JP2022144661A - 9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法 - Google Patents

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拓弥 杉浦
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Abstract

【課題】9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を高収率および高純度で生産できる製造方法を提供する。【解決手段】 9-フルオレノンと、下記一般式(1)TIFF2022144661000009.tif28142(式中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)で表される、2-ハロゲノアニリン類を、溶解させたヘテロポリ酸の存在下、反応させる、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法に関し、さらに詳しくは、工業的に有用な9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法に関する。
9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物は、高分子化学の分野で用いられる化合物であり、特に、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂の原料として有用である。この化合物を含むポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂は電子情報材料、光学材料、複合材料など、工業用途として多岐にわたる分野で使用可能である。
特許文献1では、9-フルオレノンと2-フルオロアニリンの反応において、大過剰の2-フルオロアニリン存在下、9-フルオレノンに対し、0.9モル倍の塩酸または2-フルオロアニリン塩酸塩を用いて、縮合反応を行っている。
特許文献2では、9-フルオレノンと2-クロロアニリンの反応において、オルト-ジクロロベンゼンを溶媒に用い、9-フルオレノンに対し、0.5モル倍のメタンスルフォン酸を用いて、縮合反応を行っている。
特許文献3では、9-フルオレノンと2-クロロアニリンの反応において、グリコール溶媒中で、9-フルオレノンに対し、0.5モル倍の濃硫酸を用いて、縮合反応を行っている。
一方、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物ではないが、特許文献4では、9-フルオレノンとアニリン化合物の反応において、白土や珪藻土などのシリカ系固体酸化物に担持したヘテロポリ酸不均一系触媒を用いて、縮合反応を行っている。
特許文献1、2、3では、酸触媒投入時、酸触媒が原料であるハロゲノアニリンと塩を形成し、これが塊状となるため、攪拌しづらい状態に陥る。また、縮合反応により生成する9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物も酸触媒との塩を形成するため、反応終盤では、粘調なスラリー状態になり、攪拌しづらい状態になる。さらに目的の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を単離するためには、用いた酸触媒に対し、当量以上のアルカリを用いて、当該塩を解塩する工程が必要となる。すなわち、多量のアルカリが必要となり、結果これらの中和塩を含んだ廃水が大量に生成する。
一方、特許文献4では、白土や珪藻土などのシリカ系固体酸化物に担持したヘテロポリ酸を固体触媒として用いるが、「触媒 47巻、1号、2005、32-37 ヘテロポリ酸の酸触媒作用に及ぼす担体の影響 の36ページ 5.担体を利用したヘテロポリ酸触媒の不溶化」で記載されているように、担持したヘテロポリ酸が極性溶媒中では、溶出してしまうことが、課題となっている。
特許文献4の縮合反応は、極性の高い2-ハロゲノアニリン類共存下、反応温度140℃以上の反応条件のため、担持ヘテロポリ酸触媒からヘテロポリ酸が極めて溶出しやすい。そのため、反応後、ろ別した触媒をそのまま再利用すると、反応活性が大きく低下してしまう。すなわち、回収された担持ヘテロポリ酸触媒の繰り返し使用には限界がある。反応毎に新品の担持ヘテロポリ酸触媒を使用すると、燃焼廃棄処理が困難な担持ヘテロポリ酸触媒の廃棄物が大量に発生することとなる。また、反応後、2-ハロゲノアニリン類を含有する反応液から担持ヘテロポリ酸触媒を除去するには、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物が晶析しない高温でろ過、すなわち、熱時ろ過の操作が必要となる。2-ハロゲノアニリン類は、人体に対し、高い毒性が懸念される物質であることから、2-ハロゲノアニリン類の蒸気圧が高い、高温での熱時ろ過操作は、安全上好ましいものではない。
特開2011-084502号公報 国際公開第2020/132406号 中国特許第110437078号明細書 中国特許第108863807号明細書
神谷裕一、奥原敏夫、ヘテロポリ酸の酸触媒作用に及ぼす担体の影響、触媒、2005年、47巻、1号、32-37頁
本発明の目的は、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を高収率および高純度で生産できる製造方法を提供することにある。
本発明の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法は、9-フルオレノンと下記一般式(1)
Figure 2022144661000001
(式中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)
で表される、2-ハロゲノアニリン類を、溶解させたヘテロポリ酸の存在下、反応させる、下記一般式(2)
Figure 2022144661000002
(式中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)
で表される9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を製造することを特徴とする。
本発明の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法によれば、9-フルオレノンと一般式(1)で表される2-ハロゲノアニリン類を溶解させたヘテロポリ酸の存在下、反応させることにより、一般式(2)で表される9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を高収率かつ高純度で製造することができ、工業的に優れた製造方法である。本発明の製造方法により得られた9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物は、電子情報材料、光学材料、複合材料などで使用することができる。
以下に本発明の詳細を記載する。
本発明で製造する9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物は、一般式(2)で表され、9-フルオレノンと下記一般式(1)で示される2-ハロゲノアニリン類を縮合反応させることにより製造される。
Figure 2022144661000003
Figure 2022144661000004
(式(1)(2)中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)
一般式(1)で示される2-ハロゲノアニリン類の具体例としては、2-クロロアニリンまたは2-フルオロアニリンである。一般式(2)で表される9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物は、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-フルオロフェニル)フルオレンである。
本発明の縮合反応で用いる2-ハロゲノアニリン類は、9-フルオレノンのモル数に対し、好ましくは2.0~20モル倍、より好ましくは、2.0モル倍から15モル倍であるとよい。2-ハロゲノアニリン類を2.0モル倍以上にすることにより、所望の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を製造することができる。またアニリン類を20モル倍以下にすることにより、反応液から未反応のアニリン類を除去する労力を少なくすることができる。
9-フルオレノンおよび2-ハロゲノアニリン類の縮合反応は、溶解させたヘテロポリ酸の存在下で行われる。ヘテロポリ酸として、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸が例示される。より好ましくは、リンタングステン酸、ケイタングステン酸である。
溶解させたヘテロポリ酸は、水または極性溶媒等に、ヘテロポリ酸を溶解させることにより調製することができる。なお、2-ハロゲノアニリン類にヘテロポリ酸を溶解させることもできる。
ヘテロポリ酸の量は、9-フルオレノンのモル数に対し、好ましくは0.001~0.2モル倍であり、より好ましくは、0.005~0.1モル倍である。ヘテロポリ酸を0.001モル倍以上使用することにより、縮合反応を効率的に進めることができる。また、ヘテロポリ酸を0.2モル倍以下使用することにより、高価なヘテロポリ酸触媒を効率的に使用することができる。また、ヘテロポリ酸は、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物と塩を形成しないため、精製時に解塩操作が不要となり、製造工程を簡便にできる。
9-フルオレノンおよび2-ハロゲノアニリン類の縮合反応において、水が生成するが、これを除去しながら反応させることが好ましい。この目的で反応系内に不活性ガスを通気しながら、これに生成水を同伴させる、あるいは共沸溶媒を共存させて、連続的に生成水を除去する方法が用いられる。不活性ガスとしては、窒素が好ましく用いられる。共沸溶媒としては、反応系に不活性な溶媒が用いられ、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。好ましくは、トルエンまたはキシレンが用いられる。この共沸溶媒の使用量は、9-フルオレノンの質量に対し、0.5~10質量倍が好ましい。
縮合反応は、酸素を含まない不活性雰囲気下で行うことが好ましい。具体的には、実質的に酸素を含まない窒素ガスを反応系内に通気させることで行うことができる。酸素存在下で行うと、2-ハロゲノアニリン類が酸化され、着色し、これが、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物に残存し、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を着色させてしまうことがある。
反応温度は、好ましくは80~200℃である。より好ましくは、120~180℃である。反応温度が80℃より低いと反応完結に長時間を要することになり、200℃よりも反応温度が高いと、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物にさらに9-フルオレノンが反応した二量体が生成し、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の収率が低下することになる。また、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の量産化において、未反応の2-ハロゲノアニリン類の回収・再利用は、製造コスト低減のため、重要であるが、反応温度が200℃より高いと、未反応の2-ハロゲノアニリン類の一部が変質し、回収率が低下してしまう。その結果、2-ハロゲノアニリン類の原単位悪化や廃棄物の増大を招いてしまう。
反応時間は、反応温度に依存するが、好ましくは3~100時間、より好ましくは5~80時間である。反応終点は、9-フルオレノンが完全に消費され、かつ中間体である9-フルオレノンに2-ハロゲノアニリン類1分子が縮合したイミン体の残存量が反応液の液クロマトグラフィー分析で、好ましくは2-ハロゲノアニリン類のピーク面積を除く全体のピーク面積の5.0面積%以下、より好ましくは、2.0面積%以下となる時点と設定できる。
単離した9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物は、不純物を含有していることがあるから、精製することで、高純度化される。精製法として、例えば、得られた9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物に溶媒をかけるリンス洗浄、溶媒でリスラリーするリスラリー洗浄、あるいは溶媒に一旦溶解して結晶化する再結晶があり、これらによって高純度9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を得ることができる。
リンス洗浄、リスラリー洗浄または再結晶の溶媒としては、アルコール系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒またはアミド系溶媒を使用してもよいが、リンス洗浄、リスラリー洗浄の溶媒として、好ましくはアルコール系溶媒が用いられる。アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が例示される。再結晶の溶媒として、エーテル系溶媒またはエステル系溶媒が用いられる。エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン等、エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル等が例示される。
リンス洗浄で使用する溶媒の量は、9-フルオレノンの質量に対し、好ましくは0.1~10質量倍である。
リスラリー洗浄は、室温で行ってもよいし、溶媒がリフラックスする温度で行っても良い。
リスラリー洗浄で用いられる溶媒の量は、9-フルオレノンの質量に対し、1.0~30質量倍が好ましく用いられる。
再結晶は、溶媒に9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を溶解し、得られた有機相に貧溶媒として、水、アルコール類、低級脂肪族ケトン類から選ばれた少なくとも一つを含む溶媒を混合し、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を晶析させる。これにより、高純度の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物が取得できる。なお、貧溶媒として、高温では良溶媒であっても、その温度を下げると貧溶媒となる溶媒も使用することができる。
貧溶媒として用いるアルコール類は、炭素数1~6のアルコール、および/または炭素数2~3のグリコールであり、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノールおよび1-ヘキサノールなどの1級アルコール類、イソプロパノール、2-ブタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-ヘキサノール、およびシクロヘキサノールなどの2級アルコール類、ターシャリーブタノール、ターシャリーペンタノール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、である。
貧溶媒として用いる低級脂肪族ケトン類は、炭素数3~9の脂肪族ケトンであり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、メチルブチルケトンが挙げられる。好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンである。
再結晶に使用する貧溶媒量は、9-フルオレノンの質量に対し、好ましくは0.5~30質量倍、より好ましくは、1.0~5質量倍である。
晶析後、得られたスラリーを固液分離することで、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物が高収率および高純度で得られる。得られた9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の表面に晶析母液が付着していることがあることから、得られた9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物にリンス液をかけて洗浄する、あるいは溶媒でリスラリー洗浄することで高純度の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を得ることができる。
以下、実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例のみに制限されるものではない。なお、本明細書において得られる9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の分析値は、次の方法により測定した。
(化学純度)
以下の条件の液体クロマトグラフィー(島津製作所社製CLASS-VP)により測定された、全体のピーク面積からアニリン類のピーク面積を除いた面積に対する、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物のピーク面積の分率(HPLC 面積%)を測定し、これを化学純度(%)とした。
・カラム: YMC―Pack ODS-AM303 4.6φ×250mm
・カラム温度: 40℃
・移動相: 0.1%(v/v)リン酸水溶液を組成(A)、アセトニトリルを組成(B)とし、下記のグラジエントに示した組成(A/B)で変化させた。
・グラジエント
時間(分) 組成(A/B)
0 60/40
10 45/55
15 20/80
25 20/80
30 60/40
40 60/40
・流量: 1ml/min
・注入量: 10μl
・検出: UV 254nm
・分析時間: 40分
・分析サンプル調製:サンプル0.02gを秤量し、アセトニトリル約40mlに希釈
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
(実施例1)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた200mL四つ口フラスコに、9-フルオレノン 6.31g(0.035モル)、2-クロロアニリン 51.24g(0.402モル;11.5モル倍/9-フルオレノン)、トルエン 12.62g(2.0質量倍/9-フルオレノン)およびリンタングステン酸水和物(富士フィルム和光純薬社製) 0.50g(0.005モル倍/9-フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、液温140℃に昇温し、反応を開始した。反応中、水を留去しながら、30時間熟成することにより縮合反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、99.9(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、93.7(%)であった。
得られた反応液を50℃以下まで冷却し、イソプロパノール 18.93g(3.0質量倍/9-フルオレノン)を反応系内に投入し、そのまま冷却した。晶析した9,9-ビス(3-クロロ-4-アミノフェニル)フルオレンを含むスラリー液をろ過し、得られたケークをイソプロパノール 6.31g(1.0質量倍/9-フルオレノン)でリンス洗浄した。このケークを温度60℃、減圧度 0.01kPa以下で一晩真空乾燥し、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 12.02g(単離収率 82.3%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.0(LC面積%)であった。
(実施例2)
実施例1において、リンタングステン酸水和物 0.50g(0.005モル倍/9-フルオレノン)を1.01g(0.01モル倍/9-フルオレノン)に変更し、反応時間30時間を24時間に変更した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、100(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、97.4(%)であった。
晶析操作の結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 12.34g(単離収率 84.5%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.3(LC面積%)であった。
(実施例3)
実施例1において、リンタングステン酸水和物 0.50g(0.005モル倍/9-フルオレノン)を2.02g(0.02モル倍/9-フルオレノン)に変更し、反応時間30時間を12時間に変更した以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、100(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、97.1(%)であった。
晶析操作の結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 12.37g(単離収率 84.7%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.3(LC面積%)であった。
(実施例4)
実施例2において、反応温度140℃を160℃に変更し、反応時間24時間を8時間に変更した以外は、実施例2と同様に反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、100(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、95.0(%)であった。
晶析操作の結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 13.22g(単離収率 90.5%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.0(LC面積%)であった。
(実施例5)
実施例2において、トルエンを入れず、反応温度140℃を170℃に変更し、反応時間24時間を6時間に変更した以外は、実施例2と同様に反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、100(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、95.9(%)であった。
晶析操作の結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 12.77g(単離収率 87.4%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.6(LC面積%)であった。
(実施例6)
実施例5において、リンタングステン酸水和物 1.01g(0.01モル倍/9-フルオレノン)をケイタングステン酸水和物 1.16g(0.01モル倍/9-フルオレノン)に変更し、反応温度170℃を160℃に変更し、反応時間6時間を9時間に変更した以外は、実施例5と同様に反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、100(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、94.6(%)であった。
晶析操作の結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 12.00g(単離収率 82.2%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.0(LC面積%)であった。
(実施例7)
実施例5において、リンタングステン酸水和物 1.01g(0.01モル倍/9-フルオレノン)をリンモリブデン酸n水和物 0.83g(0.01モル倍/9-フルオレノン)に変更し、反応温度170℃を160℃に変更し、反応時間6時間を9時間に変更した以外は、実施例5と同様に反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、100(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、70.7(%)であった。
晶析操作の結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 7.68g(単離収率 52.6%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.0(LC面積%)であった。
(比較例1)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた200mL四つ口フラスコに、9-フルオレノン 6.31g(0.035モル)、2-クロロアニリン 51.24g(0.402モル;11.5モル倍/9-フルオレノン)、トルエン 12.62g(2.0質量倍/9-フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、溶液を15℃以下に冷却し、35%塩酸 10.95g(3.0モル倍/9-フルオレノン)を滴下した。滴下終了後、液温140℃に昇温し、反応を開始した。反応中、水を留去しながら、20時間熟成することにより縮合反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、25.3(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、14.8(%)であった。
得られた反応液を、50℃以下まで冷却し、20%苛性ソーダ水溶液 24.71g(3.0モル倍/9-フルオレノン)を滴下した。これを反応温度60℃で攪拌しながら、3時間熟成し、生成した9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン二塩酸塩の解塩処理を行った。これにイソプロパノール 18.93g(3.0質量倍/9-フルオレノン)を投入し、分液により、水相を除去することで、有機相を取得した。これに再度、イソプロパノール 18.93g(3.0質量倍/9-フルオレノン)を投入し、10℃以下に冷却したが、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンは、晶析せず、取得できなかった。
(比較例2)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた200mL四つ口フラスコに、9-フルオレノン 6.31g(0.035モル)、2-クロロアニリン 51.24g(0.402モル;11.5モル倍/9-フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、溶液を15℃以下に冷却し、35%塩酸 10.95g(3.0モル倍/9-フルオレノン)を滴下した。滴下終了後、液温160℃に昇温し、反応を開始した。反応中、水を留去しながら、24時間熟成することにより縮合反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、99.6(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、61.9(%)であった。
得られた反応液を、50℃以下まで冷却し、20%苛性ソーダ水溶液 24.71g(3.0モル倍/9-フルオレノン)を滴下した。これを反応温度60℃で攪拌しながら、3時間熟成し、生成した9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン二塩酸塩の解塩処理を行った。これにイソプロパノール 18.93g(3.0質量倍/9-フルオレノン)を投入し、分液により、水相を除去することで、有機相を取得した。これに再度、イソプロパノール 18.93g(3.0質量倍/9-フルオレノン)を投入し、10℃以下に冷却し、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンを晶析させた。このスラリー液をろ過し、得られたケークをイソプロパノール 6.31g(1.0質量倍/9-フルオレノン)でリンス洗浄した。このケークを温度60℃、減圧度 0.01kPa以下で一晩真空乾燥し、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 7.16g(単離収率 49.0%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、93.7(LC面積%)であった。
(比較例3)
比較例2において、35%塩酸 10.95g(3.0モル倍/9-フルオレノン)を98%硫酸 0.05g(0.015モル倍/9-フルオレノン)に変更した以外は、比較例2と同様に行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、94.2(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、32.6(%)であった。
比較例2と同様の晶析操作を行ったが、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンは、晶析せず、取得できなかった。
(比較例4)
比較例2において、35%塩酸 10.95g(3.0モル倍/9-フルオレノン)をメタンスルフォン酸 0.11g(0.030モル倍/9-フルオレノン)に変更した以外は、比較例2と同様に行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、94.2(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、48.0(%)であった。
比較例2と同様の晶析操作を行ったが、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンは、晶析せず、取得できなかった。
(参考例)シリカ担持リンタングステン酸の調製
リンタングステン酸水和物 2.0gをイオン交換水 10.0gに溶解した。磁製蒸発皿中で関東化学製球状シリカゲル60(粒子径100-210μm) 8.0gをこの水溶液に浸漬し、室温で十分かきまぜた。さらに磁製の蒸発皿をホットプレート上に置き、加熱し、かき混ぜながら、水を蒸発させた。
さらにこれを電気炉中、空気雰囲気下、300℃、3時間焼成し、シリカ担持リンタングステン酸(リンタングステン酸担持量 20質量%)を調製した。
(比較例5)
実施例4において、リンタングステン酸水和物 1.01g(0.01モル倍/9-フルオレノン)を参考例で調製したシリカ担持リンタングステン酸 5.05g(0.01モル倍/9-フルオレノン)に変更し、反応時間8時間を12時間に変更した以外は、実施例4と同様に反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、100(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、94.0(%)であった。
得られた反応液を70℃で熱時ろ過を行い、触媒を濾別した。イソプロパノール 18.93g(3.0質量倍/9-フルオレノン)をろ液に投入し、そのまま冷却した。晶析した9,9-ビス(3-クロロ-4-アミノフェニル)フルオレンを含むスラリー液をろ過し、得られたケークをイソプロパノール 6.31g(1.0質量倍/9-フルオレノン)でリンス洗浄した。このケークを温度60℃、減圧度 0.01kPa以下で一晩真空乾燥し、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 11.20g(単離収率 76.7%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.1(LC面積%)であった。
(比較例6)
比較例4において、比較例5でろ別したシリカ担持リンタングステン酸の全量をそのまま使用し、反応時間12時間を42時間に変更した以外は、比較例5と同様に行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、96.2(LC面積%)、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの反応収率は、42.0(%)であった。
比較例5と同様の晶析操作を行ったが、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンは、晶析せず、取得できなかった。
上述した実施例1~7の概要を表1に、比較例1~6の概要を表2に記載する。
Figure 2022144661000005
Figure 2022144661000006

Claims (4)

  1. 9-フルオレノンと、下記一般式(1)
    Figure 2022144661000007
    (式中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)
    で表される、2-ハロゲノアニリン類を、溶解させたヘテロポリ酸の存在下、反応させる、下記一般式(2)
    Figure 2022144661000008
    (式中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)
    で表される9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。
  2. 前記ヘテロポリ酸の使用量が、9-フルオレノンに対し、0.001~0.2モル倍である請求項1に記載の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。
  3. 前記ヘテロポリ酸が、リンタングステン酸またはケイタングステン酸である請求項1または2に記載の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。
  4. 反応温度が、80~200℃である請求項1~3のいずれかに記載の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。
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