以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
以下の実施形態では、複数の電池パックを同時に充電可能な充電装置が提供される。充電装置によって充電される複数の電池パックのそれぞれは、1つ以上の単電池から形成される電池ユニットを備える。また、電池ユニットは、1つの単電池から形成されるか、又は、複数の単電池が直列及び並列の少なくとも一方で電気的に接続される組電池から形成される。
[単電池]
以下、単電池について、説明する。単電池は、本実施形態の充電装置によって充電される電池パックにおいて、電池ユニットに設けられる。単電池としては、例えば、非水系リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池が用いられる。図1は、単電池1の一例を示し、図2は、図1の単電池(二次電池)1の範囲Aを拡大して示す。
図1及び図2に示すように、単電池1は、袋状の外装部材8と、電極群2と、電解質(図示しない)と、を備える。電極群2及び電解質は、外装部材8の内部に収納される。電解質(図示しない)は、電極群2に保持される。外装部材8の内部に電極群2及び電解質が収納された状態で外装部材8を封止することにより、単電池1が形成される。図1及び図2の一例では、外装部材8は、2つの樹脂層と、これらの樹脂層の間に介在した金属層と、を含むラミネートフィルムから形成される。
電極群2は、負極3と、セパレータ4と、正極5とを備える。セパレータ4は、負極3と正極5との間に介在し、負極3と正極5との間を電気的に絶縁する。図1及び図2の一例では、電極群2は、正極5と負極3との間にセパレータ4を介在させた状態で渦巻状に捲回された構造を有し、例えば、偏平形状に形成される。別の一例では、電極群2は、正極5、セパレータ4、負極3及びセパレータ4の順で積層された構造を有する。
負極3は、負極集電体3aと、負極合剤層3bと、を備える。負極合剤層3bは、負極集電体3aの両面又は片面に配置される。同様に、正極5は、正極集電体5aと、正極合剤層5bと、を備える。正極合剤層5bは、正極集電体5aの両面又は片面に配置される。
また、単電池1は、電極端子として負極端子6及び正極端子7を備える。負極端子6は、負極集電体3aに接続され、正極端子7は、正極集電体5aに接続される。図1及び図2の一例では、負極端子6及び正極端子7は、外装部材8の開口部から外部に延出される。外装部材8の内面の熱可塑性樹脂層を熱融着することにより、外装部材8の開口部が閉じられる。
前述のような単電池では、電極群は、リチウムイオンを媒介とする正極反応及び負極反応によって、充放電を行う。以下、負極、正極、電解質、セパレータ、電極端子及び外装部材等について、すなわち、単電池の構成要素のそれぞれについて、詳細に説明する。
(負極)
負極は、負極集電体と、負極集電体上に配置される負極合剤層と、を備える。負極合剤層は、負極集電体の片面又は両面に配置することができる。負極合剤層は、負極活物質を含む。
負極集電体は金属体であり、金属体は、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、チタン及びステンレスから成る群から選択される少なくとも1種の金属を含む。金属体は、前述の金属の中の1種の金属を含むことができる。また、金属体は、前述の金属の中の2種以上の金属を含むこともできる。ある実施例では、金属体は、例えば、前述の金属の中の1種からなる金属箔である。また、別のある実施例では、金属体は、例えば、前述の金属の2種以上を含んだ合金の箔である。金属体の形状としては、箔以外にも、例えば、メッシュ及び多孔体等が挙げられる。なお、エネルギー密度及び出力の向上の観点から、金属体は、体積が小さく、かつ、表面積が大きい箔の形状であることが、望ましい。また、負極集電体の表面には、炭素含有層が被覆されてもよい。この場合、炭素含有層上に、負極合剤層が配置される。
負極活物質は、チタン含有酸化物を含むことができる。チタン含有酸化物の例には、チタン酸化物、リチウムチタン含有複合酸化物、ニオブチタン含有複合酸化物及びナトリウムニオブチタン含有複合酸化物が、含まれる。チタン含有酸化物のLi吸蔵電位は、0.7V(vs.Li/Li+)以上3V(vs.Li/Li+)以下の範囲であることが、望ましい。ここで、チタン含有酸化物のLi吸蔵電位が1Vより低い場合、負極活物質と電解液との副反応が発生する可能性がある。一方、Li吸蔵電位が3Vより大きい場合、電池電圧が低くなる。負極活物質は、前述のチタン含有酸化物の中の1種又は2種以上を含むことができる。
チタン酸化物の例には、単斜晶構造のチタン酸化物、ルチル構造のチタン酸化物、及び、アナターゼ構造のチタン酸化物等が挙げられる。各結晶構造のチタン酸化物は、充電前の組成をTiO2、充電後の組成をLixTiO2(xは0≦x≦1)で表すことができる。また、単斜晶構造のチタン酸化物の充電前構造をTiO2(B)と表すことができる。
リチウムチタン含有複合酸化物の例には、スピネル構造のリチウムチタン酸化物(例えば一般式Li4+xTi5O12(xは−1≦x≦3))、ラムスデライト構造のリチウムチタン酸化物(例えば、Li2+xTi3O7(−1≦x≦3))、Li1+xTi2O4(0≦x≦1)、Li1.1+xTi1.8O4(0≦x≦1)、Li1.07+xTi1.86O4(0≦x≦1)、及び、LixTiO2(0<x≦1)等が挙げられる。また、リチウムチタン酸化物は、例えば、スピネル構造又はラムスデライト構造等の前述のリチウムチタン酸化物に異種元素が導入されているリチウムチタン複合酸化物を、含む。
ニオブチタン含有複合酸化物の例には、LiaTiMbNb2±βO7±σ(0≦a≦5、0≦b≦0.3、0≦β≦0.3、0≦σ≦0.3、MはFe,V,Mo及びTaから成る群から選択される少なくとも1種の元素)で表される単斜晶型ニオブチタン複合酸化物等が、挙げられる。
ナトリウムニオブチタン含有複合酸化物の例には、一般式Li2+vNa2−wM1xTi6−y−zNbyM2zO14+δ(0≦v≦4、0<w<2、0≦x<2、0<y≦6、0≦z<3、y+z<6、−0.5≦δ≦0.5、M1はCs,K,Sr,Ba,Caから成る群から選択される少なくとも1つを含み、M2はZr,Sn,V,Ta,Mo,W,Fe,Co,Mn,Alから成る群から選択される少なくとも1つを含む)で表される直方晶型Na含有ニオブチタン複合酸化物等が、挙げられる。
また、負極活物質は、グラファイト等の炭素質物、シリコン及び酸化シリコンを含むことができる。負極活物質に含まれるグラファイトは、リチウムを吸蔵放出する。グラファイト材料の例には、人造黒鉛、天然黒鉛等が含まれる。人造黒鉛は、例えば、石油や石炭由来のピッチ、合成ピッチ、メソフェーズピッチ、コークス、樹脂等の炭素前駆体を不活性雰囲気下で2000〜3000℃で熱処理することにより、得られる。
負極活物質は、例えば、粒子の形態で負極に含まれる。負極活物質粒子は、単独の一次粒子、一次粒子の凝集体である二次粒子、又は、単独の一次粒子と二次粒子との混合物であり得る。粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円形状、扁平形状、及び、繊維状等にすることができる。また、活物質の二次粒子の径は、500nm以上50μm以下であることが好ましい。二次粒子の径が500nm未満の場合、凝集等が活物質の塗工性に影響を及ぼす可能性がある。また、二次粒子の径が、50μmより大きい場合、活物質の内部におけるLi拡散距離が長くなり、十分な反応性を得難くなる可能性がある。
また、負極合剤層は、前述の負極活物質に加えて、導電剤及び結着剤をさらに含んでもよい。導電剤の例には、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー、及び、カーボンナノチューブ等の炭素質物が挙げられる。導電剤には、前述の炭素質物の中の1つを単独で用いてもよく、前述の炭素質物の中の複数を用いてもよい。
結着剤は、活物質、導電剤、及び、集電体を結着させる。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、アクリル樹脂、及び、セルロース等が挙げられ、結着剤に用いられるセルロースとしては、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
負極合剤層における負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質が80重量%以上95重量%以下、導電剤が3重量%以上18重量%以下、及び、結着剤が2重量%以上7重量%以下の範囲であることが好ましい。導電剤が3重量%未満の場合、負極合剤層の集電性能が低下し、電池の大電流性能が低下する可能性がある。また、結着剤が2重量%未満の場合、負極合剤層と負極集電体との結着性が低下し、サイクル性能が低下する可能性がある。一方、高容量化の観点から、導電剤は18重量%以下であることが好ましく、結着剤は7重量%以下であることが好ましい。
負極は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、負極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁し、スラリーを調製する。次に、調整したスラリーを、負極集電体の片面又は両面に塗布する。そして、負極集電体上の塗膜を乾燥することにより、負極合剤層を形成する。その後、負極集電体及び負極集電体上に形成された負極合剤層をプレスする。また、プレスの代わりに、負極活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成し、負極合剤層として用いてもよい。
(正極)
正極は、正極集電体と、正極集電体上に配置される正極合剤層と、を備える。正極合剤層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極合剤層は、正極活物質を含む。また、正極合剤層は、導電剤及び結着剤を含むことができる。正極集電体は、負極集電体を形成する金属と同様の金属を含む金属体である。そして、正極集電体は、負極集電体と同様の形状に形成でき、例えば、金属の箔の形状に形成される。
正極活物質としては、例えば、リチウムの吸蔵及び放出が可能な化合物を用いることができる。正極活物質は、例えば、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルトアルミニウム複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウム鉄酸化物、リチウムフッ素化硫酸鉄、及び、オリビン結晶構造のリン酸化合物(例えば、LixFePO4(0≦x≦1)、LixMnPO4(0≦x≦1))、ニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物(LixNi1−y−zCoyMnzO2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)等から成る群から選択される少なくとも1つを含む。オリビン結晶構造のリン酸化合物は、熱安定性に優れる。
高い正極電位の得られる正極活物質の例としては、以下のものが挙げられる。すなわち、例えばLixMn2O4(0<x≦1)及びLixMnO2(0<x≦1)等のリチウムマンガン複合酸化物、ニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物(LixNi1−y−zCoyMnzO2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)、例えばLixNi1−yAlyO2(0<x≦1、0<y≦1)等のリチウムニッケルアルミニウム複合酸化物、例えばLixCoO2(0<x≦1)等のリチウムコバルト複合酸化物、例えばLixNi1−y−zCoyMnzO2(0<x≦1、0<y≦1、0≦z≦1)等のリチウムニッケルコバルト複合酸化物、例えばLixMnyCo1−yO2(0<x≦1、0<y≦1)等のリチウムマンガンコバルト複合酸化物、例えばLixMn2−yNiyO4(0<x≦1、0<y<2)等のスピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、例えばLixFePO4(0<x≦1)、LixFe1−yMnyPO4(0<x≦1、0≦y≦1)及びLixCoPO4(0<x≦1)等のオリビン構造を有するリチウムリン酸化物、及び、例えばLixFeSO4F(0<x≦1)等のフッ素化硫酸鉄が、挙げられる。
正極活物質としては、前述の活物質の中の1種を単独で用いてもよく、前述の活物質の中の2種以上を用いてもよい。
正極合剤層には、負極合剤層に含まれる導電剤と同様の導電剤を含むことができる。この場合、導電剤の例には、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー、及び、カーボンナノチューブ等の炭素質物が挙げられる。正極合剤層の導電剤には、前述の炭素質物の中の1つを単独で用いてもよく、前述の炭素質物の中の複数を用いてもよい。
また、負極合剤層の結着剤と同様に、結着剤は、正極合剤層において活物質、導電剤、及び、集電体を結着させる。正極合剤層には、負極合剤層に含まれる結着剤と同様の結着剤を含むことができる。この場合、結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、アクリル樹脂、及び、セルロース等が挙げられ、結着剤に用いられるセルロースとしては、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
正極合剤層における正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、正極活物質が80重量%以上95重量%以下、導電剤が3重量%以上18重量%以下、及び、結着剤が2重量%以上7重量%以下の範囲であることが好ましい。導電剤の配合比を3重量%以上にすることにより、正極の導電性を確保することができる。また、導電剤の配合比を18重量%以下にすることにより、高温保存下における導電剤表面での電解液の分解を低減することができる。そして、結着剤の配合比を2重量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤の配合比を7重量%以下にすることにより、正極において絶縁材料となる結着剤の配合量が減少するため、内部抵抗を減少できる。
(電解質)
電解質として非水電解液を用いることができる。非水電解質である非水電解液は、電解質を有機溶媒に溶解することにより調製される。非水電解液では、電解質の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下の範囲内であることが、好ましい。
有機溶媒に溶解される電解質の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及び、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)等のリチウム塩、及び、これらの混合物が、挙げられる。また、電解質は、高電位でも酸化し難いことが好ましく、電解質としてLiPF6が用いられることが、最も好ましい。
電解質が溶解される有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、及び、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート;ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、及び、メチルエチルカーボネート(MEC)等の鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、及び、ジオキソラン(DOX)等の環状エーテル;ジメトキシエタン(DME)及びジエトキシエタン(DEE)等の鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、及び、スルホラン(SL)が、挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で、又は、混合溶媒として用いることができる。
また、非水電解液の代わりにゲル状非水電解質を用いることができる。ゲル状非水電解質は、前述の非水電解液と高分子材料とを複合化することにより、調製される。非水電解液と複合化される高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)及びポリエチレンオキサイド(PEO)、及び、これらの混合物が含まれる。
また、非水電解質としては、非水電解液及びゲル状非水電解質等の代わりに、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、又は、固体電解質が用いられてもよい。固体電解質としては、高分子固体電解質、及び、無機固体電解質等が挙げられる。
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の中で、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物である。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、及び、これらの混合物が挙げられる。一般に、非水電解質電池に非水電解質として用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、常温溶融塩の組成物である有機物カチオンは、一般的に、4級アンモニウム骨格を有する。
高分子固体電解質は、電解質を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。無機固体電解質は、Liイオン伝導性を有する固体物質である。
(セパレータ)
セパレータとしては、合成樹脂製の多孔質フィルム及び不織布等を用いることができる。この場合、多孔質フィルム及び不織布を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、セルロース、ガラス繊維、及び、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等が挙げられる。なお、前述の材料の中でも、セルロースは、Li拡散性等が優れている。このため、セパレータを形成する材料としては、セルロースが用いられることが、好ましい。
また、前述のように、非水電解質として固体電解質を用いられる場合、固体電解質をセパレータとして用い、固体電解質によって正極と負極との間を電気的に絶縁してもよい。セパレータとして用いられる固体電解質は、NASICON型骨格を有するLATP(Li1+xAlxTi2−x(PO4)3;0.1≦x≦0.4)、アモルファス状のLIPON(Li2.9PO3.3N0.46)、及び、ガーネット型のLLZ(Li7La3Zr2O12)等の酸化物が好ましい。
(電極端子)
電極端子は、例えば、外部端子及び内部端子を含むことができる。ある実施例では、外部端子は、例えば、電極(正極及び負極)の導電タブである。別のある実施例では、後述するように金属缶等の導電性を有する外装部材が単電池に設けられ、外装部材に外部端子を形成することもできる。内部端子は、例えば、電極リードを含む。また、内部端子の形状は、特に限定されるものではなく、内部端子は、例えば帯状、円盤状、ワッシャー状、螺旋状、又は、波板状等に形成される。
電極端子は、アルミニウム、亜鉛、チタン及び鉄からなる群より選択される少なくとも1種の金属、又は、これらの金属の合金により形成されていることが、好ましい。合金の例としては、アルミニウム合金及びステンレスが挙げられる。
(外装部材)
外装部材としては、ラミネートフィルム製の袋状容器及び金属製容器のいずれかを用いることができる。外装部材の形状としては、例えば、扁平型、角型、円筒型、コイン型、ボタン型、シート型、及び、積層型等が挙げられる。
ラミネートフィルムとしては、例えば、多層フィルムを用いることができ、多層フィルムは、複数の樹脂層と、樹脂層同士の間に配置される金属層とを含むことができる。この場合、金属層は、軽量化の観点から、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であることが好ましい。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、及び、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、例えば、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形される。また、ラミネートフィルムの厚さは、0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることがより好ましい。
金属製容器は、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン及び鉄から成る群から選択される少なくとも1種の金属、又は、これらの金属の合金により形成されることが、好ましい。具体的には、合金の例として、アルミニウム合金及びステンレスが挙げられる。また、金属製容器の肉厚は、0.5mm以下であることが好ましく、肉厚が0.2mm以下であることがより好ましい。
また、外装部材として金属製容器を用いる場合、金属製容器に電極端子(外部端子)を形成することもできる。
[電池パック]
次に、電池パックについて、説明する。電池パックでは、電池ユニットを備える。電池ユニットは、1つの単電池のみから形成される、又は、複数の単電池が直列及び並列の少なくとも一方で電気的に接続される組電池から形成される。電池ユニットを形成する単電池は、前述のようにして形成される。
また、電池ユニットは、筐体に収容されてもよい。筐体としては、アルミニウム合金、鉄及びステンレス等のいずれかから形成される金属缶、及び、プラスチック容器等が使用される。また、容器の肉厚は、0.5mm以下にすることが望ましい。
また、電池ユニットが複数の単電池から形成される組電池である場合、単電池のそれぞれは、他の単電池と電気的に接続される。ある実施例では、複数の単電池のそれぞれが、容器を備える。そして、単電池のそれぞれの容器等に、正極端子及び負極端子が電極端子として設けられる。電極端子のそれぞれは、例えば金属製のハスバーを介して、他の単電池の対応する電極端子に接続される。これにより、複数の単電池が、電気的に接続される。ここで、ハスバーを形成する金属としては、アルミニウム、ニッケル及び銅等が、挙げられる。
なお、2つの単電池の間において正極端子同士及び負極端子同士が接続されることにより、その2つの単電池は、電気的に並列に接続される。また、2つの単電池の間において一方の正極端子が他方の負極端子に接続されることにより、その2つの単電池は、電気的に直列に接続される。
また、別のある実施例では、複数の単電池の電極群が、互いに対して共通の筐体の内部に収容される。この場合、組電池の製造では、複数の電極群を、例えば隔壁によって互いに対して電気的に絶縁される状態で、1つの筐体の内部に配置する。そして、隔壁された電極群のそれぞれを、対応する他の電極群と電気的に接続する。これにより、複数の単電池が、電気的に接続される。
なお、電池ユニットを収容する筐体は、必ずしも電池ユニットの全周を覆う必要はない。また、筐体と電池ユニットとの間、及び、筐体と単電池のそれぞれとの間のいずれかには、空冷又は水冷に用いられる隙間が形成されてもよい。また、筐体は、単電池の膨張を抑制する強度を有することが好ましい。
電池パックは、通電用の外部端子をさらに備えることができる。外部端子は、電池パックの外部の機器に接続される。外部端子は、電池ユニットからの電流の外部への出力、及び/又は、電池ユニットへの電流の入力に用いられる。電池パックの電池ユニットを電源として使用する際には、電流が通電用の外部端子を通して、電池パックの外部に供給される。また、電池ユニットを充電する際には、充電電流は、通電用の外部端子を通して電池ユニットに供給される。
電池パックは、電流検出回路、電圧検出回路及び温度検出器等を備えることができる。電流検出回路は、電池ユニット(電池パック)への入力電流、及び、電池ユニットからの出力電流を検出してもよく、電池ユニットにおいて単電池のいずれかを流れる電流を検出してもよい。また、電圧検出回路は、電池ユニット(電池パック)の電圧を検出してもよく、電池ユニットにおいて単電池のいずれかに印加される電圧を検出してもよい。また、温度検出器は、単電池のそれぞれの温度を検出する。
電池パックは、保護回路をさらに備えることができる。保護回路では、電池ユニットと外部端子との間の電気的な接続を遮断可能な接続遮断部として機能する。保護回路には、接続遮断部として、リレー又はヒューズ等が設けられる。
また、保護回路は、電池ユニットの充放電を制御する充放電制御部として機能する。保護回路は、前述の電流検出回路、電圧検出回路及び温度検出器等のいずれかでの検出結果に基づいて、電池ユニットの充放電を制御する。これにより、電池ユニットにおいて、単電池のそれぞれの充放電が制御される。例えば、電流検出回路において電池ユニットの過電流が検出されたことに基づいて、保護回路は、電池ユニットと外部端子との間の電気的接続を遮断する。これにより、電池ユニットへの電流の入力、及び、電池ユニットからの電流の出力が停止される。
なお、前述した保護回路による電池ユニットの充放電の制御は、LSI、抵抗及びコンデンサ等から形成される集積回路を接続遮断部であるリレー等に接続することにより、実現可能である。
また、保護回路は、記憶媒体を備えることができる。保護回路は、記憶媒体への情報を書込むとともに、記憶媒体に記憶される情報を読取る。例えば、電池パックの単電池の最大充電電圧及び最大充電電流の値等が、記憶媒体に記憶される。また、記憶媒体に記憶される情報は、外部機器からの指令によって、外部機器に出力されてもよい。また、ある実施例では、電池パック(電池ユニット)を電源として使用する装置に形成される回路を、保護回路として使用してもよい。
また、電池パックは、保護回路等が搭載される基板を備えてもよい。基板は、金属製又は樹脂製である。また、基板には、電池ユニットの冷却に用いられる空冷経路又は水冷経路が形成されてもよい。
図3及び図4は、電池パックの一例を示す。図3は、電池パック30の分解斜視図である。図4は、図3の電池パック30の回路構成を示す図である。
図3及び図4の一例では、電池パック30は、電池ユニット31から形成され、電池ユニット31は、複数の単電池32から形成される組電池である。電池ユニット31では、積層された単電池32は、粘着テープ34等で締結される。また、電池ユニット31では、単電池のそれぞれは、前述の電極端子(正極端子及び負極端子)を介して、対応する他の単電池に電気的に接続される。図3及び図4の一例では、電池ユニット31において、複数の単電池32が直列に接続される。
電池パック30では、プリント配線基板36が、電池ユニット31と対向して配置される。プリント配線基板36には、温度検出器であるサーミスタ37、保護回路38及び通電用の外部端子39が、搭載される。なお、プリント配線基板36において電池ユニット31と対向する面には、絶縁板(図示しない)が取り付けられることが、好ましい。これにより、プリント配線基板36上の電気経路と電池ユニット31の配線との不要な接続が、防止される。
電池パック30では、正極リード40及び負極リード42が電池ユニット(組電池)31に接続される。ある実施例では、正極リードの40の一端は、電池ユニット31においてある1つの単電池の正極端子に接続される。そして、正極リード40の他端は、プリント配線基板36の正極コネクタ41に電気的に接続される。また、負極リードの42の一端は、電池ユニット31において別のある1つの単電池の負極端子に接続される。そして、負極リード42の他端は、プリント配線基板36の負極コネクタ43に電気的に接続される。正極コネクタ41は、プリント配線基板36に形成される配線44を介して、保護回路38に接続され、負極コネクタ43は、プリント配線基板36に形成される配線45を介して、保護回路38に接続される。
電池パック30の電池ユニット31では、プリント配線基板36に対向する側面を除く三側面に、保護シート48が配置される。保護シート48は、ゴム又は樹脂から形成される。電池ユニット31は、保護シート48及びプリント配線基板36と一緒に、収納容器49の内部に収納される。そして、電池ユニット31は、保護シート48及びプリント配線基板36で囲まれた空間に、位置する。蓋50は、収納容器49の上面に、取り付けられる。
サーミスタ37は、電池ユニット31の複数の単電池32のそれぞれについて、温度を検出する。そして、サーミスタ37は、温度についての検出信号を、保護回路38に出力する。
また、電池ユニット31には、電流検出回路51及び電圧検出回路52が設けられる。図3及び図4の一例では、電流検出回路51は、電池ユニット31への入力電流、及び、電池ユニット31からの出力電流を検出する。また、図3及び図4の一例では、電圧検出回路52は、単電池32と同一の数だけ設けられ、電圧検出回路52のそれぞれは、単電池32の対応する1つの電圧を検出する。電流検出回路51は、配線53を介して、保護回路38に接続され、電圧検出回路52のそれぞれは、配線54を介して、保護回路38に接続される。電流検出回路51は、電流についての検出信号を、配線53を介して保護回路38に出力する。また、電圧検出回路52のそれぞれは、電圧についての検出信号を、配線54を介して保護回路38に出力する。
保護回路38は、サーミスタ37、電流検出回路51、及び、電圧検出回路52のそれぞれでの検出結果に基づいて、電池ユニット31が所定の条件になったか否かを判断してもよい。例えば、サーミスタ37の検出温度が所定温度以上になった場合、保護回路38は、所定の条件になったと判断する。また、電池ユニット31において過充電、過放電及び過電流等のいずれかが検出された場合に、保護回路38は、電池ユニット31が所定の条件になったと判断する。過電流の判断は、例えば、電流検出回路51での検出結果に基づいて行われる。
電池パック30には、通電用の外部端子39が設けられる。保護回路38は、プラス配線46a及びマイナス配線46bを介して外部端子39に接続可能である。電池ユニット31が前述の所定の条件になったと判断した場合、保護回路38は、保護回路38と通電用の外部端子39との間の導通を、遮断できる。保護回路38と通電用の外部端子39との間の導通が遮断されることにより、電池ユニット31からの電流の外部への出力、及び、電池ユニット31への電流の入力が停止される。これにより、電池ユニット31において過電流等が継続して発生することが、有効に防止される。
[電池パックを搭載した車両]
図5は、本実施形態の電池パック30の使用例として、車両60への適用例を示す図である。図5に示す一例では、車両60は、車両本体61と、電池パック30と、を備える。図5に示す一例では、車両60は、四輪の自動車である。
図5の一例では、電池パック30が車両本体61の前方に位置するエンジンルーム内に搭載される。なお、電池パック30は、例えば、車両本体61の後方、又は、座席の下に搭載してもよい。前述のように、電池パック30は、車両60の電源として用いることができる。また、電池パック30は、車両60から取外し可能であってもよい。
なお、前述した電池パックは、電気自動車(EV)、及び、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)に搭載可能である。ハイブリッド自動車(HV)等とは異なり、電気自動車及びプラグインハイブリッド電気自動車は、外部から電力を充電可能である。
[充電装置]
以下、本実施形態の充電装置について説明する。本実施形態の充電装置は、前述の電池パックを複数同時に充電可能である。ある実施例では、充電装置は、互いに対して異なる車両に搭載される複数の電池パックを、同時に充電可能である。この場合、充電装置は、車両を充電する電気ステーション等に設けられる。
図6は、充電装置が充電を行っている状態の一例を示す。図6では、充電装置70が複数(M個)の電池パック30−1〜30−Mに同時に接続され、充電装置70によって、電池パック30−1〜30−Mが同時に充電されている。図6に示すように、充電装置70は、コントローラ71と、充電電源72と、を備える。コントローラ71は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むプロセッサ又は集積回路(制御回路)、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。コントローラ71は、記憶媒体に記憶されるプログラム等を実行することにより、後述する処理を行う。充電電源72は、電池パック30−1〜30−Mを充電する電力の供給源である。また、充電電源72は、充電装置70の外部から電力の供給を受ける経路73を有する。
コントローラ71は、電池パック30−1〜30−Mのそれぞれとの間で、有線又は無線で情報交換可能である。このため、コントローラ71は、電池パック30−1〜30−Mのそれぞれに関する情報を取得可能である。コントローラ71は、例えば、電池パック30−1〜30−Mのそれぞれの単電池の最大充電電圧に関する情報を取得する。コントローラ71は、電池パック30−1〜30−Mのそれぞれに関する情報等に基づいて、充電電源72から電池パック30−1〜30−Mのそれぞれへの電力の出力を制御する。すなわち、電池パック30−1〜30−Mのそれぞれへの電力等の充電リソースの供給が、コントローラ71によって、制御される。
なお、ある実施例では、充電電源72から電池パック30−1〜30−Mのそれぞれへの電力の供給経路に、スイッチング素子を設けることができる。この場合、コントローラ71は、スイッチング素子のそれぞれのON及びOFFを制御する。電池パック30−1〜30−Mのそれぞれは、スイッチング素子の対応する1つがOFFになることにより、充電電源72との電気的な接続が遮断され、電力等の充電リソースが供給されなくなる。
本実施形態では、充電装置のコントローラは、複数の電池パックの充電を同時に行っている状態において、電池パックのそれぞれに優先順位を設定する。優先順位は、電池パックのそれぞれに設けられる単電池の最大充電電圧に関する情報を含む電池パックに関する情報等に基づいて、設定される。また、コントローラは、設定した優先順位に基づいて、充電電源が供給可能な最大充電リソース(充電リソース)の中から、電池パックのそれぞれへの充電リソースの分配量を算出する。そして、コントローラは、電池パックのそれぞれへ、算出した分配量で充電リソースを供給させる。この際、コントローラは、優先順位が高い順に優先して、電池パックに充電リソースを分配する。
ここで、最大充電リソースは、充電電源から電池パックへ供給可能な充電リソースの最大値であり、例えば、充電電源の最大電力容量又は最大出力電流である。ある実施例は、充電電源の最大電力容量の中から、電池パックのそれぞれに、充電リソースとして電力が分配される。別のある実施例では、充電電源の最大出力電流の中から、電池パックのそれぞれに、充電リソースとして電流が分配される。
また、最大充電電圧は、電池パックの充電時、すなわち、電池パックに電力が供給されている状態において、電池パックの単電池に印加可能な最大電圧であり、最大充電電圧は、例えば、電池パックの製造者又は単電池の製造者から指定される。したがって、最大充電電圧は、閉回路電圧(CCV:Close Circuit Voltage)である。最大充電電圧は、満充電時における、単電池の正極電位と負極電位との差分である。最大充電電圧が低い単電池は、充電時において、正極電位が低い、及び、負極電位が高いの、少なくとも一方である。
ある実施例では、コントローラは、電池パックのそれぞれに設けられる単電池の最大充電電圧に関する情報に基づいて、電池パックをグループ分けする。この際、コントローラは、最大充電電圧について、第1の基準電圧、及び、第2の基準電圧より大きい第1の基準電圧を設定する。第1の基準電圧は、例えば、2.7V以上2.9V以下の範囲のいずれかの値であり、ある一例では、第1の基準電圧は、2.8Vに設定される。第2の基準電圧は、例えば、3.4V以上3.8V以下の範囲のいずれかの値であり、ある一例では、第2の基準電圧は、3.5Vに設定される。コントローラは、グループ分けにおいて、電池パックを以下の3つのグループに分割する。第1のグループでは、単電池(電極群)の最大充電電圧が、第1の基準電圧以下になる。第2のグループでは、単電池の最大充電電圧が、第1の基準電圧より大きく、かつ、第2の基準電圧以下になる。そして、第3のグループでは、単電池の最大充電電圧が、第2の基準電圧より大きい。
本実施例では、コントローラは、第2のグループ、第1のグループ及び第3のグループの順に、優先順位を高く設定する。このため、第2のグループ、第1のグループ及び第3のグループの順に優先して、最大充電リソース(供給可能な充電リソース)の中から、電池パックに充電リソースが分配される。
また、前述のように、単電池の最大充電電圧は、単電池の負極電位に対応して変化する。そして、単電池の負極電位は、負極活物質等の負極に含有される活物質に対応して変化する。このため、電池パックのそれぞれに設けられる単電池の最大充電電圧に関する情報には、電池パックのそれぞれに設けられる単電池の負極に含有される活物質の情報も、実質的に含まれる。
ある実施例では、コントローラは、電池パックのそれぞれに設けられる単電池の負極に含有される活物質の情報に基づいて、電池パックをグループ分けする。コントローラは、グループ分けにおいて、電池パックを以下の3つのグループに分割する。第1のグループでは、単電池(電極群)の負極が、スピネル型チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)を含有する。第2のグループでは、単電池の負極が、ニオブチタン含有複合酸化物を含有する。第3のグループでは、単電池の負極が、リチウムを吸蔵放出するグラファイト含有する。本実施例では、コントローラは、第2のグループ、第1のグループ及び第3のグループの順に、優先順位を高く設定する。このため、第2のグループ、第1のグループ及び第3のグループの順に優先して、最大充電リソースの中から、電池パックに充電リソースが分配される。
ここで、第1の基準電圧を2.8Vとし、かつ、第2の基準電圧を3.5Vとして、複数の電池パックを、単電池の最大充電電圧に基づいて前述の3つのグループに分割したとする。図7は、最大充電電圧に基づいて分割された3つのグループのそれぞれでの、充電深度(SOC:State Of Charge)に対する単電池の負極電位の関係の一例を示す。図7では、横軸に充電深度を、縦軸に単電池の負極電位を示す。また、図7では、第1のグループについては実線(B1)で、第2のグループについては破線(B2)で、第3のグループについては一点鎖線(B3)で示す。
図7に示すように、単電池の最大充電電圧が2.8V以下になる第1のグループでは、単電池(電極群)は、少なくとも負極電位が比較的に高い構成に形成される。第1のグループの典型的な単電池(二次電池)としては、負極活物質に、スピネル型チタン酸リチウムが用いられる単電池がある。第1のグループでは、単電池(電極群)の負極電位が比較的高いため、充電時に負極にかかる負荷が低い。特に、第1のグループでは、過電圧によって負極上にリチウム金属が析出する可能性が、著しく低い。このため、電池パックに大きい電流を流すことによって単電池での過電圧を大きくしても、単電池の電極群の劣化が抑制され、電池パックが適切に充電される。すなわち、第1のグループでは、電池パックへの充電リソースの分配量を大きくしても、電池の電極群の劣化が抑制され、電池パックが適切に充電される。このため、第1のグループには、第3のグループに比べて、充電リソースを優先的に分配することが、妥当である。
なお、過電圧とは、充電を行っていない状態での単電池等の開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)と充電時の単電池等の閉回路電圧との差分である。過電圧は、単電池等に流れる電流が大きいほど、大きい。
また、単電池の最大充電電圧が2.8Vより大きく、かつ、3.5V以下となる第2のグループでも、第1のグループと同様に、単電池の負極電位が比較的に高い。また、第2のグループでは、SOCが0%〜100%の範囲において、第1のグループに比べて、充放電によるSOCの変化に伴って負極電位が変化し続ける構成である。第2のグループの典型的な単電池(二次電池)としては、例えば、ニオブチタン含有複合酸化物が負極活物質に用いられる単電池が該当する。第2のグループでは、充電によってSOCが変化すると、第1のグループに比べて、負極電位が大きく変化する。このため、第2のグループでは、充電開始時及びその直後の時点での単電池の充電電圧と単電池の最大充電電圧との差分が、大きい。したがって、第2のグループの電池パックは、第1のグループに比べて、充電の受入れ性が高い。
また、第2のグループでは、負極がスピネル型チタン酸リチウムを含有する第1のグループと比較して、SOCが100%を超えて過充電された場合の負極電位の変化が、小さい。このため、第2のグループでは、満充電に到達した後にさらに充電が継続されても、第1のグループと比較して、負極電位の急降下が起こり難い。したがって、第2のグループは、第1のグループに比べてさらに、電池パックに大きい電流を流す充電に適している。前述の特徴より、第2のグループには、第1のグループに比べて、充電リソースをさらに優先的に分配すること妥当であり、3つのグループの中で充電リソースを最も優先的に分配することが妥当である。
また、単電池の最大充電電圧が3.5Vより大きい第3のグループでは、単電池の負極活物質に炭素系活物質が用いられる。
第3のグループでは、いずれの正極活物質が用いられても、第1のグループ及び第2のグループに比べて、過電圧による電極群の劣化が顕著になる。すなわち、最大充電電圧が3.5Vより大きい第3のグループでは、過電圧による劣化が、第1のグループ及び第2のグループに比べて、大きい。このため、第3のグループの充電では、電池パックに流す電流を可能な限り小さくし、過電圧を可能な限り小さくすることが必要となる。すなわち、第3のグループでは、電池パックへの充電リソースの分配量を小さくすることが必要となる。このため、第3のグループでは、充電リソースの分配における優先順位を3つのグループの中で最も低くすることが、妥当である。
前述のように、本実施形態では、電池パックが、単電池の最大充電電圧に基づく前述の3つのグループに分割される場合、第2のグループ、第1のグループ及び第3のグループの順に、優先順位を高く設定する。そして、優先順位が高いグループから順に優先して、充電リソースが分配される。このため、充電装置によって3つのグループの電池パックを同時に充電する際に、全てのグループの電池パックに、適切な分配量の充電リソースが供給される。したがって、全てのグループの電池パックにおいて、単電池(電極群)の劣化が最小限に抑えられ、全てのグループの電池パックが適切に充電される。充電による単電池の劣化が抑えられることにより、電池パックの長寿命化が実現される。
なお、充電装置のコントローラは、前述した電池パックのそれぞれの優先順位の設定、及び、電池パックのそれぞれへの充電リソースの分配量の算出を、一定の周期、又は、任意のタイミングで行う。
ある実施例では、コントローラ、電池パックのそれぞれの記憶媒体等から、その電池パックの単電池の最大充電電圧に関する情報を読取り、最大充電電圧に関する情報を取得する。この際、コントローラは、電池パック、又は、電池パックが搭載される機器に対して、最大電圧に関する情報を提供するリクエストを行う。また、コントローラは、電池パック、及び、車両等の電池パックが搭載される機器のいずれかのID情報を、ネットワークで認証してもよい。この場合、ID情報を認証した後に、最大充電電圧に関する情報を取得する。
また、別のある実施例では、コントローラは、電池パックのそれぞれの記憶媒体等から、電池パックの種類に関する情報を読取る。そして、コントローラは、電池パックの種類と単電池の最大充電電圧との関係を示すデータを用いて対応付け等を行うことにより、電池パックのそれぞれについて、単電池の最大充電電圧に関する情報を取得する。この場合、電池パックの種類と単電池の最大充電電圧との関係を示すデータは、充電装置の記憶媒体等に記憶される。さらに別のある実施例では、コントローラは、ユーザー等による外部入力を受取る。そして、コントローラは、受取った外部入力に基づいて、電池パックのそれぞれについて、単電池の最大充電電圧に関する情報を取得する。
また、電池パックのそれぞれの充電は、定電流定電圧(CC−CV:Constant Current‐ Constant Voltage)充電が行われることが、望ましい。ただし、充電時間を短縮することが必要な場合等は、定電流(CC:Constant Current)充電が行われてもよい。定電流定電圧充電では、単電池の充電電圧が最大充電電圧に到達するまでは、充電電流を一定に維持する定電流モードで、充電を行う。そして、単電池の充電電圧が最大充電電圧に到達した以後は、充電電圧を最大充電電圧で一定に維持する定電圧モードで、充電を行う。一方、定電流充電では、充電電流を一定に維持する定電流モードでの充電を、充電終了時まで継続する。なお、複数の電池パックを同時に充電している状態では、定電流定電圧充電が行われている電池パック、及び、定電流充電が行われている電池パックが、混在してもよい。
また、コントローラは、単電池の最大充電電圧に関する情報に加えて、最大充電電圧に関する情報とは別の情報に基づいて、電池パックのそれぞれの優先順位を設定することができる。ある実施例では、コントローラは、最大充電電圧に関する情報に加えて、電池パック(単電池)のリアルタイムの充電深度に関する情報に基づいて、電池パックのそれぞれの優先順位を設定する。この場合、コントローラは、電池パックのそれぞれの電圧検出回路等から、その電池パックに設けられる単電池のリアルタイムの充電電圧、すなわち、単電池のリアルタイムの閉回路電圧を取得する。そして、取得した単電池のリアルタイムの充電電圧、及び、その単電池の最大充電電圧(SOC100%での充電電圧)を用いて、その単電池のリアルタイムの充電深度を推定及び算出する。
ある一例では、単電池の最大充電電圧に基づいて分割されるグループが同一になる場合は、充電深度(SOC)が50%以下の電池パックにおいて、充電深度が50%より大きい電池パックに比べて、優先順位を高く設定する。したがって、単電池の最大充電電圧に基づいて分割されるグループが同一になる場合は、充電深度が50%以下の電池パックは、充電深度が50%より大きい電池パックに比べて、優先して充電リソースが分配される。充電深度が50%以下の電池パックに優先して充電リソースが分配されるため、複数の電池パックを同時に充電する場合において、さらに効率的に充電が行われる。また、充電深度が低い電池パックほど、優先して充電リソースが分配されるため、電池パックの劣化がより抑制される。
なお、前述した方法とは別の方法で、単電池のリアルタイムの充電深度が算出されてもよい。ある実施例では、コントローラは、電池パックのそれぞれの電圧検出回路等から、その電池パックに設けられる単電池について、充電開始時又はその直前の開回路電圧を取得する。そして、取得した開回路電圧、及び、充電装置の記憶媒体等に記憶される単電池の充電深度と開回路電圧との相関データ(SOC−OCV相関データ)を用いて、コントローラは、充電開始時又はその直前での、単電池の充電深度を算出する。また、コントローラは、充電開始時からの単電池への充電量の積算値を算出する。そして、充電開始時又はその直前での充電深度に、算出した充電量の積算値を加算することにより、コントローラは、単電池のリアルタイムの充電深度を算出する。
また、コントローラは、最大充電電圧に関する情報に加えて、最大充電電圧に関する情報とは別の情報として、ユーザー等が別途指定する情報に基づいて、電池パックのそれぞれの優先順位を設定することができる。別途指定される情報は、充電装置にユーザーによって直接的に入力される情報を含む。また、別途指定される情報は、電池パック、又は、電気自動車等の電池パックが搭載される機器に内蔵された情報を含む。この場合、電池パック、又は、電池パックが搭載される機器に設けられる記憶媒体等に、情報が記憶される。また、別途指定される情報は、インターネット等のネットワーク経由で指定される情報を含む。この場合、コントローラは、電池パック、車両等の電池パックが搭載される機器、及び、車両の運転手等のユーザー(充電者)のいずれかのID情報を、ネットワークで認証する。そして、ID情報を認証した後に、ネットワークから、別途指定される情報を取得する。別途指定される情報の一例としては、電池パックが搭載された機器の故障状態等、機器の個別の状態に関する情報等が、挙げられる。
(充電における処理の一例)
以下、電池パックの充電において充電装置のコントローラが行う処理について説明する。コントローラは、1つ以上の電池パックの充電を行っている間は、以下の処理を、例えば、一定の時間毎に繰返して行う。コントローラが以下の処理を繰返す一定の時間は、処理速度にもよるが、可能な限り短いほうが好ましい。したがって、コントローラが以下の処理を繰返す一定の時間は、例えば、1秒以下であることが、好ましい。前述の一定の時間を1秒以下にすることにより、電池パックのそれぞれにおいて、SOCが100%を超えて充電される過充電が、有効に防止される。
<第1の例>
図8は、電池パックの充電においてコントローラが行う処理の第1の例を示す。図8の一例では、コントローラは、充電装置への電池パックのリアルタイムの接続状態を検出する。この際、コントローラは、充電装置に接続されている電池パックの接続数Mをカウントするとともに、充電装置に接続される電池パックの種類又は型番等を検出する。そして、コントローラは、電池パックの接続状態が前回の検出から変化したか否かを判断する(S91)。この際、コントローラは、充電装置に接続される電池パックの接続数Mが前回の検出から変化した場合は、電池パックの接続状態が変化したと判断する。また、接続数Mが前回の検出と同一であっても、充電装置に接続される電池パックの1つ以上の種類又は型番等が変化した場合は、コントローラは、電池パックの接続状態が変化したと判断する。
電池パックの接続状態が前回の検出から変化した場合は(S91−Yes)、コントローラは、接続数Mが0であるか否かを判断する(S92)。接続数Mが0である場合は(S92−Yes)、コントローラは、充電電源からの電力等の充電リソースの出力を停止し、処理を終了する。この場合、充電装置に1つ以上の電池パックが接続されるまで、すなわち、接続数Mが1以上になるまで、コントローラは、充電リソースの出力を停止させる。そして、充電装置に1つ以上の電池パックが接続されると、すなわち、接続数Mが1以上になると、コントローラは、S91から処理が開始し、電池パックの充電を開始させる。
S92で接続数Mが1以上の場合は(S92−No)、コントローラは、接続される電池パックのそれぞれについて、単電池の最大充電電圧に関する情報を取得する(S93)。この際、前述した方法のいずれかによって、コントローラは、最大充電電圧に関する情報を取得する。なお、S93では、最大充電電圧に関する情報を既に取得済みの電池パックについては、最大充電電圧に関する情報を再度取得する必要はない。また、電池パックのそれぞれには、最大許容電流、及び、最大許容電力が存在する。S93では、コントローラは、最大充電電圧に関する情報に加えて、電池パックのそれぞれについて、最大許容電流に関する情報、及び、最大許容電力に関する情報を取得してもよい。また、車両に搭載された電池パックの場合は、車両内での接続又は車両と充電装置との接続に起因する最大許容電流及び最大許容電力に関する情報が、加味されてもよい。
そして、コントローラは、単電池の最大充電電圧に関する情報に少なくとも基づいて、電池パックのそれぞれへの電力(充電リソース)の分配量の算出する(S94)。電池パックのそれぞれへの電力の分配量の算出処理の詳細は、後述する。そして、コントローラは、算出した分配量で、電池パックのそれぞれへ電力を供給し、電池パックの充電を実行する(S95)。この際、充電電源が供給可能な最大充電リソース(充電リソース)、本一例では、充電電源(充電装置)の最大電力容量の中から、電池パックのそれぞれへ電力が分配される。
また、S91において電池パックの接続状態が前回の検出から変化していない場合は(S91−No)、処理は、S95に進む。そして、コントローラは、前回の算出処理(S94)で算出された分配量での電池パックの充電を、継続する(S95)。そして、コントローラは、充電が完了した電池パックが存在するか否かを、判断する(S96)。すなわち、満充電(例えばSOCが100%)になった電池パックが存在するか否かが、判断される。
充電が完了した電池パックが存在する場合は(S96−Yes)、コントローラは、充電が完了した電池パックを告知する(S97)。この際、告知は、画面表示によって行われてもよく、発信音によって行われてもよい。また、告知に用いられる画面又は発信装置等は、充電装置に設けられてもよく、充電が完了した電池パックが搭載される機器に設けられてもよく、充電装置及び電池パックが搭載される機器とは別体で設けられてもよい。
そして、コントローラは、充電が完了した電池パックへの充電装置からの充電回路を遮断する(S98)。これにより、充電が完了した電池パックへの電力(充電リソース)の供給が停止される。ある実施例では、コントローラは、充電が完了した電池パックへの充電経路に設けられるスイッチング素子を、OFFに切替える。これにより、コントローラは、充電装置と充電が完了して電池パックとの電気的な接続を遮断する。また、別のある実施例では、ユーザー等によって、充電が完了した電池パックが充電経路から分離され、充電が完了した電池パックへの電力(充電リソース)の供給が停止される。
そして、コントローラは、充電の完了によって充電装置との電気的な接続が遮断された電池パックの数pを取得する。ここで、pは自然数である。そして、コントローラは、接続数Mから遮断された電池パックの数pを減算する(S99)。そして、コントローラは、充電装置に新たに接続された電池パックが存在するか否かを判断する(S100)。
S96において、充電が完了した電池パックが存在しない場合は(S96−No)、S97〜S99の処理を行うことなく、処理は、S100に進む。そして、コントローラは、充電装置に新たに接続された電池パックが存在するか否かを判断する(S100)。新たに接続された電池パックが存在しない場合は(S100−No)、処理はS91に戻る。そして、コントローラは、S91以降の処理を、順次に行う。
新たに接続された電池パックが存在する場合は(S100−Yes)、コントローラは、新たに接続された電池パックの数rを取得する。ここで、rは、自然数である。そして、コントローラは、接続数Mに新たに接続された電池パックの数rを加算する(S101)。S101の処理を実行すると、処理はS91に戻る。そして、コントローラは、S91以降の処理を、順次に行う。
<第2の例>
図9は、電池パックの充電においてコントローラが行う処理の第2の例を示す。図9に示すように、第2の例では、コントローラは、第1の例と同様に、S91〜S101の処理を行う。ただし、第2の例では、コントローラは、電池パックのそれぞれについて、リアルタイムの充電モードを判定する(S102)。例えば、電池パックのそれぞれは、前述のように、定電流定電圧充電で充電される。この場合、コントローラは、電池パックのそれぞれのリアルタイムの充電モードが、定電流モード及び定電圧モードのいずれであるかを、判定する。
本一例では、S93において単電池の最大充電電圧に関する情報を取得すると、コントローラは、電池パックのそれぞれについて、リアルタイムの充電モードを判定する(S102)。また、S91において電池パックの接続状態が変化していないと判定した場合も(S91−No)、コントローラは、電池パックのそれぞれについて、リアルタイムの充電モードを判定する(S102)。そして、コントローラは、電池パックのそれぞれについての最大充電電圧に関する情報に加えて、電池パックのそれぞれのリアルタイムの充電モードに基づいて、電池パックのそれぞれへの電力(充電リソース)の分配量を算出する(S94)。
ここで、同一の電池パックが充電される場合でも、定電流モード及び定電圧モードでは、互いに対して必要な電力が異なる。このため、定電流モード及び定電圧モードのいずれで充電が行われているかに基づいて分配量が算出されることにより、電池パックのそれぞれについて、電力(充電リソース)の分配量がさらに適切に算出される。
(電池パックのそれぞれへの電力の分配量の算出処理(S94)の一例)
以下、S94の処理、すなわち、電池パックのそれぞれへの電力(充電リソース)の分配量の算出処理について説明する。電力の分配量の算出処理では、充電装置に接続される電池パックのそれぞれに、優先順位を設定する。例えば、M個の電池パックが充電装置に接続されている状態では、コントローラは、電池パックについて、優先順位番号1〜Mを設定する。優先順位番号1の電池パックは、最も優先順位が高く、優先順位番号Mの電池パックは、最も優先順位が低い。そして、優先順位番号が大きいほど、優先順位が低い電池パックである。
そして、設定した優先順位に基づいて、コントローラは、電池パックのそれぞれへの電力の分配量を算出する。この際、優先順位が高い順に優先して電力が分配される状態に、分配量が算出される。このため、S95の充電においては、優先順位が高い順に優先して、電池パックに電力(充電リソース)が分配される。
優先順位の設定においては、コントローラは、電池パックのそれぞれについて、優先ポイントUを算出する。優先ポイントUの算出では、単電池の最大充電電圧に関する情報が少なくとも用いられる。また、優先ポイントUは、前述の最大充電電圧に関する情報に加えて、電池パックの単電池のリアルタイムの充電深度に関する情報、電池パックのリアルタイムの充電モードに関する情報、及び、別途指定される情報等のいずれかを用いて、算出されてもよい。コントローラは、算出された優先ポイントUが大きい電池パックほど、優先順位を高く設定する。
ある実施例では、電池パックのそれぞれについて、優先ポイントUは、前述した各情報に基づく優先要素(Ua,Ub,Uc等)を用いて、算出される。例えば、コントローラは、電池パックのそれぞれについて、単電池の最大充電電圧に基づく優先要素Ua、別途指定される情報に基づく優先要素Ub、及び、単電池のリアルタイムの充電深度に基づく優先要素Ucを、算出する。そして、コントローラは、優先要素Ua〜Ucの合計値を、優先ポイントUとして算出する。
また、別のある実施例では、優先要素Ua〜Ucごとに重み付けによる重みを変化させる。例えば、単電池の最大充電電圧に基づく優先要素Uaは、他の優先要素Ub,Ucに比べて、重みを大きくする。この場合、コントローラは、優先要素Ua〜Ucのそれぞれについて、重みに基づく係数(Ya〜Ycの対応する1つ)を設定する。そして、優先要素Ua〜Ucのそれぞれに対応する係数(Ya〜Ycの対応する1つ)を乗算し、乗算した値の合計値が、優先ポイントUとして算出される。ここで、係数Ya〜Ycは、正の数である。
なお、優先ポイントUの算出では、優先要素Ub,Ucの少なくとも一方の代わりに、又は、優先要素Ua〜Ucに加えて、リアルタイムの充電モードに基づく優先要素Udが、算出されてもよい。また、優先要素Uaが、そのまま優先ポイントUとして用いられてもよい。この場合、優先ポイントUは、単電池の最大充電電圧に関する情報のみから、算出される。
ある実施例では、単電池の最大充電電圧に基づく優先要素Uaの算出において、コントローラは、電池パックのそれぞれについて、最大充電電圧に関する情報のみに基づく優先度を設定する。ある一例では、コントローラは、最も優先度が高い電池パックの優先要素Uaをαとし、2番目に優先度が高い電池パックの優先要素Uaをα−10とし、3番目に優先度が高い電池パックの優先要素Uaをα−20とする。また、別のある一例では、コントローラは、最も優先度が高い電池パックの優先要素Uaをαとし、2番目に優先度が高い電池パックの優先要素Uaをα/2とし、3番目に優先度が高い電池パックの優先要素Uaをα/4とする。ここで、αは、正の値である。
また、ある実施例では、最大充電電圧に関する情報のみに基づく優先度と優先要素Uaとの関係を示すデータ等に基づいて、優先要素Uaが算出されてもよい。この場合、コントローラは、充電装置の記憶媒体、又は、ネットワークから、最大充電電圧に関する情報のみに基づく優先度と優先要素Uaとの関係を示すデータを取得する。ある一例では、コントローラは、優先度と優先要素Uaとの関係を示すデータに基づいて、優先度が高い電池パックから順に、優先要素Uaを100,90,50,50,40,35,35,35・・・等に、設定する。
ある実施例では、優先要素Uaの算出において、コントローラは、例えば、最大充電電圧に基づいて、電池パックを前述した第1のグループ、第2のグループ、及び、第3のグループに分割して、優先度を設定する。この場合、前述したように、第2のグループ、第1のグループ及び第3のグループの順に、優先度を高く設定する。ある一例では、コントローラは、優先度と優先要素Uaとの関係を示すデータに基づいて、第2のグループに含まれる全ての電池パックについて、優先要素Uaを100に設定する。そして、コントローラは、第1のグループに含まれる全ての電池パックについて、優先要素Uaを80に設定し、第3のグループに含まれる全ての電池パックについて、優先要素Uaを50に設定する。
また、別途指定される情報に基づく優先要素Ubの算出では、例えば、指定された特定の電池パックのみ、優先要素Ubをβとする。そして、それ以外の電池パックは、優先要素Ubを0とする。なお、βは、正の値である。
また、単電池の充電深度に基づく優先要素Ucの算出方法は、以下の方法が一例として挙げられる。ある一例では、単電池のリアルタイムの充電深度がε%との場合、優先要素Ucは、100−εとする。また、別のある一例では、充電深度が所定の閾値(例えば50%)以下の場合は、優先要素をγとし、充電深度が所定の閾値より大きい場合は、優先要素Ucを0とする。なお、γは、正の値である。
本実施形態では、前述のいずれかの方法によって、電池パックのそれぞれについて優先順位が設定される。そして、設定された優先順位に基づいて、電池パックのそれぞれへの電力の分配量が算出される。
<第1の例>
図10は、電池パックへの分配量の算出処理の第1の例を示す。図10の一例では、コントローラは、前述したようにして、電池パックのそれぞれに、優先順位を設定する(S111)。この際、例えば、優先ポイントUに基づいて、優先順位が設定される。そして、通常の場合は、コントローラは、優先ポイントUが大きい順に、電池パックの優先順位を高く設定する。そして、コントローラは、基準番号nを初期値である1に設定する(S112)。そして、コントローラは、S113以降の処理を行うことによって、電池パックのそれぞれへの電力の分配量を算出する。そして、S113以降の処理を行うことにより、コントローラは、優先順位が高い電池パックから順に、電力の分配量を算出する。
S113では、コントローラは、基準番号nと優先順位番号が同一の電池パック、すなわち、優先順位がn番目に高い電池パックへ供給する電流の仮電流量Inを、決定する。図10の一例では、コントローラは、優先順位nの電池パックが受入れ可能な最大許容電流In_maxを、仮電流量Inとして決定する(S113)。なお、S113の処理によって仮電流量Inが決定された段階では、後述するS113以降の処理によって、優先順位1〜n−1の電池パックについては、電力の分配量W1〜Wn−1が算出されている。そして、優先順位nの電池パックへの電力の分配量Wnが、次の算出対象となる。
そして、コントローラは、優先順位がn番目の電池パックに印加されるリアルタイムの電圧(閉回路電圧)Enを、検出する。最大許容電流In_maxは、電池パック等に設けられる記憶媒体等から取得可能であり、電圧Enは、電池パックに設けられる電圧検出回路等から取得可能である。そして、コントローラは、仮電流量Inと電圧Enとを乗算し、優先順位がn番目の電池パックへ分配する電力の仮分配量Wn_aを算出する(S114)。本一例では、仮分配量Wn_aは、優先順位がn番目の電池パックがリアルタイムで受入れ可能な最大許容電力である。
そして、コントローラは、優先順位1〜n−1の電池パックへの電力の分配量W1〜Wn−1の合計値(ΣWi(i=1〜n−1))を、算出する(S115)。そして、コントローラは、供給可能な最大充電リソースである充電電源(充電装置)の最大電力容量Wmaxが、分配量W1〜Wn−1の合計値(ΣWi(i=1〜n−1))と仮分配量Wn_aとの和より大きいか否かを判断する(S116)。最大電力容量Wmaxが分配量W1〜Wn−1の合計値(ΣWi(i=1〜n−1))と仮分配量Wn_aとの和より大きい場合は(S115−Yes)、コントローラは、仮分配量Wn_aを、優先順位がn番目の電池パックへの電力の分配量Wnとする(S117)。このため、優先順位がn番目の電池パックがリアルタイムで受入れ可能な最大許容電力が、分配量Wnとなる。
そして、コントローラは、基準番号nを1加算する(S118)。そして、コントローラは、加算された基準番号nが、充電装置への電池パックの接続数Mより大きいか否かを、判断する(S119)。基準番号nが接続数Mより大きい場合は(S119−Yes)、分配量の算出処理を終了する。一方、基準番号nが接続数M以下の場合は(S119−No)、処理は、S113に戻る。そして、コントローラは、S113以降の処理を順次に行う。このため、次に優先順位が低い電池パックについて、同様にして、S113以降の処理が順次に行われる。
また、S116において最大電力容量Wmaxが分配量W1〜Wn−1の合計値(ΣWi(i=1〜n−1))と仮分配量Wn_aとの和以下の場合は(S115−No)、コントローラは、最大電力容量Wmaxから分配量W1〜Wn−1の合計値(ΣWi(i=1〜n−1))を減算する。そして、コントローラは、減算による算出値を、優先順位がn番目の電池パックへの電力の分配量Wnとする(S120)。そして、分配量の算出処理を終了する。
本一例では、前述の処理が行われることにより、優先順位が高い電池パックから順に、電力の分配量が算出される。そして、既に算出された分配量(ΣWi(i=1〜n−1))と次に分配量Wnが算出される電池パックの仮分配量Wn_aとの合計値が充電装置の最大電力容量Wmaxより小さい限りは、仮分配量Wn_aである電池パックの許容最大電力を、次に算出される分配量Wnとする。そして、既に算出された分配量(ΣWi(i=1〜n−1))と次に分配量Wnが算出される電池パックの仮分配量Wn_aとの合計値が充電装置の最大電力容量Wmax以上になった場合は、最大電力容量Wmaxから既に算出された分配量(ΣWi(i=1〜n−1))を減算した値を、次に算出される分配量Wnとする。このため、優先順位が高い順に優先して電力が分配される状態に、分配量が算出される。
<第2の例>
図11は、電池パックへの分配量の算出処理の第2の例を示す。図11の一例では、コントローラは、前述したようにして、電池パックのそれぞれについて、単電池の最大充電電圧に基づく優先要素Uaを算出する(S121)。そして、コントローラは、前述したよういして、電池パックのそれぞれについて、ユーザー等によって別途指定された情報に基づく優先要素Ubを算出する(S122)。そして、コントローラは、電池パックのそれぞれについて、優先要素Ua,Ubに少なくとも基づいて、優先ポイントUを算出する。例えば、コントローラは、優先要素Ua,Ubのそれぞれに対応する係数(Ya,Ybの対応する一方)を乗算し、乗算した値の合計値を優先ポイントUとする(S123)。ここで、係数Ya,Ybは、優先要素Ua,Ubの対応する一方の重みを示す。係数Ya,Ybは、同一の値であってもよく、異なる値であってもよい。また、優先ポイントUは、前述した別の方法のいずれかによって、算出されてもよい。そして、コントローラは、算出した優先ポイントUに基づいて、電池パックのそれぞれの優先順位を設定する(S124)。この際、優先ポイントUが大きい電池パックほど、優先順位が高く設定される。
そして、コントローラは、基準番号nを1に設定する(S125)。また、コントローラは、優先順位1〜Mの電池パック、すなわち、充電装置に接続される全ての電池パックについて、優先ポイントの正規化値K1〜KMの初期値を算出する(S126)。この際、コントローラは、優先ポイントU1〜UMのそれぞれを、優先ポイントU1〜UMの合計値(ΣUj(j=1〜M))で割る。そして、除算の算出結果のそれぞれを、正規化値K1〜KMの対応する1つの初期値として、設定する。例えば、優先順位がn番目の電池パックでは、正規化値Knの初期値は、優先ポイントUnを優先ポイントU1〜UMの合計値(ΣUj(j=1〜M))で割った値に、設定される。
また、コントローラは、基準電力量Wrefの初期値を設定する(S127)。この際、コントローラは、供給可能な最大充電リソースである充電電源(充電装置)の最大電力容量Wmaxを、基準電力量Wrefの初期値として設定する。前述のように、初期値のそれぞれが設定されると、コントローラは、S128以降の処理を行うことによって、電池パックのそれぞれへの電力の分配量を算出する。そして、S128以降の処理を行うことにより、コントローラは、優先順位が高い電池パックから順に、電力の分配量を算出する。
S128では、コントローラは、基準番号nと優先順位番号が同一の電池パック、すなわち、優先順位がn番目に高い電池パックの正規化値Knを用いて、演算を行う。そして、コントローラは、基準電力量Wrefと正規化値Knとの積を算出する(S128)。なお、S128の処理によって正規化値Knを用いて演算が行われる段階では、後述するS128以降の処理によって、優先順位1〜n−1の電池パックについては、電力の分配量W1〜Wn−1が既に算出されている。そして、優先順位nの電池パックへの電力の分配量Wnが、次の算出対象となる。
そして、コントローラは、優先順位がn番目の電池パックについて、最大許容電流In_max及びリアルタイムの電圧(閉回路電圧)Enを取得する。そして、コントローラは、最大許容電流In_maxとリアルタイムの電圧Enとの積、すなわち、優先順位がn番目の電池パックのリアルタイムの最大許容電力を算出する。そして、コントローラは、基準電力量Wrefと正規化値Knとの積が、最大許容電流In_maxとリアルタイムの電圧Enとの積以上であるか否かを、判断する(S129)。すなわち、コントローラでは、基準電力量Wrefと正規化値Knとの積が、優先順位がn番目の電池パックのリアルタイムの最大許容電力以上であるか否かが、判断される。
基準電力量Wrefと正規化値Knとの積が、最大許容電流In_maxとリアルタイムの電圧Enとの積以上である場合は、(S129−Yes)、コントローラは、最大許容電流In_maxとリアルタイムの電圧Enとの積を、優先順位がn番目の電池パックへの電力の分配量Wnとする(S130)。すなわち、優先順位がn番目の電池パックのリアルタイムの最大許容電力が、分配量Wnとして算出される。
そして、コントローラは、基準電力量Wrefの値を更新する(S131)。この際、コントローラは、充電電源(充電装置)の最大電力容量Wmaxから、既に算出された電力の分配量W1〜Wnの合計値(ΣWq(q=1〜n))を減算する。そして、減算によって算出された値を、基準電力量Wrefとして更新する。なお、S131の処理によって基準電力量Wrefが更新される段階では、優先順位1〜nの電池パックについては、電力の分配量W1〜Wnが既に算出されている。そして、優先順位n+1の電池パックへの電力の分配量Wn+1が、次の算出対象となる。
また、コントローラは、優先順位n+1〜Mの電池パック、すなわち、電力の分配量Wn+1〜WMが算出されていない電池パックについて、優先ポイントの正規化値Kn+1〜KMの値を更新する(S132)。この際、コントローラは、優先ポイントUn+1〜UMのそれぞれを、優先ポイントUn+1〜UMの合計値(ΣUs(s=n+1〜M))で割る。そして、除算の算出結果のそれぞれを、正規化値Kn+1〜KMの対応する1つの値として、更新する。例えば、優先順位がn+1番目の電池パックでは、正規化値Kn+1は、優先ポイントUn+1を優先ポイントUn+1〜UMの合計値(ΣUs(s=n+1〜M))で割った値に、更新される。
そして、コントローラは、基準番号nを1加算する(S133)。そして、コントローラは、加算された基準番号nが、充電装置への電池パックの接続数Mより大きいか否かを、判断する(S132)。基準番号nが接続数Mより大きい場合は(S132−Yes)、分配量の算出処理を終了する。一方、基準番号nが接続数M以下の場合は(S132−No)、処理は、S128に戻る。そして、コントローラは、S128以降の処理を順次に行う。このため、次に優先順位が低い電池パックについて、同様にして、S128以降の処理が順次に行われる。
また、S129において基準電力量Wrefと正規化値Knとの積が、最大許容電流In_maxとリアルタイムの電圧Enとの積より小さい場合は(S129−No)、コントローラは、基準電力量Wrefと正規化値Knとの積を、優先順位がn番目の電池パックへの電力の分配量Wnとする(S135)。そして、処理はS133に進み、コントローラは、S133以降の処理を順次に行う。
本一例では、前述の処理が行われることにより、優先順位が高い電池パックから順に、電力の分配量が算出される。そして、優先順位がn番目の電池パックへの電力の分配量Wnは、基準電力量Wrefと優先ポイントUnの正規化値Knとの積、及び、電池パックの最大許容電流In_maxとリアルタイムの電圧Enとの積の一方なる。正規化値Knは、優先ポイントUnを正規化した値である。そして、優先順位が高い電池パックほど、優先ポイントUは大きい。このため、優先順位が高い順に優先して電力が分配される状態に、分配量が算出される。
また、本一例では、S129において基準電力量Wrefと正規化値Knとの積が、最大許容電流In_maxとリアルタイムの電圧Enとの積以上場合は(S129−No)、基準電力量Wref及び正規化値Un+1〜UMが、前述のようにして更新される。このため、基準電力量Wrefと正規化値Knとの積から最大許容電流In_maxとリアルタイムの電圧Enとの積を減算した差分電力も、優先順位がn+1〜M番目の電池パックのいずれかに、適切に分配される。
<第3の例>
図12は、電池パックへの分配量の算出処理の第3の例を示す。図12の一例では、第2の例と同様に、コントローラは、優先要素Uaを算出する(S121)とともに、優先要素Ubを算出する(S122)。本一例では、コントローラは、電池パックのそれぞれについて、単電池のリアルタイムの充電深度(SOC)を推定する(S136)。この際、前述した方法のいずれかによって、充電深度が推定される。そして、コントローラは、電池パックのそれぞれについて、推定されたリアルタイムの充電深度に基づく優先要素Ucを算出する(S137)。
そして、コントローラは、優先要素Ua,Ub,Ucに少なくとも基づいて、優先ポイントUを算出する。例えば、コントローラは、優先要素Ua〜Ucのそれぞれに対応する係数(Ya〜Ycの対応する1つ)を乗算し、乗算した値の合計値を優先ポイントUとする(S138)。ここで、係数Ya,Ybは、優先要素Ua,Ubの対応する一方の重みを示す。係数Ya,Ybは、同一の値であってもよく、異なる値であってもよい。また、優先ポイントUは、前述した別の方法のいずれかによって、算出されてもよい。そして、コントローラは、算出した優先ポイントUに基づいて、電池パックのそれぞれの優先順位を設定する(S124)。この際、優先ポイントUが大きい電池パックほど、優先順位が高く設定される。そして、コントローラは、第2の例と同様にして、S125〜S135の処理を行う。これにより、第2の例と同様にして、電池パックのそれぞれについて、電力の分配量が算出される。
(作用及び効果)
前述のような処理が行われることにより、本実施形態では、少なくとも単電池の最大充電電圧に基づいて、複数の電池パックのそれぞれの優先順位が設定される。そして、優先順位が高い順に優先して、電池パックに充電リソースが分配される。このため、複数の電池パックを同時に充電する際に、全ての電池パックに、適切な分配量の充電リソースが供給される。したがって、全ての電池パックにおいて、単電池(電極群)の劣化が最小限に抑えられ、全ての電池パックが適切に充電される。充電による単電池の劣化が抑えられることにより、電池パックの長寿命化が実現される。
また、本実施形態では、リアルタイムの充電深度が低い電池パックに優先して充電リソースが分配される。このため、複数の電池パックを同時に充電する場合において、さらに効率的に充電が行われ、電池パックの劣化がより抑制される。
[実施形態等の共通構成]
前述の少なくとも一つの実施形態又は実施例の充電装置及び充電方法によれば、単電池の最大充電電圧に関する情報に少なくとも基づいて、複数の電池パックのそれぞれに優先順位が、設定される。そして、複数の電池パックへ供給可能な充電リソースの中から、優先順位が高い順に優先して、複数の電池パックに充電リソースを分配する。このため、1つ以上の単電池をそれぞれが備える複数の電池パックを同時に充電可能であるとともに、充電による電池パックの劣化を抑制することで、電池パックが高い寿命性能を実現する充電装置及び充電方法を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、付記を記載する。
(付記項1)
1つ以上の単電池をそれぞれが備える複数の電池パックを同時に充電可能な充電装置であって、
前記複数の電池パックのそれぞれについて、前記単電池の最大充電電圧に関する情報を取得し、
取得した前記最大充電電圧に関する前記情報に少なくとも基づいて、前記複数の電池パックのそれぞれに優先順位を設定し、
前記複数の電池パックへ供給可能な充電リソースの中から、前記優先順位が高い順に優先して、前記複数の電池パックに充電リソースを分配する、
コントローラを備える、充電装置。
(付記項2)
前記コントローラは、
第1の基準電圧、及び、前記第1の基準電圧より大きい第2の基準電圧を設定し、
前記複数の電池パックを、前記最大充電電圧が前記第1の基準電圧以下の第1のグループ、前記最大充電電圧が前記第1の基準電圧より大きく、かつ、前記第2の基準電圧以下の第2のグループ、及び、前記最大充電電圧が前記第2の基準電圧より大きい第3のグループに分割し、
前記第2のグループ、前記第1のグループ及び前記第3のグループの順に、前記優先順位を高く設定する、
付記項1の充電装置。
(付記項3)
前記コントローラは、前記第1の基準電圧を2.7V以上2.9V以下の範囲のいずれかの値に設定するとともに、前記第2の基準電圧を3.4V以上3.8V以下の範囲のいずれかの値に設定する、付記項2の充電装置。
(付記項4)
前記コントローラは、前記第1の基準電圧を2.8Vに設定するとともに、前記第2の基準電圧を3.5Vに設定する、付記項3の充電装置。
(付記項5)
前記コントローラは、
前記最大充電電圧に関する前記情報として、前記複数の電池パックのそれぞれについて、前記単電池の負極に含有される活物質の情報を取得し、
前記複数の電池パックを、前記負極にスピネル型チタン酸リチウムを含有する第1のグループ、前記負極にニオブチタン含有複合酸化物を含有する第2のグループ、及び、前記負極にリチウムを吸蔵放出するグラファイトを含有する第3のグループに分割し、
前記第2のグループ、前記第1のグループ及び前記第3のグループの順に、優先順位を高く設定する、
付記項1の充電装置。
(付記項6)
前記コントローラは、前記充電装置の最大電力容量の中から、前記充電リソースとして電力を前記複数の電池パックに分配する、付記項1乃至5のいずれか1項の充電装置。
(付記項7)
前記コントローラは、前記最大充電電圧に関する前記情報に加えて、前記最大充電電圧に関する前記情報とは別の情報に基づいて、前記複数の電池パックのそれぞれの前記優先順位を設定する、付記項1乃至6のいずれか1項の充電装置。
(付記項8)
前記コントローラは、前記別の情報として、前記複数の電池パックのそれぞれにおける前記単電池のリアルタイムの充電深度に関する情報、前記複数の電池パックのそれぞれのリアルタイムの充電モードに関する情報、ユーザーによって直接的に入力された情報、前記複数の電池パックのそれぞれ又は前記複数の電池パックのそれぞれが搭載される機器に内蔵された情報、及び、ネットワーク経由で指定される情報の少なくとも1つを用いて、前記複数の電池パックのそれぞれの前記優先順位を設定する、付記項7の充電装置。
(付記項9)
互いに対して異なる車両に搭載される前記複数の電池パックを同時に充電可能な、付記項1乃至8のいずれか1項の充電装置。
(付記項10)
1つ以上の単電池をそれぞれが備える複数の電池パックを同時に充電可能な充電方法であって、
前記複数の電池パックのそれぞれについて、前記単電池の最大充電電圧に関する情報を取得することと、
取得した前記最大充電電圧に関する前記情報に少なくとも基づいて、前記複数の電池パックのそれぞれに優先順位を設定することと、
前記複数の電池パックへ供給可能な充電リソースの中から、前記優先順位が高い順に優先して、前記複数の電池パックに充電リソースを分配することと、
備える、充電方法。