以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置および基板処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る基板処理装置1は、キャリア搬入出部2と、ロット形成部3と、ロット載置部4と、ロット搬送部5と、ロット処理部6と、制御部100とを有する。図1は、基板処理装置1の概略平面図である。ここでは、水平方向に直交する方向を上下方向として説明する。
キャリア搬入出部2は、複数枚(例えば、25枚)の基板(シリコンウエハ)8を水平姿勢で上下に並べて収容したキャリア9の搬入、および搬出を行う。
キャリア搬入出部2には、複数個のキャリア9を載置するキャリアステージ10と、キャリア9の搬送を行うキャリア搬送機構11と、キャリア9を一時的に保管するキャリアストック12,13と、キャリア9を載置するキャリア載置台14とが設けられている。
キャリア搬入出部2は、外部からキャリアステージ10に搬入されたキャリア9を、キャリア搬送機構11を用いてキャリアストック12や、キャリア載置台14に搬送する。すなわち、キャリア搬入出部2は、ロット処理部6で処理する前の複数枚の基板8を収容するキャリア9を、キャリアストック12や、キャリア載置台14に搬送する。
キャリアストック12は、ロット処理部6で処理する前の複数枚の基板8を収容するキャリア9を、一時的に保管する。
キャリア載置台14に搬送され、ロット処理部6で処理する前の複数枚の基板8を収容するキャリア9からは、後述する基板搬送機構15によって複数枚の基板8が搬出される。
また、キャリア載置台14に載置され、基板8を収容していないキャリア9には、基板搬送機構15から、ロット処理部6で処理した後の複数枚の基板8が搬入される。
キャリア搬入出部2は、キャリア載置台14に載置され、ロット処理部6で処理した後の複数枚の基板8を収容するキャリア9を、キャリア搬送機構11を用いてキャリアストック13や、キャリアステージ10に搬送する。
キャリアストック13は、ロット処理部6で処理した後の複数枚の基板8を一時的に保管する。キャリアステージ10に搬送されたキャリア9は、外部へ搬出される。
ロット形成部3には、複数枚(例えば、25枚)の基板8を搬送する基板搬送機構15が設けられている。ロット形成部3は、基板搬送機構15による複数枚(例えば、25枚)の基板8の搬送を2回行い、複数枚(例えば、50枚)の基板8からなるロットを形成する。
ロット形成部3は、基板搬送機構15を用いて、キャリア載置台14に載置されたキャリア9からロット載置部4へ複数枚の基板8を搬送し、複数枚の基板8をロット載置部4に載置することで、ロットを形成する。
ロットを形成する複数枚の基板8は、ロット処理部6によって同時に処理される。ロットを形成するときは、複数枚の基板8の表面にパターンが形成されている面を互いに対向するようにロットを形成してもよく、また、複数枚の基板8の表面にパターンが形成されている面がすべて一方を向くようにロットを形成してもよい。
また、ロット形成部3は、ロット処理部6で処理が行われ、ロット載置部4に載置されたロットから、基板搬送機構15を用いて複数枚の基板8をキャリア9へ搬送する。
基板搬送機構15は、複数枚の基板8を支持するための基板支持部として、処理前の複数枚の基板8を支持する処理前基板支持部(不図示)と、処理後の複数枚の基板8を支持する処理後基板支持部(不図示)の2種類を有している。これにより、処理前の複数枚の基板8等に付着したパーティクル等が処理後の複数枚の基板8等に転着することを防止することができる。
基板搬送機構15は、複数枚の基板8の搬送途中で、複数枚の基板8の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢、および垂直姿勢から水平姿勢に変更する。
ロット載置部4は、ロット搬送部5によってロット形成部3とロット処理部6との間で搬送されるロットをロット載置台16で一時的に載置(待機)する。
ロット載置部4には、搬入側ロット載置台17と、搬出側ロット載置台18とが設けられている。
搬入側ロット載置台17には、処理前のロットが載置される。搬出側ロット載置台18には、処理後のロットが載置される。
搬入側ロット載置台17、および搬出側ロット載置台18には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて載置される。
ロット搬送部5は、ロット載置部4とロット処理部6との間や、ロット処理部6の内部間でロットの搬送を行う。
ロット搬送部5には、ロットの搬送を行うロット搬送機構19が設けられている。ロット搬送機構19は、ロット載置部4とロット処理部6とに沿わせて配置したレール20と、ロットを保持しながらレール20に沿って移動する移動体21とを有する。
移動体21には、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8で形成されるロットを保持する基板保持体22が設けられている。
ロット搬送部5は、搬入側ロット載置台17に載置されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、受取ったロットをロット処理部6に受け渡す。
また、ロット搬送部5は、ロット処理部6で処理されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、受取ったロットを搬出側ロット載置台18に受け渡す。
さらに、ロット搬送部5は、ロット搬送機構19を用いてロット処理部6の内部においてロットの搬送を行う。
ロット処理部6は、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8で形成されたロットにエッチングや、洗浄や、乾燥などの処理を行う。
ロット処理部6には、ロットにエッチング処理を行う2台のエッチング処理装置23と、ロットの洗浄処理を行う洗浄処理装置24と、基板保持体22の洗浄処理を行う基板保持体洗浄処理装置25と、ロットの乾燥処理を行う乾燥処理装置26とが並べて設けられている。なお、エッチング処理装置23の台数は、2台に限られることはなく、1台でもよく、3台以上であってもよい。
エッチング処理装置23は、エッチング用の処理槽27と、リンス用の処理槽28と、基板昇降機構29,30とを有する。
エッチング用の処理槽27には、エッチング用の処理液(以下、「エッチング液」という。)が貯留される。リンス用の処理槽28には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。なお、エッチング用の処理槽27の詳細については後述する。
基板昇降機構29,30には、ロットを形成する複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。
エッチング処理装置23は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構29で受取り、受取ったロットを基板昇降機構29で降下させることでロットを処理槽27のエッチング液に浸漬させてエッチング処理を行う。
その後、エッチング処理装置23は、基板昇降機構29を上昇させることでロットを処理槽27から取り出し、基板昇降機構29からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。
そして、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構30で受取り、受取ったロットを基板昇降機構30で降下させることでロットを処理槽28のリンス用の処理液に浸漬させてリンス処理を行う。
その後、エッチング処理装置23は、基板昇降機構30を上昇させることでロットを処理槽28から取り出し、基板昇降機構30からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。
洗浄処理装置24は、洗浄用の処理槽31と、リンス用の処理槽32と、基板昇降機構33,34とを有する。
洗浄用の処理槽31には、洗浄用の処理液(SC−1等)が貯留される。リンス用の処理槽32には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。基板昇降機構33,34には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。
乾燥処理装置26は、処理槽35と、処理槽35に対して昇降する基板昇降機構36とを有する。
処理槽35には、乾燥用の処理ガス(IPA(イソプロピルアルコール)等)が供給される。基板昇降機構36には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。
乾燥処理装置26は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構36で受取り、受取ったロットを基板昇降機構36で降下させて処理槽35に搬入し、処理槽35に供給した乾燥用の処理ガスでロットの乾燥処理を行う。そして、乾燥処理装置26は、基板昇降機構36でロットを上昇させ、基板昇降機構36からロット搬送機構19の基板保持体22に、乾燥処理を行ったロットを受け渡す。
基板保持体洗浄処理装置25は、処理槽37を有し、処理槽37に洗浄用の処理液、および乾燥ガスを供給できるようになっており、ロット搬送機構19の基板保持体22に洗浄用の処理液を供給した後、乾燥ガスを供給することで基板保持体22の洗浄処理を行う。
制御部100は、基板処理装置1の各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6)の動作を制御する。制御部100は、スイッチなどからの信号に基づいて、基板処理装置1の各部の動作を制御する。
制御部100は、例えばコンピュータからなり、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体38を有する。記憶媒体38には、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。
制御部100は、記憶媒体38に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理装置1の動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体38に記憶されていたものであって、他の記憶媒体から制御部100の記憶媒体38にインストールされたものであってもよい。
コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体38としては、例えばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
次に、エッチング用の処理槽27について、図2を参照し説明する。図2は、第1実施形態に係るエッチング用の処理槽27の構成を示す概略ブロック図である。
エッチング用の処理槽27では、エッチング液を用いて、基板8上に形成された窒化膜(SiN)と酸化膜(SiO2)のうち、窒化膜のみを選択的にエッチングする。
窒化膜のエッチング処理では、リン酸(H3PO4)水溶液にシリコン(Si)含有化合物を添加してシリコン濃度を調整した溶液が、エッチング液として一般的に用いられる。シリコン濃度の調整手法としては、既存のリン酸水溶液にダミー基板を浸漬させてシリコンを溶解させる方法(シーズニング)や、コロイダルシリカなどのシリコン含有化合物をリン酸水溶液に溶解させる方法がある。また、リン酸水溶液にシリコン含有化合物水溶液を添加してシリコン濃度を調整する方法もある。
エッチング処理においては、エッチング液のシリコン濃度を高くすることで、窒化膜のみをエッチングする選択性を向上させることができる。しかし、エッチング処理により窒化膜がエッチング液に溶解し、エッチング液のシリコン濃度が高くなり過ぎると、エッチング液に溶け込んだシリコンがシリコン酸化物として酸化膜上に析出する。
本実施形態では、シリコン酸化物の析出を抑制するために、シリコン含有化合物水溶液を混合したリン酸水溶液にSiO2析出防止剤をさらに混合したエッチング液を用いてエッチング処理を行う。
SiO2析出防止剤としては、リン酸水溶液に溶解したシリコンイオンを溶解した状態で安定化させ、シリコン酸化物の析出を抑止する成分を含むものであれば良く、例えばフッ素成分を含むヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)水溶液を用いることができる。また、水溶液中のヘキサフルオロケイ酸を安定化させるため、アンモニア等の添加物を含んでも良い。
例えば、SiO2析出防止剤は、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(NH4)2SiF6や、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム(Na2SiF6)などである。
エッチング用の処理槽27は、リン酸水溶液供給部40と、リン酸水溶液排出部41と、純水供給部42と、SiO2析出防止剤供給部43と、シリコン供給部44と、内槽45と、外槽46と、温調タンク47とを有する。
リン酸水溶液供給部40は、リン酸水溶液供給源40Aと、リン酸水溶液供給ライン40Bと、第1流量調整器40Cとを有する。リン酸水溶液供給部40は、リン酸処理液供給部を構成する。リン酸水溶液供給ライン40Bは、リン酸処理液供給ラインを構成する。
リン酸水溶液供給源40Aは、リン酸水溶液を貯留するタンクである。リン酸水溶液供給ライン40Bは、リン酸水溶液供給源40Aと温調タンク47とを接続し、リン酸水溶液供給源40Aから温調タンク47にリン酸水溶液を供給する。
第1流量調整器40Cは、リン酸水溶液供給ライン40Bに設けられ、温調タンク47へ供給されるリン酸水溶液の流量を調整する。第1流量調整器40Cは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
純水供給部42は、純水供給源42Aと、純水供給ライン42Bと、第2流量調整器42Cとを有する。純水供給部42は、エッチング液を加熱することにより蒸発した水分を補給するために外槽46に純水(DIW)を供給する。
純水供給ライン42Bは、純水供給源42Aと外槽46とを接続し、純水供給源42Aから外槽46に所定温度の純水を供給する。
第2流量調整器42Cは、純水供給ライン42Bに設けられ、外槽46へ供給される純水の流量を調整する。第2流量調整器42Cは、開閉弁、流量制御弁、流量計などから構成される。
SiO2析出防止剤供給部43は、SiO2析出防止剤供給源43Aと、SiO2析出防止剤供給ライン43Bと、第3流量調整器43Cとを有する。SiO2析出防止剤供給部43は、エッチング処理を行う際にSiO2析出防止剤を外槽46に供給する。また、SiO2析出防止剤供給部43は、エッチング液を加熱することにより蒸発したSiO2析出防止剤を補給するために外槽46にSiO2析出防止剤を供給する。
SiO2析出防止剤供給源43Aは、SiO2析出防止剤を貯留するタンクである。SiO2析出防止剤供給ライン43Bは、SiO2析出防止剤供給源43Aと外槽46とを接続し、SiO2析出防止剤供給源43Aから外槽46にSiO2析出防止剤を供給する。
第3流量調整器43Cは、SiO2析出防止剤供給ライン43Bに設けられ、外槽46へ供給されるSiO2析出防止剤の流量を調整する。第3流量調整器43Cは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
シリコン供給部44は、シリコン供給源44Aと、シリコン供給ライン44Bと、第4流量調整器44Cとを有する。
シリコン供給源44Aは、シリコン含有化合物水溶液を貯留するタンクである。シリコン供給ライン44Bは、シリコン供給源44Aと温調タンク47とを接続し、シリコン供給源44Aから温調タンク47にシリコン含有化合物水溶液を供給する。
第4流量調整器44Cは、シリコン供給ライン44Bに設けられ、温調タンク47へ供給されるシリコン含有化合物水溶液の流量を調整する。第4流量調整器44Cは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
なお、シリコン含有化合物水溶液は、エッチング液を全て入れ替える際に供給される予備液を生成する場合に供給される。
内槽45は、上部が開放され、エッチング液が上部付近まで供給される。内槽45では、基板昇降機構29によってロット(複数枚の基板8)がエッチング液に浸漬され、基板8にエッチング処理が行われる。内槽45は、基板処理槽を構成する。
外槽46は、内槽45の上部周囲に設けられるとともに上部が開放される。外槽46には、内槽45からオーバーフローしたエッチング液が流入する。また、外槽46には、シリコン含有化合物水溶液が混合されたリン酸水溶液である予備液が温調タンク47から供給される。また、外槽46には、純水供給部42から純水が供給される。また、外槽46には、SiO2析出防止剤供給部43からSiO2析出防止剤が供給される。外槽46に供給されたSiO2析出防止剤は、外槽46内のエッチング液や、温調タンク47から供給される予備液に混合される。すなわち、SiO2析出防止剤は、外槽46においてリン酸水溶液に混合される。
外槽46と内槽45とは第1循環ライン50によって接続される。第1循環ライン50の一端は、外槽46に接続され、第1循環ライン50の他端は、内槽45内に設置された処理液供給ノズル49に接続される。
第1循環ライン50には、外槽46側から順に、第1ポンプ51、第1ヒーター52およびフィルタ53が設けられる。外槽46内のエッチング液は第1ヒーター52によって加温されて処理液供給ノズル49から内槽45内に流入する。第1ヒーター52は、内槽45に供給されるエッチング液を、エッチング処理に適した第1所定温度に加温する。
第1ポンプ51を駆動させることにより、エッチング液は、外槽46から第1循環ライン50を経て内槽45内に送られる。また、エッチング液は、内槽45からオーバーフローすることで、再び外槽46へと流出する。このようにして、エッチング液の循環路55が形成される。すなわち、循環路55は、外槽46、第1循環ライン50、内槽45によって形成される。循環路55では、内槽45を基準として外槽46が第1ヒーター52よりも上流側に設けられる。
温調タンク47では、リン酸水溶液供給部40から供給されたリン酸水溶液と、シリコン供給部44から供給されたシリコン含有化合物水溶液とが混合されて予備液が生成され、予備液が貯留される。すなわち、温調タンク47では、外槽46(循環路55)に供給される前のリン酸水溶液にシリコン含有化合物水溶液が混合される。
温調タンク47には、温調タンク47内の予備液を循環させる第2循環ライン60が接続される。また、温調タンク47には、供給ライン70の一端が接続される。供給ライン70の他端は、外槽46に接続される。温調タンク47は、予備液を貯留する予備タンクである。温調タンク47は、混合部を構成する。
第2循環ライン60には、第2ポンプ61および第2ヒーター62が設けられている。第2ヒーター62をONにした状態で第2ポンプ61を駆動させることにより、温調タンク47内の予備液が加温されて循環する。第2ヒーター62は、予備液を、エッチング処理に適した第2所定温度に加温する。なお、第2所定温度は、第1所定温度と同じ温度であってもよく、異なる温度であってもよい。
供給ライン70には、第3ポンプ71と、第5流量調整器72とが設けられる。第5流量調整器72は、外槽46へ供給される予備液の流量を調整する。第5流量調整器72は、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。
温調タンク47に貯留された予備液は、エッチング液の全部、または一部を入れ替える際に、供給ライン70を介して外槽46に供給される。
リン酸水溶液排出部41は、エッチング処理で使用されたエッチング液の全部、または一部を入れ替える際にエッチング液を排出する。リン酸水溶液排出部41は、排出ライン41Aと、第6流量調整器41Bと、冷却タンク41Cとを有する。
排出ライン41Aは、第1循環ライン50に接続される。第6流量調整器41Bは、排出ライン41Aに設けられ、排出されるエッチング液の排出量を調整する。第6流量調整器41Bは、開閉弁や、流量制御弁や、流量計などから構成される。冷却タンク41Cは、排出ライン41Aを流れてきたエッチング液を一時的に貯留するとともに冷却する。
なお、第1流量調整器40C〜第6流量調整器41Bを構成する開閉弁の開閉や、流量制御弁の開度は、制御部100からの信号に基づいてアクチュエータ(不図示)が動作することで、変更される。すなわち、第1流量調整器40C〜第6流量調整器41Bを構成する開閉弁や、流量制御弁は、制御部100によって制御される。
次に、第1実施形態に係る基板処理装置1におけるSiO2析出防止剤の供給方法について図3を参照し説明する。図3は、第1実施形態に係るSiO2析出防止剤の供給方法を説明するフローチャートである。なお、ここでは、温調タンク47において、シリコン含有水溶液がリン酸水溶液に混合され、予備液として貯留されているものとする。
基板処理装置1は、第1タイミングであるか否かを判定する(S10)。第1タイミングは、予め設定されたタイミングであり、エッチング処理中に、リン酸水溶液排出部41によってエッチング液の一部が排出され、温調タンク47から予備液を外槽46に供給するタイミングである。基板処理装置1は、例えば、エッチング処理の経過時間に基づいて第1タイミングであるか否かを判定する。
基板処理装置1は、第1タイミングである場合には(S10:Yes)、リン酸水溶液排出部41によってエッチング液の一部を排出する(S11)。
基板処理装置1は、エッチング液の排出が終わった後に、温調タンク47から予備液を外槽46に供給し(S12)、SiO2析出防止剤供給部43からSiO2析出防止剤を外槽46に供給する(S13)。これにより、SiO2析出防止剤が外槽46においてエッチング液(予備液)に混合される。なお、エッチング液のSiO2析出防止剤の濃度が、予め設定された範囲内の濃度となるように、SiO2析出防止剤の供給量は制御される。
基板処理装置1は、第1タイミングではない場合には(S10:No)、第2タイミングであるか否かを判定する(S14)。第2タイミングは、エッチング液からSiO2析出防止剤が蒸発し、エッチング液のSiO2析出防止剤の濃度が、予めされた濃度よりも低下するタイミングである。
基板処理装置1は、例えば、エッチング処理の経過時間に基づいて第2タイミングであるか否かを判定する。なお、基板処理装置1は、エッチング液のSiO2析出防止剤の濃度を計測し、計測した濃度に基づいて第2タイミングであるか否かを判定してもよい。
基板処理装置1は、第2タイミングである場合には(S14:Yes)、SiO2析出防止剤供給部43からSiO2析出防止剤を外槽46に供給する(S15)。なお、エッチング液のSiO2析出防止剤の濃度が、予め設定された範囲内の濃度となるように、SiO2析出防止剤の供給量は制御される。
基板処理装置1は、第2タイミングではない場合には(S14:No)、今回の処理を終了する。
なお、基板処理装置1は、第2タイミングであるか否かの判定を、第1タイミングであるか否かの判定よりも先に行ってもよい。
基板処理装置1は、外槽46において、リン酸水溶液にSiO2析出防止剤を混合させたエッチング液を生成し、エッチング液を供給した内槽45に基板8を浸漬することで、基板8にエッチング処理を行う。これにより、エッチング液のシリコン濃度が高くなった場合でも、シリコン酸化物の析出を抑制することができる。そのため、基板8の窒化膜のみをエッチングする選択性を向上させつつ、シリコン酸化物の析出を抑制することができる。
なお、基板処理装置1では、SiO2析出防止剤を含まないエッチング液を内槽45に供給してエッチング処理を行ってもよい。この場合、SiO2析出防止剤を含まないエッチング液のシリコン濃度が高くなり、シリコン酸化物が析出する場合に、エッチング液にSiO2析出防止剤を混合し、SiO2析出防止剤を含むエッチング液によりエッチング処理を行う。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る基板処理装置1について図4を参照し説明する。図4は、第2実施形態に係るエッチング用の処理槽27を示す概略ブロック図である。ここでは、第1実施形態とは異なる箇所を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
SiO2析出防止剤供給ライン43Bは、SiO2析出防止剤供給源43Aと温調タンク47とを接続し、SiO2析出防止剤供給源43Aから温調タンク47にSiO2析出防止剤を供給する。
温調タンク47に供給されたSiO2析出防止剤は、温調タンク47の第2循環ライン60を循環することで温調タンク47内の予備液に均一に混合される。温調タンク47は、SiO2析出防止剤を含む予備液を貯留する。
温調タンク47に貯留された予備液は、供給ライン70を介して外槽46に供給され、エッチング液として内槽45に供給される。このように、SiO2析出防止剤は、循環路55に供給される前の予備液(リン酸水溶液)に混合される。温調タンク47は、混合部を構成する。
次に、第2実施形態に係る基板処理装置1におけるSiO2析出防止剤の供給方法について図5を参照し説明する。図5は、第2実施形態に係るSiO2析出防止剤の供給方法を説明するフローチャートである。なお、ここでは、SiO2析出防止剤が混合された予備液が温調タンク47に、予め貯留されているものとする。
基板処理装置1は、第3タイミングであるか否かを判定する(S20)。第3タイミングは、上記した第1タイミングおよび第2タイミングのうちいずれかとなるタイミングである。すなわち、基板処理装置1は、第1タイミング、または第2タイミングとなると、第3タイミングであると判定する。
基板処理装置1は、第3タイミングである場合には(S20:Yes)、リン酸水溶液排出部41によってエッチング液の一部を排出する(S21)。基板処理装置1は、エッチング液の排出が終わった後に、温調タンク47からSiO2析出防止剤が混合された予備液を外槽46に供給する(S22)。
基板処理装置1は、温調タンク47からの予備液の供給が終わった後に、リン酸水溶液供給部40からリン酸水溶液を温調タンク47に供給し(S23)、SiO2析出防止剤供給部43からSiO2析出防止剤を温調タンク47に供給する(S24)。これにより、温調タンク47では、SiO2析出防止剤が混合された予備液が新たに生成される。
基板処理装置1は、第3タイミングではない場合には(S20:No)、第4タイミングであるか否かを判定する(S25)。第4タイミングは、温調タンク47内の予備液からSiO2析出防止剤が蒸発し、予備液のSiO2析出防止剤の濃度が、予めされた濃度よりも低下するタイミングである。
基板処理装置1は、例えば、予備液の貯留時間や、第2ヒーター62による加熱時間などに基づいて第4タイミングであるか否かを判定する。なお、基板処理装置1は、予備液のSiO2析出防止剤の濃度を計測し、計測した濃度に基づいて第4タイミングであるか否かを判定してもよい。
基板処理装置1は、第4タイミングである場合には(S25:Yes)、SiO2析出防止剤供給部43からSiO2析出防止剤を温調タンク47に供給する(S26)。なお、予備液のSiO2析出防止剤の濃度が、予め設定された範囲内の濃度となるように、SiO2析出防止剤の供給量は制御される。
基板処理装置1は、第4タイミングではない場合には(S25:No)、今回の処理を終了する。
なお、基板処理装置1は、第4タイミングであるか否かの判定を、第3タイミングであるか否かの判定よりも先に行ってもよい。
第2実施形態に係る基板処理装置1は、温調タンク47でリン酸水溶液にSiO2析出防止剤を混合させた予備液を生成し、SiO2析出防止剤を混合した予備液を外槽46に供給する。すなわち、基板処理装置1は、循環路55に供給される前の予備液にSiO2析出防止剤を混合する。
基板処理装置1は、予め予備液にSiO2析出防止剤を混合し、SiO2析出防止剤の濃度が均一になった予備液を外槽46に供給する。このように、SiO2析出防止剤が均一に混合された予備液を外槽46に供給することで、外槽46内のエッチング液においてSiO2析出防止剤の濃度が偏ることを抑制することできる。従って、内槽45に供給されるエッチング液のSiO2析出防止剤の濃度にばらつきが生じることを抑制することができる。そのため、基板8全体において、窒化膜をエッチングする選択性を向上させつつ、シリコン酸化物の析出を抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る基板処理装置1について図6を参照し説明する。図6は、第3実施形態に係るエッチング用の処理槽27を示す概略ブロック図である。ここでは、第1実施形態とは異なる箇所を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
エッチング用の処理槽27は、さらにミキサー80を有する。ミキサー80は、供給ライン70とSiO2析出防止剤供給ライン43Bとに接続される。
ミキサー80は、例えば、図7に示すように、内管81の一端が外管82内で開口する二重管である。内管81の他端は、SiO2析出防止剤供給ライン43Bに接続される。外管82は、供給ライン70に接続される。具体的には、ミキサー80は、供給ライン70に介挿され、外管82は、供給ライン70の一部を構成する。図7は、第3実施形態に係るミキサー80の概略構成断面図である。ミキサー80は、外管82を流れる予備液(リン酸水溶液)に内管81から流出したSiO2析出防止剤を混合する。ミキサー80は、混合部を構成する。
内管81から流出したSiO2析出防止剤が外管82を流れる予備液に均一に混合されるように、内管81は、例えば、螺旋状に形成される。ミキサー80は、内管81から流出されたSiO2析出防止剤に乱流を発生させ、予備液にSiO2析出防止剤を混合する。ミキサー80によってSiO2析出防止剤が混合された予備液は、外槽46に供給される。すなわち、SiO2析出防止剤は、循環路55に供給される前の予備液(リン酸水溶液)に混合される。
なお、ミキサー80は、乱流を発生させて予備液にSiO2析出防止剤を混合すればよく、例えば、外管82の内壁に凹凸を設けてもよく、内管81の内壁や外壁に凹凸を設けてもよい。また、ミキサー80は、スタティックミキサーであってもよい。
また、ミキサー80は、内管81の他端を供給ライン70に接続し、外管82をSiO2析出防止剤供給ライン43Bに接続してもよい。
次に、第3実施形態に係る基板処理装置1におけるSiO2析出防止剤の供給方法について図8を参照し説明する。図8は、第3実施形態に係るSiO2析出防止剤の供給方法を説明するフローチャートである。
基板処理装置1は、第3タイミングであるか否かを判定する(S30)。基板処理装置1は、第3タイミングである場合には(S30:Yes)、リン酸水溶液排出部41によってエッチング液の一部を排出する(S31)。
基板処理装置1は、エッチング液の排出が終わった後に、温調タンク47から予備液を外槽46に供給し(S32)、SiO2析出防止剤供給部43からSiO2析出防止剤を供給する(S33)。これにより、ミキサー80の内管81からSiO2析出防止剤が流出し、SiO2析出防止剤が混合された予備液が外槽46に供給される。基板処理装置1は、第3タイミングではない場合には(S30:No)、今回の処理を終了する。
なお、エッチング液のSiO2析出防止剤が蒸発し、SiO2析出防止剤の濃度が低下した場合には、ミキサー80は、SiO2析出防止剤供給部43からSiO2析出防止剤のみを外槽46に供給してもよい。
第3実施形態に係る基板処理装置1は、ミキサー80によって、SiO2析出防止剤を混合した予備液を外槽46に供給する。具体的には、基板処理装置1は、ミキサー80によって乱流を発生させてSiO2析出防止剤を予備液に混合し、SiO2析出防止剤が均一に混合された予備液を外槽46に供給する。このように、SiO2析出防止剤が均一に混合された予備液を外槽46に供給することで、外槽46内のエッチング液においてSiO2析出防止剤の濃度が偏ることを抑制することできる。従って、内槽45に供給されるエッチング液のSiO2析出防止剤の濃度にばらつきが生じることを抑制することができる。そのため、基板8全体において、窒化膜をエッチングする選択性を向上させつつ、シリコン酸化物の析出を抑制することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る基板処理装置1について図9を参照し説明する。図9は、第4実施形態に係るエッチング用の処理槽27を示す概略ブロック図である。ここでは、第3実施形態とは異なる箇所を中心に説明し、第3実施形態と同様の構成については、第3実施形態と同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
リン酸水溶液供給部40は、さらに分岐ライン40Dと、切替弁40Eとを有する。
分岐ライン40Dは、切替弁40Eを介してリン酸水溶液供給ライン40Bに接続される。分岐ライン40Dは、リン酸水溶液供給ライン40Bと外槽46とを接続する。
ミキサー80は、切替弁40Eよりもリン酸水溶液供給源40A側のリン酸水溶液供給ライン40BとSiO2析出防止剤供給ライン43Bとに接続される。
ミキサー80は、図10に示すように、内管81の一端が外管82内で開口する二重管である。内管81の他端は、SiO2析出防止剤供給ライン43Bに接続される。外管82は、リン酸水溶液供給ライン40Bに接続され、リン酸水溶液供給ライン40Bの一部を構成する。図10は、第4実施形態に係るミキサー80の概略構成断面図である。ミキサー80は、外管82を流れるリン酸水溶液に内管81から流出したSiO2析出防止剤を混合する。
内管81から流出したSiO2析出防止剤が外管82を流れるリン酸水溶液に均一に混合されるように、内管81は、例えば、螺旋状に形成される。ミキサー80は、内管81から流出されたSiO2析出防止剤に乱流を発生させ、リン酸水溶液にSiO2析出防止剤を混合する。
ミキサー80によってSiO2析出防止剤が混合されたリン酸水溶液は、切替弁40E、分岐ライン40Dを介して外槽46に供給される。すなわち、SiO2析出防止剤は、循環路55に供給される前のリン酸水溶液に混合される。
なお、ミキサー80は、乱流を発生させてリン酸水溶液にSiO2析出防止剤を混合すればよく、例えば、外管82の内壁に凹凸を設けてもよく、内管81の内壁や外壁に凹凸を設けてもよい。
ミキサー80は、内管81の他端をリン酸水溶液供給ライン40Bに接続し、外管82をSiO2析出防止剤供給ライン43Bに接続してもよい。
次に、第4実施形態に係る基板処理装置1におけるSiO2析出防止剤の供給方法について図11を参照し説明する。図11は、第4実施形態に係るSiO2析出防止剤の供給方法を説明するフローチャートである。
基板処理装置1は、第3タイミングであるか否かを判定する(S40)。基板処理装置1は、第3タイミングである場合には(S40:Yes)、リン酸水溶液排出部41によってエッチング液の一部を排出する(S41)。
基板処理装置1は、エッチング液の排出が終わった後に、温調タンク47から予備液を外槽46に供給する(S42)。
基板処理装置1は、リン酸水溶液供給部40からリン酸水溶液を、分岐ライン40Dを介して外槽46に供給し(S43)、SiO2析出防止剤供給部43からSiO2析出防止剤を供給する(S44)。これにより、ミキサー80によってSiO2析出防止剤が常温のリン酸水溶液に混合された状態で、外槽46に供給される。
基板処理装置1は、第3タイミングではない場合には(S40:No)、今回の処理を終了する。
なお、ミキサー80は、リン酸水溶液供給源40Aからリン酸水溶液を供給しない状態で、内管81からSiO2析出防止剤を外槽46に供給することも可能である。また、基板処理装置1は、ミキサー80によってSiO2析出防止剤を混合したリン酸水溶液を供給ライン70に供給してもよく、温調タンク47に供給してもよい。
第4実施形態に係る基板処理装置1は、ミキサー80によって、リン酸水溶液供給ライン40Bを流れるリン酸水溶液にSiO2析出防止剤を混合する。
SiO2析出防止剤の沸点は、温調タンク47内の予備液や、外槽46内のエッチング液の温度よりも低い。そのため、SiO2析出防止剤を予備液やエッチング液に直接混合すると、これらの液と混合する前にSiO2析出防止剤の一部が蒸発するおそれがある。
リン酸水溶液供給ライン40Bを流れるリン酸水溶液は加温されておらず、常温であるため、温調タンク47内の予備液や、外槽46のエッチング液よりも温度が低い。第4実施形態に係る基板処理装置1は、SiO2析出防止剤を、温度が低く、常温のリン酸水溶液に混合し、SiO2析出防止剤を混合した常温のリン酸水溶液を外槽46に供給することで、SiO2析出防止剤が蒸発することを抑制することができる。
(変形例)
変形例に係る基板処理装置1は、供給ライン70を内槽45に接続し、温調タンク47から予備液を内槽45に供給可能としてもよい。
また、変形例に係る基板処理装置1は、シリコン供給ライン44Bを外槽46に接続し、シリコン含有化合物水溶液を外槽46に供給可能としてもよい。
上記基板処理装置1は、複数枚の基板8を同時に処理する装置であるが、基板8を1枚ずつ洗浄する枚葉式の装置であってもよい。
また、上記基板処理装置1では、SiO2析出防止剤の供給方法として、最初にリン酸水溶液排出部41によってエッチング液の一部を排出していたが、これに限らず、予備液、リン酸水溶液やSiO2析出防止剤の供給と共にエッチング液の排出を行ってもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。