以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
以下の実施形態では、複数の機器を制御する制御システムが提供される。制御システムでは、複数の機器のそれぞれに、電池パックが搭載される。また、制御システムは、複数の機器のそれぞれの電池パックの状態を管理するマスターの管理装置(制御装置)を備える。複数の機器のそれぞれは、例えば、スレーブの管理装置を備える。複数の機器のそれぞれでは、スレーブの管理装置は、マスターの管理装置からの制御指令等に基づいて、電池パックの充放電を制御する。すなわち、複数の機器のそれぞれでは、スレーブの管理装置は、電池パックの充放電を制御する充放電制御装置となる。複数の機器のそれぞれの電池パックは、1つ以上の電池を備える。1つ以上の電池は、電池単体であってもよく、複数の電池から形成される電池モジュールであってもよい。電池モジュールでは、複数の電池が直列及び並列の少なくとも一方で電気的に接続される。
[電池]
以下、電池単体について、説明する。本実施形態のマスターの管理装置(制御装置)によって状態が管理される電池パックには、以下に説明する電池を1つ以上用いることができる。電池は、例えば、非水系リチウムイオン二次電池等の二次電池である。
(電池の構成)
図1は、電池1の一例を示し、図2は、図1の電池(二次電池)1の範囲Aを拡大して示す。
図1及び図2に示すように、電池1は、袋状の外装部材8と、電極群2と、電解質(図示しない)と、を備える。電極群2及び電解質は、外装部材8の内部に収納される。電解質(図示しない)は、電極群2に保持される。外装部材8の内部に電極群2及び電解質が収納された状態で外装部材8を封止することにより、電池1が形成される。図1及び図2の一例では、外装部材8は、2つの樹脂層と、これらの樹脂層の間に介在した金属層と、を含むラミネートフィルムから形成される。
電極群2は、負極3と、セパレータ4と、正極5とを備える。セパレータ4は、負極3と正極5との間に介在し、負極3と正極5との間を電気的に絶縁する。図1及び図2の一例では、電極群2は、正極5と負極3との間にセパレータ4を介在させた状態で渦巻状に捲回された構造を有し、例えば、偏平形状に形成される。別の一例では、電極群2は、正極5、セパレータ4、負極3及びセパレータ4の順で積層された構造を有する。
負極3は、少なくとも負極集電体3aと、負極合剤層3bと、を備える。負極合剤層3bは、負極集電体3aの両面又は片面に配置される。同様に、正極5は、少なくとも正極集電体5aと、正極合剤層5bと、を備える。正極合剤層5bは、正極集電体5aの両面又は片面に配置される。
また、電池1は、電極端子として負極端子6及び正極端子7を備える。負極端子6は、負極集電体3aに接続され、正極端子7は、正極集電体5aに接続される。図1及び図2の一例では、負極端子6及び正極端子7は、外装部材8の開口部から外部に延出される。外装部材8の内面の熱可塑性樹脂層を熱融着することにより、外装部材8の開口部が閉じられる。
前述のような電池では、電極群は、リチウムイオンを媒介とする正極反応及び負極反応によって、充放電を行う。以下、負極、正極、電解質、セパレータ、電極端子及び外装部材等について、すなわち、電池の構成要素のそれぞれについて、詳細に説明する。
1)負極
負極は、負極集電体と、負極集電体上に配置される負極合剤層と、を備える。負極合剤層は、負極集電体の片面又は両面に配置することができる。負極合剤層は、負極活物質を含む。
負極集電体は金属体であり、金属体は、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、チタン及びステンレスから成る群から選択される少なくとも1種の金属を含む。金属体は、前述の金属の中の1種の金属を含むことができる。また、金属体は、前述の金属の中の2種以上の金属を含むこともできる。ある一例では、金属体は、例えば、前述の金属の中の1種からなる金属箔である。また、別のある一例では、金属体は、例えば、前述の金属の2種以上を含んだ合金の箔である。金属体の形状としては、箔以外にも、例えば、メッシュ及び多孔体等が挙げられる。なお、エネルギー密度及び出力の向上の観点から、金属体は、体積が小さく、かつ、表面積が大きい箔の形状であることが、望ましい。また、負極集電体の表面には、炭素含有層が被覆されてもよい。この場合、炭素含有層上に、負極合剤層が配置される。
負極活物質は、チタン含有酸化物を含むことができる。チタン含有酸化物の例には、チタン酸化物、リチウムチタン含有複合酸化物、ニオブチタン含有複合酸化物及びナトリウムニオブチタン含有複合酸化物が、含まれる。チタン含有酸化物のLi吸蔵電位は、0.7V(vs.Li/Li+)以上3V(vs.Li/Li+)以下の範囲であることが、望ましい。ここで、チタン含有酸化物のLi吸蔵電位が1Vより低い場合、負極活物質と電解液との副反応が発生する可能性がある。一方、Li吸蔵電位が3Vより大きい場合、電池電圧が低くなる。負極活物質は、前述のチタン含有酸化物の中の1種又は2種以上を含むことができる。
チタン酸化物の例には、単斜晶構造のチタン酸化物、ルチル構造のチタン酸化物、及び、アナターゼ構造のチタン酸化物等が挙げられる。各結晶構造のチタン酸化物は、充電前の組成をTiO2、充電後の組成をLixTiO2(xは0≦x≦1)で表すことができる。また、単斜晶構造のチタン酸化物の充電前構造をTiO2(B)と表すことができる。
リチウムチタン含有複合酸化物の例には、スピネル構造のリチウムチタン酸化物(例えば一般式Li4+xTi5O12(xは−1≦x≦3))、ラムスデライト構造のリチウムチタン酸化物(例えば、Li2+xTi3O7(−1≦x≦3))、Li1+xTi2O4(0≦x≦1)、Li1.1+xTi1.8O4(0≦x≦1)、Li1.07+xTi1.86O4(0≦x≦1)、及び、LixTiO2(0<x≦1)等が挙げられる。また、リチウムチタン酸化物は、例えば、スピネル構造又はラムスデライト構造等の前述のリチウムチタン酸化物に異種元素が導入されているリチウムチタン複合酸化物を、含む。
ニオブチタン含有複合酸化物の例には、LiaTiMbNb2±βO7±σ(0≦a≦5、0≦b≦0.3、0≦β≦0.3、0≦σ≦0.3、MはFe,V,Mo及びTaから成る群から選択される少なくとも1種の元素)で表される単斜晶型ニオブチタン複合酸化物等が、挙げられる。
ナトリウムニオブチタン含有複合酸化物の例には、一般式Li2+vNa2−wM1xTi6−y−zNbyM2zO14+δ(0≦v≦4、0<w<2、0≦x<2、0<y≦6、0≦z<3、y+z<6、−0.5≦δ≦0.5、M1はCs,K,Sr,Ba,Caから成る群から選択される少なくとも1つを含み、M2はZr,Sn,V,Ta,Mo,W,Fe,Co,Mn,Alから成る群から選択される少なくとも1つを含む)で表される直方晶型Na含有ニオブチタン複合酸化物等が、挙げられる。
リチウムイオン二次電池では、負極活物質に、ニオブ元素及びチタン含有酸化物のいずれかが含まれることが好ましい。これにより、容量低下等によって電池が劣化しても、所定の状態より充電されていない状態等の充電度合いが低い状態で電池を保持することにより、電池の劣化が大きく回復する。特に、負極活物質に、ニオブチタン含有複合酸化物が含まれることが、さらに好ましい。これにより、所定の状態より充電されていない状態等の充電度合いが低い状態で保持することによる電池の劣化の回復量が、さらに大きくなる。また、負極活物質にニオブチタン含有複合酸化物が含まれることにより、所定の状態より充電されていない状態で電池を保持することにより、上昇した電池の内部抵抗も低下する(回復する)。
また、負極活物質は、グラファイト等の炭素質物、シリコン及び酸化シリコンを含むことができる。負極活物質に含まれるグラファイトは、リチウムを吸蔵放出する。グラファイト材料の例には、人造黒鉛、天然黒鉛等が含まれる。人造黒鉛は、例えば、石油や石炭由来のピッチ、合成ピッチ、メソフェーズピッチ、コークス、樹脂等の炭素前駆体を不活性雰囲気下で2000〜3000℃で熱処理することにより、得られる。
負極活物質は、例えば、粒子の形態で負極に含まれる。負極活物質粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、又は、単独の一次粒子と二次粒子との混合物であり得る。粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、及び、繊維状等にすることができる。また、活物質の二次粒子の径は、500nm以上50μm以下であることが好ましい。二次粒子の径が500nm未満の場合、凝集等が活物質の塗工性に影響を及ぼす可能性がある。また、二次粒子の径が、50μmより大きい場合、活物質の内部におけるLi拡散距離が長くなり、十分な反応性を得難くなる可能性がある。
また、負極合剤層は、前述の負極活物質に加えて、導電剤及び結着剤をさらに含んでもよい。導電剤の例には、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー、及び、カーボンナノチューブ等の炭素質物が挙げられる。導電剤には、前述の炭素質物の中の1つを単独で用いてもよく、前述の炭素質物の中の複数を用いてもよい。
結着剤は、活物質、導電剤、及び、集電体を結着させる。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエン(SBR)等のゴム類、アクリル樹脂、及び、セルロース等が挙げられ、結着剤に用いられるセルロースとしては、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
負極合剤層における負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質が80重量%以上95重量%以下、導電剤が1重量%以上18重量%以下、及び、結着剤が1重量%以上7重量%以下の範囲であることが好ましい。導電剤が1重量%未満の場合、負極合剤層の集電性能が低下し、電池の大電流性能が低下する可能性がある。また、結着剤が1重量%未満の場合、負極合剤層と負極集電体との結着性が低下し、サイクル性能が低下する可能性がある。一方、高容量化の観点から、導電剤は18重量%以下であることが好ましく、結着剤は7重量%以下であることが好ましい。
負極は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、負極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁し、スラリーを調製する。次に、調整したスラリーを、負極集電体の片面又は両面に塗布する。そして、負極集電体上の塗膜を乾燥することにより、負極合剤層を形成する。その後、負極集電体及び負極集電体上に形成された負極合剤層をプレスする。また、プレスの代わりに、負極活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成し、負極合剤層として用いてもよい。
2)正極
正極は、正極集電体と、正極集電体上に配置される正極合剤層と、を備える。正極合剤層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極合剤層は、正極活物質を含む。また、正極合剤層は、導電剤及び結着剤を含むことができる。正極集電体は、負極集電体を形成する金属と同様の金属を含む金属体である。そして、正極集電体は、負極集電体と同様の形状に形成でき、例えば、金属の箔の形状に形成される。
正極活物質としては、例えば、リチウムの吸蔵及び放出が可能な化合物を用いることができる。正極活物質は、例えば、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルトアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウム鉄酸化物、リチウムフッ素化硫酸鉄、及び、オリビン結晶構造のリン酸化合物(例えば、LixFePO4(0≦x≦1)、LixMnPO4(0≦x≦1))、ニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物(LixNi1−y−zCoyMnzO2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)等から成る群から選択される少なくとも1つを含む。オリビン結晶構造のリン酸化合物は、熱安定性に優れる。
高い正極電位の得られる正極活物質の例としては、以下のものが挙げられる。すなわち、例えばLixMn2O4(0<x≦1)及びLixMnO2(0<x≦1)等のリチウムマンガン複合酸化物、ニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物(LixNi1−y−zCoyMnzO2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)、例えばLixNi1−yAlyO2(0<x≦1、0<y≦1)等のリチウムニッケルアルミニウム複合酸化物、例えばLixCoO2(0<x≦1)等のリチウムコバルト複合酸化物、例えばLixNi1−y−zCoyMnzO2(0<x≦1、0<y≦1、0≦z≦1)等のリチウムニッケルコバルト複合酸化物、例えばLixMnyCo1−yO2(0<x≦1、0<y≦1)等のリチウムマンガンコバルト複合酸化物、例えばLixMn2−yNiyO4(0<x≦1、0<y<2)等のスピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、例えばLixFePO4(0<x≦1)、LixFe1−yMnyPO4(0<x≦1、0≦y≦1)及びLixCoPO4(0<x≦1)等のオリビン構造を有するリチウムリン酸化物、及び、例えばLixFeSO4F(0<x≦1)等のフッ素化硫酸鉄が、挙げられる。
正極活物質としては、前述の活物質の中の1種を単独で用いてもよく、前述の活物質の中の2種以上を用いてもよい。
正極合剤層には、負極合剤層に含まれる導電剤と同様の導電剤を含むことができる。この場合、導電剤の例には、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー、及び、カーボンナノチューブ等の炭素質物が挙げられる。正極合剤層の導電剤には、前述の炭素質物の中の1つを単独で用いてもよく、前述の炭素質物の中の複数を用いてもよい。
また、負極合剤層の結着剤と同様に、結着剤は、正極合剤層において活物質、導電剤、及び、集電体を結着させる。正極合剤層には、負極合剤層に含まれる結着剤と同様の結着剤を含むことができる。この場合、結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエン(SBR)等のゴム類、アクリル樹脂、及び、セルロース等が挙げられ、結着剤に用いられるセルロースとしては、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
正極合剤層における正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、正極活物質が80重量%以上95重量%以下、導電剤が2重量%以上18重量%以下、及び、結着剤が1重量%以上7重量%以下の範囲であることが好ましい。導電剤の配合比を3重量%以上にすることにより、正極の導電性を確保することができる。また、導電剤の配合比を18重量%以下にすることにより、高温保存下における導電剤表面での電解液の分解を低減することができる。そして、結着剤の配合比を1重量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤の配合比を7重量%以下にすることにより、正極において絶縁材料となる結着剤の配合量が減少するため、内部抵抗を減少できる。
正極では、負極において負極集電体上に負極合剤層を形成する場合と同様にして、正極集電体上に正極合剤層を形成する。
3)電解質
電解質として非水電解液を用いることができる。非水電解質である非水電解液は、電解質を有機溶媒に溶解することにより調製される。非水電解液では、電解質の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下の範囲内であることが、好ましい。
有機溶媒に溶解される電解質の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及び、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)等のリチウム塩、及び、これらの混合物が、挙げられる。また、電解質は、高電位でも酸化し難いことが好ましく、電解質としてLiPF6が用いられることが、最も好ましい。
電解質が溶解される有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、及び、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート;ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、及び、メチルエチルカーボネート(MEC)等の鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、及び、ジオキソラン(DOX)等の環状エーテル;ジメトキシエタン(DME)及びジエトキシエタン(DEE)等の鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、及び、スルホラン(SL)が、挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で、又は、混合溶媒として用いることができる。
また、非水電解液の代わりにゲル状非水電解質を用いることができる。ゲル状非水電解質は、前述の非水電解液と高分子材料とを複合化することにより、調製される。非水電解液と複合化される高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)及びポリエチレンオキサイド(PEO)、及び、これらの混合物が含まれる。
また、非水電解質としては、非水電解液及びゲル状非水電解質等の代わりに、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、又は、固体電解質が用いられてもよい。固体電解質としては、高分子固体電解質、及び、無機固体電解質等が挙げられる。高分子固体電解質は、電解質を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。無機固体電解質は、Liイオン伝導性を有する固体物質である。
4)セパレータ
セパレータとしては、合成樹脂製の多孔質フィルム及び不織布等を用いることができる。この場合、多孔質フィルム及び不織布を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、セルロース、ガラス繊維、及び、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等が挙げられる。なお、前述の材料の中でも、セルロースは、Li拡散性等が優れている。このため、セパレータを形成する材料としては、セルロースが用いられることが、好ましい。
また、前述のように、非水電解質として固体電解質を用いられる場合、固体電解質をセパレータとして用い、固体電解質によって正極と負極との間を電気的に絶縁してもよい。セパレータとして用いられる固体電解質は、NASICON型骨格を有するLATP(Li1+xAlxTi2−x(PO4)3;0.1≦x≦0.4)、アモルファス状のLIPON(Li2.9PO3.3N0.46)、及び、ガーネット型のLLZ(Li7La3Zr2O12)等の酸化物が好ましい。
5)電極端子
電極端子は、例えば、外部端子及び内部端子を含むことができる。ある一例では、外部端子は、例えば、電極(正極及び負極)の導電タブである。別のある一例では、後述するように金属缶等の導電性を有する外装部材が電池単体に設けられ、外装部材に外部端子を形成することもできる。内部端子は、例えば、電極リードを含む。また、内部端子の形状は、特に限定されるものではなく、内部端子は、例えば帯状、円盤状、ワッシャー状、螺旋状、又は、波板状等に形成される。
電極端子は、アルミニウム、亜鉛、チタン及び鉄からなる群より選択される少なくとも1種の金属、又は、これらの金属の合金により形成されていることが、好ましい。合金の例としては、アルミニウム合金及びステンレスが挙げられる。
6)外装部材
外装部材としては、ラミネートフィルム製の袋状容器及び金属製容器のいずれかを用いることができる。外装部材の形状としては、例えば、扁平型、角型、円筒型、コイン型、ボタン型、シート型、及び、積層型等が挙げられる。
ラミネートフィルムとしては、例えば、多層フィルムを用いることができ、多層フィルムは、複数の樹脂層と、樹脂層同士の間に配置される金属層とを含むことができる。この場合、金属層は、軽量化の観点から、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であることが好ましい。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、及び、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、例えば、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形される。また、ラミネートフィルムの厚さは、0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることがより好ましい。
金属製容器は、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン及び鉄から成る群から選択される少なくとも1種の金属、又は、これらの金属の合金により形成されることが、好ましい。具体的には、合金の例として、アルミニウム合金及びステンレスが挙げられる。また、金属製容器の肉厚は電池重量を抑制するため、0.5mm以下であることが好ましく、電池外部からの水分の侵入防止や強度保持の点から、肉厚が0.2mm以下であることがより好ましい。
また、外装部材として金属製容器を用いる場合、金属製容器に電極端子(外部端子)を形成することもできる。
(電池の特性)
以下、前述のような電池の特性について、説明する。電池の充電度合いを示すパラメータとして、充電状態(SOC:State Of Charge)が挙げられる。電池では、正極と負極との間の電圧(電位差)が第1の電圧値V1になる状態において、充電状態が0%になる。そして、電池では、正極と負極との間の電圧(電位差)が第1の電圧値V1より大きい第2の電圧値V2になる状態において、充電状態が100%になる。電池では、0%の充電状態が完放電状態であり、100%の充電状態が満充電状態である。また、ある一例では、第1の電圧値V1は1.5Vに設定され、第2の電圧値V2は3.0Vに設定される。
充電状態は、完放電状態から満充電状態までの電池の満充電容量に対する完放電状態までの電池の残容量の比率であり、例えば、百分率で示される。ここで、満充電容量及び残容量等を含む電池の電流容量は、電流と時間との積で示され、単位は(A・h)及び(mA・h)等で示される。以下では、この電流容量を、単に容量と記載する。また、電池では、完放電状態から満充電状態へ充電状態が増加するにつれて、正極と負極との間の電圧が増加する。
ここで、機器に搭載される後述の電池パックでは、機器の通常使用においては機器停止のリスクを低減するため、例えば、充電状態が50%以上90%以下の範囲等の充電状態が比較的に高い範囲を主として、電池の充放電が繰り返される。このため、機器の通常使用においては、電池は、所定の状態より充電された状態、すなわち、比較的充電された状態等で保持され、高い充電状態で保持される。前述のように高い充電状態で電池が長時間保持されると、電池は、容量が低下する等して、劣化する。例えば、高い充電状態で充放電を繰返すことにより、完放電状態(充電状態が0%)から満充電状態(充電状態が100%)までの電池の充電容量(満充電容量)、及び、満充電状態から完放電状態までの電池の放電容量が、電池の使用開始時(初期状態)から低下する。電池の容量低下の原因としては、正極活物質の劣化及び負極活物質の劣化を含む電極群の物理的な劣化、及び、電池の使用開始時である初期状態等の基準状態からの正極電位及び負極電位のずれ等が、挙げられる。
ここで、電極群の物理的な劣化を回復させることは、極めて困難である。ただし、後述する所定の条件下での回復処理等によって、正極電位及び負極電位の基準状態からのずれを回復し、正極電位及び負極電位を初期状態等の基準状態に近づけることは、可能である。電池では、正極電位及び負極電位の基準状態からのずれが回復することにより、低下した容量が回復し、劣化が回復する。なお、正極電位及び負極電位の基準状態からのずれは、正極と負極との自己放電量の差によって生じるものと推定される。このため、正極と負極との自己放電量の差を利用して、正極電位及び負極電位の基準状態からのずれを回復させることは可能であると、推定される。
以下、正極電位及び負極電位の基準状態からのずれについて説明する。図3は、充電状態に対する正極電位及び負極電位の関係の一例を示し、図4は、充電状態に対する正極電位及び負極電位の関係が図3の一例のようになる場合の、充電状態に対する正極と負極との間の電圧(電位差)の関係を示す。図3では、横軸に充電状態(SOC)を示し、縦軸に電位を示す。また、図4では、横軸に充電状態(SOC)を示し、縦軸に電圧を示す。図3及び図4では、充電状態は百分率で示され、電位及び電圧の単位は(V)で示す。そして、図3及び図4では、初期状態等の基準状態における正極電位、負極電位及び電圧を実線で、基準状態に対して容量が低下した状態γにおける正極電位、負極電位及び電圧を破線で示す。
前述のように高い充電状態で電池が長時間保持されると、図3の状態γ等のように、電池の正極電位及び負極電位が、基準状態に対して高電位側にずれる。正極電位及び負極電位が基準状態に比べて高電位側にずれた状態γでは、0%及び0%に近い充電状態における正極電位及び負極電位が、基準状態に比べて、高い。そして、状態γでは、100%及び100%に近い充電状態における正極電位及び負極電位が、基準状態に比べて高い。
また、図4に示すように、状態γ等の基準状態に比べて正極電位及び負極電位が高電位側にずれた状態では、完放電状態(充電状態が0%)と満充電状態(充電状態が100%)との間の一部の範囲で、基準状態に比べて、電圧が高くなる。例えば、状態γでは、充電状態が20%以上80%以下の範囲の全体に渡って、基準状態に対して電圧が高い。このため、正極電位及び負極電位が基準状態に対して高電位側にずれることにより、完放電状態と満充電状態との間の一部の範囲において、電圧曲線が、基準状態から高電圧側にずれる。
なお、正極電位及び負極電位が基準状態からずれているか否かに関係なく、電池では、正極と負極との電圧が第1の電圧値V1(例えば1.5V)になる状態を、完放電状態(SOCが0%)とする。そして、正極電位及び負極電位が基準状態からずれているか否かに関係なく、電池では、正極と負極との電圧が第2の電圧値V2(例えば3.0V)になる状態を、満充電状態(SOCが100%の状態)とする。このため、正極電位及び負極電位が基準状態からずれても、完放電状態での電池の電圧は、第1の電圧値V1から変化せず、満充電状態での電池の電圧は、第2の電圧値V2から変化しない。
[電池パック]
次に、前述の電池を1つ以上備える電池パックについて、説明する。電池パックは、1つの電池、又は、複数の電池から形成される電池モジュールを、備える。そして、電池パックに電池モジュールが設けられる場合、電池モジュールでは、複数の電池が直列及び並列の少なくとも一方で電気的に接続される。電池パックについても、1つの電池と同様にして、充電度合い示すパラメータとして、充電状態が規定される。ここで、電池又は電池モジュールにおける電池の直列数mを規定すると、電池パックの開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)が前述の第1の電圧値V1のm倍になる状態において、電池パックの充電状態(SOC)が0%になり、電池パックが完放電状態になる。そして、電池パックの開回路電圧が前述の第2の電圧値V2のm倍になる状態において、電池パックの充電状態(SOC)が100%になり、電池パックが満充電状態になる。
また、高い充電状態で電池パックの充放電を繰返すことにより、電池パックを形成する1つ以上の電池は、前述のように、容量が低下する等して、劣化する。このため、高い充電状態で電池パックの充放電を繰返すことにより、電池パックの容量が低下し、電池パックが劣化する。
また、高い充電状態で電池パックを長時間保持することにより、電池パックの1つ以上の電池では、前述等のように、正極電位及び負極電位が、基準状態(初期状態)に対して高電位側にずれる。これにより、電池パックを形成する電池では、完放電状態(充電状態が0%)と満充電状態(充電状態が100%)との間の一部の範囲で、基準状態に比べて、電圧が高くなる。このため、高い充電状態で電池パックを長時間保持することにより、完放電状態と満充電状態との間の一部の範囲において、電池パックの開回路電圧等の電圧曲線が、基準状態(初期状態)から高電圧側にずれる。
また、電池パックには、電池パックの状態を管理する電池管理システム(BMS:Battery Management System)等の電池管理装置を、設けることができる。電池管理装置(管理装置)は、例えば、制御装置であり、コントローラを備えることができる。コントローラは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むプロセッサ又は集積回路(制御回路)、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。コントローラに設けられるプロセッサ又は集積回路は、1つであってもよく、複数であってもよい。コントローラは、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。
コントローラは、電池パックの充電度合い(充電状態)に関する情報、及び、電池パックの温度に関する情報等の、電池パックの状態を示す情報を取得する。また、ある一例では、コントローラは、取得した前述の情報に基づいて、電池パックの充放電の制御、及び、電池パックの温度の調整の少なくとも一方を行う。なお、前述のコントローラを備える電池管理装置は、電池パックに設けられる必要はない。ある一例では、電池管理装置は、電池パックの外部に、電池パックとは別体で形成される。この場合、例えば、電池パックが搭載される機器に形成される集積回路等が、電池管理装置のコントローラとして用いられる。
図5は、電池パック10の一例を示す。図5の一例では、電池パック10は、複数の電池1から形成される電池モジュール11を備え、電池モジュール11では、複数の電池1が電気的に直列に接続される。電池1のそれぞれは、前述した電池のいずれかと同様の構成であり、前述した電池と同様の特性を有する。また、図5の一例では、前述した電池管理装置12は、電池パック10に設けられ、電池管理装置12は、前述したコントローラ13を備える。コントローラ13は、前述したコントローラと同様の構成であり、前述したコントローラと同様の処理を行う。
図5の一例では、電池パック10の外部に、電池モジュール11(電池パック10)に電力を供給可能な電源15、及び、電池モジュール11(電池パック10)から電力を供給可能な負荷16が、設けられる。電池パック10は、電源15等から電力が供給されることにより、充電される。また、電池パック10は、負荷16等に電力を供給することにより、放電する。電源15としては、電池パック10とは別体の電池又は電池モジュール、及び、発電機等が挙げられる。負荷16としては、電動機及びライト等が挙げられる。また、別の一例では、負荷16の代わりに、又は、負荷16に加えて、電池パック10から電力が供給される蓄電器が設けられてもよい。この場合、電池パック10は、蓄電器に電力を供給することにより、放電する。そして、蓄電器は、電池パック10から供給された電力を蓄電可能である。また、別の一例では、電動発電機が設けられてもよい。この場合、電池パック10から電動発電機に電力を供給可能であるとともに、電動発電機から電池パック10へ電力を供給可能である。すなわち、電動発電機は、電源及び負荷の両方として機能する。
電池パック10は、駆動回路17を備える。駆動回路17は、電源15及び負荷16のそれぞれと電池モジュール11との間に、配置される。コントローラ13は、駆動回路17の駆動を制御することにより、電池パック10(電池モジュール11)から負荷16への電力供給、及び、電源15から電池パック10への電力供給を制御する。すなわち、コントローラ13は、駆動回路17の駆動を制御することにより、電池パック10の充放電を制御する。このため、電池管理装置12は、電池パック10の充放電を制御する充放電制御装置となる。駆動回路17は、電池パック10からの電力の出力、及び、電池パック10への電力の入力を切替えるリレー回路を備える。また、駆動回路17は、変換回路を備えることもでき、変換回路は、電源15からの電力を電池モジュール11に供給される直流電力に変換する。また、変換回路は、電池モジュール11からの直流電力を負荷16に供給される電力に変換する。変換回路は、変圧回路、DC/AC変換回路、及び、AC/DC変圧回路等を含むことができる。
また、電池パック10は、電流検出回路21及び電圧検出回路22を備える。電流検出回路21は、電池モジュール11に流れる電流を検出する。電圧検出回路22は、電池モジュール11の開回路電圧等の電池モジュール11(電池パック10)に印加される電圧を検出する。コントローラ13は、電流検出回路21によって検出した電流に関する情報、及び、電圧検出回路22によって検出した電圧に関する情報を取得する。そして、コントローラ13は、取得した電流及び電圧に関する情報等に基づいて、駆動回路17の駆動を制御し、電池パック10(電池モジュール11)の充放電を制御する。
また、ある一例では、電池パック10に、サーミスタ等の温度検出器、及び、ヒータ等の温度調整器(いずれも図示しない)が、設けられる。この場合、温度検出器は、電池パック10(電池モジュール11)の温度を検出し、コントローラ13は、温度検出器によって検出した温度に関する情報を取得する。そして、コントローラ13は、取得した温度に関する情報等に基づいて、温度調整器の作動を制御し、電池パック10の温度を調整する。
[電池パックが搭載される機器]
次に、1つ以上の電池を備える前述の電池パックが搭載される機器について、説明する。電池パックは、車両に搭載される電源、搬送ロボットに搭載される電源、定置用電源、及び、デジタルカメラ等の電子機器の電源等として、用いられる。電池パックが搭載される車両としては、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)及びプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等が挙げられる。また、電池パックが搭載される搬送ロボットとしては、工場等で使用される無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)等が挙げられる。
図6は、電池パック10が搭載される車両25の一例を示す。図6の一例では、車両25に搭載される電池パック10は、前述した電池モジュール11及び駆動回路17を備える。また、図6では図示しないが、電池パック10には、前述した電流検出回路21及び電圧検出回路22が、設けられる。また、電池パック10に、前述した温度検出器及び温度調整器が設けられてもよい。図6の一例では、コントローラ13を備える電池管理装置(充放電制御装置)12は、車両25において電池パック10の外部に、設けられる。したがって、車両25に形成される集積回路等が、電池管理装置12のコントローラ13として用いられる。なお、別のある一例では、車両25に搭載される電池パック10に、電池管理装置12が設けられてもよい。この場合、電池パック10に形成される集積回路等が、電池管理装置12のコントローラ13として用いられる。
また、図6の一例の車両25では、電池パック10の外部に電源15及び負荷16が搭載される。電源15としては、車両25に搭載される発電機が挙げられる。また、車両25の動力の回生エネルギーを生成する機構が、電源15として用いられてもよい。負荷16としては、車両25に搭載される電動機が挙げられる。また、別のある一例では、車両の外部の電源から電池パック10に電力が供給されてもよい。この場合、充電ステーション等に設けられる定置用電源が、電池パック10に電力を供給する電源となる。
また、図6の一例では、車両25の外部に、中央管理装置(管理装置)26が、設けられる。中央制御装置26は、中央制御装置であり、コントローラ27を備えることができる。コントローラ27は、CPU、ASIC又はFPGA等を含むプロセッサ又は集積回路(制御回路)、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。コントローラ27に設けられるプロセッサ又は集積回路は、1つであってもよく、複数であってもよい。コントローラ27は、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。
車両25に搭載される電池管理装置12は、有線又は無線によって、中央管理装置(中央制御装置)26と通信可能であり、中央管理装置26との間で信号等の情報を交換可能である。中央管理装置26のコントローラ27は、電池パック10の充電度合い(充電状態)に関する情報、及び、電池パック10の温度に関する情報等の、車両25に搭載される電池パック10の状態を示す情報を、電池管理装置12のコントローラ13から取得する。また、中央管理装置26のコントローラ27は、取得した情報等に基づいて、電池パック10の充放電の制御に関する指令、及び、電池パック10の温度の制御に関する指令等の制御指令を、電池管理装置12のコントローラ13に送信する。そして、コントローラ13は、コントローラ27からの制御指令等に基づいて、電池パック10の充放電等を制御する。したがって、図6の一例では、中央管理装置26がマスターの管理装置(制御装置)となり、電池管理装置12がスレーブの管理装置(制御装置)となる。
なお、別のある一例は、車両25に搭載される電池管理装置(スレーブの管理装置)12は、電池パック10の充放電の制御、及び、電池パック10の温度の制御等を行わなくてもよい。この場合、中央管理装置26のコントローラ27が、電池管理装置12を介することなく、直接的に駆動回路17の駆動等を制御し、電池パック10の充放電等を制御する。また、中央管理装置(マスターの管理装置)26のコントローラ27は、電池管理装置12を介することなく、直接的に温度調整器の作動等を制御し、電池パック10の温度を制御する。この一例でも、車両25に搭載される電池パック10の状態を示す情報が、電池管理装置12から中央管理装置26に送信される。
図7は、電池パック10が搭載される車両25の図6とは別の一例を示す。図7の一例でも、車両25に搭載される電池パック10は、前述した電池モジュール11(1つ以上の電池1)及び駆動回路17を備える。そして、図7では図示しないが、電池パック10には、前述した電流検出回路21及び電圧検出回路22が、設けられ、電池パック10に、前述した温度検出器及び温度調整器が設けられてもよい。また、車両25において電池パック10の外部には、電動機等の負荷16が搭載される。
ただし、図7の一例では、車両25の外部に電源装置28が設けられ、車両25の電池パック10に電力を供給する電源15が、電源装置28に搭載される。また、電源装置28には、コントローラ13を備える前述の電池管理装置12が、搭載される。このため、電源装置28に形成される集積回路等が、電池管理装置12のコントローラ13として用いられる。図7の一例では、車両25は、電気自動車(EV)及びプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等のいずれかであり、電源装置28は、充電ステーション等に設けられる定置用電源装置である。電源装置28の電源15を電池パック10に電気的に接続することにより、電池パック10を充電可能になり、電源装置28から車両25に給電可能になる。
図7の一例では、電池パック10が搭載される車両25に、電池管理装置12が設けられない。そして、車両25に給電する電源装置28に、電池管理装置12が設けられる。電源装置28から車両25に給電可能な状態では、電池管理装置12のコントローラ13は、電池パック10の充電度合い(充電状態)に関する情報、及び、電池パック10の温度に関する情報等の、車両25に搭載される電池パック10の状態を示す情報を取得する。また、電源装置28から車両25に給電可能な状態では、電池管理装置12のコントローラ13は、電源15からの電力の出力、及び、駆動回路17の駆動を制御し、電池パック10の充放電を制御する。なお、電源装置28から車両25に給電可能な状態において、電池管理装置12のコントローラ13は、電池パック10の温度を制御してもよい。
また、図7の一例では、車両25及び電源装置28の外部に、すなわち、車両25及び電源装置28とは別体で、コントローラ27を備える前述の中央管理装置(中央制御装置)26が、設けられる。電源装置28に搭載される電池管理装置12は、有線又は無線によって、中央管理装置26と通信可能であり、中央管理装置26との間で信号等の情報を交換可能である。中央管理装置26のコントローラ27は、電源装置28から車両25に給電可能な状態において、電池パック10の充電度合いに関する情報、及び、電池パック10の温度に関する情報等の、車両25に搭載される電池パック10の状態を示す情報を、電池管理装置12のコントローラ13から取得する。また、電源装置28から車両25に給電可能な状態では、中央管理装置26のコントローラ27は、取得した情報等に基づいて、電池パック10の充放電の制御に関する指令、及び、電池パック10の温度の制御に関する指令等の制御指令を、電池管理装置12のコントローラ13に送信する。そして、コントローラ13は、コントローラ27からの制御指令等に基づいて、電池パック10の充放電等を制御する。したがって、図7の一例でも、中央管理装置26がマスターの管理装置(制御装置)となり、電池管理装置12がスレーブの管理装置(制御装置)となる。
なお、別のある一例では、電源装置28に搭載される電池管理装置(スレーブの管理装置)12は、電池パック10の充放電の制御、及び、電池パック10の温度の制御等を行わなくてもよい。この場合、電源装置28から車両25に給電可能な状態において、中央管理装置(マスターの管理装置)26のコントローラ27が、電池管理装置12を介することなく、直接的に電源15からの出力及び駆動回路17の駆動等を制御し、電池パック10の充放電等を制御する。また、中央管理装置26のコントローラ27は、電池管理装置12を介することなく、直接的に温度調整器の作動等を制御し、電池パック10の温度を制御する。この一例でも、電源装置28から車両25に給電可能な状態において、車両25に搭載される電池パック10の状態を示す情報が、電池管理装置12から中央管理装置26に送信される。
また、別のある一例では、電源装置28に電池管理装置12が設けられず、代わりに、コントローラ27を備える中央管理装置26が、電源装置28に搭載される。そして、電源装置28から車両25に給電可能な状態では、中央管理装置(中央制御装置)26のコントローラ27は、前述の電流検出回路21及び電圧検出回路22等から直接的に、車両25に搭載される電池パック10の状態を示す情報を、取得する。そして、電源装置28から車両25に給電可能な状態では、中央管理装置26のコントローラ27は、直接的に電源15からの出力及び駆動回路17の駆動等を制御し、電池パック10の充放電等を制御する。
図8は、電池パック10が搭載される車両25の図6及び図7とは別の一例を示す。図8の一例でも、車両25に搭載される電池パック10は、前述した電池モジュール11(1つ以上の電池1)及び駆動回路17を備える。そして、図7では図示しないが、電池パック10には、前述した電流検出回路21及び電圧検出回路22が、設けられ、電池パック10に、前述した温度検出器及び温度調整器が設けられてもよい。また、車両25において電池パック10の外部には、電動機等の負荷16が搭載される。
また、図8の一例では、図6の一例と同様に、車両25に、コントローラ13Xを備える電池管理装置12Xが搭載される。また、図8の一例では、図7の一例と同様に、車両25の外部に、電源15が搭載される電源装置28が設けられ、電源装置28に、コントローラ13Yを備える電池管理装置12Yが搭載される。そして、電源装置28の電源15を電池パック10に電気的に接続することにより、電池パック10を充電可能になり、電源装置28から車両25に給電可能になる。
図8の一例では、電池管理装置12Xのコントローラ13Xは、電池パック10の充電度合い(充電状態)に関する情報、及び、電池パック10の温度に関する情報等の、車両25に搭載される電池パック10の状態を示す情報を取得する。また、電源装置28から車両25に給電可能な状態では、電池管理装置12Xのコントローラ13Xは、駆動回路17の駆動を制御し、電池管理装置12Yのコントローラ13Yは、電源15からの電力の出力を制御する。これにより、電池管理装置(充放電制御装置)12X,12Yによって、電池パック10の充放電が、制御される。なお、電源装置28から車両25に給電可能な状態において、電池管理装置12Xのコントローラ13Xは、電池パック10の温度を制御してもよい。
また、図8の一例では、図7の一例と同様に、車両25及び電源装置28の外部に、すなわち、車両25及び電源装置28とは別体で、コントローラ27を備える前述の中央管理装置(中央制御装置)26が、設けられる。電池管理装置12X、電池管理装置12Y及び中央管理装置26は、有線又は無線によって情報交換可能である。中央管理装置26のコントローラ27は、電源装置28から車両25に給電可能な状態において、電池パック10の充電度合いに関する情報、及び、電池パック10の温度に関する情報等の、車両25に搭載される電池パック10の状態を示す情報を、電池管理装置12Xのコントローラ13Xから取得する。また、電源装置28から車両25に給電可能な状態では、中央管理装置26のコントローラ27は、取得した情報等に基づいて、電池パック10の充放電の制御に関する指令、及び、電池パック10の温度の制御に関する指令等の制御指令を、電池管理装置12X,12Yのコントローラ13X,13Y等に送信する。そして、コントローラ13X,13Y等は、コントローラ27からの制御指令等に基づいて、電池パック10の充放電等を制御する。したがって、図8の一例でも、中央管理装置26がマスターの管理装置(制御装置)となり、電池管理装置12X,12Yがスレーブの管理装置(制御装置)となる。
なお、ある一例では、図8の一例と同様に電池管理装置12X,12Yが設けられる構成において、車両25の電池管理装置12Xは、駆動回路17の駆動を制御しない。そして、電源装置28から車両25に給電可能な状態において、電源装置28の電池管理装置12Yのコントローラ13Yが、駆動回路17の駆動を制御する。また、別のある一例では、図8の一例と同様に電池管理装置12X,12Yが設けられる構成において、車両25の管理装置12X及び電源装置28の管理装置12Yのいずれもが、電池パック10の充放電の制御を行わない。そして、電源装置28から車両25に給電可能な状態において、中央管理装置(マスターの管理装置)26のコントローラ27が、電池管理装置12X,12Yを介することなく、直接的に電源15からの出力及び駆動回路17の駆動等を制御し、電池パック10の充放電等を制御する。
なお、電池パックが搭載される機器が搬送ロボット等の車両以外の機器であっても、前述した例のいずれかと同様にして、中央管理装置(中央制御装置)は、機器に搭載される電池パックの状態を示す情報を、取得する。すなわち、前述した電池管理装置を介して、又は、電池パックに設けられる検出回路及び検出器等から直接的に、中央管理装置は、機器に搭載される電池パックの状態を示す情報を、取得する。また、電池パックが搭載される機器が搬送ロボット等の車両以外の機器であっても、前述した例のいずれかと同様にして、中央管理装置(中央制御装置)は、機器に搭載される電池パックの状態を管理する。すなわち、前述した電池管理装置をスレーブの管理装置として、中央管理装置は、機器に搭載される電池パックの状態を管理し、スレーブの管理装置等によって、電池パックの充放電が制御される。
[制御システム]
実施形態では、電池パックが搭載される前述の機器を複数備える制御システムが、提供される。制御システムは、前述の中央管理装置(中央制御装置)を備える。中央管理装置は、複数の機器のそれぞれの電池パックの状態を管理し、例えば、電池パックのそれぞれの充放電に関する条件を設定する。複数の機器のそれぞれでは、前述した例のいずれかと同様にして、搭載される電池パックが中央管理装置によって管理され、充放電に関する条件等が、中央管理装置によって設定される。中央管理装置のコントローラは、複数の機器のそれぞれの電池パックの状態を示す情報を取得する。また、中央管理装置のコントローラは、取得した情報に基づいて、複数の機器のそれぞれの電池パックについて、規定範囲を超えて劣化しているか否かを判定する。そして、中央管理装置のコントローラは、規定範囲を超えて劣化している電池パックの少なくとも一部である回復対象電池パックを、所定の状態より充電されていない状態で規定時間保持し、回復対象電池パックが搭載される機器の使用を規定時間制限する。したがって、規定範囲を超えて劣化している電池パックの一部又は全部が、後述する劣化の回復処理が行われる回復対象パックとなる。
また、制御システムでは、車両等の電池パックが搭載される機器のそれぞれに、電池管理装置が設けられてもよい。この場合、電池管理装置は、中央管理装置をマスターの管理装置とするスレーブの管理装置となる。電池管理装置は、中央管理装置等によって設定された充放電に関する条件に基づいて、駆動回路の駆動等を制御し、電池パックのそれぞれに流れる電流及び電池パックのそれぞれに印加される電圧を制御する。すなわち、電池管理装置は、中央管理装置が設定した条件に基づいて、電池パックの充放電を制御する。なお、ある一例では、中央制御装置が、回復処理を行う指令を電池管理装置に伝送し、電池管理装置は、中央制御装置からの指令に基づいて、回復処理における充放電に関する条件を設定する。そして、電池管理装置は、設定した条件に基づいて、電池パックの充放電を制御する。
図9は、前述の中央管理装置26を備える制御システム30の一例を示す。図9の一例の制御システム30では、電池パック10が搭載される機器として、車両25が複数設けられる。複数の車両25には、車両25A〜25Cが含まれる。車両25Aには、スレーブの管理装置(制御装置)として電池管理装置12Aが設けられ、電池管理装置12Aは、電池パック10Aの状態を示す情報を、中央管理装置26のコントローラ27に送信する。また、中央管理装置26のコントローラ27からの制御指令に基づいて、電池管理装置12Aのコントローラ13Aは、電池パック10Aの充放電を制御する。
また、車両25Bには、電池管理装置12Bが設けられ、電池管理装置12Bは、電池パック10Bの状態を示す情報を、中央管理装置26のコントローラ27に送信する。ただし、電池管理装置12Bは、電池パック10Bの充放電を制御しない。電池パック10Bの充放電は、電池管理装置12Bからの情報に基づいて、中央管理装置26のコントローラ27が制御する。また、車両25Cには、電池管理装置が搭載されない。ここで、制御システム30には、定置用電源装置等の前述の電源装置28αが設けられ、電源装置28αに電源15α、及び、スレーブの管理装置(制御装置)として電池管理装置12αが搭載される。車両25Cの電池パック10Cの状態を示す情報は、電源装置28αから車両25Cに給電可能な状態において、電池管理装置12αによって、取得される。そして、電池管理装置12αは、取得した電池パック10Cの状態を示す情報を、中央管理装置26のコントローラ27に送信する。また、電源装置28αから車両25Cに給電可能な状態では、中央管理装置26のコントローラ27からの制御指令に基づいて、電池管理装置12αのコントローラ13αは、電池パック10Cの充放電を制御する。
なお、車両25A〜25C以外の車両25のそれぞれにおいても、前述した例のいずれかと同様にして、搭載される電池パック10の状態が、中央管理装置26によって、管理される。また、電池パック10が搭載される機器として、搬送ロボット等の車両以外の機器が複数設けられる制御システムにおいても、図9の制御システム30と同様にして、複数の機器のそれぞれの電池パックの状態を管理する。
また、図9の制御システム30では、ユーザーインターフェース31が設けられる。ユーザーインターフェース31は、作業者等によって操作が入力される操作部材を備える。操作部材としては、ボタン、ダイヤル、タッチパネル及びリモコン等が挙げられる。中央管理装置26のコントローラ27は、操作部材で入力された操作指令に基づいて、車両25のそれぞれの電池パック10の充放電等に関する処理を行う。また、ユーザーインターフェース31は、作業者等に情報を告知する告知装置を備える。告知装置は、画面表示、音の発信、及び、ライトの点灯等のいずれかによって、告知を行う。告知装置では、例えば、車両25のそれぞれの電池パック10のリアルタイムの状態を示す情報等の、電池パック10のそれぞれに関する情報が、告知される。
図10は、図9の制御システム30等において、中央管理装置(中央制御装置)26のコントローラ27、及び/又は、電池管理装置12のコントローラ13等によって行われる、複数の電池パック10のある1つの状態管理における処理を示す。ある一例では、図10に示す処理は、電池パック10のある1つの使用開始以後において、所定の間隔で定期的に、コントローラ27によって判定され、コントローラ27及び/又は電池管理装置12のコントローラ13によって劣化の回復処理が行われる。別のある一例では、図10に示す処理を行う操作指令をユーザーインターフェース31において作業者等は入力可能であり、操作指令がユーザーインターフェース31において入力されたことに基づいて、コントローラ27等は、図10に示す処理を行う。また、電池管理装置が搭載されない車両(例えば25C)に搭載される電池パック(例えば10C)については、電源装置28αから車両(例えば25C)に給電可能な状態に切替わったことに基づいて、コントローラ27等は、図10に示す処理を行ってもよい。図9の制御システム30等では、コントローラ27等は、複数の電池パック10のそれぞれについて、図10の処理を行う。
図10に示すように、複数の電池パックのある1つの状態管理において、コントローラ27は、まず、対象となる電池パックの劣化について判定処理を行う(S41)。そして、コントローラ27は、判定処理での判定結果に基づいて、対象となる電池パックの劣化の度合いが規定範囲内(正常範囲内)であるか否かを判定する(S42)。すなわち、対象となる電池パックが規定範囲を超えて劣化しているか否かが、判定される。
対象となる電池パックの劣化の度合いが規定範囲内である場合は(S42−Yes)、コントローラ27は、その電池パックを所定の状態より高い充電度合いで保持する(S43)。すなわち、コントローラ27は、対象となる電池パックを劣化の度合いが規定範囲内の正常電池パックであると判定するとともに、その電池パックを所定の状態より充電された状態で保持する。これにより、対象となる電池パック(正常電池パック)が搭載される車両(機器)は、通常モードで使用される(通常使用される)。ある一例では、コントローラ27は、電池パックの電圧(開回路電圧)を第1の電圧範囲で維持することにより、電池パックを所定の状態より充電された状態で保持する。第1の電圧範囲での電池パックの電圧が保持された状態では、電池パックの電圧値は、完放電状態における電池パックの電圧値(m×V1)より、満充電状態における電池パックの電圧値(m×V2)に近い。また、別のある一例では、コントローラ27は、電池パックの残容量を満充電容量の50%以上で保持することにより、すなわち、電池パックの充電状態(SOC)を50%以上で保持することにより、電池パックを所定の状態より充電された状態で保持する。
対象となる電池パックが規定範囲を超えて劣化している場合は(S42−No)、コントローラ27は、後述する回復処理が行われている電池パックのリアルタイムの数N1を取得するとともに、後述する回復処理を行うことが可能な電池パックの上限数(第1の上限数)N1maxを取得する(S44)。ここで、数N1は、複数の機器の電池パックの中で、所定の状態より充電されていない状態で保持されている電池パック(回復対象電池パック)のリアルタイムの数を示す。また、上限数N1maxは、制御システム30の複数の車両25(機器)の中で使用を制限することが可能な制限可能数であり、複数の電池パック10の中で所定の状態より充電されていない状態にすることが可能な数を示す。上限数(第1の上限数)N1maxは、複数の車両25の使用に関する需要等に基づいてコントローラ27が設定してもよく、コントローラ27の記憶媒体に記憶されてもよい。
リアルタイムで回復処理が行われている電池パックの数N1及び上限数N1maxを取得すると、コントローラ27は、回復処理が行われている電池パックの数N1が上限数N1maxより小さいか否かを判定する(S45)。回復処理が行われている電池パックの数(回復対象電池パックのリアルタイムの数)N1が上限数N1max以上の場合は(S45−No)、コントローラ27は、対象となる電池パックを所定の状態より高い充電度合いで保持する(S43)。すなわち、コントローラ27は、電池パックが前述の正常電池パックである場合と同様に、電池パックを所定の状態より充電された状態で保持する。
回復処理が行われている電池パックの数N1が上限数N1maxより小さい場合は(S45−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パックの劣化の回復処理を行う(S46)。すなわち、コントローラ27は、対象となる電池パックを劣化の回復処理を行う回復対象電池パックと判定し、その電池パックの劣化を回復する回復処理を行う。劣化の回復処理が終了すると、コントローラ27は、対象となる電池パックを所定の状態より高い充電度合いで保持する(S43)。
(電池パックの劣化の判定処理)
以下、電池パックの劣化の判定処理(例えば図10のS41)について説明する。判定処理によって、複数の機器のそれぞれの電池パックについて、劣化の度合いが規定範囲内(正常範囲内)であるか否かに関する情報が、設定される。そして、判定処理によって設定された情報に基づいて、コントローラ27等は、前述のS42の処理等のように、電池パックのそれぞれについて、劣化の度合いが規定範囲内であるか否かを判定する。また、ある一例では、コントローラ27は、前述のS45の処理等のように、回復処理が行われている電池パックの数N1及び前述の上限数N1maxに基づいて、規定範囲を超えて劣化している電池パックのそれぞれについて、回復処理を行うか否かを判定する。
図11は、電池パックの劣化の判定処理のある一例を示す。図11の一例の判定処理(S41)では、コントローラ27は、対象となる電池パックの直近の使用状況から、その電池パックの完放電状態から満充電状態までのリアルタイムの容量(満充電容量)Q(k)が取得可能である否かを判定する(S51)。容量Q(k)は、対象となる電池パックを完放電状態(充電状態が0%の)から満充電状態(充電状態が100%)まで充電することにより、取得してもよい。また、直近の充電時の充電量又は直近の放電時の放電量に基づいて、コントローラ27は、リアルタイムの容量(満充電容量)Q(k)を算出してもよい。
リアルタイムの容量Q(k)が取得可能な場合は(S51−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、前回取得した容量(満充電容量)Q(k−1)からリアルタイムの容量Q(k)を減算した減算値を算出する。そして、コントローラ27は、算出した減算値(Q(k−1)−Q(k))が容量閾値ΔQth以上であるか否かを判定する(S52)。減算値(Q(k−1)−Q(k))が容量閾値ΔQth以上である場合は(S52−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、判定パラメータηを1に設定する(S53)。一方、減算値(Q(k−1)−Q(k))が容量閾値ΔQthより小さい場合は(S52−No)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、判定パラメータηを0に設定する(S59)。
ここで、対象となる電池パックの容量Q(k),Q(k−1)等は、その電池パックに設けられる1つ以上の電池の容量に関する情報である。したがって、S52の判定が行われることにより、対象となる電池パックに設けられる1つ以上の電池の容量に関する情報に基づいて、その電池パックの劣化に関する判定が行われる。また、対象となる電池パックの容量Q(k),Q(k−1)等は、その電池パックの状態を示す情報である。
S51において対象となる電池パックのリアルタイムの容量Q(k)が取得できない場合は(S51−No)、コントローラ27は、対象となる電池パックの特定の充電状態(特定の充電度合い)における開回路電圧Vaを取得する(S55)。そして、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、取得した開回路電圧Vaから基準電圧Varefを減算した減算値を算出する。そして、コントローラ27は、算出した減算値(Va−Varef)が電圧閾値ΔVath以上であるか否かを判定する(S56)。減算値(Va−Varef)が電圧閾値ΔVath以上である場合は(S56−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、判定パラメータηを1に設定する(S53)。一方、減算値(Va−Varef)が電圧閾値ΔVathより小さい場合は(S56−No)、処理は、S57に進む。
ある一例では、電池パックの充電状態が20%以上80%以下の範囲のある特定値になる状態が、電池パックの特定の充電状態として設定される。例えば、電池パックの50%の充電状態が、電池パックの前述の特定の充電状態として設定される。また、別のある一例では、電池パックを完放電状態から所定の条件下で充電した状態、又は、電池パックを満充電状態から所定の条件下で放電した状態が、電池パックの特定の充電状態として設定される。例えば、完放電状態から特定充電量(例えば100mA・h)充電した状態、又は、満充電状態から特定放電量(例えば100mA・h)放電した状態が、電池パックの特定の充電状態として設定される。また、基準電圧Varefは、電池パックの使用開始時等の前述した基準状態(初期状態)での、特定の充電状態における電池パックの開回路電圧を示す。基準電圧Varefに関する情報は、コントローラ27の記憶媒体等に記憶される。
ここで、対象となる電池パックの特定の充電状態での開回路電圧Va等は、その電池パックにおける充電状態(充電度合い)と電圧との関係を示す情報である。したがって、S56の判定が行われることにより、対象となる電池パックにおける充電状態と電圧との関係を示す情報に基づいて、その電池パックの劣化に関する判定が行われる。また、対象となる電池パックの特定の充電状態での開回路電圧Va等は、その電池パックの状態を示す情報である。
また、電池パックが搭載される機器の通常モードでの使用では、充電状態が高い領域で電池パックの充放電が繰返される。このため、電池パックが搭載される機器の通常モードでの使用によって、電池パックの1つ以上の電池の正極電位及び負極電位が、基準状態に対して高電位側にずれ、その電池パックでは、完放電状態と満充電状態との間の一部の範囲において、電圧曲線が、基準状態から高電圧側にずれる。また、電池パックの1つ以上の電池の正極電位及び負極電位が基準状態に対して高電位側にずれることにより、電池パックの容量が低下する等、電池パックが劣化する。したがって、特定の充電状態での開回路電圧Va等の電池パックにおける充電状態と電圧との関係を示す情報に基づいて、その電池パックの劣化の度合いを判定可能である。
S56において減算値(Va−Varef)が電圧閾値ΔVathより小さい場合は(S56−No)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、使用開始時又は前回の劣化の回復処理からの経過時間Yaを取得する(S57)。そして、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、取得した経過時間Yaが時間閾値Yath以上であるか否かを判定する(S58)。経過時間Yaが時間閾値Yath以上である場合は(S58−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、判定パラメータηを1に設定する(S53)。一方、経過時間Yaが時間閾値Yathより短い場合は(S58−No)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、判定パラメータηを0に設定する(S59)。
ある一例では、コントローラ27の記憶媒体等には、経過時間Yaと電池パックの劣化の度合いとの関係を示す情報が、記憶される。そして、コントローラ27は、記憶された前述の情報に基づいて、使用開始時又は前回の劣化の回復処理からの経過時間Yaがどの程度の長さになれば、劣化の度合いが規定範囲を超えるかを判定する。そして、コントローラ27は、判定結果に基づいて、閾値Ythを設定する。
ここで、対象となる電池パックの使用開始時又は前回の劣化の回復処理からの経過時間Ya等は、その電池パックの使用履歴に関する情報である。したがって、S58の判定が行われることにより、対象となる電池パックの使用履歴に関する情報に基づいて、その電池パックの劣化に関する判定が行われる。また、対象となる電池パックの経過時間Ya等は、その電池パックの状態を示す情報である。
また、電池パックが搭載される機器を通常モードで使用する(通常使用する)ことより、前述のように、電池パックの1つ以上の電池の電極群が劣化したり、電池パックの1つ以上の電池の正極電位及び負極電位が基準状態に対して高電位側にずれたりする。これにより、電池パックの容量が低下する等、電池パックが劣化する。したがって、経過時間Ya等の電池パックの使用履歴に関する情報に基づいて、その電池パックの劣化の度合いを判定可能である。
図11の処理では、複数の電池パックのそれぞれについて、判定パラメータηが、劣化の度合いが規定範囲内であるか否かに関する情報として、設定される。判定パラメータηを0に設定した場合は、コントローラ27は、対象となる電池パックの劣化が規定範囲内(正常範囲内)であると、判定する。すなわち、コントローラ27は、対象となる電池パックが正常電池パックであると、判定する。一方、判定パラメータηを1に設定した場合は、コントローラ27は、対象となる電池パックが規定範囲を超えて劣化していると、判定する。すなわち、コントローラ27は、対象となる電池パックが非正常電池パックであると、判定する。
また、図10のフローで前述したように、コントローラ27は、判定パラメータηを1に設定した非正常電池パックがある場合、回復処理が行われている電池パックの数N1を取得する。そして、コントローラ27は、判定パラメータηを1に設定した非正常電池パックがある場合、数N1及び上限数N1maxを用いて、図10のS45の判定を行う。
また、図11の一例では、対象となる電池パックのリアルタイムの容量Q(k)に基づく判定(S51)、すなわち、電池パックに設けられる1つ以上の電池の容量に関する情報に基づく判定が行われるが、これに限るもとではない。ある変形例では、コントローラ27は、S51及びS52の処理を行わず、開回路電圧Vaに基づく前述の判定(S56)、及び、経過時間Yaに前述の基づく判定(S58)のいずれか1つ以上に基づいて、判定パラメータηを設定する。この場合、容量Q(k)を取得可能であるか否かに関係なく、コントローラ27は、対象となる電池パックの特定の充電状態における開回路電圧Vaを取得する(S55)。そして、コントローラ27は、S56以降の処理を順次に行う。
また、ある変形例では、開回路電圧Vaに基づく前述の判定(S56)のみに基づいて、コントローラ27は、判定パラメータηを設定する。すなわち、コントローラ27は、対象となる電池パックにおける充電度合いと電圧との関係を示す情報のみに基づいて、その電池パックの劣化に関する判定を行う。本変形例では、減算値(Va−Varef)が電圧閾値ΔVath以上である場合は(S56−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、判定パラメータηを1に設定する。一方、減算値(Va−Varef)が電圧閾値ΔVathより小さい場合は(S56−No)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、判定パラメータηを0に設定する。
また、別のある変形例では、経過時間Yaに基づく前述の判定(S58)のみに基づいて、コントローラ27は、判定パラメータηを設定する。すなわち、コントローラ27は、対象となる電池パックの使用履歴に関する情報のみに基づいて、その電池パックの劣化に関する判定を行う。本変形例では、経過時間Yaが時間閾値Yath以上である場合は(S58−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、判定パラメータηを1に設定する。一方、経過時間Yaが時間閾値Yathより短い場合は(S58−No)、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、判定パラメータηを0に設定する。
また、ある変形例では、開回路電圧Vaの代わりに、コントローラ27は、互いに対して異なる複数の充電状態において、リアルタイムの開回路電圧(電圧)を取得する。そして、コントローラ27は、取得した複数の開回路電圧の平均値Vbを取得する。ある一例では、コントローラ27は、30%の充電状態、50%の充電状態、及び、70%の充電状態のそれぞれにおいて、対象となる電池パックのリアルタイムの開回路電圧を取得する。そして、コントローラ27は、3つの開回路電圧の平均をリアルタイムの平均値Vbとする。本変形例では、基準電圧Varefの代わりに基準値Vbrefが用いられる。基準値Vbrefの算出においては、前述した基準状態(初期状態)において、互いに対して異なる前述の複数の充電状態での開回路電圧を取得する。そして、取得した複数の開回路電圧の平均が、基準値Vbrefとして算出される。また、本変形例では、電圧閾値ΔVathの代わりに電圧閾値ΔVbthが設定される。
本変形例では、コントローラ27は、開回路電圧Vaの代わりに、平均値Vbを、電池パックにおける充電状態(充電度合い)と電圧との関係を示す情報として用いる。そして、コントローラ27は、平均値Vb、基準値Vbref及び電圧閾値ΔVbthを用いて、S56の処理と同様にして判定処理を行う。本変形例では、平均値Vb、基準値Vbref及び電圧閾値ΔVbthを用いた判定処理が行われることを除き、図11の一例と同様にして、判定パラメータηが設定される。そして、コントローラ27は、判定パラメータηに基づいて、前述のように電池パックの劣化の判定を行う。
別のある変形例では、コントローラ27は、開回路電圧Vaの代わりに、完放電状態(充電状態が0%)と満充電状態(充電状態が100%)との間の対象となる電池パックの電圧曲線を取得する。ある一例では、完放電状態から満充電状態まで、例えば1Cレートで電池パックを定電流充電する等、所定の条件下で電池パックを充電する。そして、コントローラ27は、所定の条件下での充電において、充電度合い(充電状態)に対する電池パックの電圧をプロットする等して、完放電状態から満充電状態までの電池パックの電圧曲線(充電電圧曲線)を取得する。別のある一例では、満充電状態から完放電状態まで、例えば1Cレートで電池パックを定電流放電する等、所定の条件下で電池パックを放電する。そして、コントローラ27は、所定の条件下での放電において、充電状態に対する電池パックの電圧をプロットする等して、満充電状態から完放電状態までの電圧曲線(放電電圧曲線)を取得する。本変形例では、コントローラ27の記憶媒体等に、前述の基準状態(初期状態)における完放電状態と満充電状態との間の電圧曲線が、記憶される。そして、コントローラ27は、完放電状態と満充電状態との間の一部の範囲での、基準状態の電圧曲線からのリアルタイムの電圧曲線のシフト量εを取得する。また、本変形例では、電圧閾値ΔVathの代わりにシフト閾値εthが設定される。
本変形例では、コントローラ27は、開回路電圧Vaの代わりに、シフト量εを、電池パックにおける充電状態(充電度合い)と電圧との関係を示す情報として用いる。そして、コントローラ27は、S56の処理の代わりに、シフト量εがシフト閾値εth以上であるか否かを判定する。そして、シフト量εがシフト閾値εth以上である場合は、コントローラ27は、判定パラメータηを1に設定する。一方、シフト量εがシフト閾値εthより小さい場合は、処理はS57に進み、コントローラ27は、図11の一例と同様にして、S57以降の処理を順次に行う。本変形例でも、コントローラ27は、判定パラメータηに基づいて、前述のように電池パックの劣化の判定を行う。
また、別のある変形例では、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、開回路電圧Vaの代わりに、開回路電圧(電圧)が特定電圧値になる状態でのリアルタイムの充電状態(SOC)αaを取得する。本変形例では、基準電圧Varefの代わりに、基準充電状態(基準SOC)αarefが用いられる。基準充電状態αarefは、前述した基準状態(初期状態)での、特定電圧値における電池パックの充電状態を示す。ここで、特定電圧値は、完放電状態における電池パックの電圧値(m×V1)より大きく、かつ、満充電状態における電池パックの電圧値(m×V2)より小さい範囲内のいずれかの値である。ただし、前述のような電池パックでは、1つ以上の電池の正極電位及び負極電位が基準状態からずれても、0%及び0%に近い充電状態、及び、100%及び100%に近い充電状態のそれぞれでは、電圧は基準状態から大きくずれない。したがって、特定電圧値は、電圧値(m×V1)及び電圧値(m×V2)から離れた値であることが好ましく、例えば、完放電状態での電圧値(m×V1)と満充電状態での電圧値(m×V2)との平均値又はその平均値に近い値に設定される。
本変形例では、電圧閾値ΔVathの代わりに、充電状態閾値Δαathが設定される。また、本変形例では、コントローラ27は、開回路電圧Vaの代わりに、特定電圧値における電池パックのリアルタイムの充電状態αaを、電池パックにおける充電状態(充電度合い)と電圧との関係を示す情報として用いる。本変形例では、コントローラ27は、S56の処理の代わりに、基準充電状態αarefからリアルタイムの充電状態αaを減算した減算値を算出する。そして、コントローラ27は、算出した減算値(αaref−αa)が充電状態閾値Δαath以上であるか否かを判定する。減算値(αaref−αa)が充電状態閾値Δαath以上である場合は、コントローラ27は、判定パラメータηを1に設定する。一方、減算値(αaref−αa)が充電状態閾値Δαathより小さい場合は、処理はS57に進み、コントローラ27は、図11の一例と同様にして、S57以降の処理を順次に行う。本変形例でも、コントローラ27は、判定パラメータηに基づいて、前述のように電池パックの劣化の判定を行う。
また、開回路電圧Vaの代わりに複数の開回路電圧の平均値Vbを用いた一例と同様に、 ある変形例では、充電状態αaの代わりに、電圧値が互いに対して異なる複数の状態において、リアルタイムの充電状態(SOC)を取得する。そして、コントローラ27は、取得した複数の充電状態の平均値αbを取得する。本変形例では、基準充電状態αarefの代わりに基準値αbrefが用いられる。基準値αbrefの算出においては、前述した基準状態(初期状態)において、電圧値が互いに対して異なる前述の複数の状態での充電状態を取得する。そして、取得した複数の充電状態の平均が、基準値αbrefとして算出される。また、本変形例では、充電状態閾値Δαathの代わりに充電状態閾値Δαbthが設定される。
本変形例では、コントローラ27は、充電状態αaの代わりに、平均値αbを、電池パックにおける充電状態(充電度合い)と電圧との関係を示す情報として用いる。そして、コントローラ27は、S56の処理の代わりに、基準値αbrefからリアルタイムの平均値αbを減算した減算値を算出する。そして、コントローラ27は、算出した減算値(αbref−αb)が充電状態閾値Δαbth以上であるか否かを判定する。減算値(αbref−αb)が充電状態閾値Δαbth以上である場合は、コントローラ27は、判定パラメータηを1に設定する。一方、減算値(αbref−αb)が充電状態閾値Δαbthより小さい場合は、処理はS57に進み、コントローラ27は、図11の一例と同様にして、S57以降の処理を順次に行う。本変形例でも、コントローラ27は、判定パラメータηに基づいて、前述のように電池パックの劣化の判定を行う。
また、ある変形例では、経過時間Yaの代わりに、コントローラ27は、使用開始時又は前回の回復処理からの正味の充放電時間Ybを取得する。本変形例では、時間閾値Yathの代わりに、時間閾値Ybthが設定される。本変形例では、コントローラ27は、経過時間Yaの代わりに、正味の充放電時間Ybを、電池パックの使用履歴に関する情報として用いる。そして、コントローラ27は、正味の充放電時間Yb及び時間閾値Ybthを用いて、S58の処理と同様にして判定処理を行う。本変形例では、正味の充放電時間Yb及び時間閾値Ybthを用いた判定処理が行われることを除き、図11の一例と同様にして、判定パラメータηが設定される。そして、コントローラ27は、判定パラメータηに基づいて、前述のように電池パックの劣化の判定を行う。
また、ある変形例では、経過時間Yaの代わりに、コントローラ27は、電池パックが搭載される車両(機器)の使用開始時又は前回の回復処理からの正味の走行距離Ycを取得する。本変形例では、時間閾値Yathの代わりに、距離閾値Ycthが設定される。本変形例では、コントローラ27は、経過時間Yaの代わりに、正味の走行距離Ycを、電池パック(電池パックが搭載される機器)の使用履歴に関する情報として用いる。そして、コントローラ27は、正味の走行距離Yc及び距離閾値Ycthを用いて、S58の処理と同様にして判定処理を行う。本変形例では、正味の走行距離Yc及び距離閾値Ycthを用いた判定処理が行われることを除き、図11の一例と同様にして、判定パラメータηが設定される。そして、コントローラ27は、判定パラメータηに基づいて、前述のように電池パックの劣化の判定を行う。
実施形態等では、複数の機器のそれぞれの電池パックについて、前述のように劣化の度合いが判定される。このため、複数の機器のそれぞれの電池パックについて、劣化の度合いが規定範囲内であるか否かが、適切に判定される。したがって、電池パックのそれぞれに関して、劣化の度合いが規定範囲内の正常電池パック、又は、規定範囲を超えて劣化している非正常電池パックであるかが、適切に判定される。
(電池パックの劣化の回復処理)
以下、電池パック(回復対象電池パック)の劣化の回復処理(例えば図10のS46)について説明する。回復処理は、規定範囲を超えて劣化している電池パックである非正常電池パックの少なくとも一部に対して、行われる。そして、非正常電池パックであっても、回復処理が行われている電池パックのリアルタイムの数N1が上限数(制限可能数)N1maxより小さい場合のみ、回復処理が行われる。回復処理では、コントローラ27は、回復処理の対象となる電池パックである回復対象電池パックを、所定の状態より充電されていない状態で規定時間保持する。回復処理によって、回復対象電池パック(電池パック)の1つ以上の電池の正極電位及び負極電位が、初期状態等の基準状態に近づく。これにより、回復対象電池パックおいて、1つ以上の電池の正極電位及び負極電位の基準状態からのずれに起因して低下した容量等が回復し、回復対象パックの劣化が回復する。
図12は、電池パック(回復対象電池パック)の劣化の回復処理のある一例を示す。図12の一例の回復処理(S46)では、コントローラ27は、所定の状態より充電されていない状態で充放電が停止されている電池パック(回復対象電池パック)のリアルタイムの数N2を取得するとともに、充放電を停止することが可能な電池パックの上限数(第2の上限数)N2maxを取得する(S61)。ここで、数N2は、回復処理が行われている電池パックの中で、さらに充放電が停止されている電池パックのリアルタイムの数を示す。また、上限数N2maxは、制御システム30の複数の車両25(機器)の中で使用を停止することが可能な停止可能数であり、複数の電池パック10の中で充放電を停止することが可能な数を示す。上限数(第2の上限数)N2maxは、複数の車両25の使用に関する需要等に基づいてコントローラ27が設定してもよく、コントローラ27の記憶媒体に記憶されてもよい。
リアルタイムで充放電が停止されている電池パック(回復対象電池パック)の数N2及び上限数N2maxを取得すると、コントローラ27は、充放電が停止されている電池パックの数N2が上限数N2maxより小さいか否かを判定する(S62)。充放電が停止されている電池パックの数N2が上限数N2maxより小さい場合は(S62−Yes)、コントローラ27は、その電池パックを所定の状態より低い充電度合いで保持する(S63)。すなわち、コントローラ27は、回復処理の対象となる電池パックを、放電する等して、所定の状態より充電されていない状態にする。
ある一例では、コントローラ27は、電池パックの電圧(開回路電圧)を第2の電圧範囲で維持することにより、電池パックを所定の状態より充電されていない状態で保持する。第2の電圧範囲は、電池パックが正常電池パックであると判定された場合等の電圧の保持範囲である前述の第1の電圧範囲より、低い。また、第2の電圧範囲での電池パックの電圧が保持された状態では、電池パックの電圧値は、満充電状態における電池パックの電圧値(m×V2)より、完放電状態における電池パックの電圧値(m×V1)に近い。また、別のある一例では、コントローラ27は、電池パックの残容量を満充電容量の40%以下で保持することにより、すなわち、電池パックの充電状態(SOC)を40%以下で保持することにより、電池パックを所定の状態より充電されていない状態で保持する。
また、充放電が停止されている電池パック(回復対象電池パック)の数N2が上限数N2maxより小さい場合は(S62−Yes)、コントローラ27は、その回復対象電池パックの充放電を停止する(S64)。S63及びS64の処理によって、回復対象電池パックは、所定の状態より充電度合いが低く、かつ、充放電が停止された状態で、保持される。また、回復対象電池パックの充放電が停止されることにより、その回復対象電池パック(電池パック)が搭載される車両(機器)の使用が停止される。したがって、充放電が停止されている回復対象電池パック(電池パック)の数N2が上限数N2maxより小さい場合は、その回復対象電池パックが搭載される車両の使用を停止することにより、その車両(機器)の使用を制限する。
そして、コントローラ27は、回復処理の開始時からの経過時間Xaが基準時間Xarefを超えているか否かを判定する(S65)。ある一例では、基準時間Xarefは、3日に設定される。経過時間Xaが基準時間Xaref以下の場合は(S65−No)、処理はS63に戻り、コントローラ27は、S63以降の処理を順次に行う。すなわち、回復処理の対象となる電池パックは、所定の状態より充電度合いが低い状態で継続して維持されるとともに、充放電が継続して停止される。経過時間Xaが基準時間Xarefを超えている場合は(S65−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パック(回復対象電池パック)の劣化の回復処理を終了する。そして、コントローラ27は、回復処理が終了した電池パックを、所定の状態より充電度合いが高い状態にするとともに、充放電可能にする(S43)。これにより、回復処理が終了した電池パックが搭載される機器は、通常モードで使用される。
前述のようにS63〜S65の処理が行われることにより、回復処理の対象となる電池パックは、所定の状態より充電されていない状態で充放電が規定時間(基準時間Xaref)停止される。これにより、その電池パックが搭載される機器の使用が、規定時間停止される。
S62において充放電が停止されている電池パックの数N2が上限数N2max以上の場合は(S62−No)、コントローラ27は、S63の処理と同様に、その電池パックを所定の状態より低い充電度合いで保持する(S66)。すなわち、コントローラ27は、回復処理の対象となる電池パックを、放電する等して、所定の状態より充電されていない状態にする。
ただし、充放電が停止されている回復対象電池パック(電池パック)の数N2が上限数N2max以上の場合は(S62−No)、コントローラ27は、その回復対象電池パックを充放電可能にする。したがって、回復対象電池パックは、所定の状態より充電度合いが低く、かつ、充放電可能な状態で、保持される。また、所定の状態より充電度合いが低い状態で回復対象電池パックの充放電が繰り返されることにより、その回復対象電池パック(電池パック)が搭載される車両(機器)は、前述の通常モード(通常使用)とは異なるモードで使用される。したがって、充放電が停止されている回復対象電池パック(電池パック)の数N2が上限数N2max以上の場合は、その回復対象パックが搭載される車両を通常モードとは異なるモード(異なる状態)で使用することにより、その車両(機器)の使用を制限する。
そして、コントローラ27は、S65の処理と同様に、回復処理の開始時からの経過時間Xaが基準時間Xarefを超えているか否かを判定する(S67)。経過時間Xaが基準時間Xaref以下の場合は(S67−No)、処理はS66に戻り、コントローラ27は、S66以降の処理を順次に行う。すなわち、回復処理の対象となる電池パックは、所定の状態より充電度合いが低く、かつ、充放電可能な状態で継続して維持される。経過時間Xaが基準時間Xarefを超えている場合は(S67−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パック(回復対象パック)の劣化の回復処理を終了する。そして、コントローラ27は、回復処理が終了した電池パックを、所定の状態より充電度合いが高い状態にする(S43)。これにより、回復処理が終了した電池パックが搭載される機器は、通常モードで使用される。
なお、図11の一例では、S65及びS67のそれぞれの判定において、同一の長さの基準時間Xarefが用いられるが、これに限るものではない。ある一例では、S65の判定において、基準時間Xa1refが用いられ、S67の判定において、基準時間Xa1refとは長さが異なる基準時間Xa2refが用いられてもよい。
実施形態等では、回復対象電池パックは、所定の状態より充電度合いが低い状態で規定時間保持される。電池パック(回復対象電池パック)の充電度合いが比較的低い範囲で保持されることにより、その電池パックの1つ以上の電池において、正極電位及び負極電位の基準状態からの高電位側へのずれが回復し、正極電位及び負極電位が初期状態等の基準状態に近づく。これにより、回復処理が行われた電池パックにおいて容量低下等が適切に回復し、劣化した電池パックが適切に回復する。
また、回復対象電池パックを所定の状態より充電度合いが低い状態で保持する前述の回復処理では、コントローラ27は、回復対象電池パックの1つ以上の電池の温度を30℃以上50℃以下の範囲に調整することが好ましい。この場合、電池パックのそれぞれに、サーミスタ等の温度検出器、及び、ヒータ等の温度調整器が設けられる。そして、コントローラ27は、温度検出器からの電池パックの温度に関する情報に基づいて、温度調整器の作動に関する指令等をスレーブとなる電池管理装置12のコントローラ13等に伝送する。そして、コントローラ13は、指令等に基づいて、温度調整器の作動を制御し、回復対象電池パックの温度を調整する。
回復対象電池パックを所定の状態より低い充電状態で保持する前述の回復処理では、1つ以上の電池の正極と負極との自己放電量の差を利用して、1つ以上の電池の正極電位及び負極電位の基準状態からのずれを回復させる。このため、回復処理では、電池パックの通常モード(通常使用時)に比べて1つ以上の電池の温度を上昇させることにより、自己放電の速度が上昇し、1つ以上の電池の正極電位及び負極電位のずれの回復が促進される。
ここで、電池パックの温度を30℃以上にすることにより、1つ以上の電池において、正極及び負極での自己放電量が増加し、正極電位及び負極電位のずれの回復速度が速くなる。これにより、電池パックにおいて容量低下の回復速度が速くなり、劣化の回復速度が速くなる。また、電池パックの温度を50℃以下にすることにより、1つ以上の電池において、電極群及び電解液の劣化等の回復不可能な劣化が抑制される。したがって、回復処理において回復対象パックの温度を30℃以上50℃以下の範囲に調整することにより、回復対象パックの1つ以上の電池の正極電位及び負極電位の基準状態からのずれの回復が、より促進される。これにより、回復対象パックの劣化の回復が、より促進される。
(回復の優先順位が設定される変形例)
なお、ある変形例では、コントローラ27は、規定範囲を超えて劣化している電池パック(非正常電池パック)のそれぞれについて、回復の優先順位Mを設定する。そして、コントローラ27は、非正常電池パックのそれぞれについて、回復の優先順位Mに基づいて、回復処理を行うか否か、すなわち、所定の状態より充電されていない状態で保持するか否かを判定する。また、コントローラ27は、回復処理が行われる回復対象電池パックのそれぞれについて、充放電を停止するか否かを判定する。
図13は、回復の優先順位Mの設定処理の一例を示す。図13に示すように、優先順位Mの設定において、コントローラ27は、まず、全ての機器の電池パックについて、劣化の判定処理を行う(S71)。すなわち、全ての電池パックについて、劣化の度合いが規定範囲内であるか否かを判定する。なお、S71では、電池パックのそれぞれについて、例えば、図10等のS41,S42の処理が行われる。そして、コントローラ27は、規定範囲を超えて劣化している非正常電池パックのそれぞれについて、情報を取得する(S72)。S72で取得される情報としては、非正常電池パックのそれぞれの劣化の度合い、及び、非正常電池パックのそれぞれにおいて 1つ以上の電池に用いられる活物質(正極活物質及び負極活物質)の種類等が、挙げられる。
そして、コントローラ27は、S72で取得した情報に基づいて、非正常電池パックのそれぞれについて、回復の優先順位Mを設定する(S73)。優先順位Mは、非正常電池パックの中で回復処理を行う優先度を示し、優先順位Mを示す番号が小さい電池パックほど、回復処理を行う優先度が高い。ある一例では、コントローラ27は、劣化の度合いが大きい非正常電池パックほど、優先順位Mが示す番号を小さく、すなわち、回復処理の優先度を高く設定する。
また、 別のある一例では、制御システムの複数の電池パックの中に、1つ以上の電池の負極活物質として炭素質物が含まれる電池パック、及び、1つ以上の電池の負極活物質として炭素質物が含まれない電池パックが存在する。そして、コントローラ27は、炭素質物が負極活物質として含まれる非正常電池パックに比べて、炭素質物が負極活物質として含まれない非正常電池パックにおいて、優先順位Mが示す番号を小さく設定する。すなわち、炭素質物が負極活物質として含まれる非正常電池パックに比べて、炭素質物が負極活物質として含まれない非正常電池パックにおいて、回復処理の優先度を高く設定する。実際に、炭素質物が負極活物質として含まれる電池パックでは、前述する回復処理による劣化の回復度合いが、炭素質物が負極活物質として含まれない電池パックに比べて、小さい。したがって、炭素質物が負極活物質として含まれるか否かに基づいて前述のように優先順位Mが設定されることにより、回復処理による回復度合いが大きい非正常電池パック(電池パック)から優先して、回復処理が行われる。
本変形例では、前述のようにして設定された優先順位Mに基づいて、非正常電池パックのそれぞれについて、回復処理を行うか否か等が、判定される。図14は、非正常電池パックのある1つの優先順位Mに基づく判定処理の一例を示す。図14示すように、判定処理において、コントローラ27は、その電池パックの回復の優先順位Mを取得するとともに 、回復処理を行うことが可能な電池パックの上限数(第1の上限数)M1maxを取得する(S81)。 ここで、上限数M1maxは、前述の上限数N1maxと同様に、制御システム30の複数の車両25(機器)の中で使用を制限することが可能な制限可能数であり、複数の電池パック10の中で所定の状態より充電されていない状態にすることが可能な数を示す。
対象となる電池パックの優先順位M及び上限数M1maxを取得すると、コントローラ27は、その電池パックの優先順位Mを示す番号が上限数M1max以下であるか否かを判定する(S82)。優先順位Mを示す番号が上限数M1maxより大きい場合は(S82−No)、コントローラ27は、対象となる電池パックを所定の状態より高い充電度合いで保持する(S83)。すなわち、コントローラ27は、電池パックが前述の正常電池パックである場合と同様に、電池パックを所定の状態より充電された状態で保持する。
優先順位Mを示す番号が上限数M1max以下の場合は(S82−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パックを劣化の回復処理を行う回復対象パックと判定する。そして、コントローラ27は、対象となる電池パックについて、前述した回復処理を行とともに、処理は、S84に進む。
S84において、コントローラ27は、充放電を停止することが可能な電池パックの上限数(第2の上限数)M2max を取得する(S84)。ここで、上限数M2maxは、上限数N2maxと同様に、制御システム30の複数の車両25(機器)の中で使用を停止することが可能な停止可能数であり、複数の電池パック10の中で充放電を停止することが可能な数を示す。
上限数M2maxを取得すると、コントローラ27は、その電池パックの優先順位Mを示す番号が上限数M2max以下であるか否かを判定する(S85)。対象となる電池パックの優先順位Mを示す番号が上限数M2max以下の場合は(S85−Yes)、コントローラ27は、図12のS63の処理と同様に、その電池パックを所定の状態より低い充電度合いで保持する(S86)。すなわち、コントローラ27は、回復処理の対象となる電池パックを、放電する等して、所定の状態より充電されていない状態にする。
そして、回復対象電池パック(電池パック)の優先順位Mを示す番号が上限数M2max以下の場合は(S85−Yes)、コントローラ27は、図12のS64の処理と同様に、その回復対象電池パックの充放電を停止する(S87)。S86及びS87の処理によって、回復対象電池パックは、所定の状態より充電度合いが低く、かつ、充放電が停止された状態で、保持される。また、回復対象電池パックの充放電が停止されることにより、その回復対象電池パック(電池パック)が搭載される車両(機器)の使用が停止される。
そして、コントローラ27は、図12のS65の処理と同様に、回復処理の開始時からの経過時間Xaが基準時間Xarefを超えているか否かを判定する(S88)。経過時間Xaが基準時間Xaref以下の場合は(S88−No)、処理はS86に戻り、コントローラ27は、S86以降の処理を順次に行う。すなわち、回復処理の対象となる電池パックは、所定の状態より充電度合いが低い状態で継続して維持されるとともに、充放電が継続して停止される。経過時間Xaが基準時間Xarefを超えている場合は(S88−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パック(回復対象電池パック)の劣化の回復処理を終了する。そして、コントローラ27は、回復処理が終了した電池パックを、所定の状態より充電度合いが高い状態にするとともに、充放電可能にする(S83)。これにより、回復処理が終了した電池パックが搭載される機器は、通常モードで使用される。
前述のようにS86〜S88の処理が行われることにより、回復処理の対象となる電池パックは、所定の状態より充電されていない状態で充放電が規定時間(基準時間Xaref)停止される。これにより、その電池パックが搭載される機器の使用が、規定時間停止される。
S85 において対象となる電池パックの優先順位Mを示す番号が上限数M2maxより大きい場合は(S85−No)、コントローラ27は、S86の処理と同様に、その電池パックを所定の状態より低い充電度合いで保持する(S89)。ただし、回復対象電池パック(電池パック)の優先順位Mを示す番号が上限数M2maxより大きい場合は(S85−No)、コントローラ27は、その回復対象パックを充放電可能にする。したがって、回復対象パックは、所定の状態より充電度合いが低く、かつ、充放電可能な状態で、保持される。また、所定の状態より充電度合いが低い状態で回復対象パックの充放電が繰り返されることにより、その回復対象パック(電池パック)が搭載される車両(機器)は、前述の通常モード(通常使用)とは異なるモードで使用される。
そして、コントローラ27は、S88の処理と同様に、回復処理の開始時からの経過時間Xaが基準時間Xarefを超えているか否かを判定する(S90)。経過時間Xaが基準時間Xaref以下の場合は(S90−No)、処理はS89に戻り、コントローラ27は、S89以降の処理を順次に行う。すなわち、回復処理の対象となる電池パックは、所定の状態より充電度合いが低く、かつ、充放電可能な状態で継続して維持される。経過時間Xaが基準時間Xarefを超えている場合は(S89−Yes)、コントローラ27は、対象となる電池パック(回復対象電池パック)の劣化の回復処理を終了する。そして、コントローラ27は、回復処理が終了した電池パックを、所定の状態より充電度合いが高い状態にする(S83)。これにより、回復処理が終了した電池パックが搭載される機器は、通常モードで使用される。
本変形例では、規定範囲を超えて劣化している非正常電池パックの数が上限数(制限可能数)M1maxより大きい場合は、回復の優先度が高い非正常電池パックから順に、回復処理が行われる。このため、非正常電池パックの中でも、劣化の度合いが大きい非正常電池パック等の回復の優先度が高い非正常電池パックから、適切に劣化の回復処理が行われる。すなわち、回復の優先度が高い非正常電池パックが搭載される機器から、優先して使用が制限される。
また、本変形例では、回復処理の対象となる回復対象電池パックの数が上限数(停止可能数)M2maxより大きい場合は、回復の優先度が高い回復対象パックから順に、充放電を停止させる。このため、回復対象電池パックの中でも、劣化の度合いが大きい回復対象電池パック等の回復の優先度が高い回復対象電池パックから、適切に充放電が停止される。すなわち、回復の優先度が高い回復対象電池パックが搭載される機器から、優先して使用が停止される。なお、充放電が停止されない回復対象電池パックについても、回復処理によって、前述のように、所定の状態より充電度合いが低い状態で保持される。このため、充放電が停止されない回復対象電池パックの劣化も、回復処理によって、適切に回復する。
前述の少なくとも一つの実施形態又は実施例の管理装置によれば、複数の機器のそれぞれの電池パックについて、規定範囲を超えて劣化しているか否かを判定する。そして、規定範囲を超えて劣化している電池パックの少なくとも一部である回復対象電池パックを、所定の状態より充電されていない状態で規定時間保持し、回復対象電池パックが搭載される機器の使用を規定時間制限する。これにより、複数の機器の制御システムにおいて、複数の機器のそれぞれについて、電池パックの劣化を適切に判定し、劣化した電池パックを適切に回復させる管理装置を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。