JP2021088689A - シロキサン化合物及びその製造方法 - Google Patents
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- GIKJLZHUFZIMJS-UHFFFAOYSA-N CCCC(CCC1O)CC1OC(C(C)=C)=O Chemical compound CCCC(CCC1O)CC1OC(C(C)=C)=O GIKJLZHUFZIMJS-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Abstract
【課題】医療用材料に好適なシロキサン化合物及びその製造方法を提供する。【解決手段】式(1)で表されるシロキサン(式(1)、Zの少なくとも一つは式(2)で表される基であり、式(2)、X及びYは、一方が(メタ)アクリル基であり、他方が水素原子である)。【選択図】なし
Description
本発明はシロキサン化合物に関する。詳細には、医療用材料に好適なシロキサン化合物及びその製造方法を提供する。
従来、眼科用デバイスをはじめとした医療用材料に用いられる化合物として、シロキサンを有するモノマーが知られている。例えば、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(TRIS)は、眼科用デバイス用モノマーとして広く用いられている。このTRISと親水性モノマーであるN,N−ジメチルアクリルアミドやN−ビニル−2−ピロリドンを共重合して得られるポリマーは高酸素透過性であるという有益な特長を有する。しかし、疎水性の高いシロキサンモノマーはこれらの親水性モノマーとの相溶性が高いとは言えず、医療用材料となるハイドロゲルを作製した際に相分離が起こり、白濁してしまうという問題がある。
しかし、上述したような(ポリ)シロキサンと重合性基とが連結する部分に第一級水酸基または第二級水酸基を有する化合物を用いてハイドロゲルを製造する場合、分子内に存在する反応性の高い水酸基によって望ましくない結果をもたらす場合がある。例えば、存在する水酸基にラジカルが付加し、ヒドロキシラジカルによる架橋構造の形成が引き起こされる恐れがある。それにより、予期せぬ硬度の増加や柔軟性の低下が引き起こされる。そのため、従来のシロキサン化合物では、有益な親水性や十分な強度を有する医療用材料を提供することができない。そこで、これらの欠点を克服する化合物及び組成物に対する需要が依然として存在する。
本発明は、医療用材料に好適なシロキサン及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決する為に鋭意検討し、鎖状(ポリ)シロキサン構造を有し、かつ(ポリ)シロキサン末端と重合性基とが連結する部分にシクロヘキシル環上に存在する第二級水酸基を有する(ポリ)シロキサンモノマーは、他の親水性モノマーとの相溶性に優れ、且つ、該(ポリ)シロキサンモノマー及び親水性モノマーから得られる(共)重合体は予期せぬ架橋構造の形成を引き起こさず柔軟性に優れることを見出した。
本発明のシロキサンは、シクロヘキシル環上に存在する第二級水酸基を有することにより、親水性モノマーとの相溶性に優れ、且つ、本発明の化合物から導かれる繰返し単位を含む(共)重合体において好ましい強度を提供する。本発明の化合物は、医療用材料用モノマーとして有用である。
以下、本発明のシロキサンについて、詳細に説明する。
本発明は上記式(1)で表されるシロキサンである。該シロキサンは鎖状(ポリ)シロキサン構造を有し、かつ(ポリ)シロキサン末端と重合性基とが連結する部分に、シクロヘキシル環上に存在する第二級水酸基を有することを特徴とする。本発明のシロキサンにおいて親水基である水酸基はシクロヘキシル環上に存在する第二級水酸基であり、またシロキサンは鎖状(ポリ)シロキサン構造を有するため、副反応を抑制できる。機構は定かではないが、鎖状(ポリ)シロキサン構造およびシクロヘキシル環により第二級水酸基が立体的に制限されるためと推測される。また、これらの特徴により、親水性モノマーとの相溶性を保ちつつ、本発明のシロキサンから導かれる繰返し単位を含む(共)重合体において好ましい強度を提供できる。
上記式(1)において、Rは、互いに独立に、炭素数1〜6の一価炭化水素基である。一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基等が挙げられる。Rは、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
上記式(1)において、nは1〜200の整数であり、好ましくは、nは3〜100の整数である。好ましくは、上記式(1)において、ZのひとつがRであり、もう一方のZが式(2)で表される基であるとき、すなわち、片末端のみに式(2)で表される基を有する場合は、nは3〜20であるのが好ましく、より好ましくはnは3〜15であり、さらに好ましくはnは3〜13である。また、上記式(1)において、二つのZが共に式(2)で表される基であるとき、すなわち、両末端に式(2)で表される基を有する場合、nは20〜200であるのが好ましく、より好ましくはnは30〜150であり、さらに好ましくは40〜120である。
上記式(1)において、Zは互いに独立に、Rまたは上記式(2)で表される基であり、ただしZのうち少なくとも一つは式(2)で表される基である。末端に存在するRとしては、上述したRの例示から選ばれるものであればよいが、好ましくはメチル基又はn−ブチル基である。
上記式(2)において、X及びYは、いずれか一方が(メタ)アクリル基であり、他方が水素原子である。X及びYのいずれか一方は、好ましくはメタクリル基である。
以下、上記式(1)で示される化合物の製造方法を説明する。
該製造方法は、下記式(3)で表される末端に不飽和基を含有する化合物
(X,Yは上記の通りである)
と、下記式(4)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物
(R及びnは上記の通りであり、Z’は互いに独立にRまたは水素原子で表される基であり、ただしZのうち少なくとも一つは水素原子である)
とを、ヒドロシリル化反応させて上記式(1)で表される化合物を得る工程を含む。
該製造方法は、下記式(3)で表される末端に不飽和基を含有する化合物
と、下記式(4)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物
とを、ヒドロシリル化反応させて上記式(1)で表される化合物を得る工程を含む。
本発明の製造方法では、上記式(3)で表される化合物、すなわち、末端に不飽和結合を有し、かつシクロヘキシル環上に存在する第二級水酸基を有する化合物を原料として用いる。該製造方法において、上記式(3)で表される原料化合物が有する水酸基はシクロヘキシル環上に存在する第二級水酸基であるため、ヒドロシリル化反応において水酸基が望ましくない副反応を起こすことを抑制できる。これにより本発明の化合物は高純度にて得ることができる。
上記ヒドロシリル化反応は従来公知の方法に従い行えばよい。例えば、式(4)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物に式(3)で表される不飽和化合物1モル当量以上を添加して反応させればよい。反応温度は特に制限されるものでないが、使用する溶媒の沸点を超えない程度の温度が好ましい。例えば、約0℃から約120℃の温度で行われるのがよい。該反応は溶媒、ヒドロシリル化触媒、又は安定剤の存在下で行ってもよい。溶媒及びヒドロシリル化触媒及び安定剤は従来公知のものであればよく、特に制限されるものでない。
該反応において不飽和化合物は、ハイドロジェンシロキサン化合物に対して1モル当量以上を添加することが好ましい。より好ましくは1.0〜3.0モル当量であり、更に好ましくは1.1〜2.0モル当量であり、特に好ましくは1.2〜1.5モル当量である。ハイドロジェンシロキサン化合物に対して不飽和化合物を当量以上添加することでハイドロジェンシロキサン化合物の残存および副反応の抑制ができる。また、上限値は制限されないが、不飽和化合物の添加量が多いと収率や経済性の点から好ましくない。
ヒドロシリル化触媒は、例えば、貴金属触媒、特には塩化白金酸から誘導される白金触媒が好ましい。特に、塩化白金酸の塩素イオンを重曹で完全中和して白金触媒の安定性を向上させるのがよい。例えば、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンと塩化白金酸の重曹中和物との錯体(カルステッド触媒)がより好ましい。
ヒドロシリル化触媒の添加量は上記反応を進行させるための触媒量であればよい。例えば、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンと塩化白金酸の重層中和物との錯体を、式(4)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物の質量に対し、白金換算量で1ppm〜80ppmとなる量で使用すればよい。
溶媒は、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びポリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル及び安息香酸メチル等のエステル系溶媒;直鎖ヘキサン、直鎖ヘプタン及び直鎖オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン及びエチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;並びに石油系溶媒等;及び、メチルアルコール、エチルアルコール、直鎖プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、直鎖ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びポリエチレングリコールなどのアルコール系溶媒が挙げられる。前記溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。
安定剤は、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、4,4−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェノール樹脂類、及びクレゾール樹脂類からなる群より選択される化合物等が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、および亜リン酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)等が挙げられる。アミン系酸化防止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、トリ又はテトラC1−3アルキルピペリジン又はその誘導体、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギサレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、フェニルナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミン等が挙げられる。イオウ系酸化防止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。前記安定剤は1種を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。
上記の反応において、反応終点は、従来公知の方法に従い、例えば、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又はガスクロマトグラフィー(GC)等によって原料化合物のピークが消失したことで確認できる。反応終了後は、従来公知の方法に従い精製すればよい。例えば、有機層を水で洗浄した後、溶媒を除去することにより生成物を単離することができる。また減圧蒸留や活性炭処理などを使用してもよい。
本発明の製造方法の一例としては、式(4)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物1モル当量と上記式(3)で表される不飽和化合物1.5モル当量、塩化白金酸重曹中和物・ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5wt%)をポリシロキサン化合物の質量に対し白金換算量で10ppm、トルエンをハイドロジェンシロキサン化合物に対して100質量%を添加し、窒素雰囲気下80℃で加熱撹拌を行う。2時間程度反応させることにより反応は完結する。また、その際に不飽和化合物あるいは生成する化合物をGC測定等でモニタリングすることで反応の進行を確認できる。反応の完結後、n−ヘキサンをハイドロジェンシロキサン化合物に対して100質量%を添加し、有機層をメタノール水(メタノール:水=4:1)で洗浄し、有機層に存在する溶媒、未反応の原料を減圧留去することで、上記式(1)で表されるシロキサン化合物を得ることができる。
該反応は従来公知の方法に従い行えばよい。例えば、式(5)で表されるエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸1モル当量以上を添加して反応させればよい。反応温度は特に制限されるものでないが、使用する溶媒の沸点を超えない程度の温度が好ましい。例えば、約0℃から約110℃の温度で行われるのがよい。該反応は溶媒や触媒、安定剤の存在下で行ってもよい。溶媒及び安定剤は従来公知のものであればよく、上述した溶媒及び安定化剤を用いることができる。
触媒は特に制限されないが、例えば、有機金属触媒、塩基性化合物、有機リン系化合物、アミン触媒、及びルイス酸等が挙げられる。有機金属触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等の(メタ)アクリル酸塩、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒や、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等のアセチルアセトン金属塩が例示される。塩基性化合物としては例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられる。有機リン系化合物としては例えば、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、オクチルジフェニルホスフィン、ジオクチルフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。アミン触媒としては、例えば、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチル−N’N’−ジメチルアミノエチルピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチルイミダゾール、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等が挙げられる。ルイス酸としては例えば、三弗化ホウ素、塩化アルミニウム、メチルジクロロアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリメチルアルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、四塩化チタン、ジクロロチタンビストリフレート、ビスシクロペンタジエニルチタニウムビストリフレート、ジクロロチタニウムビスフルオロスルホネート、四塩化スズ、スズ(II)ビストリフレート等が挙げられる。前記触媒は1種を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。
当該反応においても、反応終点は、従来公知の方法に従い、例えば、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又はガスクロマトグラフィー(GC)等によって原料化合物のピークが消失したことで確認できる。反応終了後は、従来公知の方法に従い精製すればよい。例えば、有機層を水で洗浄した後、溶媒を除去することにより生成物を単離することができる。また減圧蒸留や活性炭処理などを使用してもよい。
上記式(3)で表される化合物の製造方法の一例としては、上記式(5)で表されるエポキシ化合物1モル当量、メタクリル酸1.1モル当量、トリエチルアミン0.1モル当量を添加する。添加後、90℃で加熱撹拌を行う。10時間程度反応させることにより反応は完結する。また、その際にエポキシ化合物あるいは生成する化合物をGC測定等でモニタリングすることで反応の進行を確認できる。反応の完結後、トルエン100質量当量を添加し、有機層を水で洗浄し、有機層に存在する溶媒、未反応の原料を減圧留去することで上記式(3)で表される化合物を得ることができる。
上記式(3)で表される化合物は、Xが(メタ)アクリル基でありYは水素原子である化合物と、Xが水素原子でありYが(メタ)アクリル基である化合物(すなわち、前者の異性体)との混合物として得られることがある。その場合には、異性体の混合物のまま上記式(4)化合物とヒドロシリル化反応させればよい。またこの時、得られる式(1)化合物は下記(1A)及び(1B)のような、上記式(2)で表される基に置いてXが(メタ)アクリル基でありYは水素原子である化合物と、Xが水素原子でありYが(メタ)アクリル基である化合物(すなわち、前者の異性体)との混合物となる場合がある。この場合、異性体の混合物のまま後述するポリマー製造に用いることができ、本発明の効果に影響を与えるものでない。また、異性体の混合比率も特に制限されるものではない。
また、上記式(1)において、両末端に式(2)で表される基を有する場合、下記に示す(1a)(1b)(1c)の異性体の混合になる場合があるが、これらの異性体についても混合のまま後述する共重合に用いることができる。
本発明の化合物は(メタ)アクリル基の付加重合から導かれる繰り返し単位を有する重合体を与えることができる。本発明の化合物は、(メタ)アクリル基などの重合性基を有する他の化合物(以下、重合性モノマー、または親水性モノマーという)との相溶性が良好である。そのため、重合性モノマーと共重合することにより無色透明の共重合体を与えることができる。また、単独で重合することも可能である。
本発明の化合物と他の重合性(親水性)モノマーとの重合から導かれる繰返し単位を含む共重合体の製造において、本発明の化合物の配合割合は、ポリマー全体の質量に対して本発明の化合物から導かれる繰り返し単位の質量割合が10%以上となる量であればよい。より詳細には、本発明の化合物と重合性(親水性)モノマーとの合計100質量部に対して本発明の化合物を好ましくは10〜80質量部、より好ましくは10〜60質量部となる量がよい。上記繰り返し単位の質量割合が10%未満であると、本発明の化合物の特性が表れにくい。
重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3―ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマー;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−メチル(メタ)アクリルアミド等のアクリル酸誘導体;N−ビニルピロリドン等、その他の不飽和脂肪族もしくは芳香族化合物、例えばクロトン酸、桂皮酸、ビニル安息香酸;及び(メタ)アクリル基などの重合性基を有するシロキサンモノマーが挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
本発明の化合物と上記他の重合性モノマーとの共重合は従来公知の方法により行えばよい。例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤など既知の重合開始剤を使用して行うことができる。該重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩などがあげられる。これら重合開始剤は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。重合開始剤の配合量は、重合成分の合計100質量部に対して0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部であるのがよい。
本発明の化合物から導かれる繰返し単位を含む重合体は、親水性に優れる。また、該重合体から得られるハイドロゲルは透明性および強度が高い。従って、本発明の化合物は、医療用材料、例えば、眼科デバイス、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜を製造するのに好適である。該重合体を用いた医療用材料の製造方法は特に制限されるものでなく、従来公知の医療用材料の製造方法に従えばよい。例えば、コンタクトレンズ、眼内レンズなどレンズの形状に成形する際には、切削加工法や鋳型(モールド)法などを使用できる。
また、原料化合物である上記式(3)で表される化合物自身も、上述した重合性モノマーと重合して無色透明の共重合体を与えることができる。上記式(3)で表される化合物は(メタ)アクリル基に加えて末端不飽和結合を有するため、上述した他の重合性モノマーとの共重合反応の後、末端不飽和結合を重合させて架橋構造を形成することができる。この際、分子内に存在するシクロヘキシル環上の第二級水酸基の反応は抑制され、平衡含水率の低下や弾性率の予期しない増加を抑制し、強度の高いハイドロゲルを与えることができる。上記式(3)で表される化合物と他の重合性(親水性)モノマーとの重合から導かれる繰返し単位を含む共重合体の製造において、式(3)で表される化合物の配合割合は、ポリマー全体の質量に対して式(3)で表される化合物から導かれる繰り返し単位の質量割合が10%以上であればよい。より詳細には、式(3)で表される化合物と重合性(親水性)モノマーとの合計100質量部に対して式(3)で表される化合物を好ましくは10〜80質量部、より好ましくは10〜60質量部となる量がよい。該(共)重合体の重量平均分子量は特に制限されるものでないが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した値として、1,000〜1,000,000、好ましくは1,000〜100,000を有するのがよい。当該共重合体も親水性に優れ、該重合体から得られるハイドロゲルは強度および湿潤性に優れるため、医療用材料、例えば、眼科デバイス、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜を製造するのに有用である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。下記実施例において、1H−NMR分析はJEOL製のECS400を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して実施した。またガスクロマトグラフ(GC)測定は、すべて下記の条件で行われた。
測定装置:Agilent社ガスクロマトグラフィー(FID検出器)
キャピラリーカラム:J&W社HP−5MS(0.25mm×30m×0.25μm)
昇温プログラム:50℃(5分)→10℃/分→250℃(保持)
注入口温度250℃、検出器温度FID300℃
キャリアガス:ヘリウム(1.0ml/分)
スプリット比:50:1 注入量:1μL
測定装置:Agilent社ガスクロマトグラフィー(FID検出器)
キャピラリーカラム:J&W社HP−5MS(0.25mm×30m×0.25μm)
昇温プログラム:50℃(5分)→10℃/分→250℃(保持)
注入口温度250℃、検出器温度FID300℃
キャリアガス:ヘリウム(1.0ml/分)
スプリット比:50:1 注入量:1μL
下記実施例および比較例に使用した化合物は以下の通りである。
MHVCH:下記式(5A)又は(5B)で表される化合物(異性体)の混合物
AHPM:式(6A)又は(6B)で表される化合物(異性体)の混合物
MHVCH:下記式(5A)又は(5B)で表される化合物(異性体)の混合物
上記式(5A)又は(5B)で表される化合物の混合物は、下記合成例1により製造した。
合成例1
ジムロート、温度計、滴下漏斗を付けた300mLの三口ナスフラスコに、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(セロキサイド2000:株式会社ダイセル製)60.0g、メタクリル酸70.0g、トリエチルアミン5.0gを添加し、90℃まで加熱し、6時間熟成した。反応後にトルエンを60.0g添加し、2M水酸化ナトリウム水溶液で3回、脱イオン水で2回洗浄し、内温80℃で溶媒および未反応の原料などを減圧留去することで無色透明液体を得た。収量98.8g。1H−NMRにより、下記式(5A)および(5B)で表される化合物の混合物(以下、MHVCHと表す)であることを確認した。
合成例1
ジムロート、温度計、滴下漏斗を付けた300mLの三口ナスフラスコに、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(セロキサイド2000:株式会社ダイセル製)60.0g、メタクリル酸70.0g、トリエチルアミン5.0gを添加し、90℃まで加熱し、6時間熟成した。反応後にトルエンを60.0g添加し、2M水酸化ナトリウム水溶液で3回、脱イオン水で2回洗浄し、内温80℃で溶媒および未反応の原料などを減圧留去することで無色透明液体を得た。収量98.8g。1H−NMRにより、下記式(5A)および(5B)で表される化合物の混合物(以下、MHVCHと表す)であることを確認した。
実施例1
ジムロート、温度計を付けた300mLの三口ナスフラスコに、窒素雰囲気下で、下記式(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物50.0g、上記MHVCH42.6g(ハイドロジェンシロキサン化合物に対する不飽和化合物のモル比=1.5)、トルエン50.0g、塩化白金酸重曹中和物・ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5wt%)0.03gを添加し、80℃まで加熱し、4時間熟成した。反応後にn−ヘキサンを50.0g添加し、メタノール水溶液(メタノール:水=4:1)で5回洗浄し、内温80℃で溶媒および未反応の原料などを減圧留去することで無色透明液体を得た。収量72.5g。1H−NMRから式(8A)又は(8B)で表される化合物(異性体)の混合であることを確認した。
以下に1H−NMRデータを示す。
−0.20−0.20ppm(33H)、0.50ppm(2H)、1.31ppm(3H)、1.50−1.60ppm(1H)、1.60−1.70ppm(4H)、1.91ppm(1H)、1.95ppm(3H)、3.75−3.90ppm(1H)、4.75−4.95ppm(1H)、5.56ppm(1H)、6.10ppm(1H)。
ジムロート、温度計を付けた300mLの三口ナスフラスコに、窒素雰囲気下で、下記式(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物50.0g、上記MHVCH42.6g(ハイドロジェンシロキサン化合物に対する不飽和化合物のモル比=1.5)、トルエン50.0g、塩化白金酸重曹中和物・ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5wt%)0.03gを添加し、80℃まで加熱し、4時間熟成した。反応後にn−ヘキサンを50.0g添加し、メタノール水溶液(メタノール:水=4:1)で5回洗浄し、内温80℃で溶媒および未反応の原料などを減圧留去することで無色透明液体を得た。収量72.5g。1H−NMRから式(8A)又は(8B)で表される化合物(異性体)の混合であることを確認した。
−0.20−0.20ppm(33H)、0.50ppm(2H)、1.31ppm(3H)、1.50−1.60ppm(1H)、1.60−1.70ppm(4H)、1.91ppm(1H)、1.95ppm(3H)、3.75−3.90ppm(1H)、4.75−4.95ppm(1H)、5.56ppm(1H)、6.10ppm(1H)。
実施例2
実施例1において式(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物を下記式(9)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物50.0gに替え、上記MHVCHの量を17.5g(ハイドロジェンシロキサン化合物に対する不飽和化合物のモル比=1.5)に替えた他は実施例1を繰り返して無色透明液体を得た。収量61.2g。1H−NMRにより下記式(9A)又は(9B)で表される化合物(異性体)の混合であることを確認した。
以下に1H−NMRデータを示す。
−0.20−0.20ppm(72H)、0.50ppm(4H)、0.90ppm(3H)、1.31ppm(7H)、1.50−1.60ppm(1H)、1.60−1.70ppm(4H)、1.91ppm(1H)、1.95ppm(3H)、3.75−3.90ppm(1H)、4.75−4.95ppm(1H)、5.56ppm(1H)、6.10ppm(1H)。
実施例1において式(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物を下記式(9)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物50.0gに替え、上記MHVCHの量を17.5g(ハイドロジェンシロキサン化合物に対する不飽和化合物のモル比=1.5)に替えた他は実施例1を繰り返して無色透明液体を得た。収量61.2g。1H−NMRにより下記式(9A)又は(9B)で表される化合物(異性体)の混合であることを確認した。
−0.20−0.20ppm(72H)、0.50ppm(4H)、0.90ppm(3H)、1.31ppm(7H)、1.50−1.60ppm(1H)、1.60−1.70ppm(4H)、1.91ppm(1H)、1.95ppm(3H)、3.75−3.90ppm(1H)、4.75−4.95ppm(1H)、5.56ppm(1H)、6.10ppm(1H)。
実施例3
実施例1において式(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物を下記式(10)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物50.0gに替え、上記MHVCHの量を10.5g(ハイドロジェンシロキサン化合物に対する不飽和化合物のモル比=1.5)に替えた他は実施例1を繰り返して無色透明液体を得た。収量48.8g。1H−NMRにより下記式(10A)、(10B)、又は(10C)で表される化合物(異性体)の混合であることを確認した。
以下に1H−NMRデータを示す。
−0.20−0.20ppm(252H)、0.50ppm(4H)、1.31ppm(6H)、1.50−1.60ppm(2H)、1.60−1.70ppm(8H)、1.91ppm(2H)、1.95ppm(6H)、3.75−3.90ppm(2H)、4.75−4.95ppm(2H)、5.56ppm(2H)、6.10ppm(2H)。
実施例1において式(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物を下記式(10)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物50.0gに替え、上記MHVCHの量を10.5g(ハイドロジェンシロキサン化合物に対する不飽和化合物のモル比=1.5)に替えた他は実施例1を繰り返して無色透明液体を得た。収量48.8g。1H−NMRにより下記式(10A)、(10B)、又は(10C)で表される化合物(異性体)の混合であることを確認した。
−0.20−0.20ppm(252H)、0.50ppm(4H)、1.31ppm(6H)、1.50−1.60ppm(2H)、1.60−1.70ppm(8H)、1.91ppm(2H)、1.95ppm(6H)、3.75−3.90ppm(2H)、4.75−4.95ppm(2H)、5.56ppm(2H)、6.10ppm(2H)。
実施例4
実施例1において式(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物を下記式(11)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物50.0gに替え、上記MHVCHの量を4.2g(ハイドロジェンシロキサン化合物に対する不飽和化合物のモル比=1.5)に替えた他は実施例1を繰り返して無色透明液体を得た。収量40.0g。1H−NMRにより、下記式(11A)、(11B)又は(11C)で表される化合物(異性体)の混合であることを確認した。
以下に1H−NMRデータを示す。
−0.20−0.20ppm(612H)、0.50ppm(4H)、1.31ppm(6H)、1.50−1.60ppm(2H)、1.60−1.70ppm(8H)、1.91ppm(2H)、1.95ppm(6H)、3.75−3.90ppm(2H)、4.75−4.95ppm(2H)、5.56ppm(2H)、6.10ppm(2H)。
実施例1において式(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物を下記式(11)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物50.0gに替え、上記MHVCHの量を4.2g(ハイドロジェンシロキサン化合物に対する不飽和化合物のモル比=1.5)に替えた他は実施例1を繰り返して無色透明液体を得た。収量40.0g。1H−NMRにより、下記式(11A)、(11B)又は(11C)で表される化合物(異性体)の混合であることを確認した。
−0.20−0.20ppm(612H)、0.50ppm(4H)、1.31ppm(6H)、1.50−1.60ppm(2H)、1.60−1.70ppm(8H)、1.91ppm(2H)、1.95ppm(6H)、3.75−3.90ppm(2H)、4.75−4.95ppm(2H)、5.56ppm(2H)、6.10ppm(2H)。
比較例1
実施例1において上記MHVCHを、AHPM40.8g(ハイドロジェンシロキサン化合物に対する不飽和化合物のモル比=1.5)に替えた他は実施例1を繰り返して無色透明液体を得た。収量72.5g。1H−NMRにより下記式(12A)または(12B)で表される化合物(異性体)の混合であることを確認した。
実施例1において上記MHVCHを、AHPM40.8g(ハイドロジェンシロキサン化合物に対する不飽和化合物のモル比=1.5)に替えた他は実施例1を繰り返して無色透明液体を得た。収量72.5g。1H−NMRにより下記式(12A)または(12B)で表される化合物(異性体)の混合であることを確認した。
原料不飽和基含有化合物の反応性評価
実施例5〜9、比較例2
上記式(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物と、上記MHVCH又は上記AHPMと、塩化白金酸重曹中和物・ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5wt%)とを、下記表1に示す配合比で添加し、窒素雰囲気下80℃まで加熱し、4時間熟成した。反応後にGC測定を行い、目的物の純度(すなわち、上述した異性体の合計が全体に占める割合)を、面積%から算出した。ただし、原料のハイドロジェンシロキサン化合物、MHVCH,AHPMは除外した。結果を表1に示す。
実施例5〜9、比較例2
上記式(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物と、上記MHVCH又は上記AHPMと、塩化白金酸重曹中和物・ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5wt%)とを、下記表1に示す配合比で添加し、窒素雰囲気下80℃まで加熱し、4時間熟成した。反応後にGC測定を行い、目的物の純度(すなわち、上述した異性体の合計が全体に占める割合)を、面積%から算出した。ただし、原料のハイドロジェンシロキサン化合物、MHVCH,AHPMは除外した。結果を表1に示す。
表1に示す通り、シクロヘキシル環上に存在する第二級水酸基を含有する不飽和基含有化合物(MHVCH)とハイドロジェンシロキサンとの付加反応において、ハイドロジェンシロキサン化合物に対するMHVCHのモル比が1.0以上であると目的化合物の純度が特に大きく向上する。また、ヒドロシリル化反応の際の副反応が抑制されることから、より高い純度で製造することが可能である。
また、第一級及び第二級水酸基を有する不飽和基含有化合物(AHPM)とハイドロジェンシロキサンとの付加反応から得られる比較例2の化合物は、モル比が同じである実施例8の結果と対比すると純度が低い。これは、ヒドロシリル化反応の際に副反応が起きているためである。
また、第一級及び第二級水酸基を有する不飽和基含有化合物(AHPM)とハイドロジェンシロキサンとの付加反応から得られる比較例2の化合物は、モル比が同じである実施例8の結果と対比すると純度が低い。これは、ヒドロシリル化反応の際に副反応が起きているためである。
[実施例10〜14及び比較例3〜5]
ハイドロゲルの製造例
上記実施例1〜4で得た各化合物、上記比較例1で得た各化合物、又は下記式で表されるC−SiGMAと、下記式で表される3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(TRIS)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N、N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、及びイルガキュア1173(Irg1173)とを、表2又は3に示す組成及び配合比で混合し、均一な溶液になるまで撹拌した。撹拌後窒素によるバブリング5分間を行い、十分に脱気を行った後、ポリプロピレン製の鋳型へと封入した。高圧水銀ランプを用いてUV照射を行い、硬化した。硬化後、イソプロパノール、50%イソプロパノール水溶液、脱イオン水の順にそれぞれ数秒浸漬させることで洗浄を行い、ハイドロゲルフィルムを得た。得られたフィルムの各物性値を下記に示す方法に従い測定した。結果を表2及び3に示す。
C−SiGMA:式(7A)又は(7B)で表される化合物(異性体)の混合物
TRIS:3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート
ハイドロゲルの製造例
上記実施例1〜4で得た各化合物、上記比較例1で得た各化合物、又は下記式で表されるC−SiGMAと、下記式で表される3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(TRIS)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N、N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、及びイルガキュア1173(Irg1173)とを、表2又は3に示す組成及び配合比で混合し、均一な溶液になるまで撹拌した。撹拌後窒素によるバブリング5分間を行い、十分に脱気を行った後、ポリプロピレン製の鋳型へと封入した。高圧水銀ランプを用いてUV照射を行い、硬化した。硬化後、イソプロパノール、50%イソプロパノール水溶液、脱イオン水の順にそれぞれ数秒浸漬させることで洗浄を行い、ハイドロゲルフィルムを得た。得られたフィルムの各物性値を下記に示す方法に従い測定した。結果を表2及び3に示す。
C−SiGMA:式(7A)又は(7B)で表される化合物(異性体)の混合物
[平衡含水率]
フィルムを脱イオン水に25℃で48時間浸漬させた後、表面の水分を拭き取り、水和したフィルムの質量を計測した。次に水和したフィルムを50℃のオーブンで48時間、25℃のオーブンで24時間乾燥させ、乾燥フィルムの質量を計測した。平衡含水率は以下の式により算出した。
平衡含水率(%)=100×(水和フィルムの質量−乾燥フィルムの質量)/水和フィルムの質量
フィルムを脱イオン水に25℃で48時間浸漬させた後、表面の水分を拭き取り、水和したフィルムの質量を計測した。次に水和したフィルムを50℃のオーブンで48時間、25℃のオーブンで24時間乾燥させ、乾燥フィルムの質量を計測した。平衡含水率は以下の式により算出した。
平衡含水率(%)=100×(水和フィルムの質量−乾燥フィルムの質量)/水和フィルムの質量
[透明性]
フィルムを脱イオン水に25℃で48時間浸漬させた後、表面の水分を拭き取り、水和したフィルムを作成した。その外観を目視により観察し、下記の指標により評価した。
A:均一かつ透明であった
B:不均一あるいは白濁していた
フィルムを脱イオン水に25℃で48時間浸漬させた後、表面の水分を拭き取り、水和したフィルムを作成した。その外観を目視により観察し、下記の指標により評価した。
A:均一かつ透明であった
B:不均一あるいは白濁していた
[弾性率および伸び率]
フィルムを脱イオン水に25℃で48時間浸漬させた後、表面の水分を拭き取り、水和したフィルムを作成した。該水和したフィルムのヤング弾性率を、インストロン5943を用いて測定した。0.8cm×4.0cmに切断されたフィルムを50Nのロードセル、1cm/分のヘッド速度で測定を行い、縦軸に得られる応力、横軸にひずみををとった応力−ひずみ曲線の初期(直線部)の傾きを算出し、ヤング弾性率(MPa)とした。また、フィルムが破断した時の伸び率を最大伸び率(%)とした。
フィルムを脱イオン水に25℃で48時間浸漬させた後、表面の水分を拭き取り、水和したフィルムを作成した。該水和したフィルムのヤング弾性率を、インストロン5943を用いて測定した。0.8cm×4.0cmに切断されたフィルムを50Nのロードセル、1cm/分のヘッド速度で測定を行い、縦軸に得られる応力、横軸にひずみををとった応力−ひずみ曲線の初期(直線部)の傾きを算出し、ヤング弾性率(MPa)とした。また、フィルムが破断した時の伸び率を最大伸び率(%)とした。
表3に示す通り、比較化合物としてTRISを用いたハイドロゲルは透明性に難がある(比較例3)。また、比較化合物として式(12A)及び(12B)の混合物、又はシロキサンの側鎖としてシクロヘキシル環を有するC−SiGMAを用いたハイドロゲルは弾性率が高く、最大伸び率も低い(比較例4及び5)。一方、表2に示す通り、本発明の鎖状(ポリ)シロキサン構造を有し、かつ(ポリ)シロキサン末端と重合性基とが連結する部分に、シクロヘキシル環上に存在する第二級水酸基を有するシロキサン化合物を用いたハイドロゲルは、透明性に優れ、優れた弾性率および最大伸び率を有する。すなわち、本発明の化合物を用いたハイドロゲルは、有益な親水性や十分な強度や柔軟性を有する材料を提供する。
本発明のシロキサン化合物は親水性や強度に優れるハイドロゲルを与える。本発明のシロキサン化合物は、医療用材料、例えば、眼科用デバイス、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜、及び眼鏡レンズ製造用モノマーとして有用である。
Claims (13)
- 上記式(1)において、ZのひとつがRであり、もう一方のZが上記式(2)で表される基であり、nが3〜20である、請求項1記載のシロキサン。
- 上記式(1)において、二つのZが共に上記式(2)で表される基であり、nが20〜200である、請求項1記載のシロキサン。
- 上記式(1)において、全てのRがメチル基である、請求項1〜3のいずれか1項記載のシロキサン。
- 上記式(2)において、XまたはYがメタクリル基である、請求項1〜4のいずれか1項記載のシロキサン。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載のシロキサンの(メタ)アクリル基の重合から導かれる繰り返し単位を含むポリマー。
- 前記シロキサン由来単位の質量割合がポリマーの全質量に対し10質量%以上である、請求項6記載のポリマー。
- 請求項6または7記載のポリマーを含むハイドロゲル。
- 請求項6または7記載のポリマーを含む医療用材料。
- 下記式(1)で表されるシロキサンの製造方法であって
下記式(3)で表される、末端に不飽和基を含有する化合物
と、下記式(4)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物
とを、ヒドロシリル化反応させて上記式(1)で表される化合物を得る工程を含む、前記製造方法。
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-
2019
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