JP2014022041A - 負極活物質および負極活物質の製造方法、ならびにリチウムイオン電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム - Google Patents

負極活物質および負極活物質の製造方法、ならびにリチウムイオン電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム Download PDF

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Abstract

【課題】 高い電池特性と入力特性とを両立する非水電解質二次電池用負極活物質を得る。
【解決手段】 球状の黒鉛材料の表面および内部にリチウム吸蔵可能なチタン含有無機酸化物が存在し、該黒鉛材料断面の元素マッピングにより観察される該チタン含有無機酸化物が、該黒鉛材料の表面から、該黒鉛材料の平均粒径の4%以上の深さまで存在する複合黒鉛材料を非水電解質二次電池用負極活物質として用いる。複合黒鉛材料は、負圧環境下において、チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を球状化天然黒鉛に含浸させた後、溶媒を除去し、球状化天然黒鉛の表面および内部にチタン含有有機化合物が存在する前駆体を焼成して得る。また、チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を鱗片状または塊状の天然黒鉛からなる黒鉛材料に含浸させ、溶媒を除去し、表面にチタン含有有機化合物が被着した黒鉛材料を球状化処理した前駆体を焼成して得ても良い。
【選択図】図1

Description

本開示は、負極活物質および負極活物質の製造方法に関する。また、本開示は、リチウムイオン電池、リチウムイオン電池を用いた電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムに関する。
近年、携帯電話、ビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピューター等の携帯情報電子機器の普及に伴い、これらの機器の高性能化、小型化および軽量化が図られている。これらの機器の電源には、使い捨ての一次電池や繰り返し使用できる二次電池が用いられているが、高性能化、小型化、軽量化、経済性等の総合的なバランスの良さから、非水電解質電池、特にリチウムイオン電池の需要が伸びている。また、これらの機器では、更なる高性能化や小型化等が進められており、リチウムイオン電池等の非水電解質電池に関しても、さらなる高エネルギー密度化が要求されている。また、これとともに、非水電解質電池に対して高い入力特性が求められている。入力特性の改善は、より短時間で大きな電気量を充電することから、低温環境下での充電特性の改善、或いは長期間に亘る充放電サイクルでの容量劣化を抑制し、極めて重要である。
リチウムイオン電池は、負極活物質として黒鉛材料が広く使用されており、高容量化の要請から、黒鉛材料の中でも理論容量が大きい天然黒鉛や、天然黒鉛と同様の形態を持たせた人造黒鉛が用いられている。このようなリチウムイオン電池において急速充電を行うためには、活物質界面から活物質内へのリチウム拡散を迅速に行う必要がある。これを実現するためには、一般的に粒子内でのリチウムイオンの拡散速度が速く、入力特性に優れるとされる、結晶性の低い人造黒鉛もしくは炭素を用いればよい。しかしながら、結晶性の低い人造黒鉛もしくは炭素は、単位重量および単位体積あたりの容量が小さく、また放電電位も高いためエネルギー密度の観点から不利となる。
一方、リチウムイオン電池の負極材料として、単位重量あたりの放電容量が360mAh/g程度と比較的大きく、かつ安価な天然黒鉛も広く用いられているが、天然黒鉛は結晶性が高く、入力特性については低結晶性の人造黒鉛や炭素に劣っている。このような材料では、負極への充電深度を浅くしなければ急速充電によって活物質界面に金属リチウムが析出し、電池の劣化および電池の不安全化の原因となる。
上述の様な黒鉛材料の特性向上の手段として、母材となる炭素材料の表面に、母材とは異なる炭素材料を被覆した負極材料が検討されている。例えば、下記の特許文献1では、黒鉛性炭素質物の表面に、有機物の炭化物が付着された複合炭素質物からなる電極材料が記載されている。下記の特許文献2では、天然黒鉛をバインダーを用いて略球状に造粒した後、さらにバインダーピッチを添加、焼成し、ピッチ部分を炭素化させた負極材が記載されている。下記の特許文献3では、黒鉛粒子の表面に、結晶性炭素の被覆層が形成された負極材料が記載されている。
また、黒鉛材料の特性向上の他の手段として、活物質層中に、炭素材料とともにセラミックスを含むようにすることが検討されている。下記の特許文献4では、負極活物質層中に、中位径が1μm未満であるセラミック粒子を混合した負極が記載されている。特許文献4では、粒径が小さいセラミック粒子を負極活物質層中に含有することにより、負極活物質表面でのイオン拡散性を改善しエネルギー密度の向上やサイクル特性の向上を図ることが記載されている。下記の特許文献5では、負極活物質層中に、中位径が100nm以下であるセラミック粒子を混合した負極が記載されている。
特開平9−213328号公報 特開2004−031038号公報 特開2002−367611号公報 特開2007−305545号公報 特開2008−041465号公報
しかしながら、特許文献1〜特許文献3のように、母材となる炭素材料の表面に、母材とは異なる炭素材料を被覆した負極材料を用いた場合でも、低結晶性の人造黒鉛や炭素を上回るほどの入力特性を実現するほどの改善には至っていない。また、特許文献4〜特許文献5のように、活物質層中に、炭素材料とともにセラミックスを含むようにした場合、負極活物質表面でのイオン拡散性を改善するものの、セラミックスは導電性を有しないため、抵抗の大きな電極となってしまうおそれがある。
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い電池特性と入力特性とを両立する負極活物質を得ることにある。
上述の問題点を解消するために、本開示の負極活物質は、球状の黒鉛材料の表面および内部にリチウム吸蔵可能なチタン含有無機酸化物が存在し、黒鉛材料断面の元素マッピングにより観察されるチタン含有無機酸化物が、黒鉛材料の表面から、黒鉛材料の平均粒径の4%以上の深さまで存在する複合黒鉛材料からなることを特徴とする。
本開示の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法は、負圧環境下において、チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を球状化天然黒鉛からなる黒鉛材料に含浸させ、
溶液を含浸させた黒鉛材料から溶媒を除去して、黒鉛材料の表面および内部に有機化合物が存在する前駆体を形成し、
前駆体を焼成することを特徴とする。
本開示の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法は、チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を鱗片状または塊状の天然黒鉛からなる黒鉛材料に含浸させ、
溶液を含浸させた黒鉛材料から溶媒を除去し、
表面に有機化合物が存在する黒鉛材料を球状化処理した前駆体を形成し、
前駆体を焼成することを特徴とする。
本開示の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法は、チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を鱗片状または塊状の天然黒鉛からなる黒鉛材料に含浸させ、
溶液を含浸させた黒鉛材料から溶媒を除去し、
表面に有機化合物が存在する黒鉛材料を焼成し、
焼成後の表面に有機化合物が存在する黒鉛材料を球状化処理することを特徴とする。
本開示の非水電解質二次電池は、正極と、
球状の黒鉛材料の表面および内部にリチウム吸蔵可能なチタン含有無機酸化物が存在し、黒鉛材料断面の元素マッピングにより観察される無機酸化物が、黒鉛材料の表面から、黒鉛材料の平均粒径の4%以上の深さまで存在する複合黒鉛材料からなる負極活物質を含む負極と、
非水電解質と
を備えることを特徴とする。
また、本開示の電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムは、上述の負極活物質を用いたリチウムイオン電池を備えることを特徴とする。
本開示では、その表面でのリチウムイオン等の拡散が速いことが一般に知られている無機酸化物であるチタン含有無機酸化物を、黒鉛材料の表面および内部に存在させる。これにより、黒鉛材料へのリチウムイオンの拡散を大幅に促進することができる。
本開示によれば、黒鉛材料へのリチウムイオンの拡散を大幅に促進することができる複合黒鉛材料を非水電解質二次電池用負極活物質として用いることにより、入力特性に優れ、金属リチウム析出を軽減する電池を得ることができる。また、チタン含有無機酸化物で被覆した黒鉛材料の表面は、従来の炭素よりも安定なSEI(Solid Electrolyte Interface)を形成し、サイクル特性についても向上させることができる。
本開示の第1の実施の形態にかかる非水電解質二次電池用負極活物質の一構成例の断面図である。 本開示の第2の実施の形態にかかる円筒型電池の一構成例を示す断面図である。 本開示の第2の実施の形態にかかる円筒型電池の電極積層構造の一構成例を示す断面図である。 本開示の第3の実施の形態にかかる薄型電池の一構成例を示す分解斜視図である。 本開示の第3の実施の形態にかかる薄型電池の一構成例を示す断面図である。 本開示の第3の実施の形態にかかる薄型電池の他の構成例を示す分解斜視図である。 本開示の第4の実施の形態にかかるコイン型電池の一構成例を示す断面図である。 本開示の第5の実施の形態にかかる電池パックの回路構成例を示すブロック図である。 本開示の第6の実施の形態にかかる住宅用の蓄電システムの例を示す概略図である。 本開示の第6の実施の形態にかかるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を示す概略図である。
以下、本開示を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下のように行う。
1.第1の実施の形態(本開示の非水電解質二次電池用負極活物質の例)
2.第2の実施の形態(本開示の非水電解質二次電池用負極活物質を用いた円筒型電池の例)
3.第3の実施の形態(本開示の非水電解質二次電池用負極活物質を用いた薄型電池の例)
4.第4の実施の形態(本開示の非水電解質二次電池用負極活物質を用いたコイン型電池の例)
5.第5の実施の形態(本開示の非水電解質二次電池を用いた電池パックの例)
6.第6の実施の形態(本開示の非水電解質二次電池を用いた蓄電システム等の例)
1.第1の実施の形態
第1の実施の形態では、本開示の非水電解質二次電池用負極活物質(以下、負極活物質と適宜称する)について説明する。なお、以下の実施の形態において、特に記載のない場合、平均粒径は中位径(D50)を示すものとする。
(1−1)負極活物質の構成
本開示の負極活物質は、図1Aまたは図1Bに示すような、黒鉛材料1aの表面および内部に、リチウム等の金属イオンの吸蔵が可能であり、イオン拡散性に優れた無機酸化物1b、具体的にはチタン含有無機酸化物(以下、無機酸化物と適宜称する)が存在する複合黒鉛材料1が用いられる。なお、図1Aは、粒状の黒鉛材料に対して、無機酸化物複合化処理を行った複合黒鉛材料1の粒子の断面を模式的に示したものである。図1Bは、予め無機酸化物複合化処理を行った後に球状化させた複合黒鉛材料1の粒子の断面を模式的に示したものである。
黒鉛材料の表面および内部に存在する無機酸化物は、リチウムイオンの拡散性を黒鉛材料の表面のみでなく、内部においても促進させることができ、入力特性が向上する。また、黒鉛材料の表面に存在する無機酸化物は、安定的な被膜(SEI;Solid Electrolyte Interface)として機能すると考えられ、サイクル特性の向上も図ることができる。
負極活物質は、複合黒鉛材料断面の元素マッピングにより観察される無機酸化物が、複合黒鉛材料の表面から平均粒径の4%以上の深さまで存在する構成であることが好ましく、8%以上の深さまで存在する構成であることがさらに好ましい。本開示において、複合黒鉛材料の平均粒径に対する、無機酸化物の複合黒鉛材料表面から内部への浸透深さの割合を粒子内部浸透度[%]とする。すなわち、無機酸化物が、複合黒鉛材料の表面から平均粒径の4%の深さまで存在する場合には、無機酸化物の粒子内部浸透度が4%であるとする。この範囲内に無機酸化物の粒子内部浸透度が高くなると、複合黒鉛材料の内部におけるリチウムイオン拡散性が向上するため、この複合黒鉛材料を用いたリチウムイオン電池の入力特性が向上するためである。
なお、複合黒鉛材料における無機酸化物の粒子内部浸透度は、以下の方法により測定および算出したものとする。
まず、黒鉛材料の表面および内部にリチウム吸蔵可能な無機酸化物が存在する複合黒鉛材料を、固定用樹脂に埋没させた後、クロスセクションポリッシャ等の切断面作製装置を用いて複合黒鉛材料の切断面が露出した試料を作製する。次に、試料の切断面を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)/エネルギー分散型X線分光装置(EDX;Energy Dispersive X-ray spectroscopy)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM;Field Emission-Scanning Electron Microscope)等を用いて被覆元素の元素マッピングを行う。元素マッピングは、上述の無機酸化物の構成元素、例えば、無機酸化物としてチタン酸リチウム(Li4Ti512)が被覆および内部に存在している場合あれば、チタン(Ti)の元素マッピングを行う。そして、得られた元素シグナルが検出されている位置を画像から読み取る。元素シグナルが検出されている位置の中で、複合黒鉛材料の外表面から最も深い位置の深さを用い、下記の式(1)から浸透度を算出する。
浸透度[%]={(複合黒鉛材料外表面から最も深い無機酸化物存在位置の深さ×2)/平均粒径}×100 ・・・(1)
そして、下記の式(2)から、10サンプルから算出した上述の浸透度[%]の平均値である粒子内部浸透度を算出する。
粒子内部浸透度[%]=(浸透度1+浸透度2+・・・+浸透度10)/10 ・・・(2)
(なお、式(2)中、第1のサンプルから算出した粒子内部浸透度を浸透度1とし、第10のサンプルまで順に浸透度2、浸透度3・・・とする。)
また、本開示の複合黒鉛材料は、平均粒径が5μm以上30μm以下であることが好ましい。上記範囲外に平均粒径が小さい場合と比較して、負極活物質層をプレスして負極を作製する際の負極活物質層の剥離を防止することができる。また、負極活物質の表面積が増えることによる結着剤の添加量の増加を抑制し、単位重量あたりのエネルギー密度を向上させることができる。また、上記範囲外に平均粒径が大きい場合と比較して、負極活物質層を形成した場合に体積密度を高くすることができるため、体積エネルギー密度が向上し、粒子がセパレータを貫通して短絡を引き起こすことを防止することができる。
[無機酸化物]
本開示の複合黒鉛材料において、黒鉛材料と複合化させる無機酸化物は、チタン含有無機酸化物である。
チタン含有無機酸化物は、イオン拡散性に特に優れるとともに、広範囲の電位領域、温度領域で高い化学的安定性を備えるためである。チタン含有無機酸化物としては、チタン酸リチウム(Li4Ti512)、酸化チタン(TiO2)、チタン酸ナトリウム(Na2Ti613)等を用いることが好ましい。チタン酸リチウム(Li4Ti512)、酸化チタン(TiO2)、チタン酸ナトリウム(Na2Ti613)等は、これらからなる群より選択された一種もしくは2種以上を用いることができる。これら黒鉛材料と複合化されたチタン含有無機酸化物は、X線回折(X-ray Diffraction;XRD)測定によって測定されたピーク位置から確認することができる。
本開示の複合黒鉛材料中、チタン含有無機酸化物が、黒鉛材料100質量部に対して0.1質量部以上7.0質量部以下含まれることが好ましく、2.0質量部以上6.0質量部以下含まれることがより好ましい。上記範囲外にチタン含有無機酸化物の含有量が少ない場合と比較して、入力特性が高くなり、また、上記範囲外にチタン含有無機酸化物の含有量が多い場合と比較して、サイクル特性および電池容量が高くなるためである。
[黒鉛材料]
黒鉛材料としては、理論容量(372mAh/g)に近い容量を持つ天然黒鉛を用いることができる。天然黒鉛を高体積密度で充填することが黒鉛材料を用いた負極にとって最も有利な方法となる。しかしながら、天然黒鉛は鱗片状や塊状の特異な形状から、圧縮工程等において選択的配向を示し、充電中にリチウムイオンを取り込み難いという問題がある。配向を抑制するため、鱗片状の天然黒鉛を用いる場合には、天然黒鉛に球状化加工を施す。球状化天然黒鉛は、元来天然黒鉛がもつ配向性を保持しつつ、レオロジー特性は球状粒子とほぼ同様とすることができるため、球状化天然黒鉛が凝集しにくく均一なペーストを作製することが可能となる。
ここで球状とは、必ずしも完全な球状のみを意味するのではなく、表面に凹凸があってもよく、また球状に近い形状も含まれる。
また、天然黒鉛の代わりに、もしくは天然黒鉛とともに、人造黒鉛、難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化炭素などの他の炭素材料を用いてもよい。炭素材料としては、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、また、平均粒子径の異なる2種以上を混合して用いてもよい。
(1−2)負極活物質の第1の製造方法
負極活物質の第1の製造方法では、球状の黒鉛材料を用い、無機酸化物源となる有機化合物を少なくとも含む被覆溶液を球状の黒鉛材料の内部にまで含浸させて、本開示の複合黒鉛材料を得る方法について説明する。
[黒鉛材料の球状化処理]
球状の黒鉛材料として、鱗片状天然黒鉛等の非球状黒鉛材料を球状とした黒鉛材料を用いる場合には、下記の様にして球状化処理を施す。
非球状黒鉛材料の球状化処理には、たとえば、直線が左右に何回も折れ曲がり、Z字型が連なったような形状の経路を有する装置を用いる。この装置を用いて、非球状黒鉛材料をこの装置の経路内で落下させることにより、非球状黒鉛材料の粒子の端部が壁面に衝突して折り曲げられ、球状化が進行する(Z字型垂直落下方式)。球状化処理後の粒子は完全な球形である必要はなく、非球状黒鉛材料の端が中に折り曲げられたような部分を有するものは球状化された粒子とみなす。したがって、粒子形状は例えば円錐形であったり、円筒形であったり、いびつな球形となる場合がある。この非球状黒鉛材料の落下速度は50〜200m/s程度が好ましい。この方法を用いる場合、非球状黒鉛材料を供給、または球状化処理後の黒鉛材料を排出する際には、黒鉛材料を気流に同伴させて行う方法を用いることが望ましい。
また、衝撃式粉砕機を用い、非球状黒鉛材料を気流に乗せて装置内で壁面に衝突させ、端部を折り曲げて球状化する方法を用いることもできる。さらに、天然黒鉛の球状化加工方法としては、鱗片状天然黒鉛を粉砕して球状粒子のみをふるいわけする方法や、擦り潰しにより球状に加工する方法を用いることもできる。
本開示の複合黒鉛材料の製造に用いる球状化処理された黒鉛材料を得るためには、このように比較的小さな衝撃力を与える必要があり、球状化の度合いは球状化処理時間にほぼ比例すると考えてよい。
[黒鉛材料の複合化処理]
球状化天然黒鉛と無機化合物源となる化合物を含む被覆溶液とを混合して前駆体スラリーを作製する。球状化天然黒鉛の表面および内部に、チタン含有無機酸化物として例えばチタン酸リチウム(Li4Ti512)が存在する複合黒鉛材料を得る場合には、被覆溶液中にリチウム(Li)源およびチタン(Ti)源となる化合物を混合する。リチウム(Li)源およびチタン(Ti)源となる化合物は、所望の混合比となるように計量して混合量を調整する。
次に、負圧下にて一定時間前駆体スラリーの攪拌を行い、球状化天然黒鉛に、無機化合物源となる化合物を含む被覆溶液を含浸させる。無機化合物源となる化合物を含む被覆溶液が球状化天然黒鉛内部まで十分含浸するように、攪拌環境下の圧力および負圧下での攪拌時間(すなわち含浸時間)等を調整する。攪拌環境下の圧力は負圧(ゲージ圧で大気圧より低い圧力)であり、少なくとも、大気圧より0.08MPaG以上低い圧力とすることが好ましい。攪拌環境下の圧力および負圧下での攪拌時間(すなわち含浸時間)等は、完成した複合黒鉛材料の表面から複合黒鉛粒子の平均粒径の4%以上の深さの位置に無機化合物が存在するように調整される。
この操作は、例えば攪拌混練機にて行う。前駆体スラリーの固形分は、攪拌手法に応じて10質量%以上80質量%以下の範囲で選択することができるが、攪拌混練機としてプラネタリミキサを用いる場合には、固形分比率を30質量%以上60質量%以下の範囲とすることが好ましい。以上により、球状化天然黒鉛の細孔内へ無機化合物源となる化合物を含む被覆溶液を含浸させることができる。なお、負圧下での攪拌時間は、攪拌環境下の圧力に応じて調整することが好ましい。
球状化天然黒鉛に含浸させる被覆溶液は、無機化合物源となる化合物と溶媒が混合されたものである。無機化合物源となる化合物としては、チタン含有有機化合物が好ましく、例えば下記の(化1)に示すチタンアルコキシド等を用いることが好ましい。
(化1)
Ti(OR)x
((化1)中、Rは有機基であり、xが2以上の場合にはそれぞれ同じものであってもよく、異なるものが混在していてもよい。また、xが2以上の場合には有機基または水素であり、少なくとも1つ以上が有機基である。xは、チタン(Ti)の価数と同等の整数である。)
チタンアルコキシドとしては、例えばチタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH324)、チタンテトラ−n−プロポキシド(Ti[O(CH22CH34)、チタンテトラエトキシド(Ti[OCH2CH34)、チタンテトラ−n−ブトキシド(Ti[O(CH23CH34)、チタンテトラ−sec−ブトキシド(Ti[OCH(CH3)CH2CH34)、チタンテトラキス(2−エチルヘキシルオキシド)(Ti[OCH2CH(C25)(CH23CH34)等を用いることが好ましい。
また、球状化天然黒鉛の表面および内部にチタン酸金属化合物(リチウム(Li4Ti512)、チタン酸ナトリウム(Na2Ti613)等)が存在する複合黒鉛材料を得る場合には、被覆溶液中に金属源(リチウム(Li)源、ナトリウム(Na)源等)となる化合物をさらに混合する。リチウム(Li)源となる化合物としては、酢酸リチウム(無水酢酸リチウム(CH3COOLi)、酢酸リチウム二水和物(CH3COOLi・2H2O))等を用いることができる。ナトリウム(Na)源となる化合物としては、酢酸ナトリウム(無水酢酸ナトリウム(CH3COONa)、酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O))、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)等を用いることができる。溶媒としては例えば、エタノール、メタノール等の溶媒を用いることができる。
このとき、無機化合物源となる化合物は、完成後の複合黒鉛材料の表面および内部に存在するチタン含有無機酸化物換算で、球状化天然黒鉛100質量部に対して0.1質量部以上6.0質量部以下となるような量を調整して溶媒に添加することが好ましい。
続いて、エタノール等の溶媒を除去する。この作業により、無機化合物源となる化合物としてチタンアルコキシドを用いた場合には、前駆体スラリー中のチタンアルコキシドが溶媒中の残存水分により加水分解し、チタン含有無機酸化物の前駆体として黒鉛材料の表面および内部に被覆または結着する。リチウム(Li)源、ナトリウム(Na)源等となる金属化合物を含む場合には、加水分解したチタンアルコキシドの成分とともに、この金属化合物がチタン含有無機酸化物の前駆体として黒鉛材料の表面および内部に被覆または結着する。
この後、無機化合物源が被着、含浸された球状化天然黒鉛を、例えば高温、真空環境下にて乾燥させて前駆体黒鉛材料を得る。この前駆体黒鉛材料を窒素雰囲気下等の安定的な雰囲気下で焼成する。このとき、焼成温度は500℃以上1000℃以下、好ましくは700℃以上900℃以下とすることが好ましい。上記範囲外に焼成温度が低い場合と比較して、電池の不可逆容量が小さくなり、上記範囲外に焼成温度が高い場合と比較して、製造コストの面で有利となる。これにより、球状化天然黒鉛の表面および内部に所望のチタン含有無機酸化物が存在する複合黒鉛材料からなる負極活物質を得ることができる。このような第1の製造方法により作製された本開示の負極活物質は、負極活物質表面におけるチタン含有無機酸化物濃度が最も高く、負極活物質の中心部に近づくにしたがってチタン含有無機酸化物濃度が低くなる。なお、チタン含有無機酸化物濃度は、負極活物質における単位体積あたりのチタン含有無機酸化物の割合である。
(1−3)負極活物質の第2の製造方法
負極活物質の第2の製造方法では、非球状黒鉛材料を用い、無機酸化物源となる有機化合物を少なくとも含む被覆溶液を非球状黒鉛材料と混合した後、非球状黒鉛材料の球状化処理を行って本開示の複合黒鉛材料を得る方法について説明する。
例えば、非球状化黒鉛材料である鱗片状天然黒鉛に、無機化合物源となる化合物を含む被覆溶液を含浸させる。このとき、負極活物質の第1の製造方法とは異なり、鱗片状天然黒鉛と被覆溶液とを負圧下にて攪拌し、鱗片状天然黒鉛の細孔内にまで被覆溶液を含浸させる工程は不要である。被覆溶液は、第1の製造方法と同様に、無機化合物源となる化合物が、完成後の複合黒鉛材料の表面および内部に存在するチタン含有無機酸化物換算で、球状化天然黒鉛100質量部に対して0.1質量部以上6.0質量部以下となるような量を調整して溶媒に添加することが好ましい。
続いて、鱗片状天然黒鉛から溶媒を除去した後、無機化合物源が被着、含浸された鱗片状天然黒鉛を、例えば高温、真空環境下にて乾燥させて前駆体黒鉛材料を得る。この前駆体黒鉛材料を、第1の製造方法と同様の条件下で焼成する。最後に、焼成後の前駆体黒鉛材料に対して球状化処理を施して、球状化された複合黒鉛材料を得る。球状化処理は、第1の製造方法と同様の方法を用いることができる。これにより、球状化天然黒鉛の表面および内部に所望のチタン含有無機酸化物が存在する複合黒鉛材料からなる負極活物質を得ることができる。
なお、無機化合物源が被着、含浸された鱗片状天然黒鉛を乾燥させて得た前駆体黒鉛材料に対して球状化処理を施し、最後に焼成を行うようにしてもよい。
<効果>
以上のようにして作成した本開示の複合黒鉛材料を負極活物質として用いることにより、入力特性およびサイクル特性の高いリチウムイオン電池を得ることができる。
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態では、第1の実施の形態にかかる負極活物質を用いた円筒型電池について説明する。
(2−1)円筒型電池の構成
[円筒型電池の構造]
図2は、第2の実施の形態にかかる円筒型電池10の構成の一例を示す断面図である。円筒型電池10は、例えば充電および放電が可能なリチウムイオン二次電池である。この円筒型電池10は、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、図示しない液体状の電解質(以下、電解液と適宜称する)とともに帯状の正極21と負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。
電池缶11は、一端部が閉鎖され他端部が開放された有底円筒形状である。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12a、12bがそれぞれ配置されている。
電池缶11の材料としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ステンレス(SUS)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)等が挙げられる。この電池缶11には、円筒型電池10の充放電に伴う電気化学的な電解液による腐食を防止するために、例えばニッケル等のメッキが施されていてもよい。電池缶11の開放端部には、電池蓋13と、この電池蓋13の内側に設けられた安全弁機構および熱感抵抗素子(PTC素子:Positive Temperature Coefficient)17が、絶縁封口のためのガスケット18を介してかしめられることにより取り付けられている。
電池蓋13は、例えば電池缶11と同様の材料により構成されており、電池内部で発生したガスを排出するための開口部が設けられている。安全弁機構は、安全弁14とディスクホルダ15と遮断ディスク16とが順に重ねられている。安全弁14の突出部14aは遮断ディスク16の中心部に設けられた孔部16aを覆うように配置されたサブディスク19を介して巻回電極体20から導出された正極リード25と接続されている。サブディスク19を介して安全弁14と正極リード25とが接続されることにより、安全弁14の反転時に正極リード25が孔部16aから引き込まれることを防止する。また、安全弁機構は、熱感抵抗素子17を介して電池蓋13と電気的に接続されている。
安全弁機構は、電池内部短絡あるいは電池外部からの加熱等により円筒型電池10の内圧が一定以上となった場合に、安全弁14が反転し、突出部14aと電池蓋13と巻回電極体20との電気的接続を切断するものである。すなわち、安全弁14が反転した際には遮断ディスク16により正極リード25が押さえられて安全弁14と正極リード25との接続が解除される。ディスクホルダ15は絶縁性材料からなり、安全弁14が反転した場合には安全弁14と遮断ディスク16とが絶縁される。
また、電池内部でさらにガスが発生し、電池内圧がさらに上昇した場合には、安全弁14の一部が裂壊してガスを電池蓋13側に排出可能としている。
また、遮断ディスク16の孔部16aの周囲には例えば複数のガス抜き孔(図示せず)が設けられており、巻回電極体20からガスが発生した場合にはガスを効果的に電池蓋13側に排出可能な構成としている。
熱感抵抗素子17は、温度が上昇した際に抵抗値が増大し、電池蓋13と巻回電極体20との電気的接続を切断することによって電流を遮断し、過大電流による異常な発熱を防止する。ガスケット18は、例えば絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
円筒型電池10内に収容される巻回電極体20は、センターピン24を中心に巻回されている。巻回電極体20は、正極21および負極22がセパレータ23を介して順に積層され、長手方向に巻回されてなる。正極21には正極リード25が接続されており、負極22には負極リード26が接続されている。正極リード25は、上述のように、安全弁14に溶接されて電池蓋13と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接されて電気的に接続されている。
図3は、図2に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。以下、正極21、負極22、セパレータ23について、詳細に説明する。
[正極]
正極21は、正極活物質を含有する正極活物質層21Bが、正極集電体21Aの両面上に形成されたものである。正極集電体21Aとしては、例えば、アルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔等の金属箔を用いることができる。
正極活物質層21Bは、例えば正極活物質と、導電材と、結着材とを含有して構成されている。正極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着材や導電材などの他の材料を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物またはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、(化I)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩、(化II)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物などが挙げられる。リチウム含有化合物としては、遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、(化III)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩、(化IV)、(化V)もしくは(化VI)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、または(化VII)に示したスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物などが挙げられる。具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22(c1≒1,0<c2<1)、LidMn24(d≒1)またはLieFePO4(e≒1)などがある。
(化I)
LiaM1bPO4
(式中、M1は、2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a、bは、0≦a≦2.0、0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。)
(化II)
LicNi(1-d-e)MndM2e(1-f)g
(式中、M2は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)を除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。Xは、酸素(O)以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。c、d、e、fおよびgは、0≦c≦1.5、0≦d≦1.0、0≦e≦1.0、−0.10≦f≦0.20、0≦g≦0.2の範囲内の値である。)
(化III)
LihM3PO4
(式中、M3は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。hは、0.9≦h≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
(化IV)
LiiMn(1-j-k)NijM4k(1-m)n
(式中、M4は、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。i、j、k、mおよびnは、0.8≦i≦1.2、0<j<0.5、0≦k≦0.5、j+k<1、−0.1≦m≦0.2、0≦n≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、iの値は完全放電状態における値を表している。)
(化V)
LioNi(1-p)M5p(1-q)r
(式中、M5は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。o、p、qおよびrは、0.8≦o≦1.2、0.005≦p≦0.5、−0.1≦q≦0.2、0≦r≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、oの値は完全放電状態における値を表している。)
(化VI)
LisCo(1-t)M6t(1-u)v
(式中、M6は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。s、t、uおよびvは、0.8≦s≦1.2、0≦t<0.5、−0.1≦u≦0.2、0≦v≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、sの値は完全放電状態における値を表している。)
(化VII)
LiwMn(1-x)M7xyz
(式中、M7は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。w、x、yおよびzは、0.9≦w≦1.1、0≦x≦0.6、3.7≦y≦4.1、0≦g≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、wの値は完全放電状態における値を表している。)
(化I)、(化III)で示すオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩を正極活物質として用いる場合、(化I)中のM1および(化III)中のM3として、鉄(Fe)を含むことが好ましく、鉄(Fe)の含有量が多いほど好ましい。
さらにまた、より高い電極充填性とサイクル特性が得られるという観点から、上述のリチウム含有化合物のいずれかよりなる芯粒子の表面を、他のリチウム含有化合物のいずれかよりなる微粒子または炭素材料などで被覆した複合粒子としてもよい。
この他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物または導電性高分子などが挙げられる。酸化物は、例えば、酸化バナジウム(V25)、酸化チタン(TiO2)または二酸化マンガン(MnO2)などである。二硫化物は、例えば、二硫化鉄(FeS2)、二硫化チタン(TiS2)または二硫化モリブデン(MoS2)などである。カルコゲン化物は、特に層状化合物やスピネル型化合物が好ましく、例えば、セレン化ニオブ(NbSe2)などである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレンあるいはポリピロールなどである。もちろん、正極材料は、上述の正極材料以外のものであってもよい。また、上述した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
正極活物質の比表面積は、吸着ガスとして窒素(N2)を用いた場合のBET(Brunauer,Emmett,Teller)法による測定において、例えば0.05m2/g以上2.0m2/g以下、好ましくは0.2m2/g以上0.7m2/g以下の範囲となるように構成されることが好ましい。この範囲で、より効果的な充放電特性を得られるからである。
また、導電材としては、例えばカーボンブラックあるいはグラファイトなどの炭素材料などが用いられる。結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などの樹脂材料、ならびにこれら樹脂材料を主体とする共重合体などから選択される少なくとも1種が用いられる。
正極21は正極集電体21Aの一端部の正極活物質層21B未形成部分にスポット溶接または超音波溶接で接続された正極リード25を有している。この正極リード25は金属箔、網目状のものが望ましいが、電気化学的および化学的に安定であり、導通がとれるものであれば金属でなくとも問題はない。正極リード25の材料としては、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
[負極]
負極22は、負極活物質を含有する負極活物質層22Bが、負極集電体22Aの両面上に形成されたものであり、負極活物質層22Bと正極活物質層21Bとが対向するように配置されている。負極集電体22Aとしては、例えば、銅(Cu)箔等の金属箔を用いることができる。
負極活物質層1Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、具体的には、第1の実施の形態に記載の本開示の複合黒鉛材料を主として含むものである。
負極活物質層1Bは、例えば負極活物質と、結着材と、必要に応じて導電材とを含有して構成されている。結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などの樹脂材料、ならびにこれら樹脂材料を主体とする共重合体などから選択される少なくとも1種が用いられる。導電材としては、例えばカーボンブラックあるいは繊維状炭素などの炭素材料などが用いられる。
負極活物質としては、第1の実施の形態の複合黒鉛材料のみを用いてもよく、また、この複合黒鉛材料を主として用いるとともに、他の負極活物質を混合して用いてもよい。他の負極活物質として用いることができる、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、人造黒鉛、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子材料焼成体、炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子材料焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができるとともに、良好なサイクル特性を得ることができる。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られる。さらにまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができる。
他の負極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。このような材料を、第1の実施の形態の複合黒鉛材料とともに用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができるとともに、優れたサイクル特性を得ることができる。この負極活物質は、金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本開示において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
負極活物質としては、例えば、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、より好ましいのはケイ素(Si)およびスズ(Sn)の少なくとも一方を構成元素として含むものであり、特に好ましくは少なくともケイ素を含むものである。ケイ素(Si)およびスズ(Sn)は、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金または化合物や、スズの単体、合金または化合物や、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズ(Sn)の化合物あるいはケイ素(Si)の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)またはケイ素(Si)に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
中でも、この負極材料としては、コバルト(Co)と、スズ(Sn)と、炭素(C)とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズ(Sn)とコバルト(Co)との合計に対するコバルト(Co)の割合が30質量%以上70質量%以下であるSnCoC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができるとともに、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じてさらに他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)またはビスマス(Bi)が好ましく、2種以上を含んでいてもよい。容量またはサイクル特性をさらに向上させることができるからである。
なお、このSnCoC含有材料は、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このSnCoC含有材料では、構成元素である炭素(C)の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズ(Sn)などが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素(C)が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(XPS;X-ray Photoelectron Spectroscopy)が挙げられる。XPSでは、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、例えば天然黒鉛であれば、金(Au)原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、SnCoC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、SnCoC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
なお、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、SnCoC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
さらに、他の負極活物質としては、他の金属化合物または高分子材料が挙げられる。例えば、チタン酸リチウム(Li4Ti512)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化バナジウム(V25、V613)などの酸化物、硫化ニッケル(NiS)、硫化モリブデン(MoS2)などの硫化物、または窒化リチウム(Li3N)などのリチウム窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどが挙げられる。
[セパレータ]
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止するとともに、セパレータ23には電解液が含浸され、リチウムイオンを通過させる機能を有する。セパレータ23は、例えば、ポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜、または不織布等により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。ポリオレフィン製の多孔質膜は短絡防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。
セパレータ23は、ポリオレフィン樹脂以外にも、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素化樹脂を用いることができ、これら材料が混合された多孔質膜とされてもよい。また、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などからなる多孔質膜の表面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などを塗布もしくは被着させてもよい。多孔質膜の表面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)からなる多孔質層を形成する場合には、アルミナ(Al23)、シリカ(SiO2)などの無機粒子が混合された多孔質層とされてもよい。
[電解液]
電解液は、電解質塩と、この電解質塩を溶解する溶媒とを含む。
電解質塩は、例えば、リチウム塩等の軽金属化合物の1種あるいは2種以上を含有している。このリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C654)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2SiF6)、塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)等が挙げられる。中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。
溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンあるいはε−カプロラクトン等のラクトン系溶媒、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチル等の炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフランあるいは2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、スルフォラン系溶媒、リン酸類、リン酸エステル溶媒、またはピロリドン類等の溶媒が挙げられる。溶媒は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、溶媒として、環状炭酸エステルおよび鎖状炭酸エステルを混合して用いることが好ましく、環状炭酸エステルまたは鎖状炭酸エステルの水素の一部または全部がフッ素化された化合物を含むことがより好ましい。このフッ素化された化合物としては、フルオロエチレンカーボネート(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:FEC)またはジフルオロエチレンカーボネート(4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:DFEC)を用いることが好ましい。負極活物質としてケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)等の化合物を含む負極22を用いた場合であっても、充放電サイクル特性を向上させることができるためである。なかでも、溶媒としてジフルオロエチレンカーボネートを用いることが好ましい。サイクル特性改善効果に優れるためである。
また、電解液は、高分子化合物に保持されて非流動性電解質とされていてもよい。電解液を保持する高分子化合物は、溶媒を吸収して半固体状もしくは固体状とするものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)あるいはビニリデンフルオライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とを繰り返し単位に含む共重合体等のフッ素系高分子化合物、ポリエチレンオキサイド(PEO)あるいはポリエチレンオキサイド(PEO)を含む架橋体等のエーテル系高分子化合物、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)あるいはポリメチルメタクリレート(PMMA)を繰返し単位として含むもの等が挙げられる。高分子化合物には、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
特に、酸化還元安定性の点からは、フッ素系高分子化合物が望ましく、中でも、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとを成分として含む共重合体が好ましい。さらに、この共重合体は、マレイン酸モノメチルエステル(MMM)等の不飽和二塩基酸のモノエステル、三フッ化塩化エチレン(PCTFE)等のハロゲン化エチレン、炭酸ビニレン(VC)等の不飽和化合物の環状炭酸エステル、またはエポキシ基含有アクリルビニルモノマー等を成分として含んでいてもよい。より高い特性を得ることができるからである。
(2−2)円筒型電池の製造方法
[正極の製造方法]
正極活物質と、導電材と、結着材とを混合して正極合剤を調整し、この正極合剤を水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーをドクターブレードまたはバーコータなどによって正極集電体21Aに塗布したのち、溶剤を乾燥させ、ロールプレス機等により圧縮成型することにより正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。
[負極の製造方法]
負極活物質と、導電材と、結着材とを混合して負極合剤を調整し、この負極合剤を水、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーをドクターブレードまたはバーコータなどによって負極集電体22Aに塗布したのち、溶媒を除去し、ロールプレス機等により圧縮成型することにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
[電解液の調製]
電解液は、溶媒に対して所定量の電解質塩を溶解させて調製する。
[円筒型電池の組み立て]
正極集電体21Aに正極リード25を溶接等により取り付けるとともに、負極集電体22Aに負極リード26を溶接等により取り付ける。その後、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し巻回電極体20とする。
続いて、正極リード25の先端部を安全弁機構に溶接するとともに、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接する。この後、巻回電極体20の巻回面を一対の絶縁板12a,12bで挟み、電池缶11の内部に収納する。巻回電極体20を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。続いて、電池缶11の開口端部に電池蓋13、安全弁14等からなる安全弁機構および熱感抵抗素子17をガスケット18を介してかしめることにより固定する。これにより、図2に示した本開示の円筒型電池10が形成される。
この円筒型電池10では、充電を行うと、例えば、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
<効果>
本開示の負極活物質として用いることにより、入力特性およびサイクル特性の高いリチウムイオン電池である円筒型電池10を得ることができる。
3.第3の実施の形態
第3の実施の形態では、第1の実施の形態にかかる負極活物質を用いた薄型電池について説明する。
(3−1)薄型電池の構成
図4は、第3の実施の形態にかかる薄型電池42の構成を表すものである。この薄型電池42は、いわゆるラミネートフィルム型といわれるものであり、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をラミネートフィルムなどからなるフィルム状の外装部材40の内部に収容したものである。
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、密封された外装部材40の内部から外部に向かい、例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)あるいはステンレス(SUS)等の金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40は、例えば、金属層の両面に樹脂層が形成されたラミネートフィルムからなる。ラミネートフィルムは、金属層のうち電池外側に露出する面に外側樹脂層が形成され、巻回電極体30等の発電要素に対向する電池内側面に内側樹脂層が形成される。
金属層は、水分、酸素、光の進入を防ぎ内容物を守る最も重要な役割を担っており、軽さ、伸び性、価格、加工のしやすさからアルミニウム(Al)が最もよく使われる。外側樹脂層は、外観の美しさや強靱さ、柔軟性等を有し、ナイロンまたはポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂材料が用いられる。内側樹脂層は、熱や超音波で溶け、互いに融着する部分であるため、ポリオレフィン樹脂が適切であり、無延伸ポリプロピレン(CPP)が多用される。金属層と外側樹脂層および内側樹脂層との間には、必要に応じて接着剤層を設けてもよい。
外装部材40は、例えば深絞りにより内側樹脂層側から外側樹脂層の方向に向けて形成された、巻回電極体30を収容する凹部が設けられており、内側樹脂層が巻回電極体30と対向するように配設されている。外装部材40の対向する内側樹脂層同士は、凹部の外縁部において融着等により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外装部材40の内側樹脂層と、金属材料からなる正極リード31および負極リード32との接着性を向上させるための密着フィルム41が配置されている。密着フィルム41は、金属材料との接着性の高い樹脂材料からなり、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)や、これら材料が変性された変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂などにより構成されている。
なお、外装部材40は、金属層がアルミニウム(Al)からなるアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレン等の高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図5は、図4に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および非流動性電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は必要に応じて保護テープ37により保護されている。
[正極]
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。正極集電体33A、正極活物質層33Bからなる正極33の構成は、上述した第2の実施の形態の正極集電体21Aおよび正極活物質層21Bからなる正極21と同様である。
[負極]
負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bと正極活物質層33Bとが対向するように配置されている。負極集電体34A、負極活物質層34Bからなる負極34の構成は、上述した第2の実施の形態の負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bからなる負極22と同様である。
[セパレータ]
セパレータ35は、上述した第2の実施の形態のセパレータ23と同様である。
[非流動性電解質]
非流動性電解質層36は、電解液と、電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、高分子化合物が溶媒を吸収して半固体状もしくは固体状とされた電解質層である。非流動性電解質は高いイオン伝導率を得ることができるとともに、薄型電池42からの電解液の漏液を防止することができるので好ましい。なお、第3の実施の形態における薄型電池42においては、非流動性電解質層36の代わりに第2の実施の形態と同様の電解液を用いてもよい。
(3−2)薄型電池の製造方法
この薄型電池42は、例えば、次のようにして製造することができる。
[正極および負極の製造方法]
正極33および負極34は、第2の実施の形態と同様の方法により作製することができる。
[薄型電池の組み立て]
正極33および負極34のそれぞれの両面に、電解液と、高分子化合物と、混合溶媒とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶媒を揮発させて非流動性電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けるとともに、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。
次に、非流動性電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着等により密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図4および図5に示した薄型電池42が完成する。
また、この薄型電池42は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30を形成する。次に、この巻回電極体30を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、電解液とともに、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤等の他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次に、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の非流動性電解質層36を形成し、図4および図5に示した薄型電池42を組み立てる。
さらに、薄型電池42において非流動性電解質層36の代わりに電解液を用いる場合には、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30を形成する。次に、この巻回電極体30を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、電解液を外装部材40の内部に注入し、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封することにより、薄型電池42を組み立てる。
(3−3)薄型電池の他の例
第3の実施の形態では、巻回電極体30が外装部材40で外装された薄型電池42について説明したが、図6A〜図6Cに示すように、巻回電極体30の代わりに積層電極体50を用いてもよい。図6Aは、積層電極体50を収容した薄型電池42の外観図である。図6Bは、外装部材40に積層電極体50が収容される様子を示す分解斜視図である。図6Cは、図6Aに示す薄型電池42の底面側からの外観を示す外観図である。
積層電極体50は、矩形状の正極53および負極54をセパレータ55を介して積層し、固定部材56で固定した積層電極体50を用いる。積層電極体50からは、正極53と接続された正極リード51および負極54と接続された負極リード52とが導出されており、正極リード51および負極リード52と外装部材40との間には密着フィルム41が設けられる。
なお、非流動性電解質層(図示せず)の形成方法または電解液の注液方法、および外装部材40の熱融着方法は、(3−2)で記載した方法と同様である。
<効果>
第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、本開示の負極活物質として用いることにより、入力特性およびサイクル特性の高いリチウムイオン電池である薄型電池42を得ることができる。
4.第4の実施の形態
第4の実施の形態では、第1の実施の形態にかかる負極を用いたコイン型電池60について説明する。
(4−1)コイン型電池の構成
図7は、第4の実施の形態にかかるコイン型電池60の構成の一例を示す断面図である。
[正極]
正極61は、正極集電体61Aの片面に正極活物質層61Bが設けられた構造を有しており、所定の寸法の円板状に打ち抜かれたペレット状とされている。正極集電体61A、正極活物質層61Bからなる正極61の構成は、上述した第2の実施の形態の正極集電体21Aおよび正極活物質層21Bからなる正極21と同様である。
[負極]
負極62は、負極集電体62Aの片面に負極活物質層62Bが設けられた構造を有しており、所定の寸法の円板状に打ち抜かれたペレット状とされている。負極活物質層62Bは、正極活物質層61Bと対向するように配置されている。負極集電体62A、負極活物質層62Bからなる負極62の構成は、上述した第2の実施の形態の負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bからなる負極22と同様である。
[セパレータ]
セパレータ63は、上述した第2の実施の形態のセパレータ23と同様の構成であり、所定の寸法の円板状に打ち抜かれたペレット状とされている。
また、セパレータ63に含浸された電解液の組成も第1のコイン型電池60における電解液の組成と同様である。
(4−2)コイン型電池の製造方法
このコイン型電池60は、正極61を外装缶64に貼り付けるとともに、負極62を外装カップ65に収容し、それらを電解液が含浸されたセパレータ63を介して積層したのちにガスケット66を介してかしめることにより製造することができる。
<効果>
第4の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、本開示の負極活物質として用いることにより、入力特性およびサイクル特性の高いリチウムイオン電池であるコイン型電池60を得ることができる。
5.第5の実施の形態
第5の実施の形態では、本開示の電解質を用いた電池(円筒型電池10、薄型電池42またはコイン型電池60など)が備えられた電池パックについて説明する。
図8は、本開示の非水電解質二次電池(円筒型電池10、薄型電池42またはコイン型電池60など)を電池パック100に適用した場合の回路構成例を示すブロック図である。電池パック100は、組電池101、外装、充電制御スイッチ102aと、放電制御スイッチ103aとを備えるスイッチ部104、電流検出抵抗107、温度検出素子108、制御部110を備えている。
また、電池パック100は、正極端子121および負極端子122を備え、充電時には正極端子121および負極端子122がそれぞれ充電器の正極端子、負極端子に接続され、充電が行われる。また、電子機器使用時には、正極端子121および負極端子122がそれぞれ電子機器の正極端子、負極端子に接続され、放電が行われる。
組電池101は、複数の電池101aを直列および/または並列に接続してなる。この電池101aは本開示の非水電解質二次電池(円筒型電池10、薄型電池42またはコイン型電池60など)である。なお、図8では、6つの電池101aが、2並列3直列(2P3S)に接続された場合が例として示されているが、その他、n並列m直列(n,mは整数)のように、どのような接続方法でもよい。
スイッチ部104は、充電制御スイッチ102aおよびダイオード102b、ならびに放電制御スイッチ103aおよびダイオード103bを備え、制御部110によって制御される。ダイオード102bは、正極端子121から組電池101の方向に流れる充電電流に対して逆方向で、負極端子122から組電池101の方向に流れる放電電流に対して順方向の極性を有する。ダイオード103bは、充電電流に対して順方向で、放電電流に対して逆方向の極性を有する。なお、例では+側にスイッチ部104を設けているが、−側に設けてもよい。
充電制御スイッチ102aは、電池電圧が過充電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池101の電流経路に充電電流が流れないように制御部110によって制御される。充電制御スイッチ102aのOFF後は、ダイオード102bを介することによって放電のみが可能となる。また、充電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池101の電流経路に流れる充電電流を遮断するように、制御部110によって制御される。
放電制御スイッチ103aは、電池電圧が過放電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池101の電流経路に放電電流が流れないように制御部110によって制御される。放電制御スイッチ103aのOFF後は、ダイオード103bを介することによって充電のみが可能となる。また、放電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池101の電流経路に流れる放電電流を遮断するように、制御部110によって制御される。
温度検出素子108は例えばサーミスタであり、組電池101の近傍に設けられ、組電池101の温度を測定して測定温度を制御部110に供給する。電圧検出部111は、組電池101およびそれを構成する各電池101aの電圧を測定し、この測定電圧をA/D変換して、制御部110に供給する。電流測定部113は、電流検出抵抗107を用いて電流を測定し、この測定電流を制御部110に供給する。
スイッチ制御部114は、電圧検出部111および電流測定部113から入力された電圧および電流を基に、スイッチ部104の充電制御スイッチ102aおよび放電制御スイッチ103aを制御する。スイッチ制御部114は、電池101aのいずれかの電圧が過充電検出電圧もしくは過放電検出電圧以下になったとき、また、大電流が急激に流れたときに、スイッチ部104に制御信号を送ることにより、過充電および過放電、過電流充放電を防止する。
充放電スイッチは、例えばMOSFETなどの半導体スイッチを使用できる。この場合MOSFETの寄生ダイオードがダイオード102bおよび103bとして機能する。充放電スイッチとして、Pチャンネル型FETを使用した場合は、スイッチ制御部114は、充電制御スイッチ102aおよび放電制御スイッチ103aのそれぞれのゲートに対して、制御信号DOおよびCOをそれぞれ供給する。充電制御スイッチ102aおよび放電制御スイッチ103aはPチャンネル型である場合、ソース電位より所定値以上低いゲート電位によってONする。すなわち、通常の充電および放電動作では、制御信号COおよびDOをローレベルとし、充電制御スイッチ102aおよび放電制御スイッチ103aをON状態とする。
そして、例えば過充電もしくは過放電の際には、制御信号COおよびDOをハイレベルとし、充電制御スイッチ102aおよび放電制御スイッチ103aをOFF状態とする。
メモリ117は、RAMやROMからなり例えば不揮発性メモリであるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などからなる。メモリ117では、制御部110で演算された数値や 、製造工程の段階で測定された各電池101aの初期状態における電池の内部抵抗値などが予め記憶され、また適宜、書き換えも可能である。 (また、電池101aの満充電容量を記憶させておくことで、制御部110とともに例えば残容量を算出することができる。
温度検出部118では、温度検出素子108を用いて温度を測定し、異常発熱時に充放電制御を行ったり、残容量の算出における補正を行う。
6.第6の実施の形態
第6の実施の形態では、第2〜第4の実施の形態にかかる各電池または第5の実施の形態にかかる電池パック100を搭載した電子機器、電動車両および蓄電装置などの機器について説明する。第2〜第5の実施の形態で説明した各電池および電池パック100は、電子機器や電動車両、蓄電装置などの機器に電力を供給するために使用することができる。
電子機器として、例えばノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、コードレスフォン子機、ビデオムービー、デジタルスチルカメラ、電子書籍、電子辞書、音楽プレイヤー、ラジオ、ヘッドホン、ゲーム機、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、 エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機などが挙げられる。
また、電動車両としては鉄道車両、ゴルフカート、電動カート、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などが挙げられ、これらの駆動用電源または補助用電源として用いられる。
蓄電装置としては、住宅をはじめとする建築物用または発電設備用の電力貯蔵用電源などが挙げられる。
以下では、上述した適用例のうち、本開示の非水電解質二次電池を適用した蓄電装置を用いた蓄電システムの具体例を説明する。
この蓄電システムは、例えば下記の様な構成が挙げられる。第1の蓄電システムは、再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって蓄電装置が充電される蓄電システムである。第2の蓄電システムは、蓄電装置を有し、蓄電装置に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムである。第3の蓄電システムは、蓄電装置から、電力の供給を受ける電子機器である。これらの蓄電システムは、外部の電力供給網と協働して電力の効率的な供給を図るシステムとして実施される。
さらに、第4の蓄電システムは、蓄電装置から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、蓄電装置に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。第5の蓄電システムは、他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、送受信部が受信した情報に基づき、上述した蓄電装置の充放電制御を行う電力システムである。第6の蓄電システムは、上述した蓄電装置から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から蓄電装置に電力を供給する電力システムである。以下、蓄電システムについて説明する。
(6−1)応用例としての住宅における蓄電システム
本開示の非水電解質二次電池を用いた蓄電装置を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図9を参照して説明する。例えば住宅201用の蓄電システム200においては、火力発電202a、原子力発電202b、水力発電202cなどの集中型電力系統202から電力網209、情報網212、スマートメータ207、パワーハブ208などを介し、電力が蓄電装置203に供給される。蓄電装置203として、蓄電装置203に対して、上述した本開示の非水電解質二次電池または電池パックが適用される。これとともに、家庭内発電装置204などの独立電源から電力が蓄電装置203に供給される。蓄電装置203に供給された電力が蓄電される。蓄電装置203を使用して、住宅201で使用する電力が給電される。住宅201に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
住宅201には、家庭内発電装置204、電力消費装置205、蓄電装置203、各装置を制御する制御装置210、スマートメータ207、各種情報を取得するセンサ211が設けられている。各装置は、電力網209および情報網212によって接続されている。家庭内発電装置204として、太陽電池、燃料電池などが利用され、発電した電力が電力消費装置205および/または蓄電装置203に供給される。電力消費装置205は、冷蔵庫205a、空調装置205b、テレビジョン受信機205c、風呂205dなどである。さらに、電力消費装置205には、電動車両206が含まれる。電動車両206は、電気自動車206a、ハイブリッドカー206b、電気バイク206cである。
蓄電装置203に対して、本開示の非水電解質二次電池が適用される。本開示の非水電解質二次電池は、例えば上述したリチウムイオン二次電池によって構成されていてもよい。スマートメータ207は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網209は、直流給電、交流給電、非接触給電のいずれか一つまたは複数を組み合わせてもよい。
各種のセンサ211は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサなどである。各種のセンサ211により取得された情報は、制御装置210に送信される。センサ211からの情報によって、気象の状態、人の状態などが把握されて電力消費装置205を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置210は、住宅201に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社などに送信することができる。
パワーハブ208によって、電力線の分岐、直流交流変換などの処理がなされる。制御装置210と接続される情報網212の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)などの通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fiなどの無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
制御装置210は、外部のサーバ213と接続されている。このサーバ213は、住宅201、電力会社、サービスプロバイダーのいずれかによって管理されていてもよい。サーバ213が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置205(たとえばテレビジョン受信機)から送受信してもよいが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機など)から送受信してもよい。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)などに、表示されてもよい。
各部を制御する制御装置210は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成され、この例では、蓄電装置203に格納されている。制御装置210は、蓄電装置203、家庭内発電装置204、電力消費装置205、各種のセンサ211、サーバ213と情報網212により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能などを備えていてもよい。
以上のように、電力が火力発電202a、原子力発電202b、水力発電202cなどの集中型電力系統202のみならず、家庭内発電装置204(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置203に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置204の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置203に蓄えるとともに、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置203に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置203によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
なお、この例では、制御装置210が蓄電装置203内に格納される例を説明したが、スマートメータ207内に格納されてもよいし、単独で構成されていてもよい。さらに、蓄電システム200は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
(6−2)応用例としての車両における蓄電システム
本開示を車両用の蓄電システムに適用した例について、図10を参照して説明する。図10に、本開示が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
このハイブリッド車両300には、エンジン301、発電機302、電力駆動力変換装置303、駆動輪304aおよび駆動輪304b、車輪305aおよび車輪305b、バッテリー308、車両制御装置309、各種センサ310、充電口311が搭載されている。バッテリー308に対して、上述した本開示の非水電解質二次電池または電池パックが適用される。
ハイブリッド車両300は、電力駆動力変換装置303を動力源として走行する。電力駆動力変換装置303の一例は、モータである。バッテリー308の電力によって電力駆動力変換装置303が作動し、この電力駆動力変換装置303の回転力が駆動輪304a、304bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置303が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ310は、車両制御装置309を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ310には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
エンジン301の回転力は発電機302に伝えられ、その回転力によって発電機302により生成された電力をバッテリー308に蓄積することが可能である。
図示しない制動機構によりハイブリッド車両300が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置303に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置303により生成された回生電力がバッテリー308に蓄積される。
バッテリー308は、ハイブリッド車両300の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口311を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
図示しないが、電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う情報処理装置を備えていてもよい。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本開示は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本開示は有効に適用可能である。
以下、実施例により本開示を詳細に説明する。なお、本開示は、以下の実施例に限られるものではない。
<実施例1−1>〜<実施例1−4>、<比較例1−1>〜<比較例1−8>
実施例1−1〜実施例1−4および比較例1−1〜比較例1−8では、予め球状化処理を行った球状化天然黒鉛に対してチタン含有無機酸化物の被着等を行い、複合黒鉛材料を作製する場合を示す。
<実施例1−1>
[負極]
リチウム(Li)源である酢酸リチウム二水和物(CH3COOLi・2H2O)を99.5%エタノールに完全に溶解させた後、チタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH324)を添加し、被覆溶液を300g調製した。このとき、チタンテトライソプロポキシドは、リチウム(Li):チタン(Ti)が4:5となるように調整して添加した。また、酢酸リチウム二水和物とチタンテトライソプロポキシドの仕込み量は、後に投入する球状化天然黒鉛材料100質量部に対して、チタン酸リチウム(Li4Ti512)換算で1.0質量部となるようにした。
この被覆溶液をプラネタリミキサに入れ、予め球状化を行った球状化天然黒鉛(平均粒径21μm)を300g混合して前駆体スラリーを調製した後、3時間攪拌を行う。このとき、プラネタリミキサの内部を負圧(大気圧より0.08MPaG低い圧力)にし、球状化天然黒鉛の細孔内へ被覆溶液を含浸させた。その後、ロータリーエバポレータを用いてエタノール分を除去した後、さらに60℃の真空雰囲気下で乾燥を行い、前駆体黒鉛材料を得た。この前駆体黒鉛材料を、800℃の窒素雰囲気下で2時間焼成し、チタン酸リチウム(Li4Ti512)が球状化天然黒鉛の表面および内部に存在する複合黒鉛材料を得た。複合黒鉛材料の平均粒径は21μmであった。
この複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、4.1%となった。粒子内部浸透度[%]は、以下のようにして算出した。作製した複合黒鉛材料を固定用樹脂に埋没させ、クロスセクションポリッシャにて露出させた複合黒鉛材料の切断面を、EDX付き電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−7500)によって10サンプルの複合黒鉛材料におけるチタン(Ti)の元素マッピングを行った。加速電圧は15kV、積算回数は5回、ドゥエルタイム1msecとした時に、チタン(Ti)の元素シグナルが検出されている位置の中で、複合黒鉛材料の外表面から最も深い位置の深さを用い、下記の式(1)から浸透度を算出するとともに、式(2)から粒子内部浸透度を算出した。なお、浸透度1は、10サンプルのうち1つ目のサンプルにおける粒子内部浸透度を示す。
浸透度[%]={(複合黒鉛材料外表面から最も深いチタン含有無機酸化物存在位置の深さ×2)/平均粒径}×100 ・・・(1)
粒子内部浸透度[%]=(浸透度1+浸透度2+・・・+浸透度10)/10 ・・・(2)
負極活物質である上述の複合黒鉛材料98質量部と、結着材であるスチレンブタジエンゴム(SBR)1質量部およびカルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部とを混合し、水に分散させて負極合剤スラリーとした。この負極合剤スラリーを、厚み15μmの帯状銅(Cu)箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層を形成して負極を得た。その際、負極集電体の片面に形成された負極活物質層は、厚み70μm、体積密度1.60g/cm3とした。最後に、負極集電体の一端に設けた負極活物質層未形成部分にニッケル(Ni)製の負極リードを取り付けた。
[正極]
正極活物質である平均粒径13μmのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)94質量部と、導電材であるケッチェンブラック3質量部と、結着材であるポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとした。この正極合剤スラリーを、厚み20μmの帯状アルミニウム(Al)箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して正極活物質層を形成し正極を得た。その際、正極集電体の片面に形成された正極活物質層は、厚み80μm、体積密度1.60g/cm3とした。最後に、正極集電体の一端に設けた正極活物質層未形成部分にアルミニウム(Al)製の正極リードを取り付けた。
[電池の組み立て]
作製した正極と負極とを、厚み23μmの微多孔性ポリエチレン延伸フィルムよりなるセパレータを介して、負極、セパレータ、正極、セパレータの順に積層し、多数回巻回することによりジェリーロール型の巻回電極体を作製した。次いで、巻回電極体を一対の絶縁板で挟み、負極リードを電池缶に溶接すると共に、正極リードを安全弁機構に溶接して、巻回電極体を電池缶の内部に収納した。続いて、電池缶の内部に電解液を注入し、ガスケットを介して電池蓋を電池缶にかしめることにより、円筒型電池を作製した。
<実施例1−2>
酢酸リチウム二水和物とチタンテトライソプロポキシドの仕込み量を、黒鉛材料100質量部に対して、チタン酸リチウム(Li4Ti512)換算で2.0質量部とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例1−2の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.4%となった。
<実施例1−3>
酢酸リチウム二水和物とチタンテトライソプロポキシドの仕込み量を、黒鉛材料100質量部に対して、チタン酸リチウム(Li4Ti512)換算で4.0質量部とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例4の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.5%となった。
<実施例1−4>
酢酸リチウム二水和物とチタンテトライソプロポキシドの仕込み量を、黒鉛材料100質量部に対して、チタン酸リチウム(Li4Ti512)換算で6.0質量部とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例5の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.9%となった。
<比較例1−5>
酢酸リチウム二水和物とチタンテトライソプロポキシドの仕込み量を、黒鉛材料100質量部に対して、チタン酸リチウム(Li4Ti512)換算で7.0質量部とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例5の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、9.3%となった。
<比較例1−1>
負極活物質として、チタン含有無機酸化物の複合化処理をしていない球状化天然黒鉛を用いた以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。
<比較例1−2>
球状化天然黒鉛98質量部に対して市販のチタン酸リチウム(Li4Ti512)(石原産業製LT−106、平均粒径11μm)2質量部を、特別な処理を行うことなく添加および混合したものを負極活物質として用いた。これ以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。
<比較例1−3>
球状化天然黒鉛98質量部に対して、比較例2と同様の市販のチタン酸リチウム(Li4Ti512)を、ビーズミルを用いて平均粒径2.0μmまで粉砕したものを2.0重量部添加および混合したものを負極活物質として用いた。これ以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。
<比較例1−4>
球状化天然黒鉛98質量部に対して、市販の酸化アルミニウム(Al23)(日本アエロジル社製、AEROXIDE AluC、平均粒径13nm)を2質量部添加および混合したものを負極活物質として用いた以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。
<比較例1−5>
球状化天然黒鉛98質量部を2.0質量部のピッチと混合し、800℃の窒素雰囲気下で焼成して得た、球状化天然黒鉛の表面に低結晶性の炭素が被覆された黒鉛材料を負極活物質として用いた以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。
<比較例1−6>
酢酸リチウム二水和物とチタンテトライソプロポキシドの仕込み量を、黒鉛材料100質量部に対して、チタン酸リチウム(Li4Ti512)換算で0.05質量部とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例5の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、0.6%となった。
<比較例1−7>
酢酸リチウム二水和物とチタンテトライソプロポキシドの仕込み量を、黒鉛材料100質量部に対して、チタン酸リチウム(Li4Ti512)換算で0.1質量部とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例5の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、1.8%となった。
<比較例1−8>
被覆溶液と球状化天然黒鉛とを混合した前駆体スラリーの攪拌時に、プラネタリミキサ内を負圧にせず、球状化天然黒鉛の細孔内へ被覆溶液を含浸させる処理を行わなかった以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。比較例1−8の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、2.1%となった。
[電池の評価]
(a)入力特性の評価
各実施例および比較例の円筒型電池について、充電レート2Cで30分間の定電流充電を行った際の充電量を、満充電に対する充電率(SOC;State Of Charge)として評価した。なお、2Cの充電レートとは、充電に伴う電極の過電圧や電池抵抗が一定以下であれば、30分でSOCが100%となり得る充電条件であり、実際には負極の充電受け入れ性や電池のインピーダンスのため、一般的に高エネルギー密度設計の電池では2c/30分充電後のSOCは100%を下回ることとなる。本評価では、負極を適切に評価できるよう、電池のインピーダンスができるだけ低くなる設計としている。
(b)放電容量の評価
各実施例および比較例の円筒型電池を、10℃の環境下において1Cの定電流で電池電圧が4.35Vとなるまで定電流充電を行った後、電池電圧4.35Vの定電圧で電流値が0.02Cとなるまで充電を行った。この後、1Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで定電流放電を行い、このときの放電容量を1C放電容量とした。
(c)サイクル特性の評価
(b)の放電容量の評価に記載の充放電条件と同様の条件での充放電を1サイクル行った際の1サイクル目の放電容量を測定した。続いて、同様の条件での充放電を300サイクル目まで繰り返し、300サイクル目の放電容量を測定した。300サイクル後容量維持率を、次式により算出した。
300サイクル後容量維持率[%]=(300サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
以下の表1に、評価結果を示す。
Figure 2014022041
表1から以下のことが分った。球状化天然黒鉛の表面および内部にチタン酸リチウムが存在し、チタン酸リチウムが球状化天然黒鉛の平均粒径の4%以上の深さまで存在する複合黒鉛材料を負極活物質として用いた各実施例の電池では、チタン酸リチウム等のチタン含有無機酸化物を負極活物質に含まない比較例1−1、チタン酸リチウムが球状化天然黒鉛の平均粒径の4%以上の深さまで存在しない比較例1−6〜比較例1−8と比較して、入力特性およびサイクル特性の双方が向上した。また、チタン酸リチウム、酸化アルミニウムを球状化天然黒鉛と混合したのみである比較例1−2〜比較例1−4と比較して、入力特性およびサイクル特性が顕著に向上した。球状化天然黒鉛が低結晶性炭素で被覆された黒鉛材料を用いた比較例1−5と比較すると、入力特性が低下する場合があるものの、サイクル特性は向上した。
実施例1−2と比較例1−8との比較より、含浸処理を行うことにより、放電容量、2C/30分間での充電量、容量維持率が顕著に向上した。これは、酢酸リチウム二水和物とチタンテトライソプロポキシドとが含まれる被覆溶液を、球状化天然黒鉛の内部にまで浸透させたためであると考えられる。すなわち、活物質層内部においてもイオン拡散性の高いチタン酸リチウムが効果的に機能したためであると考えられ、負極活物質表面のみでなく、負極活物質内部におけるイオン拡散性を高くすることにより、電池特性の顕著な向上効果が得られることが分った。
実施例1−1〜実施例1−5の比較により、球状化天然黒鉛に対するチタン酸リチウムの含有量が増加することにより、入力特性およびサイクル特性が向上する傾向があり、チタン酸リチウムの含有量が2.0重量部以上となった場合に顕著に向上することが分かった。また、チタン酸リチウムの含有量が6.0重量部を超えると、入力特性およびサイクル特性が低下傾向にあることが分った。
一方、チタン酸リチウムの含有量の増加により、1C放電容量は低下した。これは、チタン酸リチウムの容量が少ないことに起因していると考えられる。このため、複合黒鉛材料中における黒鉛材料に対するチタン酸リチウムの含有量は、入力特性およびサイクル特性の観点からは多い方が好ましく、特に2.0質量部以上6.0質量部以下の範囲が好ましい。
以上の結果より、リチウム吸蔵可能なチタン含有無機酸化物を、黒鉛材料の表面および内部に存在させることで、2C/30分間での充電量が顕著に向上する。これは、イオン拡散性の高いチタン含有無機酸化物を黒鉛材料表面のみでなく、内部にも存在させることで、活物質表面および内部の双方においてにリチウムイオンの拡散を促進することができたためであると考えられる。また、サイクル特性も同様に改善が確認できる。これは、負極活物質表面のリチウムイオンの拡散が促進されると共に、安定なSEIが形成されているためであると考えられる。
<実施例2−1>〜<実施例2−2>
実施例2−1〜実施例2−2では、天然黒鉛に対して被着するチタン含有無機酸化物の種類を変えて複合黒鉛材料を作製した。
<実施例2−1>
天然黒鉛に対して被着するチタン含有無機酸化物を、チタン酸リチウム(Li4Ti512)に代えて酸化チタン(TiO2)とした以外は実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。複合黒鉛材料の製造時において、リチウム(Li)源である酢酸リチウム二水和物(CH3COOLi・2H2O)を添加せず、チタンテトライソプロポキシドの仕込み量を、球状化天然黒鉛材料100質量部に対して、酸化チタン(TiO2)換算で2.0質量部となるようにした。実施例2−1の複合黒鉛材料における酸化チタン(TiO2)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.4%となった。
<実施例2−2>
天然黒鉛に対して被着するチタン含有無機酸化物を、チタン酸リチウム(Li4Ti512)に代えてチタン酸ナトリウム(Na2Ti613)とした以外は実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。複合黒鉛材料の製造時において、リチウム(Li)源である酢酸リチウム二水和物(CH3COOLi・2H2O)の代わりに、ナトリウム(Na)源である酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)を、ナトリウム(Na):チタン(Ti)が2:6となるように調整して添加した。また、酢酸ナトリウム三水和物とチタンテトライソプロポキシドの仕込み量は、球状化天然黒鉛材料100質量部に対して、チタン酸ナトリウム(Na2Ti613)換算で2.0質量部となるようにした。実施例2−2の複合黒鉛材料におけるチタン酸ナトリウム(Na2Ti613)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.3%となった。
[電池の評価]
(a)入力特性の評価
(b)放電容量の評価
(c)サイクル特性の評価
実施例1−1等の場合と同様の方法により、各実施例の円筒型電池について、充電レート2Cで30分間の定電流充電後の充電率(SOC)、1C放電容量および300サイクル後の容量維持率を測定した。
以下の表2に、評価結果を示す。
Figure 2014022041

なお、表2には、チタン含有無機酸化物がチタン酸リチウム(Li4Ti512)である実施例1−2、ならびにチタン含有無機酸化物を被着しない比較例1−1およびチタン酸リチウム(Li4Ti512)を混合したのみである比較例1−2の評価結果を併せて示す。
表2から、本開示の方法を用いて得た複合黒鉛材料において、チタン含有無機酸化物が酸化チタン(TiO2)およびチタン酸ナトリウム(Na2Ti613)である場合にも、チタン含有無機酸化物がチタン酸リチウム(Li4Ti512)場合と同等以上の特性が得られることが分った。
<実施例3−1>〜<実施例3−7>
実施例3−1〜実施例3−7では、製造時の焼成温度を変化させて複合黒鉛材料を作製した。
<実施例3−1>
チタン含有無機酸化物前駆体を含む被覆溶液を被着し乾燥した前駆体黒鉛材料の焼成温度を400℃とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例3−1の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.2%となった。
<実施例3−2>
前駆体黒鉛材料の焼成温度を500℃とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例3−2の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.5%となった。
<実施例3−3>
前駆体黒鉛材料の焼成温度を600℃とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例3−3の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.3%となった。
<実施例3−4>
前駆体黒鉛材料の焼成温度を700℃とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例3−4の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.4%となった。
<実施例3−5>
前駆体黒鉛材料の焼成温度を900℃とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例3−5の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.6%となった。
<実施例3−6>
前駆体黒鉛材料の焼成温度を1000℃とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例3−6の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.4%となった。
<実施例3−7>
前駆体黒鉛材料の焼成温度を1100℃とした以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。実施例3−7の複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、8.9%となった。
[電池の評価]
(a)入力特性の評価
(b)放電容量の評価
(c)サイクル特性の評価
実施例1−1等の場合と同様の方法により、各実施例の円筒型電池について、充電レート2Cで30分間の定電流充電後の充電率(SOC)、1C放電容量および300サイクル後の容量維持率を測定した。
以下の表3に、評価結果を示す。
Figure 2014022041

なお、表3には、前駆体黒鉛材料の焼成温度が800℃である実施例1−2、ならびにチタン含有無機酸化物を被着しない比較例1−1およびチタン酸リチウム(Li4Ti512)を混合したのみで焼成を行わない比較例1−2の評価結果を併せて示す。
表3から、本開示の複合黒鉛材料を製造する際の前駆体黒鉛材料の焼成温度が400℃以上1100℃の範囲で入力特性が向上し、焼成温度が700℃以上900℃の範囲で、電池特性が顕著に向上することが分った。
<実施例4−1>〜<実施例4−2>、<比較例4−1>
実施例4−1〜実施例4−2および比較例4−1では、天然黒鉛に対してチタン含有無機酸化物の被着等を行い、複合黒鉛材料を作製した。
<実施例4−1>
チタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH324)を99.5%エタノールに添加し、完全に溶解させた被覆溶液を300g調製した。このとき、チタンテトライソプロポキシドの仕込み量は、後に投入する球状化天然黒鉛材料100質量部に対して、酸化チタン(TiO2)換算で5.0質量部となるようにした。
この被覆溶液をプラネタリミキサに入れ、鱗片状天然黒鉛を300g混合して前駆体スラリーを調製した後、30分間攪拌を行う。その後、ロータリーエバポレータを用いてエタノール分を除去した後、さらに60℃の真空雰囲気下で乾燥を行い、前駆体黒鉛材料を得た。この前駆体黒鉛材料を、800℃の窒素雰囲気下で2時間焼成し、酸化チタン(TiO2)が鱗片状天然黒鉛の表面に少なくとも存在する複合黒鉛材料を得た。最後に、酸化チタン(TiO2)で被覆された鱗片状天然黒鉛に球状化処理を施して、球状化天然黒鉛の表面および内部に存在する複合黒鉛材料を得た。複合黒鉛材料の平均粒径は22μmであった。この複合黒鉛材料における酸化チタン(TiO2)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、93%となった。上述の複合黒鉛材料を負極活物質として用いた以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。上述の複合黒鉛材料を負極活物質として用いた以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。
<実施例4−2>
実施例1−1と同様にして、酢酸リチウム二水和物とチタンテトライソプロポキシドとを、リチウム(Li):チタン(Ti)が4:5となるように調整して99.5%エタノールに添加した被覆溶液を準備した。酢酸リチウム二水和物とチタンテトライソプロポキシドの仕込み量は、後に投入する球状化天然黒鉛材料100質量部に対して、チタン酸リチウム(Li4Ti512)換算で3.0質量部となるようにした。この被覆溶液を用いた以外は、実施例4−1と同様にしてチタン酸リチウム(Li4Ti512)で被覆された鱗片状天然黒鉛を作製し、この鱗片状天然黒鉛に球状化処理を施して、球状化天然黒鉛の表面および内部に存在する複合黒鉛材料を得た。複合黒鉛材料の平均粒径は20.6μmであった。この複合黒鉛材料におけるチタン酸リチウム(Li4Ti512)の粒子内部浸透度[%]を算出したところ、94%となった。上述の複合黒鉛材料を負極活物質として用いた以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。
<比較例4−1>
チタン含有無機酸化物による被覆を行わず、鱗片状天然黒鉛を球状化して得た黒鉛材料(平均粒径21μm)を負極活物質として用いた以外は、実施例1−1と同様にして円筒型電池を作製した。なお、比較例4−1は、比較例1−1と同様の複合黒鉛材料である。
[電池の評価]
(a)入力特性の評価
(b)放電容量の評価
(c)サイクル特性の評価
実施例1−1等の場合と同様の方法により、各実施例の円筒型電池について、充電レート2Cで30分間の定電流充電後の充電率(SOC)、1C放電容量および300サイクル後の容量維持率を測定した。
以下の表4に、評価結果を示す。
Figure 2014022041
表4から以下のことが分った。表面に酸化チタン、チタン酸リチウムが存在する鱗片状天然黒鉛を球状化させて得た複合黒鉛材料を負極活物質として用いた各実施例の電池では、酸化チタン、チタン酸リチウム等のチタン含有無機酸化物を負極活物質に含まない比較例4−1と比較して、入力特性が顕著に向上した。また、チタン含有無機酸化物としてチタン酸リチウムが複合された複合黒鉛材料を用いた実施例4−2は、チタン含有無機酸化物として酸化チタンが複合された複合黒鉛材料を用いた実施例4−1と比較して、さらに入力特性が向上した。
なお、本開示は、以下の構成をとることもできる。
[1]
球状の黒鉛材料の表面および内部にリチウム吸蔵可能なチタン含有無機酸化物が存在し、該黒鉛材料断面の元素マッピングにより観察される該チタン含有無機酸化物が、該黒鉛材料の表面から、該黒鉛材料の平均粒径の4%以上の深さまで存在する複合黒鉛材料からなる
非水電解質二次電池用負極活物質。
[2]
上記チタン含有無機酸化物が、上記黒鉛材料100質量部に対して0.1質量部以上6.0質量部以下含まれる
[1]に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
[3]
上記チタン含有無機酸化物が、チタン酸リチウム(Li4Ti512)、酸化チタン(TiO2)およびチタン酸ナトリウム(Na2Ti613)からなる群より選択された少なくとも一種である
[1]または[2]に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
[4]
平均粒径が5μm以上30μm以下である
[1]〜[3]のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
[5]
負圧環境下において、チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を球状化天然黒鉛からなる黒鉛材料に含浸させ、
上記溶液を含浸させた上記黒鉛材料から上記溶媒を除去して、上記黒鉛材料の表面および内部に上記有機化合物が存在する前駆体を形成し、
上記前駆体を焼成する
非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
[6]
上記負圧が、大気圧より0.08MPaG低い圧力である
[5]に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
[7]
上記チタン含有有機化合物が、チタンアルコキシドである
[5]または[6]に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
[8]
上記チタンアルコキシドが、チタンテトライソプロポキシドを含む
[7]に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
[9]
上記前駆体の焼成温度を500℃以上1000℃以下とする
[5]〜[8]のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
[10]
チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を鱗片状または塊状の天然黒鉛からなる黒鉛材料に含浸させ、
上記溶液を含浸させた上記黒鉛材料から上記溶媒を除去し、
表面に上記有機化合物が存在する上記黒鉛材料を球状化処理した前駆体を形成し、
上記前駆体を焼成する
非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
[11]
チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を鱗片状または塊状の天然黒鉛からなる黒鉛材料に含浸させ、
上記溶液を含浸させた上記黒鉛材料から上記溶媒を除去し、
表面に上記有機化合物が存在する上記黒鉛材料を焼成し、
焼成後の表面に上記有機化合物が存在する上記黒鉛材料を球状化処理する
非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
[12]
正極と、
球状の黒鉛材料の表面および内部にリチウム吸蔵可能なチタン含有無機酸化物が存在し、該黒鉛材料断面の元素マッピングにより観察される該無機酸化物が、該黒鉛材料の表面から、該黒鉛材料の平均粒径の4%以上の深さまで存在する複合黒鉛材料からなる負極活物質を含む負極と、
非水電解質と
を備える非水電解質二次電池。
[13]
[12]に記載の非水電解質二次電池と、
上記電池を制御する制御部と、
上記電池を内包する外装と
を有する電池パック。
[14]
[12]に記載の非水電解質二次電池を備え、
上記電池から電力の供給を受ける
電子機器。
[15]
[12]に記載の非水電解質二次電池と、
上記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
上記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を有する電動車両。
[16]
[12]に記載の非水電解質二次電池を備え、
上記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
[17]
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
上記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、上記電池の充放電制御を行う
[16]に記載の蓄電装置。
[18]
[12]に記載の非水電解質二次電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から上記電池に電力が供給される
電力システム。
1・・・複合黒鉛材料、1a・・・黒鉛材料、1b・・・無機化合物、10・・・円筒型電池、11・・・電池缶、12a,12b・・・絶縁板、13・・・電池蓋、14・・・安全弁、14a・・・突出部、15・・・ディスクホルダ、16・・・遮断ディスク、16a・・・孔部、17・・・熱感抵抗素子、18・・・ガスケット、19・・・サブディスク、20,30・・・巻回電極体、21,33,53,61・・・正極、21A,33A,61A・・・正極集電体、21B,33B,61B・・・正極活物質層、22,34,54,62・・・負極、22A,34A,62A・・・負極集電体、22B,34B,62B・・・負極活物質層、23,35,55,63・・・セパレータ、24・・・センターピン、25,31,51・・・正極リード、26,32,52・・・負極リード、36・・・非流動性電解質層、37・・・保護テープ、40・・・外装部材、41・・・密着フィルム、42・・・薄型電池、50・・・積層電極体、56・・・固定部材、60・・・コイン型電池、64・・・外装缶、65・・・外装カップ、66・・・ガスケット、100・・・電池パック、101・・・組電池、101a・・・電池、102a・・・充電制御スイッチ、102b,103b・・・ダイオード、103a・・・放電制御スイッチ、103b・・・ダイオード、104・・・スイッチ部、107・・・電流検出抵抗、108・・・温度検出素子、110・・・制御部、111・・・電圧検出部、113・・・電流測定部、114・・・スイッチ制御部、117・・・メモリ、118・・・温度検出部、121・・・正極端子、122・・・負極端子、200・・・蓄電システム、201・・・住宅、202・・・集中型電力系統、202a・・・火力発電、202b・・・原子力発電、202c・・・水力発電、203・・・蓄電装置、204・・・家庭内発電装置、205・・・電力消費装置、205a・・・冷蔵庫、205b・・・空調装置、205c・・・テレビジョン受信機、205d・・・風呂、206・・・電動車両、206a・・・電気自動車、206b・・・ハイブリッドカー、206c・・・電気バイク、207・・・スマートメータ、208・・・パワーハブ、209・・・電力網、210・・・制御装置、211・・・センサ、212・・・情報網、213・・・サーバ、300・・・ハイブリッド車両、301・・・エンジン、302・・・発電機、303・・・電力駆動力変換装置、304a,304b・・・駆動輪、305a,305b・・・車輪、308・・・バッテリー、309・・・車両制御装置、310・・・各種センサ、311・・・充電口

Claims (18)

  1. 球状の黒鉛材料の表面および内部にリチウム吸蔵可能なチタン含有無機酸化物が存在し、該黒鉛材料断面の元素マッピングにより観察される該チタン含有無機酸化物が、該黒鉛材料の表面から、該黒鉛材料の平均粒径の4%以上の深さまで存在する複合黒鉛材料からなる
    非水電解質二次電池用負極活物質。
  2. 上記チタン含有無機酸化物が、上記黒鉛材料100質量部に対して0.1質量部以上7.0質量部以下含まれる
    請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
  3. 上記チタン含有無機酸化物が、チタン酸リチウム(Li4Ti512)、酸化チタン(TiO2)およびチタン酸ナトリウム(Na2Ti613)からなる群より選択された少なくとも一種である
    請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
  4. 平均粒径が5μm以上30μm以下である
    請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
  5. 負圧環境下において、チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を球状化天然黒鉛からなる黒鉛材料に含浸させ、
    上記溶液を含浸させた上記黒鉛材料から上記溶媒を除去して、上記黒鉛材料の表面および内部に上記有機化合物が存在する前駆体を形成し、
    上記前駆体を焼成する
    非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  6. 上記負圧が、大気圧より0.08MPaG低い圧力である
    請求項5に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  7. 上記チタン含有有機化合物が、チタンアルコキシドである
    請求項5に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  8. 上記チタンアルコキシドが、チタンテトライソプロポキシドを含む
    請求項7に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  9. 上記前駆体の焼成温度が500℃以上1000℃以下である
    請求項5に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  10. チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を鱗片状または塊状の天然黒鉛からなる黒鉛材料に含浸させ、
    上記溶液を含浸させた上記黒鉛材料から上記溶媒を除去し、
    表面に上記有機化合物が存在する上記黒鉛材料を球状化処理した前駆体を形成し、
    上記前駆体を焼成する
    非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  11. チタン含有有機化合物と溶媒とを含有する溶液を鱗片状または塊状の天然黒鉛からなる黒鉛材料に含浸させ、
    上記溶液を含浸させた上記黒鉛材料から上記溶媒を除去し、
    表面に上記有機化合物が存在する上記黒鉛材料を焼成し、
    焼成後の表面に上記有機化合物が存在する上記黒鉛材料を球状化処理する
    非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  12. 正極と、
    球状の黒鉛材料の表面および内部にリチウム吸蔵可能なチタン含有無機酸化物が存在し、該黒鉛材料断面の元素マッピングにより観察される該無機酸化物が、該黒鉛材料の表面から、該黒鉛材料の平均粒径の4%以上の深さまで存在する複合黒鉛材料からなる負極活物質を含む負極と、
    非水電解質と
    を備える非水電解質二次電池。
  13. 請求項12に記載の非水電解質二次電池と、
    上記電池を制御する制御部と、
    上記電池を内包する外装と
    を有する電池パック。
  14. 請求項12に記載の非水電解質二次電池を備え、
    上記電池から電力の供給を受ける
    電子機器。
  15. 請求項12に記載の非水電解質二次電池と、
    上記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
    上記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
    を有する電動車両。
  16. 請求項12に記載の非水電解質二次電池を備え、
    上記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
  17. 他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
    上記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、上記電池の充放電制御を行う
    請求項16に記載の蓄電装置。
  18. 請求項12に記載の非水電解質二次電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から上記電池に電力が供給される
    電力システム。
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