以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るキャビネットを備えたトイレシステムを模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、トイレシステム500は、キャビネット100と、トイレ装置200と、を備える。キャビネット100およびトイレ装置200は、トイレ室TRの内部に設けられている。
トイレ装置200は、例えばトイレ室TRの床面FSに取り付けられる。トイレ装置200は、トイレ装置200の後方の壁に取付けられてもよい。トイレ装置200は、例えばトイレ室TRの床面FSから離れた位置に取付けられてもよい。
トイレ装置200は、便器210、便座(図示せず)、および便蓋220、を有する。便座は、便器210の上に設けられる。便蓋220は、便器210の上に、便座を覆うように設けられる。便座および便蓋220は、便器210に対して回動可能に軸支される。図1は、便座と便蓋220とが下がった状態を示している。
トイレ装置200は、便座を温める暖房便座機能や、便座に着座した使用者の局部を洗浄する局部洗浄機能などを有していてもよい。
キャビネット100は、トイレ室TRに配置され、床面FSから離間した位置にキャビネット本体10を有している。具体的には、キャビネット100は、便器210の側方に配置される。キャビネット100は、例えばトイレ室TRの左右いずれかの側壁SWに取付けられる。この例では、キャビネット100は、便器210の右側の側壁SWに取付けられている。キャビネット100は、便器210の左側の側壁に取付けられてもよい。
トイレ室TRには、トイレ室TRに出入りするためのドア(図示せず)が設けられている。ドアは、例えばトイレ室TRの前方側の壁に設けられている。ドアは、トイレ室TRのキャビネット100が設けられる側壁SWと反対側の側壁に設けられてもよい。ドアは、例えば左右方向において便器210と重ならない位置に設けられる。
図2は、図1中のキャビネット本体の扉部が開状態となった場合を示す斜視図である。
図3は、図2中のキャビネット、トイレ装置を矢示A−A方向からみた断面図である。
図4は、図1中のキャビネットを正面からみた正面図である。
なお、図1、図2に示すように、以下の説明では、矢示X方向をキャビネット100の左右方向(トイレ装置200の前後方向)とし、矢示Y方向をキャビネット100の前後方向(トイレ装置200の左右方向)とし、矢示Z方向をキャビネット100とトイレ装置200の上下方向とする。なお、矢示Y方向では、扉部50側を前側とし、側壁SW側を後側とする。
図1〜図4に示すように、キャビネット100は、左右方向の中央部に位置するキャビネット本体10と、キャビネット本体10に隣接する紙巻器101と、キャビネット100の上方を覆う天板部11aの上面に設けられた手洗器102と、を備えている。
キャビネット本体10は、前面側が開口したボックス状に形成され、内部にトイレットペーパや清掃用具などの物品を収納可能となっている。キャビネット本体10は、トイレ室TRの床面FSから離れた位置で、トイレ室TRの側壁SWに取付けられている。換言すれば、キャビネット本体10と床面FSとの間に空間S1が形成されている。この空間S1の高さ寸法は、トイレ装置200に着座した使用者がキャビネット本体10の内部の物品を取出すことができるとともに、キャビネット本体10の扉部50を開状態としたときに、扉部50が位置することができるように設定されている。
キャビネット本体10は、トイレ室TRの内部に設置されたトイレ装置200の便器210の側方(例えば、右側)で、便器210の先端210aよりも後方に配設されている。この場合、キャビネット本体10は、少なくとも一部(トイレ装置200の後端側に位置する左の側板部11b)が便器210の先端210aよりも後方に位置していればよい。これにより、使用者は、トイレ装置200に着座した状態で、キャビネット本体10の内部に収納されたトイレットペーパをキャビネット本体10の右側に隣接する紙巻器101に補充することができる。
図5は、図2中のキャビネット本体を単体で示す斜視図である。
図6は、扉部が閉状態で、箱体、駆動ユニットを示す断面図である。
図7は、扉部が途中まで開かれた状態を示す断面図である。
図8は、扉部が開状態で、箱体、駆動ユニットを示す断面図である。
図9は、図8中の第1保持部と第2保持部とを矢示B−B方向からみた断面図である。
図10は、扉部が開状態のときに、箱体、駆動ユニットを斜め後方から示す断面斜視図である。
キャビネット本体10は、前面側に開口部11eを有する箱体11と、閉状態で開口部11eを覆い開状態で開口部11eを開放する扉部50と、一端側が箱体11の内部に設けられ他端側が扉部50に接続され、閉状態と開状態との間で扉部50を上下方向にスライド移動させる駆動ユニット20と、を備えている。
箱体11は、キャビネット本体10の上方を覆う天板部11aと、天板部11aから下方に向けて延び左右方向で対面する左右の側板部11b,11cと、左右の側板部11b,11cの下端側を接続してキャビネット本体10の下方を覆う底板部11dと、を有している。天板部11a、左右の側板部11b,11c、および底板部11dの前面側は、開口した開口部11eとなっている。すなわち、キャビネット本体10は、トイレ装置200の側方に開口部11eを有している。
天板部11aは、例えばキャビネット本体10から左右方向に延びる1枚板で形成されることにより、キャビネット100の上方全体を覆っている。天板部11aの右端側には、手洗器102が載置されている。なお、キャビネット100の上方を覆う天板を複数枚に分割して、天板部11aがキャビネット本体10の上方のみを覆っていてもよい。天板部11aには、後述の扉部50を閉状態に保持するためのマグネットやローラなどのキャッチ12が設けられている。
左右の側板部11b,11cは、キャビネット本体10の左右の側方を覆っている。各側板部11b,11cの上端側(天板部11a側)には、キャビネット本体10を側壁SWに固定するための固定具13(左の側板部11bのみ図示)がそれぞれ設けられている。キャビネット本体10は、固定具13を介して側壁SWにねじ止め固定される。従って、キャビネット本体10の後面側は、側壁SWにより閉塞される。なお、キャビネット本体10の後面側を覆う後面板(図示せず)個別に設けていてもよい。
一方、各側板部11b,11cの下端側(底板部11d側)には、後述する駆動ユニット20の基部21がそれぞれ設けられている。また、左右の側板部11b,11cの前面側には、下端側に弾性を有する樹脂材料で形成された緩衝部14が設けられている。この緩衝部14は、扉部50が閉状態にあるときに、扉部50と、左右の側板部11b,11cおよび底板部11dと、が接触するのを抑制している。
底板部11dは、キャビネット本体10の下方を覆っている。底板部11dには、内部に収納される物品が載置される。底板部11d左右両端側には、上下方向に貫通する貫通孔11fが形成されている。この貫通孔11fは、駆動ユニット20の基部21の下方に位置している。貫通孔11fには、後述するカバー60を取付けるねじ63が挿通する。底板部11dの前端側には、左右の側板部11b,11cとの間に前後方向に延びるスリット15が形成されている。このスリット15には、扉部50が開状態となったときに、駆動ユニット20のアーム部30が挿通する。
駆動ユニット20は、箱体11の左右の側板部11b,11cにそれぞれ設けられている。これら駆動ユニット20は、扉部50を支持するとともに、扉部50を上下方向にスライド移動させる。左の側板部11bと右の側板部11cとに設けられた各駆動ユニット20は、同じ構成となっているので、以下左の側板部11bに設けられた駆動ユニット20を説明し、右の側板部11cに設けられた駆動ユニット20の説明は省略する。
駆動ユニット20は、箱体11の側板部11bに設けられた基部21と、基部21から扉部50に向けて延びるアーム部30と、アーム部30の先端に設けられ扉部50を接続するための接続部40と、を有している。
基部21は、側板部11bの下端側(底板部11d側)で後端寄りに設けられている。換言すると、基部21は、底板部11dのスリット15よりも後方に位置して側板部11bに設けられている。基部21は、取付板22、軸部25、ばね部材26、および第1保持部27を有している。
取付板22は、上下方向に延びる薄板材からなり、ねじ23により側板部11bに取付けられている。取付板22の下端側には、箱体11の内部に向けて突出するストッパ24が設けられている。このストッパ24は、扉部50を開状態にしたときに、アーム部30の当接部35が当接して、扉部50がそれ以上移動するのを規制するものである。ストッパ24は、第1保持部27よりも後方で軸部25の下方に位置している。これにより、扉部50を開状態としたときに、開口部11eを大きく開放させることができるとともに、扉部50を傾斜した状態とすることができる。扉部50の傾斜状態については、後で詳しく述べる。
軸部25は、取付板22の上端側に位置して取付板22から突出している。軸部25の基端側(根元側)には、アーム部30を構成する上アーム31が回動可能に軸支されている。そして、軸部25の先端側には、外周側にばね部材26が巻回されている。このばね部材26は、例えばコイルばねからなり、上アーム31を上方に向けて付勢している。すなわち、ばね部材26は、上アーム31を介して扉部50を上方に向けて付勢することにより、扉部50が勢いよく開くのを抑制している。
第1保持部27は、軸部25よりも前方に位置して取付板22から突出している。この第1保持部27は、先端側にばね部材26の一端26a側が係合する係合溝部28を有している。一方、第1保持部27の基端側(根元側)には、アーム部30を構成する下アーム34が回動可能に軸支されている。
係合溝部28は、第1保持部27の外周を周方向に延びている。図9に示すように、係合溝部28は、開口28aから底部28bに向けて傾斜する傾斜面28cを有している。すなわち、係合溝部28は、傾斜面28cによりテーパ状に形成されている。換言すると、係合溝部28は、断面V字状(ないしU字状)に形成されている。これにより、ばね部材26の一端26a側を係合溝部28の傾斜面28cに接触させることができるので、接触面積が大きくなり、ばね部材26を安定して保持することができる。
アーム部30は、基部21から扉部50に向けて延びている。アーム部30は、上側に位置する上アーム31と、下側に位置する下アーム34と、を有している。上アーム31は、基端側が軸部25に回動可能に軸支されており、先端側が接続部40に回動可能に軸支されている。図6に示すように、上アーム31は、扉部50が閉状態にあるときに、軸部25から上方に向けて延びる延出板31aと、延出板31aの先端から前側(扉部50側)に向けて湾曲する湾曲板31bと、を有している。そして、アーム部30の上アーム31は、延出板31aから突出する第2保持部32を有している。
第2保持部32は、ばね部材26の他端26b側を保持する。図9に示すように、第2保持部32は、先端側にばね部材26の他端26b側が係合する係合溝部33を有している。係合溝部33は、第1保持部27の係合溝部28と同様に、開口33aから底部33bに向けて傾斜する傾斜面33cを有している。これにより、ばね部材26の他端26b側を係合溝部33の傾斜面33cに接触させることができるので、接触面積が大きくなり、ばね部材26を安定して保持することができる。
第2保持部32は、上アーム31に設けられているので、扉部50の開閉動作とともに移動する。扉部50を閉状態(図6の状態)から開状態(図8の状態)に移動するときには、ばね部材26の他端26b側が第2保持部32とともに移動する。一方、ばね部材26の一端26a側は、第1保持部27に固定されている。これにより、ばね部材26は、上アーム31を上方(閉状態側)に向けて付勢する。
下アーム34は、基端側が第1保持部27に回動可能に軸支されており、先端側が接続部40に回動可能に軸支されている。図6に示すように、下アーム34は、扉部50が閉状態にあるときに、第1保持部27から上方に向けて延びる延出板34aと、延出板34aの先端から前側(扉部50側)に向けて屈曲する屈曲板34bと、を有している。
扉部50が閉状態にあるときには、上アーム31の延出板31aと下アーム34の延出板34aとは前後方向に並んでいる。この場合、上アーム31の湾曲板31bと下アーム34の屈曲板34bとは、上下方向に隙間が形成されている。一方、図8に示すように、扉部50が開状態にあるときには、上アーム31の湾曲板31bと下アーム34の屈曲板34bとが接近する。このように、上アーム31と下アーム34とは、扉部50が閉状態と開状態との間でスライド移動するときに、互いに接触しないような形状となっている。
下アーム34は、延出板34aから突出する当接部35を有している。この当接部35は、取付板22のストッパ24に対応する位置に設けられ、扉部50が開状態にあるときにストッパ24と当接する。すなわち、当接部35は、第1保持部27よりも前側に位置して、第1保持部27の中心からストッパ24までを半径とする円弧上に設けられている。
当接部35は、ストッパ24と当接する面に弾性を有する樹脂材料により形成された緩衝材35aを有している。緩衝材35aは、当接部35がストッパ24に当接するときに、ストッパ24から下アーム34への接触力を低減して、下アーム34に大きな負荷がかかるのを抑制することができる。また、緩衝材35aは、扉部50を開状態としたときに、当接部35がストッパ24に接触したときの接触音(異音)の発生を低減することができる。
接続部40は、アーム部30の先端側に設けられている。この接続部40は、アーム部30と扉部50とを連結するためのものである。また、接続部40は、箱体11と扉部50との間の隙間を微調整可能なちり調整機能部を有している。接続部40は、アーム部30に連結される連結板部41と、連結板部41の前端(扉部50側)から右側(側板部11c側)に向けて延びる平板部42と、を有している。すなわち、接続部40は、連結板部41と平板部42とによりL字状に形成されている。
連結板部41は、上アーム31の先端側が回動可能に連結される上連結部41aと、上連結部41aの下側に位置して下アーム34の先端側が回動可能に連結される下連結部41bと、を有している。上連結部41aと下連結部41bとは、上下方向に離間して設けられている。
平板部42は、扉部50に対面している。この平板部42は、中央部に貫通孔43が形成されている。この貫通孔43には、扉部50を接続部40に取付けるためのねじ55が挿通する。貫通孔43は、上側に位置する円形孔43aと、円形孔43aの下端から下方に向けて延びる延出孔43bと、を有している。円形孔43aは、ねじ55の頭部55aが貫通する大きさに形成されている。扉部50を接続部40から着脱するときには、ねじ55の頭部55aを円形孔43aから挿通させる。一方、延出孔43bは、ねじ55の頭部55aは貫通せずに、ねじ55の軸部のみが貫通する大きさに形成されている。扉部50を接続部40に取付けるときには、延出孔43b内にねじ55を移動させてねじ55を締結する。
平板部42には、貫通孔43を挟んだ上下位置に、扉部50の前後方向のちり調整を行うためのねじ44がそれぞれ設けられている。これらねじ44は、本発明のちり調整機能部を構成するもので、平板部42を貫通して扉部50に向けて突出している。この場合、ねじ44を締付けると突出量が増加して、被接続部53を押圧することにより、扉部50を前方に向けて移動させることができる。また、平板部42は、扉部50の上下方向のちり調整を行うための突出板45を有している。この突出板45は、平板部42の上端から後方(箱体11の内部)に向けて突出している。
扉部50は、駆動ユニット20のアーム部30の他端側(先端側)に取付けられ、駆動ユニット20により上下方向にスライド移動可能となっている。この扉部50は、閉状態で開口部11eを覆い、開状態で開口部11eを開放する。図2、図3、図8に示すように、扉部50は、開状態としたときに、上端部50aよりも下端部50bが後方に位置することにより傾斜している。
図3、図8に示すように、扉部50の下端部50bは、開状態としたときに、箱体11の前後方向の中央部よりも後方に位置している。この場合、箱体11の前後方向の中央部は、一点鎖線O−Oで示す側板部11b,11cの前後方向の中央部とすることができる。
これにより、扉部50の下端部50bと便器210との間の寸法Lを広くすることができる。従って、例えばトイレ装置200に着座した使用者からキャビネット本体10の下方の視認性を良好にすることができる。また、キャビネット本体10の下方の清掃性を向上したり、落とし物を拾いやすくしたりすることができる。
扉部50は、前面50cの上端側の中央部に扉部50を開閉するときに把持される取っ手51を有している。また、扉部50は、裏面50dの上端側の中央部に閉状態でキャッチ12に保持される被保持具52(図3のみ図示)を有している。
また、扉部50は、裏面50dの上下方向の中央部に駆動ユニット20の接続部40に接続される被接続部53を有している。すなわち、被接続部53は、駆動ユニット20の接続部40に対応する位置に設けられている。また、被接続部53は、箱体11と扉部50との間の隙間を微調整可能なちり調整機能部を有している。被接続部53は、扉部50の裏面50dに取付けられる取付板53aと、取付板53aの上端から後方(箱体11の内部)に向けて突出する調整板53bと、を有している。
取付板53aは、ねじ54により扉部50の裏面50dに取付けられている。また、取付板53aの中央部には、扉部50を接続部40に取付けるためのねじ55が設けられている。このねじ55は、頭部55aが取付板53aから後方に向けて突出した状態で取付板53aに螺合されている。
扉部50の被接続部53は、ねじ55により駆動ユニット20の接続部40に着脱可能となっている。具体的には、扉部50の箱体11に対する着脱は、ねじ55の頭部55aを円形孔43aから抜き差しすることにより行うことができる。すなわち、取付板53aからねじ55を取外すことなく緩めるだけで、扉部50の着脱を行うことができる。
調整板53bは、被接続部53を接続部40に取付けた状態で、接続部40の突出板45の上方に位置する。調整板53bには、扉部50の上下方向(高さ方向)のちり調整を行うためのねじ56が設けられている。ねじ56は、本発明のちり調整機能部を構成するもので、調整板53bを貫通して突出板45に向けて延びている。ねじ56を締付けると突出量が増加して、突出板45を押圧することにより、扉部50を上方に向けて移動させることができる。
図8に示すように、扉部50の被接続部53は、開状態としたときに箱体11の底板部11dよりも下方に位置している。これにより、被接続部53が邪魔にならずに、物品をキャビネット本体10へ出し入れすることができる。
次に、箱体11の内部に取付けられるカバー60について説明する。
図11は、カバーを箱体から取外した状態を示す分解斜視図である。
図12は、カバーを裏面側からみた状態を拡大して示す斜視図である。
カバー60は、側板部11b,11cと底板部11dとの間に位置して、駆動ユニット20の基部21を覆っている。このカバー60は、基部21の外側を覆うことにより、箱体11の内部に収納された物品が基部21に接触するのを抑制する。また、カバー60は、扉部50を開いたときに、基部21とスリット15とが視認できないようにして、箱体11の内部の見栄えをよくしている。カバー60は、側板部11bとの間に隙間S2をもって箱体11の内部に取付けられている。この隙間S2は、基部21から扉部50に向けて延びるアーム部30が挿通する。
カバー60は、開口部11e側(前方側)に位置する低幅部61と、低幅部61の後側(側壁SW側)に位置して低幅部61よりも左右方向の幅が大きい大幅部62と、を有している。カバー60は、低幅部61と大幅部62との間に段部60aを有している。すなわち、カバー60は、前後方向で段付状に形成されている。
図11に示すように、低幅部61の厚さ寸法t1は、大幅部62の厚さ寸法t2よりも小さくなっている。また、図6〜図8に示すように、低幅部61は、基部21よりも前側に位置している。これにより、箱体11の前側の左右方向の空間を広くすることができる。
低幅部61の前端側には、下方に向けて突出する突板部61aが形成されている。この突板部61aは、スリット15に対応する位置に形成され、スリット15に沿って前後方向に延びている。突板部61aは、カバー60を箱体11に取付けたときに、スリット15に挿入される。これにより、スリット15は、カバー60を箱体11に取付けたときに、カバー60の内部に位置させることができる。従って、扉部50を開状態としたときに、箱体11の内部からスリット15を見えにくくすることができるので、意匠性を向上できる。
大幅部62は、基部21の左右方向の側方を覆っている。大幅部62は、下面に上下方向に貫通するねじ孔62aを有している。このねじ孔62aは、底板部11dの貫通孔11fに対応する位置に形成されている。ねじ孔62aには、例えばスピードナットが設けられ、カバー60を箱体11に取付けるためのねじ63が螺合する。すなわち、カバー60は、底板部11dの下面から上面に向けて貫通するねじ63により固定されている。ねじ63は、本発明の固定部材を構成している。これにより、扉部50を開状態としたときに、ねじ63がカバー60の内部に位置するので、キャビネット本体10の意匠性を向上できる。
図8に示すように、大幅部62は、一点鎖線O−Oで示す側板部11bの前後方向の中央部よりも後方に位置している。すなわち、カバー60の段部60aは、一点鎖線O−Oで示す側板部11bの前後方向の中央部よりも後方に位置している。これにより、開口部11e側を広くすることができるので、扉部50のちり調整作業や扉部50の着脱作業の作業性を向上できる。扉部50のちり調整作業と扉部50の着脱作業については、後で詳しく述べる。
紙巻器101は、トイレットペーパTPを保持するもので、キャビネット本体10の右側に隣接している。換言すると、トイレ装置200に着座した使用者がトイレットペーパTPを取出しやすいように、紙巻器101は便器210の先端210aの側方に設けられている。
手洗器102は、天板部11aの上面に設けられている。手洗器102は、水栓装置102aと、ボウル102bと、を有する。ボウル102bは、水栓装置102aの吐水部の下方に設けられ、水栓装置102aから吐出される水を受ける。ボウル102bからの排水は、キャビネット100の内部に収納された排水管(図示せず)を介して、壁面に設けられた排出部(図示せず)に排出される。手洗器102は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
本実施形態によるキャビネット100は、上述の如き構成を有するもので、次にキャビネット本体10の扉部50の作動について説明する。
図1から図4に示すように、キャビネット本体10は、トイレ室TRの内部に設置された便器210の側方で便器210の先端210aよりも後方に配設されている。すなわち、キャビネット本体10を前面側(扉部50側)からみたときに、扉部50の少なくとも一部が便器210と前後方向で重畳している。換言すると、キャビネット本体10は、便器210に着座した使用者の側方(例えば、右側)に配設されている。また、キャビネット本体10は、紙巻器101に隣接している。
図1、図6に示すように、扉部50が閉状態では、扉部50の裏面50dに設けられた被保持具52がキャッチ12に保持される。そして、扉部50を開くときには、取っ手51を把持して、扉部50を引張りながら下方にスライド移動させる。この場合、上アーム31に設けられた第2保持部32は、ばね部材26の他端26b側を押圧することにより、ばね部材26にねじり変形を生じさせる。これにより、ばね部材26は、扉部50を上方向(閉状態の方向)に向けて付勢する。従って、扉部50の自重により扉部50が勢いよく下方に移動するのが抑制される。
ここで、図9に示すように、ばね部材26は、一端26a側が第1保持部27の係合溝部28に係合され、他端26b側が第2保持部32の係合溝部33に係合されている。この場合、係合溝部28,33は、それぞれの傾斜面28c,33cによりばね部材26との接触面積を大きくしている。これにより、ばね部材26がねじり変形したとき(伸縮したとき)にがたつくのを抑制することができる。その結果、扉部50の開閉を滑らかにすることができるとともに、異音の発生を抑制することができる。
図8に示すように、上アーム31の先端側の回動軌跡R1と下アーム34の先端側の回動軌跡R2との交点Cまでは、扉部50は前方に向けて引出されながら、立設した状態(垂直状態)で下方に向けて移動する。そして、アーム部30の先端が交点Cを越えると、扉部50は、徐々に傾斜しながら下方に向けて移動する。すなわち、上アーム31の回動支点である軸部25と、下アーム34の回動支点である第1保持部27とが上下方向にずれているので、アーム部30の先端が交点Cを越えると、扉部50は下端部50bが箱体11の底板部11dの下方に入込むように傾斜し始める。
そして、図8に示すように、下アーム34の当接部35が取付板22のストッパ24に当接することにより、扉部50が開状態となる。図8、図10に示すように、扉部50の開状態では、アーム部30は、底板部11dのスリット15に挿入される。ここで、例えば下アーム34を第2保持部から接続部40に向けて一直線状に形成した場合には、スリット15の前後方向の長さ寸法を大きくしなければならない。スリット15の長さを大きくすると、底板部11dと側板部11bとの接触面積が小さくなるので、箱体11の剛性が低下する虞がある。
そこで、本実施形態では、上アーム31を延出板31aと湾曲板31bとにより形成し、下アーム34を延出板34aと屈曲板34bとにより形成している。すなわち、上アーム31と下アーム34とは、扉部50の閉状態と開状態との間で互いに接触しないように形成されるとともに、扉部50が開状態となったときに、底板部11dの前端側でスリット15に挿通するように形成されている。これにより、アーム部30が挿通するスリット15の前後方向の長さ寸法を可及的に短くすることができる。その結果、底板部11dと側板部11b、11cとの接触面積を大きくすることができるので、箱体11の剛性が低下するのを抑制できる。
扉部50の開状態では、扉部50は上端部50aよりも下端部50bが後方(側壁SW側)に位置することにより傾斜している。この場合、扉部50の下端部50bは、一点鎖線O−Oで示す箱体11の前後方向の中央部よりも後方に位置している。
これにより、図3に示すように、扉部50の下端部50bと便器210との間の寸法Lを広くすることができる。従って、例えばトイレ装置200に着座した使用者からキャビネット本体10の下方の視認性を良好にすることができる。また、キャビネット本体10の下方の清掃性を向上したり、落とし物を拾いやすくしたりすることができる。さらに、キャビネット本体10の内部の物品を取出すために、トイレ装置200に着座した使用者が右足をキャビネット本体10側に移動させたときに、右足が扉部50に接触するのを抑制することができる。
また、図8に示すように、扉部50が開状態にあるときには、駆動ユニット20の接続部40と扉部50の被接続部53とが箱体11の底板部11dよりも下方に位置する。これにより、接続部40と被接続部53とが邪魔にならずに、物品をキャビネット本体10へ出し入れすることができる。
また、駆動ユニット20の基部21と、底板部11dのスリット15とは、カバー60により覆われている。これにより、扉部50を開状態としたときに、基部21とスリット15とが露出しないので意匠性を向上できる。また、カバー60は、箱体11の内部に収納された物品が基部21に接触するのを抑制することができる。さらに、カバー60は、カバー60の内部で底板部11dの下面側からねじ63により固定されている。従って、ねじ63が箱体11の内部に露出しないので、意匠性を向上できる。
次に、扉部50のちり調整作業と、箱体への着脱作業とについて説明する。
図13は、図7のキャビネット本体を斜め後方からみた断面斜視図である。
図14は、図13中の箱体から扉部を取外した状態を示す断面斜視図である。
まず、扉部50のちり調整作業を行うときには、図7、図13に示す途中位置まで扉部50を開く。そして、扉部50を手で抑えながら上端部50aの上方からドライバなどの工具(図示せず)を入れて、接続部40と被接続部53とを固定しているねじ55を緩める。
扉部50の前後方向のちり調整を行うときには、ねじ44を締付けることにより、扉部50を前方に移動させることができる。一方、ねじ44を緩めることにより、扉部50を後方に移動させることができる。また、扉部50の上下方向(高さ方向)のちり調整を行うときには、ねじ56を締付けることにより、扉部50を上方に移動させることができる。一方、ねじ56を緩めることにより、扉部50を下方に移動させることができる。そして、ちり調整が終了したら、ねじ55を締付けることにより、扉部50を被接続部53を介して接続部40に固定することができる。
次に、扉部50を駆動ユニット20の接続部40から取外すときには、図7、図13に示す途中位置まで扉部50を開く。そして、扉部50を手で抑えながら上端部50aの上方からドライバなどの工具(図示せず)を入れて、接続部40と被接続部53とを固定しているねじ55を緩める。
そして、扉部50を上方に持上げることにより、ねじ55の頭部55aを接続部40の円形孔43aまで移動させる。その後、図14に示すように、扉部50を前方に向けて引出すことにより、ねじ55の頭部55aを円形孔43aから抜出して扉部50を箱体11から取外すことができる。
一方、扉部50を箱体11に取付けるときには、ねじ55の頭部55aを円形孔43aに貫通させる。そして、扉部50を下げることにより、ねじ55の軸部を延出孔43bに挿入させる。その後、ねじ55を締付けることにより、扉部50を箱体11に取付けることができる。
このように、扉部50のちり調整作業および着脱作業は、接続部40および被接続部53のねじ44,54,55をドライバなどの工具(図示せず)で操作することにより行うことができる。この場合、図7、図13に示すように、扉部50のちり調整作業および着脱作業を行うときには、接続部40の後方にカバー60が位置する。
ここで、仮に開口部11e側に大幅部62の厚さ寸法を有するカバーを用いた場合には、接続部40とカバーとの間の空間が狭くなるので、工具の操作がしづらくなり、扉部50のちり調整作業および着脱作業の作業性が低下する虞がある。しかし、本実施形態では、カバー60は、開口部11e側(接続部40側)に低幅部61を有している。この低幅部61は、箱体11の側板部11bの前端から側板部11bの前後方向の中央部よりも後方に延びている。これにより、接続部40の後方に広いスペースを確保することができるので、扉部50のちり調整作業および着脱作業の作業性を向上することができる。
また、扉部50の被接続部53は、ねじ55(締結部材)により駆動ユニット20の接続部40に着脱可能となっている。これにより、扉部50の交換作業およびキャビネット本体10のメンテナンス作業を簡単に行うことができる。また、ねじ55は、被接続部53から取外すことなく緩めるだけで、箱体11から扉部50を着脱することができる。これにより、扉部50の上端部50aの上方の狭いスペースから手を入れて、簡単に扉部50の着脱作業を行うことができる。また、ねじ55を取外さなくてもよいので、ねじ55が被接続部53から抜け落ちて紛失するのを抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、キャビネットなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。