JP2021063195A - 重合性ホスホン酸系化合物及び接着性組成物 - Google Patents

重合性ホスホン酸系化合物及び接着性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ベースとなる重合性化合物との相溶性が良く、親水性材料等との接着性が向上し、接着性と加水分解安定性に特に優れた重合性ホスホン酸系化合物及び接着性組成物の提供。【解決手段】式(I):で表されるか、又は、式中のR2及び/又はR3がHの場合において、その塩である化合物。塩としては、アルカリ金属、第2族〜第12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、鉛から選ばれる金属原子との塩、又はアミン塩である。(式中、R1はH又はメチル基;R2、R3は其々独立にH又は炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、ビニル基;nは3〜18の整数;mは1〜3の整数を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、重合性ホスホン酸系化合物及び接着性組成物に関する。
従来、水性塗料や感光性樹脂、歯科材料等に使用される重合性モノマーとして、リン酸エステル系化合物、ホスホン酸系化合物が知られている(特許文献1〜4)。
特許文献1〜3のようなリン酸エステル系化合物は、ベースとなる重合性化合物との相溶性はホスホン酸系化合物に比べて良好であるが、リン酸エステル部分は水の存在下で切断されるので、加水分解安定性に難点がある。加水分解し易い場合、接着後の耐久性や保管時の安定性を低下させ得る。接着性も基材の種類やスペーサのアルキル鎖長に依存し、更に改良が望まれていた。
特許文献4のようなホスホン酸系化合物は、加水分解安定性はリン酸エステル系化合物に比べて良好であるが、相溶性に難点があった。相溶性の低下は、接着性の低下を引き起こし得る。加水分解安定性においても必ずしも十分ではなく、更に改良が望まれていた。
加水分解安定性の改良を図るものとして、水の存在下で切断され得る重合性(メタ)アクリロイルエステル基をアミド基としたホスホン酸系化合物も提案されている(特許文献5)。しかし、ベースとなる重合性化合物との相溶性には更に改良の余地があった。
特許文献6は、平版印刷版原版の画像形成層に、ホスホン酸化合物を含む膜を形成することが記載されている。
特開昭58−21607号公報 再表98/31756号公報 特開平11−30858号公報 特表2012−506929号公報 特表2005−514338号公報 特開2005−238816号公報
しかしながら、ホスホン酸系化合物を広範な一般式で示している一方で、実施例において具体的に開示した化合物は、リン酸アミド(HPO−NH−(C=O)−O−)や、そのアミドの窒素原子を炭素原子としたホスホン酸(HPO−CH−(C=O)−O−)の構造を有するものであって、カルボニル基、特にカルボニル基を含むエステルをアルキル鎖中に含む限定的な特定の構造の化合物である。重合性基として(メタ)アクリロイルエステル基を持ち、アルキル鎖中にエーテルを含むホスホン酸系化合物の構造は、唯一、エーテルと重合性官能基の間がエチレン基である特許文献6記載の化合物が化学式のみ例として記載があるものの、その合成に関する記載はなく、実施例にはその類似構造を含めて具体的な記載がない。
以上のような背景において、加水分解安定性に優れながら、ベースとなる重合性化合物との相溶性が良く、重合時の接着性においてより高い性能を有するモノマーの開発が課題とされていた。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ベースとなる重合性化合物との相溶性が良く、親水性材料等との接着性が向上し、接着性と加水分解安定性に特に優れた重合性ホスホン酸系化合物及び接着性組成物を提供することを課題としている。
本発明者は鋭意検討した結果、ホスホン酸基と重合性(メタ)アクリロイルエステル基とのスペーサとして、アルキレン鎖にエーテルを含む構造は、エーテルにより親水性、ベースとなる重合性化合物との相溶性が向上し、従来のリン酸エステル系化合物に対比し得る特性を持つことを見出した。特に接着性の向上を図ることができ、更に当該構造は加水分解安定性にも優れ、上記のような課題の解決に適していること、その中でもアルキレン鎖が長いものではその傾向が顕著であることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記の課題を解決するために、本発明の化合物は、下記式(I):
Figure 2021063195
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、ビニル基を示し、nは3〜18の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)で表されるか、又は、R及び/又はRが水素原子の場合において、その塩であることを特徴としている。
本発明の接着性組成物は、重合性化合物として、下記式(I):
Figure 2021063195
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、ビニル基を示し、nは3〜18の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)で表される化合物、又は、R及び/又はRが水素原子の場合において、その塩である化合物を含有することを特徴としている。
本発明によれば、新規な重合性ホスホン酸系化合物が提供される。
また本発明の接着性組成物は、ベースとなる重合性化合物や溶媒との相溶性が良く、ホスホン酸基と結合等の相互作用が可能な対象物との接着性が向上し、接着性と加水分解安定性の双方に特に優れている。
以下に、本発明を詳細に説明する。
(式(I)で表される化合物)
式(I)で表される化合物において、Rは水素原子又はメチル基を示し、nは3〜18の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。
nは3〜18の整数である場合、本発明者らの知り得る限りにおいて、これまでに具体的な合成の開示がない新規化合物である。
式(I)において、ホスホン酸基は、このホスホン酸基と結合等の相互作用が可能な対象物との接着性を付与する。また、m個のメチレンを介してホスホン酸基とエーテル基が繋がる構造は、加水分解に対して安定である。一方、n個のメチレンを介してエーテル基と重合性基が繋がる構造は、電子供与性のエーテル基があることでベースとなる重合性化合物や溶媒との相溶性が良く、ホスホン酸基と結合等の相互作用が可能な対象物との接着性にも寄与し得る。その中でもn個のメチレンが比較的長鎖であると、重合後のポリマーから長鎖のスペーサが分岐し、その末端付近に位置するホスホン酸基とエーテル基は効果を発揮する傾向が顕著になると考えられる。この構造は、従来のリン酸エステル系化合物や、スペーサがアルキル鎖のみからなるホスホン酸系化合物と比べて、接着性、加水分解安定性の双方に優れている。mが1〜3である場合、ハロゲン化アルキルアルコールを原料として容易に合成できる。
式(I)において、nは、相溶性、接着性、加水分解安定性の観点を考慮すると、3〜15が好ましく、3〜12がより好ましく、4〜12がさらに好ましく、5〜12が特に好ましく、6〜12が最も好ましく、8〜12が殊更好ましい。
式(I)において、mは、合成が容易である点を考慮すると、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
式(I)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、接着性組成物のベースとなる重合性化合物等に応じて適宜に選択できる。
式(I)において、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、ビニル基を示す。アルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよい。
アルキル基としては、メチル基、エタン−1−イル基、プロパン−1−イル基、1−メチルエタン−1−イル基、ブタン−1−イル基、ブタン−2−イル基、2−メチルプロパン−1−イル基、2−メチルプロパン−2−イル基、ペンタン−1−イル基、ペンタン−2−イル基、ヘキサン−1−イル基、ヘプタン−1−イル基、オクタン−1−イル基、ノナン−1−イル基、デカン−1−イル基、ウンデカン−1−イル基、ドデカン−1−イル基、トリデカン−1−イル基、テトラデカン−1−イル基、ペンタデカン−1−イル基、ヘキサデカン−1−イル基、ヘプタデカン−1−イル基、オクタデカン−1−イル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エタン−1−イル基、プロパン−1−イル基、1−メチルエタン−1−イル基、ブタン−1−イル基、ブタン−2−イル基、2−メチルプロパン−1−イル基、2−メチルプロパン−2−イル基、ペンタン−1−イル基、ペンタン−2−イル基、ヘキサン−1−イル基、ヘプタン−1−イル基、オクタン−1−イル基が好ましく、更に好ましくは、メチル基、エタン−1−イル基、プロパン−1−イル基、1−メチルエタン−1−イル基、ブタン−1−イル基、ブタン−2−イル基、2−メチルプロパン−1−イル基、2−メチルプロパン−2−イル基が好ましい。
ヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基としては、ヒドロキシ基及び又はカルボキシ基は、炭素数1〜18の炭素の1級、2級、3級どの炭素に結合していてもよい。
ヒドロキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基としては、モノヒドロキシアルキル基、ポリヒドロキシアルキル基が挙げられる。
モノヒドロキシアルキル基は、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロパン−1−イル基、2−ヒドロキシプロパン−1−イル基、3−ヒドロキシプロパン−1−イル基、1−ヒドロキシプロパン−2−イル基、2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、1−ヒドロキシブタン−1−イル基、2−ヒドロキシブタン−1−イル基、3−ヒドロキシブタン−1−イル基、4−ヒドロキシブタン−1−イル基、1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−イル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−イル基、3−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−イル基、1−ヒドロキシブタン−2−イル基、2−ヒドロキシブタン−2−イル基、3−ヒドロキシブタン−2−イル基、4−ヒドロキシブタン−2−イル基、1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル基、5−ヒドロキシペンタン−1−イル基、6−ヒドロキシヘキサン−1−イル基、7−ヒドロキシヘプタン−1−イル基、8−ヒドロキシオクタン−1−イル基、9−ヒドロキシノナン−1−イル基、10−ヒドロキシデカン−1−イル基、11−ヒドロキシウンデカン−1−イル基、12−ヒドロキシドデカン−1−イル基、13−ヒドロキシトリデカン−1−イル基、14−ヒドロキシテトラデカン−1−イル基、15−ヒドロキシペンタデカン−1−イル基、16−ヒドロキシヘキサデカン−1−イル基、17−ヒドロキシヘプタデカン−1−イル基、18−ヒドロキシオクタデカン−1−イル基等が挙げられる。炭素数は、1〜12のものが好ましく、炭素数1〜6のものがより好ましく、炭素数1〜3のものがさらに好ましい。
ポリヒドロキシアルキル基としては、例えば、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、またはオクタヒドロキシアルキル基等が挙げられる。具体的には、例えば、1,2−ジヒドロキシエチル基等のジヒドロキシエチル基;1,2−ジヒドロキシプロパン−1−イル基、2,3−ジヒドロキシプロパン−1−イル基等のジヒドロキシプロパン−1−イル基;1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル基、1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル基等のジヒドロキシプロパン−2−イル基;トリヒドロキシプロパン−1−イル基;トリヒドロキシプロパン−2−イル基;1,2−ジヒドロキシブタン−1−イル基、1,3−ジヒドロキシブタン−1−イル基、1,4−ジヒドロキシブタン−1−イル基、2,3−ジヒドロキシブタン−1−イル基、2,4−ジヒドロキシブタン−1−イル基、3,4−ジヒドロキシブタン−1−イル基等のジヒドロキシブタン−1−イル基;1,2,3トリヒドロキシブタン−1−イル基、1,2,4トリヒドロキシブタン−1−イル基、1,3,4トリヒドロキシブタン−1−イル基、2,3,4トリヒドロキシブタン−1−イル基等のトリヒドロキシブタン−1−イル基;テトラヒドロキシブタン−1−イル基;1,2−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−イル基、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−イル基、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−イル基等のジヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−イル基;トリヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−イル基;テトラヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−イル基;1,2−ジヒドロキシブタン−2−イル基、1,3−ジヒドロキシブタン−2−イル基、1,4−ジヒドロキシブタン−2−イル基、2,3−ジヒドロキシブタン−2−イル基、2,4−ジヒドロキシブタン−2−イル基、3,4−ジヒドロキシブタン−2−イル基等のジヒドロキシブタン−2−イル基;1,2,3トリヒドロキシブタン−2−イル基、1,2,4トリヒドロキシブタン−2−イル基、1,3,4トリヒドロキシブタン−2−イル基、2,3,4トリヒドロキシブタン−2−イル基等のトリヒドロキシブタン−2−イル基;テトラヒドロキシブタン−2−イル基;1,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル基、1,3−ジヒドロキシ−2−エチルプロパン−2−イル基、1,3−ジヒドロキシ−2−ヒドロキシメチルプロパン−2−イル基;ジ、トリ、テトラ、又はペンタヒドロキシペンタン−1−イル基;ジ、トリ、テトラ、ペンタ、またはヘキサヒドロキシヘキサン−1−イル基;ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、またはヘプタヒドロキシヘプタン−1−イル基;ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、又はオクタヒドロキシオクタン−1−イル基等が挙げられる。ポリヒドロキシアルキル基は、水酸基を2〜6個有する
炭素数1〜10のものが好ましく、炭素数1〜6のものがより好ましい。
カルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基、1−カルボキシエチル基、2−カルボキシエチル基、1−カルボキシプロパン−1−イル基、2−カルボキシプロパン−1−イル基、3−カルボキシプロパン−1−イル基、1−カルボキシプロパン−2−イル基、2−カルボキシプロパン−2−イル基、1−カルボキシブタン−1−イル基、2−カルボキシブタン−1−イル基、3−カルボキシブタン−1−イル基、4−カルボキシブタン−1−イル基、1−カルボキシ−2−メチルプロパン−1−イル基、2−カルボキシ−2−メチルプロパン−1−イル基、3−カルボキシ−2−メチルプロパン−1−イル基、1−カルボキシブタン−2−イル基、2−カルボキシブタン−2−イル基、3−カルボキシブタン−2−イル基、4−カルボキシブタン−2−イル基、1−カルボキシ−2−メチルプロパン−2−イル基、5−カルボキシペンタン−1−イル基、6−カルボキシヘキサン−1−イル基、7−カルボキシヘプタン−1−イル基、8−カルボキシオクタン−1−イル基、9−カルボキシノナン−1−イル基、10−カルボキシデカン−1−イル基、11−カルボキシウンデカン−1−イル基、12−カルボキシドデカン−1−イル基、13−カルボキシトリデカン−1−イル基、14−カルボキシテトラデカン−1−イル基、15−カルボキシペンタデカン−1−イル基、16−カルボキシヘキサデカン−1−イル基、17−カルボキシヘプタデカン−1−イル基、18−カルボキシオクタデカン−1−イル基等が挙げられる。カルボキシアルキル基は、炭素数1〜12のものが好ましく、炭素数1〜6のものがより好ましい。炭素数1〜3のものがさらに好ましい。
ヒドロキシ基及びカルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基としては、上記ヒドロキシカルボキシアルキル基としては、例えば、上記において例示したジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ、ウンデカ、ドデカ、トリデカ、テトラデカ、ペンタデカ、ヘキサデカ、ヘプタデカ、オクタデカヒドロキシアルキル基の水酸基の一部をカルボキシ基に置換したものが挙げられる。ヒドロキシ基およびカルボキシ基を各々1個有するモノヒドロキシカルボキシアルキル基としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−カルボキシブタン−1−イル基(カルニチン)、1−ヒドロキシエチル−2−カルボキシエチル基(セリン)、2−ヒドロキシエチル−2−カルボキシエチル基(トレオニン)等が挙げられる。ヒドロキシカルボキシアルキル基としては、2−ヒドロキシ−3−カルボキシブタン−1−イル基(カルニチン)等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基、ベンジル基、トリル基が挙げられる。
式(I)で表される化合物は、R及び/又はRが水素原子の場合、その塩であってもよい。当該塩としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等)、第2族元素(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等)、第3族元素(スカンジウム、イットリウム、ランタノイド、アクチノイド等)、第4族元素(チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ラザホージウム等)、第5族元素(バナジウム、ニオブ、タンタル、ドブニウム)、第6族元素(クロム、モリブデン、タングステン、シーボギウム)、第7族元素(マンガン、テクネチウム、レニウム、ボーリウム等)、第8族元素(鉄、ルテニウム、オスミウム、ハッシウム等)、第9族元素(コバルト、ロジウム、イリジウム、マイトネリウム等)、第10族元素(ニッケル、パラジウム、白金、ダームスタチウム等)、第11族元素(銅、銀、金、レントゲニウム等)、第12族元素(亜鉛、カドミウム、水銀、コペルニシウム等)、アルミニウム、インジウム、スズ、鉛から選ばれるいずれかの金属原子との塩、又はアミン塩(例えば、アンモニア、ヒドロキシアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、直鎖又は分岐状のアミンとしては、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミントリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン由来のアンモニウムイオン、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン、ピペラジン、ピロール等の環状アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン等のアルカノールアミン、アミノ酸の塩)等が挙げられる。
塩となるアミノ酸としては、酸性アミノ酸、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸があり、構造としては、アルキル基を側鎖に持つアミノ酸、アルキルチオアルキル基を側鎖に持つアミノ酸、チオール基含有アルキル基を側鎖に持つアミノ酸、フェニル基を側鎖に持つアミノ酸、ヒドロキシアルキル基を側鎖に持つアミノ酸、ヒドロキシフェニル基を側鎖に持つアミノ酸等、イミダゾール基含有側鎖に持つアミノ酸、アミノ基含有アルキル基を側鎖持つアミノ酸、グアニジノ基含有アルキル基を側鎖に持つアミノ酸等が挙げられる。D体、L体、又はD,L体混合物であってもよい。中でも塩基性のアミノ酸が好ましく、構造としては、アミノ基含有アルキル基を側鎖に持つリシン、イミダゾール基含有アルキル基を側鎖に持つヒスチジン、グアニジノ基含有アルキル基を側鎖に持つアルギニンが好ましい。
式(I)で表される化合物は、R、Rの両方がアルキル基、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を含むアルキル基、アリール基、ビニル基、水素原子、塩であってもよく、相違していてもよい。
(式(I)で表される化合物の製造方法)
式(I)で表される化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の工程により製造することができる。この製造方法はハロゲン化アルキルアルコールを出発物質として簡便に合成できる利点を有する。
最初の工程として、炭素数が前記n個の直鎖アルキル鎖における一方の末端にハロゲン、他方の末端にアセタール保護基を有するハロゲン化アルキル化合物(中間体(1))と、下記式(A):
O=P(ROH)(OR (A)
で表されるホスホン酸エステル化合物を塩基の存在下に脱ハロゲン化水素反応させて、エーテル化合物とする(中間体(2))。ハロゲン化アルキル化合物は、対応するハロゲン化アルキルアルコールをジヒドロピラン、クロロメチルメチルエーテル等のアセタール化試薬と反応させることによって得ることができる。式(A)で表されるホスホン酸エステル化合物において、Rはメチレン基m個の直鎖アルキル基を示し、Rは炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、ビニル基を示す。塩基として水素化ナトリウム、アルキルリチウム等を用いて、DMF、THF等の有機溶媒中で、温度を適宜に調整して反応させる。
次に、エーテル化合物である、上記において得られた中間体(2)の前記アセタール保護基を脱保護してヒドロキシ基とする(中間体(3))。例えば、酸加水分解条件において脱保護してヒドロキシ基とすることができる。
次に、脱保護してヒドロキシ基とした化合物である中間体(3)の前記ヒドロキシ基と、(メタ)アクリル酸を縮合反応させる。これにより(メタ)アクリロイルエステル基を導入した、式(I)で表される本発明の化合物が得られる。
式(I)のR及び/又はRが水素原子である化合物は、上記の工程に続いてホスホン酸エステル、つまり式(A)のR部分を必要に応じてプロトン化することによって、得ることができる。
また、別の製造方法としては、炭素数が前記n個の直鎖アルキル鎖における一方の末端にヒドロキシ基、他方の末端にアセタール保護基を有するアルキル化合物と、下記式(B):
O=P(RX)(OR (B)
で表されるハロゲン化ホスホン酸エステル化合物を塩基の存在下に脱ハロゲン化水素反応させて、エーテル化合物とする(中間体(2))。アルキル化合物は、対応するアルカンジオールをジヒドロピラン、クロロメチルメチルエーテル等のアセタール化試薬と反応させることによって得ることができる。式(B)で表されるハロゲン化ホスホン酸エステル化合物において、Rはメチレン基m個の直鎖アルキル基、Xはハロゲン原子(例えばCl,I,Br等)を示し、Rは炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、ビニル基を示す。塩基として水素化ナトリウム、アルキルリチウム等を用いて、DMF,THF等の有機溶媒中で、温度を適宜に調整して反応させる。
次に、エーテル化合物である、上記において得られた中間体(2)の前記アセタール保護基を脱保護してヒドロキシ基とする(中間体(3))。例えば、酸加水分解条件において脱保護してヒドロキシ基とすることができる。
次に、脱保護してヒドロキシ基とした化合物である中間体(3)の前記ヒドロキシ基と、(メタ)アクリル酸を縮合反応させる。これにより(メタ)アクリロイルエステル基を導入した、式(I)で表される本発明の化合物が得られる。
式(I)のR及び/又はRが水素原子である化合物は、上記の工程に続いてホスホン酸エステル、つまり式(B)のR部分を必要に応じてプロトン化することによって、得ることができる。
式(I)で表される化合物は、R及び/又はRが水素原子の場合、その塩であってもよいため、当該塩を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等)、第2族元素(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等)、第3族元素(スカンジウム、イットリウム、ランタノイド、アクチノイド等)、第4族元素(チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ラザホージウム等)、第5族元素(バナジウム、ニオブ、タンタル、ドブニウム)、第6族元素(クロム、モリブデン、タングステン、シーボギウム)、第7族元素(マンガン、テクネチウム、レニウム、ボーリウム等)、第8族元素(鉄、ルテニウム、オスミウム、ハッシウム等)、第9族元素(コバルト、ロジウム、イリジウム、マイトネリウム等)、第10族元素(ニッケル、パラジウム、白金、ダームスタチウム等)、第11族元素(銅、銀、金、レントゲニウム等)、第12族元素(亜鉛、カドミウム、水銀、コペルニシウム等)、アルミニウム、インジウム、スズ、鉛から選ばれるいずれかの金属原子との塩、又はアミン(例えば、アンモニア、ヒドロキシアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、直鎖又は分岐状のアミンとしては、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミントリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン由来のアンモニウムイオン、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン、ピペラジン、ピロール等の環状アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン等のアルカノールアミン、アミノ酸)等を水又は、溶剤中で規定量を入れて混合し、必要に応じて脱溶媒することで得ることが出来る。
本発明の前記式(I)で表される重合性ホスホン酸系化合物の用途としては、特に限定されないが、例えば、建装材料、印刷材料、表示材料、電気電子部品材料、光学デバイス、ディスプレイ、塗料、シール剤、シーリング材、ポッティング材、歯科材料、接着剤等の樹脂部材の原料中に、例えば潤滑剤、架橋剤、カップリング剤、希釈剤、離型剤、帯電防止剤、表面処理剤、接着性向上材として用いられる。

(接着性組成物)
本発明の接着性組成物は、重合性化合物として、式(I)で表される化合物を含有する。式(I)で表される化合物は、ベースとなる重合性化合物と混合される。
ベースとなる重合性化合物は、ラジカル重合性化合物が好ましい。ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合開始剤の作用でラジカル重合を生じる化合物や、熱や光等の活性化エネルギーを付与することでそれ自体ラジカルを生じる化合物である。
ベースとなる重合性化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、マレイミド基等の活性ラジカルによって重合する官能基を有する化合物等が挙げられる。主に、重合可能なエチレン性不飽和化合物が対象とされる。これらは、単官能又は二官能以上の多官能のいずれも用いることができる。また、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ベースとなる重合性化合物は、モノマー、プレポリマーを含む。
ベースとなるモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、単官能性(メタ)アクリルモノマー、二官能性(メタ)アクリルモノマー、三官能性以上の(メタ)アクリルモノマー、スチレン系モノマー、アクリルアミド系モノマー、オレフィン系モノマー、ビニル系モノマー等が挙げられる。
単官能性(メタ)アクリルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸o−トリル、(メタ)アクリル酸m−トリル、(メタ)アクリル酸p−トリル、(メタ)アクリル酸2,3−キシリル、(メタ)アクリル酸2,4−キシリル、(メタ)アクリル酸2,5−キシリル、(メタ)アクリル酸2,6−キシリル、(メタ)アクリル酸3,4−キシリル、(メタ)アクリル酸3,5−キシリル、(メタ)アクリル酸1−ナフチル、(メタ)アクリル酸2−ナフチル、(メタ)アクリル酸ビナフチル、メタクリル酸アントリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトール、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸オクタフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等が挙げられる。
二官能性(メタ)アクリルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート等が挙げられる。
三官能性以上の(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス[2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール]テトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、N,N−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等が挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、イソブチルスチレン、t−ブチルスチレン、s−ブチルスチレン、ペンチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;クロロスチレン、フルオロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン等のハロゲン化スチレン;p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン;p−フェニルスチレン等のアリールスチレン;スチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩、ニトロスチレン、アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、4(トリメトキシシリル)スチレン等が挙げられる。
アクリルアミド系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、(メタ)N,N−ジエチルアクリルアミド、(メタ)N,N−ジプロピルアクリルアミド、(メタ)N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビスヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビスヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビスヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビスヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
オレフィン系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−フェニル−1−ブテン、6−フェニル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2−フルオロプロペン、フルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、3−フルオロプロペン、トリフルオロエチレン、3,4−ジクロロ−1−ブテン、ブタジエン、ヘキサジエン、イソプレン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、アセチレン等が挙げられる。
ビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、アリルアルコール、(メタ)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデン、ビニルスルホン酸及びその塩、メタリルスルホン酸及びその塩、2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸及びその塩等、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾールが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ベースとなるプレポリマーは、更なる重合が可能な反応し易い、低分子量の高分子である。
ベースとなるプレポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、(メタ)アクリル化され、又はビニル−エーテル基を含有する、ポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテル等のポリ不飽和化合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち(メタ)アクリレートプレポリマーとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(メタ)アクリルモノマーを重合してなる(メタ)アクリル系オリゴマーを用いることができる。接着剤としての使用に適した低粘度の(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、重量平均分子量(Mw)が15000以下のものが好ましく、10000以下のものがより好ましく、5000以下のものが更に好ましい。(メタ)アクリル系オリゴマーを構成する(メタ)アクリルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、前記(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プレポリマーを用いる場合、更にモノマーを組み合わせて用いることができる。モノマーは、例えば、接着性組成物の粘度を調整する希釈剤としても使用し得る。
上記モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、単官能モノマーとして、メチル、エチル、ブチル、2−エチルへキシル及び2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチル及びエチルメタクリレート等のアルキル及びヒドロキシアルキルアクリレートやメタアクリレート等が挙げられる。また、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、ビニルアセテート等のビニルエステル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、スチレン、アルキルスチレン、ハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。また、多官能モノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート及びペンタエリトリトールテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルコハク酸、フタル酸ジアリル、リン酸トリアル、トリアルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の接着性組成物の硬化は、熱や、放射線、例えば紫外線、可視、赤外線又は電子ビームによって行うことができ、ラジカル重合開始剤を用いて硬化することができる。
ラジカル重合開始剤としては、従来から知られている有機過酸化物及びアゾ化合物等、外部からのエネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ラジカル重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、接着性組成物における重合性化合物の全量を基準として、硬化し易い点等を考慮すると0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。貯蔵安定性等を考慮すると、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
放射線により硬化する場合には、光開始剤を用いることができる。光開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド又はビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等のモノ−又はビスアシルホスフィンオキシド;1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン又は2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン等のα−ヒドロキシケトン;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホルニル)−1−プロパン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(4−メチルベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン又は2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[3,4−ジメトキシフェニル]−1−ブタノン等のα−アミノケトン;ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(クロロメチル)−ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、メチル2−ベンゾイルベンゾエート、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン又は3−メチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン;ケタール化合物、例えば、メチルフェニルグリオキシル酸エステル、5,5’−オキソ−ジ(エチレンオキシジカルボニルフェニル)又は1,2−(ベンゾイルカルボキシ)エタン等の2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル−エタノン、及び単体量又は二量体フェニルグリオシル酸エステル等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記光開始剤の含有量は、特に限定されないが、接着性組成物における重合性化合物の全量を基準として、硬化し易い点等を考慮すると0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。貯蔵安定性等を考慮すると、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
本発明の接着性組成物は、その効果を損なわない範囲内において、上記以外の他の成分を配合することができる。このような他の成分は、例えば、耐候性、耐摩耗性、外観、靭性、機械的特性等の向上のような、特定の特性を変更又は強化するために配合される。当該他の成分としては、特に限定されないが、例えば、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、消泡剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、溶剤、安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、顔料、染料、熱可塑性樹脂、フィラー等が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、及びこれらの2種又はそれ以上の混合物が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤及び多価アルコール型非イオン界面活性剤が、カチオン性界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩型、アミン塩型が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸又はその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩及びリン酸エステル塩が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤、リン酸エステル塩型両性界面活性剤が挙げられ、カルボン酸塩型両性界面活性剤はさらにアミノ酸型両性界面活性剤とベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
溶剤としては水及び有機溶剤が挙げられ、有機溶剤としては特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、3−イソプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等のケトン系溶媒、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル及びγ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルアセテート、エチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル系溶媒、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピニルアセテート及びジヒドロターピニルアセテート等のテルペン系溶媒、メチルセロスルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール及びt−ブタノール等のアルコール系溶媒、フッ素系溶媒等が挙げられる。溶剤の種類及び使用量は使用用途によって適宜選択することができ、これら2種以上を混合して用いてもよい。
フィラーとしては、特に限定されないが、有機フィラーと無機フィラーが挙げられる。有機フィラーとしては、例えばウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子、及びシリコーン微粒子が挙げられる。これら有機フィラーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また2種以上を用いてコアシェル構造としてもよい。無機フィラーとしては、シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられる。これら無機フィラーは2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の接着性組成物において、式(I)で表される化合物の含有量は、特に限定されないが、接着性組成物における重合性化合物の全量を基準として、接着性の向上等を考慮すると0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。接着性組成物の硬化後における接着層の物性等を考慮すると、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
本発明の接着性組成物は、室温で液状である場合にはペースト状で使用することができる。接着性組成物が室温で固体の場合には、加熱して使用する他、溶媒を使用してペースト化してもよい。
本発明の接着性組成物は、任意の方法で接着する対象物に適用することができる。例えば、塗布、滴下等が挙げられる。膜状とするためにコーティングのための器具や装置を使用することができる。接着層の厚みは、目的に応じて特に限定されないが、硬化後で、例えば1μm以上、あるいは5μm以上としてもよい。また1000μm以下、あるいは500μm以下としてもよい。
本発明の接着性組成物を対象物に適用後、硬化させる際には、熱により硬化を促進する等の目的で、必要に応じて加熱を行ってもよい。
本発明の接着性組成物は、対象物の接着に使用される。典型的には複数の対象物同士の接着に使用され、硬化によってこれらを固定する。対象物の形状は特に限定されず、基板等の任意の形状であってよい。
対象物の接着部位の少なくとも一方は、リン酸基と結合などの相互作用できるものであれば、特に限定されず、例えば、金属材料、無機材料、有機材料等が挙げられる。
金属材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、スズ、鉄、亜鉛、鋼、銀、金及びこれらの合金等が挙げられる。前記合金の具体例としては、銅合金では、銅を含む合金であれば特に限定されず、例えば、Cu−Ag系、Cu−Te系、Cu−Mg系、Cu−Sn系、Cu−Si系、Cu−Mn系、Cu−Be−Co系、Cu−Ti系、Cu−Ni−Si系、Cu−Zn−Ni系、Cu−Cr系、Cu−Zr系、Cu−Fe系、Cu−Al系、Cu−Zn系、Cu−Co系等の合金が挙げられる。またその他の合金では、アルミニウム合金(Al−Si合金)、ニッケル合金(Ni−Cr合金)、鉄合金(Fe−Ni合金、ステンレス)等が挙げられる。
無機材料としては、特に限定されないが、例えば、シリコン、セラミックやフィラーとして使用されるカーボン、無機塩及びガラス等が挙げられる。具体的には、シリコン、炭化ケイ素、シリカ、ガラス、珪藻土、珪酸カルシウム、タルク、硝子ビーズ、セリサイト活性白土、ゼオライト、ベントナイト等のケイ素化合物、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化チタン等の酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム、石膏等の硫酸塩、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、鱗片状黒鉛(天然黒鉛)、膨張黒鉛、膨張化黒鉛(合成黒鉛)等のグラファイト類、活性炭類、炭素繊維類、カーボンブラック、セラミックス等が挙げられる。また、表面に親水化処理、親水性の樹脂による被覆等を施した任意の無機材料であってもよい。
有機材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びそれらの塩、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー等、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。また、表面に親水化処理、親水性の樹脂による被覆等を施した任意の有機材料、例えば樹脂材料であってもよい。また、木材、紙等が挙げられる。
本発明の接着性組成物は、特に限定されないが、例えば、建材用、電子材料(パソコン・テレビ等の大型電子機器、カーナビゲーション、携帯電話・電子辞書等の小型電子機器、OA機器、FA機器等の液晶やタッチスクリーン、ディスプレイ)用、医療用、歯科用、化粧品用、衣類用、また各種基材に硬化塗膜を形成させるためのコーティング剤やシール材、シーリング材、ポッティング材、接着剤、また塗料(自動車等車輌のドアやボンネット、建造物の外壁等)等に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)合成
以下の手順で化合物1〜5を合成した。
<中間体1−1〜1−5の合成>
Figure 2021063195
3−ブロモ−1−プロパノール10.0 g(72.0 mmol)をTHF 150 mLに溶解させ、3,4−ジヒドロー2H−ピラン7.3 g(86.3 mmol)、パラトルエンスルホン酸0.68 g(3.6 mmol)を加え、2時間攪拌し、溶剤を真空下で除去した後、精製し、化合物1の原料となる中間体1−1を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.54-1.86(m,7H), 3.48-3.56(m,4H), 3.74-3.80(m,1H), 3.87-3.92(m,1H), 3.99-4.05(m,1H), 4.67-4.69(t,1H)
化合物2〜5に対応する中間体1−2〜1−5については、原料となるアルコールをそれぞれ、6−ブロモ−1−ヘキサノール、8−ブロモ−1−オクタノール、10−ブロモ−1−デカノール、11−ブロモ−1−ウンデカノールに変更し、同様の操作で合成した。
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.38-1.89(m,14H), 3.38-3.43(m,3H), 3.48-3.53(m,1H), 3.72-3.78(m,1H), 3.83-3.90(m,1H) c , 4.56-4.58(t,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.30-1.88(m,18H), 3.36-3.43(m,3H), 3.48-3.51(m,1H), 3.71-3.76(m,1H), 3.84-3.88(m,1H), 4.56-4.58(t,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.29-1.88(m,22H), 3.35-3.42(m,3H), 3.48-3.51(m,1H), 3.70-3.74(m,1H), 3.84-3.87(m,1H), 4.55-4.57(t,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.27-1.89(m,24H), 3.35-3.42(m,3H), 3.47-3.51(m,1H), 3.70-3.76(m,1H), 3.85-3.89(m,1H), 4.56-4.58(t,1H)


<中間体2−1〜2−5の合成>
Figure 2021063195
窒素雰囲気下、(ヒドロキシメチル)ホスホン酸ジエチル6.3 g(37.2 mmol)を脱水させたDMF 70 mLに溶解させ、0℃まで冷却した。水素化ナトリウム(60%,流動パラフィン分散) 1.6 g(37.2 mmol)を加え、0℃にて1時間、その後40℃まで昇温し1時間攪拌した。これに中間体1−1 7.9 g(35.4 mmol)を滴下させ、16時間攪拌後、精製し、中間体2−1を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.33-1.37(t,6H), 1.51-1.93(m,6H), 3.46-3.52(m,1H), 3.46-3.50(m,3H), 3.64-3.69(m,2H), 3.76-3.84(m,4H), 4.14-4.21(m,4H), 4.56-4.58(t,1H)
化合物2〜5に対応する中間体2−2〜2−5についても同様に、(ヒドロキシメチル)ホスホン酸ジエチルと中間体1−2〜1−5を用いて、同様の操作で合成した。
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.33-1.84(m,20H), 3.35-3.41(m,1H), 3.48-3.51(m,1H), 3.54-3.57(t,2H), 3.70-3.78(m,3H), 3.84-3.87(m,1H), 4.14-4.21(m,4H), 4.56-4.58(t,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.30-1.84(m,24H), 3.35-3.41(m,1H), 3.48-3.51(m,1H), 3.54-3.57(t,2H), 3.70-3.78(m,3H), 3.84-3.87(m,1H), 4.14-4.21(m,4H), 4.56-4.58(t,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.28-1.85(m,28H), 3.35-3.41(m,1H), 3.48-3.57(m,3H), 3.70-3.78(m,3H), 3.85-3.87(m,1H), 4.14-4.21(m,4H), 4.57-4.58(t,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.28-1.85(m,30H), 3.35-3.41(m,1H), 3.48-3.57(m,3H), 3.70-3.78(m,3H), 3.85-3.87(m,1H), 4.14-4.21(m,4H), 4.57-4.58(t,1H)

<中間体3−1〜3−5の合成>
Figure 2021063195
中間体2−1 9.6 g(30.9 mmol)を溶解させたメタノール60 mL中に、パラトルエンスルホン酸0.30 g(1.5 mmol)を加え、室温で1時間攪拌し、溶剤を真空下で除去した後、精製し、中間体3−1を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.34-1.37(t,6H), 1.80-1.87(m,2H), 3.75-3.81(m,6H), 4.14-4.21(m,4H)
化合物2〜5に対応する中間体3−2〜3−5についても同様に、パラトルエンスルホン酸と中間体2−2〜2−5から、同様の操作で合成した。
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.33-1.39(m,10H), 1.57-1.70(m,4H), 3.55-3.59(t,2H),3.62-3.65(t,2H), 3.76-3.78(d,2H), 4.14-4.21(m,4H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.30-1.38(m,14H), 1.56-1.60(m,4H), 3.55-3.59(t,2H),3.62-3.65(t,2H), 3.76-3.78(d,2H), 4.14-4.21(m,4H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.27-1.37(m,18H), 1.55-1.58(m,4H), 3.53-3.57(t,2H),3.62-3.65(t,2H), 3.76-3.78(d,2H), 4.14-4.21(m,4H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.27-1.37(m,18H), 1.55-1.72(m,6H), 3.53-3.57(t,2H),3.62-3.65(t,2H), 3.75-3.77(d,2H), 4.13-4.21(m,4H)

<中間体4−1〜4−5の合成>
Figure 2021063195
中間体3−1 7.0 g(30.9 mmol)をトルエン60 mLに溶解させ、メタクリル酸 4.0 g(46.4 mmol)、パラトルエンスルホン酸0.59 g(3.1 mmol)、重合禁止剤として4−メトキシフェノール0.02 g(中間体3−1に対し3 wt%分)を加え90℃で16時間、過熱攪拌後、溶剤を留去し、中間体4−1を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.33-1.36(t,6H), 1.94(s,3H), 1.94-2.01(m,2H), 3.65-3.69(t,2H), 3.79-3.81(d,2H), 4.14-4.25(m,6H), 5.56(s,1H), 6.10(s,1H)
化合物2〜5に対応する中間体4−2〜4−5についても同様に、パラトルエンスルホン酸、メタクリル酸及び中間体3−2〜3−5から、同様の操作で合成した。
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.21-1.40(m,10H), 1.60-1.68(m,4H), 1.94(s,3H), 3.55-3.58(t,2H), 3.76-3.78(d,2H), 4.12-4.21(m,6H), 5.55(s,1H), 6.10(s,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.24-1.38(m,14H), 1.55-1.68(m,4H), 1.94(s,3H), 3.55-3.58(t,2H), 3.76-3.78(d,2H), 4.12-4.21(m,6H), 5.55(s,1H), 6.10(s,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.27-1.37(m,18H), 1.53-1.68(m,4H), 1.94(s,3H), 3.53-3.57(t,2H), 3.76-3.78(d,2H), 4.12-4.21(m,6H), 5.54(s,1H), 6.10(s,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.23-1.37(m,18H), 1.53-1.68(m,6H), 1.94(s,3H), 3.53-3.57(t,2H), 3.76-3.78(d,2H), 4.12-4.21(m,6H), 5.54(s,1H), 6.09(s,1H)

<実施例化合物1〜5の合成>
Figure 2021063195
中間体4−1 7.4 g(25.2 mmol)をクロロホルム50 mLに溶解させ、ブロモトリメチルシラン7.5 mL(55.3 mmol)を滴下にて加えた。室温で16時間攪拌後、溶剤を真空下で除去し、化合物1を得た。
1H-NMR(MeOD, 400 MHz):δ=1.93(s,3H), 1.90-1.95(m,2H), 3.68-3.71(t,2H), 3.73-3.76(d,2H), 4.20-4.22(t,2H), 5.54(s,1H), 6.02(s,1H)
31P-NMR(MeOD, 400 MHz,Internal standard:H3PO4):δ=18.86
化合物2〜5についても同様に、ブロモトリメチルシランと中間体4−2〜4−5から、同様の操作で合成した。
Figure 2021063195
1H-NMR(MeOD, 400 MHz):δ=1.45-1.48(m,4H), 1.62-1.73(m,4H), 1.95(s,3H), 3.58-3.61(t,2H), 3.69-3.71(d,2H), 4.15-4.18(t,2H), 5.63(s,1H), 6.10(s,1H)
31P-NMR(MeOD, 400 MHz,Internal standard:H3PO4):δ=19.08
Figure 2021063195
1H-NMR(MeOD, 400 MHz):δ=1.35-1.40(m,8H), 1.59-1.70(m,4H), 1.95(s,3H), 3.55-3.59(t,2H), 3.72-3.74(d,2H), 4.15-4.18(t,2H), 5.60(s,1H), 6.10(s,1H)
31P-NMR(MeOD, 400 MHz,Internal standard:H3PO4):δ=19.10
Figure 2021063195
1H-NMR(MeOD, 400 MHz):δ=1.27-1.37(m,12H), 1.53-1.68(m,4H), 1.94(s,3H), 3.53-3.57(t,2H), 3.76-3.78(d,2H), 4.14-4.17(t,2H), 5.54(s,1H), 6.10(s,1H)
31P-NMR(MeOD, 400 MHz,Internal standard:H3PO4):δ=19.12
Figure 2021063195
1H-NMR(MeOD, 400 MHz):δ=1.27-1.30(m,12H), 1.46-1.60(m,6H), 1.81(s,3H), 3.43-3.46(t,2H), 3.55-3.58(d,2H), 4.01-4.04(t,2H), 5.50(s,1H), 5.96(s,1H)
31P-NMR(MeOD, 400 MHz,Internal standard:H3PO4):δ=19.07

比較例として以下の化合物6〜12を用いた。
[比較例化合物6]
Figure 2021063195
化合物6は、上記実施例合成法に倣い、出発原料を2−ブロモエタノールに変更することで合成した。
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.55-1.86(m,6H), 3.51-3.53(m,3H), 3.76-3.80(m,1H), 3.87-3.91(m,1H), 4.00-4.03(m,1H), 4.68-4.69(t,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.33-1.37(t,3H), 1.50-1.83(m,10H), 3.46-3.52(m,1H), 3.59-3.64(m,1H), 3.77-3.80(t,2H), 3.86-3.91(m,3H), 4.15-4.22(m,4H), 4.62-4.64(t,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.34-1.37(t,6H), 3.72-3.76(m,4H), 3.87-3.89(d,2H), 4.15-4.23(m,4H)
Figure 2021063195
1H-NMR(CDCl3, 400 MHz):δ=1.32-1.36(t,6H), 1.95(s,3H), 3.83-3.85(t,2H), 3.87-3.89(d,2H), 4.15-4.22(m,4H), 4.30-4.33(t,2H), 5.59(s,1H), 6.13(s,1H)
Figure 2021063195
1H-NMR(MeOD, 400 MHz):δ=1.94(s,3H), 3.86-3.88(t,2H), 3.93-3.96(d,2H), 4.33-4.36(t,2H), 5.61(s,1H), 6.14(s,1H)
31P-NMR(MeOD, 400 MHz,Internal standard:H3PO4):δ=18.89


[化合物7]
Figure 2021063195
化合物7は、特開昭59−139392を参考に合成した。

[化合物8]
Figure 2021063195
化合物8は、共栄社化学製P−1M(2−ヒドロキシエチルリン酸メタクリレート)を使用した。

[化合物9]
Figure 2021063195
化合物9は以下の手順で合成した。

<中間体1−9の合成>
Figure 2021063195
1,11−ブロモウンデカン酸 16 g(60.3 mmol)をエタノール350 mLに溶解させ、パラトルエンスルホン酸 0.8 g(4.8 mmol)を加え8時間還流した。これを精製することで中間体1−9を得た。

<中間体2−9の合成>
Figure 2021063195
中間体1−9、10 g(34.2 mmol)に亜リン酸トリエチル 11.4 g(68.4 mmol)を加え、140℃で16時間攪拌を行った。これを減圧留去することで、中間体2−9を得た。

<中間体3−9の合成>
Figure 2021063195
中間体2−9、9.4 g(29.2 mmol)に塩化メチレン60 mLを加え、0℃冷却後、ボラン錯体/THF溶液40 mL(38.0 mmol)を滴下にて加えた。1時間攪拌後、室温でさらに16時間攪拌した。これを精製することで中間体3−9を得た。

<中間体4−9の合成>
Figure 2021063195
中間体3−9、3.0 g(9.7 mmol)を塩化メチレン20 mLに溶解させ、これに4−メトキシフェノール0.01 g、トリエチルアミン 2.5 g(32.1 mmol)、塩化メタクリロイル 3.5 mL(29.2 mmol)を加えた。0℃で1時間、その後室温で16時間攪拌し、これを精製することで中間体4−9を得た。

<化合物9の合成>
Figure 2021063195
中間体4−9、2.6 g(6.9 mmol)を塩化メチレン15 mLに溶解させ、ブロモトリメチルシラン3.2 mL(20.7 mmol)を滴下にて加えた。室温で16時間攪拌後、溶剤を真空下で除去し、化合物9を得た。

[化合物10]
Figure 2021063195
化合物10は、Chemistry A EUROPEAN JOURNAL, 2012, 18, 5201-5212を参考に合成した。

[化合物11]
Figure 2021063195
[化合物12]
Figure 2021063195
化合物11及び12は、JOURNAL of POLYMER SCIENCE; Part A; Polymer Chemistry, 2008, 10.1002 7074-7090を参考に合成した。

(2)重合性化合物の加水分解安定性試験
加水分解安定性試験として、まず、水10wt%を含む重メタノールにて化合物1〜12の1H-NMRを測定し、重合性基のメチレン部分を1プロトンとした際の、化合物1〜6及び9〜12については、リン原子に隣接する炭素のプロトン数、化合物7、8についてはリン酸エステル基に隣接する炭素のプロトン数を測定した。その後、この溶液を45℃で4日間静置させ、再度1H-NMRを測定し、先と同様、重合性基のメチレン部分を1プロトンとした際の、化合物1〜6及び9〜12については、リン原子に隣接する炭素のプロトン数、化合物7、8についてはリン酸エステル基に隣接する炭素のプロトン数を測定することで、経時変化を観察した。このピークにおける4日間での変化率(プロトン数の変化)から、分解率(%)、残存率(%)をそれぞれ算出した。
上記の結果を表1に示す。
Figure 2021063195
表1より、リン酸エステル基を有さない実施例1〜5及び比較例1、4〜7では、リン原子に隣接する炭素のプロトン数に関して4日後の残存率が高い一方、リン酸エステル基を持つ比較例2、3では、リン酸エステル基に隣接する炭素のプロトン数における残存率が低かったことから、リン酸エステル基の加水分解が確認された。
また、実施例1〜5及び比較例1との比較から、非リン酸エステル系化合物の中でも、アルキル鎖長が3以上において加水分解安定性に優れることが示唆された。
これらのことから、リン酸エステル基を有さない本発明の重合性ホスホン酸系化合物は加水分解安定性に優れることが示唆された。
比較例2、3で用いた化合物7、8については、加水分解安定性が低いことから、以降の相溶性試験、接着性試験は行わないものとした。

(3)重合性化合物の相溶性試験
相溶性試験として、化合物1〜6、9〜12と各種溶媒又は重合性モノマーとを混合し、その溶解性について目視にて観察を行った。混合比は、それぞれ重合性化合物0.1 gに対し、各種溶媒又は重合性モノマー1.0 mLとした。
結果を表2に示す。
Figure 2021063195
表2より、実施例6〜10に用いた本発明の化合物1〜5は各種溶媒や重合性モノマーとの相溶性に優れる一方、比較例に用いた化合物6ではトルエンといった溶媒、またメタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、スチレンといったベースとなるモノマーに不溶であり、化合物9ではアセトニトリルといった溶媒に不溶であり、(メタ)アクリロイルアミド基を有する化合物10〜12は、アセトン、トルエン、アセトニトリルといった溶媒、また、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレンに不溶であった。このことから、アルキル鎖長が3以上の本発明の重合性ホスホン酸系化合物は、各種溶媒や重合性モノマーに対する相溶性に優れることが示唆された。
比較例10〜12で用いた化合物10〜12については、相溶性が低いことから、接着性試験は行わないものとした。

(3)接着性組成物の接着率
金属基板に対する化合物1〜6及び9を含む接着性組成物の接着性能の試験を以下の手順で行った。金属基板は、アルミニウム板(表3)、鋼板(表4)、銅板(表5)を用いた。
接着性組成物は、表3〜5に示した質量部で、ベースとなるモノマー(ベースモノマー)にウレタンアクリレートUA−306H(共栄社化学製)、IB−XA(イソボルニルアクリレート・共栄社化学製)を使用し、化合物1〜6及び9、重合開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を添加し、攪拌・混合して作製した。
この混合物を、あらかじめメタノールで洗浄・乾燥させた金属板表面に塗布し、バーコーターNo.10(膜厚20μm)によって表面を均一にした。
これをホットプレート上、170℃/10分間加熱することで、接着性組成物を金属板上で硬化させ、フィルム状とした。
これに対し、セロハンテープによる剥離試験を行った。剥離試験は、まずフィルム面にカッターナイフで0.5 mm四角の切り込みを入れ、その後、フィルム面にセロハンテープを押し付け、素早く、一定の速度でテープを基板から剥ぎ取ることで行われた。テープによって剥ぎ取られていないフィルムの残数を、接着率として算出した(数値が大きいほど接着力が強い。)。評価結果は、6回測定における最大値及び最小値を除いた4回分の平均値を用いた。
続いて、耐水試験を行った(JIS K 6857規格に準拠)。前記記載手法により調整した接着物について、室温の水に3日間浸漬させた。これを乾燥させた後に、フィルム基板に対し前記同様の剥離試験を行い、その長期接着性を確認した。
上記試験において、実施例には化合物1〜5を、比較例には化合物6、9また重合性ホスホン酸系化合物を含まない接着性組成物を用いた。
上記の結果を表3〜表5に示す。
Figure 2021063195
Figure 2021063195
Figure 2021063195
表3の結果から、アルミニウムに対する初期接着率に関して、エーテル基を有する実施例11〜15及び比較例13では、比較例14、15と比較して、非常に良好な結果が得られた。このことから、化合物中のエーテル基が、アルミニウム板への接着性に寄与していることが示唆された。また、その中でも、実施例11〜15及び比較例13との比較から、nが3以上の化合物において、より良い結果が得られた。さらに、実施例11よりも実施例12〜15の方が接着性に優れていたことから、式(I)におけるnが6以上であると、つまり長鎖のスペーサを有していると接着力により優位であることが示唆された。これは、重合後のポリマーと、金属板表面に吸着するリン酸基を結ぶためのスペーサに長さが必要であることを示唆している。また、耐水試験3日後における長期接着率に関して、実施例11〜15ではいずれも、比較例13〜15と比較し非常に良好な結果が得られた。特に実施例12〜15が優れていた。このことから、nは3以上、好ましくは6以上であり、より好ましくは8以上であり、さらに好ましくは10以上において接着力に優れる結果となった。
表4の結果から、鋼板に対する初期接着率に関して、実施例16〜20はいずれも100%の接着力を示し、比較例16〜18と比べ、非常に良好な結果が得られた。さらに、耐水試験3日後における長期接着率においても、実施例16〜20はいずれも、比較例16〜18と比べ、良好な結果が得られた。特に実施例17〜20が優れていた。このことから、nは3以上、好ましくは6以上であり、より好ましくは8以上であり、さらに好ましくは10以上において接着力に優れる結果となった。
表5の結果から、銅板に対する初期接着率について、比較例19〜21では一切の接着力が見られなかった。一方、実施例21〜25では、接着力が良好で、特に実施例22〜25において顕著に良い結果が見られた。このことから、nは3以上、好ましくは6以上において接着力に優れる結果となった。また、耐水試験3日後における長期接着率では、実施例22〜25が優れており、このことから、nは3以上、好ましくは6以上であり、より好ましくは8以上であり、さらに好ましくは10以上において接着力に優れる結果となった。
以上の結果から、本発明のメチレン基を介してホスホン酸基とエーテル基が繋がる重合性化合物は、加水分解安定性に優れ、相溶性に優れており、さらにこれを含む接着性組成物では、アルミニウム、鋼、銅等の金属に対する初期接着性、浸水3日後の長期接着性に優れることが示され、接着性組成物として各種用途に有用であることが示唆された。また、本発明の化合物の中でも、エーテル基と(メタ)アクリロイルエステル基間のスペーサ、つまりメチレン基の数(n)が3以上、好ましくは6以上である化合物を接着性組成物に用いると、特に接着性に優れることが示された。

Claims (6)

  1. 下記式(I):
    Figure 2021063195
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、ビニル基を示し、nは3〜18の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)で表されるか、又は、R及び/又はRが水素原子の場合において、その塩である化合物。
  2. 前記塩が、アルカリ金属、第2族〜第12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、鉛から選ばれるいずれかの金属原子との塩、又はアミン塩である請求項1に記載の化合物。
  3. 前記式(I)において、nが3〜12の整数を示し、mが1である請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 重合性化合物として、下記式(I):
    Figure 2021063195
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、ビニル基を示し、nは3〜18の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)で表される化合物、又は、R及び/又はRが水素原子の場合において、その塩である化合物を含有する接着性組成物。
  5. 前記塩が、アルカリ金属、第2族〜第12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、鉛から選ばれるいずれかの金属原子との塩、又はアミン塩である請求項4に記載の接着性組成物。
  6. 前記式(I)において、nが3〜12の整数を示し、mが1である請求項4又は5に記載の接着性組成物。
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