以下、添付図面を参照して、本願の開示する混合装置、混合方法および基板処理システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
従来、基板処理システムにおいて、リン酸水溶液とシリコン酸化物の析出を抑制する添加剤とを含んだエッチング液に基板を浸漬することで、かかる基板にエッチング処理を行うことが知られている。
たとえば、リン酸(H3PO4)水溶液に基板を浸漬することで、基板上に積層されたシリコン窒化膜(SiN)およびシリコン酸化膜(SiO2)のうち、シリコン窒化膜を選択的にエッチングすることができる。
さらに、リン酸水溶液にシリコン酸化物の析出を抑制する添加剤(以下、「析出抑制剤」とも呼称する。)を追加することにより、エッチング処理の際にシリコン酸化膜上にシリコン酸化物が析出することを抑制することができる。
しかしながら、このエッチング液を生成する際に、リン酸水溶液と析出抑制剤とが良好に混合されていないと、エッチング処理の際にエッチングむらなどの不具合が生じる恐れがある。一方で、リン酸水溶液と析出抑制剤とを良好に混合するため、かかる混合処理に時間を多くかけると、エッチング処理に必要な液量を十分に供給できない恐れがある。
そこで、リン酸水溶液と析出抑制剤とを効率的に混合することができる技術が期待されている。
<基板処理システムの構成>
まず、実施形態に係る基板処理システム1の構成について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る基板処理システム1の構成を示す概略ブロック図である。
基板処理システム1は、混合装置10と、基板処理装置30とを備える。混合装置10は、リン酸水溶液Lと、シリコン酸化物の析出を抑制する析出抑制剤と、シリコン含有化合物水溶液(以下、「シリコン溶液」とも呼称する。)とを混合して、エッチング液Eを生成する。析出抑制剤は添加剤の一例であり、エッチング液Eは混合液の一例である。
すなわち、実施形態に係るエッチング液Eは、リン酸水溶液Lと、析出抑制剤と、シリコン溶液とを含有する。なお、実施形態に係るエッチング液Eは、必ずしもシリコン溶液を含有しなくともよい。
基板処理装置30は、混合装置10で生成されたエッチング液EにウェハWを浸漬して、かかるウェハWにエッチング処理を施す。ウェハWは、基板の一例である。実施形態では、たとえば、ウェハW上に形成されたシリコン窒化膜(SiN)およびシリコン酸化膜(SiO2)のうち、シリコン窒化膜を選択的にエッチングすることができる。
混合装置10は、リン酸水溶液供給部11と、析出抑制剤供給部12と、シリコン溶液供給部13と、タンク14と、循環路15とを備える。析出抑制剤供給部12は、添加剤供給部の一例である。
リン酸水溶液供給部11は、リン酸水溶液Lをタンク14に供給する。かかるリン酸水溶液供給部11は、リン酸水溶液供給源11aと、リン酸水溶液供給路11bと、流量調整器11cとを有する。
リン酸水溶液供給源11aは、たとえば、リン酸水溶液Lを貯留するタンクである。リン酸水溶液供給路11bは、リン酸水溶液供給源11aとタンク14とを接続し、リン酸水溶液供給源11aからタンク14にリン酸水溶液Lを供給する。
流量調整器11cは、リン酸水溶液供給路11bに設けられ、タンク14に供給されるリン酸水溶液Lの流量を調整する。流量調整器11cは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
析出抑制剤供給部12は、析出抑制剤をタンク14に供給する。かかる析出抑制剤供給部12は、析出抑制剤供給源12aと、析出抑制剤供給路12bと、流量調整器12cとを有する。析出抑制剤供給路12bは、添加剤供給路の一例である。
析出抑制剤供給源12aは、たとえば、析出抑制剤を貯留するタンクである。析出抑制剤供給路12bは、析出抑制剤供給源12aとタンク14とを接続し、析出抑制剤供給源12aからタンク14に析出抑制剤を供給する。
また、析出抑制剤供給路12bは、出口に析出抑制剤供給口12dを有する。析出抑制剤供給口12dは、添加剤供給口の一例である。そして、かかる析出抑制剤供給口12dから、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lの液面Laに析出抑制剤が吐出される。
流量調整器12cは、析出抑制剤供給路12bに設けられ、タンク14に供給される析出抑制剤の流量を調整する。流量調整器12cは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
実施形態に係る析出抑制剤は、シリコン酸化物の析出を抑止する成分を含むものであればよい。たとえば、リン酸水溶液Lに溶解したシリコンイオンを溶解した状態で安定化させてシリコン酸化物の析出を抑制するような成分を含んでもよい。また、その他の公知の方法でシリコン酸化物の析出を抑制するような成分を含んでもよい。
実施形態に係る析出抑制剤には、たとえば、フッ素成分を含むヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)水溶液を用いることができる。また、水溶液中のヘキサフルオロケイ酸を安定化させるため、アンモニアなどの添加物を含んでもよい。
実施形態に係る析出抑制剤としては、たとえば、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(NH4)2SiF6や、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム(Na2SiF6)などを用いることができる。
また、実施形態に係る析出抑制剤は、イオン半径が0.2Åから0.9Åの陽イオンである元素を含む化合物であってもよい。ここで、「イオン半径」とは、結晶格子の格子定数から得られる陰イオンと陽イオンの半径の和から経験に求められたイオンの半径である。
実施形態に係る析出抑制剤は、たとえば、アルミニウム、カリウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、モリブデン、ハフニウム、ニッケルおよびクロムのいずれかの元素の酸化物を含んでもよい。
また、実施形態に係る析出抑制剤は、上述のいずれかの元素の酸化物に代えてまたは加えて、上述のいずれかの元素の窒化物、塩化物、臭化物、水酸化物および硝酸塩のうち少なくとも1つを含んでもよい。
実施形態に係る析出抑制剤は、たとえば、Al(OH)3、AlCl3、AlBr3、Al(NO3)3、Al2(SO4)3、AlPO4およびAl2O3のうち少なくとも1つを含んでもよい。
また、実施形態に係る析出抑制剤は、KCl、KBr、KOHおよびKNO3のうち少なくとも1つを含んでもよい。さらに、実施形態に係る析出抑制剤は、LiCl、NaCl、MgCl2、CaCl2およびZrCl4のうち少なくとも1つを含んでもよい。
シリコン溶液供給部13は、シリコン溶液をタンク14に供給する。実施形態に係るシリコン溶液は、たとえば、コロイダルシリコンを分散させた溶液である。シリコン溶液供給部13は、シリコン溶液供給源13aと、シリコン溶液供給路13bと、流量調整器13cとを有する。
シリコン溶液供給源13aは、たとえば、シリコン溶液を貯留するタンクである。シリコン溶液供給路13bは、シリコン溶液供給源13aとタンク14とを接続し、シリコン溶液供給源13aからタンク14にシリコン溶液を供給する。
流量調整器13cは、シリコン溶液供給路13bに設けられ、タンク14に供給されるシリコン溶液の流量を調整する。流量調整器13cは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
タンク14は、リン酸水溶液供給部11から供給されるリン酸水溶液Lと、析出抑制剤供給部12から供給される析出抑制剤と、シリコン溶液供給部13から供給されるシリコン溶液とを貯留する。また、タンク14は、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とシリコン溶液とが混ぜられて生成されるエッチング液Eを貯留する。
循環路15は、タンク14から出て、かかるタンク14に戻る循環ラインである。循環路15は、タンク14の底部に設けられる入口15aと、タンク14の上部に設けられる出口15bとを有し、かかる入口15aから出口15bに向かって流れる循環流を形成する。なお、実施形態では、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lの液面Laの上方に出口15bが配置される。
循環路15には、タンク14を基準として、上流側から順にポンプ16と、ヒータ17と、開閉弁18と、フィルタ19と、分岐部15cとが設けられる。また、分岐部15cからは、基板処理装置30の処理槽31にエッチング液Eを送る送液路22が分岐している。
ポンプ16は、タンク14から出て、循環路15を通り、タンク14に戻るリン酸水溶液Lの循環流を形成する。
ヒータ17は、循環路15内を循環するリン酸水溶液Lを加温する。実施形態では、かかるヒータ17でリン酸水溶液Lを加温することによって、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lを加温する。
フィルタ19は、循環路15内を循環するエッチング液Eに含まれるパーティクルなどの汚染物質を除去する。なお、循環路15には、かかるフィルタ19をバイパスするバイパス流路20が設けられ、かかるバイパス流路20には開閉弁21が設けられる。
そして、循環路15に設けられる開閉弁18とバイパス流路20に設けられる開閉弁21とを互い違いに開閉することにより、フィルタ19を流れる循環流と、フィルタ19をバイパスする循環流とのいずれかを形成することができる。
ここで、実施形態では、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とを効率的に混合するため、リン酸水溶液Lに流動性を与えながら析出抑制剤を供給する。たとえば、実施形態では、ポンプ16を作動させて循環路15に循環流を形成することにより、リン酸水溶液Lに流動性を与える。
このように、リン酸水溶液Lに流動性を与えながら析出抑制剤を供給することにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積を増やすことができる。したがって、実施形態によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とを効率的に混合することができる。
また、実施形態では、析出抑制剤供給路12bからタンク14に析出抑制剤を供給する析出抑制剤供給口12dが、循環路15の出口15bに隣接して設けられるとよい。これにより、出口15bから吐出され、大きな流動性を有するリン酸水溶液Lに析出抑制剤を直接的に供給することができる。
したがって、実施形態によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積をさらに増やすことができることから、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
ここで、混合装置10におけるエッチング液生成処理の詳細について、図2を参照しながら説明する。図2は、実施形態に係るエッチング液生成処理における混合装置10の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。なお、かかる混合装置10の各部は、基板処理システム1に設けられる制御部(図示せず)により制御される。
かかる制御部は、図1に示した基板処理システム1の各部(混合装置10、基板処理装置30など)の動作を制御する。制御部は、スイッチや各種センサなどからの信号に基づいて、基板処理システム1の各部の動作を制御する。
この制御部は、たとえばコンピュータであり、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(図示せず)を有する。かかる記憶媒体には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。
制御部は、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されていたものであって、他の記憶媒体から制御部の記憶媒体にインストールされたものであってもよい。
コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
図2に示すように、実施形態に係るエッチング液生成処理では、混合処理と、加温処理と、フィルトレーション処理とが順に実施される。まず、制御部は、時間T0からリン酸水溶液供給部11を動作させて(ON状態にして)、タンク14にリン酸水溶液Lを供給することにより、混合処理を開始する。
なお、かかる時間T0の時点では、析出抑制剤供給部12と、シリコン溶液供給部13と、ポンプ16と、ヒータ17とは動作していない(OFF状態である)。また、かかる時間T0の時点では、開閉弁18が閉状態であるとともに開閉弁21が開状態であることから、フィルタ19がバイパス流路20でバイパスされている状態(フィルタバイパスがON状態)である。
次に、タンク14に所定の量のリン酸水溶液Lが貯留された時間T1で、制御部は、ポンプ16を動作させて(ON状態にして)、循環路15に循環流を形成する。これにより、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに流動性を与えることができる。
なお、タンク14に所定の量のリン酸水溶液Lが貯留された後にポンプ16を動作させることにより、循環路15に空気が混入してポンプ16に不具合が生じることを抑制することができる。
次に、時間T1から所定の時間経過し、リン酸水溶液Lに十分な流動性が与えられた時間T2で、制御部は、析出抑制剤供給部12を動作させて(ON状態にして)、タンク14に析出抑制剤を供給する。
これにより、十分な流動性が与えられたリン酸水溶液Lに析出抑制剤を混ぜることができることから、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とを効率的に混合することができる。
また、実施形態では、タンク14内で流動するリン酸水溶液Lの液面La上に広がるように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、実施形態では、リン酸水溶液Lの流動性に合わせて、析出抑制剤を少量ずつ供給するとよい。換言すると、実施形態では、リン酸水溶液Lの流動性に基づいて、析出抑制剤の供給量を設定するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lでの析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することで発生する析出抑制剤のゲル化を抑制することができる。
次に、時間T2から所定の時間経過した時間T3で、制御部は、シリコン溶液供給部13を動作させて(ON状態にして)、タンク14にシリコン溶液を供給する。そして、析出抑制剤およびシリコン溶液がタンク14に所定の量供給された時間T4で、制御部は、析出抑制剤供給部12およびシリコン溶液供給部13を停止する(OFF状態にする)。
次に、リン酸水溶液Lがタンク14に所定の量供給された時間T5で、制御部は、リン酸水溶液供給部11を停止する(OFF状態にする)。そして、時間T6まで循環路15内に循環流を形成してタンク14内の薬液を混ぜることにより、混合処理が完了する。
なお、図2の例では、析出抑制剤よりもシリコン溶液を遅いタイミングで供給開始する例について示したが、析出抑制剤とシリコン溶液とを同じタイミング(時間T2)で供給開始してもよい。
つづいて、制御部は、時間T6からヒータ17を動作させて(ON状態にして)、循環路15内を循環するエッチング液Eを加温することにより、加温処理を開始する。制御部は、かかるヒータ17でエッチング液Eを加温することによって、タンク14に貯留されるエッチング液Eを加温する。
なお、タンク14に設けられる液面センサ(図示せず)を用いてリン酸水溶液Lや析出抑制剤などの液量を秤量する場合に、貯留されるリン酸水溶液Lの温度変化は秤量の精度に悪影響を与える場合がある。
そこで、実施形態では、各薬液の秤量が完了し、混合処理が完了した時点(時間T6)から加温処理を開始する。これにより、各薬液の秤量精度を良好に維持することができる。
次に、タンク14内のエッチング液Eが所定の温度(たとえば、165℃)まで加温された時間T7で、加温処理が完了する。このように、実施形態では、加温処理を実施するヒータ17を混合装置10に設けることにより、加温されたエッチング液Eを基板処理装置30に供給することができる。
また、実施形態では、ヒータ17を混合装置10の循環路15に設けることにより、エッチング液Eを効率的に加温することができる。
なお、実施形態に係るエッチング液生成処理では、混合処理が完了した後に加温処理を開始している。これは、加温されて温度が上昇したリン酸水溶液Lに有機溶剤を含んだ析出抑制剤を供給すると、かかる析出抑制剤が突沸してしまう恐れがあるからである。
すなわち、実施形態によれば、混合処理が完了した後に加温処理を開始することにより、供給の際に析出抑制剤が突沸することを抑制することができる。
また同様に、加温されて温度が上昇したリン酸水溶液Lに水分を含んだシリコン溶液を供給すると、かかるシリコン溶液が突沸してしまう恐れがある。すなわち、実施形態によれば、混合処理が完了した後に加温処理を開始することにより、供給の際にシリコン溶液が突沸することを抑制することができる。
つづいて、制御部は、時間T7からフィルタバイパスをOFF状態にすることにより、フィルトレーション処理を開始する。すなわち、制御部は、時間T7から開閉弁18を開状態に変更するとともに開閉弁21を閉状態に変更して、フィルタ19を流れる循環流を循環路15に形成する。これにより、エッチング液Eに含まれるパーティクルなどの汚染物質が除去される。
そして、エッチング液Eに含まれるパーティクルなどの汚染物質が十分に除去された時間T8で、フィルトレーション処理が完了する。ここまでの処理によって、実施形態に係るエッチング液生成処理が完了する。
なお、実施形態に係るエッチング液生成処理では、混合処理および加温処理においてフィルタバイパスをON状態にしている。これにより、循環路15において、フィルタ19で発生する圧力損失を低減することができることから、タンク14に貯留されたリン酸水溶液Lを効率よく循環させることができる。
したがって、実施形態によれば、フィルタバイパスをON状態にすることにより、リン酸水溶液Lに効率よく流動性を与えることができる。なお、加温処理が完了するまでは、フィルタ19でリン酸水溶液Lなどを濾過する必要はないことから、バイパス流路20を介して循環させたとしても特に問題はない。
図1に戻り、基板処理システム1のその他の部位の説明を続ける。基板処理装置30は、混合装置10で生成されたエッチング液EにウェハWを浸漬して、かかるウェハWにエッチング処理を施す。
基板処理装置30は、処理槽31と、循環路32と、DIW供給部33と、エッチング液排出部34とを備える。処理槽31は、内槽31aと外槽31bとを有する。
内槽31aは、上部が開放され、エッチング液Eが上部付近まで供給される。かかる内槽31aでは、基板昇降機構35で複数のウェハWがエッチング液Eに浸漬され、ウェハWにエッチング処理が行われる。かかる基板昇降機構35は、昇降可能に構成され、複数のウェハWを垂直姿勢で前後に並べて保持する。
外槽31bは、内槽31aの上部周囲に設けられるとともに、上部が開放される。外槽31bには、内槽31aからオーバーフローしたエッチング液Eが流入する。また、外槽31bには、混合装置10からエッチング液Eが送液路22を介して供給され、DIW供給部33からDIW(DeIonized Water:脱イオン水)が供給される。
なお、送液路22には、流量調整器23が設けられる。かかる流量調整器23は、処理槽31に供給されるエッチング液Eの流量を調整する。流量調整器23は、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
DIW供給部33は、DIW供給源33aと、DIW供給路33bと、流量調整器33cとを有する。DIW供給部33は、加温されたエッチング液Eから蒸発した水分を補給するため、外槽31bにDIWを供給する。
DIW供給路33bは、DIW供給源33aと外槽31bとを接続し、DIW供給源33aから外槽31bに所定温度のDIWを供給する。
流量調整器33cは、DIW供給路33bに設けられ、外槽31bへ供給されるDIWの供給量を調整する。流量調整器33cは、開閉弁や流量制御弁、流量計などで構成される。流量調整器33cによってDIWの供給量が調整されることで、エッチング液Eの温度、リン酸濃度、シリコン濃度および析出抑制剤濃度が調整される。
また、外槽31bには、温度センサ36とリン酸濃度センサ37とが設けられる。温度センサ36は、エッチング液Eの温度を検出し、リン酸濃度センサ37は、エッチング液Eのリン酸濃度を検出する。温度センサ36およびリン酸濃度センサ37で生成された信号は、上述の制御部に送信される。
外槽31bと内槽31aとは、循環路32によって接続される。循環路32の一端は外槽31bの底部に接続され、循環路32の他端は内槽31a内に設置される処理液供給ノズル38に接続される。
循環路32には、外槽31b側から順に、ポンプ39と、ヒータ40と、フィルタ41と、シリコン濃度センサ42とが設けられる。
ポンプ39は、外槽31bから循環路32を経て内槽31aに送られるエッチング液Eの循環流を形成する。また、エッチング液Eは、内槽31aからオーバーフローすることで、再び外槽31bへと流出する。このようにして、基板処理装置30内にエッチング液Eの循環流が形成される。すなわち、かかる循環流は、外槽31b、循環路32および内槽31aにおいて形成される。
ヒータ40は、循環路32を循環するエッチング液Eの温度を調整する。フィルタ41は、循環路32を循環するエッチング液Eを濾過する。シリコン濃度センサ42は、循環路32を循環するエッチング液Eのシリコン濃度を検出する。シリコン濃度センサ42で生成された信号は、制御部に送信される。
エッチング液排出部34は、エッチング処理で使用されたエッチング液Eの全部、または一部を入れ替える際にエッチング液EをドレインDRに排出する。エッチング液排出部34は、排出路34aと、流量調整器34bと、冷却タンク34cとを有する。
排出路34aは、循環路32に接続される。流量調整器34bは、排出路34aに設けられ、排出されるエッチング液Eの排出量を調整する。流量調整器34bは、開閉弁や流量制御弁、流量計などから構成される。
冷却タンク34cは、排出路34aを流れてきたエッチング液Eを一時的に貯留するとともに冷却する。冷却タンク34cでは、流量調整器34bによってエッチング液Eの排出量が調整される。
<変形例>
つづいて、実施形態に係る混合装置10の各種変形例について、図3〜図18を参照しながら説明する。図3は、実施形態の変形例1に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。
なお、以下の各種変形例では、実施形態と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。また、以降の図面では、混合処理に対する理解の容易のため、タンク14にリン酸水溶液Lが貯留される状態について示す。
図3に示すように、変形例1に係る混合装置10では、析出抑制剤供給部12における析出抑制剤供給路12bの構成が実施形態と異なる。具体的には、析出抑制剤供給路12bが複数の流路に分岐される。
そして、変形例1では、析出抑制剤供給口12dがタンク14の上部に水平方向に複数分割されて設けられる。すなわち、変形例1では、複数の析出抑制剤供給口12dが水平方向に互いに異なった位置に設けられている。
なお、本開示において、「タンク14の上部」とは、タンク14の高さ方向における中央から上側のことであり、「タンク14の下部」とは、タンク14の高さ方向における中央から下側のことである。
この変形例1では、析出抑制剤供給部12が、複数の析出抑制剤供給口12dを用いて析出抑制剤を多点に分割し、貯留されるリン酸水溶液Lの液面Laに供給する。これにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積を増やすことができる。したがって、変形例1によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例1では、析出抑制剤を多点に分割してリン酸水溶液Lに供給することから、リン酸水溶液Lでの析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することを抑制することができる。これにより、析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することで発生する析出抑制剤のゲル化を抑制することができる。
したがって、変形例1によれば、ゲル化していない良好な状態の析出抑制剤をリン酸水溶液Lに混合することができる。なお、図3の例では、析出抑制剤供給路12bを4つの流路に分岐させた例について示したが、分岐させる流路の数は4つに限られない。
また、変形例1では、タンク14内で流動するリン酸水溶液Lの液面La上に広がるように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、変形例1では、リン酸水溶液Lの流動性に合わせて、析出抑制剤を少量ずつ供給するとよい。換言すると、変形例1では、リン酸水溶液Lの流動性に基づいて、析出抑制剤の供給量を設定するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lでの析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することをさらに抑制することができることから、析出抑制剤のゲル化をさらに抑制することができる。
図4は、実施形態の変形例1に係るエッチング液生成処理における混合装置10の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。図4に示すように、変形例1に係るエッチング液生成処理では、析出抑制剤の供給タイミングが実施形態と異なる。
具体的には、変形例1では、時間T0で混合処理が開始された後、ポンプ16を動作させるタイミング(時間T1)と同じタイミングで、析出抑制剤の供給を開始する。その後の処理は実施形態と同様であることから、詳細な説明は省略する。
図5は、実施形態の変形例2に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図5に示すように、変形例2に係る混合装置10では、複数の析出抑制剤供給口12dの配置が変形例1と異なる。
具体的には、複数の析出抑制剤供給口12dが、水平方向のみならず、高さ方向にも分割されて配置されている。換言すると、変形例2では、複数の析出抑制剤供給口12dは、水平方向および高さ方向に互いに異なった位置に設けられている。
これにより、析出抑制剤をさらに広い範囲に多点で供給することができることから、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例2では、析出抑制剤を貯留されるリン酸水溶液Lの液面Laのみならず、リン酸水溶液Lの液中にも供給することができる。そして、実施形態に係る析出抑制剤は、有機溶剤を含むことから、比重がリン酸水溶液Lよりも軽い。
そこで、変形例2のように析出抑制剤をリン酸水溶液Lの液中に供給することにより、リン酸水溶液Lの液面Laのみに析出抑制剤が滞留することを抑制することができる。
すなわち、変形例2では、析出抑制剤をリン酸水溶液Lの液中に供給することにより、析出抑制剤の濃度が液面Laで局所的に増加して、析出抑制剤がゲル化することを抑制することができる。したがって、変形例2によれば、ゲル化していない良好な状態の析出抑制剤をリン酸水溶液Lに混合することができる。
また、変形例2では、タンク14内で流動するリン酸水溶液Lの液中に、かかるリン酸水溶液Lの流動性を損なわないように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、リン酸水溶液Lの流速よりも遅い流速で析出抑制剤を供給するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lの流動性が損なわれて、析出抑制剤が良好に混合されないことを抑制することができる。
なお、変形例2でのエッチング液生成処理は、図4の例と同様のタイミングチャートで実施すればよい。
図6は、実施形態の変形例3に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図6に示すように、変形例3に係る混合装置10では、析出抑制剤供給口12dにシャワーノズル12eが設けられる。かかるシャワーノズル12eは、タンク14の上部に設けられ、析出抑制剤をリン酸水溶液Lの液面Laに供給する。
この変形例3では、シャワーノズル12eが、貯留されるリン酸水溶液Lの液面Laに薄くのばすように析出抑制剤を供給する。これにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積をさらに増やすことができる。したがって、変形例3によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例3では、析出抑制剤をシャワーノズル12eで薄くのばすようにリン酸水溶液Lに供給することから、リン酸水溶液L内での析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することを抑制することができる。
したがって、変形例3によれば、析出抑制剤がリン酸水溶液Lに供給された際にゲル化することを抑制することができる。
また、変形例3では、タンク14内で流動するリン酸水溶液Lの液面La上に広がるように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、変形例3では、リン酸水溶液Lの流動性に合わせて、析出抑制剤を少量ずつ供給するとよい。換言すると、変形例3では、リン酸水溶液Lの流動性に基づいて、析出抑制剤の供給量を設定するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lでの析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することをさらに抑制することができることから、析出抑制剤のゲル化をさらに抑制することができる。
なお、変形例3でのエッチング液生成処理は、図4の例と同様のタイミングチャートで実施すればよい。また、シャワーノズル12eは、タンク14の上部に設けられる場合に限られず、タンク14の下部に設けられていてもよい。そして、かかるタンク14の下部に設けられるシャワーノズル12eから、貯留されるリン酸水溶液Lの液中に析出抑制剤が供給されてもよい。
図7は、実施形態の変形例4に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図7に示すように、変形例4に係る混合装置10では、リン酸水溶液供給路11bにミキサー11dが設けられる。かかるミキサー11dは、たとえば、インラインミキサーやスタティックミキサーなどである。
そして、析出抑制剤供給部12は、ミキサー11dに析出抑制剤を供給する。これにより、ミキサー11dで大きな流動性を与えられたリン酸水溶液Lに析出抑制剤を供給することができる。
したがって、変形例4によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例4では、リン酸水溶液供給路11b内で流動するリン酸水溶液Lの液中に、かかるリン酸水溶液Lの流動性を損なわないように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、リン酸水溶液Lの流速よりも遅い流速で析出抑制剤を供給するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lの流動性が損なわれて、析出抑制剤が良好に混合されないことを抑制することができる。なお、変形例4でのエッチング液生成処理は、図4の例と同様のタイミングチャートで実施すればよい。
図8は、実施形態の変形例5に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図8に示すように、変形例5に係る混合装置10では、析出抑制剤供給部12の析出抑制剤供給口12dがタンク14の下部に設けられる。そして、かかる析出抑制剤供給口12dから、析出抑制剤がリン酸水溶液Lの液中に供給される。
これにより、リン酸水溶液Lの液面Laのみに析出抑制剤が滞留することを抑制することができることから、析出抑制剤の濃度が液面Laで局所的に増加して、析出抑制剤がゲル化することを抑制することができる。
したがって、変形例5によれば、ゲル化していない良好な状態の析出抑制剤をリン酸水溶液Lに混合することができる。
また、変形例5では、タンク14内で流動するリン酸水溶液Lの液中に、かかるリン酸水溶液Lの流動性を損なわないように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、リン酸水溶液Lの流速よりも遅い流速で析出抑制剤を供給するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lの流動性が損なわれて、析出抑制剤が良好に混合されないことを抑制することができる。なお、変形例5でのエッチング液生成処理は、図2の例と同様のタイミングチャートで実施すればよい。
図9は、実施形態の変形例6に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。
図9に示すように、変形例6に係る混合装置10では、析出抑制剤供給部12の析出抑制剤供給路12bの構成が変形例5と異なる。
具体的には、析出抑制剤供給路12bが複数の流路に分岐され、析出抑制剤供給口12dがタンク14の下部に水平方向に複数分割されて設けられる。そして、変形例6では、複数の析出抑制剤供給口12dが析出抑制剤を多点に分割して、貯留されるリン酸水溶液Lの液中に析出抑制剤を供給する。
これにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積を増やすことができることから、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例6では、リン酸水溶液Lの液面Laのみに析出抑制剤が滞留することを抑制することができることから、析出抑制剤の濃度が液面Laで局所的に増加して、析出抑制剤がゲル化することを抑制することができる。
したがって、変形例6によれば、ゲル化していない良好な状態の析出抑制剤をリン酸水溶液Lに混合することができる。
また、変形例6では、タンク14内で流動するリン酸水溶液Lの液中に、かかるリン酸水溶液Lの流動性を損なわないように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、リン酸水溶液Lの流速よりも遅い流速で析出抑制剤を供給するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lの流動性が損なわれて、析出抑制剤が良好に混合されないことを抑制することができる。
なお、変形例6でのエッチング液生成処理は、図2の例と同様のタイミングチャートで実施すればよい。また、図9の例では、析出抑制剤供給路12bを5つの流路に分岐させた例について示したが、分岐させる流路の数は5つに限られない。
図10は、実施形態の変形例7に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図10に示すように、変形例7に係る混合装置10では、析出抑制剤供給部12の析出抑制剤供給口12dが、タンク14の下部において循環路15の入口15aに隣接して設けられる。そして、かかる析出抑制剤供給口12dから、析出抑制剤が循環路15の入口15aに向かって供給される。
これにより、リン酸水溶液Lの液面Laのみに析出抑制剤が滞留することを抑制することができることから、析出抑制剤の濃度が液面Laで局所的に増加して、析出抑制剤がゲル化することを抑制することができる。したがって、変形例7によれば、ゲル化していない良好な状態の析出抑制剤をリン酸水溶液Lに混合することができる。
また、変形例7では、析出抑制剤が循環路15に速やかに取り込まれることから、大きな流動性を与えられた循環路15内のリン酸水溶液Lに析出抑制剤を供給することができる。したがって、変形例7によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例7では、析出抑制剤供給部12に対するポンプ16の脈動の影響を低減することができる。したがって、変形例7によれば、析出抑制剤供給部12からの析出抑制剤の供給精度を向上させることができる。
また、変形例7では、タンク14内で流動するリン酸水溶液Lの液中に、かかるリン酸水溶液Lの流動性を損なわないように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、リン酸水溶液Lの流速よりも遅い流速で析出抑制剤を供給するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lの流動性が損なわれて、析出抑制剤が良好に混合されないことを抑制することができる。なお、変形例7でのエッチング液生成処理は、図2の例と同様のタイミングチャートで実施すればよい。
図11は、実施形態の変形例8に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図11に示すように、変形例8に係る混合装置10では、循環路15における分岐部15cよりも下流側にミキサー15dが設けられる。かかるミキサー15dは、たとえば、インラインミキサーやスタティックミキサーなどである。
そして、析出抑制剤供給部12は、ミキサー15dに析出抑制剤を供給する。これにより、ポンプ16で流動性が与えられたリン酸水溶液Lに、さらにミキサー15dで流動性を与えた状態で析出抑制剤を供給することができる。したがって、変形例8によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例8では、ミキサー15dがポンプ16やフィルタ19よりも循環路15の下流側に設けられる。これにより、仮に析出抑制剤がゲル化したとしても、かかるゲル化した析出抑制剤がポンプ16やフィルタ19に詰まることを抑制することができる。
また、変形例8では、循環路15内で流動するリン酸水溶液Lの液中に、かかるリン酸水溶液Lの流動性を損なわないように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、リン酸水溶液Lの流速よりも遅い流速で析出抑制剤を供給するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lの流動性が損なわれて、析出抑制剤が良好に混合されないことを抑制することができる。なお、変形例8でのエッチング液生成処理は、図2の例と同様のタイミングチャートで実施すればよい。
図12は、実施形態の変形例9に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図12に示すように、変形例9に係る混合装置10では、循環路15におけるポンプ16よりも上流側に合流部15eが設けられる。
そして、析出抑制剤供給部12は、かかる合流部15eに析出抑制剤を供給する。これにより、流動性が与えられた循環路15内のリン酸水溶液Lに析出抑制剤を供給することができる。したがって、変形例9によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例9では、合流部15eがポンプ16よりも上流側に設けられることから、かかるポンプ16の内部でリン酸水溶液Lと析出抑制剤とを混合させることができる。すなわち、変形例9では、ポンプ16がミキサーの機能を有する。
これにより、別途ミキサーを追加する必要がなくなることから、低コストで効率的にリン酸水溶液Lと析出抑制剤とを混合することができる。
また、変形例9では、循環路15内で流動するリン酸水溶液Lの液中に、かかるリン酸水溶液Lの流動性を損なわないように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、リン酸水溶液Lの流速よりも遅い流速で析出抑制剤を供給するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lの流動性が損なわれて、析出抑制剤が良好に混合されないことを抑制することができる。なお、変形例9でのエッチング液生成処理は、図2の例と同様のタイミングチャートで実施すればよい。
図13は、実施形態の変形例10に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図13に示すように、変形例10に係る混合装置10では、析出抑制剤供給部12の析出抑制剤供給口12dがタンク14の上部に設けられる。
さらに、変形例10に係る混合装置10には、攪拌装置がタンク14に設けられる。たとえば、図13の例では、攪拌装置の一例であるバブリング装置24がタンク14に設けられる。
かかるバブリング装置24は、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lをバブリングガスでバブリングする。バブリング装置24は、バブリングガス供給源24aと、バブリングガス供給路24bと、流量調整器24cと、バブリングノズル24dとを有する。
バブリング装置24では、バブリングガス供給源24aからバブリングガス供給路24bを介してバブリングノズル24dにバブリングガスを供給する。バブリングノズル24dは、たとえば、タンク14の底部に設けられ、水平方向に延在する。
また、バブリングノズル24dには、バブリングガスを吐出する複数の吐出口(図示せず)が水平方向に並んで設けられる。そして、かかる複数の吐出口からバブリングガスが吐出されることにより、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lをバブリングすることができる。バブリングガスは、たとえば、窒素ガスなどの不活性ガスである。
そして、変形例10では、このバブリング装置24を作動させることにより、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに対して上昇流による流動性を与えることができる。
このように、リン酸水溶液Lにさらなる流動性を与えながら析出抑制剤を供給することにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積をさらに増やすことができる。したがって、変形例10によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをさらに効率的に混合することができる。
また、変形例10では、駆動部分がないバブリング装置24を攪拌装置として用いていることから、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lへの不純物の混入を抑制することができる。
図14は、実施形態の変形例10に係るエッチング液生成処理における混合装置10の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。まず、制御部は、時間T0からリン酸水溶液供給部11を動作させて(ON状態にして)、タンク14にリン酸水溶液Lを供給することにより、混合処理を開始する。
なお、かかる時間T0の時点では、析出抑制剤供給部12と、シリコン溶液供給部13と、ポンプ16と、ヒータ17とは動作していない(OFF状態である)。また、かかる時間T0の時点では、フィルタバイパスがON状態であり、攪拌装置(バブリング装置24)が動作していない(OFF状態である)。
次に、タンク14に所定の量のリン酸水溶液Lが貯留された時間T1aで、制御部は、析出抑制剤供給部12を動作させて(ON状態にして)、タンク14に析出抑制剤を供給する。
さらに、析出抑制剤の供給開始と同じタイミング(時間T1a)で、制御部は、攪拌装置(バブリング装置24)を動作させる(ON状態にする)。これにより、リン酸水溶液Lに流動性を与えることができる。
したがって、流動性が与えられたリン酸水溶液Lに析出抑制剤を混ぜることができることから、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とを効率的に混合することができる。
なお、変形例10では、タンク14内で流動するリン酸水溶液Lの液面La上に広がるように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、変形例10では、リン酸水溶液Lの流動性に合わせて、析出抑制剤を少量ずつ供給するとよい。換言すると、変形例10では、リン酸水溶液Lの流動性に基づいて、析出抑制剤の供給量を設定するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lでの析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することを抑制することができることから、析出抑制剤のゲル化を抑制することができる。
次に、時間T1aから所定の時間経過した時間T2aで、制御部は、ポンプ16を動作させて(ON状態にして)、循環路15に循環流を形成する。これにより、リン酸水溶液Lにさらなる流動性を与えることができる。
次に、リン酸水溶液Lがタンク14に所定の量供給された時間T3aで、制御部は、リン酸水溶液供給部11を停止する(OFF状態にする)。そして、析出抑制剤がタンク14に所定の量供給された時間T4aで、制御部は、析出抑制剤供給部12を停止する(OFF状態にする)。
さらに、析出抑制剤の供給停止と同じタイミング(時間T4a)で、制御部は、シリコン溶液供給部13を動作させて(ON状態にして)、タンク14にシリコン溶液を供給する。
次に、シリコン溶液がタンク14に所定の量供給された時間T5aで、制御部は、シリコン溶液供給部13を停止する(OFF状態にする)。これにより、混合処理が完了する。
なお、図14の例では、析出抑制剤よりシリコン溶液を遅いタイミングで供給開始する例について示したが、析出抑制剤とシリコン溶液とを同じタイミング(時間T1a)で供給開始してもよい。
つづいて、制御部は、時間T5aからヒータ17を動作させて(ON状態にして)、循環路15内を循環するエッチング液Eを加温することにより、加温処理を開始する。制御部は、かかるヒータ17でエッチング液Eを加温することによって、タンク14に貯留されるエッチング液Eを加温する。
そして、タンク14内のエッチング液Eが所定の温度(たとえば、165℃)まで加温された時間T6aで、加温処理が完了する。つづいて、制御部は、時間T6aからフィルタバイパスをOFF状態にすることにより、フィルトレーション処理を開始する。
そして、エッチング液Eに含まれるパーティクルなどの汚染物質が十分に除去された時間T7aで、フィルトレーション処理が完了する。これにより、変形例10に係るエッチング液生成処理が完了する。
図15は、実施形態の変形例11に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図15に示すように、変形例11に係る混合装置10には、攪拌装置の別の一例である攪拌翼25がタンク14の下部に設けられる。
そして、変形例11では、かかる攪拌翼25を回動可能に構成される駆動装置(図示せず)を作動させることにより、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに対して渦流による流動性を与えることができる。
このように、リン酸水溶液Lにさらなる流動性を与えながら析出抑制剤を供給することにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積をさらに増やすことができる。したがって、変形例11によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをさらに効率的に混合することができる。
また、変形例11では、攪拌翼25の駆動装置を細かく制御することにより、攪拌速度を細かく制御することができる。これにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
なお、変形例11では、タンク14が円筒状に形成されているとよい。これにより、タンク14内のリン酸水溶液Lに対して円滑に渦流を形成することができることから、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例11では、タンク14内で流動するリン酸水溶液Lの液面La上に広がるように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、変形例11では、リン酸水溶液Lの流動性に合わせて、析出抑制剤を少量ずつ供給するとよい。換言すると、変形例11では、リン酸水溶液Lの流動性に基づいて、析出抑制剤の供給量を設定するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lでの析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することを抑制することができることから、析出抑制剤のゲル化を抑制することができる。
また、変形例11では、図8などに示したように、タンク14の下部に設けられる析出抑制剤供給口12dから、析出抑制剤をリン酸水溶液Lの液中に供給してもよい。
これにより、攪拌翼25で形成される渦流に析出抑制剤を積極的に巻き込むことができることから、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
この場合、循環路15内で流動するリン酸水溶液Lの液中に、かかるリン酸水溶液Lの流動性を損なわないように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、リン酸水溶液L内に形成される渦流よりも遅い流速で析出抑制剤を供給するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lの流動性が損なわれて、析出抑制剤が良好に混合されないことを抑制することができる。なお、変形例11でのエッチング液生成処理は、図14の例と同様のタイミングチャートで実施すればよい。
図16は、実施形態の変形例12に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図16に示すように、変形例12に係る混合装置10には、攪拌装置の別の一例である超音波発生装置26がタンク14の下部に設けられる。
かかる超音波発生装置26は、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに向けて超音波を発生することができる。そして、変形例12では、超音波発生装置26を作動させることにより、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに対して超音波による流動性を与えることができる。
このように、リン酸水溶液Lにさらなる流動性を与えながら析出抑制剤を供給することにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積をさらに増やすことができる。またさらに、変形例12では、超音波発生装置26からの超音波がリン酸水溶液Lの全体に伝達されることから、リン酸水溶液Lの液中のいたるところで攪拌が行われる。
したがって、変形例12によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例12では、超音波発生装置26からの超音波によってリン酸水溶液Lの液中でキャビテーション現象が発生する。このため、リン酸水溶液L内で仮に析出抑制剤がゲル化したとしても、かかるゲルを小さく分解することができる。
すなわち、変形例12では、ゲル化した析出抑制剤の溶解を促進することができることから、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例12では、タンク14内で流動するリン酸水溶液Lの液面La上に広がるように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、変形例12では、リン酸水溶液Lの流動性に合わせて、析出抑制剤を少量ずつ供給するとよい。換言すると、変形例12では、リン酸水溶液Lの流動性に基づいて、析出抑制剤の供給量を設定するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lでの析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することを抑制することができることから、析出抑制剤のゲル化自体を抑制することができる。なお、変形例12でのエッチング液生成処理は、図14の例と同様のタイミングチャートで実施すればよい。
図17は、実施形態の変形例13に係る混合装置10の構成を示す概略ブロック図である。図17に示すように、変形例13に係る混合装置10では、タンク14の構成が実施形態と異なる。具体的には、変形例13に係るタンク14は、内槽14aと外槽14bとを有する。
内槽14aは、上部が開放され、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とシリコン溶液とが上部付近まで供給される。すなわち、リン酸水溶液供給部11は内槽14aにリン酸水溶液Lを供給し、析出抑制剤供給部12は内槽14aに析出抑制剤を供給し、シリコン溶液供給部13は内槽14aにシリコン溶液を供給する。
外槽14bは、内槽14aの周囲に設けられるとともに、上部が開放される。外槽14bには、内槽14aからオーバーフローしたリン酸水溶液Lなどが流入する。
また、外槽14bの底部には、循環路15の入口15aが設けられる。さらに、循環路15の出口15bは、内槽14aの下部に設けられる。すなわち、変形例13では、外槽14b、循環路15および内槽14aによって、リン酸水溶液Lの循環流が形成される。
そして、変形例13に係る混合装置10では、内槽14aから外槽14bにリン酸水溶液Lをオーバーフローさせることにより、かかるリン酸水溶液Lに対して上昇流による流動性を与えることができる。
このように、リン酸水溶液Lにさらなる流動性を与えながら析出抑制剤を供給することにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積をさらに増やすことができる。したがって、変形例13によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをさらに効率的に混合することができる。
また、変形例13では、駆動部分がない内槽14aおよび外槽14bで上昇流を形成していることから、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lへの不純物の混入を抑制することができる。
なお、変形例13では、析出抑制剤をタンク14の内槽14aに供給するとよい。これにより、内槽14aからオーバーフローするリン酸水溶液Lの液面Laで、析出抑制剤を引き延ばして薄くすることができる。すなわち、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積をさらに増やすことができる。
したがって、変形例13によれば、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、変形例13では、内槽14a内で流動するリン酸水溶液Lの液面La上に広がるように析出抑制剤を供給するとよい。すなわち、変形例13では、リン酸水溶液Lの流動性に合わせて、析出抑制剤を少量ずつ供給するとよい。換言すると、変形例13では、リン酸水溶液Lの流動性に基づいて、析出抑制剤の供給量を設定するとよい。
これにより、リン酸水溶液Lでの析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することを抑制することができることから、析出抑制剤のゲル化を抑制することができる。
図18は、実施形態の変形例13に係るエッチング液生成処理における混合装置10の各部の挙動パターンの具体例を示すタイミングチャートである。まず、制御部は、時間T0からリン酸水溶液供給部11を動作させて(ON状態にして)、タンク14にリン酸水溶液Lを供給することにより、混合処理を開始する。
なお、かかる時間T0の時点では、析出抑制剤供給部12と、シリコン溶液供給部13と、ポンプ16と、ヒータ17とは動作していない(OFF状態である)。また、かかる時間T0の時点では、フィルタバイパスがON状態である。
次に、タンク14の内槽14aおよび外槽14bに所定の量のリン酸水溶液Lが貯留された時間T1bで、制御部は、リン酸水溶液供給部11を停止する(OFF状態にする)。なお、かかる所定の量とは、少なくともリン酸水溶液Lを内槽14aからオーバーフローさせながら循環路15で循環可能な量である。
さらに、リン酸水溶液Lの供給停止と同じタイミング(時間T1b)で、制御部は、析出抑制剤供給部12およびポンプ16を動作させて(ON状態にして)、タンク14に析出抑制剤を供給し、循環路15に循環流を形成する。これにより、内槽14aからオーバーフローするリン酸水溶液Lに析出抑制剤を供給することができる。
次に、析出抑制剤が内槽14aに所定の量供給された時間T2bで、制御部は、析出抑制剤供給部12を停止する(OFF状態にする)。そして、時間T3bまで循環路15内の循環流を形成してタンク14内の薬液を混ぜることにより、混合処理が完了する。
つづいて、制御部は、時間T3bからヒータ17を動作させて(ON状態にして)、循環路15内を循環するリン酸水溶液Lなどを加温することにより、加温処理を開始する。制御部は、かかるヒータ17でリン酸水溶液Lなどを加温することによって、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lなどを加温する。
さらに、ヒータ17の動作開始と同じタイミング(時間T3b)で、制御部は、シリコン溶液供給部13を動作させて(ON状態にして)、タンク14にシリコン溶液を供給する。
そして、シリコン溶液がタンク14に所定の量供給された時間T4bで、制御部は、シリコン溶液供給部13を停止する(OFF状態にする)。さらに、タンク14内のリン酸水溶液Lなどが所定の温度(たとえば、165℃)まで加温された時間T5bで、加温処理が完了する。
つづいて、制御部は、時間T5bからフィルタバイパスをOFF状態にすることにより、フィルトレーション処理を開始する。
そして、リン酸水溶液Lなどに含まれるパーティクルなどの汚染物質が十分に除去された時間T6bで、フィルトレーション処理が完了する。これにより、変形例13に係るエッチング液生成処理が完了する。
図19は、実施形態の変形例14に係る基板処理システム1Aの構成を示す概略ブロック図である。図19に示す基板処理システム1Aは、複数のウェハWをバッチ処理する基板処理装置30ではなく、ウェハWを1枚ずつ枚葉処理する基板処理装置50を有する点が実施形態と異なる。なお、図19では、図1に示した実施形態と同様の部位については同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
図19に示す基板処理システム1Aでは、循環路15内を循環するエッチング液Eが、送液路22を介して基板処理装置50に供給される。かかる基板処理装置50は、基板保持部51と、回転機構52とを有する。
基板保持部51は、ウェハWを水平に保持する。回転機構52は、基板保持部51および基板保持部51に保持されるウェハWを回転させる。そして、基板処理システム1Aは、基板保持部51に保持されるウェハWの上面に、循環路15から送液路22を介してエッチング液Eを吐出することにより、枚葉処理によるエッチング処理をウェハWに施すことができる。
なお、図19には、実施形態に係る混合装置10に枚葉処理可能な基板処理装置50を組み合わせた例について示したが、変形例1〜13に係る混合装置10に枚葉処理可能な基板処理装置50を組み合わせてもよい。
実施形態に係る混合装置10は、リン酸水溶液供給部11と、添加剤供給部(析出抑制剤供給部12)と、タンク14と、リン酸水溶液供給路11bと、添加剤供給路(析出抑制剤供給路12b)と、を備える。リン酸水溶液供給部11は、リン酸水溶液Lを供給する。添加剤供給部(析出抑制剤供給部12)は、シリコン酸化物の析出を抑制する添加剤(析出抑制剤)を供給する。リン酸水溶液供給路11bは、リン酸水溶液供給部11とタンク14とを接続する。添加剤供給路(析出抑制剤供給路12b)は、添加剤供給部(析出抑制剤供給部12)とタンク14とを接続する。また、リン酸水溶液供給部11からタンク14に供給されるリン酸水溶液Lに流動性を与えながら添加剤(析出抑制剤)を供給する。これにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とを効率的に混合することができる。
また、実施形態に係る混合装置10は、タンク14から出てタンク14に戻る循環路15と、循環路15に設けられるポンプ16と、をさらに備える。そして、ポンプ16を作動させて循環路15に循環流を形成することにより、リン酸水溶液Lに流動性を与える。これにより、リン酸水溶液Lに効率的に流動性を与えることができる。
また、実施形態に係る混合装置10において、添加剤供給路(析出抑制剤供給路12b)からタンク14に添加剤(析出抑制剤)を供給する添加剤供給口(析出抑制剤供給口12d)は、循環路15の出口15bに隣接して設けられる。これにより、出口15bから吐出され、大きな流動性を有するリン酸水溶液Lに析出抑制剤を直接的に供給することができる。
また、実施形態に係る混合装置10において、添加剤供給路(析出抑制剤供給路12b)からタンク14に添加剤(析出抑制剤)を供給する添加剤供給口(析出抑制剤供給口12d)は、循環路15の入口15aに隣接して設けられる。これにより、析出抑制剤が循環路15に速やかに取り込まれることから、大きな流動性を与えられた循環路15内のリン酸水溶液Lに析出抑制剤を供給することができる。
また、実施形態に係る混合装置10は、タンク14に設けられる攪拌装置をさらに備える。そして、かかる攪拌装置を作動させることにより、リン酸水溶液Lに流動性を与える。これにより、リン酸水溶液Lに効率的に流動性を与えることができる。
また、実施形態に係る混合装置10において、攪拌装置は、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lにバブリングガスを供給するバブリング装置24である。これにより、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに上昇流による流動性を与えることができる。
また、実施形態に係る混合装置10において、攪拌装置は、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lを攪拌する攪拌翼25である。これにより、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに渦流による流動性を与えることができる。
また、実施形態に係る混合装置10において、攪拌装置は、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに向けて超音波を発生する超音波発生装置26である。これにより、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに超音波による流動性を与えることができる。
また、実施形態に係る混合装置10において、添加剤供給路(析出抑制剤供給路12b)からタンク14に添加剤(析出抑制剤)を供給する添加剤供給口(析出抑制剤供給口12d)は、タンク14の上部に複数設けられる。これにより、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積を増やすことができることから、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とをより効率的に混合することができる。
また、実施形態に係る混合装置10において、添加剤供給路(析出抑制剤供給路12b)からタンク14に添加剤(析出抑制剤)を供給する添加剤供給口(析出抑制剤供給口12d)は、タンク14の下部に設けられる。これにより、リン酸水溶液Lの液面Laのみに析出抑制剤が滞留することを抑制することができることから、析出抑制剤の濃度が液面Laで局所的に増加して、析出抑制剤がゲル化することを抑制することができる。
また、実施形態に係る混合装置10において、タンク14は、内槽14aと外槽14bとを有する。そして、内槽14aから外槽14bにリン酸水溶液Lをオーバーフローさせることにより、リン酸水溶液に流動性を与える。これにより、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに上昇流による流動性を与えることができる。
また、実施形態に係る混合装置10において、添加剤(析出抑制剤)は、内槽14aに供給される。これにより、内槽14aからオーバーフローするリン酸水溶液Lの液面Laで、析出抑制剤を引き延ばして薄くすることができることから、リン酸水溶液Lと析出抑制剤との接触面積をさらに増やすことができる。
また、実施形態に係る混合装置10は、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lを加温するヒータ17をさらに備える。これにより、加温されたエッチング液Eを基板処理装置30に供給することができる。
<エッチング液生成処理および基板処理の詳細>
つづいて、図20を参照しながら、実施形態に係る基板処理システム1が実行するエッチング液生成処理および基板処理の詳細について説明する。図20は、実施形態に係るエッチング液生成処理および基板処理の処理手順を示すフローチャートである。
最初に、制御部は、混合装置10を動作させて、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とシリコン溶液とを混合する混合処理を行う(ステップS101)。たとえば、制御部は、タンク14に貯留されるリン酸水溶液Lに流動性を与えながら、析出抑制剤とシリコン溶液とをリン酸水溶液Lに供給して、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とシリコン溶液とを混合する。
次に、制御部は、混合装置10のヒータ17を動作させて、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とシリコン溶液との混合液を加温する加温処理を行う(ステップS102)。
次に、制御部は、リン酸水溶液Lと析出抑制剤とシリコン溶液との混合液をフィルタ19で濾過するフィルトレーション処理を行う(ステップS103)。そして、かかるフィルトレーション処理が完了すると、実施形態に係るエッチング液生成処理が完了する。
次に、制御部は、混合装置10および基板処理装置30を動作させて、混合装置10から基板処理装置30にエッチング液Eを供給する供給処理を行う(ステップS104)。これにより、基板処理装置30の処理槽31にエッチング液Eが貯留される。
次に、制御部は、基板処理装置30を動作させて、処理槽31に貯留されたエッチング液Eを用いてウェハWをエッチングするエッチング処理を行う(ステップS105)。そして、かかるエッチング処理が完了すると、実施形態に係る基板処理が完了する。
実施形態に係る混合方法は、混合工程(ステップS101)と、加温工程(ステップS102)とを含む。混合工程(ステップS101)は、流動するリン酸水溶液Lにシリコン酸化物の析出を抑制する添加剤(析出抑制剤)を供給して混合する。加温工程(ステップS102)は、リン酸水溶液Lと添加剤(析出抑制剤)とが混合した混合液を加温する。これにより、効率的に混合されたエッチング液Eを加温して基板処理装置30に供給することができる。
また、実施形態に係る混合方法において、混合工程(ステップS101)は、流動するリン酸水溶液Lの液面La上に広がるように添加剤(析出抑制剤)を供給することを含む。これにより、リン酸水溶液Lでの析出抑制剤の濃度が局所的に上昇することをさらに抑制することができることから、析出抑制剤のゲル化をさらに抑制することができる。
また、実施形態に係る混合方法において、混合工程は、流動するリン酸水溶液Lの液中に、リン酸水溶液Lの流動性を損なわないように添加剤(析出抑制剤)を供給することを含む。これにより、リン酸水溶液Lの流動性が損なわれて、析出抑制剤が良好に混合されないことを抑制することができる。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。