JP2021030639A - 金属と樹脂材との接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属と樹脂材との接合強度が高く費用対効果に優れためっき膜を有する金属と樹脂材との接合体の提供。【解決手段】金属1の表面に粗面構造のめっき膜2が設けられ、めっき膜2を介して樹脂材3が成形されてなり、めっき膜2はめっき金属2aとカーボンブラック2bを基に構成された複合めっき膜である、金属1と樹脂材3との接合体100。【選択図】図1

Description

本発明は、金属と樹脂材との接合体に関し、より詳細には金属と樹脂材との接合強度が高く費用対効果に優れためっき膜を有する金属と樹脂材との接合体に関する。
近年,自動車産業において車体の軽量化が燃費向上によるCO削減の観点から極めて重要となっている。その取り組みとして各種構造材料の特徴を活かした適材適所の材料配置(いわゆる「マルチマテリアル化」)が多くの注目を集めている。マルチアテリアル化の実現には、異種材料接合技術の開発が不可欠であり、その一つである金属−樹脂間の異種材料接合技術の開発が急がれている。金属−樹脂間の接合技術として粗面化処理を施した金属表面に射出成型等により樹脂を流し込みアンカー効果で接合する方法(インサート成形法)が注目されている。
金属の表面に設けた粗面(凹凸)を利用して金属と樹脂材とを一体化することで接合強度が向上する理由は、金属と樹脂材との接着面積が拡大すること、金属と樹脂材との間に作用するアンカー効果による。
金属と樹脂材との接合強度を向上させる方法として、金属の接合面を粗面化加工(凹凸加工)し、金属と樹脂材とを一体化することにより接合強度を向上させる方法が提案されている。金属の接合面を粗面化する方法としては、微細な凹凸を設けた金型を使用してプレス加工により金属表面に凹凸を形成する方法や、ケミカルエッチング、陽極酸化、サンドブラスト、液体ホーニングを利用する方法(特許文献1)、レーザー処理により粗面を形成する方法(特許文献2)等がある。
また、金属材そのものを加工・処理する方法とは別の方法として、めっきを利用して金属の表面に凹凸を設け、めっきにより設けた凹凸を利用して金属と樹脂材とを一体化して接合させる方法も提案されている(特許文献3、4)。
特開2011−224974号公報 特開2015−116684号公報 特開2017−71165号公報 特開2017−89004号公報 特開2010−215977号公報
上述した金属表面に形成されるめっき膜表面を粗面化する方法は、金属と樹脂材との接触面積を拡大し、併せてアンカー作用により接合力を増大させるため、金属と樹脂材との接合強度を高める点においては非常に有効である。
ところで、無電解Ni−Pめっき液へのカーボンナノチューブの分散剤として、トリメチルセチルアンモニウムクロリドを好適とするトリメチルセチルアンモニウム塩を用いためっき液、及びこのめっき液を用いてNi−P合金のめっき膜を施すめっき方法が知られている(例えば、特許文献5を参照。)。このめっき方法によれば、VGCF(登録商標)のような大きなサイズのカーボンナノチューブであっても、めっき膜中に良好に取り込むことができるため、めっき金属からカーボンナノチューブが突出した形態で金属表面にめっき膜を形成することが可能となる。その結果、上記カーボンナノチューブを含んだめっき膜を金属と樹脂材との接合部に使用する場合、金属と樹脂材との間に作用するアンカー効果がより強くなることが考えられる。
しかしながら、カーボンナノチューブは高価であるため、金属と樹脂の複合材から製造される製品のコストが上昇するという問題がある。
また、上記カーボンナノチューブを含んだNi−P合金のめっき膜は、鉄系金属と樹脂材との接合に対し殆ど効果がなかった。これは、Ni−P合金めっきのめっき膜はアモルファス状態であり、めっき合金粒子の表面が滑らかであるために、金属と樹脂材との間のアンカー作用(効果)が十分に発揮することが出来なかった為であると考えられる。Ni−P合金は非常に硬質である上に、非晶質のアモルファス構造を有するため、耐食性に非常に優れた合金である。従って、めっき金属にNi−P合金を使用する場合、金属と樹脂材との接合部が耐食性を有するようになり、これにより、金属と樹脂材との接合部の耐久性が著しく向上することが期待される。
そこで 本発明は上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、金属と樹脂材との接合強度が高く費用対効果に優れ、耐食性を有するめっき膜を含んだ金属と樹脂材との接合体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る金属と樹脂材との接合体は、金属(1)の表面に、粗面構造のめっき膜(2)が設けられ、該めっき膜(2)を介して金属(1)と樹脂材(3)とが一体に成形されて成る金属と樹脂材との接合体であって、前記めっき膜(2)はめっき金属(2a)とカーボンブラック(2b)を基に構成された複合めっき膜(2)であることを特徴とする。
カーボンブラック(2b)は複数のカーボン粒子(2c)が樹木の枝分かれのように凝集した複雑な三次元分岐構造を有している。そのため、分散剤の作用によりカーボンブラック(2b)が陰極に引き付けられる場合、めっき金属(2a)は、カーボンブラック(2b)の複雑な三次元分岐構造に沿ってカーボンブラック(2b)上にも析出するようになる。そして、カーボンブラック(2b)上に析出しためっき金属(2a)上にさらに新たなめっき金属(2a)が次から次へと析出するようになる。
その結果、上記複合めっき膜(2)の表面は、カーボンブラック(2b)の複雑な三次元分岐構造に沿って析出した多数のめっき金属(2a)の構造体が下地金属(1)上に沿って一体化・拡張した、空隙率の大きい(多数の空洞を有する)多孔質の粒子状粗面構造を有するようになる。
その結果、樹脂材(3)が上記複合めっき膜(2)の多孔及び空洞に入り込むことにより、複合めっき膜(2)と樹脂材(3)との間で強力なアンカー効果が発揮され、下地金属(1)と樹脂材(3)との間の接合強度が増大することになる。
本発明に係る金属と樹脂材との接合体の第2の特徴は、前記めっき金属(2a)はNi又はNi−P合金であることである。
上記構成では、めっき金属(2a)であるNi合金がアモルファス構造を有する場合、金属樹脂接合体の耐食性が向上するようになる。
本発明に係るカーボンブラックを含んだ複合めっき膜を介した金属と樹脂材との接合体によれば、金属と樹脂材との接合強度が高く、費用対効果に優れるようになる。また、めっき金属がアモルファス構造を有する場合、金属と樹脂材との接合体の耐食性を向上させることが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る金属と樹脂材との接合体を示す概念的説明図である。 金属上にNi/CB複合めっき膜が形成されるプロセスを示す説明図である。 金属上にNi/CB複合めっき膜が形成されるプロセスを示す説明図である。 本発明に係る金属樹脂接合体の製造工程の一例を示す説明図である。 Ni/CB複合めっき膜についてのめっき浴組成及び電析条件を示す説明図である。 カーボンブラックの濃度が5gL−1のときのNi/CB複合めっき膜を示すSEM画像である。 カーボンブラックの濃度が10gL−1のときのNi/CB複合めっき膜を示すSEM画像である。 Ni/CB複合めっき膜に樹脂材を射出成形する射出成形金型を示す要部断面説明図である。 本発明に係るNi/CB複合めっき膜を有する金属樹脂接合体についての接合評価を示す説明図である。 Ni−P/CB複合めっき膜についてのめっき浴組成及び電析条件を示す説明図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る金属と樹脂材との接合体100を示す概念的説明図である。図1(a)は金属と樹脂材との接合体100の要部断面を表し、図1(b)はカーボンブラック2bを表している。なお、図示の都合上図1(a)においてカーボンブラック2bは黒色に着色されて図示されている。
この金属と樹脂材との接合体(以下、「金属樹脂接合体」という。)100は、金属1と樹脂材3が、めっき金属であるNi金属2aにカーボンブラック2bを含んだNi/CB複合めっき膜2を介して接合されている。
Ni/CB複合めっき膜2が形成される金属1として、ここでは鉄系金属、例えば冷間圧延鋼板(SPCC)を使用している。金属1に接合される樹脂材3としては例えばポリフェニレンスルフィド(PPS)を使用している。カーボンブラック(CB)としては例えばキャボットコーポレーション製のVULCAN(登録商標)のXC72を使用している。
図1(b)に示されるように、カーボンブラック2bは、複数のカーボンブラック粒子2cが樹木の枝分かれのように凝集した複雑な三次元分岐構造を有している。詳細については図2及び図3を参照しながら後述するが、カーボンブラック2bは陰極に引き付けられ、めっき金属であるNi金属2aがカーボンブラック2bの複雑な三次元分岐構造に沿って析出するようになる。そして、カーボンブラック2b上に析出したNi金属2a上にさらに新たなNi金属2aが析出するようになる。
その結果、Ni/CB複合めっき膜2の表面(図6、図7)は、カーボンブラック2bの複雑な三次元分岐構造に沿って析出した多数のNi金属2の構造体(図3(b))が金属1上に沿って一体化・拡張した、空隙率の大きい(多数の空洞を有する)多孔質の粒子状粗面構造を有するようになる。なお、ここで言う「粒子状」とは、「CB粒子2cとその上に析出したNi金属2aとから成る」めっき金属粒子が多数集まった、ということを意味している。
その結果、Ni/CB複合めっき膜2が形成された金属1に対し樹脂材3を射出成形することにより、樹脂材3がNi/CB複合めっき膜2の多孔及び空洞に入り込むことによりNi/CB複合めっき膜2と樹脂材3との間で強力なアンカー効果が発揮され、金属1と樹脂材3との間の接合強度が増大することになる。
図2及び図3は、金属1上にNi/CB複合めっき膜2が形成されるプロセスを示す説明図である。
図2(a)に示されるように、通電開始後時間の経過と共に、正に帯電したニッケルイオンNi2+が陰極である金属1に引き付けられ、金属1から電子eを受け取り還元される。その結果、金属1表面にNi金属2aが析出する。
図2(b)に示されるように、カーボンブラック2bはめっき浴中でポリアクリル酸(分散剤)によって正に帯電される。その結果、カーボンブラック2bは陰極である金属1に引き付けられ、カーボンブラック2bはNi金属2aに接触する。これにより、電子eが金属1からNi金属2aを介してカーボンブラック2bに流れ、カーボンブラック2b表面に電子eが帯電する。
その結果、図3(a)に示されるように、ニッケルイオンNi2+がカーボンブラック2bに引き付けられ、カーボンブラック2b表面から電子eを受け取り還元される。その結果、カーボンブラック2b表面にNi金属2aが析出する。
図3(b)に示されるように、カーボンブラック2b表面に析出したNi金属2a表面に電子eが流れ、Ni金属2a表面に電子eが帯電する。ニッケルイオンNi2+がNi金属2aに引き付けられ、Ni金属2a表面から電子eを受け取り還元される。その結果、Ni金属2a表面に新たなNi金属2aが析出する。そして、カーボンブラック2bの複雑な三次元分岐構造に沿って析出した多数のNi金属2の構造体が金属1上に沿って一体化・拡張することにより、Ni/CB複合めっき膜2の表面は、空隙率の大きい(多数の空隙を有する)多孔質の粒子状粗面構造を有するようになる。
図4は、本発明に係る金属樹脂接合体100の製造工程の一例を示す説明図である。
先ず、プロセスP1として、金属1をアルカリ脱脂洗浄する。アルカリ脱脂洗浄は、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリ塩を用いた脱脂液を所定の温度例えば60℃に加温し、所定の時間、例えば5分間浸漬して金属1の表面に付着した油脂をけん化作用により水溶性の石鹸(高級脂肪酸のアルカリ塩)に変化させて除去する洗浄方法である。
次に、プロセスP2として、金属1の表面を脱イオン水で洗浄する。これは、プロセスP1で金属1表面に付着した脱脂液・石鹸等を除去するための洗浄処理である。
次に、プロセスP3として、金属1を酸洗浄する。使用する酸性水溶液は濃度が18%の塩酸水である。水溶液の温度は60℃で、浸漬時間は1分間である。これは、プロセスP2の脱イオン水洗浄で除去されなかった脱脂液・石鹸等を酸で中和して完全に除去するための洗浄処理である。
次に、プロセスP4として、金属1の表面を脱イオン水で洗浄する。これは、プロセスP3で金属1表面に付着した酸性水溶液を除去するための洗浄処理である。
次に、プロセスP5として、金属1の表面をめっき処理する。これは、金属1の所定部位の表面に、カーボンブラック(CB)を含んだNi金属めっき膜(Ni/CB複合めっき膜2)を形成するための処理である。図5に示されるめっき浴組成及び電析条件でめっき処理することにより、Ni/CB複合めっき膜2を金属1(SPCC)の表面に形成することができる。なお、めっき処理が施されない金属1上の部位については絶縁性テープによってマスクされている。また、カーボンブラックの分散剤であるポリアクリル酸の物質量(モル数、図5のX)については、CB濃度が5g/Lの場合は例えば5×10−5Mであり、CB濃度が10g/Lの場合は例えば1×10−4Mである。
図6は、カーボンブラックの濃度が5gL−1のときのNi/CB複合めっき膜2を示すSEM画像である。図6(a)はNi/CB複合めっき膜2の表面を表し、図6(b)はNi/CB複合めっき膜2の断面を表している。なお、図6(a)の白線は10μmスケールである。図6(b)の白線は1μmスケールである。
図6(a)に示されるように、Ni/CB複合めっき膜2は、空隙率の高い(多数の空洞を有する)多孔質の粒子状粗面構造を有していることが分かる。
図6(b)に示されるように、Ni/CB複合めっき膜2では、カーボンブラック2bの複雑な三次元分岐構造に沿って析出した多数のNi金属2の構造体が一体化・拡張し、内部に多数の空洞を有していることが分かる。
図7は、カーボンブラックの濃度が10gL−1のときのNi/CB複合めっき膜2を示すSEM画像である。図7(a)はNi/CB複合めっき膜2の表面を表し、図7(b)はNi/CB複合めっき膜2の断面を表している。なお、図7(a)の白線は10μmスケールである。図7(b)の白線は1μmスケールである。
図7(a)に示されるように、カーボンブラックの濃度が図6に対し2倍になる場合、表面のめっき金属粒子(CB粒子2cとその上に析出したNi金属2aとから成る金属粒子)の大きさが小さくなると共に、表面の空隙率が小さくなることが分かる。
図7(b)に示されるように、カーボンブラックの濃度が図6に対し2倍になる場合、内部のめっき金属粒子の大きさが小さくなると共に、内部の空隙率も小さくなることが分かる。
このように、図6及び図7はカーボンブラックの濃度を変化させることにより、Ni/CB複合めっき膜2を組成するめっき金属粒子の大きさ及び全体の空隙率を変えることができることを示している。つまり、図6及び図7はカーボンブラックの濃度を調整することにより、Ni/CB複合めっき膜2の表面粗さ、ひいては金属1と樹脂3との間の接合強度を変えることができることを示している。なお、カーボンブラックの濃度と金属1と樹脂3との間の接合強度との相関については、図9を参照しながら後述する。
再び図4に戻って、プロセスP6として、Ni/CB複合めっき膜2が形成された金属(SPCC)1を脱イオン水洗浄する。これは、Ni/CB複合めっき膜2表面に付着したCBを洗い流すための洗浄処理である。
次に、プロセスP7として、Ni/CB複合めっき膜2に樹脂材3を射出成形する。
図8は、金属1上に形成されたNi/CB複合めっき膜2に樹脂材3を射出成形する射出成形金型10を示す要部断面説明図である。この射出成形金型10は、可動側型板8と固定側型板9で構成され、固定側型板9側にピンポイントゲート7、ランナー6及びノズル5等からなる樹脂射出部が構成されている。
なお、使用される樹脂材3はペレット化され、150℃の温度下で2時間乾燥され、その後、300℃の温度に設定される。金型は140℃の温度に設定される。
射出成形は、まず可動側型板8を開いて、固定側型板9との間に形成されるキャビティに金属1を配置する。金属1を配置した後、可動側型板8を閉じる。次に、300℃に設定した溶融した樹脂材3を、ピンポイントゲート7から上記Ni/CB複合めっき膜2に射出する。
樹脂材3は、上記Ni/CB複合めっき膜と接合しつつ、可動側型板8との間に形成されるキャビティを埋めて樹脂成形される。成形後、150℃の温度下で1時間のアニール処理を行うことで、金属1と樹脂材3とがNi/CB複合めっき膜2を介して接合した金属樹脂接合体100が得られる。以下に、プロセスP7の射出成形により得られた金属樹脂接合体100の接合評価について説明する。
図9は、本発明に係る金属樹脂接合体100についての接合評価を示す説明図である。
金属樹脂接合体100についての接合評価は、ISO19095−2 typeBに規定される引っ張りせん断試験によって行われた。カーボンブラックの濃度が5gL−1のときのNi/CB複合めっき膜2を有する金属樹脂接合体100は、最大43.1MPaの引っ張りせん断強度が得られた。なお、バラツキの程度を示す標準偏差は0.21であった。対するカーボンブラックの濃度が10gL−1のときのNi/CB複合めっき膜2を有する金属樹脂接合体100は、最大42.8MPaの引っ張りせん断強度が得られた。なお、バラツキの程度を示す標準偏差は0.06であった。
このように、図9はカーボンブラックの濃度が低い方が金属樹脂接合体100の引っ張りせん断強度が高くなることを示している。
以上の通り、本発明の第1実施形態に係る金属樹脂接合体100及びその製造方法によれば下記の効果が期待される。
(1)Ni/CB複合めっき膜2の表面は、カーボンブラック2bの複雑な三次元分岐構造に沿って析出した多数のNi金属2の構造体が金属1上に沿って一体化・拡張した、空隙率の大きい(多数の空洞を有する)多孔質の粒子状粗面構造を有するようになる。
その結果、Ni/CB複合めっき膜2が形成された金属1に対し樹脂材3を射出成形することにより、樹脂材3がNi/CB複合めっき膜2の多孔及び空洞に入り込むことによりNi/CB複合めっき膜2と樹脂材3との間で強力なアンカー効果が発揮され、金属1と樹脂材3との間の接合強度が増大することになる。
(2)カーボンブラックの濃度を調整することにより、Ni/CB複合めっき膜2の表面粗さ(めっき金属粒子の大きさ及び全体の空隙率)、ひいては金属1と樹脂3との間の接合強度を変えることが可能となる。これにより、金属樹脂接合体100の接合強度の更なる向上が期待される。
なお、図を参照しながら本発明に係る金属樹脂接合体100について説明してきたが、本発明の実施形態は上記のみに限定されない。すなわち、本発明の技術的範囲内において種々の変更・修正をすることが可能である。例えば、Ni/CB複合めっき膜2が形成される金属1については、鉄系金属の他、銅系金属、アルミニウム系金属、チタン系金属に対しても本発明を適用することが可能である。さらに、カーボンブラック2bを含むめっき金属についても、Ni以外の他のNi合金、例えばNi−P合金に対しても本発明を適用することが可能である。
(第2実施形態)
金属1表面に形成されるめっき膜としてNi−P合金/CB複合めっき膜とすることで、金属樹脂接合体の強度と耐食性が向上するようになる。金属樹脂接合体の強度が向上する理由としては、Ni−P合金は非常に硬質であり、機械的強度が高いことにある。また、耐食性が向上する理由としては、めっき膜が結晶粒から構成されるのではなく、アモルファス構造のめっき膜として形成されることにある。
図10は、Ni−P/CB複合めっき膜についてのめっき浴組成及び電析条件を示す説明図である。図4に示される金属樹脂接合体100の製造工程のプロセスP5において、図10に示されるめっき浴組成と電析条件に変えることにより、Ni−P合金/CB複合めっき膜を介して金属1と樹脂材3が接合した金属樹脂接合体を好適に製造することができる。なお、カーボンブラックの分散剤であるポリアクリル酸の物質量(モル数、図10のX)については、図5と同様にCB濃度が5g/Lの場合は例えば5×10−5Mであり、CB濃度が10g/Lの場合は例えば1×10−4Mである。
1 金属
2 Ni/CB複合めっき膜
2a Ni金属
2b カーボンブラック
2c CB粒子
3 樹脂材
5 ノズル
6 ランナー
7 ピンポイントゲート
8 可動側型板
9 固定側型板
10 射出成形金型
100 金属樹脂接合体

Claims (2)

  1. 金属(1)の表面に粗面構造のめっき膜(2)が設けられ、該めっき膜(2)を介して金属(1)と樹脂材(3)とが一体に成形されて成る金属と樹脂材との接合体であって、
    前記めっき膜(2)はめっき金属(2a)とカーボンブラック(2b)を基に構成された複合めっき膜(2)である
    ことを特徴とする金属と樹脂材との接合体。
  2. 請求項1に記載の金属と樹脂との接合体において、
    前記めっき金属はNi又はNi−P合金である
    ことを特徴とする金属と樹脂材との接合体。
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