JP2021026837A - 正極合材 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の放電容量を向上させることができる正極合材を提供することを目的とする。【解決手段】S元素を有する正極活物質と、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物と、導電助剤とを含有し、Li元素を実質的に含有せず、前記第1の含硫化合物と前記第2の含硫化合物の合計質量に対する前記第2の含硫化合物の質量比が0.739〜0.883であることを特徴とする、全固体電池用の正極合材。【選択図】図2

Description

本開示は、正極合材に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。
硫黄を正極活物質として用いた硫黄電池の開発が進められている。硫黄は、理論容量が1675mAh/gと非常に高いといった特徴を有する。また、硫黄電池の分野では硫黄の利用率を向上させ、硫黄電池の充放電容量を増加させる試みがなされてきた。
特許文献1には、硫黄の利用率を向上させ、硫黄電池の充放電容量を大きくすることが可能な正極合材が開示されている。
特開2019−033067号公報
電池の高容量化が求められている。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、
電池の放電容量を向上させることができる正極合材を提供することを主目的とする。
本開示においては、S元素を有する正極活物質と、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物と、導電助剤とを含有し、
Li元素を実質的に含有せず、
前記第1の含硫化合物と前記第2の含硫化合物の合計質量に対する前記第2の含硫化合物の質量比が0.739〜0.883であることを特徴とする、全固体電池用の正極合材を提供する。
本開示は、電池の放電容量を向上させることができる正極合材を提供することができる。
本開示において用いられる全固体電池の一例を示す断面模式図である。 正極合材中の含硫化合物の質量比{P/(B+P)}と下限電圧1V設定時の全固体電池の放電容量との関係を示すグラフである。
本開示においては、S元素を有する正極活物質と、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物と、導電助剤とを含有し、
Li元素を実質的に含有せず、
前記第1の含硫化合物と前記第2の含硫化合物の合計質量に対する前記第2の含硫化合物の質量比が0.739〜0.883であることを特徴とする、全固体電池用の正極合材を提供する。
硫黄電池の中でもリチウム硫黄電池は、通常使用電圧は上限電圧3.1V−下限電圧1.5Vを想定しているが、電池の充放電時の電圧のバラつき等により電池の電圧が1.5V以下に達する可能性があり、1.5V以下でも劣化することなく且つ高容量な正極合材が求められている。
全固体電池用の正極合材として、高価な硫化リチウム(LiS)の代替としてのS元素を有する正極活物質と、P元素およびS元素を有する含硫化合物と、導電助剤とを含有する正極合材は、Liを挿入するとLiを挿入した状態での当該正極合材のイオン伝導度が低く、且つ、電池電圧1.5V以下では副反応が生じ、電池の充放電ごとに放電容量が低くなる(不可逆容量が多くなる)という問題がある。これは、電池電圧1.5V以下では、P元素およびS元素を有する含硫化合物が還元し、正極合材が劣化するためであると考えられる。
また、全固体電池用の正極合材として、S元素を有する正極活物質と、B元素およびS元素を有する含硫化合物と、導電助剤とを含有する正極合材は、下限電圧を1Vに設定した時でも良好なサイクル特性を示すが、電池の放電容量が低いという問題がある。これは、高容量化にはS元素を有する正極活物質と含硫化合物が反応して複合化することが必要だが、複合化するのに必要なB元素およびS元素を有する含硫化合物の量がP元素およびS元素を有する含硫化合物に比べて多いためであると考えられる。
本研究者らは、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物を特定の割合で含有する正極合材を電池に用いることで当該電池の充放電反応における当該正極合材の耐還元性を向上させ、電池の放電容量(特に下限電圧1V設定時の放電容量)を向上させることができることを見出した。
1.正極活物質
正極活物質は、S元素を有する。S元素を有する正極活物質としては種々の材料が採用できる。例えば、正極活物質は、単体硫黄であってもよい。単体硫黄としては、例えばS硫黄が挙げられる。S硫黄は、α硫黄(斜方硫黄)、β硫黄(単斜硫黄)、γ硫黄(単斜硫黄)という3つの結晶形を有し得るが、いずれの結晶形であってもよい。
正極合材に含有される正極活物質の量は特に限定されるものではなく、目的とする電池性能に応じて適宜決定すればよい。例えば、正極合材は、正極活物質を10質量%以上80質量%以下含有していてもよい。下限は15質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよく、25質量%以上であってもよい。上限は70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよい。正極活物質の含有量が多すぎると、電池の正極層におけるイオン伝導性および電子伝導性が不足する場合がある。
正極活物質の一部または全部は、後述する含硫化合物に固溶していてもよい。言い換えると、正極合材は、正極活物質と含硫化合物との固溶体を含有していてもよい。また、正極活物質におけるS元素と、含硫化合物におけるS元素とは化学結合(S−S結合)を有していてもよい。
2.含硫化合物
本開示における正極合材は、含硫化合物として、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物(以下B含硫化合物と称する場合がある)と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物(以下P含硫化合物と称する場合がある)を少なくとも含有する。
本開示における正極合材は、含硫化合物中の前記第1の含硫化合物と前記第2の含硫化合物の合計質量に対する前記第2の含硫化合物の質量比{P含硫化合物/(B含硫化合物+P含硫化合物)}が0.739〜0.883であればよい。
電池の放電時に、キャリアイオンは負極層から固体電解質層を介して正極層に伝導するが、正極層に到達したキャリアイオンは、正極活物質と反応し、イオン伝導性の低い放電生成物(例えば、LiSやNaS)を生じ得る。そのため、正極層に含硫化合物が存在しない場合、放電生成物のイオン伝導性が低いため、正極層内のイオン伝導パスが不足し、放電反応が進行し難くなる場合がある。これに対して、正極層に含硫化合物が存在する場合、放電生成物のイオン伝導性が低くても、含硫化合物により正極層内のイオン伝導パスが確保されるため、放電反応が進行しやすい。また、B元素とS元素とを有する第1の含硫化合物は、正極合材において高い耐還元性を発揮することから、副反応による正極合材の劣化を抑えることもできる。したがって、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物を特定の割合で含有する正極合材を電池に用いることで当該電池の充放電反応における当該正極合材の耐還元性を向上させ、電池の放電容量(特に下限電圧1V設定時の放電容量)を向上させることができる。
正極合材は、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物のみを含有していてもよく、他の元素(例えば、Ge、Sn、SiまたはAl)およびS元素を有する第3の含硫化合物をさらに含有していてもよい。後者の場合、正極合材は、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物を、含硫化合物の主体として含有するものであってもよい。具体的には、正極合材に含まれる含硫化合物の全体を100質量%として、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物を合わせて50質量%以上100質量%以下含有していてもよい。
正極合材において含硫化合物は種々の形態を採り得る。例えば、正極合材はオルト組成の構造を有する含硫化合物を含有していてもよい。すなわち、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物はB元素のオルト構造を備えていてもよい。B元素のオルト構造は、具体的には、BS構造である。
また、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物は、P元素のオルト構造を備えていてもよい。P元素のオルト構造は、具体的には、PS構造である。
また、含硫化合物は、M元素(Mは、例えば、Ge、Sn、SiまたはAlである)のオルト構造を備えていてもよい。M元素のオルト構造としては、例えば、GeS構造、SnS構造、SiS構造、AlS構造が挙げられる。
また、正極合材は含硫化合物として硫化物を含有していてもよい。すなわち、第1の含硫化合物はB元素の硫化物(B)を有していてもよい。一方、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物は、P元素の硫化物(例えばP)を有していてもよい。
また、含硫化合物は、M元素の硫化物(M)を有していてもよい。ここで、xおよびyは、Mの種類に応じてSとの電気的中性を与える整数である。硫化物(M)としては、例えば、GeS、SnS、SiS、Alが挙げられる。また、これらの硫化物は、例えば、出発原料の残留物であってもよい。
本開示の正極合材は、含硫化合物としてB元素およびS元素を有する第1の含硫化合物(B含硫化合物)と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物(P含硫化合物)を少なくとも含有し、当該含硫化合物中の前記第1の含硫化合物と前記第2の含硫化合物の合計質量に対する前記第2の含硫化合物の質量比{P含硫化合物/(B含硫化合物+P含硫化合物)}が0.739〜0.883である含硫化物が含まれていれば、当該正極合材に含有される当該含硫化合物の量は、特に限定されるものではなく、目的とする電池性能に応じて適宜決定すればよい。例えば、正極合材は、含硫化合物を10質量%以上80質量%以下含有していてもよい。下限は15質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよく、25質量%以上であってもよい。上限は70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよい。含硫化物の含有量が多すぎると、相対的に正極活物質の含有量が少なくなり、十分な容量を有する正極合材が得られない場合がある。
3.導電助剤
導電助剤は、正極合材の電子伝導性を向上させる機能を有する。また、導電助剤は、例えば原料混合物にメカニカルミリングを行う際に、単体硫黄(正極活物質)を還元する還元剤として機能すると推測される。導電助剤は、正極合材において分散して存在していてもよい。
導電助剤としては、例えば炭素材料、金属材料が挙げられる。炭素材料としては、例えば、気相成長カーボンファイバ(VGCF)、アセチレンブラック、活性炭、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、及びグラフェン等が挙げられる。正極合材においては2種以上の導電助剤を混合して用いてもよい。
正極合材に含有される導電助剤の量は特に限定されるものではなく、目的とする電池性能に応じて適宜決定すればよい。例えば、正極合材は、導電助剤を5質量%以上50質量%以下含有していてもよい。下限は10質量%以上であってもよい。上限は40質量%以下であってもよい。導電助剤の含有量が多すぎると、相対的に正極活物質の含有量が少なくなり、十分な容量を有する正極合材が得られない場合がある。
4.実質的に含有しない元素
4−1.Li元素
従来技術として、Li元素を有するイオン伝導体(固体電解質)を含有する正極合材が知られている。例えば、原料としてLiSを用いたイオン伝導体が公知である。しかしながら、LiSは耐水性が低いことから、このような正極合材を用いた電池は、容量が低くなる傾向がある。これに対し、本開示の正極合材はLi元素を実質的に含有しないことから、上記したような容量の低下を抑えることができる。
「Li元素を実質的に含有しない」とは、正極合材に含まれる全ての元素に対するLi元素の割合が、20mol%以下であることをいう。Li元素の割合は、16mol%以下であってもよく、8mol%以下であってもよく、4mol%以下であってもよく、0mol%(検出限界以下)であってもよい。
なお、本開示において正極合材とは、全固体電池に組み込まれて初回のLi挿入(初回放電)を行う前の状態の材料を意味する。そのため、初回放電後の全固体電池の正極層にはLi元素が実質的に含まれていてもよい。
4−2.Na元素
Li元素と同様の観点から、本開示の正極合材は、Na元素を実質的に含有しなくてもよい。
「Na元素を実質的に含有しない」とは、正極合材に含まれる全ての元素に対するNa元素の割合が、20mol%以下であることをいう。Na元素の割合は、16mol%以下であってもよく、8mol%以下であってもよく、4mol%以下であってもよく、0mol%(検出限界以下)であってもよい。
5.正極合材
本開示における正極合材は、正極活物質、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物とP元素およびS元素を有する第2の含硫化合物を含む含硫化合物および導電助剤のみを含有していてもよく、さらにバインダー等の他の材料を含有していてもよい。
バインダーとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を例示することができる。正極合材におけるバインダーの含有量は特に限定されるものではない。
正極合材の形状は、粉体状であってもよいし、複数の粒子が凝集・結合してなる塊状であってもよいし、これら以外の形状であってもよい。目的とする電池の形態等に応じて、種々の形状を採り得る。
6.正極合材の製造方法
本開示における正極合材の製造方法は、少なくとも(1)S元素を有する正極活物質、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物とP元素およびS元素を有する第2の含硫化合物を含む含硫化合物および導電助剤を含有し、且つ、Li元素を実質的に含有しない原料を準備する準備工程、及び、(2)前記原料を混合して正極合材を得る混合工程を有する。
(1)準備工程
準備工程は、S元素を有する正極活物質と、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物とP元素およびS元素を有する第2の含硫化合物を含む含硫化合物と、導電助剤とを含有し、且つ、Li元素を実質的に含有しない原料を準備する工程である。原料は、自ら作製してもよく、他者から購入してもよい。
原料は、正極活物質、含硫化物および導電助剤のみを含有していてもよく、さらに他の材料を含有していてもよい。また、原料は上述の通りLi元素を実質的に含有しない。原料はNa元素を実質的に含有していなくてもよい。
正極活物質は、上述の通り、単体硫黄であってもよい。単体硫黄は、純度が高いことが好ましい。
B元素及びS元素を有する第1の硫化物としては、例えば、Bが挙げられる。P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物としては、例えば、Pが挙げられる。原料は、含硫化物として、第1の硫化物と第2の含硫化合物のみを含有していてもよく、他の元素の含硫化物をさらに含有していてもよい。他の元素の含硫化物としては、例えば、GeS、SnS、SiS、Alが挙げられる。
導電助剤については、上述の通りであり、ここでは説明を省略する。
原料における正極活物質、含硫化物および導電助剤の含有量は、上述した正極合材における正極活物質、含硫化物および導電助剤の含有量と同様の含有量とすることができる。
(2)混合工程
混合工程は、前記原料を混合して正極合材を得る工程である。原料を混合する手段は特に限定されるものではない。例えば、メカニカルミリングによって原料を混合してもよい。メカニカルミリングにより、原料をより容易に非晶質化することができる。
メカニカルミリングは、正極合材を、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えばボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミルが挙げられる。原料の非晶質化を一層容易とする観点から、遊星型ボールミルを採用してもよい。
メカニカルミリングは、乾式メカニカルミリングであってもよく、湿式メカニカルミリングであってもよい。湿式メカニカルミリングに用いられる液体としては、例えば、硫化水素が発生しない程度の非プロトン性を有するものが挙げられる。具体的には、極性の非プロトン性液体、無極性の非プロトン性液体等の非プロトン性液体が挙げられる。
メカニカルミリングの条件は、所望の正極合材が得られるように適宜設定される。例えば、遊星型ボールミルを用いる場合、容器に原料混合物および粉砕用ボールを加え、所定の台盤回転数および時間で処理を行う。台盤回転数は、例えば200rpm以上であり、300rpm以上であってもよく、500rpm以上であってもよい。一方、台盤回転数は、例えば800rpm以下であり、600rpm以下であってもよい。また、遊星型ボールミルの処理時間は、例えば30分間以上であり、5時間以上であってもよい。一方、遊星型ボールミルの処理時間は、例えば100時間以下であり、60時間以下であってもよい。遊星型ボールミルに用いられる容器および粉砕用ボールの材料としては、例えばZrO、Alが挙げられる。粉砕用ボールの径は、例えば、1mm以上、20mm以下である。メカニカルミリングは、不活性ガス雰囲気(例えばArガス雰囲気)で行なうことが好ましい。
7.全固体電池
図1は、本開示において用いられる全固体電池の一例を示す断面模式図である。
図1に示すように、全固体電池100は、正極層12及び正極集電体14を含む正極16と、負極層13及び負極集電体15を含む負極17と、正極層12と負極層13の間に配置される固体電解質層11とを備える。
正極層は上述した正極合材からなる。
正極層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1μm以上1000μm以下であってもよい。
また、正極層の目付量は、特に限定されるものではないが、例えば、3mg/cm以上であってもよいし、4mg/cm以上であってもよいし、5mg/cm以上であってもよい。
正極層は、例えば、上記の正極合材をプレスすることにより、容易に形成することができる。
負極層は、少なくとも負極活物質を含有する層である。
負極活物質は、Li元素を有していてもよい。このような負極活物質としては、リチウム単体又はリチウム合金が挙げられる。リチウム合金としては、例えば、Li−In合金が挙げられる。負極活物質は、Na元素を有していてもよい。このような負極活物質としては、ナトリウム単体又はナトリウム合金が挙げられる。
負極層は、必要に応じて、固体電解質、導電助剤及びバインダーのうちの少なくとも一つを含有していてもよい。固体電解質については、後述する固体電解質層に含まれ得る固体電解質から適宜選択すればよい。導電助剤及びバインダーについては、上述した正極合材に含まれ得る導電助剤及びバインダーから適宜選択すればよい。
負極層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1μm以上1000μm以下であってもよい。
負極層は、例えば、上述の負極活物質等をプレスすることにより、容易に形成可能である。或いは、負極層として上記材料からなる箔を採用してもよい。
固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含有する層であり、必要に応じて、バインダーを含有していてもよい。
固体電解質としては、例えば、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、窒化物系固体電解質、ハロゲン化物系固体電解質が挙げられ、中でも、硫化物系固体電解質が好ましい。
硫化物系固体電解質は、Li元素と、A元素(Aは、P、Ge、Si、Sn、B及びAlの少なくとも1種である)と、S元素とを有することが好ましい。硫化物系固体電解質は、ハロゲン元素をさらに有していてもよい。ハロゲン元素としては、例えば、F元素、Cl元素、Br元素、I元素が挙げられる。また、硫化物系固体電解質は、O元素をさらに有していてもよい。
硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS−P、LiS−P−LiI、LiS−P−GeS、LiS−P−LiO、LiS−P−LiO−LiI、LiS−P−LiI−LiBr、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiCl、LiS−SiS−B−LiI、LiS−SiS−P−LiI、LiS−B、LiS−P−Z(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn又はGaのいずれか。)、LiS−GeS、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga又はInのいずれか。)が挙げられる。
固体電解質は、1種単独で、又は2種以上のものを用いることができる。また、2種以上の固体電解質を用いる場合、2種以上の固体電解質を混合してもよく、又は2層以上の固体電解質それぞれの層を形成して多層構造としてもよい。
固体電解質層に含まれる固体電解質の割合は、特に限定されるものではないが、例えば、50体積%以上であってもよいし、70体積%以上であってもよいし、90体積%以上であってもよい。固体電解質層に用いられるバインダーについては、上述した正極合材に含まれ得るバインダーから適宜選択すればよい。
固体電解質層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1μm以上1000μm以下であってもよい。固体電解質層は、例えば、上述の固体電解質等をプレスすることにより、容易に形成可能である。
正極集電体の材料としては、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等が挙げられる。
一方、負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボン等が挙げられる。
正極集電体および負極集電体は、例えば、箔状であってもよいし、メッシュ状であってもよい。
全固体電池は、必要に応じ、正極、負極、及び、固体電解質層を収容する外装体を備える。
外装体の形状としては、特に限定されないが、ラミネート型等を挙げることができる。
外装体の材質は、電解質に安定なものであれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び、アクリル樹脂等の樹脂等が挙げられる。
本開示における全固体電池は、硫黄電池であってもよい。硫黄電池とは、正極活物質として単体硫黄を用いた電池を意味する。本開示における全固体電池は、リチウム硫黄電池(LiS電池)あってもよく、ナトリウム硫黄電池(NaS電池)であってもよい。全固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、後者が好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。なお、二次電池には、二次電池の一次電池的使用(充電後、一度の放電だけを目的とした使用)も含まれる。
全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、及び角型等を挙げることができる。
本開示の全固体電池の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
(実施例1)
(正極合材の作製)
単体硫黄S(正極活物質、高純度化学製)、B(第1の含硫化物)、P(第2の含硫化物)およびVGCF(導電助剤)を準備した。これらを、表1記載の質量比となるように秤量し、各原料をメノウ乳鉢で15分間混練し、原料を得た。得られた原料を遊星ボールミルの容器(45cc、ZrO製)に投入し、さらにZrOボール(φ=4mm、96g)を投入し、容器を完全に密封した。この容器を遊星ボールミル機(フリッチュ製P7)に取り付け、1時間メカニカルミリング(台盤回転数500rpm)、15分停止、逆回転で1時間メカニカルミリング(台盤回転数500rpm)、15分停止のサイクルを繰り返し、合計48時間メカニカルミリングを行った。これにより、正極合材を得た。
(全固体電池の作製)
1cmのセラミックス製の型に固体電解質を100mg入れ、1ton/cmでプレスし、固体電解質層を得た。その片側に正極合材を7.8mg(目付量:7.8mg/cm)入れ、6ton/cmでプレスして正極層を作成した。その逆側に、負極層であるリチウム金属箔を配置して、1ton/cmでプレスすることで、発電要素を得た。正極層側にAl箔(正極集電体)、負極層側にCu箔(負極集電体)を配置した。これにより、全固体電池を得た。
[実施例2および比較例1〜4]
各原料を表1記載の質量比となるように秤量したこと以外は、実施例1と同様にして、正極合材および全固体電池を得た。
(充放電試験)
実施例1〜2、比較例1〜4で得られた全固体電池に対して、充放電試験を行った。充放電試験は、以下の手順で行った。なお、温度環境は25℃とし、1Cは4.56mA/cmに該当する。
(1)0.1Cで1.5Vまで放電、10分間休止し
(2)0.1Cで3.1Vまで充電、10分間休止、0.1Cで1.5Vまで放電、10分間休止し、これを合計5サイクル
(3)0.1Cで3.1Vまで充電、10分間休止、0.1Cで1Vまで放電、10分間休止し、これを合計20サイクル
上記の手順(3)の10サイクル目における放電容量を測定して得られた、正極合材中の含硫化合物の質量比{P/(B+P)}と下限電圧1V設定時の全固体電池の放電容量との関係を図2に示す。
図2に示すように、BとPを表1に示す質量比で含む実施例1〜2、比較例2〜3は、Bのみを含む比較例1よりも下限電圧1Vでの放電容量が高い。これは、Bに加えてPを含むことによりイオン伝導性が向上したためであると考えられる。
一方、図2に示すように、BとPを表1に示す質量比で含む実施例1〜2は、Pのみを含む比較例4よりも下限電圧1Vでも電池の放電容量が高い。これは、Pに加えてBを特定の量含むことにより電池の充放電サイクルに対する正極合材の耐還元性が向上したためであると考えられる。なお、比較例2〜3が比較例4よりも電池の放電容量が低いのは、正極合材に用いた含硫化物中のBの質量比が多すぎるためイオン伝導性が充分でないためと考えられる。
したがって、正極合材中の含硫化合物の質量比{P/(B+P)}が0.739〜0.883である含硫化物を含む正極合材は、イオン伝導性と電池の充放電サイクルに対する耐還元性を両立し、当該正極合材を用いた全固体電池は、下限電圧1Vでの放電容量を向上させることができることが明らかとなった。
11 固体電解質層
12 正極層
13 負極層
14 正極集電体
15 負極集電体
16 正極
17 負極
100 全固体電池

Claims (1)

  1. S元素を有する正極活物質と、B元素およびS元素を有する第1の含硫化合物と、P元素およびS元素を有する第2の含硫化合物と、導電助剤とを含有し、
    Li元素を実質的に含有せず、
    前記第1の含硫化合物と前記第2の含硫化合物の合計質量に対する前記第2の含硫化合物の質量比が0.739〜0.883であることを特徴とする、全固体電池用の正極合材。
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