JP2021004227A - アニリン類の回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造工程で使用した過剰のアニリン類を高収率で回収するための回収方法を提供する。【解決手段】本発明は、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造工程において、過剰の未反応のアニリン類を前記9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を晶析により分離した残液から蒸留回収するアニリン類の回収方法である。【選択図】なし
Description
本発明は、工業的に有用なビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造方法において、使用したアニリン類を効率よく回収するプロセスに関するものである。
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、高分子化学の分野で広く用いられる化合物であり、特に、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂の原料として有用である。この化合物を含むポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂は、電子情報材料、光学材料、複合材料など、工業用途として多岐にわたる分野で使用されている。
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造法としては、特許文献1では、9−フルオレノンとアニリンを反応させる際、反応により生成した水を反応外に除去しつつ反応を行い、極性の低い溶媒、例えばトルエン、キシレンなどで再結晶させている。
特許文献2では、芳香族ケトンとアニリンを反応させて得られた粗9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物に、低級脂肪族ケトンを添加して溶解させ、次いで不溶解物を分離した後、トルエンを添加し、再結晶させている。
特許文献3、4では、芳香族ケトンとアニリンを反応させて得られた粗9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物をトルエンに溶解させ、再結晶させている。しかし、特許文献1、2、3、4に記載の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造方法は、反応で大過剰のアニリン類を使用しているにも関わらず、そのアニリン類回収方法については、開示がない。
本発明の目的は、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造工程で使用したアニリン類を高収率で回収するための回収方法を提供することにある。
本発明のアニリン類の回収方法は、9−フルオレノンと過剰のアニリン類を縮合反応させて得られた反応液からアニリン類を高収率で回収することができる。回収したアニリン類は、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造に再利用することができる。
以下に本発明の詳細を記載する。
本発明のアニリン類の回収方法は、9−フルオレノンと下記一般式(2)で表されるアニリン類を縮合反応させて得られる下記一般式(1)で表される9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の溶液から、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を晶析させ、固液分離した残液から蒸留回収するアニリン類の回収方法である。
(式(1)(2)中、R1、R2は、それぞれ水素、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも一つを表す。)
本発明のアニリン類の回収方法は、9−フルオレノンと下記一般式(2)で表されるアニリン類を縮合反応させて得られる下記一般式(1)で表される9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の溶液から、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を晶析させ、固液分離した残液から蒸留回収するアニリン類の回収方法である。
式(1)(2)中、R1、R2は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルから選ばれる少なくとも一つである。なお、R1は、好ましくは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも一つある。
一般式(1)で表される9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、結晶性であり、4−アミノフェニル基の水素が無置換か、或いは4−アミノフェニル基のアミノが結合する炭素に隣接する少なくとも1つの炭素に結合する水素が炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基に置換されている。9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物として、例えば9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−イソプロピル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−5−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−5−イソプロピル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−5−イソプロピル−4−アミノフェニル)フルオレンが挙げられる。
一般式(2)で表されるアニリン類の具体例としては、例えばオルト−トルイジン、オルト−エチルアニリン、オルト−イソプロピルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2−メチル−6−エチルアニリン、2−メチル−6−イソプロピルアニリン、2−エチル−6−イソプロピルアニリンが挙げられる。
本発明の縮合反応で用いるアニリン類は、9−フルオレノンのモル数に対し、アニリン類2.0〜30モル倍、より好ましくは、3.0モル倍から15モル倍である。アニリン類を2.0モル倍以上にすることにより、所望の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を製造することができる。またアニリン類を30モル倍以下にすることにより、反応液から未反応のアニリン類を除去する労力を少なくすることができる。
縮合反応は、酸触媒の存在下で行われる。酸触媒として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸等のプロトン酸、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、三塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化スズ(IV)、塩化鉄(III)、フッ化アンチモン(V)、塩化アンチモン(V)、三塩化りん、五塩化りん、オキシ塩化りん、四塩化チタン、三塩化チタン、バナジルクロライド(VOCl2)、塩化ジルコニウム、塩化ハフニウム、テトライソプロポキシチタン、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、三塩化ニオブおよび五塩化ニオブなどのルイス酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、吉草酸、メタンスルフォン酸、パラトルエンスルフォン酸等の有機酸、活性白土、シリカアルミナ、ゼオライト等の固体酸が例示される。また、酸触媒を、アニリン類の塩として使用してもよい。
本発明で使用する酸触媒の量は、9−フルオレノンのモル数に対し、0.1〜10モル倍であり、より好ましくは、0.5〜3モル倍である。また、酸触媒を10モル倍以下使用することにより、後工程で中和に用いるアルカリ量を低減することができる。なお、アニリン類の塩として同量の酸を使用してもよい。
縮合反応では、アニリン類を溶媒量用いてもよいし、縮合反応を阻害しない限り、極性溶媒を用いても良い。極性溶媒としては、アルコール系溶媒、エステル系溶媒またはアミド系溶媒が用いられる。アルコール系溶媒としては、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノールおよび1−ヘキサノールなどの1級アルコール類、イソプロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノールおよび3−ヘプタノールなどの2級アルコール類、ターシャリーブタノール、ターシャリーペンタノール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルおよび酢酸イソブチルなどが挙げられる。
アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
中でも好ましく用いられる溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンである。
溶媒の使用量は、9−フルオレノンの質量に対し、好ましくは1〜20質量倍であり、より好ましくは、2〜10質量倍である。
アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
中でも好ましく用いられる溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンである。
溶媒の使用量は、9−フルオレノンの質量に対し、好ましくは1〜20質量倍であり、より好ましくは、2〜10質量倍である。
縮合反応において、水が副生するが、これを除去しながら反応させることが好ましい。この目的で反応系内に共沸溶媒を共存させて、連続的に副生水を除去する方法が好ましく用いられる。共沸溶媒としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられるが、トルエンが好ましく用いられる。この共沸溶媒の使用量は、9−フルオレノンの質量に対し、0.5〜10質量倍が好ましい。
縮合反応は、酸素を含まない不活性雰囲気下で行うことが好ましい。具体的には、実質的に酸素を含まない窒素ガスを反応系内に通気させることで行うことができる。酸素存在下で行うと、アニリン類が酸化され、着色し、これが、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物に残存してしまうことがある。
反応温度は、好ましくは、80〜200℃である。より好ましくは、120〜180℃である。80℃より低いと反応完結に長時間を要することになり、200℃よりも反応温度が高いと、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物にさらに9−フルオレノンが反応した二量体が生成し、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の収率が低下することになる。
反応時間は、反応温度に依存するが、好ましくは、3〜100時間であるが、より好ましくは、5〜80時間である。反応終点は、9−フルオレノンが完全に消費され、中間体である9−フルオレノンにアニリン1分子が縮合したイミン体の残存量が反応液の液クロマトグラフィー分析で、アニリン類を除く全体の10面積%以下、より好ましくは、2.0面積%以下となる時点と設定できる。
反応終了後、反応液をアルカリで中和し、生成した油相と水相を分液し、得られた油相から9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を取得することができる。
用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム水溶液または、水酸化カリウム水溶液が用いられ、中和で生じた塩を水相側へ抽出し、除去することができる。
用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム水溶液または、水酸化カリウム水溶液が用いられ、中和で生じた塩を水相側へ抽出し、除去することができる。
本発明は、得られた油相に水、アルコール類、低級脂肪族ケトン類から選ばれた少なくとも一つを含む晶析溶媒を混合し、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を溶媒晶析させることで、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を高収率で取得する。しかも、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を固液分離した液相からは、アニリン類を高収率で回収することができる。
本発明において、アルコール類は、炭素数1〜7のアルコール、および/または炭素数2〜3のグリコールであり、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノールおよび1−ヘキサノールなどの1級アルコール類、イソプロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノールおよび3−ヘプタノールなどの2級アルコール類、ターシャリーブタノール、ターシャリーペンタノール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、である。
低級脂肪族ケトン類は、炭素数3〜9の脂肪族ケトンであり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、メチルブチルケトンが挙げられる。好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンである。
本発明において、使用する晶析溶媒量は、9−フルオレノンの質量に対し、0.5〜30質量倍、好ましくは、1.0〜5質量倍である。
晶析後、得られたスラリーを固液分離しすることで、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物が高収率で得られる。得られた結晶表面に晶析母液が付着していることがあることから、得られた9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物に十分リンス液をかけて洗浄する、あるいは溶媒でリスラリー洗浄することで高純度の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を得ることができる。
リンスおよびリスラリーの溶媒としては、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒またはアミド系溶媒を使用してもよいが、好ましくは、アルコール系溶媒または炭化水素系溶媒が用いられる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが例示され、炭化水素系溶媒としては、トルエン、キシレンが例示される。リスラリーは、室温で行ってもよいし、溶媒がリフラックスする温度まで、上げてもよい。
使用するリンス液量は、9−フルオレノンの質量に対し、0.1〜10質量倍であり、リスラリーで用いられるリスラリー液量は、1.0〜30質量倍が好ましく用いられる。
本発明において、溶媒晶析させた9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を固液分離した後、分離した母液からアニリン類を回収する。すなわち、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を固液分離した晶析溶媒の残液および/または結晶を洗浄したリンス溶液から、アニリン類を蒸留回収する。このように、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を晶析により分離した残液から蒸留回収することにより、アニリン類を高収率で回収することができる。すなわち、縮合反応で過剰に使用したアニリン類を高効率で回収することができ、回収したアニリン類は、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造に再利用することができる。
本発明において、蒸留は、常圧あるいは減圧どちらでも構わないが、180℃を超える高温での蒸留を行うと、アニリン類が酸化を受け、着色したり、回収率が低下してしまう。好ましい蒸留条件は、減圧下で、180℃以下で行われる。蒸留粗液に含まれる晶析溶媒で使用した低沸点成分を最初に分留することで、高純度のアニリン類が回収することができる。
以下、実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例のみに制限されるものではない。なお、本明細書において得られる9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物およびアニリン類の分析値は、次の方法により測定した。
(9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の化学純度)
以下の条件の液体クロマトグラフィー(島津製作所製CLASS−VP)により、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物のピーク面積の分率(HPLC area%)を測定し、化学純度とした。
・カラム: YMC―Pack ODS−AM303 4.6φ×250mm
・カラム温度: 40℃
・移動相: 0.1%(v/v)リン酸水溶液を組成(A)、アセトニトリルを組成(B)とし、下記のグラジエントに示した組成(A/B)で変化させた。
・グラジエント
時間(分) 組成(A/B)
0 60/40
10 45/55
15 20/80
25 20/80
30 60/40
40 60/40
・流量: 1ml/min
・注入量: 10μl
・検出: UV 254nm
・分析時間: 40分
・分析サンプル調製:サンプル0.02gを秤量し、アセトニトリル約40mlに希釈
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
以下の条件の液体クロマトグラフィー(島津製作所製CLASS−VP)により、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物のピーク面積の分率(HPLC area%)を測定し、化学純度とした。
・カラム: YMC―Pack ODS−AM303 4.6φ×250mm
・カラム温度: 40℃
・移動相: 0.1%(v/v)リン酸水溶液を組成(A)、アセトニトリルを組成(B)とし、下記のグラジエントに示した組成(A/B)で変化させた。
・グラジエント
時間(分) 組成(A/B)
0 60/40
10 45/55
15 20/80
25 20/80
30 60/40
40 60/40
・流量: 1ml/min
・注入量: 10μl
・検出: UV 254nm
・分析時間: 40分
・分析サンプル調製:サンプル0.02gを秤量し、アセトニトリル約40mlに希釈
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
(アニリン類の化学純度)
以下の条件のガスクロマトグラフィー(島津製作所GC−2010)により、アニリン類のピーク面積の分率(GC area%)を測定し、化学純度とした。
・カラム: TC−17(長さ60m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)
・注入量: 1μl
・キャリアガス: He
・カラム流量: 1.0ml/min
・スプリット比: 20:1
・気化室温度: 250℃
・カラム温度: 50℃×5min→昇温10℃/min→250℃×10min
・分析サンプル調製:サンプル0.5gをアセトニトリル約10mlに希釈
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
以下の条件のガスクロマトグラフィー(島津製作所GC−2010)により、アニリン類のピーク面積の分率(GC area%)を測定し、化学純度とした。
・カラム: TC−17(長さ60m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)
・注入量: 1μl
・キャリアガス: He
・カラム流量: 1.0ml/min
・スプリット比: 20:1
・気化室温度: 250℃
・カラム温度: 50℃×5min→昇温10℃/min→250℃×10min
・分析サンプル調製:サンプル0.5gをアセトニトリル約10mlに希釈
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
(実施例1)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、9−フルオレノンを14.4g(0.08モル)、オルト−トルイジンを112.1g(1.05モル)およびトルエン57.6g(4質量倍/9−フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、溶液を15℃以下に冷却し、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を滴下した。発熱が収まった後、液温90〜110℃に昇温し、系中の水とトルエンを共沸させた。留出が収まった後、さらにトルエン 14.4g(1質量倍/9−フルオレノン)を投入し、再度系中の水とトルエンを共沸させながら、液温を130〜140℃まで昇温し、22時間撹拌しながら熟成することにより縮合反応を行った。
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、9−フルオレノンを14.4g(0.08モル)、オルト−トルイジンを112.1g(1.05モル)およびトルエン57.6g(4質量倍/9−フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、溶液を15℃以下に冷却し、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を滴下した。発熱が収まった後、液温90〜110℃に昇温し、系中の水とトルエンを共沸させた。留出が収まった後、さらにトルエン 14.4g(1質量倍/9−フルオレノン)を投入し、再度系中の水とトルエンを共沸させながら、液温を130〜140℃まで昇温し、22時間撹拌しながら熟成することにより縮合反応を行った。
縮合反応後、反応液を冷却し、50℃で17質量%苛性ソーダ水 56.4gを投入し、反応液を中和した。下層から水相を払出し、取得した油相にイソプロパノール 21.6gと水 10.8gを投入し、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンを晶析させた。得られたスラリーを室温まで冷却し、固液分離を行った。得られたケークにイソプロパノール 21.6gをリンスし、粗9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンを得た。これをトルエン 43.2gでリフラックス下、1時間、リスラリーを行い、室温に冷却後、ろ過し、得られたケークにトルエン 7.2gでリンスを行った。これを温度60℃、減圧度 0.01kPa以下で一晩真空乾燥した。9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン 28.0g(収率 93%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.8%であった。
上記固液分離で発生した母液およびイソプロパノールを用いたリンス後の溶液を混合し、蒸留粗液 165gを得た。これを減圧下で蒸留し、減圧度4〜8kPa、100〜110℃のオルト−トルイジン留分 79.5gを取得した。オルト−トルイジンの回収率は、83.4%であった。オルト−トルイジンの純度は、99.7%であった。
(比較例1)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、9−フルオレノンを14.4g(0.08モル)、オルト−トルジジンを112.1g(1.05モル)およびトルエン57.6g(4質量倍/9−フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、溶液を15℃以下に冷却し、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を滴下した。発熱が収まった後、液温90〜110℃に昇温し、系中の水とトルエンを共沸させた。留出が収まった後、さらにトルエン 14.4g(1質量倍/9−フルオレノン)を投入し、再度系中の水とトルエンを共沸させながら、液温を130〜140℃まで昇温し、20時間撹拌しながら熟成することにより縮合反応を行った。
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、9−フルオレノンを14.4g(0.08モル)、オルト−トルジジンを112.1g(1.05モル)およびトルエン57.6g(4質量倍/9−フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、溶液を15℃以下に冷却し、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を滴下した。発熱が収まった後、液温90〜110℃に昇温し、系中の水とトルエンを共沸させた。留出が収まった後、さらにトルエン 14.4g(1質量倍/9−フルオレノン)を投入し、再度系中の水とトルエンを共沸させながら、液温を130〜140℃まで昇温し、20時間撹拌しながら熟成することにより縮合反応を行った。
縮合反応後、反応液を冷却し、50℃で17質量%苛性ソーダ水 56.4gを投入し、反応液を中和した。下層から水相を払出し、取得した油相を液温100〜110℃、減圧度4〜8kPaで減圧濃縮し、結晶を析出させた。この際、オルトトルイジン留分 79.5gを取得した。オルト−トルイジンの回収率は、45.4%であった。オルト−トルイジンの純度は、99.7%であった。
一方、濃縮後のスラリー液に液温90℃で、水 10.8gを、液温75℃でイソプロパノール 21.6gを投入し、スラリーを得た。このスラリーを室温まで冷却し、固液分離を行った。得られたケークにイソプロパノール 21.6gをリンスし、粗9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンを得た。これをトルエン 43.2gでリフラックス下、1時間、リスラリーを行い、室温に冷却後、ろ過し、得られたケークにトルエン 7.2gでリンスを行った。これを温度60℃、減圧度 0.01kPa以下で一晩真空乾燥した。9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン 24.7g(収率 82%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、97.8%であった。
(実施例2)
実施例1において、オルト−トルイジン 112.1gを2−エチルアニリン 115.6gに、反応時間を66時間変更した以外は、実施例1と同様に縮合反応を行った。
実施例1において、オルト−トルイジン 112.1gを2−エチルアニリン 115.6gに、反応時間を66時間変更した以外は、実施例1と同様に縮合反応を行った。
9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン 25.4g(収率 78.1%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.2%であった。
上記固液分離で発生した母液およびイソプロパノールを用いたリンス後の溶液を混合し、蒸留粗液 160gを得た。これを減圧下で蒸留し、減圧度4〜8kPa、110〜125℃の2−エチルアニリン留分 72.9gを取得した。2−エチルアニリンの回収率は、84.3%であった。2−エチルアニリンの純度は、99.2%であった。
(比較例2)
比較例1において、オルト−トルイジン 112.1gを2−エチルアニリン 115.6gに、反応時間を66時間変更した以外は、比較例1と同様に反応を行った。
比較例1において、オルト−トルイジン 112.1gを2−エチルアニリン 115.6gに、反応時間を66時間変更した以外は、比較例1と同様に反応を行った。
比較例1と同様の減圧濃縮および精製を行い、9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン 27.5g(収率 85.0%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、97.5%であった。
9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレンを減圧濃縮したとき、留分として2−エチルアニリン留分 58.9gを取得した。2−エチルアニリンの回収率は、68.1%であった。2−エチルアニリンの純度は、99.0%であった。
Claims (3)
- 前記製造工程が、9−フルオレノンと前記アニリン類を縮合反応させる工程を含むと共に、9−フルオレノン1モルに対し、過剰の前記アニリン類を用いて反応させ、その反応液から9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を分離した残液から蒸留回収する請求項1に記載のアニリン類の回収方法。
- 前記反応液を中和処理し、得られた油相から晶析溶媒を混合し、前記9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を晶析させ、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を分離した残液から蒸留回収する請求項2に記載のアニリン類の回収方法。
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WO2022097609A1 (ja) * | 2020-11-06 | 2022-05-12 | 東レ・ファインケミカル株式会社 | 9,9-ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノフェニル)フルオレン化合物の製造方法 |
CN114773209A (zh) * | 2022-05-05 | 2022-07-22 | 江苏常隆农化有限公司 | 一种从苯噻草胺重结晶母液中回收n-甲基苯胺的方法 |
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2019
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