JP5416470B2 - 表示装置およびこれに用いるCu合金膜 - Google Patents

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Description

本発明は、表示装置およびこれに用いるCu合金膜に関するものであり、特に、表示装置の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下「TFT」という場合がある。)において、特に、ガラス基板などの透明基板との密着性に優れたCu合金膜、および該Cu合金膜が上記TFTに用いられた、例えば液晶ディスプレイ(液晶表示装置)、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(表示装置)に関する。以下では、表示装置のうち液晶表示装置を例に説明するが、これに限定する意図ではない。
小型の携帯電話から、100インチを超す大型のテレビに至るまで様々な分野に用いられる液晶表示装置は、TFTをスイッチング素子とし、透明画素電極と、ゲート配線およびソース−ドレイン配線等の配線部と、アモルファスシリコン(a−Si)や多結晶シリコン(p−Si)などの半導体層を備えたTFT基板と、TFT基板に対して所定の間隔をおいて対向配置され共通電極を備えた対向基板と、TFT基板と対向基板との間に充填された液晶層から構成されている。
TFT基板において、ゲート配線やソース−ドレイン配線などの配線には、純AlやAl合金などのAl系材料が使用されている。しかしながら、近年は、液晶ディスプレイの大型化や動作周波数が60kHzから120kHzへと変更する等の事情により、配線の電気抵抗の更なる低減が必須課題となっており、より小さい電気抵抗を示す配線材料へのニーズが高まっている。そこで、テレビ用途の大型パネルを中心に、純AlやAl合金などのAl系材料に比べて電気抵抗率が小さく、また、ヒロック耐性に優れたCu系材料が注目されている(金属(バルク材)の室温における電気抵抗率は、純Alが2.7×10−6Ω・cmであるのに対し、純Cuは1.8×10−6Ω・cmと低い)。
本願出願人も、例えば特許文献1として、透明電極膜(画素電極)と直接接続した場合に低抵抗を実現できるCu合金膜を提案している。
しかし、Cu系材料を配線に適用した場合、ガラス基板との密着性がAl系材料よりも劣るという課題がある。液晶ディスプレイのガラス基板には、通常(SiO,Al,BaO,B)を主成分とするガラスが使用されているが、Cu系材料からなる電極・配線(以下「Cu系配線」という)は、このガラス基板との密着性が悪く、Cu系配線がガラス基板から剥離しやすい、といった問題がある。
そこでCu系配線とガラス基板との密着性を向上させるため、Cu系配線とガラス基板の間に高融点金属層(純Mo層、Mo−Ti合金層などのMo含有層)を介した構造が採用されている。例えば特許文献2〜4には、Cu配線とガラス基板との間に、モリブデン(Mo)やクロム(Cr)などの高融点金属層を介在させて、Cu配線とガラス基板の密着性向上を図り、パターン形成時のCu配線の浮き上がりや破断を抑制する技術が示されている。
しかしながら、この様なCu系配線と高融点金属層の2層配線を形成するには、高融点金属層を成膜する工程が更に必要であり、表示装置の製造コストが増大する。さらにCuと高融点金属(Mo等)という異種金属を積層させるため、薬液を用いたウェットエッチングの際に、Cuと高融点金属との界面で腐食が生ずるおそれがある。また、これら異種金属間でエッチングレートに差が生じる場合がある。例えば2層構造における下層のエッチングレートが上層よりも速い場合には、下層がくびれるアンダーカットが生じて、配線断面を望ましい形状(例えばテーパ角が45〜60°程度である形状)に形成できないといった問題が生じ得る。更に高融点金属、例えば上記CrやMoの電気抵抗率は、Cuよりも高いため(Crの電気抵抗率:12.9×10-6Ω・cm、Moの電気抵抗率:10.0×10-6Ω・cm)、Cu系配線と高融点金属層の2層配線は、配線電気抵抗増大による信号遅延や電力損失が問題となる。
特許文献5は、Cu配線とガラス基板との間に、密着層としてニッケル又はニッケル合金と高分子系樹脂膜とを介在させる技術を開示している。しかしこの技術では、表示装置(例えば液晶パネル)製造時の高温アニール工程で、上記樹脂膜が劣化し易いと考えられるため、十分な密着性が得られにくいと思われる。
特許文献6では、銅と銅窒化物の二重層で構成された信号線とすることで、ガラス基板との密着性を図っている。また特許文献7では、構造物と銅または銅合金を含む銅導電膜との間に、銅窒化物を含むバリア層を形成することで、銅導電膜と構造物との密着性を高めると共に、銅イオンが構造物に拡散するのを防止している。
しかし、ガラス基板とのより高い密着性を示すCu系配線が求められているのに対し、上記特許文献6や7の構造では十分に高い密着性を確保できるとは言い難く、更なる改善が必要であると考えられる。
特開2007−17926号公報 特開平7−66423号公報 特開平8−8498号公報 特開平8−138461号公報 特開平10−186389号公報 特開2004−212940号公報 特開2008−66680号公報
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、Cu系材料の特徴である低電気抵抗を維持しつつ、ガラス基板との密着性に優れ、かつウェットエッチング時にアンダーカットを生じることなく良好にテーパ状にエッチングできる(以下、この様な特性を「ウェットエッチング性に優れた」ということがある)Cu合金膜、およびこれを、上記Mo含有層等の高融点金属層を形成させずに単層でTFT(特には、TFTのゲート電極および走査線)に用いた、例えば液晶表示装置(液晶ディスプレイ)に代表されるフラットパネルディスプレイ(表示装置)を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明の表示装置用Cu合金膜は、ガラス基板と直接接触する表示装置用Cu合金膜であって、該基板と直接接触する第一層と該第一層上に形成される第二層とを含み、
前記第一層が、
窒素を0.4原子%以上5.0原子%未満含むと共に、
Ni、Al、Zn、MnおよびFeよりなる群から選択される1種以上の元素(X元素)を0.1原子%以上0.5原子%以下(X元素が複数の元素からなる場合は合計量をいう。以下同じ);および/または、
Ge、Hf、Nb、MoおよびWよりなる群から選択される1種以上の元素(Z元素)を0.1原子%以上0.3原子%以下(Z元素が複数の元素からなる場合は合計量をいう。以下同じ);
を含み、かつ前記第一層の膜厚が2nm以上100nm以下であるところに特徴を有する。
前記第二層は、
Ni、Al、Zn、MnおよびFeよりなる群から選択される1種以上の元素(X元素)を0.1原子%以上0.5原子%以下(X元素が複数の元素からなる場合は合計量をいう。以下同じ);および/または、
Ge、Hf、Nb、MoおよびWよりなる群から選択される1種以上の元素(Z元素)を0.1原子%以上0.3原子%以下(Z元素が複数の元素からなる場合は合計量をいう。以下同じ);
を含み、かつ窒素含有量が0.01原子%以下(0原子%を含む)であるものが好ましい。
本発明は、前記Cu合金膜が、薄膜トランジスタに用いられているところに特徴を有する表示装置も含む。
前記表示装置として、前記薄膜トランジスタがボトムゲート型構造を有するものであって、前記Cu合金膜が、該薄膜トランジスタのゲート電極および走査線に用いられ、かつガラス基板に直接接触した形態のものであれば、該Cu合金膜の効果が存分に発揮されるので好ましい。
本発明のCu合金膜は、特定の成分組成のCu合金を選択し、かつ、このCu合金膜においてガラス基板と直接接触する第一層を、特定濃度の窒素を含む層としているため、液晶ディスプレイの大型化や動作周波数の高域化に対応できる低電気抵抗を維持しつつ、配線膜を厚膜化した場合でもガラス基板との密着性に優れ、かつ優れたエッチング特性(特には、ウェットエッチング性)を発揮する。
本発明のCu合金膜は、上記の通り、ガラス基板との密着性に優れているので、表示装置(例えば液晶ディスプレイ)の特にTFTのゲート電極および走査線に適用したときに、ガラス基板上に直接蒸着でき、上記Mo含有層等の高融点金属層を形成せずに単層で用いることができる。よって、上記高融点金属層の形成工程を省略でき、高性能の表示装置を低コストで提供することができる。
図1は、スパッタリングガス(Ar+N)中の窒素濃度と第一層中の窒素含有量の関係を示すグラフである。 図2は、実施例で測定するアンダーカット量を説明するための模式断面図である。
本発明者らは、Cu系材料の特徴である低電気抵抗を維持しつつ、ガラス基板との密着性に優れ、かつウェットエッチング性にも優れたCu合金膜、およびこれをTFTに用いた表示装置を実現すべく鋭意研究を行った。
特にCu系配線とガラス基板との密着性を高めるべく検討を行ったところ、Cu系配線を構成するCu合金膜を、ガラス基板と直接接触する第一層および、該第一層上(この場合の「上」は直上およびその他の層を介在させた場合を含む意味である。)の第二層を含むものとし、かつ、上記第一層の合金成分組成と、含有させる窒素量を制御すればよいことを見出した。以下では、まず本発明のCu合金膜の第一層について詳述する。
〔第一層中の合金成分およびその含有量について〕
まず本発明者らは、Cu系配線とガラス基板との密着性を改善するには、Cuとガラス基板構成元素との間で、化学的な結合を形成(具体的には、化学吸着や界面反応層等を形成)させることが望ましい、と考えた。その理由は、「化学吸着や界面反応層の形成などによる化学的な結合」の方が、「物理吸着などによる物理的な結合」よりも結合エネルギー(結合力)が大きいため、界面でより強い密着力を発揮できると考えられるからである。
しかし、Cuとガラス基板構成元素とでは化学的な結合が形成し難いため、Cu系配線はガラス基板との密着性に劣る。
そこで、ガラス基板との密着性を向上させることのできる合金元素について検討したところ、本発明では、Ni、Al、Zn、Mn、Fe、Ge、Hf、Nb、Mo、Wを合金元素としてCuに添加すればよいことがわかった。これらの合金元素は、酸素との親和性が強く(酸化物を形成しやすく)、ガラス基板の主成分であるSiOの酸素と反応し、ガラス基板界面で酸素を介した結合(Si−O−上記合金元素)を形成可能にして、ガラス基板との密着性を向上させることができる。
上記効果を発揮させるには、Ni、Al、Zn、MnおよびFeよりなる群から選択される1種以上の元素(X元素)を0.1原子%以上(好ましくは0.15原子%以上)、および/または、Ge、Hf、Nb、MoおよびWよりなる群から選択される1種以上の元素(Z元素)を0.1原子%以上(好ましくは0.15原子%以上)含有させる。
一方、これらの元素の含有量が多いほど、ガラス基板との密着性は向上するが、電気抵抗率が増加する。本発明では、ガラス基板との密着性を向上させると共にCu合金膜の電気抵抗率を低く抑えるため、上記X元素の場合には、0.5原子%以下(好ましくは0.3原子%以下)とし、上記Z元素の場合には、0.3原子%以下(好ましくは0.2原子%以下)とする。
この様にX元素とZ元素で含有量の上限が異なるのは、X元素群(Ni、Al、Zn、Mn、Fe)とZ元素群(Ge、Hf、Nb、Mo、W)で、Cuに添加した際の電気抵抗増加寄与率が異なるためである。
X元素としては、Ni、Al、ZnおよびMnよりなる群から選択される1種以上の元素が好ましく、また、Z元素としては、Geおよび/またはWが好ましい。
〔第一層中の窒素およびその含有量について〕
本発明のCu合金膜における第一層は、窒素(N)を0.4原子%以上5.0原子%未満含むものでもある。
窒素を添加することで、後述する通りスパッタリング法で形成したときに、第一層の結晶粒を微細にすることができ、その結果、ガラス基板との界面にかかる応力を低減でき、実効的な密着性の向上を図ることができる。この様な効果を発揮させるため、本発明では、第一層を、窒素が0.4原子%以上含むものとする。好ましくは1.0原子%以上である。
しかし、第一層の窒素含有量を5.0原子%以上にしても結晶粒微細化効果は飽和する。また、第一層に含まれる窒素は、上記X元素やZ元素ほどは電気抵抗率に影響を与えないが、窒素含有量が過剰になると、電気抵抗率が増加する傾向にある。更に、窒素含有量が多くなると、ウェットエッチング時にアンダーカットが生じやすくなる。また、第一層の窒素含有量を5.0原子%以上にするには、成膜時に、スパッタリングガス(Ar+N)中の窒素濃度を40体積%以上としたガスを用いてスパッタリングする必要があるが、このようなスパッタリングガスの高窒素化は、相対的にスパッタリングガス中のAr量の低下を招き、スパッタリング収率を低下させてCu合金膜の生産性低下を招く。よって、第一層の窒素含有量は5.0原子%未満とする。好ましくは3.0原子%以下、より好ましくは2.5原子%未満である。
第一層の上記成分以外の残部は、Cuおよび不可避不純物である。
〔第二層について〕
次に、本発明のCu合金膜の第二層について述べる。本発明は、第二層の成分組成を厳密に限定するものではないが、低電気抵抗の配線を実現する観点、および一連の製造工程で簡便に成膜する観点から、第二層は、第一層と窒素以外の成分が同じCu合金からなるものが好ましい。また、この様に第一層と合金成分組成を同じとすることで、第一層と第二層のエッチングレートの違いによるアンダーカットの発生を防止でき、良好にエッチングすることができるため好ましい。
上記理由により、第二層の成分組成は、
・Ni、Al、Zn、MnおよびFeよりなる群から選択される1種以上の元素(X元素)を0.1原子%以上(より好ましくは0.15原子%以上)0.5原子%以下(より好ましくは0.3原子%以下);および/または、
・Ge、Hf、Nb、MoおよびWよりなる群から選択される1種以上の元素(Z元素)を0.1原子%以上(より好ましくは0.15原子%以上)0.3原子%以下(より好ましくは0.2原子%以下);
を含むものであることが好ましい。
X元素としては、Ni、Al、ZnおよびMnよりなる群から選択される1種以上の元素が好ましく、また、Z元素としては、Geおよび/またはWが好ましい。
第二層は、第一層の様に窒素を積極的に含むものではなく、含まれているとしても不可避不純物レベル:0.01原子%以下(0原子%を含む)である。第二層の上記成分以外の残部は、Cuおよび不可避不純物である。
〔第一層、第二層の膜厚について〕
前記第一層の膜厚は2nm以上100nm以下とする。第一層の膜厚が2nm未満だと、結晶粒微細化によるガラス基板との界面応力低減効果が不十分であり、ガラス基板との十分な密着性を確保できないため好ましくない。第一層の膜厚は好ましくは5nm以上である。
一方、第一層の膜厚が100nm超だと、配線断面を望ましいテーパ形状に制御することが難しくなる。窒素を添加した層(第一層)は、窒素を積極的に添加していない層(第二層)に比べてエッチングレートが速いため、第一層の膜厚が厚い場合には、エッチング時にCu合金膜の底部(第一層部分)にアンダーカットが生じやすく、Cu合金膜を望ましいテーパ形状にパターニングできなくなる。また、この様に第一層の膜厚が厚いと、実効的電気抵抗率が増加する。よって、前記第一層の膜厚は100nm以下とする。好ましくは50nm以下である。
前記第二層の膜厚は、実効的電気抵抗率の低減の観点から100nm以上とすることが好ましい。より好ましくは200nm以上である。
上記第一層は、上記成分組成を満たし、かつ基材側から第二層側に向かって、窒素含有量が減少する深さ方向濃度プロファイルを有する組成傾斜層とすることもできる。この様な組成傾斜層は、例えば、第一層を後記するスパッタリング法で成膜するときに、スパッタリングターゲットをスパッタしたまま、スパッタリングガスを(Ar+N)から純Arへ徐々に切り替えることによって形成することができる。
〔本発明のCu合金膜の形成方法〕
上記Cu合金膜の形成には、スパッタリング法を採用することが望ましい。スパッタリング法とは、真空中にAr等の不活性ガスを導入し、基板とスパッタリングターゲット(以後、ターゲットという場合がある)との間でプラズマ放電を形成し、該プラズマ放電によりイオン化したAr等を上記ターゲットに衝突させて、該ターゲットの原子をたたき出し基板上に堆積させて薄膜を作製する方法である。
窒素含有量が0.4原子%以上5.0原子%未満である第一層を上記スパッタリング法で形成するには、下記に示す窒素濃度が5体積%以上40体積%未満であるスパッタリングガス(Ar+N)を用いてスパッタリングすることが望ましい(詳細は、後述する実施例にて示す)。該スパッタリングガスを用いて形成することで、第一層の結晶粒が微細化し、ガラス基板との界面にかかる応力を低減できて、実効的な密着性の向上を図ることができる。
スパッタリングには、所望の第一層または第二層とおおむね同じ合金組成のCu合金スパッタリングターゲットを用い、第一層の形成には、上記窒素濃度のスパッタリングガス(Ar+N)を用いて成膜し、第二層の形成には、Arガスのみを用いて成膜することが挙げられる。尚、成膜時に使用するスパッタリングガスを構成するガスとしてArを代表例に挙げたが、このArの代わりにXe等の他の希ガスで実施することも可能である。
スパッタリングターゲットの組成と、スパッタリング法により成膜したCu合金膜(Cu合金配線)の組成は、わずかに異なる場合がある。しかし、その組成の「ずれ」は、合金濃度の概ね数%以下であり、スパッタリングターゲットの合金組成(合金濃度)を、所望のCu合金膜の合金組成(合金濃度)の±10%以内(例えば、X元素量が0.5原子%の場合、0.5±0.05原子%)に制御すれば、所定の組成を有するCu合金膜(第一層および第二層)を形成することができる。
本発明のCu合金膜は、表示装置のTFTにおけるゲート電極および走査線に用いられることを好ましい形態とする。特に、前記TFTがボトムゲート型構造を有するものであって、Cu合金膜が、該TFTのゲート電極および走査線に用いられ、かつCu合金膜を構成する第一層がガラス基板に直接接触している場合に、本発明の効果が十分に発揮される。
本発明のCu合金膜は、更に、透明導電膜と直接接続されるCu合金膜、即ち、ソース電極および/またはドレイン電極並びに信号線としても使用できる。この場合、TFTのCu合金配線の全てを同一成分組成とすることができる。
本発明は、Cu合金膜の構造・成分組成を特定したところに特徴があり、Cu合金膜以外の、TFT基板や表示装置を構成する要件は、通常用いられるものであれば特に限定されない。例えば、本発明に用いられる透明画素電極(透明導電膜)として、酸化インジウム錫(ITO)膜や酸化インジウム亜鉛(IZO)膜などが挙げられる。
〔Cu合金膜の熱処理〕
前記Cu合金膜は、成膜後に熱処理を施すことによって、格段に優れた密着力が得られる。これは、成膜後の熱処理(熱エネルギー)により、第一層中の合金元素(X元素、Z元素)のガラス基板との界面への濃化、および、この界面での第一層とガラス基板の化学結合形成が促進されるためである。
上記熱処理の条件は、温度が高いほど、また保持時間が長いほど、密着性向上に有効に作用する。しかし、熱処理温度はガラス基板の耐熱温度以下にする必要があり、また、保持時間が過度に長いと、表示装置(液晶ディスプレイ等)の生産性の低下を招く。よって、上記熱処理の条件は、温度:270〜450℃、保持時間:5〜120分間の範囲内とすることが好ましい。この熱処理は、Cu合金膜の電気抵抗率低減にも有効に作用するため、配線の低電気抵抗を実現させる観点からも好ましい。
前記熱処理は、密着性の更なる向上を目的に行う熱処理であってもよいし、前記Cu合金膜形成後の熱履歴(例えばSiN膜の成膜工程)が、上記温度・時間を満たすものであってもよい。
本発明のCu合金膜を備えた表示装置を製造するにあたっては、Cu合金膜の熱処理・熱履歴条件を上述した推奨される条件とすること以外は、表示装置の一般的な工程を採用すればよく、例えば、前記特許文献1に記載の製造方法を参照すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(試料の作製)
ガラス基板(コーニング社製 イーグル2000、直径100mm×厚さ0.7mm)上に、DCマグネトロンスパッタリング法(第一層と第二層のスパッタリングガス以外の成膜条件は下記の通り)により、表1、表2に示す膜厚(第一層と第二層の合計膜厚はいずれも500nm)となるように第一層、第二層の順に成膜した。比較例として、同様の条件で純Cu膜(単層)も形成した。そして成膜後に、真空雰囲気中にて350℃で30分間保持する熱処理を行い、試料(配線膜)を得た。
尚、純Cu膜の形成には、純Cuをスパッタリングターゲットに用いた。また、種々の合金成分のCu合金膜の形成には、純Cuスパッタリングターゲット上にCu以外の合金元素を含むチップを設置したターゲットを用いた。
(成膜条件)
・背圧:1.0×10−6Torr以下
・Arガス圧:2.0×10−3Torr
・Arガス流量:30sccm
・スパッタパワー:3.2W/cm
・極間距離:50mm
・基板温度:室温
成膜時に使用するスパッタリングガスとして、上記第二層の形成には純Arを用いた。また第一層の形成にはArとNの混合ガスを用いた。第一層中の窒素含有量の制御において、スパッタリングガスのArとNの混合比率は、ArとNの分圧で設定し、ArとNの分圧比はArとNの流量比で設定した。
上記の様にして得られた試料について、下記の測定を行った。
(1)Cu合金膜の成分分析
第一層中の窒素含有量は、上記方法で、第一層のみを成膜した試料を別途作製し、この試料の第一層中の窒素含有量を、「インドフェノール吸光光度法」により定量分析して求めた。
また、用いたスパッタリングガス(Ar+N)中の窒素濃度と前記第一層中の窒素含有量との関係を調べた。その結果を図1に示す。この図1から、第一層中の窒素含有量を0.4原子%以上5.0原子%未満とするには、スパッタリングガス(Ar+N)中の窒素濃度を5体積%以上40体積%未満とすればよいことが分かる。
第一層の窒素以外の成分および第二層の成分は、ICP発光分光分析装置(島津製作所製のICP発光分光分析装置「ICP−8000型」)を用い、定量分析して確認した。
尚、第二層は、上述の通り、窒素を含むスパッタリングガスを用いて成膜しておらず、第二層中の窒素含有量は、不可避不純物レベル(0.01原子%以下)である。
(2)ガラス基板との密着性の評価
配線膜とガラス基板との密着性を評価するため、以下のようなテープによる剥離試験を行った。
上記熱処理を施した試料、およびスパッタリング直後(as−deposited状態、as−depo.)の試料の成膜表面に、カッター・ナイフを用いて1mm間隔で碁盤目状の切り込みを入れた。次いで、3M社製黒色ポリエステルテープ(製品番号8422B)を上記成膜表面上にしっかりと貼り付け、上記テープの引き剥がし角度が60°になるように保持しつつ、上記テープを一挙に引き剥がして、上記テープにより剥離した碁盤目の区画数をカウントし、全区画との比率(剥離率)を求めた。この評価では、剥離率が小さいほど密着性に優れることを示している。本発明においては、剥離率が10%未満の場合を○(密着性に優れる)、剥離率が10%以上の場合を×(密着性に劣る)と評価した。その結果を表1、表2に示す。
(3)電気抵抗率の測定
上記熱処理を施した試料(配線膜)に対して、フォトリソグラフィーおよびウェットエッチングを施し、幅100μm、長さ10mmのストライプ状パターン(電気抵抗率測定用パターン)に加工してから、該パターンの電気抵抗率を、プローバーを使用した直流4探針法で室温にて測定した。そして、上記熱処理後の電気抵抗率が4.0μΩ・cm未満の場合を○、4.0μΩ・cm以上の場合を×と評価した。その結果を表1、表2に示す。
(4)ウェットエッチング性の評価
上記熱処理を施した試料(配線膜)に対して、10μm幅のラインアンドスペースを持つストライプパターンを形成すべくフォトリソグラフィーを行い、りん酸:硝酸:水=75:5:20の混酸エッチャントを用いてエッチングを行った。そして、エッチングした試料の配線膜断面をSEMで観察し、図2に示すアンダーカット量(アンダーカット深さ)を測定し、該アンダーカット量が1.0μm未満の場合をアンダーカットなしとして○、1.0μm以上の場合をアンダーカットありとして×と評価した。その結果を表1、表2に示す。
Figure 0005416470
Figure 0005416470
表1および表2より次の様に考察できる。表1、表2のNo.6、7、10、11および17〜31のCu合金膜は、本発明で規定する要件を満たしているため、ガラス基板との密着性に優れると共に、低電気抵抗率を示し、かつウェットエッチング性にも優れていることがわかる。
これに対し、No.1は純Cu膜の単層であるため、ガラス基板との密着性が悪くなっている。
No.2、3は、積層構造を有する膜であるが、第一層が規定のX元素またはZ元素を含むものではないため、ガラス基板との密着性が悪くなっている。
No.4は、窒素含有量が多いため、ウェットエッチング時にアンダーカットが生じたものと思われる。尚、このNo.4において、規定の合金元素を添加していないにもかかわらずガラス基板との密着性が良いのは、過剰に含まれる窒素によるものと思われる。
またNo.5は、第一層がX元素(Ni)を含むものであるが、その含有量が不足しているため、ガラス基板との密着性に劣るものとなった。
No.8は、第一層がX元素(Ni)を含むものであるが、その含有量が過剰であるため、電気抵抗率が高くなった。
No.9は、第一層の膜厚が薄すぎるため、ガラス基板との密着性に劣るものとなった。
No.12は、第一層の膜厚が厚すぎるため、電気抵抗率が高くなった。尚、No.12は、第一層の膜厚が厚いが、窒素含有量が少なめであるため、著しいアンダーカットが生じなかったものと思われる。
No.13〜15は、第一層の窒素含有量が少ないため、ガラス基板との密着性に劣るものとなった。
尚、No.16は、第一層の窒素含有量が比較的多めであるため、電気抵抗率が高く、かつアンダーカットが生じたものと思われる。
No.32は、配線膜中に含まれる合金元素(Bi)が、本発明で規定外の元素であるため、ガラス基板との密着性向上を図ることができなかった。

Claims (4)

  1. ガラス基板と直接接触する表示装置用Cu合金膜であって、該Cu合金膜は、該基板と直接接触する第一層と該第一層上に形成される第二層とを含み、
    前記第一層は、
    窒素を0.4原子%以上2.5原子%未満含むと共に、
    Ni、Al、Zn、MnおよびFeよりなる群から選択される1種以上の元素(X元素)を0.1原子%以上0.5原子%以下、および/または、
    Ge、Hf、Nb、MoおよびWよりなる群から選択される1種以上の元素(Z元素)を0.1原子%以上0.3原子%以下
    含むものであり、かつ前記第一層の膜厚は2nm以上100nm以下であることを特徴とする表示装置用Cu合金膜。
  2. 前記第二層は、
    Ni、Al、Zn、MnおよびFeよりなる群から選択される1種以上の元素(X元素)を0.1原子%以上0.5原子%以下、および/または、
    Ge、Hf、Nb、MoおよびWよりなる群から選択される1種以上の元素(Z元素)を0.1原子%以上0.3原子%以下
    含み、かつ窒素含有量が0.01原子%以下(0原子%を含む)である請求項1に記載の表示装置用Cu合金膜。
  3. 請求項1または2に記載の表示装置用Cu合金膜が、薄膜トランジスタに用いられていることを特徴とする表示装置。
  4. 請求項3に記載の薄膜トランジスタがボトムゲート型構造を有するものであって、
    請求項1または2に記載の表示装置用Cu合金膜が、該薄膜トランジスタのゲート電極および走査線に用いられている請求項3に記載の表示装置。
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