JP2023009342A - 9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法 - Google Patents

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拓弥 杉浦
Takuya Sugiura
仁郎 中谷
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Abstract

【課題】9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物をヘテロポリ酸含量が少なく、高収率および高純度で生産できる製造方法を提供する。【解決手段】 9-フルオレノンと、下記一般式(1)TIFF2023009342000008.tif28142(式中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)で表される、2-ハロゲノアニリン類を、溶解させたヘテロポリ酸の存在下で縮合反応させ、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を含む反応液を得る工程、得られた反応液にアルカリ性水溶液を加えて洗浄し、前記ヘテロポリ酸を除去する工程を含む、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法に関し、さらに詳しくは、工業的に有用な9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法に関する。
9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物は、高分子化学の分野で用いられる化合物であり、特に、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂の原料として有用である。この化合物を含むポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂は電子情報材料、光学材料、複合材料など、工業用途として多岐にわたる分野で使用可能である。
特許文献1では、9-フルオレノンと2-フルオロアニリンの反応において、大過剰の2-フルオロアニリン存在下、9-フルオレノンに対し、0.9モル倍の塩酸または2-フルオロアニリン塩酸塩を用いて縮合反応を行い、後処理において塩酸に対し、1.05モル倍の20質量%水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を加えて中和処理をしている。
特許文献2では、9-フルオレノンと2-クロロアニリンの反応において、オルト-ジクロロベンゼンを溶媒に用い、9-フルオレノンに対し、0.5モル倍のメタンスルフォン酸を用いて縮合反応を行い、トリメチルアミンとメタノールを加えて、中和、晶析処理をしている。
一方、特許文献3では、目的化合物が9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物ではないが、9-フルオレノンとアニリン化合物の反応において、白土や珪藻土などのシリカ系固体酸化物に担持したヘテロポリ酸不均一系触媒を用いて、縮合反応を行っている。また、特許文献4では、9,9-ビスフェノールフルオレン化合物を製造するとき、2,7-ジブロモフルオレノンと2-ナフトールの反応において過剰の2-ナフトール存在下、2,7-ジブロモフルオレノンに対し0.0015モル倍のヘテロポリ酸(リンタングステン酸水和物)を用いて縮合反応を行い、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和処理をしている。
特許文献1、2では、酸触媒として塩酸、メタンスルフォン酸が用いられている。これらの酸触媒では触媒投入時、酸触媒が原料であるハロゲノアニリンと塩を形成し、発熱する。さらにこの塩が塊状となるため、攪拌しづらい状態に陥る。また、縮合反応により生成する9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物も酸触媒との塩を形成するため、反応終盤では、粘調なスラリー状態になり、攪拌しづらい状態になることが課題となっていた。
一方、特許文献3では、白土や珪藻土などのシリカ系固体酸化物に担持したヘテロポリ酸を固体触媒として用いるが、非特許文献1の36ページ「5.担体を利用したヘテロポリ酸触媒の不溶化」で記載されているように、担持したヘテロポリ酸が極性溶媒中で、溶出してしまうことが課題となっていた。
特許文献3の反応は、極性の高い2-ハロゲノアニリン類共存下、反応温度140℃以上の反応条件のため、担持ヘテロポリ酸触媒からヘテロポリ酸が極めて溶出しやすい。そのため、反応後、ろ別した触媒をそのまま再利用すると、反応活性が大きく低下してしまう。すなわち、回収された担持ヘテロポリ酸触媒の繰り返し使用には限界がある。反応毎に新品の担持ヘテロポリ酸触媒を使用すると、燃焼廃棄処理が困難な担持ヘテロポリ酸触媒の廃棄物が大量に発生することとなる。また、溶出したヘテロポリ酸は晶析により取得した9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物に残存し、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を使用したポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂等の物性に悪影響を及ぼす懸念があった。
特許文献4の反応では、酸触媒としてヘテロポリ酸を溶解させた状態で用い、反応終了後にアルカリ水溶液によって反応液を洗浄し、ヘテロポリ酸の除去を行っているが、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の反応系ではその除去効果は不十分であり、ヘテロポリ酸含量の少ない9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を取得することが課題であった。
特開2011-084502号公報 国際公開第2020/132406号 中国特許第108863807号明細書 特開2021-31401号公報
神谷裕一、奥原敏夫、ヘテロポリ酸の酸触媒作用に及ぼす担体の影響、触媒、2005年、47巻、1号、32-37項
本発明の目的は、ヘテロポリ酸含量の少ない9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を高収率および高純度で生産できる製造方法を提供することにある。
本発明の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法は、9-フルオレノンと下記一般式(1)
Figure 2023009342000001
(式中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)
で表される、2-ハロゲノアニリン類を、溶解させたヘテロポリ酸の存在下、縮合反応させ、下記一般式(2)
Figure 2023009342000002
(式中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)
で表される9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を含む反応液を得る工程、得られた反応液にアルカリ性水溶液を加えて洗浄する操作により前記ヘテロポリ酸を除去する工程を含む、ことを特徴とする。
本発明の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法は、9-フルオレノンと一般式(1)で表される2-ハロゲノアニリン類を、溶解させたヘテロポリ酸の存在下で縮合反応させ、反応液にアルカリ性水溶液を加えて洗浄することでヘテロポリ酸を除去することにより、一般式(2)で表される9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を、ヘテロポリ酸含量を少なくし、かつ高収率、高純度で得られる工業的に優れた製造方法である。本発明の製造方法により得られた9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物は、電子情報材料、光学材料、複合材料などで使用することができる。
以下に本発明の詳細を記載する。
本発明で製造する9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物は、一般式(2)で表され、9-フルオレノンと下記一般式(1)で示される2-ハロゲノアニリン類を縮合反応させることにより製造される。
Figure 2023009342000003
Figure 2023009342000004
(式(1)(2)中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)
一般式(1)で示される2-ハロゲノアニリン類の具体例としては、2-クロロアニリンまたは2-フルオロアニリンである。一般式(2)で表される9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物は、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-フルオロフェニル)フルオレンである。
9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法は、溶解させたヘテロポリ酸の存在下で、9-フルオレノンおよび2-ハロゲノアニリン類を縮合反応させ、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を含む反応液を得る工程と、得られた反応液にアルカリ性水溶液を加えて洗浄する操作により、ヘテロポリ酸を除去する工程を含む。
9-フルオレノンおよび2-ハロゲノアニリン類を縮合反応させる工程で、用いる2-ハロゲノアニリン類の量は、9-フルオレノンのモル数に対し、好ましくは2.0~20モル倍、より好ましくは、2.0モル倍から15モル倍であるとよい。2-ハロゲノアニリン類を2.0モル倍以上にすることにより、所望の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を製造することができる。またアニリン類を20モル倍以下にすることにより、反応液から未反応のアニリン類を除去する労力を少なくすることができる。
9-フルオレノンおよび2-ハロゲノアニリン類の縮合反応は、溶解させたヘテロポリ酸の存在下で行われる。ヘテロポリ酸として、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸が例示される。より好ましくは、リンタングステン酸、ケイタングステン酸である。
溶解させたヘテロポリ酸は、水または極性溶媒等に、ヘテロポリ酸を溶解させることにより調製することができる。なお、2-ハロゲノアニリン類にヘテロポリ酸を溶解させることもできる。
ヘテロポリ酸の量は、9-フルオレノンのモル数に対し、好ましくは0.001~0.2モル倍であり、より好ましくは、0.005~0.1モル倍である。ヘテロポリ酸を0.001モル倍以上使用することにより、縮合反応を効率的に進めることができる。また、ヘテロポリ酸を0.2モル倍以下使用することにより、高価なヘテロポリ酸触媒を効率的に使用することができる。また、ヘテロポリ酸は2-ハロゲノアニリン類と塩を形成しないため、それらを混合した時の発熱がなく、反応仕込み時に発熱制御をする設備および操作の必要がない。
9-フルオレノンおよび2-ハロゲノアニリン類の縮合反応において、水が生成するが、これを除去しながら反応させることが好ましい。この目的で反応系内に不活性ガスを通気しながら、これに生成水を同伴させる、あるいは共沸溶媒を共存させて、連続的に生成水を除去する方法が用いられる。不活性ガスとしては、窒素が好ましく用いられる。共沸溶媒としては、反応系に不活性な溶媒が用いられ、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。好ましくは、トルエンまたはキシレンが用いられる。この共沸溶媒の使用量は、9-フルオレノンの質量に対し、0.5~10質量倍が好ましい。
縮合反応は、酸素を含まない不活性雰囲気下で行うことが好ましい。具体的には、実質的に酸素を含まない窒素ガスを反応系内に通気させることで行うことができる。酸素存在下で行うと、2-ハロゲノアニリン類が酸化され、着色し、これが、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物に残存し、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を着色させてしまうことがある。
反応温度は、好ましくは80~200℃、より好ましくは、120~180℃である。反応温度が80℃より低いと反応完結に長時間を要することになり、200℃よりも反応温度が高いと、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物にさらに9-フルオレノンが反応した二量体が生成し、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の収率が低下することになる。また、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の量産化において、未反応の2-ハロゲノアニリン類の回収・再利用が、製造コスト低減のため、重要であるが、反応温度が200℃よりも高いと、未反応の2-ハロゲノアニリン類の一部が変質し、その回収率が低下してしまう。その結果、2-ハロゲノアニリン類の原単位悪化や廃棄物の増大を招いてしまう。
反応時間は、反応温度に依存するが、好ましくは3~100時間、より好ましくは5~80時間である。反応終点は、9-フルオレノンが完全に消費され、かつ中間体である9-フルオレノンに2-ハロゲノアニリン類1分子が縮合したイミン体の残存量が反応液の液クロマトグラフィー分析で、2-ハロゲノアニリン類のピーク面積を除く全体のピーク面積の好ましくは5.0面積%以下、より好ましくは、2.0面積%以下となる時点と設定できる。
9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を合成する工程で得られた反応液は、アルカリ性水溶液を加えて洗浄する工程の処理を受け、ヘテロポリ酸が除去される。上述した縮合反応で得られた反応液は、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物に加え、過剰の2-ハロゲノアニリン、ヘテロポリ酸、および不純物を含んでいる。縮合反応液にアルカリ性水溶液を加えて洗浄する操作により、ヘテロポリ酸を除去することができる。このため晶析操作により取得した9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物中のヘテロポリ酸含量を低減できる。すなわち、晶析した9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物中のヘテロポリ酸含有量を100質量ppm以下に実質的に低減することができる。
アルカリ性水溶液としては、アルカリ金属水酸化物水溶液、アルカリ金属炭酸塩水溶液、アルカリ金属水素炭酸塩水溶液、アルカリ金属亜硫酸塩水溶液を使用してもよい。しかし、カリウムやセシウムなどイオン半径の大きなアルカリ金属では、ヘテロポリ酸と塩を形成した時の水溶性が低下するため、アルカリ金属として好ましくはリチウムまたはナトリウムである。アルカリ金属水酸化物水溶液としては、水酸化リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液が、アルカリ金属炭酸塩水溶液としては炭酸ナトリウム水溶液、炭酸リチウム水溶液が、アルカリ金属炭酸水素塩水溶液としては炭酸水素ナトリウム水溶液が例示される。
アルカリ性水溶液中の塩基のモル量は、反応で用いたヘテロポリ酸のモル量に対して過剰であることが好ましい。より好ましくは、ヘテロポリ酸のモル量に対して100~6000モル倍である。
アルカリ性水溶液の質量は、反応液質量に対して好ましくは0.25倍~4倍、より好ましくは0.5倍~2倍である。アルカリ性水溶液の質量を0.5倍以上にすることにより、有機相と水層の分離性が向上する。また、アルカリ性水溶液の質量を2倍以下にすることにより廃水量を減らすことができる。
アルカリ性水溶液による洗浄操作は加温して行うことが好ましい。加温して洗浄することで9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物が析出せず、効率よくヘテロポリ酸を除去できる。さらに好ましくは30~99℃に加温することが望ましい。
アルカリ性水溶液による洗浄後の溶液にはアルカリ金属イオンが若干残留しているため、水で洗浄することで残存しているアルカリ金属イオンを除くことが好ましい。水の質量は、好ましくは洗浄後の溶液の質量に対して0.25倍~4倍、より好ましくは0.5倍~2倍である。
アルカリ性水溶液または水による洗浄後の有機相は15~25℃まで冷却することで9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物が析出する。これをろ過し、貧溶媒をかけてリンス洗浄することでヘテロポリ酸含量の少ない高純度な9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を高収率かつ高純度で取得できる。
洗浄に使用する貧溶媒はアルコール系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒またはアミド系溶媒を使用してもよいが、リンス洗浄、リスラリー洗浄の溶媒として、好ましくはアルコール系溶媒が用いられる。アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が例示される。
洗浄に使用する貧溶媒の量は9-フルオレノンの質量に対し、好ましくは0.1~10質量倍である。
本発明の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法では、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物中のヘテロポリ酸含量は、好ましくは、100質量ppm以下であり、より好ましくは、0.1~50質量ppm、さらに好ましくは、1.0~30質量ppmである。
以下、実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例のみに制限されるものではない。なお、本明細書において得られる9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン化合物の分析項目は、次の方法により測定した。
(化学純度)
以下の条件の液体クロマトグラフィー(島津製作所社製LC-20A)により測定された、全体のピーク面積からアニリン類のピーク面積を除いた面積に対する、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン化合物のピーク面積の分率(HPLC 面積%)を測定し、これを化学純度(%)とした。
・カラム: YMC―Pack ODS-AM 4.6φ×250mm
・カラム温度: 40℃
・移動相: 0.1%(v/v)リン酸水溶液を組成(A)、アセトニトリルを組成(B)とし、下記のグラジエントに示した組成(A/B)で変化させた。
・グラジエント
時間(分) 組成(A/B)
0 60/40
10 45/55
15 20/80
25 20/80
30 10/90
40 10/90
45 40/60
60 40/60
・流量: 1ml/min
・注入量: 10μl
・検出: UV 254nm
・分析時間: 45分
・分析サンプル調製:サンプル0.02gを秤量し、アセトニトリル約40mlに希釈
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
(ヘテロポリ酸含量)
得られた9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン化合物のヘテロポリ酸含量は誘導結合プラズマ質量分析法(アジレント・テクノロジー社製Agilent 7500cs)により測定されるタングステン含量から換算した。
タングステン含量の定量方法は絶対検量線法を用いた。タングステン標準液にはXSTC-622B(SPEX CertiPrep社)を使用し、検量線作成に用いた。
ヘテロポリ酸含量測定サンプルには、得られた9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンの2質量%NMP溶液を調製して測定に用いた。ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
(実施例1)
温度計、冷却管および攪拌機を取り付けた200mL四つ口フラスコに、9-フルオレノン 12.6g(0.070モル)、リンタングステン酸水和物(日本無機化学工業社製)2.4g(0.01モル倍/9-フルオレノン)、2-クロロアニリン 89.3g(10モル倍/9-フルオレノン)を仕込んだ。反応液全体の質量は104.3gである。窒素パージ攪拌下、液温140℃に昇温し、反応を開始した。反応中、水を留去しながら、27時間熟成することにより縮合反応を行った。反応終了後、9-フルオレノンの転化率は、100(LC面積%)、9,9-ビス(3-クロロ-4-アミノフェニル)フルオレンの反応収率は、97.9%であった。
得られた反応液に10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液 104.3g(1774モル倍/リンタングステン酸水和物)を加えて90℃で洗浄した。水層を払い出し、有機層に純水 104.3gを加えて90℃で洗浄した。水層を払い出し、洗浄後の有機層を放冷することで9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレンを含むスラリー液を得た。このスラリー液をろ過することでケークを得た。このケークを60℃、減圧度 0.01kPa以下で一晩真空乾燥し、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 28.0g(単離収率 95.7%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.0%(LC面積%)、誘導結合プラズマ質量分析法によるヘテロポリ酸含量は11.0質量ppmであった。
(実施例2)
実施例1において、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液 104.3g(1774モル倍/リンタングステン酸水和物)を5.0質量%炭酸水素ナトリウム水溶液 104.3g(887モル倍/リンタングステン酸水和物)に変更した以外は、実施例1と同様に精製操作を行った。その結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン26.2g(単離収率 89.6%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.0%(LC面積%)、ヘテロポリ酸含量は7.6質量ppmであった。
(実施例3)
実施例1において、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液 104.3g(1774モル倍/リンタングステン酸水和物)を1.0質量%炭酸水素ナトリウム水溶液 104.3g(177モル倍/リンタングステン酸水和物)に変更した以外は、実施例1と同様に精製操作を行った。その結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン26.2g(単離収率 89.6%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.1%(LC面積%)、ヘテロポリ酸含量は28.2質量ppmであった。
(実施例4)
実施例1において、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液 104.3g(1774モル倍/リンタングステン酸水和物)を5.0質量%水酸化ナトリウム水溶液 104.3g(1863モル倍/リンタングステン酸水和物)に変更した以外は、実施例1と同様に精製操作を行った。その結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン24.7g(単離収率 82.3%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.0%(LC面積%)、ヘテロポリ酸含量は6.0質量ppmであった。
(実施例5)
実施例1において、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液 104.3g(1774モル倍/リンタングステン酸水和物)を5.0質量%炭酸ナトリウム水溶液 104.3g(703モル倍/リンタングステン酸水和物)に変更した以外は、実施例1と同様に精製操作を行った。その結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン24.7g(単離収率 87.4%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.0%(LC面積%)、ヘテロポリ酸含量は8.5質量ppmであった。
(実施例6)
実施例1において、リンタングステン酸水和物 2.4g(0.01モル倍/9-フルオレノン)をケイタングステン酸(日本無機化学工業)2.3g(0.01モル倍/9-フルオレノン)に、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液 104.3g(1774モル倍/ケイタングステン酸水和物)を5.0質量%炭酸水素ナトリウム水溶液 104.3g(887モル倍/ケイタングステン酸水和物)変更した以外は、実施例1と同様に精製操作を行った。その結果、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン24.9g(単離収率 85.1%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.7%(LC面積%)、誘導結合プラズマ質量分析法によるヘテロポリ酸含量は1.4質量ppmであった。
(比較例1)
実施例1において、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、および水による洗浄操作を行わずに同様に操作することで、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 19.3g(単離収率 66.2%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、99.0%(LC面積%)、誘導結合プラズマ質量分析法によるタングステン含量は466.8質量ppmであった。
(比較例2)
実施例1において、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液による洗浄操作を行わずに同様に操作することで、9,9-ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン 24.6g(単離収率 84.4%/9-フルオレノン基準)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.7%(LC面積%)、誘導結合プラズマ質量分析法によるタングステン含量は370.6質量ppmであった。
上述した実施例1~6、比較例1~2の概要を表1に記載する。
Figure 2023009342000005
本発明の方法によると、9-フルオレノンと2-ハロゲノアニリン類を溶解させたヘテロポリ酸の存在下で縮合反応させ、反応液にアルカリ性水溶液を加えて洗浄することで、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物をヘテロポリ酸含量が少ないかつ高収率、高純度で得られる。本発明の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法は工業的に優れた製造方法である。
本発明の製造方法により得られた9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物は、電子情報材料、光学材料、複合材料などで使用することができる。

Claims (4)

  1. 9-フルオレノンと、下記一般式(1)
    Figure 2023009342000006
    (式中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)
    で表される、2-ハロゲノアニリン類を、溶解させたヘテロポリ酸の存在下、縮合反応させ、下記一般式(2)
    Figure 2023009342000007
    (式中、Xは、塩素またはフッ素を表す。)
    で表される9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物を含む反応液を得る工程、得られた反応液にアルカリ性水溶液を加えて洗浄する操作により前記ヘテロポリ酸を除去する工程を含む、9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。
  2. 前記ヘテロポリ酸が、リンタングステン酸、またはケイタングステン酸である請求項1に記載の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。
  3. 前記アルカリ性水溶液が、アルカリ金属水酸化物水溶液、アルカリ金属炭酸塩水溶液、アルカリ金属水素炭酸塩水溶液のいずれかである請求項1または2に記載の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。
  4. 前記アルカリ性水溶液中の塩基のモル量が、前記ヘテロポリ酸のモル量に対し過剰になるように、前記アルカリ性水溶液を使用する請求項1~3のいずれかに記載の9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。

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