JP7145123B2 - シロキサンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はシロキサンの製造方法に関する。詳細には、医療用材料に好適なシロキサン及びその製造方法を提供する。
従来、眼科用デバイスをはじめとした医療用材料に用いられる化合物として、シロキサンを有するモノマーが知られている。例えば、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(TRIS)は、眼科用デバイス用モノマーとして広く用いられている。このTRISと親水性モノマーであるN,N-ジメチルアクリルアミドやN-ビニル-2-ピロリドンを共重合して得られるポリマーは高酸素透過性であるという有益な特長を有する。しかし、疎水性の高いシロキサンモノマーはこれらの親水性モノマーとの相溶性が高いとは言えず、医療用材料となるハイドロゲルを作製した際に相分離が起こり、白濁してしまうという問題がある。
特許文献1、2、3には、下記式(a)、(a’)で示されるグリセロールメタクリレートを有するシロキサン化合物:メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセロールメタクリレート(SiGMA)が記載されている。
Figure 0007145123000001
該SiGMAは、メタクリル酸とエポキシ変性シロキサン化合物の付加反応により形成されるモノマーであり、分子内に水酸基を有するために良好な親水性を発現する。そのため、親水性モノマーである2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミドやN-ビニル-2-ピロリドンとの相溶性に優れるという利点を有している。しかし、SiGMAは、カルボン酸とエポキシ変性シロキサン化合物の付加反応にて製造されるが、生成する水酸基に由来する副反応が避けられず、目的とするシロキサン化合物の純度が低下するという問題がある。
また、該化合物を用いてハイドロゲルを作製する場合、分子内に存在する反応性の高い水酸基によって望ましくない結果をもたらす場合が存在する。例えば、存在する水酸基にラジカルが付加し、ヒドロキシラジカルによる架橋構造の形成が引き起こされる恐れがある。それにより、予期せぬ硬度の増加や水酸基の減少による親水性の低下が引き起こされる。
特開昭54-55455号公報 特開昭56-22325号公報 特開2004-182724号公報
上記の通り、グリセロール(メタ)アクリレートを有するシロキサンは、高酸素透過性と、親水性モノマーとの相溶性を有することから、眼科用デバイス等を製造するのに好適であり、該グリセロール(メタ)アクリレートを有するシロキサンを高純度に製造する方法が求められている。一方で、SiGMAをモノマーとして得られる(共)重合体は、分子内に存在する反応性の高い水酸基による架橋構造の形成が起こり、予期せぬ硬度の増加や水酸基の減少による親水性の低下が引き起こされる恐れがある。従って、従来のシロキサンは、有益な親水性や十分な強度を有する医療用材料を提供することが困難であった。そこで、これらの欠点を克服する化合物及び組成物に対する需要が依然として存在する。
本発明は、グリセロール(メタ)アクリレートを有するシロキサンを高純度にて製造する方法を提供することを目的とする。さらには、医療用材料として有益な純度、高い酸素透過性、および他の重合性モノマーとの十分な相溶性を有するシロキサンを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決する為に鋭意検討し、エポキシ基上に置換基を有するエポキシ変性シロキサン化合物とカルボン酸との付加反応において、生成する水酸基に由来する副反応が抑制され、グリセロール(メタ)アクリレートを有するシロキサンを高純度にて得ることができることを見出した。さらに、得られる第三級水酸基含有シロキサン化合物は、他の親水性モノマーとの相溶性に優れ、且つ、(共)重合体において予期せぬ架橋構造の形成を引き起こさないことを見出した。
すなわち、下記式(1)で表されるシロキサンの製造方法であって
Figure 0007145123000002
(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rメチル基であり、Lは、エーテル結合を含んでよい炭素数2~10の二価炭化水素基であり、Aは下記式(2)または(3)で表される基であり、
Figure 0007145123000003
Figure 0007145123000004
上記式(2)においてnは1~100の整数であり、上記式(3)においてaは0~10の整数であり、bは0~10の整数であり、cは0~10の整数であり、ただしa+b+cは2以上であり、Rは、互いに独立に炭素数1~10の1価炭化水素基である
下記式(5)で表されるエポキシ化合物
Figure 0007145123000005
(式中、R、L、及びAは上記の通りである)と、
(メタ)アクリル酸とを反応させて、
上記式(1)で表される化合物を得る工程を含む、前記シロキサンの製造方法。
本発明の製造方法によれば、グリセロール(メタ)アクリレートを有するシロキサンを高純度にて製造することができる。また、本発明の化合物は他の親水性モノマーとの相溶性に優れ、且つ、(共)重合体において好ましい強度を提供する。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明は上記式(1)で表される化合物の製造方法を提供するものである。本発明の製造方法は、エポキシ基上に置換基を有するエポキシ変性シロキサン化合物を原料として、メタクリル酸あるいはアクリル酸と付加反応させることを特徴とする。即ち、上記式(5)で示される化合物において、エポキシ基上のLが結合する炭素に置換基を有することを特徴とする。置換基を有することで(メタ)アクリル酸との反応において生成する水酸基が反応性の低い第三級水酸基となるため、副反応が抑制され、上記式(1)で表されるシロキサンを高純度で得ることができる。さらには、上記式(1)で表されるシロキサンの水酸基は第三級であるため、該(ポリ)シロキサンモノマーと親水性モノマーとの重合反応時の副反応を抑制する。本発明の製造方法により得られるシロキサンから導かれる繰返し単位を含む(共)重合体は、他の親水性モノマーとの相溶性に優れ、且つ、好ましい強度を有する。
以下、本発明の化合物について、詳細に説明する。
本発明の化合物は上記式(1)で表されるシロキサンである。該化合物は末端(ポリ)シロキサン構造(Aで示される部分)、末端(メタ)アクリロイル基、及び、該(ポリ)シロキサンと(メタ)アクリロイル基との連結基に第三級水酸基を有することを特徴とする。本発明の化合物において親水基となる水酸基は第三級であり、副反応を抑制できる。これらの特徴により、親水性モノマーとの相溶性を保ちつつ、本発明の化合物から導かれる繰返し単位を含む(共)重合体において好ましい強度を提供できる。
上記式(1)において、Rは水素原子又はメチル基であり、好ましくはメチル基である。
上記式(1)において、Rは炭素数1~6の一価炭化水素基である。一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基等が挙げられる。Rは、好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
上記式(1)において、Lはエーテル結合を含んでよい、炭素数2~10の二価炭化水素基であり、好ましくは炭素数4~10の二価炭化水素基である。該二価炭化水素基としては、例えば、エチレン、1,3-プロピレン、1-メチルプロピレン、1,1-ジメチルプロピレン、2-メチルプロピレン、1,2-ジメチルプロピレン、1,1,2-トリメチルプロピレン、1,4-ブチレン、2-メチル-1,4-ブチレン、2、2-ジメチル-1,4-ブチレン、3-メチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,4-ブチレン、2,3-ジメチル-1,4-ブチレン、2,2,3-トリメチル-1,4-ブチレン、1,5-ペンチレン、1,6-ヘキサニレン、1,7-ヘプタニレン、1,8-オクタニレン、1,9-ノナニレン、及び1,10-デカニレン等が挙げられる。
また、エーテル結合を含む、炭素数2~10の、好ましくは炭素数4~10の二価炭化水素基としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレン-プロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイドが挙げられる。好ましくは下記式(4)で表される基であるのがよい。
Figure 0007145123000006
(式(4)において、pは1~2の整数であり、qは1~4の整数であり、好ましくはqは2~4の整数であり、より好ましくはqは2である。*は式(1)における炭素原子との結合箇所であり、**は式(1)におけるAとの結合箇所である)
該式(4)で表される基として、好ましくは-CHOC-、または-CHOCOC-である。
Aは上記式(2)または(3)で表されるポリシロキサンであり、nは1~100の整数であり、aは0~10の整数であり、bは0~10の整数であり、cは0~10の整数であり、ただしa+b+cは2以上である。好ましくは、nは2~20の整数である。また、式(3)においてaが1であり、bが1であり、及びcが0であるのが好ましい。
Rは、互いに独立に、炭素数1~10の、好ましくは炭素数1~6の一価炭化水素基である。一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、及びトリル基等のアリール基等が挙げられる。Rは、好ましくは炭素数1~10の、より好ましくは炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であり、更に好ましくはRがメチル基、n-ブチル基、又はt-ブチル基である。
以下、上記式(1)で示される化合物の製造方法を説明する。
本発明の製造方法は、エポキシ基上に置換基を有するエポキシ変性シロキサン化合物を用いることを特徴とする。本発明の製造方法において生成する化合物が有する水酸基は第三級であるため、水酸基により引き起こされる副反応を抑制できる。これにより、本発明の化合物を高純度にて得ることができる。
本発明の製造方法は、下記式(5)で表されるエポキシ化合物と、
Figure 0007145123000007
(式中、Rは炭素数1~6の一価炭化水素基であり、Lは、エーテル結合を含んでよい炭素数2~10の二価炭化水素基であり、Aは上記式(2)または(3)で表されるポリシロキサンである)
(メタ)アクリル酸とを反応させて、
上記式(1)で表される化合物を得る工程(以下、工程Iという)を含む。
本発明の製造方法はさらに、下記式(6)または(7)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物と
Figure 0007145123000008
Figure 0007145123000009
(n、a、b、c、Rは上記の通りである。)
下記式(8)で表される不飽和化合物とをヒドロシリル化反応させて
Figure 0007145123000010
(Rは上記の通りであり、Rは水素原子またはメチル基であり、L’は、単結合又はエーテル結合を含んでよい、炭素数1~8の二価炭化水素基である)
上記式(5)で表されるエポキシ化合物を得る工程(以下、工程IIという)を含む。
以下、各工程について詳細に説明する。
・工程I
該工程Iは、下記式(5)で表されるエポキシ化合物と、
Figure 0007145123000011
(式中、Rは炭素数1~6の一価炭化水素基であり、Lは、エーテル結合を含んでよい炭素数2~10の二価炭化水素基であり、Aは上記式(2)または(3)で表されるポリシロキサンである)
(メタ)アクリル酸とを反応させて、
上記式(1)で表される化合物を得る工程である。
該反応は従来公知の方法に従い行うことができるが、例えば、式(5)で表されるエポキシ化合物に(メタ)アクリル酸1モル当量以上を添加して反応させればよい。反応温度は特に制限されるものでないが、使用する溶媒の沸点を超えない程度の温度が好ましい。例えば、0~120℃の温度で行われるのがよい。該反応は溶媒や触媒、安定剤の存在下で行ってもよい。溶媒、触媒、及び安定剤は従来公知のものであればよく特に制限されるものでない。溶媒、安定剤は前述したものが使用できる。
メタクリル酸あるいはアクリル酸の添加量は、典型的には化合物(5)に対して1モル当量以上となる量比であればよい。上記値より少ないと、エポキシ基が残存するため好ましくない。また、上限値は制限されないが、好ましくは1~5モル当量となる量比、より好ましくは1.2~3モル当量比である。メタクリル酸あるいはアクリル酸の添加量が多いと、収率や経済性等の点から好ましくない。
上記工程Iにおける触媒は、従来公知のエポキシ硬化触媒であればよい。例えば、酸触媒、塩基触媒、有機金属触媒やアミン触媒等が挙げられ、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、アミン化合物、リン化合物、または、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛及びスズから選択される一つ以上を含む金属触媒、のいずれかの存在下で行うのが好ましい。酸触媒としては、特に限定するものではないが、例えば塩酸、硫酸、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、三塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化スズ(IV)、塩化鉄(III)、フッ化アンチモン(V)、塩化アンチモン(V)、三塩化りん、五塩化りん、オキシ塩化りん、四塩化チタン、三塩化チタン、塩化ジルコニウム、テトライソプロポキシチタンが例示される。塩基触媒としては、特に限定するものではないが、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化金属化合物や(メタ)アクリル酸リチウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等の中和塩が例示される。有機金属触媒としては、特に限定するものではないが、例えばスタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒や、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等のアセチルアセトン金属塩が例示される。アミン触媒としては、例えば、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル-N’N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N-メチルイミダゾール、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、及びトリフェニルアンモニウム塩等が挙げられる。
触媒の添加量は上記付加反応を進行させるための触媒量であればよい。また前記触媒は1種を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。付加反応の温度も特に制限されるものでなく適宜調整すればよい。特には20℃~150℃、より好ましくは50℃~120℃がよい。反応時間は例えば1~30時間、好ましくは5~20時間がよい。
・工程II
該工程は上記式(6)または(7)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物と上記式(8)で表されるエポキシ基含有不飽和化合物とをヒドロシリル化反応させて上記式(5)で表されるエポキシ化合物を得る工程である。
上記式(8)において、Rは水素原子又はメチル基である。好ましくは水素原子である。上記式(8)において、L’は単結合、又はエーテル結合を含んでよい、炭素数1~8の二価炭化水素基であり、好ましくはエーテル結合を含む炭素数2~8の二価炭化水素基である。
炭素数1~8の二価炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、1,3-プロピレン、1-メチルプロピレン、1,1-ジメチルプロピレン、2-メチルプロピレン、1,2-ジメチルプロピレン、1,1,2-トリメチルプロピレン、1,4-ブチレン、2-メチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,4-ブチレン、3-メチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,4-ブチレン、2,3-ジメチル-1,4-ブチレン、2,2,3-トリメチル-1,4-ブチレン、1,5-ペンチレン、1,6-ヘキサニレン、1,7-ヘプタニレン、1,8-オクタニレン等が挙げられる。
エーテル結合を含む基としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレン-プロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイドが挙げられる。特に好ましくは、下記式(4’)又は(4’’)で表される基である。
Figure 0007145123000012
(式(4’)において、pは1~2の整数であり、q’は0~2の整数であり、好ましくはq’は0又は1であり、より好ましくはq’は0である。式(4’)及び(4’’)において、*および**で示される部位は結合手であり、**は式(8)中にある不飽和結合との結合箇所である)
好ましくは-CHOCH-、または-CHOCOCH-である。
上記アルコール化合物とエポキシ化合物の反応は、従来公知の方法に従い行うことができる。例えば、アルコール化合物に1モル当量以上のエポキシ化合物を添加して反応させればよい。反応温度は特に制限されるものでないが、使用する溶媒の沸点を超えない程度の温度が好ましい。例えば、約0℃から約120℃の温度で行われるのがよい。該反応は溶媒や触媒の存在下で行ってもよい。溶媒及び触媒は従来公知のものであればよく、特に制限されるものでない。
また、上記式(6)または(7)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物と上記式(8)で表されるエポキシ基含有不飽和化合物との反応も、従来公知の方法に従い行えばよい。例えば、式(6)または(7)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物に式(8)で表されるエポキシ基含有不飽和化合物1モル当量以上を添加して反応させることが好ましい。反応温度は特に制限されるものでないが、使用する溶媒の沸点を超えない程度の温度が好ましい。例えば、0~120℃の温度で行われるのがよい。該反応は溶媒やヒドロシリル化触媒や安定剤の存在下で行ってもよい。溶媒及びヒドロシリル化触媒及び安定剤は従来公知のものであればよく特に制限されるものでない。
該反応において不飽和化合物は、ハイドロジェンシロキサン化合物に対して1モル当量以上を添加することが好ましい。上記値より少ないと、ヒドロシリル基が残存するため好ましくない。また、上限値は制限されないが、好ましくは1モル当量~3モル当量であり、更に好ましくは1.1~2.0モル当量であり、特に好ましくは1.2~1.5モル当量となる量比である。不飽和化合物の添加量が多いと、収率や経済性等の点から好ましくない。
ヒドロシリル化触媒は、例えば、貴金属触媒、特には塩化白金酸から誘導される白金触媒が好ましい。特に、塩化白金酸の塩素イオンを重曹で完全中和して白金触媒の安定性を向上させるのがよい。例えば1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサンと塩化白金酸の重曹中和物との錯体(カルステッド触媒)がより好ましい。
ヒドロシリル化触媒の添加量は上記反応を進行させるための触媒量であればよい。例えば、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサンと塩化白金酸の重層中和物との錯体を、ハイドロジェンシロキサン化合物の質量に対し、白金換算量で1ppm~80ppmとなる量で使用すればよい。
溶媒は、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びポリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル及び安息香酸メチル等のエステル系溶媒;直鎖ヘキサン、直鎖ヘプタン及び直鎖オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン及びエチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;並びに石油系溶媒等;及び、メチルアルコール、エチルアルコール、直鎖プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、直鎖ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びポリエチレングリコールなどのアルコール系溶媒が挙げられる。前記溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。
安定剤は、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、4,4-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、フェノール樹脂類、及びクレゾール樹脂類からなる群より選択される化合物等が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、トリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、および亜リン酸エチルビス(2,4-ジtert-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。アミン系酸化防止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、トリ又はテトラC1-3アルキルピペリジン又はその誘導体、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)オギサレート、1,2-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシ)エタン、フェニルナフチルアミン、N,N′-ジフェニル-1,4-フェニレンジアミン、N-フェニル-N′-シクロヘキシル-1,4-フェニレンジアミン等が挙げられる。イオウ系酸化防止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。前記安定剤は1種を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。
尚、上記式(8)で表されるエポキシ基含有不飽和化合物の製造方法は特に制限されるものではない。例えば、上記式(8)で表されL’がエーテル結合を含む炭素数2~8であるエポキシ化合物は、下記式(9)で表されるアルコール化合物と
Figure 0007145123000013
(Rは上記の通りであり、Yは単結合、又はエーテル結合を含んでよい、炭素数1~6の二価炭化水素基である)
下記式(10)で表されるエポキシ化合物とを反応させて得ることができる。
Figure 0007145123000014
(Rは上記の通りであり、Xはハロゲン原子である)
上記アルコール化合物とエポキシ化合物の反応は、従来公知の方法に従い行うことができる。例えば、アルコール化合物に1モル当量以上のエポキシ化合物を添加して反応させればよい。反応温度は特に制限されるものでないが、使用する溶媒の沸点を超えない程度の温度が好ましい。例えば、約0℃から約120℃の温度で行われるのがよい。該反応は溶媒や触媒の存在下で行ってもよい。溶媒及び触媒は従来公知のものであればよく、特に制限されるものでない。
上記いずれの反応においても、反応終点は、従来公知の方法に従い、例えば、薄層クロマトグラフィー(TCL)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又はガスクロマトグラフィー(GC)等によって原料化合物のピークが消失したことで確認できる。反応終了後は、従来公知の方法に従い精製すればよい。例えば、有機層を水で洗浄した後、溶媒を除去することにより生成物を単離することができる。また減圧蒸留や活性炭処理などを使用してもよい。
本発明の製造方法の一例としては、式(6)または(7)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物1モル当量と上記式(8)で表されるエポキシ基含有不飽和化合物1.1モル当量、塩化白金酸重曹中和物・ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5wt%)をハイドロジェンシロキサン化合物の質量に対し白金換算量で10ppm、トルエンをハイドロジェンシロキサン化合物に対して0.1質量%添加し、窒素雰囲気下80℃で加熱撹拌を行う。2時間程度反応させることにより反応は完結する。また、その際に不飽和化合物あるいは生成する化合物をGC測定等でモニタリングすることで反応の進行を確認できる。反応の完結後、未反応の原料や溶媒を減圧留去することで上記式(5)で表されるエポキシ化合物を得ることができる。
次いで、上記式(5)で表されるエポキシ化合物1モル当量、メタクリル酸2モル当量、メタクリル酸ナトリウム0.3モル当量を添加する。添加後、100℃で加熱撹拌を行う。20時間程度反応させることにより反応は完結する。また、その際にエポキシ化合物あるいは生成する化合物をGC測定等でモニタリングすることで反応の進行を確認できる。反応の完結後、n-ヘキサンをハイドロジェンシロキサン化合物に対して100質量%を添加し、有機層を水で洗浄し、有機層に存在する溶媒、未反応の原料を減圧留去することで上記式(1)で表されるシロキサン化合物を得ることができる。
本発明の化合物は(メタ)アクリル基の付加重合から導かれる繰り返し単位を有する重合体を与えることができる。本発明の化合物は、(メタ)アクリル基などの重合性基を有する他の化合物(以下、重合性モノマー、または親水性モノマーという)との相溶性が良好である。そのため、重合性モノマーと共重合することにより無色透明の共重合体を与えることができる。また、単独で重合することも可能である。
本発明の化合物と他の重合性(親水性)モノマーとの重合から導かれる繰返し単位を含む共重合体の製造において、本発明の化合物の配合割合は、ポリマー全体の質量に対して本発明の化合物から導かれる繰り返し単位の質量割合が10%以上であればよい。より詳細には、本発明の化合物と重合性(親水性)モノマーとの合計100質量部に対して本発明の化合物を好ましくは10~80質量部、より好ましくは10~60質量部となる量がよい。上記繰り返し単位の質量割合が10%未満であると、本発明の化合物の特性が表れにくい。
重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3―ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマー;N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-アクリロイルモルホリン、N-メチル(メタ)アクリルアミド等のアクリル酸誘導体;N-ビニルピロリドン等、その他の不飽和脂肪族もしくは芳香族化合物、例えばクロトン酸、桂皮酸、ビニル安息香酸;及び(メタ)アクリル基などの重合性基を有するシロキサンモノマーが挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
本発明の化合物と上記他の重合性モノマーとの共重合は従来公知の方法により行えばよい。例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤など既知の重合開始剤を使用して行うことができる。該重合開始剤としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩などがあげられる。これら重合開始剤は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。重合開始剤の配合量は、重合成分の合計100質量部に対して0.001~2質量部、好ましくは0.01~1質量部であるのがよい。
本発明の化合物から導かれる繰返し単位を含む重合体は、親水性に優れる。また、該重合体から得られるハイドロゲルは透明性および強度が高い。従って、本発明の化合物は、医療用材料、例えば、眼科デバイス、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜を製造するのに好適である。該重合体を用いた医療用材料の製造方法は特に制限されるものでなく、従来公知の医療用材料の製造方法に従えばよい。例えば、コンタクトレンズ、眼内レンズなどレンズの形状に成形する際には、切削加工法や鋳型(モールド)法などを使用できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。下記実施例において、H-NMR分析はJEOL製のECS400を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して実施した。またガスクロマトグラフ(GC)測定は、すべて下記の条件で行われた。
測定装置:Agilent社ガスクロマトグラフィー(FID検出器)
キャピラリーカラム:J&W社HP-5MS(0.25mm×30m×0.25μm)
昇温プログラム:50℃(5分)→10℃/分→250℃(保持)
注入口温度250℃、検出器温度FID300℃
キャリアガス:ヘリウム(1.0ml/分)
スプリット比:50:1 注入量:1μL
下記実施例および比較例に使用した化合物は以下の通りである。
MeAGE:2-メチル-2-[(2-プロペン-1-ロキシ)メチル]オキシラン
Figure 0007145123000015
GPSi:(3-グリシドキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン
Figure 0007145123000016
実施例1
[工程1]
ジムロート、温度計を付けた300mLの三口ナスフラスコに、窒素雰囲気下で1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン95.0g、MeAGE50.0g、塩化白金酸重曹中和物・ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5wt%)0.04gを添加し、100℃まで加熱し、2時間熟成した。反応後、内温100℃で溶媒および未反応の原料などを減圧留去することで無色透明液体を得た。収量123.0g。H-NMRから式(9A)で表される化合物であることを確認した。
Figure 0007145123000017
以下にH-NMRデータを示す。
0.0-0.1ppm(21H)、0.4ppm(2H)、1.4ppm(3H)、1.6ppm(2H)、2.6-2.8ppm(2H)、3.3-3.4ppm(2H)、3.4-3.6ppm(2H)。
[工程2]
ジムロート、温度計、滴下漏斗を付けた300mLの三口ナスフラスコに、上記[工程I]で得た式(9A)で表される化合物70.0g、メタクリル酸70.0g、メタクリル酸ナトリウム6.5gを添加し、100℃まで加熱し、16時間熟成した。反応後にn-ヘキサンを70.0g添加し、2M水酸化ナトリウム水溶液で4回、脱イオン水で2回洗浄し、内温80℃で溶媒および未反応の原料などを減圧留去することで無色透明液体を得た。収量73.3g。H-NMRから式(9B)で表される化合物であることを確認した。
Figure 0007145123000018
以下にH-NMRデータを示す。
0.0-0.1ppm(21H)、0.4ppm(2H)、1.2ppm(3H)、1.6ppm(2H)、2.0ppm(3H)、3.3-3.4ppm(4H)、4.1ppm(2H)、5.6ppm(1H)、6.1ppm(1H)。
実施例2
[工程1]
実施例1の工程1において1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンを(ビス(t-ブチルジメチルシロキシ)メチルシラン131.9gに替えた他は実施例1を繰り返して無色透明液体を得た。収量135.1g。H-NMRにより下記式(10A)で表される化合物であることを確認した。
Figure 0007145123000019
以下にH-NMRデータを示す。
0.0-0.1ppm(15H)、0.4ppm(2H)、0.9ppm(18H)、1.4ppm(3H)、1.6ppm(2H)、2.6-2.8ppm(2H)、3.3-3.4ppm(2H)、3.4-3.6ppm(2H)。
[工程II]
実施例1の工程2において式(9A)で表される化合物を式(10A)で表される化合物87.0gに替えた他は実施例1を繰り返して無色透明液体を得た。収量77.1g。H-NMRにより下記式(10B)で表される化合物であることを確認した。
Figure 0007145123000020
以下にH-NMRデータを示す。
0.0-0.1ppm(15H)、0.4ppm(2H)、0.9ppm(18H)、1.2ppm(3H)、1.6ppm(2H)、2.0ppm(3H)、3.3-3.4ppm(4H)、4.1ppm(2H)、5.6ppm(1H)、6.1ppm(1H)。
実施例3~6、比較例1
上記実施例1の工程2において、三口ナスフラスコに、式(9A)または(10A)、GPSiで表されるエポキシ化合物、メタクリル酸またはアクリル酸を下記表1の構成となるように添加した。各成分のモル比及び触媒濃度は実施例1の工程2の通りである。次いで、100℃まで加熱し、16時間熟成した。反応後にn-ヘキサンを添加し、2M水酸化ナトリウム水溶液で4回、脱イオン水で2回洗浄し、内温80℃で溶媒および未反応の原料などを減圧留去することで無色透明液体を得た。
実施例1~6及び比較例1の各製造方法にて、反応後にGC測定を行い、各生成物について純度を面積%から算出した。結果を表1に示す。
Figure 0007145123000021
表1に示す通り、本発明の製造方法に従えば(メタ)アクリル酸とエポキシ基の付加反応の際の副反応が抑制されることから、比較例1の製造方法に比べて高純度を有するシロキサン化合物を製造することが可能である。また、該本発明の製造方法によれば、カルボン酸の種類や触媒の種類を変えても、グリセロール(メタ)アクリレートを有するシロキサン化合物を90%超という高純度で得ることができる。
[実施例7~10及び比較例2~4]
ハイドロゲルの製造例
上記実施例1及び2で得た化合物(9B)及び(10B)、下記式で表されるSiGMA、下記式で表される3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(TRIS)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N、N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、イルガキュア1173(Irg1173)を、表2又は3に示す組成及び配合比(質量部)で混合し、均一な溶液になるまで撹拌した。撹拌後Nによるバブリング5分間を行い、十分に脱気を行った後、ポリプロピレン製の鋳型へと封入した。高圧水銀ランプを用いてUV照射を行い、硬化した。硬化後、イソプロパノール、50%イソプロパノール水溶液、脱イオン水の順にそれぞれ数秒浸漬させることで洗浄を行い、ハイドロゲルフィルムを得た。得られたフィルムの各物性値を下記に示す方法に従い測定した。結果を表2及び3に示す。
SiGMA:メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセロールメタクリレート
Figure 0007145123000022
TRIS:3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート
Figure 0007145123000023
[平衡含水率]
フィルムを脱イオン水に25℃で48時間浸漬させた後、表面の水分を拭き取り、水和したフィルムの質量を計測した。次に水和したフィルムを50℃のオーブンで48時間、25℃のオーブンで24時間乾燥させ、乾燥フィルムの質量を計測した。平衡含水率は以下の式により算出した。
平衡含水率(%)=100×(水和フィルムの質量-乾燥フィルムの質量)/水和フィルムの質量
[透明性]
フィルムを脱イオン水に25℃で48時間浸漬させた後、表面の水分を拭き取り、水和したフィルムを作成した。その外観を目視により観察し、下記の指標により評価した。
A:均一かつ透明であった
B:不均一あるいは白濁していた
[弾性率]
フィルムを脱イオン水に25℃で48時間浸漬させた後、表面の水分を拭き取り、水和したフィルムを作成した。該水和したフィルムのヤング弾性率をインストロン5943を用いて測定した。0.8cm×4.0cmに切断されたフィルムを50Nのロードセル、1cm/分のヘッド速度で測定を行い、縦軸に得られる応力、横軸にひずみををとった応力-ひずみ曲線の初期(直線部)の傾きを算出し、ヤング弾性率(MPa)とした。
Figure 0007145123000024
上記表2に示す通り、比較化合物としてTRISを用いたハイドロゲルは透明性に難があり、比較化合物としてSiGMAを用いたハイドロゲルは弾性率が高すぎる。一方で、本発明のシロキサン化合物を用いたハイドロゲルは、透明性に優れ、適度な弾性率を有する。すなわち、本発明の化合物を用いたハイドロゲルは、有益な親水性及び十分な強度を有する材料を提供する。
本発明の製造方法によれば、親水性や強度に優れるハイドロゲルを与えるシロキサン化合物を得ることができる。該シロキサン化合物は、医療用材料、例えば、眼科用デバイス、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜、及び眼鏡レンズ製造用モノマーとして有用である。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表されるシロキサン
    Figure 0007145123000025
    (式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rメチル基であり、Lは、エーテル結合を含んでよい炭素数2~10の二価炭化水素基であり、Aは下記式(2)または(3)で表される基であり、
    Figure 0007145123000026
    Figure 0007145123000027
    上記式(2)においてnは1~100の整数であり、上記式(3)においてaは0~10の整数であり、bは0~10の整数であり、cは0~10の整数であり、ただしa+b+cは2以上であり、Rは、互いに独立に炭素数1~10の1価炭化水素基である)
    の製造方法であって、
    下記式(5)で表されるエポキシ化合物
    Figure 0007145123000028
    (式中、R、L、及びAは上記の通りである)と、
    (メタ)アクリル酸とを反応させて、
    上記式(1)で表される化合物を得る工程を含む、前記シロキサンの製造方法。
  2. 式(1)においてLが下記式(4)で表される二価の基である、請求項1記載の製造方法
    Figure 0007145123000029
    (式(4)において、pは1~2の整数であり、qは1~4の整数であり、*は式(1)における炭素原子との結合箇所であり、**は式(1)におけるAとの結合箇所である)。
  3. 式(1)においてAが上記式(3)で表され、aが1であり、bが1であり、cが0である、請求項1または2記載の製造方法。
  4. 式(2)及び(3)において、Rが互いに独立に炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基である、請求項1~のいずれか1項記載の製造方法。
  5. Rが互いに独立にメチル基、n-ブチル基、又はt-ブチル基である、請求項記載の製造方法。
  6. 上記式(5)の化合物と(メタ)アクリル酸との反応を、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、アミン化合物、リン化合物、または、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛及びスズから選択される一つ以上を含む金属触媒、のいずれかの存在下で行う、請求項1~のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 下記式(6)または(7)で表されるハイドロジェンシロキサン
    Figure 0007145123000030
    Figure 0007145123000031
    (n、a、b、c、及びRは上記の通りである)と
    下記式(8)で表される不飽和化合物
    Figure 0007145123000032
    (Rは上記の通りであり、Rは水素原子またはメチル基であり、L’は単結合、又はエーテル結合を含んでよい、炭素数1~8の二価炭化水素基である)
    とをヒドロシリル化反応させて、上記式(5)で表されるエポキシ化合物を得る工程をさらに含む、請求項1~のいずれか1項記載の製造方法。
  8. L’が下記式(4’)又は(4’’)で表される基である、請求項記載の製造方法。
    Figure 0007145123000033
    (式(4’)において、pは1~2の整数であり、q’は0~2の整数であり、式(4’)及び(4’’)において、*および**で示される部位は結合箇所であり、そのうち**が式(8)中にある不飽和結合との結合箇所である)
  9. Rが互いに独立に、炭素数1~6のアルキル基、又はフェニル基である、請求項又は記載の製造方法。
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