JP2014116127A - 全固体電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイレート特性を向上させることが可能な全固体電池を提供する。
【解決手段】少なくとも電池用活物質、固体電解質材料、及び、導電助剤を含む電極層と、該電極層に接続された固体電解質層とを備え、固体電解質材料にLi1+xAlxGe2−x(PO4)3(0≦x≦1)が含まれ、導電助剤にAl金属が含まれる、全固体電池とする。
【選択図】図2
【解決手段】少なくとも電池用活物質、固体電解質材料、及び、導電助剤を含む電極層と、該電極層に接続された固体電解質層とを備え、固体電解質材料にLi1+xAlxGe2−x(PO4)3(0≦x≦1)が含まれ、導電助剤にAl金属が含まれる、全固体電池とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、全固体電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、従来の二次電池よりもエネルギー密度が高く、高電圧で作動させることができる。そのため、小型軽量化を図りやすい二次電池として携帯電話等の情報機器に使用されており、近年、電気自動車用やハイブリッド自動車用等、大型の動力用としての需要も高まっている。
リチウムイオン二次電池は、正極層及び負極層(以下において、これらを「電極層」ということがある。)と、これらの間に配置された電解質層とを有し、電解質層に用いられる電解質としては、例えば非水系の液体状や固体状の物質等が知られている。液体状の電解質(以下において、「電解液」という。)が用いられる場合には、電解液が正極層や負極層の内部へと浸透しやすい。そのため、正極層や負極層に含有されている活物質と電解液との界面が形成されやすく、性能を向上させやすい。ところが、広く用いられている電解液は可燃性であるため、安全性を確保するためのシステムを搭載する必要がある。一方、難燃性である固体状の電解質(以下において、「固体電解質」という。)を用いると、上記システムを簡素化できる。それゆえ、固体電解質を含有する層(以下において、「固体電解質層」という。)が備えられる形態のリチウムイオン二次電池(以下において、「全固体電池」ということがある。)の開発が進められている。
このようなリチウムイオン二次電池に関する技術として、例えば特許文献1には、正極層及び負極層の少なくとも一方に導電助剤を含む全固体電池が開示されている。この特許文献1には、固体電解質としてLi1+x+yAlxTi2−xSiyP3−yO12(0≦x≦0.4、0<y≦0.6、以下において「LATP」ということがある。)を使用し、導電助剤としてタングステン粒子、ニッケル繊維、酸化亜鉛粒子、酸化インジウム粒子、又は、アセチレンブラックを使用した電極層を、焼成を経て製造した実施例が開示されている。また、特許文献2には、正極層に、正極活物質とリチウムイオン伝導性の固体電解質と導電助剤とが含まれている全固体電池が開示されている。この特許文献2には、(1)固体電解質としてLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(以下において、「LAGP」ということがある。)を使用可能であること、(2)導電助剤としてアルミニウムを使用可能であること、及び、(3)電極層や固体電解質層は焼成を経て製造可能であることが開示されている。さらに、特許文献2では、固体電解質として1.5gのLATPを使用し、導電助剤として0.25gのカーボンナノファイバーを使用した正極層を、焼成を経て製造した実施例が開示されている。また、特許文献3には、LAGPと電極活物質と導電助剤とを含む電極焼結体の製造方法が開示されており、導電助剤としては炭素材料が例示されている。また、特許文献4には、LAGPと活物質材料とを含有する電池用焼結体が開示されている。また、特許文献5及び特許文献6には、ナシコン型の固体電解質材料と活物質材料とを含む電池用焼結体及びその製造方法が開示されている。
自動車用途等、ハイレート特性が要求される全固体電池では、電子伝導性を向上させるために、導電助剤を添加した電極層が用いられる。全固体電池で使用可能な導電助剤としては、これまでに、炭素材料や金属材料等が知られており、中でも、良好な電子伝導性を備えた炭素材料が広く用いられている。特許文献1乃至特許文献3に開示されているように、導電助剤として炭素材料を用いることによって、電子伝導性を向上させた電極層を得ることも可能になると考えられる。しかしながら、固体電解質としてLAGPを用いた電極層の電子伝導性を向上させるために、導電助剤である炭素材料の添加量を増大させると、電極層の密度(焼結密度)が低下するため、全固体電池のハイレート特性を向上させ難かった。かかる問題は、特許文献1乃至特許文献6に開示されている技術を組み合わせても、解決することが困難であった。
そこで本発明は、ハイレート特性を向上させることが可能な全固体電池を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、固体電解質としてLAGPを用いる電極層は、導電助剤としてアルミニウムを用いることにより、導電助剤の添加量を増やしても、焼成後の密度を高めつつ電子伝導性を向上させることが可能になることを知見した。本発明は、当該知見に基づいて完成させた。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
本発明は、本発明は、少なくとも電池用活物質、固体電解質材料、及び、導電助剤を含む電極層と、該電極層に接続された固体電解質層とを備え、固体電解質材料にLi1+xAlxGe2−x(PO4)3(ただし、0≦x≦1。以下において、「LAGP」ということがある。)が含まれ、導電助剤にAl金属が含まれる、全固体電池である。
本発明は、本発明は、少なくとも電池用活物質、固体電解質材料、及び、導電助剤を含む電極層と、該電極層に接続された固体電解質層とを備え、固体電解質材料にLi1+xAlxGe2−x(PO4)3(ただし、0≦x≦1。以下において、「LAGP」ということがある。)が含まれ、導電助剤にAl金属が含まれる、全固体電池である。
本発明の全固体電池は、一対の電極層(正極層及び負極層)のうち、一方の電極層又は両方の電極層が、少なくとも電池用活物質、固体電解質材料、及び、導電助剤を含有している。電池用活物質、固体電解質材料、及び、導電助剤を含有している電極層が一方の電極層である場合、他方の電極層は、例えば、導電助剤が含まれない形態(電池用活物質及び固体電解質材料を含有する形態)とすることができる。ただし、ハイレート特性を向上させやすい形態にする等の観点からは、両方の電極層(一対の電極層)に、電池用活物質、固体電解質材料、及び、導電助剤が含有されていることが好ましい。電池用活物質と、固体電解質材料であるLAGPと、導電助剤であるAl金属とを含む形態とすることにより、例えば、固体電解質材料及びAl金属の合計体積に占めるAl金属の体積の割合を50%程度にまで増大させても、焼結後の密度(焼結体の理論密度を100とした時の相対密度(%))が58%よりも大きい電極層(密度が1.86g/cm3よりも大きい電極層)を形成することが可能である。高密度の電極層を用いることにより、ハイレート特性を向上させることが可能になるので、固体電解質材料としてLAGPを用い、且つ、導電助剤としてAl金属を用いた電極層が備えられる形態とすることにより、ハイレート特性を向上させることが可能な全固体電池を提供することができる。
また、上記本発明において、電池用活物質、固体電解質材料、及び、導電助剤を含む電極層は、固体電解質材料の体積及び導電助剤の体積の合計に占める導電助剤の体積の割合が20%以上50%以下であることが好ましい。かかる形態とすることにより、イオン伝導性を許容範囲に留めつつ電子伝導性を高めやすくなるので、ハイレート特性を向上させやすくなる。
また、上記本発明にかかる全固体電池は、600℃以下の温度で焼結させる過程を経て製造されていることが好ましい。かかる形態とすることにより、Alを融解させることなく焼結が可能となる。
本発明によれば、ハイレート特性を向上させることが可能な、全固体電池を提供することができる。
図1は、導電助剤として炭素材料を用い、且つ、固体電解質材料としてLAGPを用いた焼結体の炭素材料含有量(体積%)と焼結体の密度(焼結体の理論密度を100とした時の相対密度(%))との関係を説明する図である。図1に示したように、導電性を向上させること等を目的として、導電助剤である炭素材料の添加量を増大させると、焼成後の密度が低下する。低密度の電極層を備えた全固体電池はハイレート特性が低い傾向があるため、導電助剤として炭素材料を用いる場合には、多量の炭素材料(例えば、20体積%以上の炭素材料)を添加することは困難である。それゆえ、固体電解質材料としてLAGPを用いる場合には、導電助剤として炭素材料を用いても電極層の電子伝導性を向上させ難く、その結果、全固体電池のハイレート特性を向上させることが困難であった。
これに対し、後述するように、導電助剤としてAl金属を用いることにより、固体電解質材料であるLAGPと同体積の導電助剤を添加しても、焼成後の密度(焼結体の理論密度を100とした時の相対密度(%))が58%よりも大きい電極層(密度が1.86g/cm3よりも大きい電極層)を作製することが可能になる。許容し得るイオン伝導性能が確保される範囲内で多量の導電助剤を添加した電極層を用いることにより、全固体電池のハイレート特性を向上させることが可能になるため、導電助剤としてAl金属を用い、且つ、固体電解質材料としてLAGPを用いた電極層が備えられる形態とすることにより、ハイレート特性を向上させた全固体電池を提供することが可能になる。
リチウム電極電位基準(vs Li/Li+)でAlの充放電電位は0.3Vである。そのため、Al金属を用いた全固体電池には、これよりも貴な電位で充放電を行う負極活物質を用いれば良い。なお、一般的な導電助剤である炭素材料の電気伝導度はσ=6×102S/cm程度であるのに対し、Alの電気伝導度はσ=4×105S/cm程度である。
以下、図面を参照しつつ、本発明について説明する。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されない。
図2は、本発明の全固体電池10を説明する断面図である。図2では、電極層や固体電解質層等を収容する外装体等の記載を省略している。図2に示したように、全固体電池10は、負極層1及び正極層2と、これらに挟まれた固体電解質層3と、負極層1に接続された負極集電体4と、正極層2に接続された正極集電体5と、を有している。負極層1は、負極活物質、固体電解質(LAGP)、導電助剤(Al金属)、及び、バインダーを有しており、正極層2は、正極活物質、固体電解質(LAGP)、導電助剤(Al金属)、及び、バインダーを含有している。また、固体電解質層3は、固体電解質(LAGP)及びバインダーを含有している。
LAGP及びAl金属を含有している負極層1は、LAGPと同体積%のAl金属を添加しても、焼成後の密度(焼結体の理論密度を100とした時の相対密度(%))が58%よりも大きくすること(密度を1.86g/cm3よりも大きくすること)が可能である。すなわち、LAGP及びAl金属を用いることにより、導電助剤(Al金属)の添加量を増大させることが可能になり、その結果、イオン伝導性能よりも低い傾向がある電子伝導性を向上させることが可能になる。したがって、LAGP及びAl金属を用いることにより、ハイレート特性を向上させることが可能な全固体電池10を提供できる。
本発明において、負極層1に含有させるAl金属の形状は特に限定されず、例えば、粒子状や繊維状等にすることができる。粒子状にする場合には、平均粒径(D50。以下において同じ。)を30μm以下にすることが好ましく、繊維状にする場合には、その長さを負極層1の厚さ未満にする。負極層1に含有させる導電助剤は、Al金属のみであっても良く、Al金属とともに他の導電助剤を含有させても良い。Al金属とともに他の導電助剤を含有させる場合には、全固体電池10の使用環境に耐えることができ、且つ、焼成後の負極層1の密度を低下させ難い導電材料を適宜用いることができる。そのような導電材料としては、Au、Ag等を例示することができる。また、負極層1に含有させる導電助剤の量は特に限定されないが、電子伝導性の向上効果が得られやすい形態にする等の観点から、負極層1の体積の20%以上とすることが好ましい。また、必要なイオン伝導性を確保しやすい形態にする等の観点から、負極層1の体積の50%以下とすることが好ましい。
また、負極層1に含有させる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な公知の負極活物質を適宜用いることができる。そのような負極活物質としては、例えば、カーボン活物質、酸化物活物質、及び、金属活物質等を挙げることができる。カーボン活物質は、炭素を含有していれば特に限定されず、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。酸化物活物質としては、例えばNb2O5、Li4Ti5O12、SiO等を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn等を挙げることができる。また、負極活物質として、リチウム含有金属活物質を用いても良い。リチウム含有金属活物質は、合金であっても良い。Li合金としては、例えば、Snを含有する合金を挙げることができる。負極活物質の形状は、例えば粒子状、薄膜状等にすることができる。負極活物質の平均粒径は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。また、負極層1における負極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上99%以下とすることが好ましい。
また、負極層1には、固体電解質としてLAGPを含有させる。LAGPの形状は特に限定されないが、粒子状である場合、その平均粒径は0.1μm以上とすることができ、0.5μm以上とすることが好ましい。また、粒子状であるLAGPの平均粒径は、100μm以下とすることができ、20μm以下とすることが好ましく、10μm以下とすることがより好ましい。
また、負極層1に含有させるバインダーは、全固体電池の正極層に含有させることが可能な公知のバインダーを適宜用いることができる。そのようなバインダーとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を例示することができる。
上記導電助剤、負極活物質、固体電解質、及び、バインダー等を液体に分散して調整したスラリー状の負極組成物を用いて負極層1を作製する場合、負極活物質等を分散させる液体としては、ヘプタン等を例示することができ、無極性溶媒を好ましく用いることができる。また、負極層1の厚さは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。また、製造コストを低減しやすい形態にする等の観点から、負極層1を製造する際の焼成温度は600℃以下とすることが好ましく、高密度の焼結体である負極層1を製造可能にする等の観点から、負極層1を製造する際の焼成温度は550℃以上とすることが好ましい。また、全固体電池10の性能を高めやすくするために、負極層1はプレスする過程を経て作製されることが好ましい。本発明において、負極層1をプレスする際の圧力は10MPa以上とすることが好ましく、100MPa以上とすることがさらに好ましい。
また、正極層2に含有させる正極活物質としては、全固体電池で使用可能な正極活物質を適宜用いることができる。そのような正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)等の層状活物質のほか、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)等のオリビン型活物質や、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn2O4)等のスピネル型活物質等を例示することができる。正極活物質の形状は、例えば粒子状や薄膜状等にすることができる。正極活物質の平均粒径は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。また、正極層2における正極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上99%以下とすることが好ましい。
また、正極層2に含有させる固体電解質は、負極層1に含有させるLAGPと同様の形態とすることができ、正極層2に含有させる導電助剤としては、負極層1に含有させるAl金属と同様の形態を好ましく用いることができる。また、正極層2に含有させるバインダーとしては、負極層1に含有させることが可能な上記バインダーを適宜用いることができる。また、液体に上記正極活物質、固体電解質、導電助剤、及び、バインダー等を分散して調整したスラリー状の正極組成物を用いて正極層2を作製する場合、正極活物質等を分散させる液体としてはヘプタン等を例示することができ、無極性溶媒を好ましく用いることができる。また、正極層2の厚さは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。また、製造コストを低減しやすい形態にする等の観点から、正極層2を製造する際の焼成温度は600℃以下とすることが好ましく、高密度の焼結体である正極層2を製造可能にする等の観点から、正極層2を製造する際の焼成温度は550℃以上とすることが好ましい。また、全固体電池10の性能を高めやすくするために、正極層2はプレスする過程を経て作製されることが好ましい。本発明において、正極層2をプレスする際の圧力は10MPa以上とすることが好ましく、100MPa以上とすることがさらに好ましい。
また、固体電解質層3に含有させる固体電解質は、負極層1に含有させるLAGPと同様の形態とすることができ、固体電解質層3に含有させるバインダーとしては、負極層1に含有させることが可能な上記バインダーを適宜用いることができる。ただし、高出力化を図りやすくするために、固体電解質の過度の凝集を防止し且つ均一に分散された固体電解質を有する固体電解質層3を形成可能にする等の観点から、固体電解質層3に含有させるバインダーは5質量%以下とすることが好ましい。また、液体に上記固体電解質等を分散して調整したスラリー状の固体電解質組成物を正極層や負極層等に塗布する過程を経て固体電解質層3を作製する場合、固体電解質等を分散させる液体としては、ヘプタン等を例示することができ、無極性溶媒を好ましく用いることができる。固体電解質層3における固体電解質材料の含有量は、質量%で、例えば60%以上、中でも70%以上、特に80%以上であることが好ましい。固体電解質層3の厚さは、電池の構成によって大きく異なるが、例えば、0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
また、負極集電体4や正極集電体5には、全固体電池の集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される一又は二以上の元素を含む金属材料を例示することができる。
図2に示した負極層1等は、不図示の外装体に収容されて密閉された状態で使用される。負極層1等を収容する外装体としては、全固体電池で使用可能な公知のラミネートフィルムを用いることができる。そのようなラミネートフィルムとしては、樹脂製のラミネートフィルムや、樹脂製のラミネートフィルムに金属を蒸着させたフィルム等を例示することができる。
また、本発明に関する上記説明では、導電助剤としてAl金属を含む負極層1のみならず、正極層2や固体電解質層3にも、固体電解質としてLAGPが用いられ、且つ、正極層2にも導電助剤としてAl金属が用いられる形態を例示したが、本発明の全固体電池は当該形態に限定されない。例えば、負極層1に導電助剤としてのAl金属を用いる場合、正極層2や固体電解質層3にはLAGP以外の固体電解質を含有させることも可能であり、この場合、正極層2にはAl金属以外の公知の導電助剤を用いることも可能である。
本発明の全固体電池は、携帯電話等の電子機器のほか、電気自動車やハイブリッド自動車等に用いることができる。
1.焼結体の作製
1.1.実施例
粉末状のAl金属(平均粒径=3μm)とLAGPガラス(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)とを、体積比でAl金属:LAGP=50:50(質量比でAl金属:LAGP=44:56に相当)となるように秤量し、これらをAr雰囲気中で混合した。その後、Ar雰囲気中において、600℃で2時間に亘る熱処理を行うことにより、実施例の焼結体を作製した。
1.1.実施例
粉末状のAl金属(平均粒径=3μm)とLAGPガラス(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)とを、体積比でAl金属:LAGP=50:50(質量比でAl金属:LAGP=44:56に相当)となるように秤量し、これらをAr雰囲気中で混合した。その後、Ar雰囲気中において、600℃で2時間に亘る熱処理を行うことにより、実施例の焼結体を作製した。
1.2.比較例1
粉末状の炭素材料とLAGPガラス(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)とを、体積比で炭素材料:LAGP=20:80(質量比で炭素材料:LAGP=14:86に相当)となるように秤量し、これらをAr雰囲気中で混合した。その後、Ar雰囲気中において、600℃で2時間に亘る熱処理を行うことにより、比較例1の焼結体を作製した。
粉末状の炭素材料とLAGPガラス(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)とを、体積比で炭素材料:LAGP=20:80(質量比で炭素材料:LAGP=14:86に相当)となるように秤量し、これらをAr雰囲気中で混合した。その後、Ar雰囲気中において、600℃で2時間に亘る熱処理を行うことにより、比較例1の焼結体を作製した。
1.3.比較例2
粉末状の炭素材料とLAGPガラス(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)とを、体積比で炭素材料:LAGP=50:50(質量比で炭素材料:LAGP=40:60に相当)となるように秤量し、これらをAr雰囲気中で混合した。その後、Ar雰囲気中において、600℃で2時間に亘る熱処理を行うことにより、比較例2の焼結体を作製した。
粉末状の炭素材料とLAGPガラス(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)とを、体積比で炭素材料:LAGP=50:50(質量比で炭素材料:LAGP=40:60に相当)となるように秤量し、これらをAr雰囲気中で混合した。その後、Ar雰囲気中において、600℃で2時間に亘る熱処理を行うことにより、比較例2の焼結体を作製した。
2.焼結密度の測定
実施例1、比較例1、及び、比較例2のそれぞれの焼結体について、焼結密度を測定した。その結果、実施例1の焼結体の密度は、2.2g/cm3であり、この焼結体の理論密度を100とする時の相対密度(%)は72%であった。これに対し、比較例1の焼結体の密度は1.86g/cm3であり、この焼結体の理論密度を100とする時の相対密度(%)は58%であった。なお、比較例2の焼結体は、ピンセットで取り扱うと崩れて形状を維持できなかったため、その密度を測定することができなかった。そのため、電池用活物質を添加して全固体電池の電極層を作製しても、全固体電池の電極層として使用することは困難であると考えられる。
実施例1、比較例1、及び、比較例2のそれぞれの焼結体について、焼結密度を測定した。その結果、実施例1の焼結体の密度は、2.2g/cm3であり、この焼結体の理論密度を100とする時の相対密度(%)は72%であった。これに対し、比較例1の焼結体の密度は1.86g/cm3であり、この焼結体の理論密度を100とする時の相対密度(%)は58%であった。なお、比較例2の焼結体は、ピンセットで取り扱うと崩れて形状を維持できなかったため、その密度を測定することができなかった。そのため、電池用活物質を添加して全固体電池の電極層を作製しても、全固体電池の電極層として使用することは困難であると考えられる。
3.電気伝導度の測定
実施例1の焼結体及び比較例1の焼結体のそれぞれについて、電気化学測定システム(ソーラトロン社製、147055BEC型)により、電気伝導度を測定した。その結果、実施例1の焼結体の電気伝導度は2×10−1S/cmであり、比較例1の焼結体の電気伝導度は5×10−2S/cmであった。すなわち、実施例1の焼結体の電気伝導度は、比較例1の焼結体の電気伝導度の4倍であった。
実施例1の焼結体及び比較例1の焼結体のそれぞれについて、電気化学測定システム(ソーラトロン社製、147055BEC型)により、電気伝導度を測定した。その結果、実施例1の焼結体の電気伝導度は2×10−1S/cmであり、比較例1の焼結体の電気伝導度は5×10−2S/cmであった。すなわち、実施例1の焼結体の電気伝導度は、比較例1の焼結体の電気伝導度の4倍であった。
4.X線回折測定
実施例1の焼結体について、X線回折測定を行った。X線回折測定には、リガク社製のSmartLabを用いた。結果を図3に示す。図3において、「◆」はAlに由来するピークであることを意味し、「▲」はLAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)に由来するピークであることを意味している。
図3に示したように、実施例1の焼結体からは、X線回折測定で確認可能な異相が含まれていないことが確認された。
実施例1の焼結体について、X線回折測定を行った。X線回折測定には、リガク社製のSmartLabを用いた。結果を図3に示す。図3において、「◆」はAlに由来するピークであることを意味し、「▲」はLAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)に由来するピークであることを意味している。
図3に示したように、実施例1の焼結体からは、X線回折測定で確認可能な異相が含まれていないことが確認された。
5.結論
以上より、Al金属及びLAGPガラスを用いて作製した実施例1の焼結体は、優れた電気伝導性を有する高密度体であり、X線回折測定で確認可能な異相を含んでいないことが確認された。したがって、Al金属及びLAGPガラスとともに電池用活物質やバインダーを用いて全固体電池用の電極層を作製し、これを用いた全固体電池とすることにより、ハイレート特性を向上させた全固体電池が得られることが示唆された。
以上より、Al金属及びLAGPガラスを用いて作製した実施例1の焼結体は、優れた電気伝導性を有する高密度体であり、X線回折測定で確認可能な異相を含んでいないことが確認された。したがって、Al金属及びLAGPガラスとともに電池用活物質やバインダーを用いて全固体電池用の電極層を作製し、これを用いた全固体電池とすることにより、ハイレート特性を向上させた全固体電池が得られることが示唆された。
1…負極層
2…正極層
3…固体電解質層
4…負極集電体
5…正極集電体
10…全固体電池
2…正極層
3…固体電解質層
4…負極集電体
5…正極集電体
10…全固体電池
Claims (3)
- 少なくとも電池用活物質、固体電解質材料、及び、導電助剤を含む電極層と、該電極層に接続された固体電解質層とを備え、
前記固体電解質材料にLi1+xAlxGe2−x(PO4)3(0≦x≦1)が含まれ、前記導電助剤にAl金属が含まれる、全固体電池。 - 前記電池用活物質、前記固体電解質材料、及び、前記導電助剤を含む前記電極層は、前記固体電解質材料の体積及び前記導電助剤の体積の合計に占める前記導電助剤の体積の割合が20%以上50%以下である、請求項1に記載の全固体電池。
- 600℃以下の温度で焼結させる過程を経て製造されている、請求項1又は2に記載の全固体電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012268042A JP2014116127A (ja) | 2012-12-07 | 2012-12-07 | 全固体電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012268042A JP2014116127A (ja) | 2012-12-07 | 2012-12-07 | 全固体電池 |
Publications (1)
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JP2014116127A true JP2014116127A (ja) | 2014-06-26 |
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ID=51171935
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2014116127A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021187443A1 (ja) * | 2020-03-16 | 2021-09-23 | 株式会社村田製作所 | 固体電池 |
US11158884B2 (en) | 2018-08-24 | 2021-10-26 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | All solid state battery |
-
2012
- 2012-12-07 JP JP2012268042A patent/JP2014116127A/ja active Pending
Cited By (3)
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US11158884B2 (en) | 2018-08-24 | 2021-10-26 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | All solid state battery |
WO2021187443A1 (ja) * | 2020-03-16 | 2021-09-23 | 株式会社村田製作所 | 固体電池 |
JP7375914B2 (ja) | 2020-03-16 | 2023-11-08 | 株式会社村田製作所 | 固体電池 |
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