットを用いた。これ以外は実施例1と同様にして、積層構造を得た。
〔比較例4〕
中間層の形成に、チタンスパッタリングターゲットを用いた。これら以外は実施例1と同様にして、積層構造を得た。
〔比較例5〕
中間層の形成に、モリブデンスパッタリングターゲットを用いた。これら以外は実施例1と同様にして、積層構造を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた積層構造について、以下の方法でピール試験を行った。また、エッチング容易性を以下の方法で評価した。また、電蝕防止効果について、以下の方法で評価した。更に、実施例で用いたスパッタリングターゲット中の合金の割合を以下の方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
〔ピール試験〕
JIS K5600−5−6に準拠しピール試験を行った。NTカッターeL−500を用いて積層構造に、1mm×1mmの格子パターンを25マス形成した。TQC社製テープ8705Bを格子カット部分に貼り、積層構造が透けて見えるように指でテープをこすった。テープ付着後5分以内にテープを引きはがした。格子マスのうち5%を超える領域が剥離したものを剥離個数としてカウントした。試験はSiN基板とSiO基板を用いて行った。
〔エッチング後の配線パターンの明確性〕
実施例及び比較例で得られた積層構造(基板はSiN)を硫酸過水(HS0:0.05%,H:5.5%の水溶液)で3分間エッチングした。エッチング後の配線構造をSEMによって観察し、配線パターンの形成の良否を以下の基準で評価した。
E:配線パターンが極めて明確である。
G:配線パターンが明確である。
F:配線パターンが明確であるが、逆テーパー状にエッチングされてしまった。
P:中間層が基板上に残留している部分が多く観察される。
〔電蝕防止性〕
実施例及び比較例で得られた積層構造(基板はSiN)を図3に示す所定形状のパターンとなるように硫酸過水でエッチングした。その後、サムコ社製PE−CVD装置(PD−2202L)を用いて下記条件でCVDを実施し、配線層上に厚み200nmのSiN絶縁層を形成し、配線構造を得た。更にアニール処理(熱処理)を大気下で行った。アニール処理の温度は450℃に設定し、アニール処理時間は30分とした。その後、SiN絶縁層をCF/Оのドライエッチガスにて除去し、SEMにて配線構造を観察した。電蝕状況を以下の基準で評価した。
E:電蝕が全く観察されなかった。
G:電蝕が若干観察された。
P:甚だしい電蝕が観察された。
≪CVD条件≫
・成膜ガス:SiH:10cm/min、H:90cm/min、NH:10cm/min、N:210cm/min
・成膜温度:350℃
・成膜圧力:80Pa
・電力:250W
〔耐酸化性の評価〕
得られた配線構造の体積抵抗率をアニール処理前とアニール処理後のそれぞれで測定した。測定には4端子抵抗測定装置(B−1500A:アジレントテクノロジー社製)を用いた。測定手順を以下に示す。
まず、アニール処理前の配線構造の状態で、予め金属層及び配線層からなる導電部の配線抵抗を測定する。具体的には、図3に示す電流印加パッドPi,Pi間で電流値を掃引させ、電圧測定パッドPv,Pv間の電圧値を測定することで配線抵抗値を得る。得られた配線抵抗値、前記導電部の線幅、長さ、及び膜厚より、導電部の体積抵抗率を算出する。その値をアニール処理前の体積抵抗率(Ω・cm)とする。
次に、アニール処理後の配線構造において、アニール処理前の体積抵抗率の測定と同様の方法で体積抵抗率を算出する。その値をアニール処理後の体積抵抗率(Ω・cm)とする。
そして、アニール処理前とアニール処理後での体積抵抗率の変化率を算出する。体積抵抗率の変化率(%)は、{(アニール処理後の体積抵抗率−アニール処理前の体積抵抗率)/アニール処理前の体積抵抗率}×100から算出する。
〔スパッタリングターゲット中の金属間化合物相の割合〕
スパッタリングターゲット中の金属間化合物相の割合は、実施例1ないし4の配線構造の製造に用いたスパッタリングターゲット材の表面を対象として、エネルギー分散型X線(EDX)分析により算出した。詳細には、エネルギー分散型X線分析装置(日本電子社製、ドライSD100GV)を用いて、元素分析を行った。分析結果に対して多変量イメージ解析ソフト(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、NSS4)を用いて相分離を行い、画像全体の面積に対する銅−ジルコニウム−ケイ素(1:1:1)金属間化合物相の面積の割合(%)を算出した。
Figure 2021064655
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例においては、SiN及びSiOからなる基板と銅配線との密着性がそれぞれ高く、また銅配線の体積抵抗率の上昇が抑制されていることが判る。また、各実施例の配線構造においては、電蝕の発生が効果的に防止されていることが判る。更に、各実施例の配線構造は、エッチングによる配線パターンの形成が極めて良好に行われていることが判る。
これに対して比較例1では、基板と銅配線との密着性が低いことが判る。比較例2及び3では、中間層と銅配線との間で電蝕が発生していることが判る。比較例4は、密着性は高いものの、配線抵抗が大きく上昇しており、銅配線に中間層材料が拡散していることが推測される。また、チタンがエッチングされずに残留していることが判る。比較例5では、電蝕が発生しており、且つ、エッチング形状が逆テーパー状になっていた。
10 配線構造
11 ケイ素含有層
12 中間層
13 配線層
13a 第1面
13b 第2面
14 金属層
15 絶縁層

Claims (14)

  1. 窒化ケイ素又は純度90質量%以上の酸化ケイ素からなる層と、該層上に設けられた中間層と、該中間層上に設けられた配線層とを備えた配線構造であって、
    前記配線層は銅を含み、
    前記中間層はジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなり、
    前記中間層に含まれる銅及びジルコニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が2モル%以上33モル%以下である配線構造。
  2. 前記中間層が更にケイ素又はハフニウムを含有する請求項1に記載の配線構造。
  3. 前記中間層に含まれる銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が2モル%以上33モル%以下である請求項2に記載の配線構造。
  4. 前記中間層に含まれる銅、ジルコニウム及びケイ素のモル数の合計に対するケイ素のモル数の割合が2モル%以上33モル%以下である請求項2に記載の配線構造。
  5. 前記中間層に含まれる銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計に対するジルコニウムのモル数の割合が2モル%以上33モル%以下である請求項2に記載の配線構造。
  6. 前記中間層に含まれる銅、ジルコニウム及びハフニウムのモル数の合計に対するハフニウムのモル数の割合が0.01モル%以上1.65モル%以下である請求項2に記載の配線構造。
  7. 前記配線層上に、絶縁層を備えた請求項1ないし5のいずれか一項に記載の配線構造。
  8. 前記絶縁層が窒化物からなる請求項7に記載の配線構造。
  9. 前記窒化物が窒化ケイ素からなる請求項8に記載の配線構造。
  10. 前記配線層上と前記絶縁層の間に金属層を備え、該金属層はジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる、請求項7ないし9のいずれか一項に記載の配線構造。
  11. 前記金属層が更にケイ素を含有する請求項10に記載の配線構造。
  12. 請求項1に記載の配線構造の製造に用いるターゲット材であって、
    ジルコニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなるターゲット材。
  13. 請求項3に記載の配線構造の製造に用いるターゲット材であって、
    ジルコニウム及びケイ素を含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなるターゲット材。
  14. 請求項5に記載の配線構造の製造に用いるターゲット材であって、
    ジルコニウム及びハフニウムを含み、且つ残部が銅及び不可避不純物からなるターゲット材。
JP2019187146A 2019-10-10 2019-10-10 配線構造及びターゲット材 Pending JP2021064655A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019187146A JP2021064655A (ja) 2019-10-10 2019-10-10 配線構造及びターゲット材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019187146A JP2021064655A (ja) 2019-10-10 2019-10-10 配線構造及びターゲット材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021064655A true JP2021064655A (ja) 2021-04-22

Family

ID=75488132

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019187146A Pending JP2021064655A (ja) 2019-10-10 2019-10-10 配線構造及びターゲット材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021064655A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI437107B (zh) Display device
CN103003860B (zh) 显示装置用Cu合金膜和显示装置
TWI582247B (zh) Ag合金濺鍍靶及Ag合金膜之製造方法
JP5171990B2 (ja) Cu合金膜および表示装置
JP5068925B2 (ja) スパッタリングターゲット
WO2010103587A1 (ja) バリア層を構成層とする薄膜トランジスターおよびバリア層のスパッタ成膜に用いられるCu合金スパッタリングターゲット
WO2012132871A1 (ja) Cu合金膜、及びそれを備えた表示装置または電子装置
JP2016040411A (ja) 積層膜、積層配線膜及び積層配線膜の製造方法
WO2017195826A1 (ja) 積層配線膜および薄膜トランジスタ素子
JP4655281B2 (ja) 薄膜配線層
TW201703150A (zh) 透明導電電路及透明導電電路之製造方法
CN104775064A (zh) 溅射靶材、溅射靶材的制造方法和配线层积体
JP6250614B2 (ja) Cu積層膜、およびCu合金スパッタリングターゲット
JP2012189725A (ja) Ti合金バリアメタルを用いた配線膜および電極、並びにTi合金スパッタリングターゲット
JP5416470B2 (ja) 表示装置およびこれに用いるCu合金膜
JP2021064655A (ja) 配線構造及びターゲット材
JP5554364B2 (ja) 半導体用銅合金配線及びスパッタリングターゲット並びに半導体用銅合金配線の形成方法
JP2019131850A (ja) 積層膜、及び、Ag合金スパッタリングターゲット
WO2018147136A1 (ja) 配線構造及びその製造方法、スパッタリングターゲット材、並びに酸化防止方法
WO2016132847A1 (ja) Cu合金膜およびCu積層膜
JP2021064656A (ja) 配線構造及びターゲット材
WO2018123955A1 (ja) 配線構造及びその製造方法、スパッタリングターゲット材、並びに酸化防止方法
JPWO2019093348A1 (ja) 配線構造及びターゲット材
JP2007224397A (ja) 平面表示パネル及びCuスパッタリングターゲット
WO2016136953A1 (ja) 透明導電配線、及び、透明導電配線の製造方法