JP2021004301A - 粘着剤、粘着テープ及び粘着剤製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2は、PPやSUSに加え、ウレタンフォームに対する粘着性が高いことが開示されている。しかしながら特許文献2に開示されている発明は、粘着付与剤を多量に使用していることから、発泡体表面のような粗面に対する追従性は十分ではないことが予想される。さらに高温環境下での使用については検討されておらず、粘着付与剤を多量に使用していることから、高温環境下において、剥離クリープ性、高温剥離強度、高温保持力、が不十分となるおそれがあった。
本発明(1)は、
ウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、光反応性官能基を含む樹脂と、粘着付与剤とを、含む組成物を原料とする粘着剤であって、
(A)前記ウレタンプレポリマーは、
ポリオールと、光反応性官能基を含まないモノオールと、光反応性官能基を含むモノオールと、ポリイソシアネートとを、原料とし、
(B)前記ウレタンプレポリマーの末端に存在する光反応性官能基のモル数(a)と、前記ウレタンプレポリマーの末端に存在する光非反応性官能基のモル数(b)と、の比{(a)/(b)}が1.5〜9.0であり、
(C)前記光反応性官能基を含む樹脂の平均光反応性官能基数は、1以上3未満であり、
(D)前記光反応性官能基を含む樹脂の配合量は、前記ウレタンプレポリマーの配合量を、100質量部とした場合に、2〜15質量部であり、
(E)前記粘着付与剤の軟化点は、100℃以上であることを特徴とする、粘着剤である。
本発明(2)は、
前記プレポリマーの数平均分子量が、8,000〜20,000であることを特徴とする、前記発明(1)の粘着剤である。
本発明(3)は、
前記粘着付与剤の配合量が、前記ウレタンプレポリマーの配合量を、100質量部とした場合に、2〜20質量部であることを特徴とする、前記発明(1)又は(2)の粘着剤である。
本発明(4)は、
前記ポリチオールの配合量が、粘着剤のSHインデックスが80〜200となることを特徴とする、前記発明(1)〜(3)のいずれかの粘着剤である。
本発明(5)は、
前記光反応性官能基を含む樹脂が、アクリル系モノマーであることを特徴とする、前記発明(1)〜(4)のいずれかの粘着剤である。
本発明(6)は、
基材(又は芯材)と、
基材(又は芯材)の少なくとも1つの表面上に設けられた前記発明(1)〜(5)のいずれかの粘着剤を含む粘着層と、を備える粘着テープである。
本発明(7)は、
ポリオールと、光反応性官能基を含まないモノオールと、光反応性官能基を含むモノオールと、ポリイソシアネートとを、含む組成物をウレタン反応させて、ウレタンプレポリマーを作製する工程、
前記ウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、光反応性官能基を有する樹脂と、粘着付与剤と、を混合する混合工程、及び、
前記混合で得られた混合物に光を照射する照射工程を、
含み、光重合反応により粘着剤を製造することを特徴とする、粘着剤製造方法である。
なお、本願において、高温とは60〜90℃の温度を表わすものとする。
本発明による粘着剤は、ウレタンプレポリマー、チオール基を有するポリチオール、光反応性官能基を有する樹脂、粘着付与剤を含む、組成物を原料とする。
前記粘着剤は、光反応性官能基を有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールとのエン・チオール反応により架橋させ、硬化させることを特徴とする。そのため、溶剤を使用せずに調製でき、また、硬化時酸素阻害が起こらないため、光照射による硬化時にカバーフィルムの設置や窒素雰囲気下での作業といった手間がかからないことが特徴である。
1−1.ウレタンプレポリマー
本発明におけるウレタンプレポリマーは、ポリオールと、光反応性官能基を含まないモノオールと、光反応性官能基を含むモノオールと、ポリイソシアネートとを、含むウレタンプレポリマーである。
(1)ポリオールと、光反応性官能基を含むモノオールと、ポリイソシアネートとの、ウレタン反応により生成した、ウレタン化合物、即ち、ウレタン化合物に複数存在する全ての末端が反応性の光反応性官能基であるウレタン化合物。
なお、図1に上記4種類のウレタン化合物の模式図を示す。ここで、符号10は光反応性官能基末端である。符号11は光非反応性官能基末端である。符号12の曲線は高分子主鎖及び側鎖である。
なお、粘着剤の保持力や高温特性の測定方法は、後述する方法で測定できる。
ウレタンプレポリマーの数平均分子量がかかる範囲にある場合には、粘着剤としての凝集力(せん断力学特性)、高温特性、粘着性、初期タック性、粗面追従性の好適な範囲に調整が容易である。
ウレタンプレポリマーに含まれるポリオールは、1つの分子に2個以上の水酸基を有する化合物であり、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。
本発明において用いられるポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール等が挙げられる。前記ポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ポリオールは、ウレタンプレポリマーの骨格を形成するため、その構造(骨格の炭素数、側鎖の構造等)による、凝集力(せん断力学特性、高温特性)、粘着性、初期タック性、粗面追従性に対する影響を考慮して、選択することができる。
モノオールは、1つの分子に1個の水酸基を有する化合物であり、光反応性官能基を含まないとは、前記モノオールが光非反応性官能基のみで形成されたモノオールであることをいう。前記モノオールは、ポリイソシアネート基と結合することが可能であればよく、特に限定されない。例えば、直鎖、分岐又は環状の1価アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、デカノール、ウンデカノール、1−ドデカノール、イソオクタデカノール、オクタデセノール、ドコサノール、14−メチルヘキサデカノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、 2-エチルヘキシルグリコール等)等が挙げられる。また、グリコールエーテル類、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングルコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等が挙げられる。
モノオールは、1つの分子に1個の水酸基を有する化合物であり、光反応性官能基を含むとは、前記モノオールが、少なくとも1つの光反応性官能基を含むモノオールであることをいう。前記モノオールは、ポリイソシアネート基と結合することが可能であればよく、特に限定されない。例えば、アリルエーテルグリコール、ヒドロキシエチルアリルエーテルなどのアリルエーテル基を有するモノオール;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、字エチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル基を有するモノオール;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの(メタ)アクリル基を有するモノオールなどが挙げられる。
ポリイソシアネートは、1つの分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであれば、特に限定されない。例えば、2官能のポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)、m−フェニレンジイソシネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジアネート(2,4’−MDI)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’−MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、などの芳香族系のもの、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどのアルキレン系のもの、3官能以上のポリイソシアネートとしては、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナトメチルオクタン等及びこれら変性体、誘導体等が挙げられる。
前記ポリイソシアネートは、本発明の粘着剤中のゾル成分や、ウレタンポリマーの骨格の一部として存在する。従って、前記ポリイソシアネートの炭素数、直鎖、側鎖の構造は、本発明による粘着剤の凝集力(せん断力学特性、高温特性)、粘着性、初期タック性、粗面追従性に影響を考慮して、選択することができる。
上記ウレタンプレポリマーの合成において、反応を促進させる又は反応速度を高めるために、反応触媒を添加してもよい。ここで、反応触媒としては、特に限定されず、金属触媒、例えば、錫系触媒、鉛系触媒、その他の金属触媒アミン系触媒、その他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知の触媒が挙げられる。これらの触媒のうちの1種又は2種以上を用いることができる。
光反応性官能基を有する樹脂は、樹脂に含まれる1つの分子に、平均1以上3未満個の光反応性官能基を有する化合物であり、より好ましくは平均1〜2個である。前記光反応性官能基は、全てが同一の官能基であってもよく、異なる官能基が含まれていてもよい。これら光反応性官能基は、光照射による架橋反応により、ウレタンプレポリマー、及び/又は、ポリチオールと架橋する。
ポリチオールは、1つの分子に2個以上のチオール基を有する化合物であり、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。
上記化合物により得られたウレタンプレポリマーとエン・チオール反応するポリチオールとしては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールが挙げられる。脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールとしては、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール、キシレンジチオール等が挙げられる。
粘着性付与剤は、その軟化点が100℃以上である。粘着付与剤は、軟化点が100℃以上であれば、特に限定されない。粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クロマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等を添加することができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合せて用いることができる。粘着付与剤の配合量は、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、2〜20質量部とすることができる。粘着付与剤の配合量がかかる範囲にある場合には、ゴム発泡体やPE発泡体のような難粘着性であり、凹凸の大きな被着体に対し、十分な粘着力を有し、高温環境下で使用する場合にも、十分な粘着力、剥離クリープ性、高温剥離強度、高温保持力、初期タック性を有し、高温環境においても使用可能な粘着剤を得ることができる。
その他の添加剤として、ウレタンプレポリマー及び樹脂と、チオール基との重合反応を効果的に行うべく、本発明の粘着組成物には、光重合開始剤を含むことができる。光重合反応の場合に用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の化合物が挙げられる。アセトフェノン系としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等が挙げられる。
本発明による原料組成物の配合について以下に詳述する。
2−1.原料組成物の配合量
ウレタンプレポリマーの合成における、前記ポリオールの配合量を100質量部とする。
前記モノオールは、上述した、ウレタンプレポリマー混合物に含まれる、ウレタン化合物の末端に結合している光反応性官能基の当量数(a)とウレタン化合物の末端に結合している光非反応性官能基の当量数(b)の比が、1.5〜9.0になるように配合する。
前記樹脂の配合量は、ウレタンプレポリマーの配合量と100質量部としたときに、2〜15質量部となるように配合する。
なお、チオール・エン(二重結合)比は、チオールインデックス(SHインデックス)として指標することも可能である。チオールインデックスは、チオール化合物中のチオール基のモル数の二重結合基のモル数に対する比に100を乗じた値であり、70〜250とすることができ、80〜200が好ましい。
ウレタンプレポリマーの製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。下記に、その一例について説明する。
容器に、ポリイソシアネートを配合量入れ、窒素雰囲気下で撹拌する。ここにポリオールを滴下する。ここで、反応を促進するため、必要に応じて触媒を添加することができる。触媒の添加量は、特に限定されないが、例えば、0.01〜5質量部とすることができる。
所定の時間撹拌し、反応を完了させる。ここで、反応生成物の一部を抜き取り、イソシアネート基含有率を測定し、所望の範囲内にあることを確認する。確認後、光反応性官能基を含むモノオール及び光反応性官能基を含まないモノオールを添加し、所定の時間反応させて、プレポリマーとする。
原料組成物の製造方法も、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。下記にその一例について説明する。
前記得られたウレタンプレポリマーを撹拌しながら、光反応性基を有する樹脂、ポリチオール、粘着付与剤の所定の量を添加し、原料組成物とする。
粘着テープの成形方法も、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。下記にその一例について説明する。
前記得られた原料組成物は、離型紙上に、所定の厚さに塗工される。次に、塗工された原料組成物は、光照射により硬化させられ、粘着剤(粘着層)とされる。
前記離型紙上に形成された粘着剤(粘着層)は、粘着剤面に、さらに基材を貼り合わせることで、片面テープを形成することができる。
また、前記離型紙上に形成された粘着剤は、芯材の両面に貼り合わせることで、両面テープを形成することができる。
また、剥離層は、公知の剥離剤を用いて形成することができる。例えば、ジメチルシロキサン等のシリコーン化合物を用いることができる。
前記粘着剤は、主に高温環境下で用いられる両面テープとして使用することができる。具体的には、高温下で用いられる曲面に対する発泡体の固定等、剥離クリープ特性が求められる用途が好適である。また、粗面追従性にも優れるためポリエチレン発泡体や一部のゴム発泡体のような難粘着性で、従来の粘着剤による固定が困難な材質の固定に用いることができる。ポリエチレン発泡体などの発泡体は、シール材、吸音材、衝撃吸収材として広く産業利用されている材料であるが、難粘着のため用途が限定されていた。。
(原料)
下記原料を表1〜表3に従って秤量し、配合した。
・ポリオールa:ポリプロピレングリコール 分子量3000
・ポリオールb:ポリプロピレングリコール 分子量200
・光反応性官能基を含まないモノオール :ラウリルアルコール
・光反応性官能基を含むモノオール :ヒドロキシエチルアクリレート
・ポリイソシアネート:トリレンジイソシアネート(2,4-トリレンジイソシアネート:80%、2,6−トリレンジイソシアネート:20%)
・樹脂A :フェノキシエチルアクリレート(光反応性官能基数1)数平均分子量192.2
・樹脂B :1,9−ノナンジオールジアクリレート(光反応性官能基数2)数平均分子量268.4
・樹脂C :トリメチロールプロパントリアクリレート(光反応性官能基数3)
・粘着付与剤A : スーパーエステル−A115 軟化点115℃(荒川化学工業社製)
・粘着付与剤B : スーパーエステル−A100 軟化点100℃(荒川化学工業社製)
・粘着付与剤C : スーパーエステル−A125 軟化点125℃(荒川化学工業社製)
・粘着付与剤D : スーパーエステル−A75 軟化点75℃(荒川化学工業社製)
・ポリチオール:トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトプロピオネート)(分子量:398.5,平均官能基数3)
・開始剤:オムニラッド1173(IGM Resins社製)
原料の配合量は表1に従って秤量する。セパレートフラスコに、ポリイソシアネートを配合量入れ、窒素雰囲気下で撹拌した。ここにポリオールa及びbを滴下する。滴下終了後触媒(ジブチルチンジラウレート)を0.3g添加した。3時間反応させた後、一部をサンプリングし、イソシアネート基含有率を測定し、下記プレポリマーごとの範囲内にあることを確認した。
なおイソシアネート含有率は、JIS Z1603−1:2007に基づく方法(ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法)に準拠して測定した。次に、各モノオールを滴下し2時間反応させた。反応後サンプルリングし、イソシアネート基含有率が0.05%以下になっていることを確認した。イソシアネート基含有率が0.05%以下の場合、反応完了とし生成物をウレタンプレポリマーAとした。
表1に従って、同様の方法でプレポリマーB〜Hを調製した。
・プレポリマーA:イソシアネート含有率 0.7〜1.1%
・プレポリマーB:イソシアネート含有率 0.7〜1.1%
・プレポリマーC:イソシアネート含有率 0.7〜1.1%
・プレポリマーD:イソシアネート含有率 0.7〜1.1%
・プレポリマーE:イソシアネート含有率 0.7〜1.1%
・プレポリマーF:イソシアネート含有率 0.9〜1.3%
・プレポリマーG:イソシアネート含有率 0.4〜0.8%
・プレポリマーH:イソシアネート含有率 0.2〜0.6%
実施例1の原料組成物は、表2に従って、秤量されたプレポリマーAを撹拌しながら、樹脂B、樹脂C及びポリチオール、粘着付与剤を所定の配合量を添加し、原料組成物とした。
実施例2〜15及び比較例1〜6は、表2に示した各配合量に変更したほかは、実施例1と同様にして実施例2〜15及び比較例1〜6の原料組成物を得た。
実施例1の原料組成物を、離型紙上に、所定の厚さに塗工し、光照射(波長:365nm,照射量800mJ/cm2)により硬化させ、粘着剤とした。
前記離型紙上に形成された粘着剤は、粘着剤面に、さらにPETフィルム(厚み25μm)を貼り合わせ、実施例1の片面粘着テープとした。
実施例2〜15及び比較例1〜6は、表2に示した各配合量に変更したほかは、実施例1と同様にして実施例2〜15及び比較例1〜6の粘着テープを得た。
・剥離クリープ性評価
前記実施例1〜15及び比較例1〜6の粘着剤を用いて作製した粘着テープを、それぞれ幅25mm×長さ180mmの形状に加工して試験試料とした。また、被着体として幅30mm×長さ150mm×厚さ5mmの形状に加工したポリプロピレン板を被着体とした。前記試験試料と前記被着体を、5kgの重量のゴムローラーを用いて、5mm/sec.の速度で1往復させて、貼り合わせ部の長さが100mmになるように貼り合わせた。その後4時間静置したものを測定に用いた。続いて、80℃のオーブンに試料を設置し、20gの錘を吊るした(図2参照)。その後、24時間静置し、試料がポリプロピレン板から剥がれた長さを剥離クリープ性の測定値とした。下記の評価基準に従い、結果を評価した。評価結果を表2及び3に示した。
○:剥離した長さが、25mm未満の場合
△:剥離した長さが、25mm以上50mm未満の場合
×:剥離した長さが、50mm以上の場合
前記実施例1〜15及び比較例1〜6の粘着剤を用いて作製した粘着テープを、それぞれ幅25mm×長さ200mmの形状に加工して試験試料とした。また、被着体として幅30mm×長さ350mm×厚さ5mmの形状に加工したSUS304板を被着体とした。前記試験試料と前記被着体を、2kgの重量のゴムローラーを用いて、5mm/sec.の速度で1往復させて、試料全面を貼り合わせた。続いて、常温で30分間静置し、その後80℃の環境下(オーブン)で10分間静置したたものを測定に用いた。
剥離強度測定は、恒温槽付きの材料試験機(島津製作所社製:オートグラフAG−X)を用いて90°剥離試験を行って測定した(図3参照)。測定は、前記試験試料及び被着体の端部から10mmの部分を、前記材料試験機のチャック部に固定し、300mm/minの引張速度(クロスヘッドスピード)で剥離させて行った。測定結果は、前記剥離させたときの、引張強度を剥離強度とした。下記の評価基準に従い、結果を評価した。評価結果を表2及び3に示した。
○:剥離強度が、7N以上の場合
△:剥離強度が、4N以上7N未満の場合
×:剥離強度が、4未満の場合
前記実施例1〜16及び比較例1〜6の粘着剤を用いて作製した粘着剤を、それぞれ幅25mm×長さ200mmの形状に加工して試験試料とした。また、被着体として幅30mm×長さ350mm×厚さ5mmの形状に加工したステンレス鋼板(SUS304:JIS G4305:2012「冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯」)を被着体とした。前記試験試料と前記被着体を、それらの接着面積が25mm×25mmになるように、2kgの重量のゴムローラーを用いて、5mm/sec.の速度で貼り合わせた。その後15分間静置したもの(測定試料)を測定に用いた。
耐熱保持力測定は、80℃に調整された炉内に測定試料の被着体部を固定したのち、粘着テープ側に500gのおもりを吊るして行った(図4参照)。測定結果はおもりを吊るしたのち1時間後のずれ量を測定し、耐熱保持力とした。下記の評価基準に従い、結果を評価した。評価結果を表2及び3に示した。
○:テープがずれた距離が、5mm未満の場合
△:テープがずれた距離が、5mm以上10mm未満の場合
×:テープがずれた距離が、10mm以上の場合
前記実施例1〜16及び比較例1〜6の粘着剤を、剥離紙上に厚さ200μmになるように成膜したものを、端面の面積が2cm2である円柱状の鉄棒の端面に貼り合わせた。試験台に、5cm角の立方体のウレタンフォームを固定し、粘着剤が貼りあわされた鉄棒の端面をウレタンフォームの上面に鉛直方向から押し付け、0.2Nの力を負荷し、3秒間静置した。その後、300mm/minの速度で、鉄棒を鉛直方向に引き上げ、粘着剤がウレタンフォームから剥離する際の強度を測定し、初期タック性評価の測定値とした(図5参照)。下記の評価基準に従い、結果を評価した。評価結果を表2及び3に示した。
○:強度が、1.0N以上の場合
△:強度が、0.5以上1.0N未満の場合
×:剥離強度が、0.5未満の場合
剥離クリープ性評価、高温剥離強度評価、耐熱保持力評価及び初期タック性評価の各評価結果を、下記の判断基準に基づいて総合評価とした。結果を表2及び3に示した。
○:前記評価結果に、〇が2つ以上あり、×がない場合
△:前記評価結果に、○が1つあり、その他が全て△の場合
×:前記評価結果に、1つでも×がある場合
表2及び表3の結果から、本願発明の効果が理解できる。
10 光反応性官能基
11 光非反応性官能基
12 高分子主鎖及び側鎖
2 剥離クリープ性評価装置
20 粘着テープ(試験試料)
21 ポリプロピレン板
22 重り
3 高温剥離強度評価(90°剥離試験)装置
30 粘着テープ(試験試料)
31 ポリプロピレン板
32 吊り具
4 耐熱保持力測定装置
40 粘着テープ(試験試料)
41 ステンレス板
42 吊り具
43 重り
5 初期タック性評価装置
50 粘着テープ(試験試料)
51 鉄棒
52 ウレタンフォーム
Claims (7)
- ウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、光反応性官能基を含む樹脂と、粘着付与剤とを、含む組成物を原料とする粘着剤であって、
(A)前記ウレタンプレポリマーは、
ポリオールと、光反応性官能基を含まないモノオールと、光反応性官能基を含むモノオールと、ポリイソシアネートとを、原料とし、
(B)前記ウレタンプレポリマーの末端に存在する光反応性官能基のモル数(a)と、前記ウレタンプレポリマーの末端に存在する光非反応性官能基のモル数(b)と、の比{(a)/(b)}が1.5〜9.0であり、
(C)前記光反応性官能基を含む樹脂の平均光反応性官能基数は、1以上3未満であり、
(D)前記光反応性官能基を含む樹脂の配合量は、前記ウレタンプレポリマーの配合量を、100質量部とした場合に、2〜15質量部であり、
(E)前記粘着付与剤の軟化点は、100℃以上である
ことを特徴とする、粘着剤。 - 前記プレポリマーの数平均分子量が、8,000〜20,000であることを特徴とする、請求項1に記載の粘着剤。
- 前記粘着付与剤の配合量が、前記ウレタンプレポリマーの配合量を、100質量部とした場合に、2〜20質量部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粘着剤。
- 前記ポリチオールの配合量が、粘着剤のSHインデックスが80〜200となることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤。
- 前記光反応性官能基を含む樹脂が、アクリル系モノマーであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤。
- 基材(又は芯材)と、
基材(又は芯材)の少なくとも1つの表面上に設けられた請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着剤を含む粘着層と、
を備える粘着テープ。 - ポリオールと、光反応性官能基を含まないモノオールと、光反応性官能基を含むモノオールと、ポリイソシアネートとを、含む組成物をウレタン反応させて、ウレタンプレポリマーを作製する工程、
前記ウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、光反応性官能基を含む樹脂と、粘着付与剤と、を混合する混合工程、及び、
前記混合工程で得られた混合物に光を照射する照射工程を、
含み、光重合反応により粘着剤を製造することを特徴とする、粘着剤の製造方法。
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