JP2021023957A - 鋳造システム及び鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳造品質をより向上可能な、鋳造システム及び鋳造方法を提供する。【解決手段】鋳型40を傾動しつつ前記鋳型40の湯口40bからキャビティ40a内に注湯されることにより鋳物を鋳造する傾動式重力鋳造装置と、注湯装置3、及び制御装置を備えた、鋳造システム1であって、前記注湯装置3は作業用ロボット10を備え、当該作業用ロボット10は、アーム11と、位置及び水平面に対する角度が変更自在となるように、前記アーム11に設けられたラドル12を備え、前記制御装置は、前記鋳型40を傾動させながら、前記湯口40bの位置に前記ラドル12を追従させて注湯制御する、鋳造システム1を提供する。【選択図】図13

Description

本発明は、鋳造システム及び鋳造方法に関する。
従来より、型閉めされた金型等の鋳型を傾動しつつ、鋳型の湯口からキャビティ内に、重力を利用して溶湯を注湯することにより鋳物を鋳造する、傾動式重力鋳造装置が用いられている。傾動式重力鋳造装置では、鋳型の湯口近傍にラドルが固定されており、このラドル内に溶湯を供給した後にラドルが上側に位置するように鋳型を傾動させることで、ラドル内の溶湯を鋳型内のキャビティに注湯することが一般である。
上記のような傾動式重力鋳造装置においては、押湯が重力に依存して行われるために、装置に押湯のための特別の構造を必要とせず、したがって装置の構造が簡潔なものとなる。しかし、溶湯は一旦、鋳型のラドルに移し替えられた後に鋳型内に注湯されるため、溶湯の温度が低下し、鋳造不良の発生や鋳造品質の低下の一因となり得る。
これに対し、特許文献1には、給湯ロボットに装着された注湯容器によって計量された溶湯を保持炉から汲み上げ、該溶湯が入った注湯容器を、容器ごと鋳造機へ受け渡すことにより、溶湯を移し替える工程を廃止した、傾動式重力鋳造装置が開示されている。
特許文献1の傾動式重力鋳造装置は、より詳細には、金型取付枠と注湯容器取付枠とを備える傾動フレームを備えている。金型取付枠に鋳造金型を、及び注湯容器取付枠に給湯ロボットから受け渡された注湯容器を、それぞれ取り付けた状態で、傾動フレームを傾動させることにより、注湯容器内の溶湯が鋳造金型の湯口に注湯される。
特開2007−283311号公報
鋳型の湯口近傍にラドルが固定された従来の傾動式重力鋳造装置においては、鋳型とラドルとの相対位置や相対角度が固定されており、変更できない構成となっている。このため、鋳型を傾動するに際し、例えば鋳型の傾動角度に応じてラドルの角度を変える等の、柔軟な注湯制御ができない。したがって、例えば鋳型内のキャビティの構造が複雑な場合等に、注湯にむらが生じ、鋳造不良が生じたり、鋳造品質が低下したりする可能性がある。
特許文献1の傾動式重力鋳造装置においても同様に、給湯ロボットから受け渡された注湯容器と、鋳造金型は共に、傾動フレームに取り付けられているため、注湯容器と鋳造金型は一体に傾動する。このため、上記のような従来の傾動式重力鋳造装置と同様に、鋳造不良が生じたり、鋳造品質が低下したりする可能性がある。
鋳造品質をより向上可能な、鋳造システム及び鋳造方法が望まれている。
本発明が解決しようとする課題は、鋳造品質をより向上可能な、鋳造システム及び鋳造方法を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、鋳型を傾動しつつ前記鋳型の湯口からキャビティ内に注湯されることにより鋳物を鋳造する傾動式重力鋳造装置と、注湯装置、及び制御装置を備えた、鋳造システムであって、前記注湯装置は作業用ロボットを備え、当該作業用ロボットは、アームと、位置及び水平面に対する角度が変更自在となるように、前記アームに設けられたラドルを備え、前記制御装置は、前記鋳型を傾動させながら、前記湯口の位置に前記ラドルを追従させて注湯制御する、鋳造システムを提供する。
また、本発明は、鋳型を傾動しつつ前記鋳型の湯口からキャビティ内に注湯されることにより鋳物を鋳造する傾動式重力鋳造装置に対し、注湯装置により鋳造する、鋳造方法であって、前記鋳型を傾動させながら、前記注湯装置が備える作業用ロボットのアームに、位置及び水平面に対する角度が変更自在となるように設けられたラドルを、前記湯口の位置に追従させて注湯制御する、鋳造方法を提供する。
本発明によれば、鋳造品質をより向上可能な、鋳造システム及び鋳造方法を提供することができる。
本発明の実施形態における鋳造システムと、当該鋳造システムにおいて使用される溶湯を供給する保持炉の平面図である。 上記鋳造システムの作業用ロボットと、保持炉の側面図である。 上記作業用ロボットの、(a)ラドル近傍の側面図、(b)はラドルの平面図である。 上記鋳造システムの傾動式重力鋳造装置の正面図である。 図4のC−C部分における模式的な側断面図である。 型閉めした鋳型の側面図である。 上記傾動式重力鋳造装置の、中子を収める状態における、模式的な側断面図である。 上記傾動式重力鋳造装置の、型閉めした状態における、模式的な側断面図である。 上記傾動式重力鋳造装置の、注湯が完了した状態における、模式的な側断面図である。 上記傾動式重力鋳造装置の、抜型時における、模式的な側断面図である。 注湯前の状態における鋳型とラドルの位置関係の説明図である。 注湯開始時における鋳型とラドルの位置関係の説明図である。 注湯中の鋳型とラドルの位置関係の説明図である。 上記鋳造システムを用いた鋳造方法のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態における鋳造システム1と、本鋳造システム1において使用される溶湯を供給する保持炉7の平面図である。
鋳造システム1は、傾動式重力鋳造装置2、注湯装置3、センサ4、及び制御装置5を備えている。
本実施形態の傾動式重力鋳造装置2は、後に詳細に説明するが、鋳型を傾動しつつ鋳型の湯口からキャビティ内に注湯されることにより鋳物を鋳造するものである。
注湯装置3は、作業用ロボット10を備えている。図2は、作業用ロボット10と、保持炉7の側面図である。図2においては、保持炉7は図1のA−A部分で断面視されている。
本実施形態においては、鋳造に使用される溶湯は、例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽合金である。溶解炉にて軽合金が溶かされて生成された溶湯は、鋳造されるまでに冷えて固まらないように、保持炉7により加熱され、保持される。
本実施形態においては、作業用ロボット10は、産業用ロボットであり、例えば6軸ロボット、7軸ロボット等の多関節ロボットである。作業用ロボット10は、台座10a、基部10c、長尺の下腕部10eと上腕部10g及び先端腕部10i、ラドル12、及び湯面検知器13を備えている。
台座10aは、水平に設けられた床面FLに固定されている。基部10cは、床面FLに対して垂直に設けられた第1軸部10bを中心として、台座10aに対して水平面内で回転自在に、台座10a上に設けられている。
下腕部10eは、一端が水平に設けられた第2軸部10dにより基部10cに接続されて、基部10cにより支持されている。下腕部10eは、第2軸部10dを中心として基部10cに対して回転可能に設けられている。
下腕部10eの他端には、上腕部10gの一端が、下腕部10eに対して直交して設けられた第3軸部10fにより接続されている。これにより、上腕部10gは、第3軸部10fを中心として下腕部10eに対して回転可能に設けられ、下腕部10eにより支持されている。
上腕部10gの他端には、先端腕部10iの一端が、上腕部10gに対して直交して設けられた第4軸部10hにより接続されている。これにより、先端腕部10iは、第4軸部10hを中心として上腕部10gに対して回転可能に設けられ、上腕部10gにより支持されている。
先端腕部10iの他端には、ラドル12が、先端腕部10iに対して直交して設けられたラドル回転軸部10jにより接続されている。これにより、ラドル12は、ラドル回転軸部10jを中心として先端腕部10iに対して回転可能に設けられ、先端腕部10iにより支持されている。
このように、作業用ロボット10は、下腕部10e、上腕部10g、先端腕部10iにより構成されたアーム11と、ラドル12を備えた構成となっている。ラドル12は、基部10cや各腕部10e、10g、10i及びラドル12自体の、各軸部10b、10d、10f、10h、10jにおける回転により、鋳造システム1が設けられた空間内における位置、及び水平面に対する角度が変更自在となるように設けられている。
各軸部10b、10d、10f、10h、10jには、基部10cや各腕部10e、10g、10i及びラドル12の回転角を出力可能な、図示されないサーボモータが設けられている。これらサーボモータの出力信号は、後述する制御装置5に送信される。
図3(a)は、作業用ロボット10のラドル12近傍の側面図であり、図2のB矢視部分の拡大図である。図3(b)は、ラドル12の平面図である。
作業用ロボット10は、ラドル12を保持炉7内に入れることで、傾動式重力鋳造装置2に設けられた鋳型に注湯するための溶湯Lをラドル12内にすくう。このため、ラドル12には、すくわれた溶湯Lが保持されるための凹部である溶湯収容部12aが設けられている。ラドル12は、溶湯収容部12aを下側としたときのラドル12の上側の端辺12b近傍において、ラドル回転軸部10jにより先端腕部10iに対して回転自在に設けられている。端辺12bの、ラドル回転軸部10jとは反対側には、図3(b)のように平面視したときに、端辺12bが外方へとすぼんで突出するように注湯口12cが形成されている。溶湯収容部12aの注湯口12c近傍の、注湯口12cへ至る部分には、図3(a)のように側面視したときに、凹部の傾斜角が緩くなるように設けられて、溶湯収容部12aから注湯口12cへと溶湯Lを誘導する、溶湯誘導部12dが形成されている。
作業用ロボット10の先端腕部10iの、ラドル12が設けられた端部側には、湯面検知器13が固定されている。鋳造システム1は、湯面検知器13を用いて、保持炉7内の溶湯Lの高さ位置を検出する。
湯面検知器13は、先端腕部10iと略平行に、先端腕部10iの先端から先端腕部10iの延在する方向に突出するように設けられた、棒状の2つの電極を備えている。これら2つの電極の先端13aが保持炉7内の溶湯Lの湯面に共に接触した際に、2つの電極間に電流が導通するため、そのときの湯面検知器13の位置を計算することにより、湯面の高さが検出される。
湯面検知器13が湯面を検出した際の湯面検出信号は、制御装置5に送信される。
図1に示されるセンサ4は、ラドル12の注湯口12c近傍に、特に本実施形態においては注湯口12cのラドル12外側に溶湯Lを検出した際に、検出信号を制御装置5に送信する。後に説明するように、制御装置5は、傾動式重力鋳造装置2に設けられた鋳型の湯口近傍で、ラドル12を注湯口12c側に傾けることで、注湯口12cから溶湯Lを鋳型内に注湯する。本実施形態においては、センサ4は例えばラドル12の状態を常時撮影可能なカメラ及びその制御機器である。制御機器は、カメラが撮影した画像を画像解析して、注湯口12cのラドル12外側における溶湯Lの有無を判定する。センサ4は、例えば制御装置5が注湯時にラドル12を注湯口12c側に傾け、注湯口12cから溶湯Lが外部に流出した瞬間に、この時点で撮影された画像を解析して注湯口12cのラドル12外側に溶湯Lが存在すると判定し、検出信号を制御装置5へ送信する。
制御装置5は、例えばパーソナルコンピューターや制御盤等の情報処理装置である。
制御装置5は、作業用ロボット10の各部に設けられたサーボモータ等により、各軸部10b、10d、10f、10h、10jにおける回転量を把握できるように構成されている。これにより、制御装置5は作業用ロボット10の現在の姿勢を、すなわち、ラドル12の空間的な位置や姿勢を、正確に把握することができる。
制御装置5は同様に、後に説明する傾動式重力鋳造装置2のサーボモータから、鋳型の傾動角度を受信する。
制御装置5は、これら作業用ロボット10や傾動式重力鋳造装置2のサーボモータを制御し、鋳型の傾動角度やラドル12の位置、姿勢を自在に制御する。より詳細には、制御装置5は、傾動式重力鋳造装置2において、鋳型を傾動させながら、鋳型の湯口の位置にラドル12を追従させて注湯制御する。これらの、傾動式重力鋳造装置2の傾動制御や、ラドル12の追従制御については、後に詳細に説明する。
制御装置5はまた、作業用ロボット10の湯面検知器13から、湯面検出信号を受信する。制御装置5は、ラドル12が保持炉7から常に一定量の溶湯Lをすくうように、保持炉7の湯面に対して一定の高さ位置までラドル12を下ろしてラドル12を回転させる。すなわち、制御装置5は、湯面検知器13から湯面検出信号を受信した際に、湯面に対するラドル12の高さが所定の位置に在ると判断し、ラドル12を回転させてラドル12内に溶湯Lをすくうように、作業用ロボット10を制御する。
制御装置5は更に、センサ4から、注湯口12cのラドル12外側における溶湯Lの存在を、すなわちラドル12から溶湯Lが流出したことを示す検出信号を受信する。後に説明するように、制御装置5はこの検出信号を基に、注湯が開始されて実際に鋳型内に溶湯Lが流れ込み始めたと判断し、傾動式重力鋳造装置2において鋳型の傾動を開始する。
次に、傾動式重力鋳造装置2を説明する。図4は、傾動式重力鋳造装置2の正面図である。図5は、図4のC−C部分における模式的な側断面図である。
傾動式重力鋳造装置2は、開閉可能かつ傾動可能に設けられた、上鋳型41及び下鋳型42を備える鋳型40内に、重力を利用して溶湯を注湯することで鋳物を鋳造する。本実施形態においては、鋳型40は金型であり、上鋳型41、下鋳型42はそれぞれ上金型、下金型である。
傾動式重力鋳造装置2は、ベースフレーム21、上部フレーム22、開閉機構23、下部フレーム24、主リンク部材25、副リンク部材26を備えている。
ベースフレーム21は、基台21aと、基台21a上に対向するように立てて設けられた、2つの支持フレーム21bを備えている。2つの支持フレーム21bの各々には鋳型傾動回転軸21cが水平に設けられている。
上部フレーム22は、鋳型傾動回転軸21cの上方に、鋳型傾動回転軸21cにおいて後に説明する主リンク部材25を介して支持フレーム21bに設けられている。上部フレーム22の下側には、上型ダイベース22aを介して上鋳型41が取り付けられている。
下部フレーム24は、鋳型傾動回転軸21cの下方に、鋳型傾動回転軸21cにおいて後に説明する主リンク部材25を介して支持フレーム21bに設けられている。下部フレーム24の上側には、下型ダイベース24aを介して下鋳型42が取り付けられている。
開閉機構23は、上部フレーム22に設けられており、上鋳型41を下鋳型42に対して昇降して鋳型40を開閉する。開閉機構23は、型閉シリンダ23a、左右一対のガイドロッド23b、及び、左右一対の案内筒23cを有している。型閉シリンダ23aの下端部は、上型ダイベース22aの上面に取り付けられている。型閉シリンダ23aは、上下方向に伸長することにより、上型ダイベース22aを介して上鋳型41を降下させ、上下方向に短縮することにより、上鋳型41を上昇させる。ガイドロッド23bは、上部フレーム22に取り付けられた案内筒23cを通して、上型ダイベース22aの上面に取り付けられている。
主リンク部材25は、長尺の棒状部材である。主リンク部材25は2つ設けられており、各々が2つの支持フレーム21bの内側に、互いに平行になるように位置づけられている。主リンク部材25の上端部25aは、上部フレーム22に、主リンク上側軸25bにおいて回動自在に連結され、下端部25cは、下部フレーム24に、主リンク下側軸25dにおいて回動自在に連結されている。主リンク部材25は、これら上端部25aと下端部25cの中央部において、鋳型傾動回転軸21cを中心として回動自在となるように、支持フレーム21bに設けられている。主リンク部材25の鋳型傾動回転軸21cを中心とした回動は、制御装置5によって制御される、図示されないサーボモータによって行われる。サーボモータは、鋳型傾動回転軸21c周りの主リンク部材25の回転角度に関する情報を、制御装置5へ送信する。
副リンク部材26は、主リンク部材25と同じ長さの、長尺の棒状部材である。副リンク部材26は2つ設けられており、各々が2つの支持フレーム21bの内側に、互いに平行になるように、かつ主リンク部材25とも平行となるように位置づけられている。副リンク部材26の上端部26aは、上部フレーム22に、副リンク上側軸26bにおいて回動自在に連結され、下端部26cは、下部フレーム24に、副リンク下側軸26dにおいて回動自在に連結されている。副リンク部材26は、これら上端部26aと下端部26cの中央部において、副リンク中央回転軸26eを中心として回動自在となるように、支持フレーム21bに設けられている。副リンク中央回転軸26eは、支持フレーム21bの上面に載置された状態で、支持フレーム21bに対して離接可能に設けられている。
このように、互いに平行に設けられた上部フレーム22と下部フレーム24、及び、互いに平行に設けられた主リンク部材25と副リンク部材26によって、平行リンク機構が構成されている。
図6(a)は、型閉めした鋳型の側面図であり、図6(b)は、鋳型を図6(a)の右側から視た場合の側面図である。型閉めされた鋳型40の内部には、製品形状に対応したキャビティ40aが形成されている。鋳型40の一方の側面には、後述するように作業用ロボット10のラドル12から溶湯Lを受ける湯口40bが設けられている。キャビティ40aと湯口40bの間には、溶湯Lが湯口40bからキャビティ40aへと導かれるように、湯道40cが設けられている。
制御装置5は、上記のような傾動式重力鋳造装置2を、次のように制御する。図7は、傾動式重力鋳造装置2の、中子を収める状態における、模式的な側断面図である。図8は、傾動式重力鋳造装置2の型閉めした状態における、模式的な側断面図である。図9は、傾動式重力鋳造装置2の、注湯が完了した状態における、模式的な側断面図である。図10は、傾動式重力鋳造装置2の、抜型時における、模式的な側断面図である。
まず、制御装置5は、傾動式重力鋳造装置2を、図5に示される、一連の鋳造工程の初期状態にする。初期状態では、上鋳型41は上昇端にあり、一対の主リンク部材25と一対の副リンク部材26とが、傾動式重力鋳造装置2の設置面に対して垂直をなしている。なお、傾動式重力鋳造装置2は、図1に示されるように、作業員8が作業する作業スペースSと注湯装置3との間に配置されている。傾動式重力鋳造装置2は、傾動式重力鋳造装置2内に鋳型40が設けられた状態において、湯口40bが注湯装置3と対向するように配置されている。
続いて、制御装置5は、鋳型傾動回転軸21cを、図5における時計回転方向に、すなわち右方向に回転させる。これに伴い、図7に示されるように、平行リンク機構の作用により、上鋳型41と下鋳型42とが相反する方向に弧を描いてスライドする。具体的には、互いに対向した上鋳型41と下鋳型42とが鋳型傾動回転軸21cを中心軸として右回転の円運動をすることにより、上鋳型41と下鋳型42とが水平方向に離間し、下鋳型42が作業スペースS側に移動する。この状態で、作業スペースSに位置する作業員8が、下鋳型42に中子を収める。
次に、制御装置5は、図7に示される状態から、鋳型傾動回転軸21cを反時計回転方向に、すなわち左方向に回転させて、一旦図5の初期状態に戻す。続いて、制御装置5は、図8に示されるように、型閉シリンダ23aを伸長させて、上鋳型41と下鋳型42とを型閉めする。型閉めにより、主リンク部材25及び副リンク部材26と、主リンク上側軸25b、主リンク下側軸25d、副リンク上側軸26b、及び副リンク下側軸26dとが回転しないようになり、上鋳型41、下鋳型42、上部フレーム22、下部フレーム24、主リンク部材25及び副リンク部材26が一体化する。
そして、制御装置5は、図9に示されるように、主リンク部材25の鋳型傾動回転軸21cを左回転させて、上鋳型41と下鋳型42とを、鋳型40の湯道40cが垂直に延びて湯口40bが上方を向く傾動状態とする。この回転移動の際に、副リンク中央回転軸26eが支持フレーム21bの上面から持ち上がる。これに伴い、型閉めされて一体化された上鋳型41、下鋳型42、上部フレーム22、下部フレーム24、主リンク部材25及び副リンク部材26が、鋳型傾動回転軸21cを回転中心として一体となって回転し、鋳型40が傾動する。後に説明するように、この鋳型40の傾動中に、制御装置5は、注湯装置3を制御して、鋳型40の湯口40bからキャビティ40aへと注湯する。
その後、図9の状態を所定の時間維持して、注湯された溶湯の凝固を待つ。
溶湯が凝固すると、制御装置5は、主リンク部材25の鋳型傾動回転軸21cを右回転させて、一旦図8の状態に戻す。続いて、図5に示されるように、制御装置5は、型閉シリンダ23aを短縮させ、上鋳型41を上方へ移動させて鋳型40を開く。これにより、上鋳型41及び下鋳型42内で溶湯が凝固して成る鋳物が下鋳型42から抜型され、上鋳型41に保持された状態となる。
そして、制御装置5は、図10に示されるように、鋳型傾動回転軸21cを左方向に回転させる。これに伴い、平行リンク機構の作用により、上鋳型41と下鋳型42は弧を描いてスライドされ、水平方向に離間される。このとき、上鋳型41が作業スペースS側に移動した状態となる。この状態で、鋳物が上鋳型41から抜型される。
上記のように、本実施形態における鋳造システム1においては、制御装置5は、傾動式重力鋳造装置2を、図8に示されるような型閉めされた状態から、図9に示される、鋳型40の湯道40cが垂直に延びて湯口40bが上方を向く状態まで、鋳型傾動回転軸21cを中心として鋳型40を回転させて傾動させる。制御装置5は、この型閉め後の傾動中に、注湯装置3が鋳型40内に注湯するように制御する。
以下、制御装置5による注湯時の制御を詳細に説明する。
図11は、注湯前の状態における鋳型とラドルの位置関係の説明図である。図12は、注湯開始時における鋳型とラドルの位置関係の説明図である。図13は、注湯中の鋳型とラドルの位置関係の説明図である。
まず、制御装置5は、鋳型傾動回転軸21cを中心に、鋳型40を、型閉めされた直後の湯口40bが側方を向く状態から、図11に示されるように、左方向に所定の角度θだけ回転させて傾動させた後、一旦停止させる。これにより、鋳型40は、湯道40cがキャビティ40aから斜め上方に延びて湯口40bに至るように姿勢づけられて支持された状態である注湯開始状態S1となる。
その後、制御装置5は、注湯装置3を制御して、ラドル12を追従開始位置P1に位置づける。この追従開始位置P1においては、保持炉7からすくわれた溶湯Lにより溶湯収容部12aが満たされたラドル12が、注湯口12cが鋳型40の湯口40b近傍に設けられた、仮想的な回転軸線である仮想回転軸43上に在るように、位置づけられる。仮想回転軸43は、この仮想回転軸43上に設けられた注湯口12cの状態を、鋳型40の外部に位置するセンサ4により確認できる程度に、鋳型40の表面よりも僅かに内部側に位置するように、設けられている。このため、追従開始位置P1に位置づけられたラドル12の注湯口12cは、鋳型40の湯口40bから湯道40c内に僅かに差し込まれた状態となっている。
このように、制御装置5は、湯口40b内に設けられた仮想回転軸43上にラドル12の注湯口12cを位置づける。
制御装置5はその後、この図11に示された状態から、図12に示されるように、鋳型40を注湯開始状態S1に固定した状態で、ラドル12を追従開始位置P1から注湯開始位置P2へと移動させる。より詳細には、制御装置5は、ラドル12の注湯口12cを仮想回転軸43上に維持した状態で、ラドル12が仮想回転軸43を中心として回転して傾くように、ラドル12のラドル回転軸部10j側を徐々に上方向へ移動するよう、作業用ロボット10を制御する。これにより、ラドル12の鋳型40に対する相対角度、より詳細には、下鋳型42の湯口40b側の表面42dとラドル12の上側の端辺12bの間の角度は、図11に示される角度φ1から、大きくなるように変位する。
制御装置5は、ラドル12の注湯口12cを仮想回転軸43上に一旦位置づけた以降は、注湯処理が終了するまで、注湯口12cを仮想回転軸43に位置づけたまま仮想回転軸43から離脱させないように、作業用ロボット10を制御してラドル12の位置や角度を変更する。
上記のように、ラドル12を、仮想回転軸43上に位置づけられた注湯口12cを中心として、注湯口12cの反対側であるラドル回転軸部10jを上方向に移動すると、溶湯収容部12a内の溶湯Lの湯面は常に水平な状態となっているため、湯面の注湯口12c側の位置が、徐々に注湯口12cに近づいていく。そして、ラドル12の鋳型40に対する相対角度がある角度φ2へと変位したときに、溶湯収容部12a内の溶湯Lの湯面位置が注湯口12cの高さを上回り、図12に溶湯Laとして示されるように、溶湯Lが溶湯誘導部12dを介して注湯口12cから外部へ流れ出ようとする。
このとき、センサ4は、この時点で撮影された画像を解析して注湯口12cのラドル12外側に溶湯Lが存在すると判断し、検出信号を制御装置5へ送信する。
制御装置5は、上記のようにラドル12の角度を変更しつつ、センサ4からの検出信号の受信を待つ。制御装置5がこの検出信号を受信すると、ラドル12の注湯口12cから溶湯Lが流出し始めたと判断し、図13に示されるように、鋳型傾動回転軸21cを中心に鋳型40を更に左方向に回転、傾動させるとともに、ラドル12をこれに追従するように移動させて、鋳型40のキャビティ40a内に溶湯Lを注湯する。
より詳細には、制御装置5がラドル12から溶湯Lが流出し始めたと判断して鋳型40を鋳型傾動回転軸21c周りに回転、傾動させると、この回転に伴い、仮想回転軸43の位置も、鋳型傾動回転軸21cを中心として回転移動する。制御装置5は、これに伴い、回転移動する仮想回転軸43の上に常にラドル12の注湯口12cが位置するように、作業用ロボット10を制御してラドル12を移動させ、位置を調整する。
制御装置5は、注湯が開始されると、鋳型傾動回転軸21cの回転に伴ってラドル12を移動しラドル12の位置を変更するとともに、ラドル12の角度、すなわちラドル12の鋳型40に対する相対角度を、鋳型40の傾動角度にあわせて調整する。
例えば、本実施形態においては、制御装置5は、注湯が開始されると、ラドル12から迅速に溶湯Lが流れ出るように、ラドル12の鋳型40に対する相対角度を図12に示される角度φ2からより大きな角度となるように、滑らかに調整する。図13には、ラドル12の鋳型40に対する相対角度が、角度φ2より大きなφ3となった状態が示されている。制御装置5は、ラドル12内の溶湯Lが鋳型40のキャビティ40a内の全てに注湯される程度の角度となるまで、最終的にはラドル12を回転させる。
また、制御装置5は、このようなラドル12の回転中に所定の時間間隔をおいて、注湯口12cから流出した溶湯Lの量を計算し、これを基にキャビティ40a内の溶湯Lの湯面位置L1を計算する。制御装置5は、この湯面位置L1が、予め制御装置5に格納されたキャビティ40aのどの部分の輪郭形状に位置しているかを計算する。制御装置5は、湯面位置L1がキャビティ40a中の輪郭形状が複雑な部分に位置すると判断した場合には、例えばキャビティ40a内にむらや空気だまりなどが生じないように、ラドル12の鋳型40に対する相対角度の変更速度を緩やかなものとして、注湯口12cからの溶湯Lの流出速度を遅くする。逆に、制御装置5は、湯面位置L1がキャビティ40a中の輪郭形状が複雑ではなく平坦な部分に位置すると判断した場合には、注湯速度を速めるために、ラドル12の鋳型40に対する相対角度の変更速度を速めて、注湯口12cからの溶湯Lの流出速度を速くする。
このように、制御装置5は、注湯中に、キャビティ40aの形状に応じて、ラドル12の角度を変更する。
制御装置5は、注湯が完了すると、ラドル12を仮想回転軸43から離脱させる。
次に、図1〜図13、及び図14を用いて、上記の鋳造システム1による鋳造方法を説明する。図14は、本鋳造方法のフローチャートである。
処理が開始されると(ステップS1)、制御装置5は傾動式重力鋳造装置2を、図7に示されるような、下鋳型42が作業スペースS側へ移動した状態に移行させる。この状態において、作業員8は、下鋳型42内に中子を収める等の作業を行う。作業員8による作業が終了すると、作業員8の指示の下、制御装置5は傾動式重力鋳造装置2を、図5に示されるような上鋳型41と下鋳型42が上下に対向する位置に移動させたうえで、図8に示されるように上鋳型41を下方に移動させ、型閉めを行う。その後、制御装置5は、鋳型傾動回転軸21cを中心として鋳型40を回転、傾動させ、図11に示されるような注湯前の初期状態、すなわち注湯開始状態S1へと移行させる(ステップS3)。
同時に、制御装置5は、注湯装置3の作業用ロボット10を制御し、保持炉7内から溶湯Lをラドル12にすくう(ステップS5)。
制御装置5は、溶湯Lが収容されたラドル12を、図11に示されるような、ラドル12の注湯口12cが湯口40b内に設けられた仮想回転軸43上に、すなわち追従開始位置P1に位置づける(ステップS7)。
その後、制御装置5は、鋳型40を注湯開始状態S1に固定した状態で、ラドル12を追従開始位置P1から注湯開始位置P2へと移動させる。より詳細には、制御装置5は、ラドル12の注湯口12cを仮想回転軸43上に維持した状態で、ラドル12が仮想回転軸43を中心として回転して傾くように、ラドル12のラドル回転軸部10j側を徐々に上方向へ移動するよう、作業用ロボット10を制御する(ステップS9)。
その後、センサ4から、注湯口12cのラドル12外側における溶湯Lの存在を示す検出信号を受信したか否かを判定し(ステップS11)、受信していなければ(ステップS11のNo)、ステップS9へと遷移して、更にラドル12を傾ける。
このように、センサ4の検出信号を待ちつつ、ラドル12を、仮想回転軸43上に位置づけられた注湯口12cを中心として、注湯口12cの反対側であるラドル回転軸部10jを上方向に移動すると、溶湯収容部12a内の溶湯Lの湯面は常に水平な状態となっているため、湯面の注湯口12c側の位置が、徐々に注湯口12cに近づいていく。そして、ラドル12の鋳型40に対する相対角度がある角度φ2へと変位したときに、溶湯収容部12a内の溶湯Lの湯面位置が注湯口12cの高さを上回り、溶湯Lが溶湯誘導部12dを介して注湯口12cから外部へ流れ出ようとする。
このとき、センサ4は、この時点で撮影された画像を解析して注湯口12cのラドル12外側に溶湯Lが存在すると判断し、検出信号を制御装置5へ送信する。
制御装置5がこの検出信号を受信すると(ステップS11のYes)、ラドル12の注湯口12cから溶湯Lが流出し始めたと判断し、図13に示されるように、鋳型傾動回転軸21cを中心に鋳型40を更に左方向に回転、傾動させるとともに、ラドル12をこれに追従するように移動させて、鋳型40のキャビティ40a内に溶湯Lを注湯する(ステップS13)。
制御装置5は、注湯中に、注湯が終了した終了状態に移行したか否かを随時判定する(ステップS15)。終了状態に移行していなければ(ステップS15のNo)、ステップS13へと遷移して、注湯処理を続行する。
終了状態に移行していれば(ステップS15のYes)、ラドル12を鋳型40から離した後にキャビティ40a内の溶湯Lの凝固を待つ。溶湯Lが凝固すると、制御装置5は、型を開いて抜型するように傾動式重力鋳造装置2を制御した後、処理を終了する(ステップS17)。
次に、上記の鋳造システム1及び鋳造方法の効果について説明する。
上記実施形態の鋳造システム1は、鋳型40を傾動しつつ鋳型40の湯口40bからキャビティ40a内に注湯されることにより鋳物を鋳造する傾動式重力鋳造装置2と、注湯装置3、及び制御装置5を備えた、鋳造システム1であって、注湯装置3は作業用ロボット10を備え、作業用ロボット10は、アーム11と、位置及び水平面に対する角度が変更自在となるように、アーム11に設けられたラドル12を備え、制御装置5は、鋳型40を傾動させながら、湯口40bの位置にラドル12を追従させて注湯制御する。
また、上記実施形態の鋳造方法は、鋳型40を傾動しつつ鋳型40の湯口40bからキャビティ40a内に注湯されることにより鋳物を鋳造する傾動式重力鋳造装置2に対し、注湯装置3により鋳造する、鋳造方法であって、鋳型40を傾動させながら、注湯装置3が備える作業用ロボット10のアーム11に、位置及び水平面に対する角度が変更自在となるように設けられたラドル12を、湯口40bの位置に追従させて注湯制御する。
上記のような構成、方法においては、制御装置5が鋳型40を傾動させるに際し、鋳型40の湯口40bの位置にラドル12を追従させて注湯制御する。ここで、ラドル12は、作業用ロボット10のアーム11に、位置及び水平面に対する角度が変更自在となるように設けられている。このため、注湯時に鋳型40の傾動角度が変位するに際し、移動する湯口40bに追従させてラドル12を自在に移動させつつ、鋳型40に対するラドル12の相対角度を変更して、注湯量を微細に調整することができる。
このように、鋳型40の傾動角度と、ラドル12の角度を独立して個別に制御できるため、柔軟な注湯制御が可能となる。したがって、例えば鋳型40内のキャビティ40aの構造が複雑な場合等においても、むらの発生を抑制できるため、鋳造品質をより向上可能である。
特に、本実施形態においては、作業用ロボット10に設けられたラドル12により保持炉7からすくった溶湯Lを、直接、鋳型40内のキャビティ40aに注湯している。すなわち、鋳造システム1は、ラドル12を作業用ロボット10から切り離して、溶湯Lをラドル12ごと、傾動式重力鋳造装置2へ渡すことのない構成となっている。
ラドル自体を注湯装置から鋳造装置へ受け渡すような構成においては、設備構成が複雑なものとなる。
また、ラドルの受け渡しに時間を要するため、一製品の鋳造に要する時間も長くなる。
更に、ラドルは、溶湯をすくうことにより、溶湯の熱を受けて熱膨張する。このため、例えば注湯装置や鋳造装置とラドルとの間に何らかの嵌合しあう部分を設けることにより、注湯装置や鋳造装置がラドルを把持するような構成とする場合においては、嵌合部の遊びが小さいと熱膨張時のラドルを保持できなくなる可能性があるし、遊びが大きいとラドルを安定して把持できない可能性がある。このように、装置の設計が容易ではない。
本実施形態においては、上記のような構成、方法とすることにより、設備構成を簡潔なものとし、一製品の鋳造時間を低減し、なおかつ設計が容易なシステムを実現可能である。
また、制御装置5は、注湯中に、鋳型40に対するラドル12の相対角度を変更する。
上記のような構成によれば、注湯時に鋳型40の傾動角度に応じて、移動する湯口40bに追従させてラドル12を自在に移動させつつ、鋳型40に対するラドル12の相対角度を変更して、注湯量を微細に調整することができる。したがって、例えば鋳型40内のキャビティ40aの構造が複雑な場合等においても、むらの発生を抑制できるため、鋳造品質をより向上可能である。
また、制御装置5は、注湯中に、キャビティ40aの形状に応じて、ラドル12の角度を変更する。
上記のような構成によれば、キャビティ40aの形状に応じて、移動する湯口40bに追従させてラドル12を自在に移動させつつ、鋳型40に対するラドル12の相対角度を変更して、注湯量を微細に調整することができる。したがって、例えば鋳型40内のキャビティ40aの構造が複雑な場合等においても、むらの発生を抑制できるため、鋳造品質をより向上可能である。
また、制御装置5は、湯口40b内に設けられた仮想回転軸43上にラドル12の注湯口12cを位置づけ、注湯中に鋳型40が傾動し仮想回転軸43が移動すると、これに伴い仮想回転軸43上に注湯口12cが位置するようにラドル12を移動させ、制御装置5は、仮想回転軸43を中心としてラドル12の角度を変更する。
上記のような構成によれば、上記のような鋳造システム1及び鋳造方法を、適切に実現可能である。
特に、ラドル12の注湯口12cは湯口40b内に設けられた仮想回転軸43上に位置づけられ、鋳型40が傾動しても注湯口12cが仮想回転軸43上に位置するようにラドル12が移動せしめられるため、注湯口12cは鋳型40の傾動中であっても常に、湯口40b内に位置づけられている。これにより、注湯時に溶湯Lが鋳型40の湯口40bからこぼれることを抑制可能である。
また、注湯口12cのラドル12外側に溶湯Lを検出した際に検出信号を制御装置5に送信するセンサ4を備え、制御装置5は、鋳型40を傾動させて固定し、ラドル12を湯口12cの位置に設けたうえで、ラドル12の角度を変更しつつ検出信号の受信を待ち、検出信号を受信すると、鋳型40を更に傾動させて注湯を開始する。
ラドル12にすくわれた溶湯Lの状態は、表面張力や、気温、溶湯が硬化してラドル12内に付着した金属膜の存在等に依存して変化する。したがって、ラドル12内に一定量の溶湯Lをすくった場合においても、ラドル12を傾けた際に注湯口12cから溶湯Lが出始める角度φ2に差が生じ得る。したがって、溶湯Lが出始める角度φ2のばらつきを考慮せずに、例えばラドル12の傾斜角が所定の閾値を超えることをもって鋳型内に溶湯Lが流れ込み始めたと判断し、鋳型40を更に傾動させるように構成した場合においては、実際に溶湯Lが供給され始めるタイミングと、このタイミングにおける鋳型40の傾動角度にばらつきが生じ得る。このため、鋳造品質を一定に保てない可能性がある。
上記のような構成によれば、センサ4により、注湯口12cのラドル12外側に溶湯Lを検出し、このタイミングに合わせて鋳型40を傾動させて注湯を開始するため、注湯開始と鋳型40の傾動を同期させることができる。すなわち、注湯が開始される時点における鋳型40の傾動角度を略一定に保つことができるため、鋳造品質のばらつきを低減することができる。
また、注湯前の状態においては、鋳型40は、湯道40cがキャビティ40aから斜め上方に延びて湯口40bに至るように姿勢づけられて支持されている。
上記のような構成によれば、注湯が開始された瞬間における、溶湯Lのキャビティ40aへの供給速度を高めることができる。これにより、鋳造品質を向上可能である。
また、作業用ロボット10は多関節ロボットである。
上記のような構成によれば、上記のような鋳造システム1及び鋳造方法を、適切に実現可能である。
また、傾動式重力鋳造装置2の鋳型傾動回転軸21cや、作業用ロボット10の各可動部には、サーボモータが設けられ、サーボモータにより検出される角度情報は、制御装置5に送信される。
上記のような構成によれば、各可動部に、回転角度を検出するための検出器を設ける必要がないため、システムを容易に構築することができる。
なお、本発明の鋳造システム1及び鋳造方法は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、図4〜図10を用いて説明したような傾動式重力鋳造装置2を鋳造装置として用いたが、傾動式で、かつ傾動速度等を制御可能な鋳造装置であれば、これに限られず、他のどのような鋳造装置が用いられてもよい。
また、上記実施形態においては、センサ4としてはカメラを用いて、画像認識により注湯口12cより流出した溶湯Lを検出していたが、これに限られない。
例えば、センサ4として、温度センサを用いてもよい。この場合においては、センサ4を注湯口12cのラドル12外側に位置せしめ、センサ4に流出する高温の溶湯Lが触れてセンサ4が高温を検出することにより、溶湯Lの流出を検出してもよい。
また、上記実施形態においては、注湯口12cより流出した直後の溶湯Lをセンサ4により検出したが、これに限られない。例えば、センサ4は、ラドル12の溶湯Lを収容する部分である溶湯収容部12aから注湯口12cへと溶湯Lが誘導される部分、すなわち溶湯誘導部12dを流動中で、注湯口12cより流出する直前の、溶湯Lを検出するようにしてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1 鋳造システム
2 傾動式重力鋳造装置
3 注湯装置
4 センサ
5 制御装置
7 保持炉
10 作業用ロボット
11 アーム
12 ラドル
12c 注湯口
40 鋳型
40a キャビティ
40b 湯口
40c 湯道
41 上鋳型
42 下鋳型
43 仮想回転軸
L 溶湯
φ1、φ2、φ3 ラドルの相対角度

Claims (8)

  1. 鋳型を傾動しつつ前記鋳型の湯口からキャビティ内に注湯されることにより鋳物を鋳造する傾動式重力鋳造装置と、注湯装置、及び制御装置を備えた、鋳造システムであって、
    前記注湯装置は作業用ロボットを備え、当該作業用ロボットは、アームと、位置及び水平面に対する角度が変更自在となるように、前記アームに設けられたラドルを備え、
    前記制御装置は、前記鋳型を傾動させながら、前記湯口の位置に前記ラドルを追従させて注湯制御する、鋳造システム。
  2. 前記制御装置は、注湯中に、前記鋳型に対する前記ラドルの相対角度を変更する、請求項1に記載の鋳造システム。
  3. 前記制御装置は、注湯中に、前記キャビティの形状に応じて、前記ラドルの前記角度を変更する、請求項1または2に記載の鋳造システム。
  4. 前記制御装置は、前記湯口内に設けられた仮想回転軸上に前記ラドルの注湯口を位置づけ、注湯中に前記鋳型が傾動し前記仮想回転軸が移動すると、これに伴い当該仮想回転軸上に前記注湯口が位置するように前記ラドルを移動させ、
    前記制御装置は、前記仮想回転軸を中心として前記ラドルの前記角度を変更する、請求項1から3のいずれか一項に記載の鋳造システム。
  5. 溶湯を、前記注湯口のラドル外側、または前記ラドルの前記溶湯を収容する部分から前記注湯口へと前記溶湯が誘導される部分に検出した際に、検出信号を前記制御装置に送信するセンサを備え、
    前記制御装置は、前記鋳型を傾動させて固定し、前記ラドルを前記湯口の前記位置に設けたうえで、前記ラドルの前記角度を変更しつつ前記検出信号の受信を待ち、前記検出信号を受信すると、前記鋳型を更に傾動させて注湯を開始する、請求項4に記載の鋳造システム。
  6. 注湯前の状態においては、前記鋳型は、湯道が前記キャビティから斜め上方に延びて前記湯口に至るように姿勢づけられて支持されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の鋳造システム。
  7. 前記作業用ロボットは多関節ロボットである、請求項1から6のいずれか一項に記載の鋳造システム。
  8. 鋳型を傾動しつつ前記鋳型の湯口からキャビティ内に注湯されることにより鋳物を鋳造する傾動式重力鋳造装置に対し、注湯装置により鋳造する、鋳造方法であって、
    前記鋳型を傾動させながら、前記注湯装置が備える作業用ロボットのアームに、位置及び水平面に対する角度が変更自在となるように設けられたラドルを、前記湯口の位置に追従させて注湯制御する、鋳造方法。

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