JP2021008428A - 口腔用組成物 - Google Patents

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諒太郎 西岡
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修平 石井
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Abstract

【課題】硝酸カリウムを含有していながら、アニオン界面活性剤による歯牙のステイン除去効果の低下を抑制された口腔用組成物を提供する。【解決手段】ヒドロキシアパタイト粒子、アニオン界面活性剤、及び硝酸カリウムを含有し、前記ヒドロキシアパタイト粒子の、CuKα特性X線により測定される粉末X線回折パターンにおける2θ=26°付近の回折ピーク強度に対する2θ=32°付近の回折ピーク強度の比が0.8〜1.5であることを特徴とする、口腔用組成物。【選択図】図1

Description

本発明は口腔用組成物等に関し、より具体的にはアニオン界面活性剤と、硝酸カリウムと、ヒドロキシアパタイト粒子とを含有し、神経鈍麻による抗知覚過敏効果と歯牙のステイン除去効果を有する口腔用組成物に関する。
象牙質知覚過敏とは、歯牙のエナメル質の摩耗・欠損や歯肉の退縮により象牙質が露出し、この象牙質に冷たい飲食物などの温度刺激、甘みや酸味などの化学的刺激、ブラッシングなどの機械的刺激が外部から与えられた際に一過性の痛みを感じるものである。上記刺激は象牙質表面に存在する象牙細管を通じて歯髄神経を刺激するため、歯科医院等においては露出した象牙質表面の被覆、象牙細管の封鎖が治療法として用いられ、家庭等で使用される口腔衛生製品においては、象牙細管の封鎖や神経を鈍麻させる方法が用いられており、神経鈍麻成分として、硝酸カリウム等のカリウム塩を口腔用組成物に配合することが知られている(特許文献1)。
ステインと呼ばれる歯の着色汚れは、唾液タンパク質により歯牙表面に形成されたペリクルに、飲食物中のポリフェノール類が結合、沈着したものである。このステインの除去の手段としては、アニオン界面活性剤を配合した口腔用組成物による化学的除去、研磨剤を配合した口腔用組成物による機械的除去が知られている。
しかしながら、硝酸カリウムとアニオン界面活性剤を併用すると、アニオン界面活性剤がカリウムイオンと不溶性の沈殿を生じ、起泡性が低下するという課題があり、この課題に対していくつかの解決手段が提案されている。例えば、水溶性高分子とアルギン酸プロピレングリコールの併用(特許文献2)や、特定のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加型のノニオン性界面活性剤の併用(特許文献3)などが挙げられる。他方、上記成分の併用においては、アニオン界面活性剤が有する歯牙のステイン除去力が低下するという課題点もあるが、これに対する解決策の提案はなされていない。
特開2000−281551号公報 特開2013−119520号公報 特開2018−104295号公報
硝酸カリウム配合時の、アニオン界面活性剤による歯牙のステイン除去効果の低下を抑制し、神経鈍麻による抗知覚過敏効果と歯牙のステイン除去効果を併せ持つ優れた口腔用組成物を提供すること。
本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、驚くべきことに、特定のヒドロキシアパタイト粒子(X線回折パターンにおける2θ=26°付近の回折ピーク強度に対する2θ=32°付近の回折ピーク強度の比が0.8〜1.5であるヒドロキシアパタイト粒子)と、硝酸カリウムと、アニオン界面活性剤とを併用することで、上記課題を解決し得ることを見出した。
本発明は、例えば以下に記載の発明を包含する。
項1.
ヒドロキシアパタイト粒子、アニオン界面活性剤、及び硝酸カリウムを含有し、
前記ヒドロキシアパタイト粒子の、CuKα特性X線により測定される粉末X線回折パターンにおける2θ=26°付近の回折ピーク強度に対する2θ=32°付近の回折ピーク強度の比が0.8〜1.5であることを特徴とする、
口腔用組成物。
項2.
前記アニオン界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、及びオレフィンスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、項1に記載の口腔用組成物。
項3.
前記硝酸カリウムを5質量%含有する、項1または2に記載の口腔用組成物。
項4.
前記アニオン界面活性剤を0.1〜5質量%含有する、項1から3のいずれかに記載の口腔用組成物。
項5.
前記ヒドロキシアパタイト粒子のCa/Pモル比が1.67未満である、項1から4のいずれかに記載の口腔用組成物。
項6.
前記ヒドロキシアパタイト粒子のメジアン径が5μm以下である、項1から5のいずれかに記載の口腔用組成物。
項7.
前記ヒドロキシアパタイト粒子の比表面積が55〜200m2/gである、項1から6のいずれかに記載の口腔用組成物。
項8.
前記ヒドロキシアパタイト粒子の、CuKα特性X線により測定される粉末X線回折パターンにおける2θ=32°付近の回折ピーク強度に対する2θ=34°付近の回折ピーク強度の比が1以下である、項1から7のいずれかに記載の口腔用組成物。
項9.
前記ヒドロキシアパタイト粒子が、ヒドロキシアパタイト板状結晶の凝集体である、
項1から8のいずれかに記載の口腔用組成物。
項10.
歯牙に付着したステイン除去用である、項1から9のいずれかに記載の口腔用組成物。
項11.
ヒドロキシアパタイト粒子を含有する、アニオン界面活性剤のステイン除去力低下抑制剤であって、
前記ヒドロキシアパタイト粒子の、CuKα特性X線により測定される粉末X線回折パターンにおける2θ=26°付近の回折ピーク強度に対する2θ=32°付近の回折ピーク強度の比が0.8〜1.5である、
アニオン界面活性剤のステイン除去力低下抑制剤。
項12.
硝酸カリウムと、アニオン界面活性剤とを含有する口腔用組成物に、ヒドロキシアパタイト粒子を添加するアニオン界面活性剤のステイン除去力低下抑制方法であって、
前記ヒドロキシアパタイト粒子の、CuKα特性X線により測定される粉末X線回折パターンにおける2θ=26°付近の回折ピーク強度に対する2θ=32°付近の回折ピーク強度の比が0.8〜1.5である、
アニオン界面活性剤のステイン除去力低下抑制方法。
神経鈍麻による抗知覚過敏効果と歯牙のステイン除去効果を併せ持つ優れた口腔用組成物が提供される。
製造実施例1のヒドロキシアパタイト粒子のX線回折ピークを示す。 市販される試薬ヒドロキシアパタイト粒子のX線回折ピークを示す。 製造実施例2のヒドロキシアパタイト粒子のX線回折ピークを示す。 製造実施例3のヒドロキシアパタイト粒子のX線回折ピークを示す。 製造実施例4のヒドロキシアパタイト粒子のX線回折ピークを示す。 製造実施例5のヒドロキシアパタイト粒子のX線回折ピークを示す。 ステイン除去力の試験結果を示す。
以下、本発明に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。なお、本発明は、口腔用組成物、特にアニオン界面活性剤と、硝酸カリウムと、特定のヒドロキシアパタイト粒子を含む口腔用組成物等を好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本発明は本明細書に開示され当業者が認識できる全てを包含する。
本発明で用いるアニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、アシルアミノ酸塩、アシルタウリン塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸モノグリセライド硫酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。中でも、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、オレフィンスルホン酸塩が好ましく、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、オレフィンスルホン酸塩がより好ましい。また、塩としては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、中でもナトリウム塩が好ましい。
本発明で用いるアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩のアルキル鎖長としては、炭素数8〜18の飽和/不飽和のアルキル基であるものが挙げられる。このうち、アルキル基の炭素数分布が10〜18が好ましく、10〜16がより好ましく、10〜12がさらに好ましい。また、オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数14〜16のものが好ましい。これらのアニオン界面活性剤は口腔用組成物全体に対し、0.01〜5質量%配合されることが好ましく、0.05〜4.5質量%がより好ましく、0.1〜4質量%が特に好ましい。
本発明で用いる硝酸カリウムはその量を特に制限しないが、抗知覚過敏効果を発揮させるためには口腔用組成物全体に対して1〜10質量%配合されることが好ましく、3〜8質量%がより好ましく、5質量%が特に好ましい。硝酸カリウムは配合量が多いほど抗知覚過敏効果は高まるものの、多量に配合した場合は塩味、苦味を呈するため好ましくない。
本発明で用いる特定のヒドロキシアパタイト粒子は、X線回折パターンにおける2θ=26°付近の回折ピーク強度に対する2θ=32°付近の回折ピーク強度の比が0.8〜1.5である、ヒドロキシアパタイト粒子である。
2θ=26°付近の回折ピークは、ヒドロキシアパタイトのピークであり、具体的には、2θ=25.5〜26.5°の回折ピークであり、好ましくは2θ=25.8〜26.2°の回折ピークである。2θ=26°付近に回折ピークが複数存在する場合、最も強度が高い回折ピークを意味する。
2θ=32°付近の回折ピークは、ヒドロキシアパタイトのピークであり、具体的には、2θ=31.5〜32.5°の回折ピークであり、好ましくは2θ=31.8〜32.2°の回折ピークである。2θ=32°付近に回折ピークが複数存在する場合、最も強度が高い回折ピークを意味する。
本明細書において、X線回折パターンは、CuKα特性X線により測定される粉末X線回折パターンである。測定条件の一例として、次の条件を挙げることができる。ターゲット:Cu、管電圧40kV、管電流:30mA、サンプリング幅:0.02°、スキャンスピード:2.00°/min、発散スリット:1.0°、散乱スリット:1.0°、受光スリット:0.3mm。
当該特定のヒドロキシアパタイト粒子は、2θ=26°付近の回折ピーク強度に対する2θ=32°付近の回折ピーク強度の比(32°/26°)が0.8〜1.5である。該ピーク強度比は、好ましくは0.9〜1.3、より好ましくは1.0〜1.25、さらに好ましくは1.05〜1.2、よりさらに好ましくは1.05〜1.15である。
当該特定のヒドロキシアパタイト粒子は、一つ一つの粒子それ自体が、ヒドロキシアパタイト板状結晶の凝集体であることが好ましい。当該特定のヒドロキシアパタイト粒子を構成する板状結晶の形状は特に制限されず、円形、多角形(特に六角形)、棒状に近い形状、或いはこれらを組み合わせた形状等が挙げられる。また、板状結晶は、面が折り曲げられてなる状態、面が折り曲げられずに平面構造を保った状態のいずれの状態でもよい。なお、通常、板状ヒドロキシアパタイト結晶は、板の頂面をc面、側面をa面とした六方晶と呼ばれる構造をしている。また、粒子が複数の結晶により形成されている場合、その結晶を結晶子という。
当該特定のヒドロキシアパタイト粒子は、ヒドロキシアパタイトを主成分として含む粒子であり、好ましくは本質的にヒドロキシアパタイトからなる粒子である。当該特定のヒドロキシアパタイト粒子のX線回折パターンにおいては、他の物質(例えばモネタイト等)が含まれている場合であっても、そのピークは分離して観察されないか、或いはそのピーク強度は比較的低い。このため、当該特定のヒドロキシアパタイト粒子は、これらのピークのピーク強度が高い粒子とは区別されるものである。
当該特定のヒドロキシアパタイト粒子は、好ましくは、X線回折パターンにおける2θ=32°付近の回折ピーク強度に対する2θ=34°付近の回折ピーク強度の比(34°/32°)が1以下である。2θ=34°付近の回折ピークは、具体的には、2θ=33.5〜34.5°の回折ピークであり、好ましくは2θ=33.8〜34.2°の回折ピークである。2θ=34°付近に回折ピークが複数存在する場合、最も強度が高い回折ピークを意味する。該ピーク強度比は、好ましくは0.1〜1、より好ましくは0.2〜0.9、さらに好ましくは0.3〜0.8、よりさらに好ましくは0.4〜0.7、特に好ましくは0.4〜0.6である。
当該特定のヒドロキシアパタイト粒子は、好ましくは、25°≦2θ≦35°の範囲内の全ての回折ピークの面積の総和100%に対して、25.5°≦2θ≦26.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積と31.5°≦2θ≦32.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積との総和が30〜45%である。該値は、好ましくは33〜42%、より好ましくは35〜40%である。また、当該特定のヒドロキシアパタイト粒子は、2θ=40°付近の(130)面による回折ピークから算出した結晶子サイズは、好ましくは4〜12nm、より好ましくは5〜10nmである。
当該特定のヒドロキシアパタイト粒子のCa/Pモル比は、ヒドロキシアパタイトがとり得る値である限り特に制限されない。限定的な解釈を望むものではないが、当該特定のヒドロキシアパタイト粒子においては、カルシウムの一部が他の元素(ナトリウム等)に置換しているとも考えられ、このため、Ca/Pモル比は比較的低い値であり得る。この観点から、当該特定のヒドロキシアパタイト粒子のCa/Pモル比は、好ましくは1.67未満、より好ましくは1.65以下又は1.60以下、さらに好ましくは1.55以下又は1.50以下、よりさらに好ましくは1.45以下又は1.40以下である。当該特定のヒドロキシアパタイト粒子のCa/Pモル比の下限は、特に制限されず、例えば1.0、1.1、又は1.2でありえる。なお、当該Ca/Pモル比は、誘導結合プラズマ発光分光分析によって当該特定のヒドロキシアパタイト粒子のCa及びP含有量を測定し、その測定値から算出した値である。
当該特定のヒドロキシアパタイト粒子のメジアン径(d50)は、特に制限されるものではないが、好ましくは5μm以下、より好ましくは4.5μm以下である。該メジアン径の下限は、特に制限されないが、例えば1μm以上、2μm以上、又は3μm以上が挙げられる。より具体的には、例えば1〜5μmが挙げられる。なお、該メジアン径は、レーザー回折・散乱法により測定される値である。より具体的には、レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して乾式粒度分布測定により測定される値である。
当該特定のヒドロキシアパタイト粒子の比表面積は、特に制限されるものではないが、例えば30m2/g以上、好ましくは40m2/g以上、より好ましくは50m2/g以上、さらに好ましくは55m2/g以上である。該比表面積の上限は、特に制限されないが、例えば150m2/g、120m2/g、100m2/g、90m2/gである。なお、当該比表面積は窒素ガス吸着法によって測定される値である。
当該特定のヒドロキシアパタイト粒子は、例えば、pHが4以上7未満であるリン酸アルカリ塩水溶液と水酸化カルシウムスラリーとを混合して35〜85℃で反応させる工程を含む、ヒドロキシアパタイト粒子を製造する方法により調製することができる。
リン酸アルカリ塩としては、特に制限されず、水和物及び無水物を包含する。リン酸アルカリ塩としては、例えばリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム等が挙げられ、好ましくはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等のリン酸ナトリウム塩が挙げられ、より好ましくはリン酸二水素ナトリウムが挙げられる。
リン酸アルカリ塩水溶液中のリン酸アルカリ塩の濃度は、特に制限されず、例えば3〜50質量%である。該濃度は、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは7〜15質量%である。
リン酸アルカリ塩水溶液のpHは、好ましくは4以上7未満である。該pHは、より好ましくは5〜6.5である。なお、後述のように、リン酸アルカリ塩水溶液のpHが比較的低い場合(例えば、pH4以上5未満の場合)は、リン酸アルカリ塩として無水物を使用し、且つ反応温度を比較的高い温度、例えば65〜85℃、好ましくは70〜85℃、より好ましくは75〜85℃に設定することが望ましい。
水酸化カルシウムスラリーはシュウ酸反応性を有するところ、前記水酸化カルシウムスラリーは、シュウ酸に対して特定の反応性を有する水酸化カルシウムのスラリーであることが好ましい。
シュウ酸に対する反応性は、例えば、以下の定義で表すことができる:
シュウ酸反応性:5質量%の濃度に調製され、25±1℃に保たれた水酸化カルシウムスラリー50gに、25±1℃に保たれた0.5モル/リットルの濃度のシュウ酸水溶液40gを一気に添加し、添加後pH7.0になるまでの時間(分)。
前記シュウ酸に対する特定の反応性としては、上記定義で表す場合、好ましくは1〜40分、より好ましくは5〜30分、さらに好ましくは10〜20分である。
水酸化カルシウムスラリーのBET比表面積は、好ましくは5m2/g以上、より好ましくは6m2/g以上である。該BET比表面積の上限は、特に制限されないが、例えば20m2/g、15m2/g、10m2/gである。
シュウ酸反応性が高い(例えば上述した特定のシュウ酸に対する反応性を有する)水酸化カルシウムスラリーは、典型的には、水酸化カルシウムスラリーを磨砕処理することにより得ることができる。磨砕処理により、シュウ酸反応性をより高める(上記定義の時間をより短くする)ことができる。磨砕処理は、例えばビーズミルを用いて行われる。磨砕処理の条件としては特に制限されず、例えば特開2017−036176号公報に記載の方法に従った条件を採用することができる。
水酸化カルシウムスラリーは、例えば、石灰石を焼成して得られる生石灰(酸化カルシウム)に水を反応させることにより、調製することができる。例えば、石灰石をキルン内において約1000℃で焼成して、生石灰を生成し、この生石灰に約10倍量の熱水を投入し、30分間攪拌させることにより、水酸化カルシウムスラリーを調製することができる。
水酸化カルシウムスラリーの固形分濃度は、特に制限されないが、例えば1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%、さらに好ましくは6〜12質量%である。
リン酸アルカリ塩水溶液と水酸化カルシウムスラリーとの量比は、ヒドロキシアパタイト粒子を製造できる比である限り特に制限されない。該量比は、Ca/Pモル比が、好ましくは0.3〜0.7、より好ましくは0.4〜0.6、さらに好ましくは0.45〜0.55になるように調整されることが望ましい。
リン酸アルカリ塩水溶液と水酸化カルシウムスラリーとを混合する態様は特に制限されない。例えば、リン酸アルカリ塩水溶液を含む反応容器に水酸化カルシウムスラリーを添加する態様(態様1)、水酸化カルシウムスラリーを含む反応容器にリン酸アルカリ塩水溶液を添加する態様(態様2)、リン酸アルカリ塩水溶液と水酸化カルシウムスラリーを同時に反応容器に添加する態様(態様3)等が挙げられる。これらの中でも、態様1が好ましい。反応容器への上記添加の際には、通常、反応容器中の液は攪拌されている。
反応容器への上記添加は、一定程度の時間をかけて行うことが望ましい。添加開始から添加終了までの時間は、例えば10〜90分間、好ましくは20〜60分間、より好ましくは20〜40分間である。
反応は、通常、攪拌下で行う。反応温度は、35〜85℃である。該反応温度は、好ましくは40〜75℃、より好ましくは45〜70℃、さらに好ましくは50〜70℃、よりさらに好ましくは55〜65℃である。反応温度は、リン酸アルカリ塩水溶液のpHが比較的低い場合(例えば、pH4以上5未満の場合)は、比較的高い温度、例えば65〜85℃、好ましくは70〜85℃、より好ましくは75〜85℃である。反応時間(リン
酸アルカリ塩水溶液と水酸化カルシウムスラリーが全て混合されてから開始する時間、上記態様1〜3において、リン酸アルカリ塩水溶液と水酸化カルシウムスラリーの添加が終了した時点から開始する時間)は、例えば10〜180分間、好ましくは20〜120分間、より好ましくは40〜90分間、さらに好ましくは50〜70分間である。
上記工程により生成した当該特定のヒドロキシアパタイト粒子は、必要に応じて、精製処理に供される。精製処理としては、例えばろ過処理、水洗処理等が挙げられる。また、必要に応じて、乾燥処理に供することもできる。
当該特定のヒドロキシアパタイト粒子は、口腔用組成物に、例えば1〜10質量%程度含有させることができる。当該含有割合範囲の上限または下限は、例えば1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、又は9.5質量%であってもよい。例えば、当該範囲は、2〜8質量%又は3〜7質量%であることがより好ましい。
本発明の口腔用組成物は常法により製造することができる。また、本発明の口腔用組成物の形態としては、練歯磨剤、液体歯磨剤、ジェル剤、ペースト剤、軟膏剤、塗布剤、洗口剤、スプレー剤等の形態が挙げられる。中でも、練歯磨剤、液体歯磨剤、ジェル剤、ペースト剤、軟膏剤、塗布剤が好ましく、練歯磨剤、ジェル剤、ペースト剤が特に好ましい。またさらに、本発明の口腔用組成物は、医薬品、医薬部外品、化粧品として用いることができる。
本発明の口腔用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、一般に口腔用組成物に配合し得る公知の任意成分を、単独で又は2種以上組み合わせて、さらに配合してもよい。
このような公知の任意成分としては、例えば、界面活性剤、研磨剤、湿潤剤、増粘剤、甘味剤、防腐剤、着色剤、pH調整剤、安定化剤、矯味剤、収斂剤、他の薬効成分等が挙げられる。
界面活性剤として、例えば、ノニオン界面活性剤、または両性界面活性剤をさらに配合することができる。具体的には、ノニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグリコシド、セバシン酸ジエチル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N−アルキルアミノエチルグリシン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、組成物全量に対して0.1〜5質量%である。
研磨剤として、例えば、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水和物、リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、無水ケイ酸、シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ポリメタクリル酸メチル、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂等が挙げられる。これらの研磨剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
湿潤剤として、例えば、ソルビット、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3―ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、パラチニット、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの湿潤剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
増粘剤として、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース等のセルロース誘導体、キサンタンガム、ローカストビンガム、カラギーナン、トラガカントガム、カラヤガム、アラビアガム、ジェランガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等の合成粘結剤、増粘性シリカ、アルミニウムシリカゲル、ビーガム等の無機粘結剤、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、寒天、ゼラチン、大豆多糖類、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの増粘剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
甘味剤として、例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、p−メトキシシンナミックアルデヒドが挙げられる。これらの甘味剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、組成物全量に対して0.01〜1質量%である。
防腐剤として、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。これらの防腐剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等が挙げられる。これらのpH調製剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、乳酸カルシウム、ラノリン、トリアセチン、ヒマシ油、硫酸マグネシウム等が挙げられる。これらの安定化剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
矯味剤としては、例えば、チャエキス、チャ乾留液、プロポリスエキス、グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
収れん剤としては、例えば、重曹、乳酸アルミニウム等が挙げられる。
他の薬効剤としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ素化合物;デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素(リテックエンザイム)等の酵素;トラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸、ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、グリセロリン酸、クロロフィル、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、水溶性無機リン酸化合物、クロルヘキシジン塩類、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;酢酸−dl−α−トコフェロール、酢酸ピリドキシン、アスコルビン酸またはその塩等のビタミン類;アロエ、イチョウ葉、アガリクス、ウーロン茶、カミツレ、カリン、ギムネマ、クマザサ、甜茶、杜仲茶、ドクダミ、ハトムギ、メグスリノキ、ヨモギ、緑茶、ルイボス、レモンバーム、ローズマリー、クラブミン、ラカンカ、シソ、クランベリー、ノコギリソウ、エルダー、リコリス、ハッカ、ユーカリ、ガラナ、カンゾウ、ボダイジュ、ホップ、カカオ、クワ葉、タイム、オウゴン等の植物抽出物、乳酸菌、過酸化水素等が挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[ヒドロキシアパタイトの製造]
<製造実施例1>
Ca/Pモル比が0.5になるように、10.7質量%リン酸二水素ナトリウム・2水和物水溶液及び、固形分濃度8.6質量%磨砕処理水酸化カルシウムスラリー(BET比表面積:6.7m2/g シュウ酸反応性:15分30秒 特開第2017−036176号公報)を調製した。リン酸二水素ナトリウム・2水和物水溶液をステンレスビーカーに入れ、撹拌しながら60℃に加温し撹拌停止まで維持した。10%NaOH水溶液を添加してpHを5.5に調整した。そこに水酸化カルシウムスラリーを30分かけて添加した。添加終了後、更に1時間撹拌したあとに、ろ過、水洗、及び80℃にて乾燥させ、ヒドロキシアパタイト粒子(粉末)を得た。
得られたヒドロキシアパタイト粒子についてX線結晶回折、比表面積測定、粒度分布測定、及びCa/Pモル比測定を行った。
X線回折装置MultiFlex(株式会社リガク製)によって2θ=25〜45°の範囲で測定を行った。測定条件は以下の通りである。ターゲット:Cu、管電圧40kV、管電流:30mA、サンプリング幅:0.02°、スキャンスピード:2.00°/min、発散スリット:1.0°、散乱スリット:1.0°、受光スリット:0.3mm。結果を図1に示す。また、市販される試薬品であるヒドロキシアパタイト(試薬ヒドロキシアパタイト)のX線回折パターンを図2に示す。2θ=26°付近の(002)面による回折ピーク強度比に対する、2θ=32°付近の(211)面による回折ピーク強度の比が1.1であり、試薬ヒドロキシアパタイトの同ピーク強度比2.7に比べ明確に低い結果となった。これより、得られたヒドロキシアパタイト粒子は、c面が比較的多く露出している板状結晶の凝集体であることが分かった。また、25°≦2θ≦35°の範囲内の全ての回折ピークの面積の総和100%に対して、25.5°≦2θ≦26.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積と31.5°≦2θ≦32.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積との総和は、37.2%であった。これは試薬ヒドロキシアパタイトが示した52.1%よりも明確に低い値を示しており、またX線回折パターンが比較的ブロードであることからも結晶性が低いことが示される。また、2θ=40°付近の(130)面による回折ピークから算出した結晶子サイズは7nmであり、試薬ヒドロキシアパタイトが示す52nmに比べて明確に小さく、この点からも結晶性が低いことが示される。
ヒドロキシアパタイト粒子の比表面積は、全自動比表面積測定装置Macsorb HMmodel−1208 (株式会社マウンテック製)を使用し、窒素ガス吸着法によって測定した。その結果、比表面積は61.9 m2/gであった。
ヒドロキシアパタイト粒子の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置MASTER SIZER 3000(Malvern Panalytical社製)を使用して乾式粒度分布測定により測定した。その結果、メジアン径(d50)は3.76μmであった。
ヒドロキシアパタイト粒子のCa/Pモル比は、iCAP 6000 ICP−OES(ThermoFisher社製) を使用して誘導結合プラズマ発光分光分析によってCa及びP含有量を測定し、その測定値から算出した。その結果、Ca/Pモル比は1.33であった。
<製造実施例2>
Ca/Pモル比が0.5になるように、10.7質量%リン酸二水素ナトリウム・2水和物水溶液及び、固形分濃度8.6質量%磨砕処理水酸化カルシウムスラリー(BET比表面積:7.9m2/g シュウ酸反応性:12分30秒 特開第2017−036176号公報)を調製した。リン酸二水素ナトリウム・2水和物水溶液をステンレスビーカーに入れ、撹拌しながら60℃に加温し撹拌停止まで維持した。10%NaOH水溶液を添加してpHを6.0に調整した。そこに水酸化カルシウムスラリーを30分かけて添加した。添加終了後、更に1時間撹拌したあとに、ろ過、水洗、及び80℃にて乾燥させ、ヒドロキシアパタイト粒子(粉体)を得た。
得られたヒドロキシアパタイト粒子について、製造実施例1と同様にしてX線結晶回折、及び比表面積測定を行った。
X線結晶回折結果を図3に示す。2θ=26°付近の(002)面による回折ピーク強度比に対する、2θ=32°付近の(211)面による回折ピーク強度の比が1.1であり、製造実施例1と同等の値であった。また、25°≦2θ≦35°の範囲内の全ての回折ピークの面積の総和100%に対して、25.5°≦2θ≦26.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積と31.5°≦2θ≦32.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積との総和は、38.6%であった。また、2θ=40°付近の(130)面による回折ピークから算出した結晶子サイズは7nmであった。
比表面積は75.4m2/gであった。
<製造実施例3>
Ca/Pモル比が0.5になるように、10.7質量%リン酸二水素ナトリウム・2水和物水溶液及び、固形分濃度8.6質量%磨砕処理水酸化カルシウムスラリー(BET比表面積7.9m2/g シュウ酸反応性:12分30秒 特開第2017−036176号公報)を調製した。リン酸二水素ナトリウム・2水和物水溶液をステンレスビーカーに入れ、撹拌しながら40℃に加温し撹拌停止まで維持した。10%NaOH水溶液を添加してpHを5.5に調整した。そこに水酸化カルシウムスラリーを50分かけて添加した。添加終了後、更に1時間撹拌したあとに、ろ過、水洗、及び80℃にて乾燥させ、ヒドロキシアパタイト粒子(粉体)を得た。
得られたヒドロキシアパタイト粒子について、製造実施例1と同様にしてX線結晶回折、及び比表面積測定を行った。
X線結晶回折結果を図4に示す。2θ=26°付近の(002)面による回折ピーク強度比に対する、2θ=32°付近の(211)面による回折ピーク強度の比が1.2であり、製造実施例1と同等の値であった。また、25°≦2θ≦35°の範囲内の全ての回折ピークの面積の総和100%に対して、25.5°≦2θ≦26.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積と31.5°≦2θ≦32.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積との総和は、36.0%であった。また、2θ=40°付近の(130)面による回折ピークから算出した結晶子サイズは6nmであった。
比表面積は81.5m2/gであった。
<製造実施例4>
Ca/Pモル比が0.5になるように、10.7質量%リン酸二水素ナトリウム無水物水溶液及び、固形分濃度8.6質量%磨砕処理水酸化カルシウムスラリー(BET比表面積7.9m2/g シュウ酸反応性:12分30秒 特開第2017−036176号公報)を調製した。リン酸二水素ナトリウム無水物水溶液をステンレスビーカーに入れ、撹拌しながら80℃に加温した。pHは4.2のまま調整しなかった。そこに水酸化カルシウムスラリーを30分かけて添加した。添加終了後、更に1時間撹拌したあとに、ろ過、水洗、及び80℃にて乾燥させ、ヒドロキシアパタイト粒子(粉体)を得た。
得られたヒドロキシアパタイト粒子について、製造実施例1と同様にしてX線結晶回折、及び比表面積測定を行った。
X線結晶回折結果を図5に示す。2θ=26°付近の(002)面による回折ピーク強度比に対する、2θ=32°付近の(211)面による回折ピーク強度の比が1.4であり、製造実施例1と同等の値であった。また、25°≦2θ≦35°の範囲内の全ての回折ピークの面積の総和100%に対して、25.5°≦2θ≦26.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積と31.5°≦2θ≦32.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積との総和は、37.8%であった。また、2θ=40°付近の(130)面による回折ピークから算出した結晶子サイズは9nmであった。
比表面積は163.4m2/gであった。
<製造実施例5>
Ca/Pモル比が0.5になるように、10.7質量%リン酸二水素ナトリウム無水物水溶液及び、固形分濃度8.6質量%磨砕処理水酸化カルシウムスラリー(BET比表面積7.9m2/g シュウ酸反応性:12分30秒 特開第2017−036176号公報)を調製した。リン酸二水素ナトリウム無水物水溶液をステンレスビーカーに入れ、撹拌しながら60℃に加温した。pHは4.2のまま調整しなかった。そこに水酸化カルシウムスラリーを30分かけて添加した。添加終了後、更に1時間撹拌したあとに、ろ過、水洗、及び80℃にて乾燥させ、ヒドロキシアパタイト粒子(粉末)を得た。
得られたヒドロキシアパタイト粒子について、製造実施例1と同様にしてX線結晶回折、及び比表面積測定を行った。
X線結晶回折結果を図6に示す。2θ=26°付近の(002)面による回折ピーク強度比に対する、2θ=32°付近の(211)面による回折ピーク強度の比が1.1であり、製造実施例1と同等の値であった。また、25°≦2θ≦35°の範囲内の全ての回折ピークの面積の総和100%に対して、25.5°≦2θ≦26.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積と31.5°≦2θ≦32.5°の範囲内の全ての回折ピークの面積との総和は、31.6%であった。また、2θ=40°付近の(130)面による回折ピークから算出した結晶子サイズは7nmであった。
比表面積は94.7m2/gであった。
[ステイン除去力の検討]
Stookyらの方法(J.Dent.Res., Vol.61, No.11, 1236−1239,1982)を改変した方法で測定を行い、ステイン除去率(%)を算出した。
<試験溶液の調製>
表1の配合にて、ステイン除去試験に供する試験溶液を調製した。各成分は次に記載のものを用いた。ラウリル硫酸ナトリウム(花王社製、商品名「エマール10PT」)、硝酸カリウム(大塚化学社製、商品名「硝酸カリウム」)、ヒドロキシアパタイトA(富田製薬社製、商品名「ヒドロキシアパタイト」)。
<着色歯牙モデルヒドロキシアパタイトディスクの作成>
ヒドロキシアパタイトディスク(HOYA Technosurgical社製、商品名「APP―610」)を表2に記載の順序で所定時間溶液に浸漬し、この手順を12回繰り返したのち自然乾燥させ、着色歯牙モデルとした。なお、紅茶抽出液はティーバッグ3袋(Lipton社製、商品名「Lipton Yellow Label」)を600mlの蒸留水で3分間煮沸して得られたものである。
<ステイン除去試験及びステイン除去率の算出>
前記歯牙着色モデルヒドロキシアパタイトディスクを表1の配合にて調製した溶液3mlに完全に浸漬した状態で1分間静置し、次いで蒸留水に1分間浸漬して洗浄した後に、自然乾燥させた。着色前、着色後、ステイン除去後のヒドロキシアパタイトディスクの色の変化は、色差計(コニカミノルタ社製、製品名「蛍光分光濃度計FD−5」)を用いてL*a*b*表色系にて測定し、着色前の値をL*、a*、b*、着色後の値をL*、a*、b*、ステイン除去後の値をL*、a*、b*とし、数1に示す計算式にてステイン除去率を求めた。
前記ステイン除去試験の結果を図7に示す。図7に示されるように、ラウリル硫酸ナトリウムと硝酸カリウムの併用(比較例3)は、ラウリル硫酸ナトリウム単独使用(比較例1)と比してステイン除去率を著しく低下させる。また、ラウリル硫酸ナトリウムと製造実施例1のヒドロキシアパタイトの併用(比較例2)は、ステイン除去率を低下させるにも関わらず、ラウリル硫酸ナトリウムと硝酸カリウムの存在時における製造実施例1のヒドロキシアパタイトの併用(実施例1)は、ステイン除去率の低下を顕著に抑制し、ラウリル硫酸ナトリウム単独使用と同等以上のステイン除去力を示す。この製造実施例1のヒドロキシアパタイトによる効果は、ヒドロキシアパタイトAでは生じない(比較例4)。
以下表3〜表5に、本発明の口腔用組成物の処方例を示す。なお各処方の配合量(%)は特に記載のない限り質量%を示す。また、製造実施例1〜5に記載のヒドロキシアパタイトは単独、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。


Claims (4)

  1. ヒドロキシアパタイト粒子、アニオン界面活性剤、及び硝酸カリウムを含有し、
    前記ヒドロキシアパタイト粒子の、CuKα特性X線により測定される粉末X線回折パターンにおける2θ=26°付近の回折ピーク強度に対する2θ=32°付近の回折ピーク強度の比が0.8〜1.5であることを特徴とする、
    口腔用組成物。
  2. 前記アニオン界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、及びオレフィンスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. ヒドロキシアパタイト粒子を含有する、アニオン界面活性剤のステイン除去力低下抑制剤であって、
    前記ヒドロキシアパタイト粒子の、CuKα特性X線により測定される粉末X線回折パターンにおける2θ=26°付近の回折ピーク強度に対する2θ=32°付近の回折ピーク強度の比が0.8〜1.5である、
    アニオン界面活性剤のステイン除去力低下抑制剤。
  4. 硝酸カリウムと、アニオン界面活性剤とを含有する口腔用組成物に、ヒドロキシアパタイト粒子を添加する、アニオン界面活性剤のステイン除去力低下抑制方法であって、
    前記ヒドロキシアパタイト粒子の、CuKα特性X線により測定される粉末X線回折パターンにおける2θ=26°付近の回折ピーク強度に対する2θ=32°付近の回折ピーク強度の比が0.8〜1.5である、
    アニオン界面活性剤のステイン除去力低下抑制方法。

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